女塾⑧「悠子のデビュー」<悠子合宿編>最終回

今回で、<悠子・合宿編>をひとまず終了しようと思います。
ここまで、読んでくださり、ありがとうございました。

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九月となり、合宿所に来て、2ヶ月がたった。
この時期になると、1ヵ月後の活動に向けて、
実地の訓練に入っている。
有紀と梨奈は、AKDに入ることになり、
すでに、メンバーと行動を共にしている。
AKDから2名が辞めるらしく、そのポジションができるよう
ダンスや歌の練習している。

悠子に来る有紀のメールは、とにかく大変だとばっかり言って来る。

悠子は、大滝と共に、九月1日発売予定のシングルの製作に入っていた。
悠子の弾き語りのバラードと、バックバンドを入れた、速い曲。
コーラスも入り、豪華な曲になる。どちらも、悠子の作曲だった。

バックバンドとコーラスはしあがり、CDが送られてきた。
あとは、合宿所のそばにある音楽スタジオで、悠子の声を入れるだけだった。

九月から始まる、オシャレな推理ドラマのエンディングに流す。
曲名は、とりあえず「恋の雫」とし、本命である。

ドラマのエンディングの撮影と、
プロモーション・ビデオの撮影との計画が今進んでいる。

その日、CDジャケットの写真を撮りにカメラマンが来た。
悠子がピアノを弾いている姿をとる。
黒い周りに、悠子の黒いドレス、顔と髪だけが、写るように撮影された。
「彼女、絵になりますね。」とカメラの安田が、大滝に言った。
「そうだろう。これで、歌もいいんだよ。最高に魅力的に取ってよね。」と大滝が言った。

1ヶ月が瞬く間に過ぎ、大滝から、出来上がったCDをもらって見たとき、
悠子は、涙が出るくらい感激した。
名前は、「ジュリア」という苗字なし。
ジャケットの表は、ピアノを弾いている悠子の顔。
そのほかは、ピアノの角、黒いワンピースのしわ、
黒と白が絶妙のバランスで写っていた。
裏は、バックバンドと髪を振り乱しながら、踊っている姿があった。
中に、悠子のアルバムが入っていた。
サービスたっぷりなCDである。
悠子は、余分に3枚もらった。

明日、放送のドラマのエンディングで流れる。
ドラマは、今人気一番の推理作家の「金曜日には赤いバラを」。



3ヶ月の合宿が終了した。
しかし、終了式に集まれたのは、
3人だった。悠子と、モデル志望の唯と愛美。
一応形式どおり式を終えた。

悠子は、唯と愛美に抱き合って別れを惜しんだ。

家に帰れることになった。
ドレスが一杯たまり、大きな紙袋を2つ借りた。
今日は家族とゆっくりできる。
明日から、学校へ行けるように、
母が、性適合手術終了の証明書をもって、
戸籍の変更と、名前の変更(悠子)を終えてくれている。
そして、入学できる学校を探してくれた。
元の学校では、素性がわかってしまう危険があった。

悠子は、自分のCDのことは、一切家族の内緒にしていた。
その方が、サプライズで楽しいと思った。



バスは発ち、3時間をかけて、元女塾のあったところへ着いた。
悠子は、水色のワンピースを着ていた。
手術後初めて着た、記念のワンピースだ。

午後5時になっていた。
悠子は、家に電話した。
そして、荷物があるから、タクシーで帰ると言った。

悠子の高橋家では、みんな心臓を高鳴らせて、悠子の帰りを待っていた。

悠子も、タクシーの中で、心臓を高鳴らせていた。
みんなが自分を見て、なんて言ってくれるだろう。
ああ、もうすぐ家に着く…と悠子は生きた心地がしなかった。

タクシーにお金を払い、両手に荷物を下げ、インターフォンをならした。
「悠子?」と母の声。
「はい。ただ今。」
みんながドアを開けて出てきた。
妹の紗江が、一番に飛んできた。
「わあ、お姉ちゃん、綺麗、美人、すごーい。」と拍手をしながら喜んだ。
紗枝は、すぐ荷物をもち、悠子は、父母の前で言った。
「お父さん、お母さん、ただ今。悠子になって帰ってきました。」
父和明は涙ぐんでいた。
母信子は、悠子を抱き、
「綺麗よ。ステキな女の子になれたのね。よかったね。」と涙を流した。
「お母さん。ありがとう。」と悠子は涙をこぼした。
「お父さん。ご心配かけました。」と悠子は言った。
「うん、うん、よかった。よかった。」と和明は、涙を流した。

食卓には、ご馳走が用意されていた。
みんなで盛大に乾杯した。
話は、尽きることがなかった。

父和明は言った。
「それで、明日から1年間、学校が終わったら芸能活動するんだろう。」
「それがね、ある程度家に居られることになったの。
 あたし、テレビもでないし、雑誌の取材もしないし、
 作曲だけしていけばいいの。それは、パソコンのファイルにして送ればいいし、
 ただ、年末にライブをさせてくれるの。そのときは忙しいと思う。」
悠子は言った。
「お姉ちゃん、それ、ZARDみたいじゃない。なんかベールに包まれてる。」
と紗枝が言った。
「そうなの。ZARDとちがうのは、ライブがあることだけなの。」
「かっこいいな。シンガー・ソング・ライターだよね。」紗江が言った。
「うん、まあ、そうなの。」と悠子。

時計が、8時になった。
紗江があわてた。
「テレビ。あれだけは見よう。『金曜日には、赤いバラを』。今日からよ。」
「ああ、あれだけは、見るか。」と父。
「そうね。ぜったいおもしろいから。」と母も言った。
悠子は密かにほっとしていた。
みんなが、見なければ、CDのことを自分から言うつもりだった。

みんなは、ソファーの方へ移った。
ドラマは始まった。
驚くほどおもしろい推理ドラマだった。
悠子は、エンディングをみんなが、聞いてくれるかドキドキしていた。
でも、我家はエンディング曲まで、きっちり聞くことを知っていた。

ドラマが終わり、CMを挟まずすぐエンディングの曲になった。
『ああ、みんなが、気に入ってくれますように。』
悠子は、祈った。
暗い感じの塀に字幕が流れ、そのうち、暗い中、ピアノを弾いて歌っている悠子の映像が流れた。
みんな、歌に聞き入っていた。
悠子の映像が終わって、また塀の映像になった。
「今のだれだ?紗江知ってるか。」と父。
「知らない。でも、超いい。」と紗枝。
「人気出るわね。」と母。
悠子は、ハンドバッグの中から、自分の3枚のCDを出してきた。

「お母さん、ジュリアって人だよ。曲は『恋の雫』。」紗江が言った。
エンディングが終わり、
『ジュリアのCD本日発売』という短い映像と文字が出た。
「この人いい。それに、すごい美人。」と紗江が言った。

そのとき、悠子は、3人にCDを1枚ずつ配った。
「みんな、ほめてくれて、ありがとう。」悠子は、にっこり笑ってそう言った。
3人は、CDと悠子を見比べて、
「あ、あ、うそ!今の、お姉ちゃん、お姉ちゃんなの!」
と紗江が叫んだ。
「じゃなきゃ、悠子がもってるわけない。うわー、すごすぎる!」
と父も叫んだ。
「まあ、びっくりだわ。もう、CDが出てるの?」
「お姉ちゃん、これ、大変なことよ。あの作家のドラマ、すごい視聴率なんだから。
 そのエンディングよ。わあああああ、大変!」紗江が言った。
「紗江、学校でだまっててね。」悠子は言った。
「うん。ベールで包んでおくんでしょう。でも、言いたい。自慢したいなあ。」
と紗枝はいった。

悠子のサプライズで、みんなは、また盛り上がり、テーブルについて、
飲み物を飲み始めた。



ジュリアの「恋の雫」は、ドラマのあったその日に、完売し、
初め8000枚作成だったものが、次は、30万枚作成された。
それも、3日で完売し、100万枚に向けてうなぎ上りに売れた。

取材やテレビ出演以来が相次いだが、
マーネージャーの大滝は、秘密主義をあくまで貫いた。
それは、ストーカーの被害を避けるためであると言った。
『歌手が高校生をしているのではなく、高校生が歌手をしているのです。
 だから、彼女の高校生活を脅かすようなことは、止めてください。』
と大滝はいい通した。
 取材陣は、渋々帰っていった。

 こうして、悠子は、ストーカーの被害にも遭わず、
 家庭で、穏やかに、学校の勉強と、作曲の仕事に励んでいけた。
 悠子のいちばん安らかな日々だった。

 ライブは、12月。そう遠い日ではなかった。
それまで、14曲。
 「さあ、やるか。」悠子にやる気がもりもりと湧いた。


<女塾・悠子合宿編 完>

※長々、だらだらしたものをここまで、読んでくださり、ありがとうございました。
 次について迷っています。新しいものを書こうか。悠子・学校編を書こうかです。
 その前に少し休憩いたします。

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女塾⑦「悠子・シンガー・ソング・ライターに」

長々話が続いています。もう少し続けます。
最後までお付き合いくださると、うれしいです。

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4時からの歌の練習に、5人の先生が来た。
初めの30分は、全体での発声練習だったが、
その後は、個別のボイス・トレーニングだった。
先生と1対1なので、待っている5人は、その間5人で練習があった。

悠太の担当は、水色のカラーグラスをかけた、25歳くらいの男性だった。
「先ほど、君の「be alive」聞いたよ。」と大滝という彼は言った。
「わあ、恥ずかしいです。」と悠子は言った。
「いや、君はほぼ出来上がっているよ。」
「ピアノは、かなりの腕だね。」
「全国ピアノコンクールの中学の部で優勝しました。」
「わあお、それは、すごい。ギターは。」
「中学のとき、バンドに遊びに言って、覚えました。」
「わかった。君は、女塾の1年の芸能活動が終わったらどうするつもり。」
「高校に戻って、高校は、きっちり卒業したいです。」
「なるほど。じゃあ、学校が終わってからだけで、どうにか活動を続けられるようにしよう。」
「そんなの、可能ですか。」
「うん。私が考えていたプランだが、ZARDのようにテレビに出ないようにしよう。
 しかし、ライブはやる。
 デビュー曲を、人気ドラマのエンディングに当てて、そこに君が弾き語っている様子をいれよう。
 君の美貌を見せる。そして、ピアノの姿も。絶対人気が出て、初シングルを出す。
 君は、作詞作曲ができる?」
「もう、たくさんあります。」
「いいねえ。それで行こう。
 2ヶ月に1曲ずつリリースして、年末にアルバムリリース。そこでライブだ。
 これなら、昼間、高校へ行きながらやっていける。
 事務所には学校が終わってから、毎日来てもらうことになるけどね。
 でも、一日家でのんびりできる時間は週1で、あるよ。AKDなんか、一日3時間しか寝てない。」
「そんな、夢見たいなことできるんですか?」
「私は、さっきの君を見て、できると踏んだよ。」

「じゃあ、君の作った最高のバラードを聞かせて。」
悠子は、これだと思うものを弾き語った。
「じゃあ、ダンスミュージックっぽい、激しいのやって。」
悠子は、体を一杯動かして、ピアノを弾きながら、激しいのをやった。
先生は、腕を組んで、ひたすら聞いていた。
「よし、君の曲でいこう。たいした完成度だ。
 君は、シンガーソング・ライターを目指す。
 
 当分、私、大橋が、君のマネージャーをやる。兼、ボイストレーナー兼プロデューサーだ。」
「うれしいです。」
「言っておくけど、私は、妻以外の女性には、手を出さない。妻を愛しているんだ。
 もちろん、君を他の人間に指1本触れさせない。あ、学校のボーイフレンドは別だよ。」
「うれしいです。」と悠子は笑った。
「さっきの2つの曲を、練習しておきたまえ。」と大橋は言って、レッスンは終わった。



みんな、ボイス・トレーニングが終わって出てきた。
今日の練習はこれで終わりだ。

有利が悠子を見つけて、外のベンチに誘った。
日は、まだ明るかった。
「悠子は、将来のこと言われた。」
「うん。大体のこと。」
「有紀は?」
「あたしね、お暇様服のモデルやりたいっていったの。」
「そしたら、歌と踊りができて、背もちょうどいいし、
 AKDに入らないかって言われた。
 君なら、1ヶ月で、前列にこれるだろって。
 その代わり、24時間、寝る暇が3時間しかないって。」
「今、いちばん華やかな仕事だね。」
「悠子は?」
「あたしは、テレビに出ないで、CDとライブだけで行くって。
 高校に行きたいっていったから。」
「悠子ならできるよ。」
「有紀なら、AKDで人気がすぐ出ると思うけど、
 ハードなのが辛いね。」
「悠子に会えなくなる。」
「そうだね。あたしも有紀に会えなくなるの淋しい。」



今日の個室のレッスンで、みんな将来の見通しを聞かれた。
食事までの時間、みんなその話で持ちきりだった。
4人でユニットを作って、ダンス音楽を歌うとか。
背が高く、海老ちゃんに似ている唯は、モデルに。
聞くと、みんな個性が活かされた仕事を勧められていた。

夕食が終わって、みんな寝室に入った。
悠子は、今日教わった方法で、長い髪を上手にまとめ、
シャワーを浴びた。
同じく、有紀も。
パジャマに着替えたかったけど、まだ時間が早く、
もとの服に戻っていた。
二人は、ベッドに並んだ。

