小説・幸夫の性自認⑥「キャンデー、百合に会う」

<第6話> 「キャンデー、百合に会う」


カラオケでの2時間は、幸夫にとって、
かなり思い出に残るうれしいときだった。
幸夫は、ベッドの上で、そのときのことを思い出していた。

みんなが、自分の話を聞いてくれて、
自分は、まるで、お姫様のような気分だった。
自分の心は、100%女の子になっていた。

仮に、あれだけの人数の女の子に囲まれていたらどうだろう。
自分一人の言葉をみんなが聞いてくれたらどうだろう。
それは、今日ほどうれしくないかもしれないと思った。
男子だったから、うれしかったのだ。

前に、自分の心の中のある部分は「男」なのだろうと思ったことがある。
それが、今日は、完全に心は女の子だった。

幸夫は、1つのことを悟った。
女の子の中にいれば、感化され女らしくなれると思っていた。
でも、それは、違う。
男の子の中にいる方が、女子としての自分を意識して、より女の子になろうとする。
より可愛い女の子でいようとする。
そうか、そうだったのか。
自分は、男子校という、最良のところへ行った。

自分は、男子に恋をするだろうか。
一生懸命、みんなのために働いていた大原健二がステキだと思った。

自分の心なんて、まだわからないと思った。
自分は、まだ、心の旅に出たばかりだ。



幸夫は、そんな思いを込め、
自分のブログに記事を書いた。

そして、百合のブログに行った。
百合はやっぱりステキだなと思った。
自分がはっきりと恋心を感じている人だ。
コメントを入れた。

その返事がもらえるまで、30分くらい待った。
すると、そこに返事はなくて、
百合からキャンデーのブログに、メッセージが届いていた。
メッセージは、本人だけが見られるもので、コメントより重い。
幸夫は、ドキドキしながら、百合のメッセージを開いた。

『キャンデーちゃん。
 今日の記事読みました。
 実は、あたしも、性自認に迷っているの。
 そこで、キャンデーちゃんに是非お会いしたいと思います。
 今、キャンデーちゃんと、どんなに離れているか知らないのですが、
 電車で、3時間くらいなら、がんばって行きます。
 あたしは、東京の池袋駅なら、30分くらいのところにいます。
 次の土曜日の12時、池袋、西武線の地上階の改札ではいかがですか。
 もし、キャンデーちゃんが大阪とか、すごく遠いところだったら、
 メッセージに書いてください。
 私は、目立つように、ピンクのロリロリのファッションで行きます。
 ではでは。』

幸夫は、読んで心が躍った。
幸夫の家は、西武線で池袋まで、40分のところだ。
幸夫は、すぐ、百合にOKの返事を出した。
そして、キャンデーもピンクのロリロリ服で行くと書いた。
今日は、火曜。土曜日までもうすぐだ。
バンザーイと言って幸夫はベッドに大の字になった。

土曜日の11時。
幸夫は、池袋への電車の中にいた。
かなり目立っていた。
たいていの男性は、自分を見ていく。
ロングの金髪に近い茶髪のウィッグ。
左右に房を作り、ピンクのシュシュを付けている。
アイメイクは、長いつけ睫毛をつけ、アイラインを決めている。
下にもつけ睫毛。
すでに、幸夫の素顔はわからなくなっている。
唇はグロス。桃色のチーク。
長袖のロリロリのピンクのワンピース。膝上20cm。
スカートは3段フリル。たっぷりとレースが付いている。
両手首に、レースの飾り。
白いオシャレなソックスに、黒い靴。紐で足首を巻いて止める。
大き目の紫のバッグを抱えている。

「かなり、ケバイかなあ。」と幸夫は電車のガラスに映してみた。
あまりはっきり映らなかった。

家を出るとき、
「どこに行くの?」
「誰に会いに行くの?」
と、沙紀や母から、散々詮索された。
「うふふ。」と言ってごまかして来た。

百合は、ブログで、可愛い女の子の文体で綴っているが、
幸夫は、そこに知性を感じていた。
どんな人だろう。女の子女の子した話し方をするのかな。
いろいろ考えているうち、池袋に付いた。
約束より10分早い、11時50分だ。

