『若いもんをバカにすんな!』

『若いもんをバカにすんな!』

「性感マッサージ師・相沢京子」について

長いお話が終わると、それについて書きたくなります。
お許しください。

この物語を書くきっかけになりましたのは、若いときの体験です。
物語の中で、相沢京子は、編集者にきて、浅野麻里に3回も声掛けをしますが、
浅野麻里は、おもしろい記事を読みたさに、3回も京子に返事もせずシカトします。
「こんな失礼な人間いるのか!」と疑いたくなりますよね。
それが、いたんです。

私が、20歳くらいのときです、私は漫画が書けないので、
原作を書きました。そして、原作として編集者に持って行ったことがあります。
「漫画少女フレンド」の島へ行ってみると、背の高い女性が編集長でした。
私は、前の日に電話をして、許可を得ていました。
「どうぞ、どうぞ、いつでもどうぞ。」
とにこやかな声で言われて、胸を躍らせていきました。

少女フレンドの島には、女性編集長、
少し若い男子の編集員がいて、
後の人は出払っていました。
「あの、原稿を持ってきました。」と言って、原稿を渡しました。
編集長は、「はい。」と返事だけして、すぐに見てくれません。
私は、待ちました。
編集長が何をしているのか、見ました。
すると「クロスワード・パズル」をしているのです。
もう、30分ほど待っています。
このために、ぼくを待たせているのか、と思うと、腹が立ちました。

その内編集長は、もう一人の男性に、
「ねえ。この人の原稿見てあげて?」
「はいわかりました。」と彼が言うので、私は、原稿をもって、彼のそばに行きました。
彼がすぐ見てくれると思ったら、彼は、彼の仕事をしていて、
私のことなど眼中にありません。
30分も待ち、
私は、ずっと立っていて座りたかったのですが、
すぐそばに椅子があるのに、すすめてくれません。

私は、もう悲しくなり、そっと原稿を持って帰りました。
こんなふうに、いるんです。浅野編集長のような人が。
ですから、小説のこの部分は、「こんな人、本当にいるんです。」と
自信をもって書きました。

出版界がみんなこうかというと違います。
先は、少女フレンドでしたが、今度は「マーガレット」小学館です。少女漫画雑誌社の島を訪ねました。
編集長と3人くらいの人がいて、編集長は40歳くらいの男性でした。
私が原稿を渡すと「どれどれ。」と言って、驚く程早く読んでくれます。
「じゃあ、喫茶店で話しましょうか。」と言ってくれました。
そして、今の少女漫画の原作者は、高齢化しているので、
あなたのような若い人にがんばって欲しいと思っています。
といってくれました。そして、次のテーマをもらいました。
それは、お涙ちょーだい物。

こんな会社もあったことを紹介いたします。


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性感マッサージ師・相沢京子⑧「偽りの意味」最終回

ものすごく長くなりましたが、一挙に投稿いたします。
お時間のあるときにでも、読んでくださるとうれしいです。
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性感マッサージ師・相沢京子⑧「偽りの意味」最終回


浅野「言ってください。」
京子「みなさまのおっしゃった、ナンバー1女優と言われた、大野由香里、
   ナンバー1ニュースキャスターといわれた一条なみ江の二人です。
   仕事を止めて、畑仕事をしているなんて、とんでもない。
   二人は、2年前の1月16日。レズビアンを暴露された日の6日後に、
崖から冷たい海へ身を投げ、死んだのです。」

このときばかりは、部屋がざわざわとした。

「ほんとですか!」と田村佳代は、立ち上がった。

京子「残念ながら本当です。」
 
浅野「二人は今もお元気にされています。
    そのお二人は、お仕事を止め、野菜作りをされています。」
京子「ばかな。そんな話誰が信じますか。浅野さんは、その畑を見たのですか。
    そこで、働いている二人を見たのですか。」
浅野「はい、見ました。お二人の実家のある畑です。」
京子「あんな狭い、庭みたいなところを畑にして、生計が立つとお思いですか。」
浅野「お母様の実家なので、何とかなると思います。」
京子「実家には誰がいるのです。」
浅野「お二人と、お母様の3人です。」
京子「今もですか。」
浅野「はい、今もです。」
京子「浅野さん、とうとう尻尾を出しましたね。
   北海道の富良野くらいに言っておけばいいのに。
   私は、今、47歳です。
   大野由香里と義理の娘一条なみ江の母です。」

一同は、もう一度、ざわざわとして、目を大きく開けて京子を見た。

浅野「うそです!」
京子「これが、二人の母子手帳です。」
京子は、社長に渡した。
京子「それから、もう一つ。これは、二人が身を投げたところに、
   浅野さんが、落として行った、記者手帳です。
   二人が死んだ、2年前の1月16日、その二日後に、
   浅野さんは、記者手帳を新しくしています。
   私は、昨日浅野さんから記者手帳を拝見しています。
   発行が、2年前の1月18日になっていました。
京子は、古い手帳を社長に渡した。

京子「そして、最後です。二人が亡くなったという何よりの証拠です。
   『死亡届け』です。
   2枚です。死んだのは1月16日ですが、発行は1年後です。
   これは、世間が騒がないように、私が、待ったためです。
   私は、仲良しもいず、たった一人で葬儀を行いました。
   淋しいので、たった一人、二人の死を知っている浅野さんに、
   葬儀の知らせを出しました。でも、あなたは来てくれなかった。
   
   なぜか、来てくれると信じていたのです。
   来てくれたのかも知れません。
   我が家のそばで、
   黒いベールをかぶった背の高い喪服の女性が手を合わせてくれていたと、
   見た人がいます。私は、それは浅野さんだったと信じています。

浅野さんは、二人の死を世間から隠そうとするあまり、二人には母がいることを忘れていたのでしょう。
   二人の死を当然母は知っている。記者会見のとき、二人は生きているなどと言えば、
   当然母が異議を唱えて来るでしょう。
   そのことへの対策が、完全に抜けていました。
   その母は、沈黙を保っている。それが、不思議だとは、思わなかったのですか。

浅野は、唇を固く締め、体を震わせていた。
田村佳代が、震えながら、浅野にしがみついていた。

京子「浅野さんは、二人が海に身を投げるところを見ていました。
    その後ろで、私は、見ていたのです。
    ですから、浅野さんは、二人の死を知っています。」

京子「もし私が、復讐心に燃え、2枚の死亡届と浅野さんの記者手帳を、
   ライバル社にもっていけば、フラッシュ社はどうなったでしょう。
   記者会見での浅野さんの『二人は生きている』という発言の嘘がばれます。
   これで、フラッシュ社は、大嘘をついたと、世間は許さないでしょう。
   どうでしょう。このくらいの嘘なら『大嘘』と呼べそうですか。」

社長「浅野さん、そうなのかい?相沢さんは、二人のお母さんに間違いないよ。
   そして、この『死亡届』。これを、どう説明するんだ。
   二人は生きていると言い続けて来たのは、君だよ。」
浅野は、唇を噛みしめながら、うなずき、やがて、
両手で顔を覆って泣き出した。

スクープ写真を撮った田村には、大きなショックだった。
秘密の集会に出て、世話になっていた二人を売ったことになる。
生きているならまだしも、死んだのなら、もう自分は立ち直れない。
田村は、机につっぷして、泣き始めた。

静かになり、京子は続けた。

京子「私のフラッシュさんへの恨みは、忘れることにしました。
   法的にフラッシュさんは、「未必の故意」として無罪です。
   あの二人は、死なないこともできたのです。レズビアンと言われようが、
   強くたくましく、生きる方法もあったのです。いくらでも生きて行くことはできたのです。
   結局、あの子達は、自分で死んだのです。
   ですから、田村さん。あなたに罪はありません。
   あなたのように、頼もしければ、二人は死なずにすんだのです。
   私は、誰をも恨むものではありません。」

京子「浅野さんをたくさんいじめてしまいましたので、
    浅野さんの味方をしましょう。
    浅野さんは、会社を救おうとしたのです。
   そうですね。」
浅野は、顔を覆ったまま、うなずいた。

社長「どういうことですか。」
社長は、京子に聞いた。

京子
「浅野さんが、なぜ二人の死を、心にしまい、社長にも黙っていたかです。
 フラッシュ社は、同じ暴露雑誌でも正義としての暴露しかやってきませんでした。
 それが読者の支持を得て、ナンバー1の雑誌社となったのです。
 死んだ人は、みんな死んで当たり前と思える悪党ばかりでした。
 死なないまでも、やがて警察に捕まるべき人ばかりでした。
 それが、2年前、初めて大きな過ちを犯しました。

 ナンバー1女優とナンバー1ニュースキャスターがレズビアンだということを、
 記事にして発行してしまった。もちろん大反響を呼びました。
 しかし、心あるフラッシュ誌の愛読者は、顔をしかめたと思います。
 今まで、レズビアンなどの性的少数派への偏見と闘って来た正義のフラッシュ社が、
 二人のレズビアンを興味本位に雑誌に載せて発刊してしまった。
 何の罪もない二人の秘め事を、初めて公に暴露してしまったのです。
 それは、正義の欠片もないものでした。

 編集会議のみなさんは、恐らくスクープの大きさに目がくらみ、
 発行してしまったのでしょう。しかし、これで、
 フラッシュ社が創刊以来守り続けて来た「正義の雑誌社」という看板に、
 バッサリと大きな傷をつけたのです。
 このことに、浅野さんは誰よりも早く気が付きました。
 社会部長が不在の折、部長代理として、精一杯反対をされたことでしょう。
 しかし、大スクープを前にした皆さんを説得できなかった。
 こんなスクープを没にするなんて、頭がどうかしているんじゃないか、
 他の方には、そう映ったことでしょう。

 雑誌が発行されると、大騒ぎでした。
 一時的に二人が避難している私の実家に、連日のように、記者さんが訪れました。
 その中に浅野さんもいましたが、浅野さんは、違うことをしていました。
 彼女は、すでに2人は、自殺をするに違いないと判断し、
 その場所の見当をつけていたのです。
 そして、格好の崖を見つけました。

 一方、社会部編集長として、例の二人は、芸能界を去り、
 二人で小さな畑を耕し、暮らしています。
 どうか、そっとしておいてくださいと、記者会見で言いました。

 そして、二人が芸能界をやめ、静かに畑仕事をして幸せにしているならばと、
 世間は、それなりに、落ち着いたのです。
 芸能界なんて止めた方が言い。かえってよかったと、
 人々は、それぞれに一応の納得をしたことでしょう。
 それならば、ですよ。

 それを、二人が死んだと知ればどうなるでしょう。
 二人で、崖から冷たい冬の海へ身を投げたと知ってごらんなさい。
 悪質な興味本位の暴露記事で、才能ある二人の女性を死なせてしまった。
 法的には、「未必の故意」として、罪にはならないかもしれません。
 しかし、世間はそうは思いません。何の罪もない、レズビアンと言うだけの二人を、
 フラッシュ社は、死に追いやってしまった。
 同性愛にいままで理解を示していたフラッシュ社が、興味本位の暴露をして、
 膨大な数の雑誌を売った。とうとう金に身を売ったのか。
 これで、フラッシュ社は、終わりだ。
 人を死に追いやったあんたらは、もう正義づらして記事など書くなよ。
 今後、低俗な暴露雑誌としてやって行く道しかないよ。

 もう、お分かりですね。浅野さんは、フラッシュ社を守るために、
 二人の死を、自分だけの秘密にしたのです。
 社長は正義感の強い方です。
 社長に言ったら、社長は、必ず謝罪にいく。
 そうすれば、必ず世間にばれてしまう。

 二人の死を防ぐために、浅野さんは、毎夜中、二人が自殺をしそうな、
 実家の近くの崖のそばで、見張ってくれていたのです。
 二人が自殺しようとしたら、体を張ってでも止めようと思ってです。
 自分が代わりに、海に落ちても構わないという強い意志です。
 私も毎夜中、見張っていたのです。浅野さんの後ろで。
 真冬の深夜です。寒い中、浅野さんは、10日も来てくれました。
 二人が、20日後に死んだなら、浅野さんは20日来てくれたことでしょう。

 だけど、防げなかった。
 二人は身を投げるぎりぎりまで、楽しそうにおしゃべりし、
 あっという間に、身を投げました。

 浅野さんは、泣きました。
 地を叩きながら、泣きました。
 その声は、やがて、嗚咽となり、
 慟哭となるまで泣きました。
 その人はだれか。その人は、記者手帳を落としていて、すべてが分かりました。

 浅野さんが泣いてくれたことで、私の心は救われました。
 二人の娘を一挙に失くし、私は、孤独の中で、泣かねばなりませんでした。
 浅野さんには、10日も真夜中に来てくださったこと、
 いっしょに泣いてくださったことで、私は感謝をしました。
 だからこそ、二人の娘が畑仕事をしているという浅野さんの発表に、
 私は、口裏を合わせ異を唱えなかったのです。

 浅野さんは、月に1度、二人が死んだ崖に、
 必ず、花を置いてくれました。2年間、欠かさずにです。
 そんな、浅野さんは、今日の私との答弁でおっしゃったことは、
 すべて、本心ではなかったことと思っています。

 私は、心情的には、浅野さんの気持ちは、痛いほどわかりますが、
 やはり、ここで終わってはいけないと思うのです。
 浅野さんの自己犠牲で終わってはいけません。社長さんいかがですか。

社長は、目に涙をためていた。
「浅野さんがしてくれたことには、涙が出るほどありがたいと思います。
 この2年間、どれだけ辛い思いをしたことでしょう。
 しかし、浅野さん、私達は、低俗な暴露記事を世に出し、
 大きな過ちを犯してしまった。
 その反省と償い、そして、謝罪は、しなければならない。
 私は、他の雑誌にばれてもいい、相沢さんのお宅に伺い、
 精一杯の謝罪をしなければならない。
 そして、雑誌の1面に、社がやってしまった過ちについて、
 反省の意を示し、今後同じ過ちをしないよう、社員一同、
 気を引き締め、今後の仕事に臨んでいくという決意をしなければならない。
 これをしなければ、浅野さんだけの、自己犠牲で終わってしまう。
 浅野さん、わかってくれるかな。」

浅野は、涙ながらに、聞いていて、うなずいた。

京子「社長様。私は、浅野さんが、2年間も心の秘密になさったことは、
   やっぱり、社を救ったことになると考えています。
   2年経った今だからこそ、謝罪ができるのです。
   2年経った今だからこそ、社の反省、今後への決意が通るのです。
   これが、2人が死んだ直後であってごらんなさい。
   人々の怒りで、フラッシュ社が何をしても、何を言っても、
   通るものではありません。
   2年と言う月日は、やっぱり必要だったと思うのです。

   さっき、C子さんが、浅野さんの心の裏の苦悩に気づいてらっしゃいました。
   そういう方がいらっしゃるのは、すばらしい会社です。
  
   今回のマッサージ・サロンの件では、浅野さんは、たくさんミスをなさり、
   へまをなさり、田代さんを行かせたり、
   ずいぶん、たよりない方のように思えますが、
   ここはという大事なところでは、鋭く気が付き、
   決して言えない秘密なら、会社のために、一生心にしまおうとの、
   覚悟と決意をなさる方なのです。
   

社長「そうですね。確かに、相沢さんの言う通りですね。
   浅野さんは、この会社を救ってくれました。
   浅野さん、長い間、辛い思いをさせてしまいました。
   相沢さんの手前もあります。感謝を込めて、小さく拍手をさせてください。」
京子「いえ、娘たちも浅野さんに感謝しています。盛大にどうぞ!」
社長「そうですか。では盛大に!」
大きな拍手が送られた。
浅野は、ただ恥ずかしそうにうつむいていた。

京子「では。娘の死に私と一緒に泣いてくださった、同士の浅野さんに感謝し、
   サロンの一件は、すべてなかったことにいたします。
   大事な物をお返しいたします。お改めください。」
京子はそう言って、小さな木の箱に入っているものを社長に返した。
社長は、大事そうに受け取り、情報部長と確かめた。
社長「確かに、お返しいただきました。ありがとうございました。」

みんなが、大きな拍手をした。

散会となった。
帰ろうとする京子を、浅野と佳代は追った。
「あの、結局、あたしのために来てくださったのですね。」と浅野。
「そうでもありません。秘密って辛いですから、私も吐き出しに来たの。」京子はにっこりした。
「あのう、あたしは、許されるでのしょうか。」と佳代。
「もちろん。そうだ、お二人で、例の秘密の会を再開なさってはどうですか。」
「あ、そうですね。」と浅野。
「あたしもがんばります。」佳代。

京子は、にっこりして、帰って行った。


<おわり>


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性感マッサージ・マサージ相沢京子⑦「浅野麻里の嘘」

 性感マッサージ・マサージ相沢京子⑦「浅野麻里の嘘」


「今日は、もう一つ大切な案件があるのです。」京子は言った。
みんな、黙っていた。

京子「では、今回の犯罪に関係した方の、意識を聞きたいと思います。

黒車のA「私は、車の中で盗撮機から送られてくる画像を保存する仕事でした。
     盗撮は違法だと知っていましたが、罪の意識は全くありませんでした。
     映像は送られてきませんでしたが、もし保存できたら、相棒と、
     『ヤッター!』と喜んだと思います。」

黒車のB「私も同じで、盗撮は違法と知っていましたが、罪の意識はありませんでした。
     成功したら、A君と喜びあったと思います。」

京子「わかりました。正直なご発言だと思います。
   では、次の方。」

誰も立たない。

京子「これは、驚きです。この4人では、無理です。
   浅野編集長。この犯行のリーダーとして、犯行に関わった人を、
   把握していないのですか。ことは、犯罪ですよ。
   私なら、簡単に予想が付くのに、実行犯のあなたが、わからないのですか。」

4人の男子社員は、焦って、顔を見合わせていた。

浅野「すみません。わかりません。」

京子「こんなことで、たった1回の言い直しができる猶予を消費するのですか。」

周りの誰も気が付かない。

京子「では、いいましょう。
盗撮機をあなたに貸した人物がいるはずです。
   盗撮の目的を言わなければ、ふつう貸してくれません。その人が1人。
   もう一つ。当日田村さんは、着慣れないドレスを着ていて、
   濃い見事なメイクをしていました。
   それを、あなたは、今さっきの説明で、
   3人の女子社員でやったといいましたよ。
   もう、忘れたのですか。」

女子社員3人は、あわてて手をあげた。

A子「盗撮目的であることを知っていました。
   しかし、罪の意識は、全くありませんでした。」
B子「目的を知っていました。罪の意識はありませんでした。」
   田村さんを着飾ることに喜びを感じながらしました。」
C子「私も、罪の意識は全くありませんでした。
   悪くどいサロンを懲らしめるのだと聞いていました。
   だから、むしろ、正義のつもりでいました。」
京子「C子さん、あなたから見て、浅野さんはどんな方ですか。」
C子「いい方です。明るくて、素直な方です。
   人の苦言を受け入れる方です。
   ただ、私には、浅野さんが、心の裏に何か抱えていて、
   何かに苦悩している部分をときどき感じていました。
 
情報部の江藤
  「あの盗撮機は、大変危ない物なので、使用禁止だったのですが、
   社会部は、どこから入手したのですか。
   
浅野「芸能部です。」
江藤にかわり、情報部部長の大村が言った。
大村「あれは、動画撮影機だとわかっていましたか。静止画カメラにもなりますがね。
    あの盗撮機を誤って使うと、恐ろしいことになります。
    通信衛星を通じて、リアルタイムで世界に発信できるのです。
    中国、北朝鮮、中東諸国、そして、CIAなどなど。
    もしある国の首相の浮気のベッドシーンなどが写っていたりしたら、
    みなさん、どうなるかご想像が付きますよね。リアルタイムですよ。
    リモコンで操作できるので、昔の映像も再生できます。

京子「盗撮機は、大村様のおっしゃる通りです。
    続けます。
京子「編集長、盗撮機を設置したまま、網を張り、大物女性が来て映っていたら、
    それを、すっぱ抜くのが目的でしたか。」
社会部1「待ってください。編集長の反対があったのですが、
     私たちがこっそりやってしまいました。
     編集長に罪はありません。」
京子「社会部一般として聞いています。
    この場合、編集長がお答えになるのが筋かと思いますが。」
浅野「私が答えるべきだと思います。
    盗撮機のことですが、すっぱ抜きが目的でした。」
京子「すっぱ抜かれた人の立場や、
   私のサロンの打撃など、考えないのですか?」
浅野「スクープが仕事なので、ほとんど考えません。」
京子「スクープで会社の座を失った人がどうなったか、気になりませんか。」
浅野「考えないようにしています。」
京子「何の罪もない人が、秘め事を当社にすっぱ抜かれ、
    世間に騒がれて、自殺をしたらどう思いますか。」
浅野「自殺が予想されるすっぱ抜きはしません。」
京子「もうやったじゃありませんか。社会部は2年前、すっぱ抜きをして、
    二人の女性を死においやったでしょう。どなたか記憶にありませんか。」

社会部2「有名な女性のすっぱ抜きはしましたが、二人は死んでいません。」
京子「誰のことをおっしゃっているのですか。」
社会部3「女優の大野由香里さんとニュースキャスターの一条なみ江さんです。」
京子「この二人のことを覚えてらっしゃる方。」
ほぼ全員が手を挙げた。

京子「なんで、生きていると思ってらっしゃるのですか?」
社会部4「それは、記者会見で、浅野編集長がそう発表したからです。」
京子「記者会見で発表されたことは、すべて事実なんですか。
   編集長の嘘かも知れません。
   複数の人で確かめて、二人が働いているところをご覧になったのですか?」
社会部3「編集長は、嘘をつきません。」
京子「何をおっしゃるのです。
   編集長は、昨日私のマッサージサロンにいらして、
   嘘を、4つつきましたよ。
   村井隆子という偽名を使いました。嘘1つ目。
   見学したいとお出でになり、真の目的は、
   盗撮機の無事を確かめることでした。2つ目。
   そして、田村佳代さんを探す目的でした。3つ目。
   盗撮機を設置したことを黙っていました。嘘の内4つ目。
   設置したのが、田村佳代さんだと、始め名前を伏せていました。
   嘘の内5つ目。

   これだけの嘘と隠し事を、わずか30分ほどの間に、
   なさったのです。浅野さんが、嘘をつかないなんて
   とんでもありません。
   もし私が、浅野さんの嘘を一つでも許さなければ、
   今、浅野さんは、警察署で監禁されています。
   そして、始めのご説明ほどではないですが、
   警察が100人は来て、取り調べをしているでしょう。
   浅野さん、私のいい方に誇張がありますか。」
浅野「いいえ。相沢さんは、事実をありのままにおっしゃっています。
   私は、わずか30分の間に、これだけの嘘をつきました。」
京子「田村さん。昨日マッサージ・サロンに見えた目的は、
   盗撮器の設置でしたね。」

