ファンタジー「有香の布のお店」

ウルトラ美容師の相棒・白金有香を主人公にして、
1話書いてみました。シリーズにできるといいのですが。
尚、ここに出て来る布は、架空のものです。

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ファンタジー「有香の布のお店」


午前4時。
夜明け前の港に、有香とおばちゃんがいた。
やがてコンテナが降ろされ、品物が次々と荷車で運ばれて来る。
ここは、布専門の取引所である。
布の束が、400反ほど並べられている。
6,7人の男が、反物を取っていく。
その中に、おばちゃんと有香の姿があった。
暗がりでも、服のセンスがよく、美少女の有香をおじさん達はジロジロと見る。

おばちゃんは28反、有香も28反仕入れ、それぞれに、お金を払う。
二人は、そこから、ベストな3反を取る。
あとの25反ずつを例の小屋に並べる。
「有香のその才能は、どこから来たんだろうね。
 普通は、このみち20年も30年もやって来て、やっとわかるようになる。」
「神様が、くれたんだと思います。あたし、普通の体じゃないから。」
「有香は、身体障害でもあるのかい?」
「いえ。生きていくには困りませんけど。」

「よし、今日は、競争だ。
 有香の25反とあたしの25反のどちらが売れるかだ。」
「わあ、楽しい~。」
プレッシャーを楽しいと感じるのも、有香の貴重な資質である。

男たちがくる。
おばちゃんと有香が並んでいる。
男たちは、可愛い有香を見るのが楽しみで、この頃人が増えている。

男たちが去った後、おばちゃんは、残った布を見た。
有香のは、完売。おばちゃんのは、5反残っている。
「有香に負けたよ。今日のしょば代なしでいいよ。
 今度は、有香が30反仕入な。あたしは、20反でいく。」とおばちゃん。
「わあ、あたし、認められたんですか。」と有香は聞いた。
「ああ、あんたの時代感覚ってやつが大切なんだ。大事にしなよ。」
「わあ~。」と有香は、胸の前で手を組んだ。

有香が修に出会ってから、2年がたった。
有香は、高校3年になった。
その間買い集めた布の置き場がなくなったので、
修は、美容室の隣の空き地に、倉を立てた。
2階が修の布置き場。
1階が、有香の布置き場兼有香のお店である。

有香が、倉に布を置いていると、リカが眠そうにやって来た。
「有香、布見せて。」リカが言う。
リカに見せると、
「わあ~、やっぱ、直売だと、こんなにいいもの入るんだ。
 これじゃあ、おばちゃん、相当いいもの貯めてるな。」と言った。
「うん。うきうきしちゃった。いい物、より取り見取りだもの。」
「有香も、そろそろお店始められるんじゃない。
 倉が、いっぱいになってきたよ。」とリカ。
「うん、そろそろ、ケータイに宣伝出そうかと思ってるの。」
「じゃあ、いよいよだね。」
「うん、いよいよなの。」

その日、有香は、ケータイに宣伝を流した。
「有香の布のお店=いい布ばかり置いています。」

反応は早かった。
その日のうちに、メールが来た。
相手は、高校2年の女の子だ。
約束は、夜の7時。(修の仕事と時間を合わせている。)

やって来たのは、小柄でぽっちゃりした女の子だった。
「小倉圭子といいます。」と言った。
「白金有香です。」
有香は、丸椅子を勧めた。
「家の祖母なんですが、今88歳で、介護ベッドです。
 車椅子には乗れます。
 祖母は、普通のパジャマだと、肌がかゆくなるんです。
 それで、天然素材のパジャマを、私がプレゼントしたいんです。
 うちは、母も働いていて、あたしは、おばあちゃん子で育ちました。
 だから、祖母の生きているうちに、何かおばあちゃん孝行と思って、
 パジャマを作ってあげようと思っているんです。
 体がかゆくならなくて、軽くて、できれば、柄物で、楽しい布はないでしょうか。」
「あの、ご予算を聞いていいですか。」有香は言った。
「貯金を全部はたいて、5万円です。」圭子は言った。

有香は、困った。
店では、すべて1反買いで売るつもりでいる。
すると、100万円近くする。
メートル売りにしても、1メートルが、3~5万円する。
ええい!初めのお客だ。何としても願いを叶えようと思った。

