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有香シリーズ・二人のデザイナー<その3>「協力」(最終回)

お手上げになりそうなまま、なんとか終わりまで書くことが出来ました。
始めから終りまで、女装が出てこない話を、最後まで読んでくださり、
本当に、ありがとうございました。

==================================== 

二人のデザイナー<第3話>「協力」最終回

ファッションショー当日である。
コラボ・ファッションショーということで、
会場は、通常の2倍の広さのホールで行われた。
本木倖造ファンと佐伯京介ファンが押し寄せ、会場は、満席だった。
外国からの客が、驚くほど多い。
有香は、二人から特等席2枚の招待券をそれぞれもらい、修と、舞台からの張り出し舞台のすぐ近くの席に座っていた。
修は、黒のタキシードを着ていた。
有香は、自分の好きな布で、膝下のまでのフレアスカート。
ウエストの閉まった、同じ布のジャケットを修に作ってもらい、
ブラウスを少し胸に覗かせていた。
抜群のファッションである。

ショーは、ショー・アップのために、照明、音楽、特殊装置と、
その道のプロ中のプロが裏方についていた。

楽屋は、てんてこ舞いであったが、
会場に座っている限り、整然として、心地よい音楽が流れていた。
やがて、司会の男女のベアが出て来た。
熟練の三橋竹尾と女優の武田芳江だ。
音楽が、止み、武田は、今日のコラボ・ファッションショーは、
奇跡のコラボたということを、みなに嫌と言うほど強調した。

「では、お待たせしました。まずは、佐伯京介さんのファッションからです。」
音楽が、賑やか目なものに代わり、賑やかなドレスを着たモデルさんが、
少し、踊りのステップを踏みながら来た。
「おおおおお。」と会場に感嘆の声が起こった。

「さすが、佐伯京介っだね。気持ちいいくらい賑やかで楽しい。」
「それだけじゃないよ。今日の京介は、ちょっと違うぞ。」
「どこが。」
「なんとなく、エレガントだ。奇をてらってない。」
「おお、そう言えばそうだ。『これでもか!』という気合いが鼻につかない。」
「今日の佐伯は、今まででいちばんいい。」
こんな会話が、会場のあちこちでささやかれていた。

モデルが、出てくるたびに、同じ声が聞こえた。
「今日の佐伯さん、ステキね。自由で遊び心たっぷりなのに、
 なんかこう、落ち着いてない?」
「あたしも、思う。佐伯さん、一皮むけたのかな。」
「なんか、今までで一番いい気がする。」

こうして、10人のモデルが出場した。

司会が、次は、本木倖造であることを告げた。
音楽が、モダンなジャズに変わった。

一人目がくると、「ヒュー。」という声が上がった。
「やっぱりいいわね。あの気品とエレガンス、たまらない。」
「でもさ、今日の本木倖造は、エレガントでいて、どこか、気さくじゃない。」
「そう言えば、そう。なんか自由で、うれしくなる感じ。」

「いいですね。あの気品とオシャレ。そえでいて粋な感じ。」
「だが、今日の倖造は、それだけじゃない。開放感がある。親しみがあると言ってもいい。」
「なるほど。その通りです。だれでも着られそうなフランクな服に見えます。」
「今回の倖造は、いけますなあ。」

京介と倖造の服を見ながら、有香はにんまりと満足そうにした。
「有香、どうしたの。えらくうれしそうじゃない。」と修は聞いた。
「今、気がついてるの、あたしだけかもしれない。」
「何?有香教えてよ。」
「あのね、本木さんに売ったはずの布が、佐伯さんの服に使われてるの。
 佐伯さんの買った布を、本木さんが使ってる。」
「え?まさか。じゃあ・・。」と修は、びっくりした後、笑顔になった。
「わあ、こういうお茶目が目の前で起こってるなんて。」と修は嬉しそうにした。

10人ずつのモデルが出て、1部が終わり、
デザイナーの挨拶となった。
「では、本木倖造さん、佐伯京介さん、どうぞ。」
二人が出て来た。
会場は、大きな拍手。
二人は、マイクを渡された。
音楽が止む。

「本木倖造でございます。え~ファッションショー1部の終わりですが、
 私と、佐伯京介さんとで、みな様に、大きな告白をいたします。」
(え~、何?と会場の反応。)
佐伯が言う。
「私は、このコラボ・ファッションショーが、辛くてなりませんでした。
 だって、相手が相手ですもの。
(会場笑い。)
 極上の布が手に入りました。
だけど、自分は、何か間違っている気がしました。
 「コラボって何?」それを、丸1日、考え続けました。
 それは、「協力」です。
 そこで思いました。私の敵は、本木倖造さんではない。
 本木さんとは、手に手をとって、標的は、『世界』ではないか。
 そう気が付いたんです。」

本木。
「私、倖造は、その頃同じように悩んでいて、佐伯さんと同じように、
 標的は「世界だ。」と思いました。
そこで、あるアイデアを抱えて、佐伯さんを訪ねました。
 そのアイデアを佐伯さんに言えば、きっと殴られる。
 それを覚悟で言いました。
 そのアイデアは、『私倖造が、佐伯さんの服を作る。佐伯さんが、私の服を作る。』
 というものなんです。
相手のスタイルで作ると言っても、自分らしさは、どこかに入れる。
 つまり、今日、みな様が、佐伯京介さんの服と聞いてご覧になった10の服は、
 私が作ったものです。」