そのとき、ドアをノックする音がした。
有紀が出て見ると、大阪の梨奈がルームメイトの海老ちゃんと来ていた。
海老ちゃんは唯のあだ名で、ファッションモデルの海老ちゃんに似ている。
梨奈が有紀に手招きをした。
「あのなあ、うち純粋に女やろ。
 そやから、女同士のセックスようできへんねん。
 他の部屋は毎晩女同士で、してんねんやろ。
 あたしはええけど、ルームメートの海老ちゃんが可哀想なんや。
 で、海老ちゃんに聞いたら、悠子が、好きでたまらへんらしい。
 一晩だけでええから、海老ちゃんの夢叶えたってくれへん?」

有紀は性格のいい海老ちゃんのことを考えた。
いつも自分が一人で悠子を独占していることを考えた。
「ちょっとまってて。」
有利は引っ込んで、海老ちゃんの事情を話した。
「うん。有紀がいいならいいよ。」と悠子は言った。
有紀は部屋の外に出て、OKマークを出した。
「じゃあ、その間、有紀とあたしは、散歩でもしてよ。」
と梨奈は言った。
「そうだね。」
有紀はそう言って、唯(海老ちゃん)を部屋の中へ押し込んだ。
悠子は、唯の手をとって、ベッドに並んで座った。
唯は、緊張しているようだった。
唯は言った。
「あたしね、男のとき、背は低くて、細くて、気が小さくて、
 女の子とお話なんかできなかったの。」
「それ、無理ないよ。女の子なのに男だったんだもの。
 ここにいる人大勢そうだよ。でも、今の唯は、ぱあっと明るい太陽のような人だよ。
 どんどん自信がついてくるよ。」
「悠子は不思議な人だね。悠子に言われるとそんな気になってくる。悠子の歌と同じ。」
「うん?」
「あ、悠子の言葉も歌も、胸に沁み込む。」
「ありがとう。」

悠子は、唯の手を取った。
「唯は、とってもステキだよ。」
悠子はそう言って、唯の肩を抱き、キ・スした。
唯が震えていた。
「あたしのファースト・キ・ス。」と唯が言った。
「じゃあ、たくさんキ・スにしちゃおう。」
悠子は、唯に何度もキ・スをした。
少し舌も入れた。
唯のワンピースの背中のファスナーをはずした。
そして、ワンピースを脱がせた。
悠子はTシャツを脱いで、スカートをぬいだ。
二人で、ベッドに上がった。

悠子は、唯の体中にキ・スをして、ちぶさをやさしくあいぶした。
二人で、ちぶさどうしをくっつけて、抱き合いながら、またキ・スをした。
唯の呼吸が荒くなって来た。
「あたし、ぬれてる。」と唯が言った。
「あたしも、ぬれてるよ。唯みたいな可愛い子とこんなことしたら、
 誰でも感じるよ。」
「ほんと?」
「うん。」
悠子は、唯のショーツを取った。そして、自分のもぬいだ。
二人のブラをとって、スリップ1枚だけになった。
抱きあったとき、唯が言った。
「ああ、幸せ。悠子といっしょにいる。」
「あたしも、幸せだよ。」悠子は言った。

悠子はそこから、唯のちぶさを激しくせめ、体中をあいぶした。
唯がなんども声をもらした。
悠子が、唯のももに手をいれたとき、唯は、「あああ」と声をあげた。
悠子は、やがて、唯の中心へと向かい、そこの周りをゆっくりなでて、
あるスポットへ指を当てた。
「あああああ。」と唯が声を押し殺して叫んだ。
それから、唯の半狂乱の声が続いた。
ときどき、唯のくちびるを、悠子のくちびるでふさいだ。
うう、うう、と声を漏らしながら、唯は、小刻みに体を震わせた。
やがて、くちびるをはずし、
「ああ、悠子、あたし、いきそう、もうだめ、あああ、もうだめ。」
唯は言った。
それから、少しじらせて、悠子は、激しくあいぶをした。
唯は、高い声をあげ、体を大きくのけ反り、
「あああああ・・。」という声をあげながら、果てていった。

悠子は、毛布をかけ、唯の肩を抱いた。
「ああ、悠子ありがとう。悠子にしてもらってるって思うだけで興奮しちゃった。」
「唯、最高に可愛かったよ。唯、美人だね。感じてる時の顔、すごくステキだった。」
「ありがとう。今度は、あたしにさせて。悠子をいかせてあげたい。」

今度は、唯が悠子を攻めた。
悠子は、唯と同じような声をあげて、果てて行った。

「うれしい、悠子をいかせてあげられた。」と唯が言った。
「すごい、天国にいったよ。」と悠子。
「あたしも、さっき行った。」と唯。
二人で、顔を見合わせて笑った。

二人で服を着て、外に出た。
テラスのところで、梨奈と有紀が話をしていた。
そこへ二人が行って、4人になった。
「あ、海老ちゃんも悠子も、すっきりした顔してる。」と有紀が言った。
「うふふふふ。」と二人は笑うばかりだった。

空は、眩しいほどの満天の星だった。


つづく(次は、「悠子、シングル・リリース」です。)

女塾⑥「あたし達の最高傑作」

次の朝、衣服や靴がある広い部屋がオープンになった。
多くは、先輩タレント、歌手からのお下がりだった。
10人は、そこにあるものは、なんでも借りられる。
悠子と有紀は、とりあえず今日の服を選んだ。
悠子は、憧れのタイトミニ。薄手のTシャツ、メッシュのベスト。
有紀は、お嬢様風の襟の大きく開いたピンク系のワンピース。
靴、そして、髪に使う、ヘアピンや、ゴム輪、シュシュなど。
後で思いついた物は、いつでもこられる。
下着は新品、自分達で洗濯機で洗濯。

朝食が終わって、9時から、第一講義が広間であった。
そこで、女の子講座が始まった。
まず、生理の時の対処の仕方。
風呂へ入る時の、長い髪の処理のしかた。
髪を巻いて、かんざしを差してとめる方法。
ヘアバンドの止め方。
風呂から上がった時の、髪の手入れ。
(即、ドライアーをかけるべし。)
基本的な肌の手入れ、メイクの基本、などなど。
女の子として必要なことが、どんどん説明された。

悠子は夢のように思っていた。
こんなことを、どうどうと教えてもらえるなんて、
男子であったときには、考えられないことだった。
女の子は、こんなことを、生まれたときからやってきたんだなあと思った。



午後は、ダンスの練習だった。
靴がないことに気が付き、悠子は有紀と衣服の部屋へ借りにいった。
そして、足に履く薄手のソックスも必用だと分かった。
それから、レオタードには、ウエストに薄いスカーフを巻いていることも気が付いた。
何から何まで、その場で気が付くものばかりだった。

「なんか、レオタードって憧れの一つじゃなかった?」と有紀が聞いてきた。
「うん。うれしいよね。なんか、スタイルをよくしてもらったから、似合うよね。」
と悠子は、言った。
「うん。悠子すごいカッコいいよ。」
「有紀も。」

ホールにいくと、ジュディーという金髪の先生がいた。
素晴らしい美女。2200年からの人だなと思った。
集まった10人は、みんなレオタードがばっちり似合っていた。

初めの柔軟。
脚が180度、前後左右に開いた。
悠太は、びっくりした。
そして、先生に真似て、手の動き、脚の動き、全部できる。
ソフトがインストールされているからだろうと思った。

やがて、今風の音楽がかかり、先生がお手本を見せて、その通りにやる。
それが、一度見ただけで、全部できる。
ポップな音楽に合わせて、テレビでみるようなかっこいい動きで全部踊れる。
踊れるということは、こんなに気持ちのいいことかと思った。
その場で、3回転をやってみた。できる。
「有紀、なんだか、うれしいね。」と悠子は言った。
「なんだかどころか、すごいうれしい。」と有紀は言った。

2時間ほどのダンスの練習のあと、1時間の休憩。
その後は歌の練習だった。

ダンスホールにピアノがあった。
ふたが開いた。
悠子は、ピアノは、4歳のときから英才教育を受けてきた。
流行りの曲なら、なんでも弾ける。
中学からは、ギターも好きになり、フォーク・ギターをやった。
校内のバンドに遊びに行って、ベースもリードギターもやった。
そして、ボーカルも任された。
しかし、悠太のときは、ルックスに自身がなくて、楽器の方に回っていた。
本当は、悠太のボーカルが1番だった。

悠子は、ふたを開けて、ピアノ椅子に座った。
「わあ、悠子、ピアノ弾けるの?」
と有紀が興奮したように言った。
みんなも寄ってきた。
「下手だけどね。」と悠子は笑った。
「なんか弾いて。」と大阪の梨奈が言った。
「あたし、あれ好っきゃねん。小柳ゆきの、あれ何言うたか、いちばんええ曲や。」
「be alive?」と悠子は言った。
「そうそう。」と梨奈。
悠子が、(もちろん、楽譜も見ないで)前奏をたっぷりと弾いた、
そして、弾き語りをした。
悠子は歌いながら驚いていた。
2200年で、音楽性を高めてもらった。
そして、美しいビブラートを出せるようにしてもらった。
もともと歌が上手だった。
驚くほど、情感のこもった歌が、ダンスホールに広がった。

みんな、聞き惚れていた。
歌が終わったとき、みんながすごい拍手をした。
「ね、どうして楽譜もなしで、一発で弾けるの?」愛美という子が聞いた。
「うん。曲が浮かんだら弾けるの。」と悠子は応えた。
「いいなあ。憧れちゃう。これで、悠子はますますナンバー1だわ。」と沙良という子が言った。
「どういうこと?」と悠子は聞いた。
「みんな、10人の中で、悠子がいちばん綺麗で、ステキやて思てるのよ。」
と梨奈はいい、「これで、確定やね。」と言った。
「そうなの有紀?」と悠太は聞いた。
「あたしもそう思うよ。あたし達の最高傑作。」有紀は言った。

水色のカラーグラスをかけた男性が、その様子をすべて見ていた。


つづく(次は、「悠子の方針」です。)

女塾⑤「長かった一日」

ちょっと長くなりました。すいません。読んでくださるとうれしいです。

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エレベーターに乗って、2012年についた。
扉が開くと、そこは合宿所だった。
午後の5時、ぴったりだった。
部屋は2人部屋ということで、仲良しが決まっている人は、
そのペアが優先だった。
有紀は、「はい、はい!」と手を挙げて、悠太といっしょの部屋になった。
ペアのない人は、近くの人といっしょになった。
でも、みんな可愛くて、だれが相手でもいいようだった。

食事は6時からで、7時からミーティング。
8時からは自由時間だった。

悠太と有紀は、お互いに、悠太は悠子、有紀(ゆうき)は有紀(ゆき)と呼ぶことにした。
悠太がケータイで家に電話した。
そばで、有紀が聞いていた。

「もしもし、おかあさん。」
「え?悠太なの?声が女の子だわ。」
「うん。今日もう手術が終わったの。あたし、今、完全に女の子だよ。」
「まあ、そうなの。こんなに早く?どんな子になったの。」
「もとのあたしの顔と似てるよ。でも、完全に女の子。」
「あ、とうさんに変わるね。」

「悠太、無事か?元気か?」と父は聞いた。
「うん。大手術なのに、終わったら、もう歩けるの。すごく元気だよ。」
「それは、よかったなあ。女の子の悠太を早くみたいよ。」
「うん。美人だよ。びっくりすると思う。」

妹の紗江がでた。
「お兄ちゃん?あ、お姉ちゃん?」
「うん。お姉ちゃん。」
「わあ、声が可愛い。もう女の子なんだね。」
「うん。そう。けっこうイケてる子になってるよ。」
「楽しみ。早く帰ってきて。」
「後で写メ送るね。じゃあ。」
「うん。バイバイ。」

そばで聞いていた有紀は、ちょっと悲しそうだった。
「いいなあ。あたしの家は、悠子の家みたいに温かく言ってくれないと思う。」
「かけてみないと、わからないよ。」悠子(以下悠子)は言った。

有紀はケータイを耳に当てた。
「あの、あたし有紀。だれ、お母さん?」
「う、うん。声が女の子になってたから。」
「今日、もう手術で、あたし、今完全に女の子。」
「そうかい。初日に手術だったんだ。ちゃんと女の子になれたかい。」
「うん。可愛いよ。きっと驚くと思う。」
「そうかい、よかった、それは、よかった・・・。」
受話器の向こうで、有紀の母が泣いているようだった。

「有紀、お父さんだ。手術が上手くいったのか。自分の思った女の子になれたか?」
「うん。お父さん。すごく可愛い女の子になれた。」
「そうか、それはよかった・・・」
父が声を詰まらせ、泣いているのがわかった。
有紀の目に涙が浮かんだ。
「お父さん。たくさん我がままいってごめんね。」
「いいんだ。お前が幸せになれば、それでいいんだ。願いが叶って、よかったなあ。」
父は、そこから声にならなかった。

「あたしが、女の子になったこと、喜んでくれるの。」
「ああ、お前が幸せなら、それでいい。それで、いいんだ。」
「お父さん、ありがとう。もう切るね。またかけるから。」
「ああ、元気でな。」
「うん。」
有紀は、涙で声にならなくなっていた。

悠太の胸に飛び込んできた。
「ね。かけてみないとわからないでしょう。」
「うん。あたしが家を出るまで、口も利いてくれなかったのに。」
「親ってそんなものみたい。あたし達が幸せになれば、きっと喜んでくれる。
 二人とも、幸せになろう。」悠子は言った。
「うん、うん、幸せになる。」
そういって、有紀は、悠子の胸で、ひとしきり泣いた。