有香は、ケータイを持ち、隣の修にヘルプを頼んだ。
修は、すぐ来てくれた。
有香は、事情を話した。
その間、圭子は固まっていた。
「あ、あの、ウルトラ美容師の、高杉修さんですか。
 じゃあ、有香さんは、あの時の有香さんなんですか。」
と圭子は言った。
「うん、そう。」
「あたしも、あの時の有香です。」と有香は微笑んだ。
「わあ~、じゃあ、あたし、すごいところへ来ちゃったんですね。」
圭子は感激していた。

「有香、アレがあるじゃない。
 アビュールの布。あれだとカシミヤと同じくらい軽いし、
 天然素材。肌触り抜群。柄物もある。」
「そうか!」有香は喜んで3種類持って来た。

その布を見て、圭子は、「わあ~、ステキ。」と言った。
触って、よし。色の違う天然色の繊維でできていて、
一切、人工色がない。通気性、保湿性共に抜群。
珍しいものなので、1反100~200万する布だった。
「パジャマにするなら、上下で3mはいるわよね。」
と有香は、修に聞いた。
「あまった布で靴下を作ってあげられるよ。」修は言った。

圭子は、3つの内、好きな柄を選んだ。
「じゃあ、5万円でいいですか。」と圭子。
「全部使っちゃっていいの。5千円値引きしましょうか。」と有香。
「いえいえ。こんな素敵な布が手に入ったんですもの。
 早く、おばあちゃんに着せたいです。」
圭子は、そう言って頭を下げて帰って行った。

「あああ、あたし、商売人にはなれないみたい。
 今の布、メートル7万円はする。」と有香が言った。
「儲ける相手から、ドカンと儲ければいいんだよ。
 俺でも、5万円で売ってたと思うよ。」
「よかった。」と有香は、修の首に腕を回した。



5日後、圭子は、パジャマを完成させた。
それを、紙に包んで、リボンを付けてた。
2階から、飛んで降りて来て、
「はい、おばあちゃんに贈り物。」といって祖母に渡した。
おばあちゃんは、介護ベッドの上半身を立てていた。
家族たちがみんな集まって来た。

「まあ、うれしい。」
と祖母の妙子は、リボンを解いた。
「まあ、パジャマなの?」
「あたしが、布を買って、あたしが縫ったの。」
圭子は、得意そうにいった。
「そう、ステキな色だわ。」
妙子は、そう言って、パジャマに袖を通した。

「まあ、この布は、何て軽い。それに、肌触りがいいわ。
 カシミヤとは違う。柄があるもの。ステキな色だわ。
 圭子、これは、何ていう布なの。」妙子は聞いた。
「アビュールの布って言ってた。」
「まさか。それは、幻の布よ。めったに手に入るものじゃないわ。
 圭子は、きっと私の体のために、苦心して布を探してくれたのね。」
家族のみんなが、その布を触って、感激していた。
「この感触、最高だわ。おばあちゃん、よかったですね。」
と母の幸子がいった。

「アビュールのパジャマで、余生を送れるなんて、
 なんて幸せなことでしょう。圭子、本当にありがとう。」妙子はそう言った。
圭子は、有香と修の顔を思い浮かべた。
『あの有香さんのお店なら、本当は、もっと、もっと高かったはず。
 それを、5万円で売ってくれた。ありがとう。』
そう2人に心で言った。

アビュール。深い森の木に絡まっている幻の繊維。
樹液の色に染まり、すでに酸化されているので、
その色は、褪せることがない。


■次回予告■

有香の第2話を書きたいのですが、
少し、自信がありません。



1票くださると、うれしいです。
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非公開コメント

有香ちゃんのお話、待ってました〜^_^

アビュール、神秘的で素敵ですね。

この世には、まだまだ知られていない不思議なことがたくさんあるし、アビュールもどこかにあったらいいなぁ。

続き、楽しみにしています。

うれしいです

まみさん。

コメントうれしいです。
「アビュール」のネイミング、考えるのけっこう時間かかったんです(笑)
深い森の木に絡まっている繊維。
こんなのあったら、いいですよね。

ほんとに、まだ知られていない不思議な物、きっとたくさんあるでしょうね。その方が、多いくらいだと思います。
子供の頃、探検家になりたかったのですが、
もう遅いかなと思っています。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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