会場が、わあ~とすごいどよめきに包まれた。
佐伯が言った。
「同じく、今日、本木倖造さんの服として紹介された10の服は、
 私、佐伯京介が作りました。」

会場から、非難ゴーゴーとなるか、拍手をもらえるか、本木と佐伯の大きな賭けであった。
賭けは、表目に出た。
ものすごい拍手が起こり、会場は総立ちとなった。
「おもしろい!」
「最高!」
「こんなの初めて!」
など声が飛び、本木と佐伯は、ほっとし、両手で握手をした。

拍手がやっと鳴りやんだとき、本木は言った。
「もう少し、話させてください。
 私は、オーソドックスな服を得意とし、品があるとか、エレガントだとか、
 言っていただいてきました。
 しかし、日ごろ、佐伯さんの服を見て、
その自由なのびのびとした遊び心、明るく楽しい服。
そんな服に憧れておりました。
私のスタッフだって、そういう服を一度は作ってみたかったのです。
そこに、このコラボ・ファッションショーのチャンスです。」
京介が代わった。
「私もまったく同じでした。一度は、本木さんのようなエレガントな服を
 作りたかったのです。スタッフも同様でした。
 そこに、わざわざ本木さんの方から、
スタイルを交換して服を作りませんかというご提案がありました。
私は、うれしくて、楽しくて、もう顔のにやにやが止まりませんでした。
もちろん、スタッフは大喜びでした。」
本木。
「そう言うことで、私達は、お互いに学び合いました。
 この企画に心より感謝しています。」
佐伯。
「私も同じです。大きなものを学びました。
 皆様、ご声援、ありがとうございました。」
本木。
「明日からの私達は、少し違うと思います。
 ご声援ありがとうございました。」
二人は深く頭を下げた。
会場から、再び、大きな拍手が起こった。

第2部は、実に楽しいものだった。
出て来る服は、完全に本木、佐伯の合作だった。

はじめ、20人くらいの子供が、それぞれの服を着て、
楽しい音楽に合わせて、はしゃいだり、踊ったりした。
(可愛くて、すごい拍手だった。)
次に、10代の男女が来て、楽しい服を見せ、
こうして、世代ごとに作られた服が登場して来る。
そして、最後に、70歳ほどの老夫婦が、
オシャレなファッションで出てきた。
楽しい音楽が続く中、
フィナーレに、初めの20名のモデルも含め、
全員が舞台に出て来てた。
そして、舞台の袖で、会の成功を涙ながらに見ていたスタッフ達を、
本木と佐伯は、全員舞台に引っ張り出した。
みんなで、肩を組み、喜びをいっぱい、会場に振り撒いた。
銀テープが発射され、巨大なクラッカーが発砲され、
終わりに近づくと、客は総立ちになって、拍手を送った。

興奮の内に、コラボ・ファッションショーの幕は下りた。

「まあ、お見事だったこと。恐れ入ったわ。」
と、おばちゃんこと海原敬子は会場の席にいて言った。
「企画したお母さまの期待以上でしたか。」と隆子は聞いた。
「私は、布を売ろうと思っただけなの。
 2人のショーにすれば、2倍売れるでしょう。
 2人は、真っ先に来たわよ。
 でも、私は、もう隆子さんのものだから、
青山のお店へ行ってくださいと言ったの。
そしたら、隆子さん売らないのだもの。驚いたわ。」

「だって、あの倉の布は、私がいただいたとしても、
 お母さまのコレクションですもの。宝の山です。
 私は、自分が努力して買い集めたものを売りたいんです。
 その内、いい布をたくさん集めて、儲けますわ。」
「まあ、あなたも私ほどに頑固ね。」
二人は、ふふふと笑った。
義孝がとなりで、にっこりとしていた。
「それにしても、今日の布。極上物ばかりだったでしょう。」と敬子。
「はい。お母さまの布に負けていませんでした。」
「まさか、有香の店をあの2人が、見つけたとは思えないし。」
「祝賀会で、聞いてみたいですね。」

「有香、明日の3大新聞の1面に出るね。今日のショーは。」
修は言った。
「出てもいいわよね。だって、こんなコラボ、前代未聞ですもの。」
「外国のファッション誌にも、全部出るよ。」
「外国人の記者が、大勢パソコンでメール打っていたものね。」
「これでさ、佐伯京介を、奇をてらった目立ちたがり屋と批判してた
 批評家は、もう何も言えなくなる。
 本木倖造を、もうロートル(年)で、時代遅れと言っていた批評家も、
 そうは、言えなくなる。
 いろんな意味で、二人にとって、大成功のショーだったと思う。
 本木倖造は、すでに世界の人だけど、佐伯京介は、これで、世界の人となるね。」
「京介さん、よかったなあ。第2部もよかったし。一体誰の企画かしら。」
「多分、相当粋な人だね。」

二人の疑問や敬子と隆子の疑問は、
この後の祝賀会で全て明らかになる。

人がいなくなったホールには、
まだ、興奮のかけらが残っているようだった。


<完>


■次回予告■

シリーズ物を終わりまで書けて、ほっとしています。
一体話を終えられるのだろうかと、何度も思いました。
また、元気が出て来ましたら、何か投稿します。
少し、覗いてみてくださいませ。




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非公開コメント

コラボ、面白いですね〜。
会場の皆さん同様、わくわくしました^_^

しかも、これもおばちゃんの企画だったとは〜。
おばちゃん、かっこいいです〜^_^

受けますよね

まみさん。
コメントありがとうございます。

互に相手の服を作る。知らんふりして、相手の服だと言って、紹介する。
これ、面白いですよね。
前代未聞なので、世界にニュースが行って、
佐伯京介は、その気になったら、オーソドックスもやれると、世界の人になる。

おばちゃんに、デザイナーを見る目がないと、実現しなかったことですね。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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