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「あたしは女よ」⑤二人は男女両性類<後編>

今回は、少し過激なお話を書いてしまいました。
私も若い頃、外でトイレに入るたび、ジロジロ見られ、辛い思いをしましたので、
一種のリベンジだと思い、書いてしまいました。
一度書きましたので、もう気が済みました。

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「あたしは女よ」⑤二人は男女両性類<後編>


その二人のやり取りを聞いていて、梨花は、内心たじろいでいた。
さっきの人(京子)が言った通り、世の中には、どう見ても男性に見える女性がいる。
それは、事実だ。
そういう人だったらどうしよう。
由加里という人が、もし本当に女性なら、自分は大変な侮辱をした。
男性に見えるという劣等感やトラウマを持った人を、
自分は、深く傷つけたことになる。
自分が逆の立場なら、耐えがたい屈辱だ。
正義だと思って、警察まで呼んだが、
自分は、とんでもない罪を犯したのかも知れない。
謝って済む問題ではない。
法的に裁かれるのだろう。
慰謝料を請求されるのだろう。
50万円。いや、100万円で済むだろうか。
自分が、あの人の立場なら、こんな額では到底気が済まない。
侮辱罪というのがあるのか。
複数の人がいる前でかなりの侮辱をした。
私は、罪人となるのか。

訴えられたら、あたしは、拘置所に留置されるのだろうか。
この人が、男性に見える体質を持った女性であることは、
婦警への言動から、もはや、間違いはない気がする。
それを、示唆してくれた人がいるというのに。
自分は、鼻で笑った。
取り返しのつかないことをした。
警察など、呼ぶのではなかった。

大きな困難を抱えて生きてきた人を、深く傷つけてしまった。
法的な罰よりも、自分の良心がそれを許さず、
大きな罪の意識が、梨花を襲っていた。

聞き取りがどんどん行われている。
謝ろう。
とんでもないことをしてしまった。
今は、まず謝ることだ。

「あのう。」と梨花は言った。
みんなが梨花を見た。
「あたしは、由加里さんに対して、ひどいことを言いました。
 もし、自分が言われたら、立ち直れないようなことを言いました。
 きっと由加里さんの大きな劣等感になっていることを、
 ほじくり出すようなひどい言葉を言いました。
 今、心から反省して、後悔しています。
 由加里さん、ごめんなさい。すいませんでした。」
梨花は、涙ぐんでいた。

由加里は梨花を見下ろすように言った。
「みなさん、そうなのよ。
 私のことを、散々侮辱しておいて、警察が来て、
 私が、訴えるというと、態度を翻し、謝罪する。
 そう言うのをたくさん経験してきたのよ。
 もう、そういうのうんざりなの。
 警察が来て、私が訴えると言わなかったら、
 あなたは、今のように、反省は、しなかったでしょう?
 どうですか。」
「はい。反省はしなかったと思います。」
梨花はうつむいて言った。
その通りだった。
今自分が反省しているのは、訴えると言われたからだった。

「一度くらい、そういう人を、コテンパンにやっつけて、
慰謝料でも、いただいてみたいのよ。
 あなたは、私が、もしずっと大人しくしていたら、
いつまでも私を侮辱した上で、
最後は、私に、土下座でもさせるつもりだったでしょう。

せっかくあの方(京子)が、いいことを言ってくれたのに、
 それを、あなたは歯牙にもかけず、薄ら笑いをしていたわ。」

「はい。土下座までさせていたと思います。
 そういう光景を思い描いていました。
今、私は、立ち直れないほどの自己嫌悪の中にいます。
今までの自分を改めます。
本当に、すみませんでした。ごめんなさい。」
梨花は、涙を流した。

そのとき、年配の婦警が言った。
「あなたの性別を確かめるために、あなたのお家へ、電話してもいいかしら。」
「それは、やめてください。
 母は、私を男みたいに生んだことで、深く自分を責めています。
 警察から、性別を確かめる電話なんかが来たら、母は寝込んでしまうでしょう。」