田村「はい。そうです。すみませんでした。」
京子「盗撮機の設置は、浅野さんに内緒で、
   記者の方たちだけでなさったとのご発言がありました。
   それでも、責任をとるのは、編集長なのです。
   嘘は嘘。嘘に上下などないのではありませんか。
   ですから、私から見て、浅野さんは、大嘘つきなんです。」
社会部4「それは、少し言葉が過ぎませんか。」

京子「小さい嘘は、見過ごせという意味なら、私は、たくさん見過ごしました。」
   私は、浅野さんが逮捕されるところを、見過ごし、
   今、彼女はこうして、ここにいます。
   浅野さん、あれは小さい嘘だったと思っていますか。」
浅野「いえ、建築物不法侵入罪で逮捕のところ、目をつぶってくださいました。
   さもなくばライバル社は、必ず記事にするでしょう。
   また、盗撮行為についても、警察に届けずにいてくださっています。
   これは、大きなことです。雑誌社の盗撮がばれると、
   過去のものも疑われ、調査が入り、会社は、長い期間活動停止になります。
   また、盗撮器を設置した田村佳代を、未だに通報せず、
   大目に見てくださっています。
   田村佳代の逮捕が知られてしまうと、先ほどのように、調査が入ります。
   盗撮は、刑事罰ですので、フラッシュ社の名誉を著しく傷つけます。
   これらのことを、相沢さんは、熟知されています。
   どれをとっても、サロンにとって、損害となることを、
   わが社のために、全て多めに見てくださっています。
   どの一つをとっても、小さなことではありません。
   今、社会部のものが『言葉が過ぎるのでは』といいましたが、
   相沢様は、まだ、言葉を抑えておっしゃっておられており、
   実際の私は、大嘘どころか、世間から見て、あきれ返るほどの嘘をついたのです。」

社会部4「すみませんでした。編集長に内緒で、盗撮をさせた一人です。
    内容もよく考えず、発言してしまいました。申し訳ありませんでした。」

京子「ではこの際、過去に編集長のついた、最大の嘘をお知らせします。
   多分これなら、「大嘘」と言ってもクレームはつかないと思います。
   社長様もご存じありません。
   実は、これが、今日私が皆様に集まっていただいた本当の目的です。
   盗撮機とは別に、会社の生死がかかったことです。
   もし、編集長のこの嘘を私が許していなければ、
   フラッシュ社の名声は、地に落ちていたと思います。

(次は、「偽りの意味」です。)

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性感マッサージ師・相沢京子⑤「京子、大会議室で話す」そして「⑥相沢京子の正体」です。

手違いで、明日の⑥「相沢京子の正体」まで投稿してしまいました。
せっかくですので、このままにいたします。
読んでくださるとうれしいです。
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性感マッサージ師・相沢京子⑤「京子大会議室で話す」


翌日、麻里は、すべてが解決したような気分で出社した。
4人の社会部の男性は、すぐに謝りに来た。
盗撮機も佳代も無事だったことで、麻里は、寛容になっていた。
「もうやめてよ。」と言っただけだった。
佳代の貼った盗撮機は、あの黒ボタンの場所とは違った。
(あの女店員は、はったりをかましたのだろう。)
あのままバレないだろう。
1週間くらいしたら、誰か女子社員に行かせ、撤収すればいい。
大物が映っていたら、困るなあ。
またすったもんだする。
どんな大物が映っていても、その映像は破棄しようと思った。
盗撮機のために、あれだけ気をもんだので、しばらく考えるのも嫌だった。
そして、気分転換にある雑誌を手に取った。
(恐るべき能天気である。)

翌日、京子は、用意を整えた。
京子は、年下の人間だからといって馬鹿にする人間が大嫌いだった。
だから、意地悪で、あえて年下の姿になった。
そこで、昨日の洋菓子店員のエンジ色のワンピース、エプロン付き。
つまり、麻里が見たのと同じ格好にした。
それに、黒い可愛いオーバー。
髪は、おかっぱ。
小さなバッグを肩から斜めにかける。
16、7歳に見える容姿。
これで、週刊フラッシュ社に出かけた。

週刊フラッシュ社は、8階の、細長いビルだった。
入ると受付があり、受付嬢が一人いる。
「あの、社会部の編集長にお会いしたいのですが。」
案内してくれるかと思ったら、
「社会部は、5階にございます。
 すみませんが、5階にいらっしゃり、またそこで、訪ねてくださいますか。」
そう言われた。言葉遣いは大人だな、そう思った。
京子はオーバーを脱ぎ、それを腕にかけた。
5階に行き、近くの人に訪ねた。
「あそこにいる女性が社会部編集長です。」
とその男性は、言った。

京子は、編集長・浅野麻里を見つけ、そばにより、
「あのう、相沢京子と申します。」
と言った。相沢京子とは、はじめて使う名前だ。
麻里は、そのとき、最高におもしろい記事を読んでいるところだった。
「はあ~、ちょっと待って。」と麻里は雑誌を見たまま、ほとんどシカトだった。
「編集長に見せたいものがあるんです。」
麻里は、それでもシカトだった。
京子は、メモを残した。そして、踵を返して、階段を下りていった。
『あたしを無視すると、後で、ものすごく後悔するわよ。
 会社が潰れるよ。MS101、もう上げないよ。』
京子は、かなり速足で、階段を下りて行った。
それを見ていた今村は、
「編集長、今客が来ましたよ。編集長は完全にシカト。
 ここにメモがありますよ。若い子だったけど完全シカトはないでしょう。」  
そばに佳代がきて来て、泣き出した。
「昨日の洋菓子店の人よ。あたしは、いつ逮捕されるか、
昨日から、気が気じゃなかったのに、
 せっかく洋菓子店の人が来てくれたのに、編集長は、
どうして話をしてくれなかったの。」
佳代は、床にひれ伏して泣いた。
今村は、麻里の持っていた他社の三文雑誌を見て、腹立たし気に、床に叩き落とした。

「俺だって、佳代ちゃんのことが、昨日の夜から心配だったのに、
 編集長は、なに?佳代ちゃんが逮捕されること、全然考えなかったわけ。
 編集長が見に行ったとき、そこにあったって、その後見つかることあるでしょう。
 サロンで盗聴器が見つかった時点で、逮捕でしょうよ。
 佳代ちゃん、編集長、社長の3人が逮捕だよ。
 ほんとは、編集長と佳代ちゃんと社長とで、
昨日の内に、謝りに行かなくちゃいけないのに、
 編集長にそんな素振りないしさあ。
まさか、盗撮機がばれないとでも思ってたわけ?」

「そうか、いつばれるかも知れないのに、
こっちからあやまりに行くべきだった。
 佳代ちゃん、ごめんね。
 それに、MS101ってなに?」
「佳代ちゃんが使った盗撮機でしょう。」と今村。
「なに!」そばにいた情報機器部長が叫んだ。
「その記号を誰から聞いた。」
「あたしの客ですが、あたしがシカトをしてしまい、
 彼女は、怒って行ってしまいました。佳代ちゃんが盗撮したものを
 多分、その盗撮機を持ってきてくれたのに、
 あたしは、2回もシカトをして、怒らせてしました。
 あたしが、さっき受け取っていれば、佳代ちゃんの逮捕はありませんでした。」
 麻里は泣き始めた。
「すぐ社長室だ。」

社長は話を聞くと、真っ青な顔をして、すぐ立ちあがり、娘を追いかけに駅に走った。
麻里、佳代、今村、情報部長が付いて行った。

相沢京子は、若いもんを馬鹿にするやつは、このくらいの罰を受けなきゃね、と言った。
そういって、1階の受付の裏に、変な男がいると言って、隠れさせてもらった。
やがて、社長、麻里、佳代、男性二人が、受付の前を走って行った。
5人は、駅に着いたが、電車が出たばかりだった。
ああ~と社長は顔を覆いヒザに手をあてた。
「社長、そんなに大事なものだったのですか。」麻里は聞いた。
「ああ、大事だとも。会社が今日中に倒産する。
 今日中に100人の警察が着て、社のものを全部持って行かれる。
 ご家族のテレビ、パソコン、ゲーム、電子機器が全部持って行かれる。
 社員は、社の中に全員監禁。守衛さんもだ。
 よくて1か月。悪くて4カ月だ。
 どうだい。会社は潰れるだろう。
社員の家族が、全員取り調べを受ける。
 一カ月は、ご家族も軟禁される。」
「社長、本当ですか。」麻里は不安げに言った。
「ああ。今回佳代ちゃんが使ったのは、それほど恐ろしい機器だったのだ。
君が、三文雑誌なんか見ていないで、きちんと相手を見て、
 話を聞いていれば、そのものをそのままもらえた。
 普通考えられるか。客が目の前にいるのに、2度も返事をしないなどと、
 ありえないだろう。」
麻里は、泣いて目を赤くしていた。

5階は、ちょっとした騒動になっていた。
社会部編集長のデスクの椅子に、女の子が座っている。
「あんた、そこは、編集長の席だよ。
「あんな無能な人間編集長じゃない。」京子。
「そんなのあんたが決めることか。」
「あたしがここにいることを、社長が認めてくれるわよ。」
「まさか、いいから、降りてくれよ。」
「あたしは、今日は、この会社で一番偉いの。」
社員は、最後に武力行使で、京子を降ろそうとした。

そこに、社長一行が戻って来た。
社員に抱えられている京子を見て、一向は、青くなった。
「みんな離せ。この方は、今日会社で一番大切な方だ。」
社長はそう言って、床に両手を付いた。
麻里、佳代、今村、情報機器長が、全員両手をついた。
社員もそれを真似て、全員両手をついた。

「社長の藤井健一です。社員の無礼をどうかお許しください。
 また、浅野編集長の考えられぬ無礼も、お許しくださいますよう。
 相沢様のおっしゃることは、なんなりと従います。」
「やっぱり社長様は、お話がわかりますね。
 今日は、盗撮機のことはべつに、
 もう一件、皆さんに知っていただきたいことがあります。
 社長様。みなさん全員が入れる部屋がありますか。」
「はい、ございます。大会議室なら、入れます。」
「では、そこにみなさん、座って、用意してください。」京子は言った。

京子は、この編集社で、やっと好待遇を得た。
ソファーがあり、コーヒーを入れてくれた。
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性感マッサージ師・相沢京子⑥「相沢京子の正体」


やがて、若い女性が来て、京子を呼びに来た。
前もって社長の注意があったのか、みんな微動だに動かない姿勢でいた。
京子は、座り、
「まず、社長様より、MS101=98の怖さについて、皆様にご説明ください。」と言った。
社長は、
「この盗撮機は、先代からわが社にあったものです。
 CIAの盗撮機でしたが、公安のスパイが持って帰り、
 公安に保管されていました。
 大変高性能なもので、ふつう日本の民間の会社などにはあってはならないものなのです。
 ですから、その所在がばれたりすると、その入手経路をたどって、
 恐らく毎日100人もの警察が毎日訪れ、
 会社の機器は全部持って行かれ、ご家庭の電子機器も全部もっていかれ、
 私たちは、会社に軟禁状態となり、この状態が1か月は続きます。
 ご想像のように、会社は潰れます。お子さんも学校にいけません。
 MS101=98の恐ろしさを説明すると切りがありませんが、
 この度、社会部の方で、盗撮を使ってしまいました。
 幸い性感マッサージの建物は、あらゆる電波を遮断するよう作られていたので、
 我々は助かりました。
 サロンの院長である相沢京子さんは、盗撮機の危険性にお詳しいので、
 盗撮機を取り外し、安全に保管してくださいました。
 そして、私に返してださるよう、相沢様は、顔見知りである浅野麻里さんをお訪ねになりました。
 しかし、浅野さんは、無礼にも他社の三文小説を読みふけり、
 全く返事をせず、京子さんを完全に無視しました。
 浅野さんは、考えられないことに、京子さんを2回も無視しました。

私たちが帰って来た時、相沢様が、
浅野さんのデスクに座っていたのはそういう訳です。
「あんな人間、編集長などと認めない。」
それも、浅野さんが読んでいたのは、週刊実話社の三文雑誌でした。
相沢様が怒るのもあたりまえです。
さらに、相沢様は、会社をつぶしかねない危険なものを持ってきてくださったのです。」

社員一人手があげた。
「私は、相沢京子さんのような、幼い感じの人が、
 高機能な情報機器を見てわかるというのが信じられません。
 まだ、16、17歳の人に見えます。」
「私にとり、今日の案件の方が大事ですから、素顔を見せましょう。
 ただ、私は、今の洋菓子店を畳んで、店員たちとどこかへ引っ越すでしょう。」と京子。
「え!そんなことなら、お顔を見せなくていいです。」
「いえ、見せた方がいいと思えてきました。」
京子は、バッグからウェットティッシュを出して、顔を拭いた。
すると、47歳くらいの顔になった。
そして、バッグから、ある手帳を出した。
「私は、こういう者です。」と言い、社長に渡した。
社長はそれを見て、目を丸くした。
『公安調査庁情報機関指導部』
その名の手帳が、全員に回った。

「し、失礼しました。」とさっきの男子社員は、立って詫びた。
「これで、私は、公安の人間だとばれてしまいました。
 お気づきですか。これで私は公安の人間となり、
 皆様を取り締まわねばならない立場になりました。
 皆さまが、私の正体を、内緒にしてくだされば、今少し、この土地に
 いることができます。」

みんなは、懸命に首を振った。

「今日は、もう一つ大切な案件があるのです。」京子は言った。
みんな、しーんとしていた。

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性感マッサージ師・相沢京子③「麻里・コテンパン」

もう何のどこを書いているのか、わからなくなっています。
かなり長くなっているので、心配です。
読んでくださるとうれしいです。
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性感マッサージ師・相沢京子③「麻里・コテンパン」


7時50分になっていた。もう30分近く待っている。
麻里は、何度も会社に電話をした。
警察からの電話がないか聞いた。

その頃社会部部員4名は、頭をかかえていた。
「編集長を罪人にしちゃうよ。」
「佳代は立候補したんだからいいけどさ。」
「謝るどころか、俺ら全員逮捕だよ。社長もな。」
「ええ?社長もか!
「ええええ~~。」4人は、真っ青になった

編集長は、思案を巡らせていた。
女子のスカートの中を狙ってスマホでの盗撮などとは違う。
プロ仕様の本格的な盗撮機だ。出来心では済まされない。

それより、佳代が大事だ。
佳代は一体、警察のどんなところで、何をしているだろうか。
暗い部屋で尋問を受けているのか。
部下に「ダメ。」と言ったのは、過去に痛烈な出来事があったからだ。
「ああ、佳代ちゃん。死に物狂いで止めるんだった。」
麻里は、顔を涙だらけにして、両手で顔を覆った。

しばらくして、麻里は気づいた。
あのマッサージ店に行ってみよう。
社に電話して場所を調べてもらうと、近くである。
麻里は、歩いて「洋菓子店マロン」の前に来た。
この店が仲介の役目をしているらしい。

洋菓子店の店員姿でいる京子は、佳代から描きとった人物が来たと分かった。
背が高くすらりとしている。まだ、名前は分かっていない。
麻里は、店に入って聞いた。
「マッサージのサロンを見学したいのですが。」
「お名前をうかがえますか。」
「村井隆子と言います。」
店員はメモをしていた。
「どうぞ。」
(なんだ、簡単に見せてくれるんじゃない。)と麻里は心配して損したと思った。
京子は、廊下の半分まで案内して、麻里に背を向けたまま通せん坊をした。
「偽名を使う理由を教えてください。」
麻里は、ドキッとした。
16、7歳に見える女店員だと思い甘く見ていた。
女店員の言葉の鋭さが胸に刺さる思いだった。
「あの、どうして偽名だとおっしゃるのですか。」麻里は聞いた。

女店員は、振り向いて、麻里を正面から見た。
「今、あなたの声が震えているからです。
 あなたの目蓋が、細かく痙攣しているからです。
 偽名を使って建物に入ると、建築物不法侵入罪になります。
 逮捕されたいですか?
 あなたが、村上隆子さんである証明があれば問題ありません。」
京子は、あえて、「村上」と言った。
10年以上の取材のキャリアのある麻里だ。
今まで、いろいろな人間と接してきた。
こんな若い娘などひとひねりだと思った。
だがそうは行かない。この娘がなにやら恐くてならない。
偽名を使っているのだ。証明などない。
「証明はいいです。お名前をもう一度言ってください。」娘に言われた。
麻里は、再びドキンとした。とっさに言った名前だ。はっきり覚えていない。
店員が最後に言った、「村上隆子」という名が、心に残っている。
麻里は、緊張の塊になり、汗をびっしょりかいていた。
自分の失敗が、佳代に及ぶ。

「あの、村上隆子です。」麻里は言った。
「一番初めは、村井隆子と名乗りましたよ。ほら。」
村井隆子とメモされた紙を見せられた。
「警察を呼ぶに十分な理由です。あなたが、報道関係の人なら、罪はもっと重いです。」
「すみません。報道関係の者なので、嫌われると思ったのです。」
「報道関係の人を、嫌われるようにしたのは、報道関係の人達です。
 意味分かりますよね。あなたも、その一人です。」
「すみませんでした。」麻里は、記者手帳を素直に見せた。
「浅野麻里さんですね。週刊フラッシュ。社会部編集長。
 2年前の1月18日の発行ですね。あなたでしたか。」
京子は、何か思いを遠く馳せているような顔をした。
「あの、何か?」麻里は聞いた。
「いえ、何でもありません。」

京子は、麻里をエレベーターに乗せて、
小さなボタンを押しながら、地下のサロンに連れて行った。
麻里は、スリッパに履き替え、サロンの中に入った。
そして、ベッドの正面の壁に、盗撮機があるのをすぐに見つけた。
バレている盗撮機がなぜ未だにあるのだろう。
警察が来たら、当然押収されるものだ。
ひょっとして、佳代は、捕まらなかったのか・・。
じゃあ、あの電話は、なんだ・・。

「ありがとうございます。もう十分です。」
「もう、いいのですか。あなたは、壁を見つめただけですよ。
 何を見学に見えたのです。あやしいですね。」
「それは・・。」と麻里は、口ごもり冷や汗をかいた。
この娘に振り回されてばかりいる。この私が。
「もっとゆっくり見学なさってください。」
そう言って、店員は、麻里をサロンに残して、エレベーターに消えてしまった。
「まいったなあ。見学に来たと言って、壁だけ見て帰るじゃ、
 誰だって、疑わう。あたしとしたことが。」
平常心を失っていた麻里は、取材の基本も失っていたのだった。
店員をすぐに追いかけようと思い、エレベータに入った。
同時に扉が閉まった。
そして、1階のボタンを押した。
だが、エレベーターは、うんとも、すんとも、動かない。
実際エレベーターは、地下にあるのだ。
それ以下には下がれない。

麻里は、社に電話をしようとしたが、通じない。
「圏外」という表示が出るだけだ。
エレベーターの扉を開けようとしたが、びくとも開かない。
「緊急ボタン」など、一切ない。
麻里は、焦った。
完全に怪しまれた。
自分としたことが、と麻里は、髪を掻きむしった。
麻里は、エレベーターの中で、腰を降ろして待った。

20分ほどして、エレベーターの扉が開いた。
助かったと思った。疑惑は晴れたのか。
「外にご案内します。」と先ほどの店員が言った。
麻里はほっとした。
二人が入ったまま、京子は、エレベーターを停止した。
ガタンと、エレベーターが止まった。
京子は、言った。
「なぜ、あんな意地悪をしたかわかりますか。」と京子。
「いえ、わかりません。」
「今の嘘で、3回目の嘘です。嘘は、2回まで。警察を呼びます。」
京子はスマホを耳に当てた。
「ま、待ってください。」と麻里は慌てていた。
「もう2度、嘘をついてしまったことを、自覚なさっていますか。」
「はい。2度付きました。」麻里は言った。
「言ってください。」
「偽名を使ったのが1つです。見学の目的で嘘をついたことと2つです。」
「見学の目的を詳しく。」
「ここに取り付けた盗撮機が無事かどうか。
 もう一つは、取り付けた女性が無事どうか調べに来たのです。」
「その女性はただの記者ですか。恋人ですか。」
「好きな女性です。愛しています。」
「彼女のお名前は?」と京子。
「どうして、名前を聞くのですか?」

麻里は、自分が愛する女性の名を、おいそれと口にしたくはなかったのだ。
だが、それは、とんでもないことを言ったと気付いた。
自分は人探しに来たと言ったばかりだ。
それなら、サロンの人に、探している人物の名を、真っ先に告げるのが普通だ。
「今、なぜ動揺しているのですか。」と京子。
「あの、人探しに来たと言って、
その本人の名を言うのをためらうのはおかしいと思ったからです。」

「別に名を伏せて人探しをするのは、少しも変ではないですよ。
 その人が、我がサロンに盗聴、盗撮などの、危害を与えているなら別です。
麻里は、またドキンとした。
今の動揺で、佳代がサロンに不利益を与えたことを白状したようなもんだ。
この怖い子の誘導尋問に、自分は完全にかかっている。
「田村さんが、私のサロンに盗撮機を設置したことは、
あなたと私とで諒解で、諒解済みですよ。
『佳代の実名がバレてる。』
「あなた、変ですよ。罪に怯え逃れようとしている人みたいです。」
「すみませんでした。心配事があったものですから。」
「愛する田村さんが、警察に逮捕されることですね。」
「それをどうして、ご存知なの?」
「朝、あなたに、盗撮機が見破られたと、慌てて電話をしてましたよ。」

「じゃあ、佳代は、警察に?」
「まさか、大事なお客様を警察にやったりしませんよ。」
「ああ、よかった。ありがとうございました。」
「しかし、ロープでぐるぐる巻きにして、トイレの中に監禁されているかも知れませんよ。
 警察には渡しませんが、私達で、拷問を加え、白状させることもできます。
 あなたに時間を十分上げたのに、なぜ田村さんを探さなかったのですか。
 隠すのは、トイレ以外にないじゃありませんか。ちょっと開けてみればいいのに。
 盗撮機と田村さんと、あなたにとっては、盗撮機の方が大事だったとしか思えません。
 そんな人なら、私達の自由にさせていただきます。」
浅野は、自分の愚かさに、頭をガーンと打たれた思いだった。
「それなら、あたしを身代わりにしてください。」
「美しい言葉ですが、あなたは、身代わりになる資格がありません。」
「盗撮機の場所を知っています。」
「あなたが知っているのは、壁に貼ったただの黒いボタンでしょう。
 あなた、じーと見ていましたね。あれは、おとりです。
 盗撮機がどこに貼られたかは、田村佳代さんしか知りません。」