長いテーブルで、10人がそろって、夕食を取った。
今日の昼の食事風景とまるで違った。
色とりどりの服を着た美少女が10人。
壮観だった。
みんな、食べ方が、自然に女の子になっていた。
話している内容も言葉も女の子だった。

食事のあと、ミーティングルームで、自己紹介があった。
世話役の久美が付き添っていた。
180cmあった背のあった人は、160cmの可愛い子になっていて、
みんな、自己紹介されるまで分からなかった。
背が高かったので、逆に小柄な子になりたかったと言った。
太っていた子は、ものすごく華奢な女の子になっていて、
これも、みんな驚いて拍手をした。
やがて、有紀になった。

有紀は立って、
「あたしは、顔は深キョン。
 体は、松田聖子ちゃんと佐々木希ちゃんを元にしました。」
と言った。
「わあ、豪華じゃない。」
「欲張り。」
などという声が聞こえた。
みんな笑っていた。

次は、悠子。
「あたしは、ベースにした人はいないんですが、
 何となく、ZARDの坂井泉水さんに似てしまいました。」
「似てる似てる。」
「いいなあ。坂井泉水は、天下の美女よ。」
「あ、でも、自分の顔も入ってるんですよ。」と悠子。
「それは、みんなそう。あたしなんか、自分の顔混ぜた分だけ、器量が下がったわ。」
と、愛美さんが言ったので、みんなが笑った。

みんなの中でただ一人、男性器を残した、絵夢さんという子に焦点が集まった。
「ずいぶん迷ったんだけど、あたし、シーメールが理想だから、残しました。
 みんなは、もう女性ホルモンいらないと思うんだけど、
 私は、男性機能を失いたくないから、ホルモンを一生打ちます。
 でも、みんなの生理よりましかなって。」

「そうっか。あたし達、女性ホルモンいらないんだ。
 女性器が作ってくれるんだ。ああ、意識しなかった。
 分かってた人?」と麻美という子が言った。
あんまり手が挙がらず、また、みんなで笑った。

1時間のミーティングは、あっという間だった。
みんな、いい人ばかりだった。

悠太は有紀といっしょに、部屋に行った。
すると、パジャマと明日の下着が用意されていた。
レオタードもあった。
きっと、明日ダンスの練習があるのだろう。

二人は、長い髪をなんとかしながら、シャワーを浴びた。
パジャマは着ずに、元の服にもどった。
パジャマのポケットにゴム輪が入っていた。
悠太は、長い髪を後ろ1本にまとめた。

「わあ、悠子、そうやると、ほんとに坂井泉水に似てるね。すごい美人だよ。」と有紀が言った。
「そうお?うれしいな。有紀は、顔は深キョン、体は聖子ちゃんだよね。」と悠太。
「うん。聖子ちゃんの乙女チックなところに憧れてたの。」有紀は言った。

二人はいつの間にか、ベッドに並んでいた。
「あのさ、あたし達、女の子の体、試してみたいよね。」と有紀が言った。
「うん。それに、有紀が可愛くてしょうがない。」と悠子が言った。
「あたしは、悠子がステキで、さっきから心臓ドキドキ。」
悠子は、有紀にくちびるを近づけた。
軽くくちびるを合わせた。

悠子は、有紀の白いボレロを脱がせた。
有紀は、肩見せの白いワンピースだった。
有紀は、スリムなのに、触るとものすごく柔らかかった。
悠子は、舌をくちびるの中に少し入れた。
有紀はそれを返してきた。
悠子は、有紀の肩を抱いた。
「悠子、お姉様になって、リードしてくださる?」と有紀が聞く。
「うん。1度しか経験ないけど。」
「あたしは、何もかも初めて。」
悠子は、有紀の後ろのファスナーを下ろして、
有紀をスリップ姿にした。

自分も、ワンピースを脱いだ。
悠子は、有紀のブラだけをはずした。そして、自分のも。
有利は震えていた。悠子も少し震えた。
二人は抱きあって、ベッドの上に乗った。

悠子は、有紀の腕を上にあげ、脇の下にキ・スをした。
みんなそこは永久脱毛されていて、赤ちゃんのようにすべすべだった。
「あたし、ここが好きなの。」と悠太が言った。
「うん、ぞくぞくする。男のときは、感じなかった。」
「女の子は、肌が敏感なの。」
そう言いながら、悠子は、何度もキ・スをした。
「ああん。」と有紀が声をあげた。
有紀の首筋とか、耳を刺激して、
そのうち、ちぶさにくちびるを移した。
ゆっくりちぶさを揉んだ。

「ああ。」と有紀が声をあげた。
たっぷりとちぶさをもんで、その突起を口にふくんで少しかんだ。
「ああ、お姉様、感じる。」
「そう?じゃあ、もっとね。」
悠子は有紀のち・くびを指でくりくりと揉んだ。
「ああああ、すごい。」と有紀が声を上げる。

「お姉様、ショーツを脱がせて。もう、湿ってしまったかもしれない。」
「うん。あたしも同じ。」
悠子は、有紀と自分のショーツを脱がせた。
「女の子ってぬれるんだね。」と有紀。
「うん、あたしも今初体験。」と悠子。

有紀のからだ中をあいぶしながら、悠子は、幸せを感じていた。
こんなに可愛いことせっくすをしている自分が信じられなかった。

「有利。さわるよ。ここ?」
「あああ。」と言って、有紀が背をのけ反らせた。
「たくさん触ってあげるね。」悠子は、何度もあいぶした。
有利の声が荒くなり、体をバタバタとさせた。
「ああ、お姉様、ステキ、あたし、気が狂いそう。」
「じゃあ、もっともっとね。」

「ああああ。多分だけど、いきそう。ああ、もうだめ・・。」
有紀がしがみついてきた。
悠子が、刺激を続けると、有紀の振動がはっきり伝わってきた。
「あ、あ、あ、あああ・・・・。」
有紀は叫んで、体を激しく揺らし、背を大きくのけ反らせた。
「ああ・・・。」
有紀は、小さく叫んで、体を沈めた。

悠子は、毛布をかけて、有紀が目を開けるのをまった。

有利は目を開けた。
「あたし、やり方わかったから、今度はお姉様ね。」
有利はそう言って、悠子の上に乗ってきた。
キ・スからはじめて、悠子の体中をあいぶしにきた。
初めてといいながら、有利はすごく上手だった。

悠子は、有利と同じ声をあげた。
『ああ、女の子って感じる。』
と悠子は思った。

そのうち、悠子は、声をあげ、息を荒くし、
スポットに有紀の指が来たときには、体をのけ反らせ、声をあげた。
有紀の丁寧なあいぶで、悠子は、やがて、到達の声をあげた。

悠子と有紀は、抱きあった。
「女の子になってよかった。」有紀が言った。
「あたしも、死ぬほど感じた。」と悠子は言った。
「あたしも。」

二人は抱きあって、そのまま眠りに入った。
長い一日だった。
そう、夢の中で言っていた。


つづく(次は、「トレーニングの始まり」です。)

女塾④「手術終了」

エンジニアの恵理は、とてもよくしゃべる人だった。
「では、まずあなたの身長を決めましょう。
 これは、あなたの将来のお仕事と関係があると思います。
 世界の大きなファションショーのモデルになるなら180cm近く必要でしょう。
 ファンション雑誌のモデルや、レースクイーンになるなら、168cmくらいでOK。
 しかし、大事なのはプロポーションです。例え、160cmでも、足が長ければ、
 十分です。あなたの時代の安室奈美恵さんは、ファッションリーダーですが、
 彼女は、158cmです。とてもそうは見えませんね。
 踊りを踊れる歌手になるには、背はむしろ低目がいいです。
 背が低い方が親しみをもたれるようです。162cmで十分です。
 さあ、どうしましょうか。」

恵理は一気にしゃべって、悠太に訪ねた。
「えーと、162cmで、脚を長くしてください。」悠太は言った。
「では、これからは、二人で決めていきましょう。この眼鏡をかけてください。」
悠太は、差し出されたメガネをかけた。
「今、モデルが現れますよ。はい。」
恵理がそう言ったとき、恵理と悠太の横に、
レオタードを着たモデルの姿が突然に現れた。

「これは、立体画像なので、リアルですが、実態のないものです。
 触ってご覧なさい。」
モデルは、本当にそばに立っていると思えたのに、悠太が触ると、手が突き抜けた。
「わあ、すごいですね。」悠太は言った。
「はい。グラマーがこうです。」
「スタンダード。」
「スレンダー。」
と恵理は、実際を悠太に見せた。

こんな作業をくり返しながら、体形や顔立ちも決めた。

顔が決まったとき、恵理がいった。
「あなたの面影を少し残しておかないと、ご家族は淋しい思いをされます。
 今、あなたのお顔のよい所をモデルの顔に調和させます。
 ハイ、どうですか。」
悠太は、自分に似てきたと思った。そして、十分に美少女だった。

髪型は、背中までのストレート、下が内巻き、前髪はスダレ状。
睫は長く、パーマネントカール。

「次に大事なことです。
 あなたの脳の、無意識行動の領域を、女の子仕様にします。
 つまり、話し方、歩き方、仕草、動作などです。
 これらを女の子仕様にしますと、あなたの話し方、
 あなたのとる仕草などは、自然に女の子のものになります。
 で、5段階ありますから、見てください。
 レベル1=女の子女の子した感じ。
 モデルの首に虫が止まっているとします。この子は虫が嫌いです。
 さあ、見てください。レベル1です。」

モデルに虫が止まった。
「キャー、やんやん、いやーん。」とぶりっ子的女の子の反応を見せた。
レベル3=スタンダード。
「やん、虫?ダメ、ああん、いや。」と言って虫をはねのけた。
レベル5=ボーイッシュ。
「うん?虫。うわあ。」と言って虫をはねのけた。

悠太は、レベル3=スタンダードを選んだ。
有紀は、きっとレベル1を選ぶだろうと思った。

「分かりました。」と言い恵理は続けた。
「みなさんが、ダンスや歌唱をされるお仕事に就いてもいいように、
 脳の運動神経のレベルをあげ、
 ダンスの基本的な動きができるようソフトをインストールしておきます。
 歌唱における音感、リズム感なども上げておきます。
 声帯は綺麗なビブラートができるようにしておきます。

 最後に、声を決めましょう。」

恵理は、モデルに声をいろいろに出させた。
悠太は、優しく、まろやかな女性的な声を選んだ。

「はい、これで以上です。お疲れさま。これから手術に入り、
 終わったときは、あなたの希望した通りの女の子になっていますよ。
 手術の時間は、1時間です。」
恵理は言った。
「髪の毛も伸びるんですか?」と悠太は聞いた。
「最速の長毛技術があります。大丈夫よ。
 あ、それから、手術が終わったら、
 あなたのイメージに合いそうな衣類、靴などを置いておきます。
 とりあえずそれを着てください。」

恵理のすぐ後ろが、手術室だった。
悠太は、その横の更衣室で、白い手術着に着替え、洋服を空のリュックに入れた。
(このためのリュックだったのか、と気づいた。)
助手が来て、手術台に乗せてくれた。
手術室に運ばれた。
目の前に、50を越えるロボット・アームがあった。
一つのアームが、悠太の頭に伸びてきて、チクッと光線をあてた。
その5秒後に、悠太は深い眠りについた。



深い眠りに就いていたのか、あっという間だった。
痛みがまったくない。
声がした。
「手術は、大成功に終わりました。おめでとう。
 先ほどの更衣室に、衣類がありますから、
 着たら出てきてください。」

悠太は、そっと胸に手をやった。
ああ、乳房がある。うれしくて泣いてしまいそうだった。
起き上がった。手術着から白く長い脚がのぞいていた。

恐る恐る下りて、更衣室に入った。
大きな鏡があった。
肌が蘇生されたのか、白く透けるような肌の、驚くほど可愛い女の子が立っている。
思い切って、手術着を脱いだ。
そこに、抜群のプロポーションをした女の子が立っている。
悠太は嬉しくて、涙があふれてきた。

下着を着けた。
用意されていた服は、肩見せの、水色のタイト・ワンピースだった。
悠太の細いウエストを強調していて、
豊な形のいいピップまで、美しいラインを描いていた。

笑ってみた。
歯並びが矯正されていて、白い綺麗な歯が並んでいた。

うつむくと、さらっとしたロングへヤーが顔にかかる。

青いパンプスをはいた。
かかとがなくても、十分な脚の長さだった。

『みんなも終わっているかな。』と思った。
悠太は、リュックを手にして、更衣室から、明るく広い廊下に出た。
光が眩しかった。

しばらくすると、隣のブースから、白いお姫様服を着た、
愛くるしい少女が出てきた。頭に小さな白い帽子を被っている。
悠太を見て、
「悠太?」とその子は言った。可愛い声だ。
「うん。有紀、可愛い。お姫様みたい。」と悠太は言った。
「悠太もすごいステキ。」
そう言って、有紀は抱きついてきた。
悠太も、有紀を抱きしめた。
「うれしい。あたし、女の子になった。死ななくてよかった。」
と有紀は涙を流しながら言った。
「うん。あたしもうれしい。こんな可愛い子になれるなんて、
 まだ、夢を見ているみたい。」悠太は言った。

広い廊下のところどころで、可愛い女の子が泣きながら抱き合っていた。

手術は、全員が成功した。


女塾③「手術前30分」

学校の休学手続きも、塾の入学手続きも全て終わった。
塾から電話のあった2日後、塾への集合日だった。
悠太は、空っぽのリュックを背負って、胸一杯に塾へ言った。
集合10時の30分前についた。