「なるほど、そうですか。」と婦警は言った。
「免許証や健康保険証はありませんが、これならあります。」
由加里はバッグから、レンタルビデオの会員証を出した。
「これは、免許証や保険証を提示しないと、作ってくれません。
 だから、ある程度の信頼性があると思います。」
カードを見ると、「MURAKAMI YUKARI」となっていて名前に間違いはない。
(この時点で、ことは明白であった。)

婦警は、レンタル・ビデオ店に電話した。
そして、警察であることを告げ、自分を警察署に照会させた。
婦警本人であることが、確かめられ、レンタル店は、個人情報を伝えた。
性別、生年月日、住所、電話番号のすべてが、由加里が言ったものと一致した。
由加里が、女性であることは、もはや明白となった。

「由加里さんは、間違いなく女性です。」婦警は言った。

それを聞いて、梨花は両手で顔を覆い、泣きながらしゃがんでしまった。
「ほんとに、ごめんなさい。すいませんでした。」
その言葉をくり返した。

由加里は、梨花をじっと見ていた。

やがて、言った。
「もう、いいわよ。
 世の中には、私みたいな人が大勢いて、
 どんな思いをして暮らしているか、それをわかってくれれば、いいのよ。
 そういう人をジロジロ見たり、侮辱したりしないでほしいの。」
由加里は言った。

「わかりました。これからは、今日のようなことを絶対しません。
 ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。」
梨花は顔を覆ったまま言った。

「じゃあ、和解ということで、いいですか。」と婦警。
「いいです。」と由加里。
「私も、初め、安易に由加里さんの体を検めようとしたことをお詫びします。」
と婦警は言った。

「梨花さんは、もう由加里さんを訴える理由がありませんね。」と婦警。
「はい、ありません。すみませんでした。」
梨花は、そう言った。

婦警二人が出て行った。
梨花が、二人の友達に支えられて、出て行った。
由加里は、結局、自分は一人ぼっちかと、悲しく思った。
そのとき、京子と靖子がそばに来て、両側から由加里の腕をとった。
「一緒に、コーヒーでも飲もう。」と京子が言った。
「ああ、さっきは、味方をしてくれて、ありがとう。
 まさか、あたしをかばってくれる人がいるとは思わなかった。」
と由加里。
「あたし達、理解があるの。コーヒー飲みながら話すね。」
京子は言った。

ここは、プライバシーのある喫茶店。
「え?二人とも男の子なの?」と由加里は、目を丸くした。
「そうなのよ。由加里の反対。
 子供の頃から、体が女の子で、誰も男の子だと見てもらえなかった。
 でも、二人とも、女装子だったしね。
 いっそ、女の子で生活しちゃえってことなの。」
靖子がそう言った。

「ほんとに反対ね。あたしは、どうみても男の子で、
 子供の頃から、男で通して来たの。
 中学での制服で、スカート履くのが死ぬほど恥ずかしかった。
 でも、それは、表面だけ。心は、女の子だったの。
 だから、女の子になれるなら、女で行きたい。」
と由加里。
「そうなんだ。あたし達、男の子を女の子にするの得意だから、
 メイクやウィッグやコーデを教えてあげるね。」と京子。
「本当?ありがとう。あたしの今日の女装、3回目なの。
 まだ、全然なの。」
「まあ、あたし達に任せて。」と靖子がにっこり言った。

京子と靖子の部屋。
ドレッサーの鏡を背にして、由加里がいる。
由加里は、やっぱり元が女の子で、
肌のキメは細かく、髭は濃い産毛程度。
眉は太くて、エラがやや張っていた。
だが、おでこは、丸くて女の子風だった。
肩幅がやや広い。
ウエスとは、女の子のハイウエスト。
乳房は、Aカップくらい。
脚の毛は、濃い産毛程度。

京子と靖子は、由加里を徹底的に改造した。
由加里は、太っていない。
ウエストを、コルセットで絞めて、60cmにした。
眉を細くした。
脚と腕、脇尾下の毛を除毛クリームで溶かし、
よく洗った後、女性ホルモン含有のクリームをすり込んだ。

カツラは、張ったエラを隠すように、頬にかかるゆるいカールのものを肩まで。
なかなか可愛い。
前髪を5:5に分ける。
アイメイクを丹念にして、チークとリップ。
鼻のしたは、コンシーラをうまく使う。
肩幅が目立たないように、
肩が提灯になっている半袖のワンピース。
提灯部分が、肩の中ほどから膨らんでいて、肩が狭く見える。
お尻が足りないので、ヒップパッドを着けた。
ストッキングを履き、可愛い先の丸い靴。
出来上がり。