「拷問はやめてください。編集長のあたしの責任です。」
「しませんよ。サロンは、防犯装置だらけで、いつ誰が何をしたか、
 すべてわかっているのです。あんな犯罪になることを、部下にさせてはいけません。
 ましてや、あなたの愛する人でしょう。
 どうぞ、お帰り下さい。田村さんは、社に戻っていますよ。」
「ああ、よかった。どうもすみませんでした。」
浅野は、頭をさげさげ、帰って行った。

「なんだ、両想いなんじゃないの。」
京子は、そう言って、くすりと笑った。
 
麻里は若いのに怖い女店員から離れることができて、
命拾いした思いだった。
すぐに社に電話をした。
「あの、佳代ちゃん戻った。」
「ああ、戻ってますよ。」
「ああ、よかった。佳代ちゃんに代わって。」
「ああ、編集長、やり遂げましたよ。」と佳代の弾んだ声。
「バレたって、電話したのはなぜ?すごく心配したのよ。」
「バレませんよ。普通にマッサージしてもらって帰ってきました。
 全然怪しいところじゃないですよ。
 マッサージの途中、編集長の夢を見ました。」
「そう、無事ならいいの。安心したわ。」
麻里は、とにかくほっとしたのであった。
いくつかの疑問点があるが、もう考える気力が尽きていた。

(次回は、『京子、編集社を訪れる』です。)

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性感マッサージ師・相沢京子②「佳代、完全に騙される」

性感マッサージ師・相沢京子②「佳代、完全に騙される」


黒い車の中。
「おかしいな。ONになったみたいだが、映像がひどい。」
二人は、機械をいろいろにいじってみたが、
「だめだな。撮影機の方のメモリー頼りだな。」
そう言って、二人はとうとうあきらめ帰ってしまった。

2階は、電波を妨害する装置が張り巡らされている。
地下からでは、さらに綺麗な映像が届かない。

京子は、先生になってサロンに入って行った。
真っ先に盗聴カメラを確認した。
「いらっしゃいませ。」
佳代はマスクとサングラスを取って、
「よろしくお願いします。」と言った。

「では、始めましょう。
 ここは、ただのマッサージではなく性感マッサージですので、
 少し、恥ずかしい部分もマッサージします。嫌がらないでくださいね。

 では、裸になって、まずトイレに行ってください。
 トイレは特殊なもので、お尻のシャワーのとなりに、もうひとつ、
「水柱」というボタンがあります。
 これを押しますと、水柱になったストレートな水が噴射します。
 その水で、お尻の穴の奥まできれいにしてください。
 バスも湧いていますが、お入りになりますか。」
「はい。せっかくですから。」佳代は言った。

「では、貴重品はこの中に入れてください。」
京子は、金庫を開けた。
佳代は、なんの疑いもなく、バッグそのまま、そして、アクセサリーを入れた。
京子は、金庫の扉を閉じ、鍵をかけ、鍵を佳代に預けた。
「失くさないでくださいね。合鍵などありませんから。」
そう言った。
そう言うと、客は安心する。

佳代は、バススペースに入って行った。
京子は、アコーデオンカーテンをぴったり閉め、
早速、金庫を開けた。
もちろん合鍵はある。

佳代のバッグを開けた。
あるある。
佳代の記者証明手帳を見た。
田村佳代。
週刊フラッシュ。社会部。

京子は、佳代のスマホを手に持った。
そして、バスの中の佳代に言った。
「あの、あたくし、5分ほど外に行ってます。
 すぐに、戻ってきます。」
「はーい。」という元気な声が聞こえた。

京子は、洋菓子店の廊下に来た。佳代の声真似をして、
スマホの中の編集長と名前のある人物に電話した。
「はい、もしもし。」
(女性だ。)
「編集長、大変です。見つかってしまいました。
 このまま警察に連れていく前に、
 編集長と話がしたいそうです。
 で、ここの駅から5分くらいの、
『カラオケ7』と言うビルの裏に、
7時15分に、来てくださいとのことです。
遅刻厳禁だそうです。」

編集長は、腹立たし気に、机をバンとたたいた。
「お前ら、やったな。あれほどやるなといったのに。
 言ったこっちゃない。もうバレテルじゃないよ。
 責任は、あたしが取ることになるのよ。」

計画した4人は、小さくなった。

「わかったわ。すぐそこへ行くわ。」
編集長・浅野麻里は、そう言って時計を見た。あと13分である。
編集長は、電話を切り、コートを腕にかけた。
そして、社の前で、タクシーを拾った。
社の車には乗りたくなかった。

麻里は、部下に怒っていた。
『よりによって、佳代に行かせるなんて。』
あと11分である。

京子は、佳代のスマホのアドレスを自分のスマホに移し、
電源をOFFにして、金庫に入れ合鍵でカギをかけた。

佳代は、やっと出てきた。
体にバスタオルを巻いている。
「ベッドに寝てください。」と京子。
佳代は横になった。
京子は、顔がカメラに入らない位置で、
いつものように、髪を指で梳き、
耳の穴に指を入れた。
(すると京子には、客が好きな人物が見える。)
「ああ、気持ちがいいです。」と佳代は目を閉じた。
佳代から、背の高いキャリアウーマン風な女性が見えた。
オシャレである。恐らく彼女の編集長だ。
京子は、服装もしっかりと見た。
そして、佳代が目をつぶっているのを確認し、
編集長の服のまま、変身した。

京子は、佳代に、そっとキスをした。
佳代は目を開けた。そして、目を見開いた。
「編集長!」と佳代は叫んだ。
「マッサージ師さんは、うまく外に出したわ。
 佳代は、あたしが嫌い?」
「好きです。毎日憧れてました。うれしいです。」
「じゃあ、もう少し、キスをしましょう。」
京子は、ベッドに乗り、佳代と抱き合った。

編集長が乗ったタクシーは、渋滞に巻き込まれた。
時計を見た。あと4分しかない。
佳代に電話をしてみた。
しかし、電源がオフになっていて、通じなかった。
気が気ではなく、心臓がドキドキと鳴っていた。

麻里が、カラオケのビルに着いたとき、
指定された7時15分より、11分も後だった。
麻里は、頭を抱えた。

電車で来れば、悠々間に合った。
相手も、それを想定して時刻を言ってきたはずだ。
記者として車を使う癖がついていた。
何の考えもなしに、タクシーを使った。
後悔が、後から後から、湧き上がってくる。
佳代に電話をしたが通じない。
麻里は、最悪の事態を思い浮かべた。
定刻に来なかったために、警察に連れていかれた。
電話が通じないのは、そのせいである。
「ああ。」麻里は、ビルの裏の壁にもたれ、しゃがみ込んだ。

サロンでは、京子は、服を少しずつ脱いでいき、裸になって佳代を抱いた。
ふつうのレズビアンラブをした。
それでも、佳代は燃えに燃えた。
最後に、お尻の穴にクリームを入れ、
秘密のスポットに指を入れた。
女でも、気絶するくらいに感じるスポット。
佳代は、叫び声を上げた。
それを、3回したとき、佳代は、失神した。

京子は、盗撮機の真下に行って、電源をOFFにした。
しばらく、佳代を眠らせておくことにした。
京子は、編集長の姿から、京子の姿に戻った。

やがて、佳代は目を覚ました。
不思議そうにあたりを見回した。
「あのう、あたしの好きな人が来てくれたように思うのですが。」そう聞いた。
「よくあることですよ。気持ちがいいとき、自分の願いを夢で叶えるのです。」
「ああ、そうでしたか。幸せでした。」
佳代はそう言い、服を着て、1万円を払った。
京子は、エレベータに一緒に乗り、洋菓子店まで送った。
佳代は、あんなにいい思いをして、1万円は、安いと思った。
良心的なサロンで、盗撮することに、若干の罪を感じた。

(次は、「麻里、コテンパン」です。)

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性感マッサージ師・相沢京子①「対決・雑誌編集者」

性感マッサージ師・相沢京子の報道社と戦う話を、再話したいと思います。
昨日の記事で、長いのは書かないと言いながら、その舌の乾かぬうち、
長いのを書こうとしています。もうしわけありません。
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性感マッサージ師・相沢京子①「対決・雑誌編集者」


(マッサージ師・相沢京子は、トランキュラであり、変身ができます。)


ここ「週刊フラッシュ」社は、数々のスクープを世に送り、
スクープ雑誌の頂点に君臨する雑誌社である。
これまで、多くの悪徳の議員や権力者を辞任に追い込んで来た。
一方、芸能界や有名人のスキャンダルなどにも力を入れ、
硬派、軟派の両方に実績を誇ってきた。

社会部の編集長は、浅野麻里は、35歳。
170cmの長身でスタイルもよく、美人である。
毎日高そうな服を着て来て、オシャレでもあり、
彼女に憧れる女子社員は大勢いた。

その浅野麻里の周りに、3,4人の記者が集まっている。
「絶対怪しいんですよ。外からは一切見えない。」
「『性感マッサージ』って名前からして怪しくないいすか。」
「みんな、顔を隠して入って行くそうです。
 有名人を相手にしていることは、確かです。」
「有名人の弱みに付け込んで、
高額のマッサージ料をふんだくっているかも知れません。」
「あそこを張っていれば、すごい有名人がごっそりつかめたりしますよ。」
浅野麻里は、話しを聞いていて、うなずいた。
「みんな、だからってさ、盗撮、盗聴は絶体ダメよ。」
麻里は言った。
「え、まさか、盗撮なんてやんないすよ。後ろに手が回りますよ。」
「だけど、どこも、やってんじゃね?雑誌社ならやってるよ。
「そのマッサージ医院が悪徳なら、一石二鳥っすよ。」
「だめだったら、ダメ。捕まって後悔しても遅いんだから。」と編集長。
「やるなら、あたし、行きまーす。」と、元気な女の子が来た。
髪を後ろで1本にして、野球帽の後ろの穴から出している。
ジャンパー、ジーンズ。男の子のようだが、可愛い。
田村佳代。24才。
「佳代ちゃんは特にダメ。みんな、絶対ダメですからね。」
編集長の浅野麻里は、ガンと言った。

集まっていた社会部の記者は、離れたところでいった。
「編集長は、立場上、ああ言ってんだよ。」
「あそこは有名人が行くんだぜ。それに女だ。
 佳代は、ちょっと見ると男だからなあ。」
そう言った記者に、佳代は、雑誌で頭を叩いた。

「佳代ちゃんは、メイクをして、正装すると、多分見違えますよ。」
とそばにいた女子社員が言った。
それは、おもしろいということになり、編集長には内緒で、GOすることになった。

翌日、女子社員3人は、フォーマルなドレスと、メイクセットを用意し、
佳代を着飾った。
服は、紫の長そでのワンピース。開いた胸に銀のネックレス。
髪をカーラーでウエーブを付けて、耳にピアス。
外出用に黒のオーバー。
佳代は見違えた。
男子記者たちは大喜びだった。
「カッコだけじゃなくて、言葉や仕草も女優らしくするんだぜ。」と男子。
「わかってるわよ。」と佳代の地が出た。

佳代は、高性能の盗撮用カメラをバッグに入れ、
社を6時に出た。
前もって電話をし、ストレスにより性的興奮を得られなくなったと言った。
約束の時間は、7時。

佳代は歩き方もなるべく優雅に歩いた。
7時少し前に、相沢京子は、ブラインドから、通りを覗いていた。
マスクをしてサングラスの女性を探していたが、いない。
だが、一人、通りの明るいところはサングラスをはずし、
洋菓子店の前で、マスクとサングラスをした人物を見た。
完全に怪しい。明るいところの方が、よっぽど顔を見られるのに・・。
京子は、「変身」と唱え、16,7歳の洋菓子店の店員になった。
(京子は変身が自由にできるトランキュラだ。)

マスクにサングラスの女性が入って来た。
そばにいた京子に、
「あの、サロンに行きたいのですが。」と言った。
「はい、ご案内いたします。」
京子が歩くとき、エプロンに挟んでいる探知機が反応した。
相手が、盗聴、盗撮機などを持っていると、
ピンクのボタンが、5秒間点滅する。

京子は、エレベーターを開け、客を入れ、
ある小さなボタンを押しながら、2階のボタンを押した。
その小さなボタンを押しながら、2階を押すと、表示は「2階」を示すが、
実は、地下に行く。
そして、エレベーターが開くと、2階のサロンとそっくりそのままのサロンがある。
怪しい客は、こうして地下のサロンの方へ連れていくのである。
ほとんどの客は、エレベーターの階表示を見るので、
2階に来たと思い込んでしまう。

洋菓子店の外には、脇道に黒い車が止まっている。
盗撮機は、カメラと記憶媒体が入っているが、
同時に、映像を飛ばし、近くの受像機に送れる。
黒い車は、その映像を待っているのだ。

店員姿の京子は、佳代に、
「先生は、あと5分後に来ますが、少しお待ち願えますか。」と言った。
そして、エレベーターに姿を消した。
佳代にとっては、絶好のチャンスである。
バッグから、ボタン程の盗撮機を出して、接着の紙をはがし、ONにして、
観葉植物の陰、さらにベッドが見えるところに貼った。

(次は、「佳代、完全に騙される」)

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最近の長い小説

最近の長い小説


長い物語を書くと、ランキングは必ず下がるというのは、
ずっと続いて来たことです。
それが、「洋之助とムサシ」くらいから、あまり下がらなくなって、
これは、いいぞと思っていました。
それが、「スーパー洋子・稲村恵美」から、ドカーンと落ちてしまいました。
悲しかったですが、しかたないか・・と思っています。
私的には、このお話気に入ってるんです。
第1に、私は、本物の稲村亜美さんが、大好きです。
投げる前に片足をお腹に付けるくらいにして、投げるポーズが好きです。
作中で、洋子は禁止しましたが、亜美さんのタイトスカートで投げるようす、
ちょっとセクシーで好きです。

このお話は、最後の番号がめためたに間違えてしまい、
最終回ではないのに、最終回と書いてしまったりして、
最後の「記者会見」のところを読んで頂けなかったり、
申し訳ありませんでした。

厳密にはスーパー洋子ではありませんが、「洋之助」は、洋子の男版です。
ムサシと道中を共にします。私は、これが、シリーズの中で、
一番よく書けたと思っています。
2話の宝蔵院の天才棒術師殷春を、洋之助は孤独から救います。
3話の一条松の決闘から、5分と5分ということで、ムサシは納めます。
最後に、巌流島の決闘ですが、佐々木小次郎を死なせません。
小次郎は、言うなれば、性別違和です。
最後は、夕月は、町の剣道場の先生になっているとか、
ずーと迷いましたが、やはり赤ちゃんを手にしている方が感動的なので、
そうしました。洋之助は、ムサシとの別れの悲しみの中、
空に光るものを見て、赤子の誕生を思います。

これも、スーパー洋子ではありませんが、
超能力者・高島忠男の、ピアニストに身を変えられるお話も、
けっこう気に入っています。
私としては、全く新しいタイプのお話でした。
よく書けたなあと自画自賛しています。

皆様が、小説などお読みになる時間がないことを重々承知しています。
お仕事から帰り、ご自分のブログを書くだけで、精一杯ですよね。
私も、1回分をなるべく短くしています。

お読みになっていなくても「いいね!」大歓迎です。
お読みになっていなくても、その内読むよと「ポチ」大歓迎です。

では、またがんばります。

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スーパー洋子⑥「記者会見」(最終回)

最終回です。今まで読んでくださりありがとうございました。
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スーパー洋子⑥「記者会見」(最終回)


恵美と貴子の記者会見が行われることになった。
30人ほどに記者がいる。
これは、短期間に投力が、50kmも伸びた二人に対して、
特別に行われるものだった。
洋子と監督、安田は、一番後ろでそっと見ていた。
洋子は、恵美と貴子に、コーチの名前は、出してくれるなと頼んでおいた。
そうしないと、コーチ希望者が、どっと来そうだからである。

恵美と貴子をが正面のデスクにすわり、いろいろな質問があった。
記者1「短期間に50km投力をあげるには、
相当ハードな練習があったのではありませんか。」
恵美「それが、全然です。1日10分の練習で、
   毎日10kmのびました。」
記者2「貴子さんは、いかがですか。」
貴子「恵美さんとあたしは、同じコーチなんです。
記者「そうなんですか。」

記者3「貴子さんは、連取中何か辛いことがありましたか。」
貴子「あ、はい、ありました。
   私は、私の尊敬する某コーチに、いよいよ明日から練習というときでした。
   たまたま大リーグ1というアメリカのコーチが私をご覧になり、
   私のコーチをしてくださるというのです。
   社長は2つ返事でOKされ、某コーチの方を断ってしまわれたんです。
   次の日です、社長が冷たい物をもって、アメリカのコーチのところへいきました。
   そして、言ったんです。ジャクソンコーチにくらべれば、ライバルの某コーチなんて、
   足元にもおよびませんね。って。
   すると、アメリカのコーチは、真っ青な顔をなさり、
   「わたしは、大リーグ1のコーチですが、某コーチは、地球1のコーチです。
    スーパー・ミラクル・コーチですよ。彼女と競うなんて、恐れ知らずもいいところ
    です。悪いですが、私は、これで、失礼します。
    そう言って、行ってしまいました。
    私は、社長に泣きつきましたが、社長も、なす術がないようでした。

    私は夜になり、悲しくて悲しくて、
稲村恵美さんに、電話しようと思いました。
まだ、一言も、お話さえしたことのない人です。
でも、私はお話がしたかったのです。

恵美さんは、お話を聞いてくださいました。
そして、「大丈夫よ。」と言ってくれます。
あなたが抜けたコマは、今、私がもらってる。
そのコマをあなたに返せば、それで解決じゃあない?
あなたが、始めから、倉田コーチ・・

隣の恵美が、あわてて、貴子の口をふざいだが、遅かった。
記者たちはくすくす言っている。
中村監督が、あははははと笑った。
後ろで、洋子は、「あれ~~~。」と言っていた。
「いいじゃないですか。いずればれますよ。」と安田が言った。

「皆様、聞こえてしまいましたか?」と貴子は言った。
「はーい、私達、人の話はを聞くことが仕事ですよ。」とある記者。

「じゃあ、もうバレタとして、お話を続けさせてください。
恵美さんは、私が倉田コーチ一途だったことを、朝1番に、
倉田コーチに話しておくから、と言ってくれました。
私は、恵美さんのことを、なんていい人なんだろう、と思いました。
それから、恵美さんは、あるプランを話してくれました。
それを聞いたとき、あたしは、うきうきして、辛いことを全部忘れてしまいました。
私は、めでたく倉田コーチのコーチを受けることができました。

拍手が起こった。
恵美は「はい!」と言って立った。
恵美「NHKで鶴瓶さんの家族に乾杯」という番組があります。
   完全なパクリですが、貴子さんと私で、全国の野球部を訪ねたいんです。
   励ますとか、技術を教えるのじゃなくて、野球部のよもやま話を、
   部員の方々と、楽しくしたいのです。」
記者6「いいですね。この記者会見は、ディレクターの聞いています。
    実現するかもしれませんよ。

大きな拍手で、記者会見は終わった。
真っ先に貴子が、「コーチ、ごめんなさい。」と言った。
「いいの、いつかは、ばれることだから。」と洋子は言った。
「それより、貴子さん、ずいぶんおしゃべりになったわ。」
「はっ。」と貴子は、口に手を当てた。」
「性格って、変わるって。」恵美が、貴子の背に手をあてた。

2か月後。
二人の夢はかなった。
スポーツのTBBがのってくれた。
二人は、部活の人ではないので、やり易かった。

第1回は、小原幸恵がいる富山県山城高校に決めた。
スタッフは、何度も学校にそっと偵察し、
日曜日のお昼は、玄関近くで、お餅を焼いて食べることがわかった。
恵美と貴子は野球着を着た。
カメラマンがそっと撮影している。

貴子と恵美は、そっと入って行き、恵美が小原幸恵を後ろから、
    小原幸恵を目隠した。
    みんなには分かっている。
    「だれ?」と幸恵。
    「あたし。」と恵美が手をとった。
    「きゃー!、ね、本物?」
    「うん、ほんもの。」
   「貴子ちゃんもいる!」
   「わあ、すごい、すごい!」と、小原は、飛び上がりながら地面を回った。
  
   二人は、おもちの中に入り、よもやま話をした。

  「こんにちは、野球部」というのが、この番組のタイトルだ。
   野球部ではない人も、この番組を見始めた。

   二人のキャラクターがよくて、番組は少しずつ視聴率があがった。

<おわり>

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スーパー洋子⑤「本番5人の投げ比べ」

ながらく続けています。次回最終回です。
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スーパー洋子⑤「本番5人の投げ比べ」


恵美と貴子の「本番5人の投げ比べ」の日が来た。
中村、安田、洋子の3人は、招待を受けて、報道関係者のすぐ後ろにいた。
洋子を挟んで安田と中村がいた。
観客は、内野席が満員になっていた。
選手が来るまで、音楽が鳴り、ぬいぐるみの人形たちが可愛く踊っていた。
スポーツ好きのTBBテレビ局が主催なので、アナウンサーと解説者がいた。

ここは、富山県山城高校の女子の合宿所。
テレビをみんなで囲い、小原幸恵が、ソファーを降りて、テレビの真ん中を陣取っていた。
高校女子野球の最速投手143kmの小原幸恵は言った。
「あ~~ん。トイレいきたくなっちゃった。
 ね、恵美ちゃん出たら、教えて。」
「まだまだだって、入場もしてないのに。」みんなは笑った。
「恵美ちゃんより、速い球投げるくせに。」
「まだ?まだ?間に合った?」と幸恵が戻って来た。

やがて、大きなアナウンスがあり、1塁側から、可愛い電気自動車に乗って、
5人が出場した。恵美は最後、その前が、貴子だった。
「わあ~ん。恵美ちゃんがんばれ!」と小原幸恵は、大声をあげた。

アナ「さあ、いよいよですね。今回は、スポーツ選手を集めたようですね。」
解説「みんな強そうですね。柔道、レスリング、陸上の選手もいますね。」
アナ「他の選手に比べ、稲村選手は、173cmの背があります。
   隣の白井選手は、細くて小柄に見えますが、身長169cmあります。」
解説「二人が小さくみえますね。」 
アナ「ええ、みんな背が高いですね。でも、野球は別ですよ。」

