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有香シリーズ<第3話>「男の子に眠れる布を」

えっちでも女装でもないものを読んでくださり、
ありがたく思っています。
有香シリーズを、もう少し、書きたいなと思っています。
読んでくださると、うれしいです。

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有香シリーズ<第3話>「男の子に眠れる布を」


有香のお店に、夜の7時、母と男の子がやって来た。
男の子は、一目で重症のアレルギーの子だとわかった。
アトピーの子のように、皮膚はかさかさになり、そのヒビから、
血がにじみ出ている。
しょっちゅう体をかいていた。
4年生くらいの可愛い男の子だった。

有香は、布を広げるための大きな木のテーブルの横に、
丸テーブルを2つだし、自分は、作業椅子に座った。

「田原静香と申します。」お母さんが言った。
「田原健一です。」と男の子は、はきはきと言った。
有香も、自分の名を名乗った。
「メールでは、布アレルギーで困ってらっしゃるとか。」と有香。
「はい、ご覧のとおりです。あらゆる布がダメなんです。」
お母さんは、我が子を不憫に思い、涙を流した。

「では、カシミアとかガーゼ布も当然お試しになったのですね。」と有香。
「カシミアは、最後の希望でしたが、それがダメだったときは、
 悲しくて、健一と二人で泣きました。
 起きているときはまだいいんです。
 お薬が効いて、なんとか耐えられます。
 しかし、寝るとき体温が上がるためか、かゆくなり、眠れません。
 そんな日が続き、学校では何も集中できない有様です。」
「そうですか。なんとか、眠れる布を探したいですね。」
有香は、頭の中に考えを巡らしながら、そう言った。

「この店は、どうやってお知りになったのですか。」有香は聞いた。
「親戚にあたる子が、おばあちゃんに、アビュールという布でパジャマを作ったら、
 おばあちゃんのかゆみがなくなったと言っていました。
 その娘さんに、こちらのお店を聞きました。
 高名なウルトラ美容師さんの相棒である方だと聞きました。
 こちらのお店が、私達の最後の希望なんです。」

「わかりました。絶対大丈夫な布があるはずです。
 見つかるまで、根気よく探しましょう。
有香は、母と子の手を握り、元気づけた。

有香は、布見本として、1m×50cmの布を30枚ずつ綴じたものがあった。
それを幾束ももってきて、1枚1枚、健一の腕に当てた。
「健一君、どう?」と有香が聞く。
「これは、かゆいです。」と健一が答える。
肝心のアビュールは、ダメであった。

有香は考えた。
アレルギーは、よく親しんだ物が、ある日アレルゲンとなる。
日本にあまり出回っていない布ならOKである可能性が高い。
有香は、なるべく日本から遠い国の布の束を何束も持って来て調べた。

200以上の布を確かめたことになる。
しかし、全てダメであった。

お母さんは、有香が気の毒になり、言った。
「これは、あまりにも大変です。
 有香さんに申し訳なくてなりません。
 私達は、なんとかやっていきます。
 どうも、ありがとうございました。」
そう言って、立ち上がろうとした。

「おかあさん。それは、いけません。
 健一さんの生活すべてがかかっていることです。
 ここが、最後の希望と言ってくださったではありませんか。
 最後の希望は、なかなか沈みません。」有香は言った。
「ありがとうございます。」
と母は、目を潤ませた。

有香は、修に助けを求めた。
事情を話し、「修さんの布見本も試していい?」
「ああ、いいよ。」と修は言った。
有香は、修のサンプルのある2階に行く途中、あることをひらめいた。
『肌触りのいい布ばかり試して来た。そんな布とは限らない。
 麻のような、固い布の方がいいという可能性もある。』

有香は、もう一度、自分の布のところに戻った。
南米、南アフリカ、北欧、それらの、固い布のサンプルを持って来た。
そして、健一に1枚1枚あてがった。
「あ、これ、かゆくない。お母さん、お姉さん、この布、ぼく平気だよ。」
健一は嬉しそうに叫んだ。
それは、アフリカ南部に育つ低木から繊維を取り、布にしたものだ。
「ジャグル」という名で、麻ほどにごわごわしている。
「まあ、柔らかくないのに、これなら平気なの?」お母さんは言った。
「じゃあ、試してみましょう。」
とそのとき、修が、顔を出した。
母の静香は、『ああ、この方が、ウルトラ美容師。』と感激した。