ジュータンの間に座った。
すでに、3人来ていた。
軽く、会釈をした。
あの人達も、女の子になりたいんだと思うと、親近感が湧いた。
一人ずつ集まり、10人がそろった。
いろんな子がいた。
背が180cmほどある子、
すでに女装して、女の子にしか見えない子。
太っている子、筋肉質なスポーツマンタイプな子。
悠太の隣に、小柄な男の子がいた。
可愛い顔をして入る。
「ねえ。大丈夫かなあ。」とその子が話しかけてきた。
「大丈夫だよ。父さんと母さんが調べて、絶対大丈夫だって言ってた。」
「ほんと、じゃあ、うれしい。ねえ、友達になってくれる。
 ぼく、心細くてたまらないの。」
「いいよ。ぼく、悠太。」
「あ、ぼくは、有紀。」
二人で握手をした。

やがて、あのときの久美が来た。
久美は、悠太と目があうと、パチンとウインクをした。

「みなさん、塾の道場の方へこれから行きます。
 軽いバッグだけ持ってますね。それだけ持って、マイクロバスに乗ってください。」
久美はそう言った。
みんなは、ぞろぞろ靴を履いて、玄関にとまっているバスに乗った。
有紀は、悠太が気に入ったのか、ぴったりくっついていて、
バスの中も隣にすわった。
バスは発車した。

「悠太くんは、女装したことある?」有紀が聞いてきた。
「まだ、一度も。だから、親に言うのすごく苦労した。」悠太は言った。
「ぼくも。初め親が許してくれなかったし、塾のことも信じてくれなかった。」
「で、有紀君どうしたの?」
「自さつしたの。未すいで助かった。そしたら、『有紀はもう死んだものと思うから、願いを叶えろって。』」
「そうなんだ。このバスのみんな、有紀君みたいにして、ここまで来たんだろうね。」
「そうだね。だから、同じ思いの仲間が、10人もいると思うとうれしい。」有紀は言った。
「一生の仲間になるかも知れないね。」悠太は言った。

バスは、3時間ほど走り、山内の湖のほとりに着いた。
そこに、洋風の合宿所のような建物があった。
そこが、女塾の道場だった。
みんなは、板張りの広間に集合した。

久美が出てきて、みんなそれぞれに自己紹介をした。
悠太はわかった。
集まったみんなは、女塾の近辺の人ではなく、
日本全土から集まった10人だった。
東京は悠太が一人、有紀は、埼玉県だった。
みんな、県から一人という割合だった。

一人女装をしていて、まるで女の子という子は、大阪だった。
その子はこう言った。
「うち、大阪やねんけど、みんなにあえて本当にうれしいです。
 今、みんなの顔覚えたいけど、みんな、すぐ可愛い女の子になると思うから、
 それから、みんなの顔覚えたいと思います。」
その子は、梨奈と名乗った。

梨奈の言ったことは、本当だった。
次に、久美が言った言葉に、みんなは驚いた。

「みなさん。今、1時です。食事をして、2時に出発します。
 そして、5時には、完璧な女の子になってここに帰ってきます。」
久美がそう言ったとき、「ひえー。」という声が起こった。
「あのう、どこ、行くんですか?」と一人が聞いた。
久美が答えた。
「はい。それは、2200年の未来社会に行くんです。
 そこでは、整形の技術が、今より格段に進歩していますから、
 みなさんは、自分の理想の女の子になれます。声もですよ。
 ですから、そのときまで、自分の理想の女の子はどんなだか、
 自分で決めておいてくださいね。」

「わあ、びっくり。ぼく、3ヶ月の訓練のあと、
 やっと女の子になれるんだと思ってた。」有紀が言った。
「びっくりだね。じゃあ、今日の夜には、有紀君もぼくも女の子なんだ。」
「わあー、うれしい。」と有紀と悠太は抱き合った。
悠太は、有紀の心は100%女の子だと、思った。



昼食が終わり、いよいよ未来社会への出発の時が来た。
中央ホールのエレベーターの前にみんなは集合した。
有紀はいつも悠太にくっついていた。

みんなは、エレベーターに乗った。
それは、エレベーターの1階から3階へ行くくらいの感じだった。
エレベーターの扉が開いたとき、
そこは、もう未来社会だった。
建物は、細く永い巨大な通路のようだった。
窓から外が見えた。
見た感じ、とても未来とは思えなかった。
それは、みんなが着いたのは、2020年をモデルにした、
「レトロタウン」だったからだ。
しかし、未来である証拠に、たまに、宙を救急車が飛んだりしていて、
みんなは、歓声を上げた。

10人は、広い通路の壁に仕切られたブースをあてがわれ、
そこで、待っている医師と向かい合った。
悠太の意志は、若い25歳くらいの男性だった。
医師は眼鏡をかけていた。

「高橋悠太さんですね。」医師は言った。
「はい。」
「私は、実年齢58歳なんですよ。
 ここでは、体全体をリフレッシュして、若いまま入られるんですよ。
 でも、私のキャリアは、58年分ですから、安心してください。
 これから、あなたが女体に変身することが、向いているか検査をします。
 向いてないと悲劇が起こりますからね。」
悠太は、頭に4本足のヘッドフォーンのようなものを被せられた。
医師は、デスクの上を見て、「フーン、なるほど。」などと言って入る。
「何か、どこかに映っているんですか?」と悠太は聞いた。

「ああ、君も、少しかけてみる?」と医師は、かけている眼鏡をくれた。
悠太は恐る恐るかけてみた。
「わあ!」と悠太は叫んだ。
目の前に、スクリーンが見え、そこに、頭の断面図が映っていた。
その下に、ないはずのキーボードがあった。
「わかりました。全部メガネから、画像が出て入るんですね。」悠太は言った。

「君の脳は、70%女脳ですね。残り30%が男性脳なので、
 今は、女の子が好きだし、女装の子も好きですね。」
「はい、その通りです。」悠太は言った。
「君は、今は男子だと思って、理性が70%の女脳を抑圧しています。
 だから、男の子には、興味を持ちませんが、
 あなたが女子の体になって、理性が解放されると、
 あなたは、男子に恋をすると思います。
 男脳が残っていますから、女の子は、ずっと好きですけれどね。
 女脳が、60%を越えていれば、性別適合手術が可能です。
 希望しますね。」
「はい。希望します。」
「では、大体の理想像ですが、完全な女子の体にするか、
 男性器を残すか。これについて、心は決まっていますか。
 完全な女子の体を希望すれば、将来、赤ちゃんも作れます。
 下半身を、正常なクローン臓器と取り替えますから。」
「決まっています。完全な、女の子にしてください。」
「えーと、臓器に手を加えれば、憂鬱な生理から解放されますが、
 こうすると、出産は不可能です。
 あくまで、正常な女性器を望みますか。」
「はい、正常な女性器にしてください。」
「わかりました。では、私は以上です。
 あなたの顔立ちや身長などデザイン的なことを担当するエンジニアと変わります。」
医師は、そう言って席を開けた。

次に、悠太の前に来たのは、二十歳くらいの美女だった。
「私は、高木英理です。何歳くらいに見えますか?」
と彼女は微笑んで、悠太に聞いた。
「二十歳くらいです。」
「それは、ありがとう。私は、52歳。しかも、生まれたときは、男子でした。」
悠太の驚きようを見て、恵理は、嬉しそうに、ふふと笑った。

女塾②「家族の理解」

昨日の予告と違った内容になってしまいました。すみません。
家族へのカムアウトが先なので、それを書きました。

=============================

「女塾」のビルを出ると、外は暗くなっていた。

悠太はすぐにメールを入れて、今から帰ると伝えた。

親を説得できるだろうか。
いままで、女の側面を隠し通してきた。
でも、女の子になりたい。
一生男で暮らすなんて地獄だ。
女の心を持ったままで、結婚なんかできない。
何もかも親に言おう。
それさえできれば、高校の休学の問題は小さなことに思えた。

受付の女性は、悠太が帰るとき小さなパンフレットをくれた。
すると、そこには、「親にカムアウトする方法」などが書いてあった。
悠太は、それを、大事にカバンの中に入れ、家に帰った。

ちょうど、夕食の時刻だ。
父と母と中2の妹の紗江が、もうテーブルについていた。
いつものように「いただきます。」をして、
いつものように、和やかにお話をした。
いつものように「ごちそうさま。」をした。
和やかな会話のある温かい家庭だ。

『ああ、とても言えない。』と悠太は思った。

悠太は、自分の部屋へ入り、「女塾」のパンフレットを見た。
「親にカムアウトする方法」のところを初めに見た。
そこには、こう書かれていた。
『入塾するのに、いちばんのハードルは家族へのカムアウトです。
 その方法をいくつか述べます。
①外で女装をして、そのまま帰ってくる。
 驚く家族の前で、そのままカムアウトしてしまう。
②自分が女装した写真を、さり気なくテーブルの上において学校へ行く。
 家に帰って、両親の詰問がある。そこでカムアウトする。
③上の2つともできないときは、親へカムアウトする内容の手紙を書く。
 それを、テーブルにさり気なく置いておく。親がそれを見て、後で詰問されたとき、
 自分の意志をはっきりと伝える。

いずれにしても、入塾には、親の承諾書がいるので、
家出をすることはできなかった。

悠太には③の方法しか残されていなかった。
女装の道具も服もなかった。
悠太は、手紙を書いた。封筒に、お父さん、お母さんへとして手紙を入れた。

次の朝家を出るときに、それを女塾のパンフレットにはさんで、
母のドレッサーの上にさり気なく置いて、家を出た。

母が、悠太の手紙を見つけたのは、午前10時ごろだった。
母信子は驚き、待ったなしだという気がして、
夫の会社へ電話を入れ、一刻も早く早退して欲しいと言った。
夫和明は、30分で帰ってきて、悠太の手紙を読んだ。
悠太の手紙には、女になることを許してくれないなら、
自分は生きていけないと書いてあった。

「その女塾へ行ってみよう。パンフレットに地図がある。
 信用の置けるところかどうかこの目で見よう。」和明はそう言った。

二人は、駅近くの女塾へ言った。
カウンターに、近藤久美がいた。

「ポスターにあるような変身が、現代医学で可能だとは思えません。
 ポスターは、偽りではないのですか。」和明は言った。
「もし、私共が信用が置けるとご判断のときは、
 悠太さんの承諾証にサインをいただけますか。
 企業秘密をこれから見ていただこうと思っております。
 それを見て、やはり入塾させないでは、私どもは、秘密を守れません。」
久美はそう言った。
和明と信子は、少し相談した。
「悠太は、もう男として生きていけないと言っているのよ。
 自殺をするかも知れない。
 企業秘密まで見せていただいて、納得できたら、ノーとは言えないわ。」
信子の言葉に、和明は反論しなかった。
二人は、久美にうなずいた。

久美は、二人を靴のまま案内して、
ベッドルームの隣の扉を開けた。
そこは、エレベーターになっていた。

久美は、二人を2200年の未来社会へ連れて行ったのだった。

和明と信子は、全てを見た。
そして、納得をした。

元のビルに戻って来たのは、1時間後だった。

「一つ聞いてよろしいですか。」と和明は聞いた。
「はい、どうぞ。」
「どうして、こんなビジネスをなさっているのですか。」

久美は答えた。
「あの町をご覧になってお分かりかと思いますが、
 2200年では、いくらでも簡単に整形ができ、
 若返りも可能です。
 つまり、誰もが美女であり、ハンサムです。
 こうなると、可愛いことや、美しいことが価値をもたなくなります。
 ですから、私達は、そういう物が価値を持っていたこの時代でビジネスをしているのです。」
「男の子から女の子になりたい子に限定しているのは、なぜですか。」
「それは、例えば、若くなりたいという女性の願望を叶えることもできます。
 しかし、性同一性障害の青年の願望を叶える方が、
 より急務であると思っているからです。
 同障害の女子よりも幾分男子の方が深刻です。
 まだ、私達は、ビジネスの端緒についたばかりです。
 より価値のあることから、初めているのです。
 また、このビジネスのことは、今の社会では、タブーに当たることと思います。
 絶対のプライバシーが守られなくてはなりません。
 そこで、塾生を10人という小人数でやっています。」
久美は言った。

和明も信子も納得した。



悠太は、その日、なかなか家に帰れずにいた。
両親は、あの手紙を読んだだろうか。
家に帰ったら、父の拳骨が待っているのだろうか。
母や妹の紗江が、泣きわめいているだろうか。

悠太は、その事態が恐くて、町で油をつぶした。
夜7時になり、家にメールを入れた。
「遅くなったけど、今から帰ります。」
「気をつけて、帰っていらっしゃい。」
母のメールの文は、いつものようだった。
まだ、自分の手紙を読んでいないのだろうか。

悠太は、勇気を出して、家に帰った。
チラリと、母のドレッサーの上を見た。
自分の書いた手紙が、女塾のパンフの間に挟まれていた。
悠太は、食事のテーブルについた。
みんな、いつもの穏やかな顔をしていた。
(手紙は、まだ見られなかったんだ。)
悠太は思った。

「いただきます。」をした。
しばらくして、隣の紗江が言った。
「お兄ちゃん。あたしは、気にしないよ。
 お兄ちゃんが、女の子になっても。」
悠太は、ドキンとして、紗江を見つめた。

「悠太。母さんと二人で、塾に行ったんだ。
 信頼のおけるところだとわかった。
 だから、塾で、悠太の願いを叶えてもらいなさい。」
そう父が言った。
「手紙を書くのに、勇気が要ったでしょう。
 今まで、私達にも言えなくて、辛い思いしたわね。
 ごめんね、今までわかってあげられなくて。」
母を見ると、母が涙を浮かべていた。
みんなの眼差しが温かかった。
悠太の目に、涙があふれてきた。
「みんな、ありがとう。
 ぼく、うれしい。ありがとう。」
悠太は、泣いた。思い切り泣いた。