洋子「やっぱり、すぐ終わっちゃうといけないから、引っ張りますね。」
安田「これが、いいんですよ。」

「1番、柔道家の池田純子選手。身長178cm。」
とアナウンスがあり、ホームベースにプロのキャッチャーが構えた。
マウンドの池田が投げる。キャッチャーまで届かず、失格になった。

アナ「3回投げられますが、キャッチャーに届かないと、そこで失格になります。」
解説「なかなか届かないものですよ。」

2番、レスリングの沢田英子も、キャッチャーまで届かず、失格。
3番、陸上の大竹道子も失格。

「うわあ~、次は貴子。一発驚かせてやれ!」
洋子は、気合の入った声をあげた。

キャッチャーに届いたときは、3球までなげられ、最高スピードが記録される。
アナ「前回98kmを投げましたが、中学のとき131kmを投げたこともあり、
   キャッチャーまで届くことは、間違いありません。
   さあ、なんkmが出るでしょうか。」
解説「1番の細身に見えますが、中学では、ナンバー1投手ですからね。」

恵美と二人。最後の二人くらいは、投げるだろうと観衆は期待していた。

貴子は、ゆっくりとモーションに入り、洋子に教わった通り、
一気にボールを投げた。ズバーンとミットに入った。
今までの選手とまるでレベルが違う。
151.4km
の球速表示を見て、観衆は、わあ~!と総立ちになって拍手をした。
貴子は、まず150キロ超えでほっとしたとき、
観客の一画が、抗議を始めた。

解説「何でしょう。どうしたのでしょうね。」
アナ「どうやら、前回98kmの人が、150を投げるのはおかしい。
   スピードガンが狂っているのではないかとの抗議のようです。」
恵美が素早く、貴子のそばに行き、
「大丈夫。疑いは絶対晴れるから。」と言った。

山城高校の小原幸恵。
「見りゃわかるじゃない。今のは、150キロ超えよ。」
「あたしもそう見た。」幸恵のバッテリーの小池が言った。

プレスの人達は、みんな小型のスピード・ガンを持っている。
洋子は、前にいる人の肩をチョンチョンとやって、
「持ってらっしゃるミニ・スピードガンはいくつですか。」と言った。
「あ、そうですね。151.4です。メインの・スピードガンと同じです。」
彼は、気が利き、10人のプレスの人に結果を聞き、
全部151.4であることを確かめ、10人が、客席に向かって、
大きな○を頭の上に作った。

アナ「あ、プレスの人達が、スピードガンは正しいとのサインですね。
解説「これは、ありがたいですね。」

やがて放送があった。
「白井貴子さんの先ほどの投球ですが、10人の報道関係の方の、
 スピードガンと数値が同じであり、
 白井貴子さんの球速は、151.4であったと判断します。」

「わああああああ。」と観客は、総立ちになり拍手を送った。
 疑った人は、済まなかったと、2倍の大きな拍手を送った。
「わあ~。」と貴子と恵美は抱き合った。
「ね。今度は、観客全員味方だよ。」恵美は言った。

貴子、2投目である。今のハプニングで、かえって気持ちが落ち着いた。
貴子は振りかぶった。気持ちのいいほど、ボールが飛んで行った。
バシンとキャッチ。
152.8が表示された。

再び観衆は、スタンディング・オベーション。
貴子は、続けざまに第3投。
153.0が出た。
わあと、恵美に抱き締められた。
観客は、大喜びだった。

洋子も夢中で拍手。
「わあ、貴子やるわね。150までしか教えてないのに。」
「本番に強いってことですか。」と安田。
「いえ、気合でしょう。」と洋子。

「ああ、次は恵美。貴子ちゃんに負けてもいいよ。」
と山城高校の小原幸恵はいった。

スターである稲村恵美ちゃんが、104km。見劣りすると可哀相。
観客の多くはそっとそう思っていた。
だが、恵美の表情に悲壮感はない。

恵美は、ボールを持つと、振りかぶり一気に投げた。
速い。
電光掲示板が、152.3を示した。

うおおおおおおおおおおと観客が総立ちになった。
隣で貴子が興奮していた。

2投目。恵美は、やや慎重に構え、投げるときは一気に投げた。
153.0
わああああああああああという歓声。
隣で貴子が、狂った様に興奮していた。

第3投目。
恵美は投げるとき、貴子をチラッと見て、微笑んだ。
モーションに入り、ビユーンと投げた。
バーンとミットの気持ちのいい音。
154.2
わああああああああと会場は、狂ったように拍手をした。

山城高校の小原幸恵は、感動しすぎて泣いていた。
「あ~ん、うれしいよ。恵美ちゃんが154.2だって。
 あたし、やる気出る。うれしい、うれしいよう。」
周りの部員は、「そうね、そうね。」と言いながら、小原の背中を撫でた。

「まあ、154.2だなんて、恐れ入りました。」洋子は言った。
「今日は、なんだね。ここで終わるのがいいな。バッティングは、
 別のときにやればいい。」中村は言った。
そう思ったとき、安田はいなかった。
やがて、戻って来て、
「監督のお言葉、ディレクターに言っておきました。
 バッティングコーチが、今日はこれで充分だって。」
「安田さんは、いつでも気が利きますね。」と中村。

やがて、アナウンスがあった。
「試合は、バッティングもありましたが、
 ピッチングの試合が伸びましたので、
 バッティングの試合は後日行うことにいたします。
 また、そのときもおいでください。」
 
ピッチングで満足をした観客はだれも文句をいわなかった。

この後、短期間の内に急成長をみせた稲村恵美と白井貴子に、
急きょ記者会見が行われることになった。

(記者会見そして二人の夢)


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スーパー洋子④『洋子の元に帰って来る貴子』

もう少しで最終回にいたします。
読んでくださるとうれしいです。
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スーパー洋子④『洋子の元に帰って来る貴子』


洋子のスケジュールに白井貴子の分が空いた。
恵美にとっては、ラッキーだった。
安田が、洋子に伝えると、洋子は、
「いいんじゃない。これで、コーチ同士の戦いにもなるわね。いひひ。」と笑った。

安田は、世界1のコーチといわれるジャクソンコーチを見に行った。
大がかりなピッチング・マシーンを作り、
投げる手首に、自転車のチューブを抵抗にして、白井貴子に筋肉強化をしていた。
一言ずつアドバイスを与える洋子とは、大変な違いである。

その内社長が来て、飲み物を持って来た。
「さすが、ジャクソン・コーチですな。
 ライバルの倉田コーチとは、えらい違いです。」と言った、
そのとき、ジャクソンが顔色を変えた。
「このミス・タカコのライバルのコーチは、ミス・ヨーコ・クラタなのですか。」
「はいそうです。でも、ジャクソン・コーチの足元にも及びません。」
「何をいいます。私は、大リーグ1.ミス・ヨーコは、地球1です。
 スーパー・ミラクル・コーチです。「神」ですよ。
 私なんか、遠く足元にも及ばない。
 申し訳ないが、私は、逃げます。失礼。

ジャッキー・コーチは、大掛かりな装置をそのままに、
逃げるように、行ってしまった。

安田は見ていて「あらあら。」と言った。

白井貴子は、社長の前で、泣きながら抗議していた。
「だから、はじめから、あたしは、倉田コーチと言ったんです。
 最後まで、倉田コーチと言ったのに、社長は、外国の人の名前をとった。
 一度、断ってしまったら、倉田コーチはもう見てくれません。」
白井貴子は、そう言って泣き崩れた。
社長は、ただ困った顔をするほかはなかった。

その夜。
貴子は、ほとんど口も聞いたことのない、稲村恵美に、
思い切って電話をした。
「白井さんね。あたしのライバルになる人ね。」
「稲村さん、今、いくつ投げてるの?」
「やっと白井さんに追いついたかな。130よ。」
「ああ、やっぱりね。」
「何かあったの?」恵美は聞いた。
白井はそこで、ことの次第をすべて話した。
「ひどいコーチね。あなたをほっぽりなげて。
 でも、大丈夫。倉田コーチは、また見てくれると思う。
 あたし、今、白井さんが抜けた練習時間もらっているの。
 それを、白井さんに戻せばいいんだもの。
 社長と行った方がいいわ。あなたに責任はないもの。
 最後まで倉田コーチって頼んだんでしょ。
 社長は怒られると思うけど、あなたは、平気よ。
 野球の出来る格好で行って、アップしてから行った方がいいと思う。」
「そうね、ありがとう。」
「あたしね、あなたと社長が来る前に、貴子ちゃんは最初から最後まで、
 倉田コーチがいいって言い張っていたこと、倉田コーチに伝えとく。」
白井貴子は言葉をつまらせ、
「ありがとう。あたしあなたとおしゃべりもしたことないのに、
 今日どうしていいかわからなくて、あなたに電話してしまったの。
 恵美さんは、ものすごくいい人なんだと思う。
 やさしくて、思いやりもあって、
 あたしの持っていない所、全部持ってる。
 だから、憧れてるのかな。」
「貴子さん。性格って変わるよ。
 あたし、貴子さんと、全国野球部の旅っていうのやりたいの。
 あなたとあたし、対照的じゃない。だから面白いと思うんだ。」
「わあ、それ「鶴瓶の家族に乾杯」みたいなの?」
「そうそう。思い切りパクリだけどね。NHKなら怒らないでしょう。」
「わあ、NHKなの?全国野球部の旅、いいね。すごく元気が出る。」
「じゃあ、明日ね。安心しておいでよ。」
「うん、ありがとう。」

貴子は元気が出た。恵美の魅力は、これなんだと思った。

日曜日。朝1番に、恵美は洋子に、貴子の気持ちを伝えた。
やがて、中村監督の家に、白井貴子と社長が来た。恵美もいた。
社長へのお説教は、安田に頼んだ。
洋子は、恵美と貴子を連れて、外に言った。
「あの、私も教えてくださるんですか。」と貴子。
「そうよ。社長と関係ないもの。あなたの気持ちは恵美が朝一で言ってくれたし。」
貴子は、恵美を見て、涙を浮かべた。
洋子は、貴子の投球を見るために、1球なげさせた。
そして、貴子のフォームを、ちょいちょいと直し、
もう一度投げさせた。
貴子も見事に、1回で、すべて会得する。
「いいわよ、貴子さん。じゃあ、二人で、135kmへの道行きましょう。

10分の練習の最後である。目指すのは、140km。
恵美が先に投げて、140.2km。
恵美は、飛び上がった。
貴子は、気を集中させ投げた。気持ちのいいくらいボールは飛んだ。
「わあ~~拍手。140.4です。」と洋子が言った。
「ほんとですか?」と言って貴子はしゃがんで泣き始めた。
「うれしい、うれしい。」と貴子は繰り返した。

30人くらいの拍手の音。
「とうとう、140ですね。俺ら、うれしいです。」
「二人で、いいライバルですね。」
「貴子さんも来られるようになったんですね。」
「中学のとき、女子野球のエースだったでしょ。俺、かなり憧れていました。」
「そうですか。うれしいです。」貴子。
「記録、社長に内緒がいいわよ。
 他のことで使われちゃうから。」恵美。
「そうですね。」と貴子はくすっと笑った。
「さあ、安田さんの社長へのお説教、終わっているかな。」と洋子。

応接間にあがってみると、和テーブルを挟んで、
安田の前で、貴子の社長は、小さくなっていた。
外国のコーチの件と昨日倉田コーチが、恵美さんの社長に言っていたこと、
ばっちり伝えておきました。」と安田は、にっこりした。
「ありがとうございます。」洋子は、安田に拝んだ。
相当怖かったのだろうと、洋子は、思った。

この調子で、貴子と倉田洋子での契約書を結んだ。
これで、貴子に八百長ができなくなる。

次の日、恵美と貴子は、そろって152kmを投げた。
二人は、うれしくて、抱き合って喜んだ。
野球部の連中が50人はそばで見ていて、150km突破の瞬間、
大きな拍手をした。
「すごいなあ。俺まだ150km投げられていない。」
「目標達成、おめでとうございます。」
「大変なことですよ。ほんとにすごい。」
「俺ら、これから先も、お二人のこと応援します。」
二人は、「ありがとう、」と涙に暮れた。

それから、中村監督の打球の練習があった。
毎回130kmの球を打てるように、洋子が球をなげた。
中村は、細身の貴子に、半一本足打法を教えた。
すると飛距離がどんどん伸びた。
恵美は、そのままのフォームで、微調整をしていった。
150kmのボールはまだ無理なので、130は確実に打てるようにした。
二人は、抱き合って喜んだ。
「さすが、監督ですね。」と洋子は言った。
「二人のフォームすごく綺麗ですよ。」と安田。
「5人の競争大会、楽しみだね。」と監督が言った。
「10日後だそうですよ。」安田。
「さすがに、安田さんは、情報が早いね。」
「いや、電話して聞きましたから。」
「あそうか。」とみんなは笑った。

(次回は、「本番5人の投げ比べ」です。)

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スーパー洋子・稲村恵美をコーチする③「稲村恵美の才能」

今度こそ、ページを間違えていないと思います。(昨日は失礼しました。)
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スーパー洋子・稲村恵美をコーチする③「稲村恵美の才能」


稲村恵美は、洋子が言って聞かせたかったことを、全部自分で言った。
性格が、とてもよく、謙虚である。

「あなたの、志、とてもいいですね。じゃあ、立ってください。
 身長173 いいですね。スリーサイズ86-61-88、後は、靴24.5ですね。
 腕の筋肉よし。ももとふくらはぎの筋肉よし。
 奥歯に虫歯はありませんね。すべてよしですね。」
「見ただけで、わかるのですか。」恵美。
「うふん。そうなの。」

「では、あなたが、150kmを投げるまで、コーチをしましょう。
 ここに来るまでに、走ってアップを済ませてくるあたり、えらいわ。
 白井貴子さんも、150km投げられるようコーチして、
 いつも、二人の対決になるっていうのはどうですか。」

「女子野球の発展を考えると、その方がいいと思います。
 ライバルがいれば、互いに磨き合えると思います。
 白井さんの実力は、正当に評価されるべきです。
白井さんを見て、野球に憧れる人もいれば、
 私を見て、憧れてくださる人もいると思います。
 それに、白井さんの人気が出れば、なによりだと思います。」
 
「私は、公立校の教師なので、アルバイトでお金もらってはいけないの。
 だから、コーチ料はいりません。」
「そうなんですか?」恵美は、驚いたような、うれしいような顔をした。」
「このことは、社長にしばらく内緒にしておきましょう。おもしろいから。
ところで、オーバースローはできますか。」
「中学3年間、オーバーでした。」
「これからはオーバーにしましょう。今のサイドスローもかっこいいのですが、
 オーバーの方が、速く投げられます。じゃあ、今から10分コーチしましょう。」
恵美は靴を履き替え、丸いボール的のあるコンクリートに行った。
「じゃあ、久々のオーバースローで。」
恵美は、投げた。
部活の終わった1年生がボール拾いをしてくれる。
「すいませーん。」と恵美は、1年生に言った。
「98km。やるじゃない。」
「わあ、見てわかるって本当だったのですね。」
「小数第2位までね。さっきの98.24kmだったの。」
「すごいです。」
「今度は、踏み出し脚を、3cm前に、つきますよ。」
恵美は投げた。
「すごいすごい、もうサイドスローを超えたわ。
 103.48.」
「わあ、マジックみたいです。」
 今度は、投げるときのヒジを3cm前に出して。」
恵美は投げた。
「一気に、105.78行きましたよ。」
「あたしの最速記録です。」
「すごいわ。今度は、ボールを持った手を、
 投げるとき、後ろに2cm余分に引いて、投げましょう。」
恵美は投げた。
「108.24行きましたよ。」
「わあ、すごい。もうすぐ110ですね。」
「そうね。あなたは、構えるとき、左足を折りヒザを高くお腹まで持ってきて、
 1本脚になるでしょ。あれの、上げる脚を5cm低くしてみて。」
恵美がなげる。
「ほら、110.34いったわよ。」
「わあ、うれしい。こんな短時間に、110なんて。」
「今日の最後。あなたは、投げるとき、グローブの腕をのばし、
ブラブを下に向けて、投げるでしょ。
あれは、ブログを下に振って、投げの腕に反動をつけるためにするんです。
でも、大袈裟にやったらバランスを崩すから。ちょっとだけのつもりで投げてみて。」
恵美は、少し宙でやってみて、思い切り投げた。
「わあ、ぱちぱち。」と洋子の拍手。
「114.48いきましたよ。」
「じゃあ、10キロの向上ですか。」
「そうよ。」

洋子は最後に言った。
「帰って、おさらいをしたいでしょ。
 でも、それやらない方がいいです。習ったことが、崩れちゃう。
 今日やったことの、イメージトレーニングはやってもいいです。」

暗くなったグランドに、野球部の選手が、30人くらい見ていて、
すごい拍手をくれた。
「恵美さん。進歩がすごいですよ。」
「俺ら恵美さん好きだから、応援してます。」
「俺ら、10キロ伸ばすの並みたいていではないです。」
「ありがとう、うれしいです。
それから、球拾いをありがとうございます。」と恵美は満面の笑顔を見せた。

帰って来ると、社長が来ていた。洋子が先にいて、こんこんと言い聞かせていた。

次。恵美さんにビキニを着せても、スーツを着せても構いませんが、
 野球と一緒にしないでください。野球とセクシーは合いません。
 それが、ビキニを着て、水に入り、ここでバットを振らせるなんてのは最低です。
 ミニのスーツスカートで、打撃をすると、ある人達は、セクシーだと思い喜びます。
 でも、だめです。タイトスカートでバッドを振ると、太ももの筋肉をいためます。
 撮影で4、5回なら、いいですけどね。
 セクシーなものと野球とを一緒にしないでください。
 卓球の福原愛さんは、ラケットを持ってビキニになりましたか。
 それは、卓球とビキニが合わないと、彼女は教わらなくても知っていたからです。

 社長は、今が稼ぎ時とばかり、恵美さんに何でもかんでもさせていますが、
 恵美さんを長持ちさせたいなら、以上のことを守ってください。
 もう一度八百長をしたら、恵美さんのタレント生命は終わりです。

「それから、これは、今社長に言ったことをまとめた「誓約書」です。
これは、恵美さんの野球が、不当に使われるのを防ぐためのものです。
また、コーチの私が、恵美さんに不当なことをしたとき、彼女を守るものです。
これは、1枚ですが、イチロー選手なら、30ページくらいありますよ。
コーチを使うときは、どこでも必ず交わすものです。
さっき、ずっと頷いてらっしゃったので、OKですね。
たかが「誓約書」と思わないでくださいね。
裁判になったら、この1枚で、社長は負けますよ。

社長は、うなずき印を押した。
2枚あり、1枚は、洋子が持った。

社長と後藤と恵美は、深く礼をした。

帰り際、社長は、恵美に聞いた。
「今日のコーチで、少し伸びたか。」
「たった10分のコーチで判断なさる気ですか。」
「そうだな。お願いしたからには、最後まで信じないとな。」

「どうでしたか。恵美ちゃんは。」と中村監督。
「すごい素質です。教えたこと全部一発でマスターしました。」

「もう一人の白井貴子さんもコーチして、
150kmどうして競うっての、私は賛成です。面白いです。」
と安田。
「もしかすると、恵美ちゃんが追いついて、白井さんを抜くかもです。
洋子は言って、くくっと笑った。



次の日、意外な電話がかかった。安田が出た。
白井貴子の社長が、洋子のコーチを断るというのだ。
大リーグを退職したヤンキーズの名コーチ・ジャクソンが、
来日の折、白井貴子に目をつけ、コーチをしたいという。
事務所は元ヤンキーズのコーチと聞いて、二つ返事でOKした。
白井貴子本人は、あくまで倉田コーチに教わりたいと言ったが、
事務所は、ネームバリューを優先し、ジャクソンに依頼した。

(次は、「ジャクソンコーチ、いい加減すぎ」です。)

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スーパー洋子・稲村恵美をコーチする②マネージャーさらにぼろぼろ

勘違いしまして、昨日投稿したものを、
今日も投稿してしまいました。お詫びいたします。

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スーパー洋子・稲村恵美をコーチする②「マネージャさらにぼろぼろ」


そのとき、洋子が、髪を拭きながらやってきた。
「お風呂、ありがとうございます。」
後藤を見て、
「お話は聞こえてました。」と言った。
「後藤さん、人気の恵美ちゃんのコーチの依頼をすれば、
 それを私が、光栄に思い、喜ぶと思ってお出でになりましたね。
 だから、練習時間など決めず、恵美のスケジュールに合わせてもらう。
 コーチとして名が売れる。こんないい話に、乗らない方がおかしい。
 恵美はテレビで見てるんだから、連れてくる必要なし。社長なんてわざわざ。
 ソフトにお話されてるけど、胸の中は、上から目線丸出しです。
 いわば、恵美を教えさせてやるんだと、完全に私達を見下げてる。
 それが、あなたが、何も考えて来なかった理由。
 こちらの安田さんは、それを怒ってらっしゃるのです。

 さっき、安田さんに言われて、やっとスマホを見た。
 で驚いた。これは、ちょっとは態度を変えなければいけないと思った。
 社長も来ず、本人も来ない、私が、教員であることも知らなかった。
 すでに、数々の無礼を働いてしまったことに、今、おろおろとされてる。
そうですよね、安田さん。」

「そのとおり。そういう上から目線が崩れるとき、人はおろおろするんです。
 昔風な、テレビに出してやる、新聞記事にしてやるというようなね。」安田。
後藤は、あまりの図星にうろたえていた。
「こういうときは、大人なら、何かいうものですよ。」安田。
後藤は両手をついた。
「その通りです。私どもに驕り高ぶりがありました。
 人気の稲村恵美なら、そちらは喜んでくれ、
いくらでも事務所の要求に合わせてくれると思っていました。
ギャラは、こちらの予算に合わせていただく。恵美のスケジュールに合わせて、
練習していただく。だから、練習時間など考えてきませんでした。」

そのとき、中村が、「あははははは。」と笑った。
みんなが見た。
「失礼、野球界もずいぶんアバウトですが、芸能界も相当なものですな。
 後藤さん。恵美さんの人気度をしっかり把握することですよ。
 私たちは、野球人だから、知っていたに過ぎない。一般の知名度が大事ですよ。」
中村は言った。

