小説・幸夫の性自認②「ダメ!絶対行っちゃだめ!」

<第2話>「ダメ!絶対行っちゃだめ!」


開明高校の障害のある生徒・事前相談会が、
1月の中旬にあった。
父の倖造と母の信子と3人で行った。

倖造と信子は、精神科のGIDの診断書を持って行った。
幸夫は、中学で認められている学校の女子の制服を着て行った。

順番が来て中に入ると、3人の人物がいた。
校長、副校長、そして、進路指導の主任である。

父の倖造は、医師の診断書を渡し、
幸夫の心身の事情を説明した。
校長以下2人は、幸夫が男子と知っても、さほど驚きもしなかった。
けっこう幸夫のような生徒が来るのだろうか。

学校側の3人は、相談をし、やがて校長が最終結論を出した。
「えー、片桐幸夫さんの女子としての扱いは、学校としてできません。
 つまり、女子制服の着用、女子トイレ、女子更衣室の使用。
 また、体育の授業を女子として受けることなどです。

 GIDの診断書の通り、幸夫さんは、『女子』なのです。
 ですから、女性である幸夫さんを、男子校の我が校は、
 受け入れる訳にはいかないのです。

 仮に、我が校が女子の制服を用意し、
 幸夫さんを女子生徒として入学を許可した場合、
 これは、マスコミの恰好の餌食となり兼ねません。
 幸い我が校は、高学力の生徒が集まる男子校として、名を馳せています。
 その開明が女子を入学させたとなると、恐らくは、一大事となるでしょう。
 片桐さんのお宅にも、マスコミが押し掛けるでしょう。
 知られたくないことも、知られてしまいます。

 そこでなのですが、幸夫さんが、当校の男子の制服を着用し、トイレ、
 着替えなども男子と共にすることを甘んじて耐えてくださるなら、
 私達に幸夫さんを拒む理由はありません。
 もちろん、正規の入学試験を受けて、合格された場合ですが。」

倖造と信子は、校長の言葉に説得力を感じ、
互に顔を見合わせていた。
そのとき、幸夫が「はい。」と手をあげた。
校長が、「どうぞ。」と言った。

「私は、女子としてもう5年間も生活をしてきています。
 ですから、言葉や振る舞いを典型的な男子のようには、もうできません。
 その点は、いかがでしょうか。」
幸夫は言った。

校長は、即答した。
「言葉や振る舞いは、あなたの個性と考えますので、
 私達が立ち入ることは、できません。
 また、あなたの個性に対して、嫌がらせや、侮辱をする生徒がいた場合、
 私達は、人権上、厳しく指導します。
 しかし、私が今あなたを拝見して思うのは、嫌がらせを受けるというより、
 反対にモテすぎて困るだろうということです。」
校長は、幸夫を見てかすかに笑った。

学校を出ると、もう夜になっていた。
「幸子、どう思った?」と倖造は聞いた。
「校長先生の言う通りだと思った。
 女子生徒として、入学したら大変なことになるってわかった。」
と幸夫は言った。
「あたしも、そこまで考えなかったわ。」と信子が言った。

「幸子が、『反対に、モテすぎて困る』というのも、
 思ってもみない言葉だった。
 いじめや、嫌がらせを心配していたからね。」と倖造。
「校長先生、あのとき、かすかににっこりしていた。
 あたし、あのとき、『我が校にいらっしゃい。』と言われた気がした。」と幸夫。
「あたしもそう感じた。女子としては無理だけど、いらっしゃいと言われた気がしたわ。」
と信子。
「俺も、そうだ。温かい学校だという気がした。」
倖造がそう言い、幸夫は、決心した。



月曜日の朝だった。
幸夫は、紺色のスクール・オバーを着て、
校門から昇降口までの道を歩いていた。
「お早う!ユキ。」と、幸夫は、腕を抱かれた。
同じクラスの、吉井早苗だった。
クラス1の美人で、男子のマドンナである女子だ。

「ユキ、そのマフラー可愛いね。」
と早苗は、幸夫の赤いマフラーを誉めた。
「ありがとう。この前買ったの。」と幸夫。

幸夫は、学校では、男女から「ユキ」と呼ばれている。
「片桐」と名字で呼ぶクラスメイトは少ない。
早苗は、幸夫の大の友達で、幸夫が大好きな女の子だ。
本当は、キスをしたり、抱き合ったりしたい女の子だが、
同性として友達になってくれている早苗に、
そんなことを考えるのはいけないと思っていた。

「ユキ、志望校決めた。」と早苗が聞く。
「うん。大体。」
「どこ?」
「開明。」
「うそ!男子校じゃない。」と早苗は、声をあげた。
「だって、あたし、戸籍上男子だし。」幸夫は言った。
「それは、そうかも知れないけど。
 ユキだったら、開明でも受かると思うよ。
 でも、考えてみて、男子の中に一人女の子がいるようなものよ。
 クラスの男の子パニック起こしちゃうわよ。」
「男子の制服は、ちゃんと着るのよ。」
「ズボン履いたって、可愛い女の子が、ズボン履いてますってだけ。
 ユキは、何をやったって、どうやったって、可愛い女の子なの!」

早苗の大声を聞いて、何人かの女子が来た。
そして、ユキが開明を受けると聞いて、みんな、
「だめよ!」と口をそろえて言った。

教室に来た。
オーバーとマフラーを廊下にかけ、
机椅子に座っていた。
その間、早苗たちが、男子にも幸夫の開明の話をしたので、
男子達が慌てて寄って来た。
「ユキ、お前、まさか男に戻る気か?」
「やめろ、絶対だめだ。お前、飢えたヤローどもの餌食になる気か!」
「女子高探せよ。ユキ、お前苦労して女になったんだからよ。」
と男子も口々に言った。

幸夫は、みんなを見た。
「みんな、ありがとう。心配してくれて。
 もう一度よく考えてみるね。」
と、そう言った。

幸夫は、クラスで人気があった。
小学校から、この中学の3年間、
嫌がらせや、からかいなど、嫌な目に遭ったことがなかった。
それは、1番に、幸夫の天使っぽい性格の好さのためだった。
やさしく、控えめで、明るかった。
次には、幸夫の学力に拠るものだった。
幸夫は、中学の3年間、中間、期末の試験で、ほとんど学年のトップだった。
8000人規模の模擬試験では、全体のトップ20に入る学力だった。
最高2位を取ったこともあった。
それほどの高い学力の持ち主である幸夫を、
みんなは、クラスの宝物のように思っていたのだった。



夕食を終え、幸夫は、自分の部屋で、一人勉強に励んでいた。
ふと、勉強に飽きて、パソコンを開いた。
行くところは、いつも同じ。
GIDの百合のブログだ。
今日は、百合の新しい写真があった。
素顔を隠すためか、いつも、濃いメイクをしている。
でも、可愛い。美人だ。

幸夫は、いつも簡単なコメントを入れる。

『百合さん。
 こんばんは。
 新しいお写真、胸キュンです。
 ポニーテイル、最高にステキです。

 キャンデー』

「キャンデー」というのは、幸夫のハンドルネームだった。

この時刻に、コメントを入れると、
百合は、1時間以内に必ず返事をくれる。
1時間ほどして、百合のブログを見に行った。
返事が来ていて、幸夫の心はおどった。

『キャンデーちゃん。
 コメントありがとう。
 ポニーテイルを誉めてくださって、ありがとう。
 明日も、写真置きますね♡

 百合 』

こんな簡単は返事でも、幸夫はうれしくて、
その日の幸せを感じた。


つづく(次回「開明高校入試」)


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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