つづく(次は、「女塾開始」です。)

女塾①「悠太の決心」

しばらくお休みをしました。今度のまだ書き上げていないんです。
見切り発射で、投稿します。続きは、できるだけ明日、投稿します。

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「女塾」①「悠太の決心」

高橋悠太は、そのビルの玄関横にはってあるポスターを見て、
頭をガーンと打たれたような衝撃を受けた。

ポスターには、左に少し小太りの学制服を来た男子生徒の写真。
右に、セーラー服を着た、長い髪の美少女。
そして、男子生徒から女子生徒に矢印が伸びて、
ポスターのタイトルに
『ぼく、可愛い女の子になれました。』
と書いてある。

「うそ……。」
そう思いながら、悠太は、何度もポスターを見た。
小太りの男の子と、ステキな女子生徒はどう見ても別人だ。
これが、本当だったら、自分は気絶する、そう思った。

悠太は、高校1年。子供の頃から、ずーと、女の子になりたいと思ってきた。
だが、自分はどうみても、可愛い女の子体形ではない。
それが、ポスターの男子は、自分と似ている。
それが、あんなに可愛い子になったと言っている。
悠太にとって、そのポスターは、衝撃以外の何物でもなく、
体中が、一気に興奮してしまった。

ビルを眺めてみた。
間口2間くらいの、小さめのビルだ。
玄関の上に、小さく「女塾」と書いてある。
受付に黒いスーツ姿のとてもきれいな女性がいる。
悠太は、勇気を出して、ビルに入り、受付の女性に聞いた。
「あのう、あのポスターは、本物なんですか?」
「はい。あの二人は同一人物ですよ。」
と受付の女性は、にっこりと言った。
「あの、ぼ、ぼくも女の子になりたいんです。
 この塾に入れば、可愛い女の子になれるんですか。」
「はい。理想の女の子になれます。」
「どうやって?整形では、限度があるでしょう。」
「方法は企業秘密です、入塾すれば、すぐにわかります。
 納得もいくと思いますよ。」

「あの、高いんでしょうか。」
「授業料ですか。只ですよ。」
「うそ!」
「訓練期間は、3ヶ月です。
 3ヵ月後は、みんなタレント並みの可愛い子になっていますから、
 芸能活動を1年やっていただくというのが、条件です。
 私達は、生徒さんの芸能活動で得た資金で、運営しています。」
「じゃあ、AKDみたいな可愛い子になれるんですか。」
「なれますよ。レースクイーンとか、ファッション誌のモデルのお仕事も選べます。」
「わあ、ぼく、気絶しそうです。」
「あ、座ってください。」
受付の女性はそう言って、悠太にジュースを出してくれた。
「入塾するには、いくつかのハードルがあります。
 高校生さんですか。」
「はい。」
「中学生では、だめだったんです。
 まず、女性になるのですから、ご両親の承諾が要ります。
 男性の物をそのままにして、残りの体を全部女性にすることもできます。
 それと、学校を3ヶ月休んだ後、
 1年間の芸能活動のため、もう1年休学しなければいけません。
 そのあとは、フリーです。
 芸能界に残ってもいいし、学校へもどってもいいし。
 これを満たせる高校生さんは、なかなかいませんので、
 私達は、入塾希望の生徒さんが10人集まるまで待っているんです。
 10人集まった時点で連絡を差し上げています。」

「あのう、両親を説得するにも、勇気が必要だし、
 絶対変身できるっていう何か証拠を見せてくれませんか。」
「わかりました。」受付嬢はそう言って、
「ちょっと私のところへいらして。」
と言った。
彼女は、悠太の手を取って、自分のスカートの中に入れた。
ミニのタイトスカートの中に導かれた。
「あ。」と悠太は声をあげた。
その受付嬢には、男子の証があったのだ。
「あたし、これを持っていたいタイプなの。
 それから、これは、あたしの免許証よ。」
差し出されて、悠太は、免許証の顔写真を見た。
それは、男丸出しの写真だった。
「ね、これだけ変われるの。
 あたし、今度の免許証は、女の戸籍で、今の顔で写すつもりよ。」

悠太は頭がくらくらしてきた。
驚きと感激と興奮で、倒れそうだった。
ズボンの中で、あるものが大きく固くなっている。
そこが、出っ張ってしまっていることが恥ずかしかった。

受付の女性に、ズボンの出っ張りを見られた。
それを見て、女性は呼吸を乱しているように思えた。
「あの、あなた。女性のあそこに男の物があると興奮するの?」
女性が聞いてきた。
「はい。あなたみたいな綺麗な人だと、もう気が狂いそうになります。」
「今、そうなっている?」
「はい。」
「あたしは、あたしのあそこを見て、興奮してくれると、一番萌えてしまうの。」

女性は立って、入り口の硝子戸を閉めた。そして、カーテンを引いた。
「靴を脱いで上がって。」女性が言う。
悠太は、靴を脱ぎ、女性に手を引かれ、ビルの中のジュウタンを横切った。
奥に一つドアがあり、中に入ると、ベッドルームがあった。

女性は息を弾ませていた。
悠太はもっとだった。
ベッドルームのドアを閉め、女性は悠太をベッドに座らせた。
そして、自分は立って、スカートに手を掛け、
パンストとショーツを脱いで、悠太の横に座った。

「ごめんなさい。初めての方に。
 でも、あたし、我慢できないの。あなたみたいな純粋な人に、
 あたしのあそこ見て驚いてもらえると、最高に興奮するの。」
「ぼくも、今、我慢できない。」
「お名前教えて。」
「悠太。あなたは?」
「久美。ねえ、ショーツをとったの。あたしのスカートにもう一度手を入れて。」
手を入れなくても、久美のスカートの一部が、悠太と同じようになっていた。
悠太は、手を入れ、久美のあそこが、固く隆々としているのを確かめた。
『ああ、感激。気が狂いそう。』
「ね、驚いた?あたしの固い?」と久美が迫ってくる。
「うん。最高。」
「そっとなでて。」
「うん。」
「あ…あ・・・。」

スカートから出た久美の脚は、白くて長かった。
『ああ、この人が男だったなんて・・・。』
心でそう繰り返しながら、悠太は、耐え難い興奮に包まれていた。
久美は、だんだん激しい声を上げていった。
そのうち、断・末・魔のような声になり、
「悠太さん。あたしだめ。もう行きそう。興奮したから、もうだめ。
 お願い、あたしのものをくわえて。お願い、スカートが汚れちゃう。」

悠太は、急いで久美のスカートを上げた。
そこにある隆起したものを、口にくわえた。
久美の体が、ぶるぶると痙攣した。
そして、悠太の口の中に、久美のものが放出された。
悠太はそれを飲み込んだ。
『ああ、本物だ。久美のものは本物なんだ。』
悠太は、心で感激をかみしめた。

その後、久美は悠太を裸にして、ベッドに寝かせた。
そして、自分も裸になり、ルームの照明を落として、
悠太に絡んでいった。
悠太は、久美の本物のちぶさをさわった。
久美の、細いウエストを抱いた。
久美と厚い口・づけを交わした。

生まれて初めて味わう至福のときだった。
『ぼくは、ここに入塾する。どんなことがあっても、親にカムアウトする。』
悠太は固い決心をしながら、
久美の二度目のあいぶを受けていた。


つづく(次回は、「女塾開校」です。)

超スーパー洋子「親分との対面」シリーズ完結編

超スーパー洋子「親分との対面」シリーズ完結編

族の頭こと石崎竜也に案内されて、ヤクザの事務所に来た。
事務所と行っても、そこは料亭のような日本間の造りだった。
祐介、透、朱実もついて来ると言って聞かなかった。
石崎竜也も、やはり族のリーダーとして、洋子に全てを任すことはできないと思い、ついてきた。

総勢5人で、石畳を踏み、玄関に来た。
「親分にお願いがあってきました。倉田といいます。」
「俺は、石崎竜也です。」
と二人だけ名乗った。
やがて、一人のヤクザが来て、
「用件はなんだい?」と聞いた。
「俺は、竜炎隊という暴走族の頭やってたものですが、
 族を解散しましたので、そのお許しをいただきにきました。」石崎は言った。

全員は中に入れることになった。
祐介、朱実、透は生きた心地がしなかった。

正面に親分がいた。白髪で、やや細身、しかし、すごい貫禄だった。
その横に、背の高そうな、いかにも強そうなスーツ姿のサングラスの男がいた。
横に刀を置いている。
親分の右にいるんだから、第一の片腕なんだろう。
両脇にずらりと子分たち、総勢、40人くらい。みんな正座している。

洋子と竜也は、前に進んで並んで正座した。
祐介と朱実と透は、そのずっと末席に、並んで座った。

竜也は、洋子の横で、もう一度親分に解散の願いを伝えた。

親分は、懐に両手を入れ、やがて、
「何もなしにか?」と聞いた。
竜也は、手をつき、
「それは、俺の、ゆ(び)…。」と言うのを洋子は止めた。
「なんにもなしなんです。ただ、お許しを。」と洋子は言った。

何お!と何人かが立ち上がって、
「ふざけんじゃねえ!」といきり立ち、
一人が、ピストルを構えた。
「バカヤロー!」と正面のサングラスの男が、
手裏剣をピストル男の手首に投げた。
「今、この女が、石ツブテを銃口に投げ入れたのが、
 わからなかったのか。暴発で、3人は大怪我だ。」
とサングラスの男は怒鳴りつけた。
洋子は思った。自分の石つぶてが見えるとは、
サングラスの男は、人間の極限近くまで鍛えている。

「座れ。」と親分が言ったので、全員が座った。
親分は、サングラスの男に言った。
「ほう。左門、お前が震えるとはな。女の方か。」
「はい。」
「強いか。」
「はい。とてつもなく。」
「ここにいる全員と、控えさせてある兵隊全員で、150人だ。
 150人で勝てるか。」
親分は言った。

「とても勝てません。10秒で全滅です。」と左門。
「それは、恐ろしいな。1000人ではどうか。」
「10秒が20秒になるだけです。」
「何人なら勝てる。」
「人数をいくら増やしても勝てません。」
「どういうことだ。」
「例えば、いざ女を殺そうとした瞬間に、親分の命がありません。
 これだけそばにいる私よりも速く、女は親分の命をとります。」
「100人切りのお前の速さで負けるか。」
「及びもつきません。」
親分は、しばし考え、
「では、この女が来たとき、すでにわしらの負けということか。」
「残念ながら。」
「わかった。わしも死にたくはない。無駄な命も失いたくない。」
そう言って、親分は洋子を見た。
「女。すでに我々は、負けておる。
 お前たちの願いは叶えることにしよう。
 その前に1つ、女、お前の正体を教えてくれ。」

「はい。」
洋子は、胸から、お守りのようなものをとり出した。
それを、親分に渡した。
親分は袋の中の紙をとり出してそれを読んだ。
『この者、我が生涯の友の身内にて、指1本触れぬよう、お頼み申す。真田権九郎』
親分は、笑顔を見せながらうなずいた。

親分は、みなにも聞かせるように言った。
「わしが生涯の大恩人と仰ぐ伝説の大番長・真田権九郎親分。
 完全無敵であった大番長を只一人破ったこれも伝説の女・倉田洋子。
 二人は、無二の親友となった。
 その倉田洋子の孫娘であろう。名前は継がれるからな。
 お前は、倉田洋子、そうであろう。」
「はい。」と洋子は答えた。
「左門が震えるほどの強さの女であることもうなづける。
 この洋子の強さを、よく見抜き、わしを止めてくれたものだ。
 左門、礼を言うぞ。

 倉田洋子。お前に会えたことを光栄に思う。
 何も、歓待はできぬが、おばば様によろしく伝えてくだされ。」

「はい。」と洋子は言った。

親分は、そう言って紙と袋を返した。

5人は、全員の礼の中を通り、外に出た。

そして、50メートルほどきたとき、
「ああ、ああ、よかったあ。」と透が言った。
「あたしも、寿命が縮んだよ。」と朱実。
「ぼくも、ちびっちゃいそうだった。」と祐介。
「倉田さんっていうんだ。ありがとう。
 生身で帰れるなんて、夢にも思わなかった。」と竜也。
「私は、最後はあの紙があるってわかってたけど、
 竜也さんは、それもなしで、言ってくれて、ステキだった。」
「あたし、竜也さん、好きになりそう。」と朱実がいった。
「朱実は、俺くらいがちょうどいいんだよ。」透が言った。

みんなで、わあわあいいながら帰った。
「洋子、今何考えてたの?」と祐介。
「あたしたち、どんどんお友達が増えていると思わない?」と洋子。
「ほんと。いいね、こういうのうれしい。」祐介も笑顔を見せた。

みんな、これがたった1日の出来事だとは気がついてなかった。
長い一日だった。
「洋子は、まだずっといてくれるよね。
 みんな解決したから、さよならなんてないよね。」と祐介が言った。
「ずっと、いっしょだよ。今度は、正式に転校して、祐介の隣に座るから。」と洋子。
「ほんと?!よかったあ。」と祐介は声をあげた。

黄色く丸い月が空に出ている。
二人は、ふと黙って、今日の一日のことを思った。
たった一日で、すべてが変わった。

二人は、空の月をしみじみと見た。


<完>

※これで、超スーパー洋子シリーズの終わりです。
 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

超スーパー洋子「暴走族退治編」 1話完結

2話に分けようと思いましたが、1話完結にしました。(ちょっと長いです。)