洋子が言った。
「後藤さんの最も大きな勘違い。恵美さんが人気があると思っていたこと。
 さっきも『人気の稲村恵美ならば』といいましたよ。しかし、恵美さんは、まだ、全く
 人気なんかないのです。
 現実をしっかり伝えましょう。
メモしないでいいのですか。」
後藤は、あわててメモ帳を出した。
「恵美ちゃんの知名度は、今、1、67%です。
100人の内、1人か2人が知ってます。
 タレントでは、1808番目です。下から、6番目。
 野球を見ない人の知名度は、0、27%
 500に一人しか知りません。
You Tube で恵美ちゃんを見る人は、延べ人数として786人。
でも、このほとんどの人は、リピーターで、頭数にしたら、
45人です。つまり、恵美ちゃんのファンは、全国に人45います。
知名度2%以下は5流タレントですよ。
ギャラなんてない。ゼロ円か、いくらかをこちらから出して番組に出させていただく身です。
そのマネージャーが、上から目線で、甲子園優勝校の
監督や、マネージャー、私に、
「コーチさせてやる。」と全く身の程をわきまえない態度をとる。
社長も本人も来ない。
少し、身の程がわかりましたか。

私、このデーターお風呂の中でさっき見たの。
後藤さんは、恵美ちゃんの専属マネージャーでありながら、
今のデータの、6分の1も知らなかったでしょ。
まあ、見てたのは、オリコンだけかな。」

「後藤さん。大迫誠司って人知ってますか。」
「全く知りません。」
「恵美ちゃんの知名度は、彼と同じくらいです。
 何をしている人かも、全くわからないでしょ。」
「はい。」後藤は力なく答えた。
「それが、恵美ちゃんの現実です。」

後藤は、洋子の言葉に、コテンパンだった。
稲村恵美の人気が、こんなに低いとは思わなかったのである。
それなのに、上から目線で話したことが、恥ずかしくてならなかった。

「さっき、自分達に驕り高ぶりがありましたっておっしゃいましたね。
それ、社長に言えますか。そして、恵美の人気は、まだまだ、これほど低い。
偉そうな顔して、上から目線で話し、
これほど恥ずかしい思いをしたことは、初めてだったと。
「はい、言えると思います。いえ、必ず言います。」


「後藤さん。あなたのところ、八百長するでしょ。」洋子。
後藤はドキットした。また別の方向から攻撃だ。
130km投げられる白井貴子さんに、
98kmしか投げさせなかった。

 今ね、全国で女子野球が流行ってて、
 中学生で、130kmぼんぼん投げますよ。
 高校生は、140kmぼんぼん。
 その子達から見て、恵美ちゃんの104kmなんて、
ちゃんちゃらおかしくて、笑ってますよ。
悔しいでしょ。
 だから、恵美ちゃんは、150km投げないと、笑われちゃう。
 
 あなたは、メモもせず、私達が言ったことの3分の1も覚えていない。
 恵美ちゃんのマネージャーでしょ?大丈夫ですか。」

後藤はドキンとした。3分の1も、覚えていなかった。
こんなに自分のダメなところを指摘されたのは初めてだった。
「帰って社長に相談し、社長と本人とでお願いにあがるようにします。
 失礼しました。」
と立とうとした後藤を、安田が止めた。
「後藤さん。あなたわからなすぎ。
 明日来てどうするんです。コーチに5分も会えませんよ。
 明日の子がくるんですから。」
 今日しか、ないんですよ。
 なぜ、恵美ちゃんを直ちにここに呼ばないのです。
 この場で、社長も呼んで、この場で説得しないんです。ああ、親切しちゃった。」と安田。

「は、はい、そうですね。」と言って、後藤はまず、稲村恵美に電話をした。
電話の向こうとこちらで、声が聞こえる。
「え?ほ、ほんとですか。倉田コーチがそこにいらっしゃるんですか。」
「知ってるの?」
「あたりまえですよ。男女合わせて世界一の選手であり、世界一のコーチです。」
「今晩来れるかい。明日だと、別の子が来て遅れをとる。」
「私のとなりで投げた可愛い人ですね。白井貴子さん。
 あの人、本気出せば、130km超えです。
 あ、今すぐいきます。アップのために電車とランニングでいきます。」

恵美は20分後に、息を切らせながら来た。
運動用のハーフズボンにTシャツにタンクトップ。大きなバッグを下げていた。
あがるなり、洋子を見つけて、両手をついた。
「稲村恵美です。5年前から、倉田コーチに憧れつづけてきました。
 月刊甲子園を隅から隅まで読んでいます。
 素敵なエピソードに何度も感激しました。
 この前のドンジャーズとシャイアンツ戦は、録画して、100回以上見ました。
 もう、感動して、感動して、涙が出てとまりませんでした。
 私の野球の実力は、まだ恥ずかしいだけのものですが、精進して、
 野球タレントとして女子野球の普及に尽くしたいと思っています。
 卓球の福原愛ちゃんのようにです。
 今、富山県山城高校の女子野球の小原幸恵さんは、143kmを
 お投げになります。中学生で、130km以上投げる方が12人います。
 そんな方から見れば、私なんか笑い者です。
 私は、女子野球界の1つの目標になりたいのです。
 そのために、いくら無理でも150kmに挑みたいのです。
 コーチ料が高いと思いますが、自分の子供の頃からの貯金でお支払いします。
 また、両親に借りてでもお支払いします。
 どうか、どうか、コーチをお願いいたします。」
恵美は頭を下げた 。
「社長は、出してくれないのですか?」洋子。
「社長は、この前八百長をしました。私は、それを受け入れることができません。
 いくら芸能界のショーだと言え、あれで、白井貴子さんは深く傷つきました。
 私は、勝ちにしてもらいましたが、芸能界の世界にだって、人情があります。」

中村、安田の目をみると、好感を持ったようだった。洋子も好感をもった。

(次は、「恵美の練習始まる」です。)

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スーパー洋子・稲村恵美をコーチする①

<これは、タレントの稲村亜美さんをモデルにしたフィクションです。
エピソードその他は、実在の出来事ではありません。>
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スーパー洋子・稲村恵美をコーチする

夜の7時、美輪高校野球部の中村監督の家でマネージャー安田とで、
訪問者(後藤三郎・40歳)の言葉を聞いていた。
「最近神バッティング、神ピッチングで売り出している、
 稲村恵美というタレントをご存知でしょうか。」
「ああ、知ってますよ。女の子にしては、投げますね。
 100kmほど投げるんじゃないですか。」と中村。
「知ってます。」と安田。
「その稲村が、ライバルたちに抜かれそうなんです。
 そこで、こちらの倉田コーチに、ご指導願えたらと思い、
 参上しました。」
「稲村恵美さんは、車の中ですか?ここに、呼んでください。」安田。
「いえ、本人は来ていません。」
「まさか。コーチを受けられるかどうか、これは一種のオーディションですよ。
 本人が来なくて、こちらはどうやって、判断するのです。」
「まず、いいかどうか、うかがってから、連れてこようと思っていました。」
「本人がいないのに、いいか悪いかどうやって判断するのです。」
安田は、同じマネージャとして、いらいらしていた。

「後藤さん、すいませんけどね。あなた、ここにいらっしゃるとき、
 いろいろ考えていらっしゃいましたか。」
「といいますと。」後藤。
「倉田コーチは、この学校の教師ですよ。知っていましたか。」
「あ、それは知りませんでした。てっきりコーチ専属の方かと。」
「5時に勤務が終わり、それから、野球部のコーチです。
 7時に終わります。それから、風呂に入り、夕食を取ります。
 9時近くになります。
 いつ、コーチを受けたいと思われて、お出でになりましたか。」
「すいません。その辺は、全く考えませんでした。」後藤。
「今、考えてください。」
「9時過ぎに来させるしかありませんね。」
「倉田コーチに、9時以降も働かせることになりますよ。」
「そうですね。9時以降ではあんまりですね。」

「話題を変えます。倉田コーチについて、どれだけの知識を持って、
 来られましたか。」安田。
「甲子園の優勝校のコーチだということです。」
「それだけなら、過去の優勝校がたくさんあります。
そのコーチに頼んではどうどうですか。」
「はい、すみません。」後藤はうつむいた。

倉田コーチの投球の最高速は?」安田。
「す、す、すいません。知りません。
「倉田コーチは、世界最高のコーチと言われ、
 アメリカ大リーグで、コーチを頼めば、10分日本円で20万円です。
 そういうことを調べてから、企画を練り直してください。

 そして、あなたの最大のミスは、本人稲村恵美さんを連れてこなかったことです。
 これは、言わばオーディションと言いましたね。
 毎日のように、コーチ依頼に人が来るんです。
 だから、後藤さんは、オーディションに母親だけが来たようなものです。
 審査員は、お母さんを見て、どうやって判断するのです。」
 
「すみません。そこまで考えてきませんでした。」
 
「あのう、世界最高のコーチだなんて、ほんとうですか。」
「嘘に決まっているでしょう。だれが決めたんです、そんなこと。」

中村は、くすくす笑っていた。

「では、事務所に帰り、調べ、社長の諒解を取って明日参ります。」
「あなたも、分からない人ですね。
 明日は、明日の子のコーチをするんです。あなたと、お話もできません。
今日だけが稲村さんの日だったのです.
 そんな貴重な日に、あなたは本人も社長も連れて来ない。
今日を逃したら、次は、何か月先か分かりません。
 あなたは、はじめに、ライバルに抜かれそうだといいましたね。
 それは、白井貴子さんのことでしょ。彼女は明日来ますよ。
 そして、150kmを投げられるようにコーチを受けて、帰って行きますよ。
 稲村さんは、優秀なコーチなしでは、何年かかっても、150kmは、投げられません。
「ど、どうしたらいいでしょう。」と後藤。
「今日だけが、稲村さんの日と言ったでしょう。
 倉田コーチのアウトラインは、今ここで、スマホでわかるでしょ。
 失礼だが、今、事務所は、稲村さんにおんぶにだっこじゃありませんか。
 だったら、社長と二人を大至急呼ぶんです。それができなければ、終わりです。」
「は、はい。じゃあ、失礼いたします。」
後藤は調べた。
・アメリカ シャイニーズと対戦。
シャイニーズ最高の投手ロディの球を11球連続場外ホームラン。
・投球185kmアベレージ。最高190km2回。
・大リーグ最高の選手であり、コーチであると認められている。
・年6億のコーチとしてのオファーを受けたが、それを断り、
 山梨県立美輪高校のコーチをしている。
・アメリカに招待され、コーチをすることもあり、
 コーチ料は、10分1000ドルである。
・シャイアンツのエースピッチャー・ロディに、15秒ほどのコーチをし、
ロディが、前人未到だった170台の球を頻繁に投げられるようになったことは、有名である。

超人的な記録ばかりだ。

後藤は、それを読んで、あまりのすごさに、身震いがした。

こんな人に、マネージャーの自分が一人で頼みに来るなど、
いかに、非常識かがわかった。
世界のイチロー選手に、恵美のバッチングをコーチしてくれと、
ギャラも調べず、本人を連れても来ず、言いに来たようなものだ。
後藤は、あまりの恥ずかしさに、頬が赤くなった。

(次回は「恵美のコーチ始まる。」です。)


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スナック・アユカ⑨「正子(前社長)へのプレゼント」最終回

長く続けて参りました。いよいよ最終回です。
お時間のあるときにでも、読んでくださるとうれしいです。
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スナック・アユカ⑨「正子(前社長)へのプレゼント」最終回


彩花と美晴で、一番お世話になっている「新井工業」に挨拶に行った。
感謝の言葉を綴った「感謝状」の盾を持って行った。
工員の人がみんな集まって来た。
「私、この度社長になりました。」というと、
みなさん喜んでバンザーイをしてくれた。

そこで、盾を取り出して、読んだ。

新井工業様

感謝状

いつも製品に絶え間なく改良を加え、
製造業者の負担の軽減に努めて来られました。
感謝の意を込め、ここに縦をお贈りいたします。

社長 武田彩花

社長に渡した。そして、お菓子も渡した。
みんなで大きな拍手をした。
それから、第一秘書の美晴を紹介した。

みんな、おおおおおと声をあげた。
「もう、美女のお二人ですね。
 お出でに成るのが楽しみです。」とAさんが言った。

少し、工場見学をした。
「あ、これは、油槽の底のたまりかすを取る工夫ですね。」と彩花。
「いつもながら、お目が鋭いですね。」と社長。
「これができたら、大量の油を捨てなくて済みますね。」
「その通りです。だから、今、がんばっています。」
「がんばり甲斐のある装置ですね。こちらは、ほんとに、なさることがすごいです。」
「さすが、社長さん。」
とみんなが、拍手をしてくれた。

二人が行った後、工員たちはいった。
「相変わらず、よくわかってくださいますね。」
「社長さんになられて、本当によかったです。」

車の中。
「あやか、本当にすごいね。一目でわかるんだもん。」美晴。
「美晴なら、すぐにわかるようになると思うよ。」彩花。
「うん、勉強しようと思ってる。」美晴。

二人はそのまま麺工場にも行った。社長は50代の女性である。
そこでも、社長になったことを伝え、美晴を紹介した。
感謝状の盾を渡し、みんなに大喜びされた。
「あ、工場長、汁の色がかわりましたね。」
「あいかわらず、よく見てくださいますね。」
 少し関西風を目指しているんです。」
「きっとそれ正解だと思います。」
会社にとっての命綱は、この2つの工場だ。



7時を過ぎた。
ここは、小さな飲み屋が並んでいる新宿はゴールデン街。
店の明りに「正子 七色の声」とある。
(元社長の店である。)
「やあ、ママ、彩花ちゃんのプレゼントが来たわよ。」
と派手なワンピースの女性が、1番乗りで入って来た。

紫のロングドレスのママが言った。
「あら、あなたは確か、スナック・アユカの朱美さんでしょう。」
「おお、さすが水商売の人ね。名前覚えちゃうんだ。」
「まあね。で、彩花ちゃんのプレゼントって?」
「ママが、この店だけでやっていけるようにって、あの子いうのよ。」
「まあ、あの子、どこまで義理堅いのかしら。」
「あたし、魔法使いだから、ママを美人にしにきたの。」
「まあ、ほんと?」
「女優なら、誰みたいになりたい?」
「石原さとみちゃん、伊東美咲ちゃん。このお二人に、あたし感じちゃうの。」
「ママは、美咲ちゃんのタイプだな。で、年は?」
「20歳じゃ、ふっかけすぎよね。32歳。」
「ママは、七色の声が売りだからさ、声はいじらないでおこう。
 いい?」
「いいわ。男の声が出た方が、お客様に受けるし。」

「じゃあ。」と言って朱美は、栄養ドリンクのようなものを取り出した。
「はい、ママ。これ飲んで。」
ママは、飲んだ。
「わあ、すごい、体からエネルギー湧いてくるわ。」
「ママ、鏡見て。」
ママは、見た。
「わあ、これ、どうして?どうして?あたし、伊藤美咲のそっくりさんみたい。
 イイ女だわ。スタイル抜群。ね、朱美さん、これ、一生?」
「一生よ。」
「わあ~ん、うれしい、うれしい。ありがとう。」ママは泣き出した。

そのとき、彩花、美晴、奈々、久美、リリ、里美が入って来た。
「ママ、超ステキ。大変な美人。」と彩花が言った。
「まあ、彩花ちゃん。あなたのプレゼントって、これなのね。
 これなら、お客さん来ていただける。お店だけで生活できるわ。ありがとう。
 朱美さんありがとう。
 魔法なんて、信じてなかったわ。夢みたい。うれしいわ。
 さあ、みなさん、7つしか、椅子がないけどぎりぎりかな。
 お座りになって。
みなさん、美人ぞろいだわ。」
「ママ、美晴さんが、秘書になってくれたの。」彩花。
「そう。美晴さんは、一度お会いしてますよね。」
「ママ、覚えてくださったんですか。」
「もちろんよ。」
「あたし、伊藤美咲大好きだったから、うれしいです。」と美晴。
「あたし、前の壁に鏡をつけるわ。いつも、自分を見ていたい。」

水割りを入れて、乾杯の前。
「開店祝い?彩花の社長の就任祝い?」
「両方よ。」と朱美。
乾杯の音が弾けた。

みんなは思った。
また一つ「家」ができた。


<おわり>


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スナック・アユカ⑧「感激のボーナス」

次回、最終回にするつもりです。長々とすみませんでした。
今日も読んでくださるとうれしいです。
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スナック・アユカ⑧「感激のボーナス」


彩花は、驚くべきスピードで、社員への公約を果たしていった。

社員の仕事は、本当に5時に終わった。
明るい内に帰れるというのは、新鮮な喜びであった。

アユカの精鋭とは、誰だかずーと彩花にも内緒である。
連絡はいつもメールでする。
彩花の社長就任後、2人がいなくなったが、1人「クマ」さんという人が、
いてくれている。これは、美晴も知っている。
彩花はクマさんに「パソコンの苦手な人教えてください。」とメールを打った。
すると1分もかからず、返事が来た。すごい!と思った。
6人の人だ。
彩花は出て行って、6人の人に、小会議室に来てもらった。
40歳代50歳代の人が多い。
一人一人、どの程度苦手か、言ってもらった。
「パソコンへの劣等感で、会社辞めようかと思ったくらいです。」
「ワードはまあまあですが、エクセルは、完全にさっぱりです。」
「私も全然で、辛い思いしてます。人に聞くのが悪くって。」
とみなさん同じ程度だった。

彩花は言った。
「こんなのどうですか。この6人の方で、パソコンの苦手同士、
 かたまって、1つの島にします。
 そして、この島の方々には、パソコンをあまり使わないお仕事をまわします。
 社内のプリントなら、すべて手書きでけっこうです。
 それでも活字でというときは、私か、秘書の美晴さんが打ちます。
 苦手同士の方で、互いに教え合うのもいいと思います。

 そして、皆様まだお若いので、この際パソコンを覚えたいと
 おっしゃるなら、毎日お仕事は5時に終わると思いますので、
 6時まで、1時間のパソコン教室を、私と秘書さんでいたします。
 いかがですか。」
「それは、うれしいです。苦手同士なら、気軽に聞けるし、気が合います。」
「私も、聞いてうれしくなりました。ありがとうございます。」

「1時間のパソコン教室はどうなさいますか。」
「希望します。」と全員が手をあげた。」
「これで、決まりですね。」と彩花はにっこりと言った。

彩花は、すぐに、みんなに訳を話し、デスクの移動を行った。
6人の新しくできた島にいって、彩花は、
「いかがですか。」と言った。
「いいです。大きな重みが取れた思いです。」
みんな嬉しそうだった。
「では、これは、午後の仕事です。パソコン使いません。
 5時には終わる量です。」
おおおおおと6人は拍手した。
「社長は、早いですね。おっしゃったこと、即実行です。」

6人はその日、パソコンがなく、恐怖感のない午後を過ごした。
それから、1時間のパソコン教室。彩花と美晴が付いた。
ほとんどマンツーマンである。
教室が終わって、みんなで帰路につくとき、
「江崎さん。どうだった。」
「俺、まいっちゃったよ。社長も秘書さんも超美人じゃない。
 緊張しちゃってたまらなかった。」
「俺も、マウスもってる俺の手の上に手を重ねて、教えてくれるじゃない。
 最高に、幸せだったよ。」
「止めたい人いる?」
「いない、いない、いない。」と全員が否定した。

6人は、そのまま飲みに行ったようだった。



高橋が搾取したお金が戻って来た。
なんと20億を超えていた。
彩花は、早速経理を通し、200店の店長に、ボーナスとして送ることにした。
200店にアルバイトが2人、6時間として、1年5か月間働いた分である。
店長一人500万円を超えた。これは、返さないといけない。

その日の「彩花通信」としてメールを送った。

「みなさん、お元気ですか。社長になった彩花です。
 今日、不正を働いた人から、お金が戻ってきました。
 これは、アルバイト2人が1日6時間1年5か月働いたとして、
 それに相当する額を計算しました。
 みなさまは、これだけの過剰労働をなさったので、お返しします。
 計算よりやや少ないかもしいれません。
 そこは、かんべんしてくださいね。
 銀行の通帳に、もう振り込まれていると思います。カードもOKです。

 今回は、多額ですが、次回からは、一般社員と同じになります。

 みなさんが、この2年、苦労し、大変な環境の中で、
 お店を営んでくださったことへの、お礼でもあります。
 何らかの心の支えになりますように。

 彩花



江崎五郎は、富士見そばのシャッターを下ろし、
コンビニのATMに直行した。
そして、カードを入れ、1000円引き出した。
残高照会をもらった。そして、見た。
「うそー!」と思わず声を上げた。
500万円である。
「うそ、うそ、うそー。」と言って、紙をしまった。
涙が出た。
今までの、苦労がいっぺんに報われる。そう思った。

200店の店長が、みんな同じ思いで、感激していた。
よくて100万円と思っていた人ばかりだった。

思わず、泣いてしゃがんでしまった女子店長もいた。

胸のすくような金額だった。
彩花社長を、さらに身近に感じた。
会社への愛情を初めて感じた。

(次回、「いよいよというか、やっと最終回です。」)


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スナック・アユカ⑦「社長就任演説」

もう、⑦になってしまいました。
もうそろそろ終わらないといけませんね。
がんばってかきます。読んでくださるとうれしいです。
============================    

スナック・アユカ⑦「社長就任演説」


彩花は、全国200店の店長さんと、メールでつながっていた。
一斉送りだが、毎日、店長さんを励まし続けてきた。
それが、昨日は、やっと社長になれたと報告した。
アルバイトの人を、4,5日で見つけるから、もう少しがんばってください。
そうメールを打った。
「社長就任おめでとうございます。うれしいです。
やっとぼくらに春が来ました。」
そんなメールがたくさん届いた。

翌日、新社長就任の挨拶というのがあった。
いわば、社長の就任演説である。
2階の大会議室に椅子を前に向けて並べ、約50人の社員が座った。
第一秘書に指名される美晴は、最前列の右端にいた。

みんなは隣同士ぼそぼそ話していたが、その内容は同じ。
新社長、大丈夫かなあというものだった。
司会が、社長の名を呼び、彩花は壇上に出ていった。

「新しく社長になりました武田彩花です。」
というと、大きな拍手があった。
「ありがとうございます。それにしても、まあ、みなさま、
 心配と不安が混ざったお顔をなさって(皆、笑い)、
 無理もありません。(笑)
 上の方々が、ごそっといなくなり、一体会社はどうなるの?
 ということよりも、新社長、大丈夫かなあというご心配の方が、
 やや大きいようですね(皆、笑い)。正しいです。(笑)
 全部長様がごっそりいなくなりましたことは、皆さま、ある意味
 ラッキーなんですよ。
 私は、外から、部長代わりの方をお迎えする気はありません。
 ということは、部長様方のお給料が、皆様に当配分され、
 皆さま全員、お給料が上がるんです。(拍手。)
 ちょちょっと暗算なさってみてください。
 「おおお、やったぜー!」となりますでしょ。
(大勢がうなずいている。)