「ジャグル」で、まず服を作ってみようと言うことになった。
みんなで、修の工房に言った。
そこで、母と子は見たのである。
修の魔法のような、服づくり。
ミシンを布が、滑るように速い。
瞬く間に、1着のパジャマが出来た。
「有香、パジャマだけじゃだめだよね。」と修。
「うん。最低、まくらカバー、シーツの上下。
 スリッパ。靴。外行きのシャツ。ズボン。
 体操服の上下。
 下着。すべて、替えを考えて、2着ずつ。」
修は、母に言った。
「ジャグルが合うならラッキーです。
 この布はとても安価です。
 有香、メートル200円くらいだよね。」
「はい。(お母さんに)うちはいい布を置いているつもりですが、
 高い布という意味ではないんです。
 今日、シーツの上下、枕カバー用の布と、パジャマをお渡しします。
 それで、1日寝てみて大丈夫なら、
 生活に必要なものを、修さんに作ってもらいます。
 10メートルで足りると思います。
 2000円ほど、ご用意ください。」
「まあ、夢のようなお話です。ありがとうございます。」
その横で、健一はにこにことしていた。

翌日、母と子が来た。
有香は、二人の表情を見て、結果がすぐにわかった。
「おかげ様で、昨夜、息子は、初めて安眠ができました。
 夢のようでした。ほんとにありがとうございました。」
「ありがとうございました。」と健一も頭を下げた。

3人で、修の工房へ行った。
すると、いろいろな物が全て出来上がって、
作業台の上に乗っていた。
「きっと大丈夫だと思いましたので、昨日のうちに作りました。
 肌に触れるところは、全部『ジャグル』で出来ていますよ。」
至れり尽くせりのものが、そこにあった。

「健一君。このランニング、着てみて。ジャグルじゃないんだけどね。」
と修は白いランニングシャツを渡した。
健一は、上の服を脱いで、そのランニングを着た。
「あ、これもかゆくない。お母さん、これも平気だよ。」と健一は言った。
「まあ、これは、なんという布ですか。」
「麻です。普通に売られている麻です。
 多分ですが、布アレルギーなら、なるべく肌にやさしいものをと、
 柔らかな物ばかり試され、ごわごわした麻は、
お試しにならなかったと思うんです。」と修。

有香は言った。
「そこで、逆も考えたんです。
 ごわごわしたものも、試してみようと。
 そして、ジャグルがOKなら、麻はどうかと思いました。」
修は、健一の母に名刺を渡した。
「そこは、麻製品の専門店です。
 全て、天然材で染めています。
 ここに行けば、靴から帽子まで、麻のものがなんでもあります。
 一度行ってごらんになるといいと思います。」修は言った。
母の静香は、何度もうなずいた。
「麻など、とんでもないと、初めから除外していました。
 麻が、大丈夫なら、もう困りません。
 ありがとうございました。
ここへ来て本当によかったです。
やはり、『最後の希望』でした。
ありがとうございました。」

料金を有香は、2000円いただいた。
修の作製費は、有香の依頼だからと、修は、有香に請求すると言った。

静香と健一は、たくさんの荷物を持って、何度も頭を下げながら、帰って行った。

「ああ、今日ほどこの仕事やっててよかったと思える日はなかった。」
有香は言った。
「よく、ジャグルを試そうと思ったね。あんなにごわごわした布なのに。」
と修。
「ほら、ごわごわしいてると、体に触れる面積少ないじゃない。
 だから、いけるかなっと。」
「わあ~、有香すごいや。そう考えたんだ。」
「ううん。これは、後から考えたこと。
 倉の2階へ行くときね、階段の木の板が、『ジャグル』ってきしんだの。
 それが、全て。」
「あはは、有香の耳の勝利だね。」
「そういうこと。」
二人は、くすくすと笑った。



■次回予告■
有香シリーズをなんとか続けるつもりでいます。
明日も、ちょっと覗いてくださいませ。




1票くださると、うれしいです。

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非公開コメント

確かに、肌に優しいものを、と思えば、柔らかいものを探してしまいがちですよね。
盲点でした。

私も結構チクチクしてしまう布が多いので、なるほど〜と思い拝見しました。
カシミアもチクチクしがちだし、フリースはちょっと触ると、すぐ手がガサガサになってしまいます。

男の子に合う布が見つかって本当に良かったです(*^^*)

うれしいです

まみさん。

コメントありがとうございます。

布アレルギーの子に、固い繊維ならいいのか、
これは物語なので、まあ、いいかと思って書きました。
これが、本当に当たっていたら、医学賞ものですね。
信じないでくださいね。すみません。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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