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「超スーパー洋子・暴走族退治」

洋子は、暴走族のたまり場に行く前に、
部屋にもどり、先生達の意地悪行為を撮影したものをDVDにして、
校長に届けた。



洋子、祐介、透、朱実は、暴走族のたまり場である
飛行場跡の土地に向かった。
近づくにつれて、透や朱実の体は、すくんでいった。
祐介は、洋子を信じ切って、さほど恐いとは思っていなかった。

たまり場に近づくと、低い唸りをあげたバイクが、30から50くらいは、見えた。
族の連中は、ほとんど黒の皮ジャンをきていて、ヘアスタイルは様々だった。
モヒカン風、パンク風、色とりどり。体に鎖、顔にメイクをしている連中も多く、
後ろにスケ番風の女を乗せているのもいた。
すごい迫力だ。

朱実たちは、遠くから見ていたが、
セーラー服の洋子は、どんどん中に入っていった。
やがて、一人に、「族の、頭(かしら)は、どこよ。」と聞いた。
「お前、なんだ。」とその男は言った。
「うーん、ちょっとね。この族への殴り込みなんだけど。」と洋子。
「何お。」その男が、なにやら他の連中に声をかけた。
すると爆音が響き、みなのバイクが動き出した。
そして、洋子を中心に、円を作り始めた。
そして、その円をだんだん小さくして行く。
その度に、円は、2重3重になっていく。

頭が、この中に入るのかいないのか。
洋子は、だんだんじれったくなってきた。
頭以外やっつけたくなかったが、面倒になってきた。

「いいわよ。じゃあ、こっちからいくわよ。」
洋子は、そういうと、バイクの方向とは逆に、
1つ目のバイクのヤツに体を横にして蹴ると、
そのまま、ぐるっと1周蹴りながら、バイクの輪を花が開くように、蹴りわたって言った。
内の1周を蹴って回ると、接近していた、2番目の輪、3番目の輪が、
将棋倒しのように、倒れていった。
重いバイクで、人とバイクが重なり、抜け出ることもできない。
パニック状態になった。

その外で、超然としていたバイクがある。
そのバイクが洋子のところへやってきた。
「あんた、頭かい。」洋子が聞いた。
「ああ。」頭がいった。
頭は、背が高くなかなかハンサムで、いちばんシンプルでましな格好をしていた。
「あんたに会わせろって言ったのにさ。こいつら勝手にあたしを巻いたんだよ。」
「用はなんだ。」と頭は言った。
「あんたと勝負しにきた。あたしが勝ったら、族を解散して欲しい。」
「ほう。俺に勝つ気か。」
「そのつもりよ。」
「いいだろう。勝てればな。」
「お前が負けたらどうする。」
「そうね。あたしを好きにしていいかな。」
「よし、命を賭けるか。」

頭は、ピーと指笛を吹いた。
すると、連中は、バイクから離れて、頭のところに集まった。
頭はバイクの上から行った。

「俺は、これからこの女と命がけの勝負をする。
 俺が負けたら、俺達は解散だ。
 もういっしょにはバイクに乗れねえ。
 この女は、自分の命を賭けるそうだ。
 わかったか。」
「おーーー」と声がした。
「馬鹿な女だ。もとレーサーの頭の腕も知らねーで。」
「200キロ越える恐怖は半端じゃねーぜ。」
「こりゃ、おもしれーや。」
そんなひそひそ声が方々でした。

「女、ルールはなんだ。」と頭が聞く。
「走る。オシッコちびったら負け、ってのどう。」洋子がいうと、
全員ががはははは・・・と分かった。

「女。俺のは、900のモンスターバイクだ。350kmは軽く出る。
 お前、こいつらの中から一つ選べ。」
「250でいいよ。150km出りゃいい。」洋子は言った。
「バイクのせいにするなよ。」と頭。
「わかってるわよ。」
洋子は、大体そのくらいのを借りた。
「メットは?」頭。
「うざいから、いらないよ。」洋子は言った。

「じゃあ、初めは、ヨンハンでもしない?」洋子は言った。
「よし。いいともよ。」頭は言った。

ヨンハンとは、短距離をどれだけ早くスピードを上げて抜けられるかの競争だ。
クラッチを使わず、アクセルコントロールとギアチェンジだけで加速する。

2台は並んだ。
スタート。
2台のバイクは爆音を上げてスタートした。
洋子は、巧みなアクセルさばきで、ギアーを一気に1速に持って行った。

「あ、頭が負けてる!」と誰かが叫んだ。
「やるじゃねーか、女。」
頭がエンジンの力で一気に洋子に並んだ。
そのとき、観衆は、「あっ。」と声を上げた。

洋子がバイクを捨て、ジャンプをして、頭の後ろに乗ったのだ。
「わあー、何?」と朱実が、声を上げた。
「すげー。」と透。

洋子は、頭の後ろに乗り、手を伸ばして、アクセルを奪った。
そして、足乗せも奪った。
「これは、モンスターバイクだ。お前には操れねえ。」頭は言った。
言ったものの、頭は仕方なく、洋子の足の上に足を乗せ、
洋子のアクセルの上からにぎるしかなかった。
まさか、女が飛んでこようとは思わず、軽く握っていたのだ。
「さあ、頭ちゃん、二人で楽しくアベック・ライドしようじゃないの。」
頭は、言葉がなかった。

すごいスピードなのに、洋子は、バイクを地面すれすれに倒して、
強烈なUターンをした。
足乗せの金属がコンクリートに触れて火花の尾を散らした。
「すげーー。」と観衆は敵味方を忘れて、声を上げた。
洋子は、モンスター・バイクを操れないどころか、
バイクと親身一体となっている。

洋子は、飛行機の滑走路の真ん中に来た。
夕暮れ時の暗闇の中を1台のバイクが、爆音をたてながら、みるみる見えなくなった。
すごい速さに見えた。
時速200は越えている。
見えなくなったバイクが見えてきた。
バイクは、時速250を越えようとしていた。
『コイツは、何者だ。もとレーサーの俺でも250は、かなりヤバイ速さだ。
 さらに、モンスター・バイクをなんなく操っている。
 ここは、レース場ではない。下はぼこぼこだ。250は、普通無理だ。』
頭に初めて、スピードに対する恐怖がかすった。

洋子のアクセル・グリップは、どんどん内側にしぼられる。
やがて、スピードは、270kmを越えた。

頭は、思わず、洋子の内側のアクセル部分にしがみついた。
そして、タンクを挟む膝に力を入れた。
『バカな、俺がスピードにびびるのか…。』頭は思っていた。

「頭、このくらいが、快適なんじゃない?」洋子が言う。
「あ、ああ。」言いながら、頭はすでに恐怖の中にいた。

そして、みんなのいるところを過ぎたとき、スピードは、300kmを越えた。
すごい爆音と共に、未だ見たことのようなスピードのバイクが通っていった。

「ひえーーー。」とみなは、呆然とバイクを見つめた。
祐介と透と朱実は、もう手をとり合って、
洋子の無事を祈っていた。

「頭、これ350kmは、出んだよね。」
「ああ、だが、2km先は、崖だぞ。いいのか。」
「へっちゃらよ。」
バイクのスピードは350kmになった。
世界記録並みの速さだ。
350kmの速さでは、道路の向こうが点に見える。
動体視野が限りなく狭くなり、
言わば、壁に迫られたせまい道を、猛スビードで走るようなものだ。
ちょっとハンドルミスをすると、壁にぶつかって宙に飛ばされる。
その恐怖は半端ではない。

さすがの頭も、未知の速さだった。
体はすでに、硬直していた。
恐怖で内臓が震えているのがわかる。
『お願いだ。もうやめてくれ。』
そう心でいいながら、頭としてのブライドだけで、乗っていた。

「よし、400まで、行きそうだ。いいバイクだ。いくよ。頭。」
洋子が、ギューンとアクセルを絞ると、
一気に400までいった。
「すごい、このバイク、気に入ったよ。頭、いいの持ってるね。」
頭はすでに、恐怖で目を閉じていた。この先は崖だ。
「お、おい、この先は崖だ。このスピードでは、止められないぞ。」
頭は、やっとの思いで言った。
「平気、平気、崖があるなら、落ちればいいのよ。」と洋子が言う。
『俺は、気の狂った女を相手にしたのか…。』頭は思った。

洋子は、さらにアクセルを回し、450kmに達した。
このスピードに乗れるのは、もはや人間ではない。
そして、500kmの速さで、崖に突っ込んだ。
「死ぬ。」頭は思った。
このとき、頭は失禁した。

「あ、とまらないで、突っ込んだ!」
みんなが叫んだ。
「正気かよ。二人とも、あの世行きだぜ。」

崖はあんがい緩やかで、バイクは、その中腹に着陸した。
頭は気を失っていた。
洋子は、頭を落とさないように、両膝でしっかり挟み、
崖の底までハンドルを操り、
今度は、アクセルをふかして、崖を上って行った。
エンジンがいいだけに、たいていの岩を越えていける。
こうして、崖の縁に来た。
アクセルを一ふかしして、崖を上りきった。

バイクの姿を見たとき、みんなは大歓声をあげた。
バイクは、300kmの速さで近づき、
ブレーキをかけて、横に止まった。
「みんな、頭たのむよ。」洋子はそう言って、バイクを降りた。
祐介や朱実、透が飛んできた。
「洋子、よかった。もう死んだかと思った。」と祐介が抱きついてきた。
「洋子はほんとにすごい。もう言葉がねえよ。」透は言った。
「もう、人間業じゃない。一時は死んだかと思った。」と朱実は目に涙をためていた。



頭は意識がもどり、洋子の前に手をついた。
「完全に俺の負けだ。もとレーサーで粋がっていた自分がはずかしい。
 族は、解散する。関連した不良グループとも縁を切る。
 俺達は、レーサーを目指すなり、白バイを目指すなり、まっとうにやっていく。
 おーい、みんな、これは、約束だ。約束だけは守らねーと、それこそ人間のくずになる。
 みんな、わかってくれ。」
「いいよ。頭のいうことなら聞くぜ。
 俺は、お前が好きで、いっしょにいたんだ。
 みんなも、そうだろ!!」
「おーーーー!!解散だ。承知だ。」

洋子は言った。
「ヤクザとつながってるそうだけど、そっちの方は、あたしにまかせてね。」
「いいのか。指の1本や2本、おれは覚悟してる。」頭はいった。
「まかせて。あたしは、1本も切られず帰ってくるよ。」
「いや、俺も行く。頭として、最後の仕事だ。」
「ありがとう。頼もしいよ。」洋子は言った。



それぞれのバイクが消えていく中、
「洋子、ほんとにヤクザ平気なの?」祐介が聞いた。
「恐くないの?」朱実が聞いた。
「おれなら、オシッコちびる。」と透。
「うん。あたし、切り札があるから。」と洋子は言った。
「何それ。」
「内緒。」

いつの間にか、この4人は、仲良しになっていたのだった。


<対暴走族編 おわり>

※次は、<ヤクザとの対面>1話完結です。
これで、超スーパー洋子・全編の終了です。

超スーパー洋子「いじめ生徒退治編」 1話完結

しつこくスーパー洋子を書いております。
最後まで書きたいんです。読んでくださるとうれしいです。
(ちょっと、長いです。)

==========================

「超スーパー洋子・いじめ生徒退治編」

時は、遡る。
登校した初日、2時間目の20分休みに、
早、ヤツラはいじめにやってきた。

髪を金髪に染め、ライオンのようにした、
かなり美貌の吉原朱実という女子と、
リーゼントをばっちり決めた相原透という男子生徒が、
祐介となった洋子のところへきた。

吉原朱実は、洋子のももの上に乗って、洋子に向かい、
「女ちゃん、来たのね。可愛がって上げるわ。」
そういって、洋子に体を摺り寄せてきた。
そして、乳房を当てて擦ってくる。
洋子の後ろに相原透が来て、
洋子を椅子ごと後ろへ倒した。
そして、床の上で、洋子を椅子からずらした。
その上に、吉原朱実が馬乗りになった。

クラスの連中は、女子も入れて、
ほとんどが、ニヤニヤとしながら見ていた。
このショーに誰も外になど出ない。

「ねえ、嬢ちゃん。感じてる?大きくなったかどうか見てあげようか。」朱実は言う。
「ねえ、やめて、やめてよ。」
と洋子は、一応声を出しておいた。
「さあ、どうかな?嬢ちゃんは、女だから、あたしみたいな女じゃ感じないかな?」
朱実は、そういいながら、洋子の制服のズボンのファスナーを明けて手を入れた。
セーラー服の祐介は、座敷童子となって、
眼鏡をかけ、しっかり撮影をしていた。

洋子のファスナーの中に手を入れた朱実は、顔色を変えた。
「え。麻美、コイツ、ほんとに女だよ。」朱実は言った。
「ウソこけ。」といって透も、手を入れた。
「え?コイツ本物の女じゃねえか。」そう言って手を引っ込めた。
洋子は言った。

「相原の透ちゃん。ここまでしたんだから、早くあたしをおかしなよ。」
そのとき、洋子は、透の下半身を女に変えた。
「男ならサア。早く、やりなよ。いくじがないわけ?」洋子の言葉に、透はカッとなった。
「上等じゃねえか。ほんとにいいんだな。後で泣き面かくんじゃじゃねえぞ。」
透は本気になり、洋子のズボンをずらし、自分のベルトを緩めた。
その段になり、やっと気づいた。
まさかと思った。自分に男のものがない。