 ということで、私は、当分の間、部長を置かず、
 ここにお出での皆さまだけで、
会社運営をしていきたいと思っています。
部長なしで不安だと思われますか?
それとも、清々したと思われますか?(笑)
私は、清々しましたが。(大笑い)

部長なしでも、きっと皆さまは、やっていけると私は信じています。
起案は、私だけ通せばいいことになります。私、うるさくないです。
部長会議などありません。
いい案がある方。私だけを説得されれば、それでGOです。
気持いいですよ。(笑)
こんな感じで、しばらくやっていきたいと思います。
世の中よくしたもので、部長さんがいなくても、
自ずと部長のような役をしてくださる方がいるんですね。
「鍋奉行」のように。
「あれ、いつだっけ?」誰かがおっしゃり、
「2週間後ですよ。」と答えてくれる人が必ずいます。
パソコンでもたもたしている方がいると、
「待って、ここは、こうですよ。」
と絶妙なおせっかいを焼いてくださる方。(笑)
こうして、部長を決めなくても、うまく行ったりします。
それが叶えば、云万円ゲットです。
私もがんばります。皆様、挑戦してみましょう。

私は、このオフィスの全仕事をおさらいしてみました。
すると、これはしなくてもいいのでは、という仕事が、けっこうあるのです。
3分の1ほどです。
これをなくして、皆様の負担を軽くし、
夕方5時に、きっかりと皆さまが帰れることを目指しています。
5時帰りっていいですよ。外は、まだ明るいんです。
1杯やろうかと飲んでも、お夕飯に間に合います。
飲んで、ご家庭のお夕食を食べないと、ご家庭内の評価が下がりますから。

私は、仕事が遅く、ミスが多いと評判です。
ですから、私は、同じような方の気持ちがよく分かります。
「お気持ちがわかる」というだけなんです。(笑)すみません。
でも、最低叱ったりしません。
「深呼吸をして、慌てずにやってください。」そういう程度です。
ただ、パソコンが苦手という方は、
かなり辛い思いをしてらっしゃると思います。ストレスですものね。
この方々には、私に考えがありますので、どうぞ安心なさってください。

まあ、私は、元社長に叱られ、よく泣いておりました。
あれは、不思議です。コピー機の前で泣くのが、ベストですね。(笑)
いろんなところで泣いてみたんですよ。(笑)
で、冷蔵庫の前で泣くのが最悪でした。(皆、大笑い)

あらあら、無駄なお話を失礼しました。
私の時間は、そろそろのようです。

では、私の第一秘書さんをご紹介いたします。
あそこに座っておられる、高坂美晴さんです。
どうぞこちらへ。
「ちょっと長めのご挨拶を。」と言って、美晴に代わった。
美晴が壇上に立つと、おおおおおおという声が上がった。
社長に負けない美人だからである。

「みなさま、はじめまして。高坂美晴です。
 この部屋に入りましたとき、皆さまが、新社長さまを、
 大丈夫かな、心配だな、とおっしゃっている声を耳にしました。
 私は、「あ、社長は、みなさんに愛されているんだ。」
とうれしく思いました。
 「心配だな」とか「大丈夫かな」というのは、温かい言葉です。
 そういう皆様のいる職場に来ることができて、幸せだなと思いました。

 今日は、みなさまが、新社長さんに対して、少し安心してくださるように、
 マル秘情報を、許される範囲で語ります。
 私は、もう2年間もこの会社の社員です。
 二年前、正社員として入社し、「君は店長になってもらいます。」と言われ、
 「富士見そば」の店長になりました。
 そのときは、2人のアルバイトさんと私で、3人でした。
 3人でも大変だったのに、すぐにバイトさんが1人になり、
 その1週間後に、とうとう私一人になりました。
 アルバイトに払う予算がないとのことでした。
 三人でも忙しい店を1人でやるなんて、私は、気が狂いそうになりました。
 そのとき、富士見そばの全国200店でも同じことが起きていました。
 すべてのバイトの方が、切られてしまったのです。

 1日、消耗しきってシャッターを落とします。
 ほんとなら、ここで終わりですが、ダメ押しのように、最後の仕事がありました。
 売り上げから1000円、コンビニのATMに行って、寄付をするんです。
 お金の送り先は、なんとか慈善団体とかでした。
 その手続きをするのは面倒でたまりませんでしたが、
 寄付ならば我慢しようと思い、
 毎日入金していました。

 その1000円が寄付になっていたかと言えば、とんでもない。
 つい昨日までいらしたある部長さんの懐に全部入っていたのです。
 それだけで、毎月600万円です。
 (えええええ!との声。)
 その部長さんは、寄付だけでなく、私から奪ったバイトさん二人の人件費、
 全国で400人の人件費を、帳簿上は、バイトがいることにして、
 全部自分のものにしていました。大変な金額です。この2年で17億を超えます。
(ええええええええ!とすごい反応。)
 そして、他の部長さん全員を味方にするため、
 高級料理屋に頻繁に招き、お金をばら巻いていたのです。
 彼は、オフィスでは、仏の顔を見せ、裏では悪魔の顔をしていました。
 彼は、社長になって、もっと私腹を肥やしたかったのです。

 全国200人の店長さんが、過労でばたばた倒れ、
 中には、メンタルなお薬を呑みながら、耐えていた方もいます。
 バイトなら止められますが、正社員では、辞めるのが困難です。

 そんな悪魔のような部長とその側近、イソギンチャクの部長12人。
 新社長さんは、この2年間たった一人で戦い抜き、
 皆様ご覧になられましたように、その14人を逮捕まで追い込み、
 勝利されました。こうして、今日の日があります。
 前社長さまは、新社長さまの理解者でした。

 すみません。新社長さんの愉快なお話の後で、
 皆様を暗い気持ちにさせてしまいました。
 新社長さんは、きっと大丈夫です。どうか、ご安心くださいますように。
 長いお話を、すみませんでした。

美晴が礼をして、壇上から降りようとすると、
拍手が起こり、皆が立って大きな拍手を続けた。
それは、新社長に対してだった。
美晴も、社長に拍手をした。
「社長、安心しました。」
「社長、すごいです。感動です!」
「絶対大丈夫です。」
「感激しました。」
「これからは、私達全員が味方です。」
「ナイススピーチでした。」
「笑いました。」
と、次々と声が起こった。
彩花は、段にあがり、感激で涙があふれ、ハンカチを目に当てた。
「社長、コピー機の前じゃないですが、泣いていいです。」
その言葉に、みんなが笑った。

職員たちは、これからのオフィスは変わると、みんなそう思った。
こうして、社長就任演説は、大成功の元に終わった。

(次回は、「社長の活躍」です。)


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スナック・アユカ⑥「株主総会」後編  <書き足し 12:10>

最終回が見えてきました。
読んでくださるとうれしいです。
===============================   

スナック・アユカ⑥「株主総会」後編


大原は、日ごろカモフラ―ジュとして、
正規の帳簿を本棚の裏に隠し、裏帳簿を堂々と本棚に置いていたのである。
堂々と立ててあるものは、かえって疑われない。
アユカの精鋭は、内部告発をして、税務署に訴え、
休日に、税務署員立ち合いの元に、本棚に堂々とある裏帳簿を税務署員に渡し、
2年前の正規の帳簿を本棚の裏に隠し、すり替えたのである。
本年度の正規の(表向きの)帳簿が、裏帳簿のあった場所に堂々と置かれた。
このとき、2年前の正規の帳簿を1冊だけ、裏帳簿の棚の端に置いた。
大原が一番よく使う裏帳簿である。
アユカ精鋭は、株式総会の前の日、棚に1冊ある2年前の帳簿を、
本棚の裏に移した。

大原は、間抜けにも、背中の2年前の帳簿を裏帳簿と思い、
10日間の不正を記録してしまった。
高級料理屋で部長たちに振舞った料理、賄賂として渡した金を、
全部書き込んでしまった。

株主総会に高橋と大原は、互いに確認したにかかわらず、
本棚の裏にある2年前の正規の帳簿を持ってきてしまった。
(思い込みとはこんなものだ。)
本棚の裏にあるのは、表向きのものばかりだ。
それを、ごっそり持って来た。
棚にある、裏帳簿は、ゆめゆめ持って行けない。

朱美「高橋さん。本物の裏帳簿は、もう税務署に行ってるわよ。」

彩花が手を挙げた。
中村「武田さん。」
彩花「高橋さん。その帳簿が語るように、2年前までは、あなたは不正をしなかった。
   あなたが、2年前、人件費の搾取をはじめてから、
   各店舗は、3人いた人が1人になり、店長さんは、死ぬほど苦労したんです。
   中には、精神的に参ってしまい、薬を呑みながら頑張っていた人もいます。
   私は、それを絶対許せません。
   また、売り上げから1000円を、店長に、コンビニのATMに寄付だと言って、
   毎日入金させました。それが、バレナイように、お金をころがし、
   最後には、ご自分に、毎月600万円が、手元にくるようにした。ずるいです。

   バイトさんへの人件費の搾取は、目も当てられません。
   お店2人のバイトさん計400人。時給1000円として、
   6時間労働。これを月にすると、6000万円を、帳簿をごまかし、
   独り占めにしていたのです。2年間で、10億円を軽く超えます。
   これだけの搾取をしておいて、さらにATMの寄付までさせる。
   鬼というほかありません。

   後ろの重役の方々も、仲間ですね。
   料理屋で話したことは、全部記録して、警察に渡してあります。
   今年の裏帳簿、去年の裏帳簿は、税務署の方がすでにお持ちです。
   2年前の帳簿と比べれば、不正が一目瞭然です。
   私は、あなた方を絶対許せません。
   よって、自分が社長になる決心をしました。」

重役たちは真っ青になっていた。
高橋の不正がまさかこれほどまでとは思わなかったのである。
月にして6000万が、高橋の懐に入っていた。考えただけでも恐ろしい。

高級料理屋では、高橋は次期社長になるために、
自分達を招いて、株式総会での1票を欲しがっているだけだと思っていた。
だがもう、小遣いでは済まない金額をもらっている。
300万円は超えている。
立派な贈収賄である。
高橋が、それほどの額を振舞える財源を考えるべきだった。
これだけもらってしまえば、もう高橋の不正を知っても黙認せざるを得ない。
高橋の裏帳簿に、きっちり自分たちが受け取った金額が記録されている。

中村「もうご意見はありませんね。
   では、投票に移ります。
   それぞれ、持ち株数によって、票数が異なります。
   それは、こちらで、計算します。
   高橋健三さん、辞退なさいますか。
   警察と税務署の方たちが、
   ドアの向こうで待っていらっしゃるようですよ。」
高橋は、腕を組み、それでも、首を横に振った。
後ろの重役たちは、真っ青になり、万事休すと首を垂れていた。
高橋なんかに、そそのかされたことが悔やまれたが、
結局は自分が悪いのだった。

投票と計算が終わった。
中村「それでは、結果を発表します。
   高橋健三さん、49票。
  (それでも、票を入れる奴がいるのかと、中村は内心怒りに燃えた。)
  続いて、武田彩花さん。51票。
  (何?と高橋は驚いた。では、あの派手な女が、49票の大株主だったのか。)
  次期社長は、武田彩花さんと決まりました。
  これをもって、散会といたします。
 彩花は、社長、朱美と抱き合って喜んだ。

高橋は、逮捕されても、投票では勝っていたと、
自分への最後のプライドを守るつもりだった。
だが、その票においても、結局負けであった。
あの派手な女は、スナック・アユカと呼ばれていた。
今日の結果では、スナック・アユカが49票持っていたことになる。
では、株主表のスナック・アユカの5票とはなんだ。
もしや、書き替えられたのか。ぎりぎりまで、我々を安心させるために。
それは、無理だ。俺の机のファイルの中にある。
それに、プリントは手垢がつき、シワがよっている。
すり替えればわかる。だが、すり替えられたとしか思えない。
彩花しか、やるものはいない。どうやったのだ。

高級料亭で部長どもに大金をばらまき、何度もおごり、したくもないバカ話をし、
盛り上げるために、ドジョウすくいまでやってみせた。
それが、奴ら全部の株を得ても、始めから負けていたのだった。
宴会で自分が一番嫌なことをし、何にも役に立たない奴らを喜ばせたことは、
今、自分を惨めにさせるだけだった。

帳簿がすり替えられていた。朝飯前の業でやられた。
大原の工夫など太刀打ちもできてなかった。
武田彩花は、何もかも知っていた。裏帳簿の場所、本棚裏にある正規の帳簿。
それを持って俺や大原が総会に来ること。
2年前の帳簿だと気づかないだろうという読み。
2年前の帳簿に、大原に10日間の不正を書かせた。
大原のような抜かりのない男に、どうやって書かせたのだ。
すべて、知られていて、すべて操られていたのだ。
全部見通していた。たった一人でどうやった。
あの無能な第一秘書が。

そうか。無能な第一秘書は、俺を欺くための仮の姿か。
それを、2年も演じ続けたのか。
前社長は、会社のことは何もできない男だ。
彩花が、全ての社長事務をやっていたのだ。
俺としたことが、どうして、それに気づかなかった。
社長の起案書は、すべて彩花が作っていた。
社長への起案書も、全部彩花がさばいていた。
そうしながら、俺と戦う作戦を練っていた。
大した女だ。

18億を手にした俺の頭脳が、軽く手玉に取られた。
大原の知恵など問題外にやられた。
恐ろしい女だ。2度と敵にしてはならない女だ。
アユカの精鋭の存在を知らない高橋は、
彩花一人の仕業だと思い込み、彩花の恐ろしさを過大に見て恐怖したのである。
高橋は、自尊心がずたずたになり、悔しさに目を閉じ唇をかんだ。
これで、一文無しである。

高橋、大原、重役等は、部屋を出ると、税務署員、警察の迎えがあり、
全員手錠をかけられ、連れていかれた。
手錠とは、屈辱的なものである。それを、ひしひしと感じた。

ほとんどの社員が、それを見ていた。
「驚いた。高橋部長が手錠はめられてる。」
「あの仏の面が、不自然で怪しかったじゃない。」
「何か不正をしたんだ。」
「重役連も、ごっそり連れて行かれてる。全員かも。」
「じゃあ、社長は、第一秘書さん?」
「大丈夫かなあ。」
「心配だなあ。」
「大丈夫ですよ。あの方ほど心が温かく、頭の切れる方は、めったにいません。」
みんなは、えっと思って、振り向いたが、だれもいない。
スナック・アユカ、精鋭部隊、第一任務終了であった。

(次回は、「社長の所信演説」です。)

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スナック・アユカ⑤「株主総会」前編

すごく長くなっています。そろそろ最終回です。
「株主総会」が長くなり、前後編に分けました。
読んでくださるとうれしいです。
============================   

スナック・アユカ⑤「株主総会」前編


株主総会が1週間後にせまり、
彩花は、社長である米倉正雄に言った。
「社長。今まで、ありがとうございました。
株主総会で、あたしが社長としての承認を得たいと思っています。
 そこで、社長は辞職なさり、後継として、
あたしを社長として推薦していただきたいんです。
 社長がお辞めになったあとですが、今住んらっしゃる父の家に、
 家政婦一人を置き、そのまま住んでいただければうれしいです。
 いずれは、社長のものになるようにいたします。
 もう一つ、新宿ゴールデン街の小さなお店を、社長にプレゼントしたいのです。
 社長が一番生き生きできる場ではないかと考えました。
 社長が、お店の収入だけで生活ができますよう、
ある人にちょっとお願いしてあります。お楽しみに。」
彩花は、言った。
「彩花さん、あなたは、なんと欲がなく心の綺麗な人なのでしょう。
 ホームレスだった私を拾ってくださり、
社長として1人前の給料をくださいました。
このご恩は一生忘れません。」
「父が他界しました後、社長のことを父と思ってきました。
 ずいぶん無礼なことを言ったと思います。お詫びいたします。
 ずっとご縁がありますよう願っています。お店にも遊びに行きます。」
社長は、涙して、彩花の両手を取った。
彩花も目を赤くして両手で握手をした。

株主総会を3日後にして、高橋健三と側近の大原進は、
99%の勝利を確信しながら、
1つ、スナック・アユカの正体をつかめないことが、不安の種だった。
計算からいくと、49%の株を持っていることになるが、
そんな大株主ならわかる。スナックならば、持ち株は知れている。
表の通り5%なのだろう。
当日、来るかもあやしい。他に大株主がいないとも限らないが、
名簿に名前がないものは、対象外だ。
これなら、楽勝もいいところだ。

ようやく、株式総会の日が来た。
高橋陣営は、どっさりと(無罪を証明する改ざん)帳簿を持って来た。
司会は、総務部の中村という40歳代の男。
中村を中心に、コの字型に机が並んでいた。
中村に向かって右側に高橋と彼を支持する重役たち。
合わせて、12人。
向かって左側に、彩花、社長、そしてスナック・アユカの朱美の3人。
朱美は、赤い花柄の派手なワンピースを着ていた。

高橋は、その人数を見て、隣の大原とくすっと笑った。

「只今より、2016年度、株式総会を始めます。」中村。
みんなが拍手をした。
「本日の案件は1つです。次期社長を決めることです。
 現仮社長米倉正雄様、ご提案をお願いします。」中村。

社長「私は、この株主総会をもって、社長職を辞任いたします。
   そこで、次の社長に現在第一秘書の武田彩花さんを推薦いたします。」
中村「わかりました。では、他に社長を推薦される方、
   または、立候補なさる方、挙手をお願いいたします。」
大原が手を挙げた。
中村「どうぞ。」
大原「私は、販売部長の高橋健三さまを推薦いたします。」
中村「もうありませんか。
   では、自由討論でかまいません。推薦の理由。
   または、相手が不適切だという意見、挙手をどうぞ。」
重役1「高橋健三部長は、実績もあり、人望もあって、
    他の部の社員からも相談を受けるなど、人間的にも優れた方です。
    社長にふさわしい方だと確信いたします。」
中村「はい、どうぞ。」
重役2「第1秘書の武田彩花さんですが、失礼ながら、
    ほとんど仕事の出来ない方として、社内で評判です。
    そんな方が、社長になれば、会社は一気に傾くでしょう。」
朱美が「はい。」と手を挙げた。
中村「スナック・アユカさま。」
高橋と大原は、「来ましたね。ザ、水商売ですね。」と笑っていた。
朱美「おい、そこの二人。私語をつつしめ!
   私語をする奴など、社長の資格はないぞ!」

 重役たちが、朱美を非難して、ざわざわとしゃべった。
朱美「どうも、悪い奴らが、私語をするなあ。」
朱美は、よく響く声で言った。
この一言で、重役達は静かになった。(後ろめたいからである。)
朱美「あ、あたしの意見ね。
   第一秘書が、いくら無能であっても、
   会社の金で私腹を肥やす人間や、それにくっついて、
   おこぼれをいただく輩よりかは、ましでしょう。」

高橋「誰のことを言っとるんだ。暴言は許さんぞ。」
朱美「私に言われて、怒る奴ほどあやしい。」
大原「高橋部長のどこがいけない。根拠があるものなら、見せてみろ。」
朱美「誰も高橋さんとは言ってないわよ。墓穴を掘ったわね。
大原さん、ほとんどあんたがやって来たんだから、
   あんたが、帳簿を持っておいでよ。一目でも見たいもんだ。」
大原「いいですよ。そういう言いがかりを避けるために、
   一点の曇りもない帳簿を見せましょう。」
大原は目で高橋の諒解をとった。
大原が、帳簿を持って来た。

朱美は、帳簿を手にして、中をパラパラと見た。
朱美「なるほどね。一点の曇りもないわね。ご立派だわ。
    でも、大原さん。あんた、会計士の資格持ってるんでしょう。」
大原「もちろん持っていますよ。」
朱美「じゃあ、言うけどさ。プロの会計士なら、真っ先に日付を見るのよ。
   あたしだって、そのクセが今も抜けない。
   おい、大原、あんたは何やってんだ。
   こっち来て、帳簿の日付を見てみろ!」
朱美は、ドスの利いた声で言った。
大原は、ぷりぷりしながら、朱美のところに来た。
朱美は、大原に帳簿を向けた。
大原「あ!」と言って固まった。
朱美「2年前の帳簿見せて、なんになるのよ。」
大原は、ページをめくって、記入の最期の行を見た。
すると、最後の10日間だけ、今年のデータが記入されている。
つまり、2年前の帳簿を、今年の帳簿と思い込み、そのまま気づかず、
10日間、自分が記入していたことに気付いた。
しかも、裏帳簿と思い、10日間の表に出せない数字を書いてしまった。

高橋が出て来た。そして、帳簿を見た。
あ、と声を上げ、一緒に持って来た他の3冊の日付を見た。
心臓が飛び出しそうで、手が震え、2冊も床に落とした。
すべて、2年前のものだった。
高橋はショックで、椅子に戻り沈んだ。
一同は静かになった。

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スナック・アユカ立ち食いそば店退治④「彩花と美晴の熱いひととき」

今回は、二人のラブを書きましたので、かなり長いです。
もう、思い切り書こうと、開き直りました。
読んでくださるとうれしいです。
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スナック・アユカ立ち食いそば店退治④「彩花と美晴の熱いひととき」


二人は、スナック・アユカに来た。
彩花を見たさに、全員いた。社長になった中川里美も秘書リリも。
彩花を見ると、みんなそろっていて歓声をあげた。
「およそ、これだけの美人はいないわ。」と久美が言った。
「今回、美晴じゃなくて、あたしが行きたかった。」と奈々。
二人はカウンターに座った。
ママが、
「ここまで完成している彩花さんには、必要ないと思うけど。」
と言ってカクテルを渡した。
みんな、どきどきしながら見ていた。
「じゃあ、いただきます。」と言って、彩花は一気に飲んだ。
するとお腹の底から、元気が湧いてくる。
「わあ、すごい。これなんですか。」と彩花。
「胸を触ってみて。」とママ。
彩花は触った。豊胸でのシリコンの胸であるはずだ。
「あ、あ、うそ!」と彩花は叫んだ。
「胸が本物。触って感じる。わあ、うれしい!」と彩花。
ヒップのために入れたシリコン。オデコに入れたシリコン。
それが、全部本物になっている。
「永久フェロモン付き。みなさん、本能的に女性を感じるわ。
 大事なところは、ちゃんと元気よ。」とママ。
「わあ、うれしい。」と彩花は泣き出した。
みんなが、拍手をした。
「ママは、魔法使いなの。」と美晴が言った。