電車から降りて、地上階の改札に歩いて行った。
心臓がばくばくいっている。

改札に近づくと、一目でわかった。
百合が先に来ている。
ピンク系のワンピース
スカートの中にパニエをいれたように、ミニのスカートが膨らんでいる。
そこから出た真っ直ぐの脚。
百合は、キャンデーが分かったのか、目を輝かせていた。
改札を抜けて、百合と対面。
「わあ、キャンデーは、女の子じゃない。」と百合が興奮気味に言った。
「百合もチョー女の子。あたし、うれしい。」
と幸夫は、百合と手と手をとって、飛び上がって喜んだ。

「ブログの写真より、ずっと可愛い。
 これじゃあ、クラスのアイドルでしょう。」と百合。
「百合だって、めちゃめちゃ女の子。写真よりずっと可愛い。」
「キャンデーの髪、ウィッグ?」
「うん、そう。これじゃ学校いけないもん。」
「あたしも。」
百合は、幸夫に負けないくらい厚いメイクだった。

百合もたっぷりな金髪に近い茶髪だった。
百合は、切れ長の目をして、鼻筋が通り、美人タイプだった。
声は、完全な女性の声。
本来の声より、少しぶりっ子の声を作っているようだった。
(幸夫もそれにつられる。)
背は、少し、幸夫より高い。

二人は、オシャレなドーナツ店に行って、
小さいテーブルを挟んで座った。
「ねええ、今日は、二人とも、ブリブリぶりっ子でいかない?」と百合。
「もう、二人共、ぶりっ子になってるじゃない。」と幸夫。
「男の子に、気落ち悪りぃーって言われるくらいのぶりっ子よ。」と百合。
「百合は、もうなってるわ。あたしは、もう少し。」と幸夫。
「キャンデーだって、そうとう、なってるわよ。」
「このロリ服着たときから、『いや~ん、可愛い。』って感じなの。」と幸夫。
「あたしも。」
百合は、鼻を隠して笑った。

二人で、駅のデパートへ行った。
可愛い洋服を売っている店に行って、
「いや~ん、これ可愛くない?」
「あ~ん。可愛い。百合が着るといいわ。」
「キャンデーが着るともっと似合うわ。」
などと、鼻にかかったぶりっ子声で、言いあった。
幸夫は、それが、楽しくてたまらなかった。

二人はずっと手をつないでいた。
なんとなく双子のようだった。

それから、少しプライバシーのある喫茶店に行った。
「異性が好きか、同性が好きかは、GIDの診断と無関係なの知ってる?」
と百合は言った。
「知ってる。ゲイの人は、同性が好きでも、GIDじゃないもの。」と幸夫。
「問題は、あたし達の、恋愛志向よね。」と百合。
「そうなの。あたし、自分が分からなくなってる。」
「今の男子校で、キスされたいなんて思う子いる。」
「そこまで、思わないけど、手をつなぎたいと思う子はいる。」
幸夫は、大原健二を思い浮かべていた。
「あたしもなの。キスされたいと思う男の子、3人くらいいる。」
百合は、言った。

「中学の時、キスして、抱きしめたいと思う女の子いた?」と百合。
「いた。」
幸夫は、クラスのマドンナだった、吉井早苗のことを思った。
「あたしも、いた。」と百合は言った。
「でも、男の子より、女の子より、好きな人がいる。」幸夫は言った。
「あたし、キャンデーのことが好き。
 ブログの人で、会うのキャンデーが初めてだもん。」
「あたしも、百合のことが好き。ずっと前から、心の人。」

百合は、にっこり笑った。
「あたし、ホルモンを長く打って来たのに、性欲があるの。」と百合。
「あたしも。毎晩、百合のこと考えてる。」
「じゃあ、ためそう。これで、自分のこと少しわかると思うわ。」
「どこで?」
「任せて置いて。」
百合はそう言って、にっこりと笑った。
幸夫は、心臓をドキドキとさせていた。


つづく(「百合とキャンデーの初体験」)


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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