京子と靖子は、由加里を見て、うきうきとした。
これなら、誰にも男の子だとは言わせない。
「由加里、鏡を見て。」京子は言った。
由加里は恐る恐る鏡を見た。
「わあ~。」と由加里は言った。
「あたし、女の子に見える。こんな子、どこにでもいる。
 ありがとう。あたし、うれしい。」
由加里は目を潤ませた。

「由加里、後は声ね。1ヶ月で女声を出せるようにしてみせるわ。」
靖子は言った。
「え?声を変えられるの。」と由加里。
「そうよ。あたし達の今の声は、作り声。ほんとは、こんな声。」
靖子が、低い男声を出した。
「わあ~、びっくりした。靖子さんは、そんな声なの?」
「あたしだって、これが地声。」京子が、地声を出した。
「わあ~。そんなに低い声なの。」と由加里。
「だから、安心して。可愛い女の子の声を出せるから。」と京子。
「わあ。声を変えられたら、あたし、やっていける。」
そう言って、由加里はポロポロと涙を流した。

早く母に見せたいから、帰りたいと由加里は言った。
「うん。ここに毎日来て。」
「着替えなくちゃいけないでしょう。だから、毎日来るのよ。」
靖子が言った。

1か月後。
京子と靖子のそばに、女の子がいた。
3人で、楽しそうに話している。
女声を出せるようになった由加里だった。
今日は、リベンジだった。
いまわしい思いをしたあのデパートの2階トイレに行ってみる。

3人で、中に入った。
由加里をジロジロ見る人は誰もいない。
個室から出ると、由加里は、洗面所で、ゆっくりメイクを直した。
3人で外に出たとき、
「やったー!」と由加里がガッツポーズをした。
「よかったねー。」と京子と靖子で由加里を抱きしめた。

「あの時の女の子に、今のあたしを見せたいな。」と由加里は言った。
「そうよ。ざまーみなさい。あたしは、女でしょ。
 って言ってやりたいわよね。」京子が言った。
「そうじゃないの。あの子、思い出して、まだ気にしていると思うの。
 だから、あたしは女の子になれたから、
 もう気にしないでいいよって言いたいの。」
由加里は言った。
京子と靖子は、顔を見合わせた。そして、
「由加里、優しいー!」と、由加里を抱きしめた。


<おわり>


■次回予告■

例の電車で会った女装子さんと、再会しました。
そのことを書きます。


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アメブロの方で押してくださると、幸いです。




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最後の言葉にほんのり

Luckさんのお話は、いつも優しさの詰まった言葉で締められんですね。
とても気持ちの良い終わり方で、ついコメントしてしまいました。
心と体が同一ではないというのは、時にとても残酷な時がありますね。
長い時といろんな経験を積んで、世の中というものがある程度俯瞰できるような状況になった時、こんな優しい詞を口に出せるのは最高ですね。
とても私には無理です。いつも愚痴と悪口ばかり。
でも、パートナーに言いたいだけ言ってしまえば、心の奥底にそんなことを言ってはさみしいよ。もっと優しくなりなさいと言ってくれる深層心理みたいなものが現れてきます。
まるでパンドラの箱の最後に出てきた希望みたいに。
Luckさんのこれまでの経験と心底の優しさに敬意を表します。

ありがとうございます

marine55さん。

コメントありがとうございます。
今回のお話は、過激になってしまいそうだったのですが、
なんとか、ハッピーエンドっぽく終われて、
自分でも、安心しています。

由加里のような子が、優しい言葉を言うことは、
すばらしいですよね。
私なんか、トイレに対して怨念がありますので、自分からは言えず、由加里に代弁してもらいました。

愚痴や悪口は、差し支えない方に、聞いてもらうのが一番ですね。
私自身は、あまり優しくないんですよ。
だから、小説の中で、優しい子を描いて、身を清めています。
いずれにせよ、私を誉めてくださって、ありがとうございます。明日の元気が出ます。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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