「さて、さて、彩花さん。今までお疲れ様でした。
 ちょっと頼りない仮社長さんと、ほとんど一人で戦って来たのよね。
 彩花さん、知ってた?あたし達はすごい組織だから、
 富士見そば本部に、アユカの精鋭を秘密裏に送り込んでいるの。
 男性2人女性1人を2年がかりで計3人。
 お金の関係するところに、その3人が入っている。
高橋と大原の密談なんか、3人には筒抜け状態です。
高級料理屋での高橋と重役達の話も筒抜け。
女性1人を中居さんにしてね。
女将もアユカの1員だし。

 あの高橋健三の寄付金によるお金転がしは、
 もう、税務署に全部調べ上げられてる。
 もちろん情報提供しましたけどね。
 月600万円。これだけでも、脱税及び詐欺罪で逮捕です。
 あと人件費の搾取も、アユカの精鋭が、全部帳簿を調べ上げています。
 いつでも税務署に報告できる状態です。
 それに高橋に協力してお金を受け取った重役達も調査済。
共犯として逮捕です。
 高橋と側近の大原進が、株主総会途中まで、笑っていられるようにしています。
 お楽しみにね。

 ドラマチックに、3週間後の株主総会でやっつけましょう。
 今の米倉正雄社長には、引退をお願いして、
 次期社長として、彩花さんを推薦してもらう。
 彩花さんの親代わりのような方だと思いますので、その後の待遇は、
 彩花さん次第です。
 株ですが、アユカが49%、彩花さんが2%で50%超え。
 高橋側は、今、49%。
どうしても50%に届かなくて焦っています。
 彼らは、アユカの持ち株を5%だと思っているので、いくらがんばっても、ダメです。
 
 株主総会で負け、がっくり会場を出ると、待ち受けている税務署員と警察に逮捕。
 彩花さん、どうですか。こんなシナリオでは。」とママ。

彩花は、涙を流していた。
「ありがとうございます。自分でも気の遠くなるような戦いだと思っていました。
 祖父が、立ち食いそば1件から始め、苦労して大きくした会社です。
 祖父の意志をこれで、引き継ぐことができます。
 ありがとうございました。」

「そうそう。社長になった暁には、美晴を第一秘書にしたらどうですか。
 一人だと淋しいでしょう。社長には、人事権があるし。」ママ。
「美晴さん、いいの。」と彩花。
「もちろん。彩花さんは、あたしにとって、もう恋人なの。」と美晴。

うほーーーと皆の声があがった。
みんな、ママのカクテルで、ジェラシーをなくしているのだった。

美晴は、彩花の手をとって、
「あたしの部屋行こう。」と言った。
すると、また歓声があがる。
スナック・アユカは、部屋が迷路のようになっていて、
いくつ部屋があるのかもわからない。

美晴の部屋は、乙女チックな、中学生のような部屋だった。
「彩花、いつも固い服きてるじゃない。
 だから、これがいいと思ったの。」
美晴が見せたのは、2着の、中学生のセーラーの夏服だった。
スカートが、少しミニである。
「キャー、うれしい。あたし、中学生のとき、セーラーの夏服が着たくて、
 いつも女の子見ていたの。」と彩花。
「あたしもよ。」
セーラー服を二人で着て、
美晴は、あやかをドレッサーに座らせて、
髪を、梳いた。
「美晴が、お姉様って気がする。」
「彩花が、妹って気がする。」
美晴は、彩花を立たせ、壁の大鏡の前に行った。
「彩花、ママのカクテルで、微妙な所、みんな女になってるのよ。」
「あ、首が5mmほど長く細くなってるわ。」
「他に?」
「天然の睫毛が長くなってる。」
「髪の質も変わってるでしょう。」
「うん、わかる。うれしい。」と彩花は言った。
「あと、ほっぺ、体全体が、柔らかくなってるはず。」
「わあ、うれしい。」

「二人でセーラー服着てると、いい感じね。」と美晴。
「うん。夢見たい。」
美晴は、彩花を抱き寄せキスをした。
何度もキスをして、少しずつお互いの舌を入れた。
唇を離したとき、二人の息は荒くなっていた。
美晴は、彩花の後ろに回り、彩花の乳房を服の上から揉んだ。
「お姉様。あたし、感じる。うれしくて泣いてしまいそう。」
「あたしもよ。」
美晴は、自分の胸を、彩花に押し付けていた。

女の子同士のように、たっぷり時間をかけて愛撫する。
「学校での密かなレズビアンみたいね。」美晴。
「ええ、うれしい。」
美晴は、彩花の上着の下から、手を入れて、ブラの中をさぐった。
そして、乳首を見つけた。
「これだわ。」美晴は言って、乳首をくりくりと揉んだ。
「いや~ん、お姉様、そこ感じ過ぎちゃう。ダメ~。」
初めての感じる乳首で、彩花は、感激していた。
股の下に回しているショーツの中のPが、はち切れそうだった。

「お姉様。あたし、あそこのものが、大きくなってはち切れそう。」彩花。
「ね、彩花は、可愛い女の子に、アレがあるの見たら、興奮する?」
「する。気絶しちゃう。」
「じゃあ、二人で見せ合いっこしない?」
「うん。恥ずかしいけど。」
二人で、背を合わせて、ショーツを脱いだ。
スカートの一部が尖がってしまっている。
「いや~ん、尖んがってる。」彩花。
「スカートを上げて、鏡に映そう。」
「ほんとに?」
二人は並んでスカートを上げた。
やがて、二人のPが、顔を見せた。
「ああん、興奮して、体が震えて来る。」彩花。
「あたしもよ。彩花の見てるんだもの。」
「あたしも、お姉様の見てるから。」
二人は、体を合わせて、擦り合わせた。
「ああん、うれしくて耐えられない。」彩花。
「あたしも。」
抱き合いながら、二人は震えた。
鏡を見ると、可愛い中学生の女子2人。

二人は、ソファーに移り、
太ももを撫であったり、Pをそっと触ったり、
胸を撫であい、キスを何度もした。

「ねえ、女の子は、皮膚が性感帯なの。
 あたし達、女の子並になっていると思うの。
 ベッドで、彩花のことなでてあげる。」
「ええ。」
美晴は、彩花をベッドに連れていき、
彩花のセーラー服を1枚ずつ脱がせ、裸にした。
美晴も裸になった。
美晴は、彩花に体を重ね、体と体を擦り合わせた。
「ほんとだ、すごく感じる。これが、女の子なのね。」
「男と違うでしょう。」
「全然違う。」

ずっと撫でていき、太ももを撫でたとき、
「ああああん。」と彩花は、背を反らせた。
美晴は、彩花が耐えられないほど、撫で続けた。
彩花は上ずった声で、
「お姉様。あたし、もうダメ。限界なの。」と言った。
「もっと女の子体験したいでしょう?
 彩花は、さっき変身したでしょう。
 だから、体中綺麗なの。だから、Aを女の子がされるように犯されるの。」
「初めて。」
「あるクリームを入れると、女の子並に感じるの。」
「ほんと?」
「うん、だからうつ伏せになって。」
彩花は言われるままにした。
お尻の穴にヒンヤリしたクリームを塗られた。
「指がいい?あたしのがいい?」
「お姉様のがいい。」
美晴は、後ろから挿入し、二人は、2枚のフォークが重なるようになった。

晴美が体を上下させていくと、彩花は反応した。
「ああん、いや~ん、いや~ん。お姉様、女の子ってこんなに感じてるの?」
「女の子になったことないからわからないけど、多分ね。」
「あああああ・・。」と彩花は、必死に耐えていた。
「あたしも、同時にPちゃんが感じるの。」美晴。
「心の底まで、女の子になった気持ちがする。」
「ステキでしょう。」
「ええ。」
彩花は、悶えに悶えた。
「あ、あ、もう耐えられない。」彩花。
「あたしもよ。」美晴。
「あたし、イっちゃう。」
「あたしも。」
「あああん、イっちゃう、イっちゃう。」
「あたしも。イっちゃう。」
二人は、激しく震えながら、果てて行った。

二人は、
毛布をかけて、抱き合っていた。
「あたし、女ではないこと、ときどき淋しく思っていたけど、
 もう平気。お姉様がいてくださるから。」
「あたし、彩花のそばに、いつでもいるから。」
「それに、ママのところ、自分の家って感じる。」
「ママのカクテルを飲んだ人、みんな家族なのよ。」
「すごく、うれしい。」
「うん。」
美晴は彩花の髪を指で梳いた。

(次回は、「株主総会」です。)

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スナック・アユカの退治③スナック・アユカに来る彩花

なんだか、ずるずる書いてしまっています。
気にせず、思い切り書いていこうと思っています。
読んでくださるとうれしいです。
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スナック・アユカの退治③スナック・アユカに来る彩花


「はい、お湯。」彩花がたらいに汲んで来た。
「ありがとう。」と正子は、コンドームの始末をして、お湯で洗った。
「さあ、正子はここまでよ。」
「うん。わかった。」
この正雄の声の変身は、多分、社員の誰も信じないと思った。
タクシーで帰った。
会社に入る前に、彩花は、鯛焼きを50個買った。
「社長がみんなに、渡すんですよ。」と社長に言い聞かす。
「そうか、いい役だな。」
社長室のフロアーに、正雄は、
「おーい、鯛焼きだー。みんなで食べてくれー。」
「おおお!」と歓声が上がった。
彩花と社長は、部屋に入った。

社員達は言っていた。
「ね、これほんとに社長からだと思う?」
「思わないわ。社長は、こんなこと気づく人じゃないもの。」
「じゃあ、やっぱり、彩花さん?」
「決まってるじゃない。」
「ポケットマネー大丈夫かな。
第一秘書でも、ああ若くて仕事ができなきゃ、給料少ないぜ。」
「悪いわね。こんなことさせちゃって。」
「どじやって、社員に迷惑かけてるから、そのお詫びじゃない。」
「迷惑かけても、謝りもしない人もいるけどね。」
「この!」

彩花は、今朝社長室にやってきたアユカの高坂美晴が、
心にかかってならなかった。
背は、自分と同じ165cmくらい。
プロポーションがものすごくいい。
水色のミニのスーツで、スカートからはみ出た、太ももに、
セックスアピールを感じた。すこし、分厚い唇がセクシー。
男が一番好きなタイプ。聡明な瞳。
どれをとってもイーブンだと思うが、彼女は純女だ。
純女との差をこんなに辛く感じて悲しくなることは希だ。

社内にもう一つの勢力がある。
社長はどなるだけで、たいして能力がないことは、みんな知っている。
かといって、第1秘書はもっと頼りない。
高橋健三。48歳。販売部長。
150だった店舗を、200店舗にした男だ。
自分の部を超えて、相談に行く社員が大勢いる。
絶大な人望がある。部長の中でも、1番の発言権を持つ。
社員の中には、高橋健三が社長であったらいいのにと思っているものが大勢いる。

だが、彩花だけは、高橋を信じていなかった。
店舗の店長に、売り上げから毎日1000円ATMで、ある慈善団体に寄付させる。
多分、そのお金は、何度も転がし、全部自分のこところに来るようにしている。
200店舗。これだけで、月600万円になる。
人件費の削減と称して、店舗の人員をへらし、その人件費を搾取。
店長に大変な労働負担をかけている元凶は、高橋である。
店長の中には、過重労働で、薬を呑みながら仕事をしているものが大勢いる。
正社員になりたいという学生の足元をみて、店長としてこき使う。

「富士見そば」は、彩花の祖父が始めたものである。
彩花は、健全で良心的な会社経営をしたかった。
店舗で働く人が快適でやる気をもって働ける様にしたかった。
彩花が、無能な第一秘書を演じているのは、
高橋の攻撃の矛先を反らすためである。

直接名指しでの人事権を持つのは、社長だけである。
だから、彩花は第一秘書になれた。
今の米倉正雄仮社長は、死んだ彩花の父が、命あるうちに、彩花の願いで、
社長に指名された。正式ではないので、仮社長になっている。
他は、人事部の決定と社長の同意がいるので、おいそれと人事を動かせない。
高橋健三が社長になるためには、株式総会で勝つしかない。
これは、彩花も同じである。

高橋は、3週間後の株式総会に向けて、焦っていた。
自分への票は、49%集まり、過半数にあと少しなのに、
過半数の最後の2%を得られない。
だが、彩花への票は本人の2%だけであろう。楽勝と思っている。
まさか、あの無能な彩花を社長になど、誰も押すはずがない。
本人も気が引けて立候補などするはずがない。
先々代の孫と言っても、仕事ができなければ、問題外である。
高橋は残り49票の存在をつかめなかった。
スナック・アユカからの特別諜報社員が、高橋の株主名簿の
スナック・アユカの票数を5票に変えておいたのである。

5時に社長が帰って、彩花は、広い社長室に一人になった。
なぜか寂しくてならず、高坂美晴に会いたくてたまらなくなった。
純女の子に、女だと偽り会うことに、気が咎める。
しかし、会いたいという気持ちは、募るばかりだった。
彩花は、スマホの「スナック・アユカ」のボタンを押した。
「もしもし、富士見そばの秘書をしています武田彩花と申します。
 高坂美晴さんとお話がしたいのですが、まだ、いらっしゃいますか。」
とうとう言ったと、彩花は思った。
「はい。秘書の彩花さんですね。」と美晴の声。
「あなたに会いたいのです。お話がしたくて。」
「じゃあ、ビルの前にいてください。
 あたしタクシーで行きます。
 ここは、本当にスナックなんですよ。ここでお話しましょう。」
「はい。すいません。」
みんなは、おおおおおと喜んだ。
「これで、超美女にあえるのか。」と久美が言った。

ワンピースにカーデガンの美晴が、タクシーを降りてやってきた。
彩花の胸は震えた。
二人は歩きながら。
「彩花さんのお電話意外でした。」
「美晴さんに会いたい一心だったんです。」
「ま、彩花さんのような綺麗な方に言われると、照れます。」
「美晴さんこそ、お綺麗です。」
「彩花さん。有能でいらっしゃること、バレているんですよ。」
「どうして?」
「ママは、大会社にも、『スナック・アユカ』です。社長をお願い、
 っていうの。
 どこの会社も、キャバクラの催促だと思って、それなりのところへ電話を回すの。
 でも、彩花さんのところだけは、1発で秘書さんが出て対応した。
 つまり、スナック・アユカを知っていた。
 並々ならぬ秘書さんだと私達言ってたんです。
 彩花さんが、無能な秘書の振りをしているのはなぜか。
 あたしたちなりに調べましたので、後で、お知らせしますね。」
「わあ、すべてお見通しなんですね。」
「もう一つ、大事な大事なお見通しがあるの。」
「何?」 
「彩花さんがショックを受けないように、先に言いますね。
 彩花さんとあたしは、同種族です。」
「え?どういうこと?」
「性別が同じなの。」
「ええええ!」と彩花。
「ほんとに?ほんとだったら、あたし、うれしくて気絶しちゃう。」
「あたしも、気絶寸前だったの。ほとんど彩花さんに一目惚れだったから。」
「あたしも、美晴さんに一目惚れだったの。
 でも、純女さんだと思っていたから、かなわぬ恋だと思っていたの。」
「ママがカクテルをくれると思うわ。」
「な~にそれ。」
「お楽しみ。」美晴はにこっと笑った。

(次回は、「彩花の最強の味方」です。)

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スナック・アユカ②「美晴の推理と、彩花と社長の関係」

ちょっと長くなりました。
読んでくださるとうれしいです。
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スナック・アユカ②「美晴の推理と、彩花と社長の関係」
   

日本そば屋での、美晴の推理は続いた。
「わあお~。美晴注意深い。すごい。それから。」朱美ママは、だんだん興奮して来た。
「私たちの1番の関心事は、人件費はどうなっているかです。
 それは、あちらとしては、一番に痛い質問です。つまり、やばくて答えられない。
 だから、彩花さんは、見事にとぼけました。
 自分の新米ぶりを見せることで。」
「わあ、美晴の推理すごーい。」とママは興奮。
「でね、ダメ押しで、あたし達がドアを出てそばにいるとき、
 彩花さんを、思い切り叱った。あたし達が行っちゃう前に。」
「うわあ~。うんうん。」
「社員の人達は、彩花さんに同情していたようですが、
 とんでもないです。」
「つまり、つまり?」
「社長は、何か言うとき、必ず彩花さんの目を伺うんです。
 あたかも、『次は、こういえばいいかね。』って指示を仰いでいるように。」
「つまりは!」とママ。
「社長室さらに会社を支配しているのは、第1秘書の武田彩花さんです。」
「やったー!」とママは、万歳をした。
「リリができるってきいたけど、美晴は、同じかそれ以上にできるわ。」

「ママの推理と同じですか。」
「うん、同じ。初めから、芝居くさかったものね。
 でも、あと一つ。これは、見抜くの美晴にも絶対無理だから。」
「わあ、教えてくれるんですか。」
「耳、貸して。」
ママのひそひそ。
「えーーーー??あたし、別の意味で興奮しちゃう!」
「まだ、みんなに言っちゃダメよ。」
「じゃあ!」と美晴は言った。
「何?」ママは乗り出した。
「あたし達がドアを出たとき、叱っていたのは彩花さんの男声。
 叱られていたのは、女声を出せる社長。」
「あはははは。かもね。それ、言えてる。
 叱る方は言葉がいる。叱られる方は、『すいません。』って言えばよくて簡単。
 社長でもできる。
 あはははは。それ、99%当たりよ。美晴って楽しい。」
ママは、上機嫌だった。

昼を過ぎ、社長と第1秘書は、社員のいる通路を通った。
「工場見学に行ってまいります。」と彩花が言う。

「彩花さん、もう立ち直ったのかな。」
「前から見ても、後ろから見いても、いい女だよなあ。」
「あんな人、連れて歩きたいよ。」
「また、彼女が怒られそうで、心配よ。」
「美人でも、辛いわよね。」
社員は、そう言っていた。

工場では、立ち食いそばの、てんぷらを作る新しい機械を説明した。
ボードの紙にせっせとメモを取るのは彩花。
「これ、てんぷらの大きさを自由に変えられますか。」と彩花。
「はい。径、厚み、自由です。」
「何%小さくすると、目で見てわかりますか。」
「径を変えず、薄くすれば、見た目では、わかりにくいです。
 何%かというのは、個人差があるので、はっきり言えません。」
「わかりました。この機械の導入で、てんぷらを作る時間は、
 どのくらい短縮できますか。」
「1区域、6時間が、3時間ですね。」
「それは、すばらしいです!
 今まで、業者さんは、夜中から機械を作動されていたんです。
 それが、早朝からで間に合います。これは、大きいです!
 業者さんに1日3時間のプレゼントになりますね。」
彩花は、うれしそうに目を輝かせた。
実際的な質問をして感想を述べるのは、みんな彩花だった。
「どうもありがとうございます。
 今日は、お話をお伺いでき、本当によかったです。」
と彩花は言った。

二人が去った後、工場員達は、言っていた。
「いつ見ても美人だな。それに、頭も切れるし。」
「俺たちが自慢したいこと、みんな聞いてくれた。」
「1日3時間のプレゼントだって。」
「やる気出るなあ。」
「社長なんか、なんにも考えてなかったぜ。」

運転手付きの黒車の後ろの席。
「社長、また、途中下車しましょう。」と彩花。
「いいとも。」と社長。
彩花は、ラブホテル街に来て、ある所で、車を止めさせた。
「これ、ほんの少しですが。」
と彩花は、運転手に1000円を握らせた。口止め料である。
車は行った。
受付は、社長に言わせて、部屋に入った。
ホテルの、スウィートルーム並みである。

部屋に入ったとたん、社長の人格が変わる。
精悍な感じの男なのに、いっぺんで女になる。
立っている彩花の前に膝まづいて、
「ね、お姉様。ちょうだい。」
とねだる。その声は、完全に女である。
鼻にかかった水商売風の声でなく、
一般的な作りのない声をトレーニングしている。

人が見たら、目を疑うだろう。
「正子(正雄が本名)、待てないの?」
「待てないの。お願い。」仕草も、まるで女である。
彩花は、仁王立ちになり、ミニのスーツのスカートを上げると、
ショーツとパンストを膝まで下ろす。
すると、女にはあってはならないものが、彩花の股間にある。
それは、すでに隆々として、正子の顔の前にある。
「正子、どうぞ。」
「まあ、お姉様。もう、ギンギンだわ。」
「下品な言い方はやめて。」
正子は、彩花のPを口の奥まで頬張る。
「お姉様の長くて大きいから、むせてしまうわ。」
「あたしを辱めないで。」
正子は、せっせとピストンをする。

「ううん。」と彩花は声をだす。
それが、たまらなく正子を興奮させる。
「正子、いい?」
「ええ、あたしは、彩花の奴隷よ。」
「正子、もうすぐだわ。」
彩花は、顔を少し歪めた。
「正子、イくわ。」
そう言われたとき、正子の胸はときめく。
「ああん。」と彩花が体をぶるぶるとしたとき、
正子の口の中に、温かい液が入って来た。
正子は、呑みこんで、彩花のPを綺麗に舐めて、
ショーツとパンストを履かせる。

「お姉様。あたしも。」と正子。
「あなたは、奴隷だって言ったくせに。」
「奴隷でも、パンをもらうわ。」
「わかったわ。コンドームの上から、手袋でいい?
 正子が女声の練習をするならいいわ。」
「それで、十分よ。」
正子はソファーにすわり、前のファスナーを開け、パンツを降ろした。
彩花のアソコをみたので、もう大きくなっている。
正子にコンドームを被せ、彩花は白い手袋を片手にはめた。
マッサージする。
「さあ、始めは、あたしの声から、だんだん若い女の子の声を出すの。」
正子は目を閉じた。
「ああん、社長さん。だめ。いやん、感じるの、許して。」
彩花は、その声があまりにも自分の声に似ていて、改めてびっくりする。
今日、社長に怒られて、謝ったときの彩花の声だ。

「いやん、いやん、先生、許して、許して。」
声が、高校生ほどになる。

彩花は、目をつぶって聞いた。まるで、可愛い女子高生が、
教師に犯されている絵が浮かび、興奮して来てしまう。

「ああん、お姉様、だめ、あたし、イっちゃう。」
中学生の声。
正子は、ぶるぶると体を震わせている。
「やん、イくわ、お姉様、抱いて、お願い、抱いて。
 イくわ、イくわ、お姉様、抱いて。」
正子の声が小学生のように可愛くなった。
彩花は、正子を少しだけ抱いた。
その途端、正子は、ぶるぶると震え、コンドームの中を充満させた。

(次は、「彩花、スナック・アユカに来る」)

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スナック・アユカ・立ち食いそば店退治①「美晴登場」

前のスナック・アユカの続編を書きたく思います。
読んでくださるとうれしいです。
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スナック・アユカ・立ち食いそば店退治①「美晴登場」