「透、びびってんの。やっちゃいなよ。」朱実が言った。
朱実はそのとき、洋子によって、男の下半身になっていることに気がついてなかった。
「透は、無理なんだよ。朱実、あんたならやれるよ。」洋子が言った。
「何言ってんの、女が。」
「あんたなら、男だからできるよ。」洋子が言った。
「気が狂ったのかよ、こいつ。」
朱実はそう言ったとき、下半身に異物感を覚えた。
はっと手で触ってみると、男の物がある。
朱実は、ひーと叫んで、
そのまま、血の気を失って、そこにしゃがんでしまった。

洋子は、起き上がってズボンを整えると、朱実をにらんだ。
「おい、朱実。いままで散々いじめてくれたな。
 この祐介はお前を許さないけど、いいな。」
ゆっくりそういう洋子には、なんとも言えぬ恐ろしいドズが込められていた。
「なんとか言え!朱実。」と洋子は、朱実を怒鳴りつけた。

朱実は、正直、縮み上がったのだった。
「はい。わかりました。」朱実は震えながら言った。
「朱実、いいか。お前は男だから、これから、男子便で立ちションだぞ、いいな。」
「はい!」朱実は言って、涙目になった。

「次、透、お前、ここに正座しろ。」洋子は言った。
透も、洋子のドスのきいた声に、縮み上がっていた。
透は素直に、正座をした。
「透は、ぼくちゃんを、散々コケにしたね。
 透ちゃんは、女の子になったから、明日からスカートを吐くんだよ。
 トイレは、当然女子よ。いいわね。」
洋子は、やさしく言ったが、いい知れぬ迫力があった。
「はい。」透はそう言った。

その頃、洋子がいじめられるのをニヤニヤ見ていた生徒は、
全員、恐怖で凍り付いていた。
洋子は、教卓の方へいった。
「みなさん。ぼくを、いままで、『女』と言ってからかった人、
 立ちなさい。」
全員が立った。ほとんどの生徒が、膝をがたがたと震わしていた。
「僕が女なら、僕と同じ制服の人は女だね。
 そう思う人手をあげなさい。」
男達がみんな手を上げた。みんな泣き顔になっていた。
「じゃあ、みんな、今から女子便を使うんだよ。
 分かった人、手を上げて。」
「じゃあ、ぼくと違う制服の人手を挙げなさい。」
女子が全員手を挙げた。
「僕が女だから、みなさんは、男ってことになるよね。
 トイレは、立ちションだね。分かる人手を挙げて。」
みんな手を挙げた。女子は全員が泣いていた。

「みなさんに、教えてあげます。
 1つ。いじめられている人を見たら、助けなさい。
 2つ。その勇気のない人は、だれか先生に言いに行きなさい。
 3つ。それもできないなら、最低、にやにや楽しんで見るのはやめなさい。
    その場から離れればいいんです。
 わかった人、手を挙げなさい。」
全員が手をあげた。
「そのことをこれから絶対守る人には、何もしません。
 守らない人には、宇宙の果てからでも飛んできて、皆さんの性別を変えてあげます。
 わかったら、過去のことは、全て許すから、トイレにいきなさい。」
洋子がそういうと、みんなほっとした顔をして、トイレにダッシュした。

「ライオンとリーゼントお出で。」
洋子が言うと飛んできた。
「もう、悪いことしないね。」
「はい、すみませんでした。もう、2度としません。
二人は、言った。
「番はだれよ。」
「3年E組の権藤三郎です。」透が言った。
「あんた達は、グループを抜けなさい。そして、もう悪いことはやめなさい。」
「はい。悪いことはもうしません。でも、グループを抜け出せません。」二人は言った。
「制裁に合うから?」と洋子。
「そうです。殺されます。」と朱実。
「番長を、今、ここ呼んでおいで。」と洋子。
「そ、それは、無理っす。」と透。
「じゃあ、根城はどこよ。」

「3階のA組の向こうの空き教室です。」朱実が言った。
「今行ってきな。麻美祐介がお前らつぶしにいくから、
 がん首そろえて待ってろって。」
「す、すいません。言えません。恐すぎます。」朱実は言った。
「あたしがグループをつぶすから、そしたら抜けるね。
 番やっつけて、ワル解散させれば、ぬけられるでしょう。」
「暴走族につながってるから、あたしは、だめ。」

「番長も族につながってるでしょ。だから、あたしが次に暴走族もつぶす。
 で、ヤクザにまでつながってたら、話をつける。それでいいっしょう。」
「そりゃそうすけど。そんなの無理っすよ。」
「あたしはね、お前らみたいなのが、幅きかせて、いじめやってんのが嫌なのよ。
 わかる?あたし、自殺しようと思ったのよ。」
「はあ、そうですか…。」
「まあ、いいか。不意打ちでいくか。」
洋子はそう言って、二人を帰した。



「洋子、あの二人、ちょっと可愛そう。」祐介が言ってきた。
「ライオンとリーゼント?」
「うん。根っからの悪じゃないから。」
「麻美(まみ)は、ほんとやさしいんだから。
 いいよ。二人とももどすよ。
 もどってるって、二人に教えてきて。」

祐介は、二人のところへ行って伝えた。
「ほんと!ああ、ありがてえ。」と透は言って、トイレに飛んで行った。
「ああ、あああああん。」と朱実は泣き出した。そして、泣きながらトイレに言った。

「洋子、あたしたちも行こ。」と祐介が来た。
「うん。あたし女ってばれちゃったよ。」と洋子が言った。
「だったら、二人で女子に入れるじゃない。」と祐介。
「麻美、あなた女子入る気?」
「だって、せっかくセーラー服着てるんだもん。」
「そうね。」
と二人で笑った。



番長の根城にいくとき、洋子は、祐介に言った。
「あたし、戦いはセーラー服でないと調子出ないの。
 制服交換して。」
「うん。」
そして、顔も取り替えた。
ここで、セーラー服が洋子、祐介は男子の制服になり、
正規の元の顔と姿に戻った。

ライオンの朱実と、リーゼントの透も連れてきた。
二人は、根城に近づくに連れて、体を震わせていた。
「大丈夫、あんた達には、指一本ふれさせないよ。」洋子は言った。
「10人はいると思うけど、番長の横にいる江崎ってのには、気をつけて。
 刀持ってるし、強さ、半端じゃないから。祐介、強そうだけどさ。」
朱実が言った。
「あたし、今から洋子だから、そう呼んで。
 忠告ありがとうね。」洋子は言った。

ガラッと教室の戸を開けた。
「このグループをつぶしにきたよ。」洋子は、明るい声で言った。
「何を?」とドアのそばにいた二人がすごんできた。
「雑魚に怪我させたくないの。一番強いのとやる。」洋子が言うと、
「ふざけんな。」とドアの二人が洋子を殴りに来たが、
洋子が何もしないのに、二人は、うずくまって倒れた。
洋子のボディ・ブロウがあまりに速くて、見えなかっただけだ。

それを見て、残りの連中は、少し控えた。
スケ番ふうな女生徒も4、5人いた。
番長は、坊主で、大柄、筋肉質、そして、学ランを来ていた。
その横に、リーゼントで長身の、冷ややかな目つきをした男がいた。
『コイツが、強さナンバー1ね。裏の本当の番長。』と洋子は思った。

「ね、番長。怪我人出したくないからさ。
 一番強い奴とあたしがやって、あたしがやっつけたら解散してよ。」洋子は言った。
「ほう。こんな根城にのこのこくるとは、お前は、バカか。」
と番長が言った。
「バカだよ。だけど、お前らより強いよ。」と洋子。
「おもしれえ。退屈していたところだ。余興に受けてやろう。
 一番強いのは俺だが、2番手でいいか。」
と番長はドスのきいた声で言った。
透、朱実、祐介は、入り口のところで、ぶるぶる震えながら見ていた。

「いいけど、一人にしてくれるとありがたい。疲れるからね。」
「だめだ。」番長がそういうが早いか、
隣にいた刀男が、鞘を抜いた刀を頭の上に振りかぶって、
高くジャンプしていた。
「わあ、洋子がやられる。」透はしゃがんで目をつぶった。

「キエーイ!」
刀男は、振りかぶった刀を、洋子の肩から内臓を通し、
脇腹へと切り裂き、切断したかに見えた。
洋子を斜めに真っ二つにしたはずだった。
切り終えた刀男は、手ごたえのなさに、一瞬首をかしげた。
すると、自分は刀を持っていない。
夢を見ているようだった。

「刀、上だよ。」
洋子に言われ、刀男が天井を見ると、自分の刀が刺さっていた。
刀男は、やがて、腹に鈍痛を感じ、立っていられなくなり、
床に倒れた。
洋子は、刀男に切られる瞬間、2本指で刀の刃を挟み、天井に投げた。
その瞬間、刀男のボディに強烈なボディブローを入れた。
その全部が、刀男を含め、誰にも見えなかったのだった。

「すげえ。0.1秒できめた。あの刀男を。」透がつぶやいた。

「初めの合図もなしが、このグループのやり方?」
洋子がそう言ったとき、
その0.1秒後に、洋子の正拳が、番長の顔面に食い込んでいた。
「ここは、合図、なしなんだから、いいよね。」洋子は言った。
番長は、座った椅子から、そのまま床にうつ伏せに倒れた。

「はい、みなさん、正座でしょ?」洋子は言った。
他の仲間は、体中ガチガチになって、正座をした。
「君達。今からあたしが番長だよ。いいかい。」
「はい!」と全員声をそろえていった。
「このグループは、今から解散する。
 友達や、先生に悪いことするヤツは、この番長のようになる。
 リーゼントなんか止めて、真面目に勉強すること。
 いいかい。」
「はい!」
「今、この教室を綺麗にしてから行ってよし。
 刀は、だれかが警察に届けること。
 倒れている二人は、3時間もたてば、意識が戻るだろう。」

洋子は言い、学校の不良グループは解散した。

「透ちゃんと朱実ちゃん、放課後、暴走族の集合しているとこへ案内してね。」と洋子。
「はい。」
透も朱実も驚いていた。
洋子のように強い人物を見たことがなかった。
二人は、「この洋子とは、一体誰だ?」と初めて疑問を持った。
クラスメイトであることは、まちがいなかった。


<いじめ生徒編・おわり>

※次は、「暴走族退治編」です。(2話)
 その次は、「ヤクザと話をつける」(1話)
 これで、終わります。お付き合いくださるとうれしいです。

超スーパー洋子②「いじめ教師編」完結

午後の5時に、祐介の担任磯谷は、校長に呼ばれた。
ソファーに座るように言われた。

「朝、君は、私に何かいいたそうに来たが、
 私と話をしている生徒の姿を見て、悔しそうに去っていったね。
 あれは、何が言いたかったの。」
と校長。

「い、いえ何も。」と磯谷。
「君は、家族が入るだろう、お子さんも。」
「はい。おります。」
「職を失ってもいいのかね。」
「そ、そんな。驚かさないでください。」
「ウソをつく職員のフォローをするほど、私は善人ではないがね。」
時間が経った。
「では、君を見捨てるがいいかね。もう、行ってもいいよ。」と校長が言った。
「ま、待ってください。今朝、少し担任として、まずい言動をしました。」
「言ってみたまえ。」
「3日無断欠席をしていた麻美祐介に対し、出欠の名を呼びませんでした。
麻美になぜ、僕の名を呼んでくれないのかと言われたとき、
『お前は、無断欠席を3日もしとるから、
 どうせおらんと思って呼ばなかった、悪いか。』とすごみました。」

「DVDの通りだな。」
「なんですか、それは。」
「生徒の一人が君の言動を完全にビデオカメラに撮っている。
 なぜか。この学校の教師がひどすぎるからだそうだ。
 先生の言動が、いじめられる子を大勢作っている。
 その子は、DVDをたくさんコピーし、文部科学省の初等教育・企画部に送ると言っている。
 県や市の教育委員会は、もみ消しに動くから、信用できないそうだ。
 君の映像を文部科学省に送られてご覧。君は、2年間の再教育センターに送られて、
 そこの課題に耐えられなくなり、やめてしまうだろう。
 だから、さっきご家族のことを聞いたんだ。

 その生徒から見て、はっきり先生が変わったと思えなければ、
 DVDは、送られる。まず、6人の先生は辞める羽目になる。
 どの先生も正直に言ってくれんと、手遅れになる。私は、焦っているのだよ。
 あの生徒は、文科省が動かなければ、マスコミにも流すといっている。
 マスコミの記者会見だと思って、私に答えてごらん。」

「校長先生、そんな大げさな。」と磯谷。
「少しも大げさではない。では、今、DVDを見てみるかね。」
「いえ、それは…。」
「じゃあ、君のまずかった点を言ってごらん。」
「一つは、『お前』という言葉遣いです。
 そして、無断欠席をしているといって、名を呼ばなかったことです。
 あと、無断欠席に対して、こちらからその日の内に、電話連絡をしなかったことです。」
「3日の内、何日したんだね。」
「すみません。一日もしませんでした。」
「それぞれ、どんな点でまずい?」
「お前という呼び方は、人権上まずいです。
 名前を呼ばなかったことも、人権上まずいです。
 電話をしなかったことは、安全確認のためまずいです。」

「じゃあ、言おう、あの子の3日間の無断欠勤の理由だが、
 あの子は、自殺をしたのだよ。」
「え?!!」と磯谷は仰天した。
「道路の陸橋から、身を投げた。助かる見込みは、ゼロ%だ。
 だが、奇跡的に、彼を助けた人がある。
 自殺をする子が、学校へ欠席の連絡など入れるかね。」