「富士見立ち食いそば店」は、日本全国200店もある
一大チェーン店である。
ここで、高坂美晴は店長として一人で店をまかされ、
大変な思いをした。
人件費を削減するブラック会社であることは確実である。

その日、朱美ママは、美晴に薄いブルーのスーツを着せて、
赤坂の本社に行った。少し大人に見せるために、美晴の背を2cm、
高く165cmにした。そして、ヒップを3cm大きくする。
リップを引くと、脚の長い美晴は、それで、抜群の「いい女」になった。

「今度は社長を呼びつけないんですか。」と美晴は言った。
「うん、初めてのところは、一応会社を見たいの。」
朱美はそう言った。

行けば大きなビルである。
昨日に第1秘書に電話をしておいたので、受付を一発で通った。
アユカを知っているあたり、なかなかの秘書である。
全株の49%を持っているアユカは、大株主で、VIP待遇である。
社長室はとても大きく、第一秘書と同居である。
第一秘書は、美晴と同じ24歳くらいで若く、驚く程の美女である。
これを、男風に言うと、胸が震えるほどの「いい女」である。
唇が少し厚くセクシーでもある。
タイトスカートのヒップがピンと張っている。
これで頭が切れれば申し分ない。

ソファーに座り、秘書がお茶を出した。
朱美は、単刀直入に聞いた。
「お願いしておいた資料は、まとまっていますか。」
社長は、50歳くらいの、精悍な感じの男である。
年齢にしては、いい男である。
「彩花くん。見てくれるように、君の机に置いておいた。
 持ってきてくれ。」
そう言われた第一秘書の武田彩花は、あわてた。
「すいません。少々お待ちください。」
と言って、机の上を必死探し始めた。
乱雑な机の上は、誉められたものではない。
探せば探すほど、机の上は混乱する。
「何をしている。お客様がお待ちだぞ。」
社長の米倉正雄は、咎めた。
「はい。」と言って、
彩花は、泣きそうになっていた。
「あ、ありました。これです。3部のものですよね。」
そう言って持って来た。
「コピーは、いいのかね。」と社長。
「はい、ハードに入っていますから、大丈夫です。」
そのときは、資料の一部はしわよっていた。

朱美は、
「こちらでは、各店舗の従業員の数が少なく、店長は悲鳴を上げているそうです。
 原因は、なんですか。」と社長に聞いた。
「彩花くん。先週調べるように頼んだが、結果は出たかい。」
「え?」と彩花は初めて聞くような顔をした。
「やってないのか。」社長。
「すみません。」と彩花は震えながらうなだれた。
「いやー、すみません。秘書がまだ不慣れでして、
 分析ができ次第、お送りいたします。」
「はい、わかりました。」朱美はあっさりとうなずき、ソファーを立った。

朱美と美晴が社長室を出たとき、社長がものすごい声で、彩花を叱る声が聞こえた。
「あれほど、まとめておけと言ったじゃないか。
 先方は大株主だぞ。機嫌を損ねたら、取り返しがつかんぞ。」
「はい。すみません。今度から気をつけます。」
「今度今度といって、ミスは減らんじゃないか!」
「すみません。」

一番近くの社員たちが聞いていた。
「あれ、パワハラじゃないか。」
「秘書さん、可哀相。」

そこまで、聞いて朱美と美晴は、外に出た。

社長室から、ハンカチを目に当てた、第一秘書が出て来て、
コピーを取っていた。

そのそばの社員。
「社長がいけないのよ。見てくれで人を選ぶから。」
「だって、いい女だもんな。仕事もできれば、そばに置きたいよ。」
「仕事もね。」
「社長、パワハラだけじゃなくて、セクハラもよ。」
「そうなの?」
「だって、彩花さんに必ず、膝上15cmのタイトスカート履かせてるもん。」
「ときには、膝上20cm。」
「美容院へ2日に1度は行かせてるそうよ。」
「それ、彩花さんが自分で行ってるんじゃなくて、
 社長命令なの?」
「そう。本人に聞いたもん。」
「うわ~、やだなあ。」

朱美ママと美晴は、外に出て、日本そばの店に入った。
「美晴。どう思いましたか。」
「あやしいです。」美晴が言うとママは身を乗り出した。
「会社がってこと?」とママ。
「違います。社長と第1秘書さんの関係です。」美晴。
「できてるってこと?」ママ。
「違います。」美晴は言った。
「どこが?言って。」
「社長は3部のレポートを作り、校正を彩花さんにたのむため、
 彩花さんのデスクにプリントとUSBメモリーを置いた。
 彩花さんは、USBメモリーで校正をした。
 そしたら、プリントとUSBメモリーを社長のデスクに戻すのが普通です。
 あたし達が朝一でくるのです。
 もし社長の机の上になかったら、社長は怒るはず。
 つまり、あのレポートが彩花さんの机上にあるのは変です。
 それに、ベテランの社長さんが、新米の彩花さんに校正を頼むのも変です。」
「つまりは?」
「彩花さんは、社長に見せるには及ばず。つまり、社長よりはるかに有能だからです。
 ひょっとすると、彩花さんが作り、社長はノータッチです。
 それに、決定的なミスを彩花さんは、口にしました。」
「なになに、あたし、わからないわ。」ママ。
「コピーはいいのかね、と社長が言ったとき、
 彩花さんは、ハードに入っているから、大丈夫ですって言いましたよね。」
「わかった!USBメモリーのものを、わざわざハードに入れるのは変。
それが、ハードに入っているってことは、彩花さんのパソコンの中。
作成したのは、彩花さん。」
「いちいちハードに保存する人もいますけどね。彩花さんがそうしたとは思えない。
『コーピーはいいのかね。』は、彩花さんにとって、予想外の社長の言葉だったんです。
 だから、さすがの彩花さんも、あわてて、『ハードに・・』って言っちゃったんです。」
「わあお~、美晴、ステキ!まだあるの?」
「はい。」と、美晴は、にっこりした。

(次回「彩花と社長、その関係」です。)

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コロッケ男爵③「店を囲む行列」最終回

最終回として、とても長くなりました。
お時間のあるときにでも、読んでくださるとうれしいです。
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コロッケ男爵③「店を囲む行列」最終回


長蛇の列ができることを期待して、
列にかかるお店には、前もって、挨拶の品物を配る。
店の人も上機嫌で、
「いっしょに、売れたりするんですよ。」と言ってくれる。

オムライスのときは、雑誌発売日には、14、5出たほどだ。
コロッケ男爵では、7つ出た。
「半分にしておくべきだったかな。」
と加藤は言ったか、他の皆は、「強き、強気。」と声をかけた。
いよいよ明日日曜日が勝負だ。
ジャガイモは、男爵イモ。偶然ではなく、昔のコロッケは男爵イモだ。
本当は、ふかした熱々の芋で出したかったか、それは、無理。
冷蔵庫に入るだけの下ごしらえをした。
揚げ物用の槽があるが、間に合わないときは、フライパンを使う。

日曜日の朝早く、コックの3人は早く来て、冷蔵庫のコロッケを出して、
常温にした。
「これが、全部出てくれると、オムライス並ですね。」大木が言った。
油に火を入れ、三人は静かにまった。
開店の10時まで、あと30分だ。

勉、佐和子、加奈子の3人は、1時間前に来て、
ソースの確認、表の表示の確認、椅子、テーブルをそろえた。
エプロンをして待った。
開店、15分前である。
3人のソムリエは、祈る気持ちで、入り口をあけて、客を見に行った。
「わあ~。」と佐和子が言った。
客は、店から並び、一つ店の角を曲がり、次の曲がり角まで続いていた。
3人は、飛んで行った。
「前回どころじゃないですよ。2つ角を曲がって列が続いています。」と勉。
「それは、すごい。どうしよう。」と小林が言った。
「やるっきゃないですよ。」と加藤。

その頃、リヨンの方も、大変な行列だった。
「お父さん。前回の2倍。」
「近所に、お菓子を配っておいてよかったな。」と隆。

両店がオープン。
皆さん、相席OKである。
オーナーと支配人が見に来て、
「オーナーの後の予想が当たっていましたね。」
「私は、いい方に考えるタチでね。」

「昔のコロッケは、固いから、手で持てるという訳ですな。」
「そう言えば、昔は、手で持って食べましたよ。」
相席になった人通しで話している。

午前の11ゴロである。
リヨンの店に、コロッケ男爵が、マントに帽子眼鏡の姿であらわれた。
「わあ~、うれしい。」とみんなが大騒ぎをした。

「絵梨香、どうしたんだ?」と隆。
絵梨香は、にこにこして、
「コロッケ男爵が来てくれたんですよ。」
「わあ、それはすごいや。」
男爵は、並んでいる客から、サイン攻め、カメラ責めにあっていた。

「みなさん。昔のコロッケはおいしいですよ。」
「固いので、ぜひ、手で持ってたべてください。」
と男爵は言って歩く。

午後になり、男爵は、シャトレの方に来てくれた。
並んでいる人々は、興奮しての声をあげた。
「どうしたの?外が盛り上がってる。」と小林。
「男爵が来てくれたんですよ。コラムの写真と同じ格好で。」
ソムリエ3人が、飛び上がらんばかりに言った。
「うお、それ最高。俺も見に行きたい。」と加藤。
ここでも、男爵は、サイン攻めにあい、写真責めにあった。
みんな、男爵と並び、ピースをして、写真を撮っている。

「あ、教授だ!コロッケ男爵は、教授だったんだ。」
と男爵の大学の学生がいたらしく、叫んだ。
「わあ~、大学の先生だったんですか。」
「へ~え。すごい、ステキ。」
「お茶目な、先生なんです。その時代の紛争で授業をなさるんです。」
「教授、大学で、明日1日で、広まりますよ。」と学生がにっこり言った。
「コロッケのためなら、なんでもします。」と男爵は言い、みんなを笑わせた。

そのとき、二人の背広の30歳くらいの二人がやってきた。
「お父さん。遅くなりました。」
「名古屋から、飛んで来たんです。」
一人の方が、
「みなさん。はじめまして。コロッケ男爵Jr.1です。」
「同じく、Jr.2です。」と挨拶した。
すごい握手が起きた。
「じゃあ、コロッケ食べて元気出そうよっておっしゃったのはJr.2さんですか。」
「はい、あれは実話です。いいこと言うのは、みんなぼくです。」
みんなが笑った。

「わあ、また盛り上がってる。今度は何?」と小林。
「コロッケ男爵の、息子さんが、お二人駆け付けてくれたんです。」と加奈子。
「わあ、それ、サイコー!」加藤が言った。

こうして、ほのぼのした中で、店は、閉店になった。
シャトレのみんなは、オーナーから、また「大入り袋」をもらった。
1、 5倍の人が来てくれた。

今回は、リヨンと合同で、「ご苦労様会」をシャトレで持つことになった。
テーブルをぐるっと四角にした。
聡子がまた、寿司を頼んでくれていた。
小林が、ささっとオードブルを作り、コロッケも載せられていた。
主役は、コロッケ男爵と2人の息子さんだと、誰もが思っていた。
聡子と義男も参加していた。

オーナーが初めの言葉を言った。
「前回、ママのオムライスのとき、初めて多くのお客様を迎え、
 活気ある一日を過ごすことができました。
 それが、また今日も思い出に残る日を送ることができました。
 福の神は、柳澤聡子様のコラムです。
 前回の主役は、当レストランの小林シェフだったと思います。
 そして、今回は、コロッケ男爵こと小早川宗雄さんと、
 お二人の息子さんだと思います。
 お言葉は、後ほどいただくことにして、
 まずは、お疲れ様の乾杯をしたいと思います。
 お近くのワインをお取りください。
 では、乾杯!」

みんなの元気な声がこだました。
「ではしばらく、お寿司など召し上がりください。
 これは、柳澤様のお志です。」とオーナー。
みんなは、聡子に拍手をした。

時が過ぎ、コロッケ男爵こと小早川宗雄が立ち上がった。
一同は、食事をやめて、耳を向けた。

「えー、昔のコロッケを探しにレストランをめぐっておりますうち、
 リヨンの隆シェフに巡り合うことができ、それが、
 まさか、こんなに多くの人が集まってくださり、
 コロッケのために、尽力してくださいました。
 本当にありがとうございました。
 今日一日夢のような気持で過ごすことができました。
 妻が、この光景を見ましたら、さぞ・・・。」
と、小早川は、声を詰まらせた。
「さぞ喜んだと思います。
雑誌をいただきましたとき、一冊をお仏壇に置き、
 亡き妻と、いろいろに語り合いました。
 一家で、海も山もいきましたのに、
 思い出すのは、コロッケパーティのことばかりで、
 毎回子供たちは大きくなり、そのときの喜びばかりでした。
 今日のような日がくるとは、思いもよりませんでした。
 みなさま、本当にありがとうございました。」
みんなの大きな拍手があった。

次に、長男の小早川健一が立った。
立った途端、健一はどっと涙を流した。
「父が一人で淋しい思いをしているのではないかと、
いつも心配していました。
父から雑誌を送ってもらい、弟と読んで、涙いっぱいになりました。
 これは、行かねばならないと、新幹線で駆け付けました。
 私は、静かなレストランで父と3人で、
懐かしいコロッケを食べている光景を胸にいだいていました。
 それが、お店に来ましたら、ビルを囲むほどお客様にあふれ、
 みなさん、コロッケだけを食べに来たのだとお聞きして、
 喜びで胸がいっぱいになりました。
 しかし、あれだけ多くのコロッケを作られ、厨房の方は、
 死ぬほど大変で、ソムリエさんは疲労で倒れそうになられたことと思います。
 我が家にとって、最高のプレゼントをいただきました。
 父は、もう淋しくないと思います。
 ありがとうございました。」
健一は、涙を浮かべて、座った。大きな拍手。

次男、小早川洋治。
皆さま、どうもありがとうございました。
今日の日に、参加できましたことは、一生の思い出です。
母が亡くなり、葬儀のあと、3人でうなだれ、悲しんでいるとき、
「コロッケを作って食べよう。」と言ったのは、私で、事実です。
それを、柳澤様が、月刊グルメに書いてくださったので、
今日、私は、もてもてでした。
(みんな笑い。)
「ね、コロッケを作って食べようよ。」と言った方でしょう?
と多くの人に言われ、なんだか、ヒーローになった気持ちでした。
(みんな、笑い。)
父は、お茶目ですが、恥ずかしがり屋です。
その父が、「コロッケ男爵」の姿でいることに驚きました。
父は、「心のコロッケ」を皆さんが食べに来てくださり、
よっぽどうれしかったのだと思います。
リヨンのシェフ様。昔のコロッケをありがとうございました。
また、厨房の方ソムリエさん方、
本当にお疲れ様でした。
ありがとうございました。」

洋治は座った。
大きな拍手。

会が終わり、リヨンの隆と絵梨香は、
気持のよい風を受けながら、帰っていた。
「ね、お父さん。2つのレストランが手を組んで、
 あんなにたくさんのお客様がきてくれるって、
 他に、絶対ないと思わない?」
「思うよ。1つは、母さんで結ばれてる。
 もう一つは、柳澤さんで、結ばれてる。」
「そうね。これだけ、仲良くなっちゃったから、
 この先も続くね。」
「だと、いいね。」
二人は、空を見た。
やっぱり、明るい星が、
二人にまたたいているのだった。

<おわり>

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コロッケ男爵②「『雑誌月刊グルメ』ができる」

第2話です。次回、最終回にしようと思っています。
読んでくださるとうれしいです。
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コロッケ男爵②「『雑誌月刊グルメ』ができる」


夜になり、レストラン・シャトレに行くとき、小早川の胸は躍った。
中に入ると、落ち着いて癒される雰囲気である。
ソムリエ・加奈子が、きびきびとした態度で来た。
「ご注文をおうかがいいたします。」
「それが、メニューにないのですが、『懐かしいコロッケ』を食べたいのです。」
「承知いたしました。シェフにできるかどうか確認してまいります。」
加奈子は、にっこりと礼をして、厨房に行った。

「え?懐かしいコロッケ?まかせてください。」小林は嬉しそうに言った。

加奈子は客のところに来て、
「あの、まかせてくださいと喜んでいました。」
「そう、それはうれしいです。」小早川は、にっこりして言った。
「お飲物は、いかがいたしましょうか。」
「ワインですね。おすすめを聞かせてください。」
加奈子は少し考え、
「カリフォルニアン・ロゼはいかがでしょうか。」と言った。
「まさに、それを言ってくれないかなと思っていました。
あなたを試したわけではありません。
他のワインだったら、それを受け入れようと思っていました。
どうして、ロゼを選ばれたのか、聞かせてくださいませんか。」と小早川。
「お客様は、今、懐かしい味をお求めです。
それは、家庭でワインが飲まれるようになった初期の頃だと思います。
その頃、赤ワインや白ワインは酸っぱくてあまり好まれず、
少し甘みのあるロゼが多くの家庭で飲まれたと聞いています。
そこで、素朴で懐かしいコロッケには、ロゼと考えました。」
「すばらしい。どうもありがとう。ソムリエさんは、そこまでお考えになるのですね。」
「いいえ、どういたしまして。」加奈子はにこっとして下がった。

ワインが来て、コロッケが来た。
「シェフから、もしよろしければ、手で持ってお召し上がりくださいとのことです。」
加奈子は、にっこりと言った。
「はい、そういたします。」小早川は、うれしく思った。
一口食べた。
「ああ、ここも妻のコロッケを出してくれる。」小早川は感激した。
しばらくして、シェフの小林が来た。
「シェフの小林です。お気に召しましたでしょうか。」と小林は聞いた。
「はい、もう。」と小早川は言った。
そして、小早川は名刺を出し、小林は、店の名刺を出した。
「ママのオムライスを読みました。
イメージ通りの方で、うれしいです。」
「リヨンに寄ってらっしゃったのですね。
私のコロッケは、昔リヨンのママが作ってくれたものです。
ママの味なら、みんな覚えています。
きっと同じコロッケだったと思います。」小林は言った。
「はい。求めていたコロッケを出してくださいました。
あれほど捜し歩いた昔のコロッケが、
こんな近くの2軒のお店で食べられるなんて、
私は、幸せです。

ママのオムライスのときは、混んでいて入れなかったのです。
でも、今度は、ゆっくりと味わうことができています。
それから、ワインです。私が求めていたカリフォルニア・ロゼを
ソムリエさんは、ずばりと言ってくださいました。
私は、なぜ、ロゼを言ってくださったのか、お聞きしました。そして、
言わば、コロッケだけなのに、ソムリエさんは、そこまで考えてくださるのかと、
感激しました。彼女だけでなく、
みなさんすばらしいソムリエさんなのでしょうね。」

「それは、うれしいお言葉です。皆に伝えておきます。
 私も、懐かしいコロッケを作ることができて、
今日は、うれしくてたまりませんでした。」
小林はそう言って下がった。

小林は、すぐに、ソムリエ達に、コロッケのお客様の言葉を伝えた。
「例え、コロッケの一品にも、真剣に考えてもらえたことが、
一番感激したところだったとのことです。」
小林が言うと、みんなは飛び上がって喜んだ。
「やる気出るなあ。」と一人が言った。
「うん、出る、出る。」とみんなで言い合った。
加奈子も嬉しそうだった。



3週間が経ち、「月刊グルメ」の発売間近だった。
発売3日前にリヨンとシャトレのレストランに3冊ずつ送られた。
今月は、特別に見開きの2ページが使われ、
「コロッケ男爵」の全身写真がドカンとレイアウトされていた。
さすが、柳澤聡子である。インパクトとしては、ママのオムライスの方があったが、
「コロッケ男爵」は、ほのぼのとした昭和のよき時代を醸し出し、
母の死を、コロッケを食べながら、乗り越えていく一家の姿が描かれていた。
リヨンで以心伝心ともいえる昔のコロッケとの出会い、
シャトレでは、客の気持ちを汲み、ズバリとワインを選んだソムリエ。
そんなエピソードを交えて、心温まるコラムになっていた。

小林は、雑誌を持ってオーナーの部屋にいた。
支配人はその横。
「なんだねえ、柳澤聡子さんって方は、魔術師ですね。
 こう、昭和のあの頃のことが、胸に浮かんで泣けてきます。」と、オーナー。
「今度はどうでしょう。あのオムライスのときのように、
 お客様が来てくださるでしょうか。」と支配人。
「2通り考えられます。
 2度目だから、好奇心は半分。半分くらいの人が来てくれる。
 もう一つは、前来てくださった方が、また来てくれる。
 それに、前に逃した方が、今度こそはと来てくれる。
 そして、新しくコラムを読んで、これは、ステキだと思った人が来てくれる。
 他でもないコロッケです。オムライスより身近です。
 結論として、2倍近くの人が来てくれでしょう。支配人、どう?」
「2倍は無理でも、前より多くのお客様が来てくれそうです。
一つ、多くの方が来てくださるとして、回転が追いつくでしょうか。」支配人。
「大丈夫。オムライスより、早く食べ終わります。最後に小林シェフは?」
「私は、楽観的なので、2倍は無理でも、
1、 5倍は、来てくださると思っています。今回は、『コロッケ男爵』の、
インパクトが大きいです。」
「じゃあ、ここでの結論は出ましたね。
 コロッケはオムライスより値段が安いですが、それは気にしないで。
 思い切り値を下げていいです。
 多くの方に来ていただくことが大切です。
 あとは、下の人達の意見次第ですね。」

 店が終わって、小林は、みんなに予想を話し合ってもらった。
「前回は、小林シェフのエピソードが、感動的。」
「今回は、ほのぼのした感じがステキ。
そして、『コロッケ男爵』のインパクトがある。」
「一度来てくれた人は、また来てくれる。」
「今度こそはと来てくれる人、新しく来てくれる人もいる。」
結論として、余ってもいいから、1、5倍作っておくべし。
小林と同じ結論になった。

コロッケ2つにキャベツ。小林ドレッシングをテーブルに置く。
前回と同じロゼをグラスワインでつける。
値段は、昔風に300円とした。

そう決まり、小林はリヨンに電話をし、両店同じものが出るようにした。
値段の300円も、隆は大賛成だった。
「レストランに入って『安い!』と思ってもらうことも、楽しいね。」
と、隆は言った。

同じ日、コロッケ男爵こと小早川宗雄は、聡子のコラムを、
しみじみとした思いで読んだ。
昔の思い出が、聡子の調味料により、いっそう美しく描かれている。
小早川宗雄は、雑誌を仏壇に置き、今は亡き妻と語り合った。

(次回は、「店を囲む行列」最終回です。)

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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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