「知りませんでした。」磯谷はうつむいてしまった。
「親が連絡をして来ないのが、変だと思わなかったのかね。」
「はい…。今考えますと・・変です。」

「あの子は、家族からの虐待を受けて、
 1ヶ月間も、食事もお弁当も作ってもらっていなかったんだよ。
 2000円のお小遣いで、一日クリームパン1個で凌ぎ、
 10日前にお金も尽きて、一切食べられなくなり、道路の陸橋から身を投げた。

 君、どう思う。家庭連絡とは、かくも大事なものなのだよ。
 もし連絡をとり、本人がおらず、家族もあわてていたら、
 職員全員で探せたろう。捜査願いも出せただろう。
 そして、自殺を防ぐことができたかもしれない。

 君は、担任でありながら、1ヶ月間、あの生徒の様子のおかしさに何も気がついておらん。
 あの子は、クラスでいじめられ、先生からも、今朝の君のようにいじめられ、  
 どこにも頼るところもなくなり、死ぬしかかなった。
 出席で、その子の名を呼ばないとは、『お前は、この世にいない。』と言ってるのと等しいのだよ。
 これが、冗談で通ると思うかね。

 君は、自殺をした子の家に、訪問もせず、見舞いの言葉も言わず、
 学校に出てきたその子に、ねぎらいの言葉もかけず。
 その子が、自殺の痛手を克服して、やっとの思いで学校へ来た日の朝1番、
 その子に対し、『お前は、この世にいない。』というに等しい言動をとったのだよ。
 
 君が、あの生徒の自殺を知ってさえ入れば、朝、職員室で言えただろう。
『先生方、自殺したあの子の身になって、あの子の傷つくようなことは、しないでください。』ってな。
 君がそうしなかったから、各時間、先生達は、いつものように散々にあの子をいじめてくれたんだよ。
 いつものようにね。それが、DVDの中に全部撮影されている。

 これを、マスコミが見てご覧。100人は、学校へつめ駆け、
 テレビ放映されたら、この学校の先生は、投石の雨アラレだ。
 DVDの内容は、それほど、見るに耐えないものなのだよ。
 先生達の家族は、外へも出られない。
 全員辞職をせねばならない。もちろん私もだ。担任の君は、主人公だ。
 見てみるかいDVDを?どれほど、ひどいものか。」
校長は悲しい顔をした。

磯谷は、うなだれて、涙をこぼした。
「すいませんでした。
 今日、校長室に来るときでさえ、私は、傲慢でした。
 自分のしたことくらい誰でもしている。何が悪い。
 校長先生に適当に頭さげて、またいつもどおりやっていけばいいやと。

 しかし、今日のは応えました。
 今、麻美が前にいたら、土下座をして謝りたいです。
 麻美が弁当を持って来ていないことも、
 教室で、生徒といっしょに食事をしていれば、わかったことです。
 もともと、担任は教室で弁当を食べるのが規則です。
 そうしたら、もっと早く、麻美を救えたかもしれません。
 1ヶ月もひもじい思いをさせました。
 もし、自分の子供がそんなことをされたら、私は気が狂います。
 気がついてくれなかった担任をどれだけ恨むかわかりません。」

磯谷は、頭を抱え、男泣きにおいおいと泣いた。



数学の沖田も、校長室に呼ばれた。
そして、祐介を指名しなかったこと、
祐介が「わかりません。」といったとき、クラス中で大笑いしたこと。
それが、どれだけ人権を無視した行いであったかを説いた。
沖田は、一日中、授業で答えが言えなかった様を、校長に見られた。
それが、どれほど、辛かったか。祐介が答えを言えなかったことを、
大笑いをしたことが、どれだけ、祐介の心を傷つけたかも身に沁みてわかった。
沖田も、校長に泣きながら詫びた。



校長は、こうして、一人一人教師を呼んで、根気よく話をした。
そして、頃合を見て、臨時の職員会議を開いた。
校長に説得された、教員何人かに、自分の過ちを語らせ、
全員にいままでの教師としてのあり方を反省させた。

こうして、5日後には、先生達は、見違えるほど変わった。
それは、どの生徒にもはっきりと認められた。

「もう、このDVDは、いらないね。」と洋子は言った。
「うん。先生達、変わったね。みんないい先生になった。」祐介は言った。



廊下で、洋子は、校長とすれ違った。
洋子は、にっこり礼をして、可愛いウインクを校長に1つ送った。
校長もウインクを返そうとしたが、あまり上手できず、
洋子と祐介に、笑って見せた。
洋子と祐介の笑顔が返ってきた。

ガラス戸に光があふれ、気持ちのいい朝だった。


<先生編・おわり>

次は、<生徒編>です。1話で終わります。
その後<暴走族編>となります。

超スーパー洋子①「いじめ教師編」・2話完結

女装らしきものが、出てきません。すいません。読んでくださるとうれしいです。

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「超スーパー洋子・いじめ教師編」

麻美家。セーラー服姿の洋子が、朝誘いに来た。
「じゃあ、そろそろ学校行こうか。
 先生のいじめをなくしに行こう。」
洋子は言った。
「ぼく、学校のこと考えると恐くて脚が震える。」と祐介は言った。
「大丈夫。あたしと入れ替わろう。
 麻美があたしになって、座敷童子になるの。
 あたしが、祐介の制服来て祐介の顔になり、
 なら、平気でしょう。」
「うん、なら平気だと思う。」
洋子は祐介に眼鏡をかけた。
「これで、いじめの現場をみんな撮ってね。」
「うん。わかった。」祐介はいった。

洋子は、祐介を自分顔と姿にしセーラー服、
自分を祐介の顔と姿にして制服。

「春日高校」の門をくぐった。
うしろから、何人もの男子生徒が追い抜いて行く。
「よ、来たか、女。」
「何してたんだ、女。」
と追い越す男共が、みんな祐介である洋子を「女」と呼んでいく。

「僕のあだなは、『女』なんだ。」祐介は言った。

「来たの、何してたのさ、女。」と女子も女と呼ぶ。
「何よ、自分だって女のクセに。」
洋子は怒った。
(これは、集団いじめだな。)と洋子は思った。



朝の会。担任は磯谷圭吾。国語教師。体育会系。

朝の出席を、磯谷は通り始めた。
ところが、名簿順に読みながら、麻美祐介の名を抜かす。
全部取り終わったとき、祐介になっている洋子は手を上げた。
「なんだ、麻美。」
「僕の名前が呼ばれていません。」
「お前は、無断欠席を3日しとるから、どうせおらんと思って呼ばなかった。悪いか。」
と磯谷はすごんだ。
「ぼくには、判断がつきません。悪いかどうかは、校長先生にお伺いします。」
洋子は、そう言って座った。
「じゃあ、そうしろ。」と言って磯谷は、教室を出た。

かっこつけて出たものの、これは、大変まずいことだと磯谷は知っていた。
無断欠席が合った場合、その日のうちに家庭連絡をして、
欠席の理由を聞かなくてはならない。
そして、欠席の理由を共通確認しなくてはならない。
当然、理由を知っているから、生徒が出てきたら、出席は取らなければならない。
名前を抜かして呼んだことは、重大な人権無視なのだ。
おまけに、磯谷は、無断欠席の電話連絡を3日怠っていた。

磯谷は、これは、まずいと思い、校長のところへ、先手を打ちにいったが、
校長の横に、早、祐介となっている洋子が来ていた。
校長は、何食わぬ顔で、
「磯谷先生、なんでしょうか?」と聞いた。
「いえ、何でもありません。」
磯谷は、引っ込んでいった。
とぼけるあたり、校長は、かなり信頼を置けそうだと洋子は思った。
磯谷は、決定的にまずいと不安を抱えながら、授業に向かった。

1時間目は、数学だった。
「数学の沖田先生は、最低のヤツ。」祐介が洋子に耳うちした。
沖田良夫は、がっちりとした、40代後半で威張りくさった教師だった。
ちょうど洋子の列を前から名を呼んで、宿題の答えを言わせていた。
ところが、洋子のところで、指名を飛ばすのだ。
飛ばされた洋子は、すぐに反応して、手をあげた。

「なんだ、麻美。」
「どうして、僕を指名しないで飛ばすんですか。」洋子は言った。
クラスみんながにやにやしていた。
「お前は、いつも答えられんだろう。時間を省略した。」
「いままで、いくら答えられないからといって、差されないで飛ばされるのは、
 いい気がしません。」
「わかった。じゃ、答えを言ってみろ。」
「できませんでした。」
洋子がそう答えたので、クラスは爆笑し、沖田自身も大笑いした。
祐介は、それをばっちりとメガネカメラに撮影した。
「できもしないのに、生意気に、差してほしいなどというな。」
沖田は言った。

そのとき、洋子は、沖田に、数学の問題が一切分からずに解けないという念を入れた。
「じゃあ、先生、答えを教えてください。」洋子は言った。
「X-だなああ・・・」沖田は、ぎょっとした。答えがわからない。
「あー、次の森田、答えろ。」そう言ってごまかした。
「X-5です。」といつも成績のいい森田明美が言った。
「よし、次。」と沖田は、言った。
他から、手が上がった。
「先生、今の、『よし』なんですか。」クラスでトップの吉田が言った。
「む?ちがうのか。」と沖田。
「ぼくは、X-6でした。」と吉田は言った。
「あ、そうだな、そうだった。」と沖田。
クラスの半分が、「先生、X-5ですよ。」といった。
半分が、「X-6だろ」といい、クラスは大もめにもめた。
「先生、どっちなんですか。早く、正解を言ってください。」
生徒に迫られ、沖田は、顔面蒼白になった。
5分もせめられ、沖田は、とうとう、
「わるい、急に腹が痛くなった。トイレに入ってくるからまってくれ。」
と教室を逃げ出してしまった。

沖田は、とうとう、もどって来なかった。
沖田は、トイレの中で、教科書を見ながら、
ずっとその問題を解けずにいた。
この分では、次のクラスもやれない。
沖田は、具合が悪いと言って、早退しようとした。
だが校長は、沖田のウソを見抜き、授業に行かせた。

そして、次の二クラス沖田の授業を校長は参観した。
次のクラスは、答えの言えない沖田を完全に無視して、勝手に自習を始めた。
もう1クラスは、この時とばかり、遊び出し、
あげく、沖田の教卓を使って、沖田の目の前で、鉛筆転がしのゲームを始めた。
沖田にとって、地獄のような時間だった。
しかし、校長は、一切生徒を注意することなく、見ていた。

2時間目。理科の吉沢は、紳士的で問題なし。
3時間目の体育教師の遠藤は、大いに問題あり。
体育館で跳び箱運動だった。

洋子は、祐介に男子の運動着に着せて、自分も男子運動着をきた。
祐介は、運動能力が極めて低い。
洋子は、その祐介に合わせて、運動をしていた。
祐介は、とび箱のもっとも初歩である、開脚とび越しもできなかった。

最後に自分の演技を見せて授業は終わりだったが、
祐介だけができない。
「麻美、何をやっとる。今日は、全員跳べて終わりとする。
 お前が飛べなければ、授業は終わらんぞ。」
遠藤は、祐介だと思っている洋子に言った。
男子達が、「えー?」と言った。
祐介は、何度も何度も挑戦した。
「先生、僕には、無理です。みんなを先に帰してあげてください。」と言った。
「だめだ。全員跳べて終わりにする。男に二言はない。」
「そんなことされたら、ぼく、みんなに恨まれます。いじめられます。」
「おまえら、どうなんだ、麻美を恨むのか?」
恐い、遠藤に言われて、恨みますなどと言えるものはいなかった。
しかし、心の中では、祐介に対する恨みが沸騰していた。

「先生。じゃあ、ぼく一人で、跳び箱もマットも片付けます。
 だから、みんなを帰してあげてください。
 みんなが帰った後でいいですから、僕の前に、先生が模範を見せてください。」
祐介がそう言ったので、やっとみんなは、帰された。

「じゃあ、先生、模範をお願いします。」
洋子はこのとき、遠藤が飛べないという念を掛けた。
飛び箱は、3段。
「こんなの助走もいらん。よく見ておけ。」
遠藤はやった。そして、あせった。飛べずにとび箱の上に乗ってしまった。
もう一度やった。同じだった。
「先生の模範のあと、僕が飛びます。」洋子は言った。
遠藤は何度やっても飛べなかった。
やがて、次の時間の生徒がやってきた。
「先生、何やってるの?」
「さあ。」
次の時間の生徒が全員見ていた。
遠藤は、苦し紛れに言った。
「もういい。次のクラスがきた。お前ら帰れ。」
「男が二言を吐くのですか!!」
洋子は、体育館中に響きわたる気合の入ったすごい声で言った。
「やると言ったら、やるんですよ!!!」
生徒が洋子の声で、静まり返った。

結局、次のクラス全員が見ている前で、
遠藤は3段の跳び箱に挑戦をし続け、授業の45分をつぶしてしまった。
生徒に授業をしないまま、遠藤は、生徒を帰した。
だが、洋子と座敷童子の祐介がそばにいた。
「僕は、5時間でも、10時間でも見ていますよ。
 先生が飛べたら、僕が挑戦します。
 僕は、10時間くらいかかります。
 先生は、見届けてくださいね。
 生徒を置いて、体育館を去れないはずです。」

午後になった、5時間目に突入したとき、遠藤は、体力も気力も果て、
洋子と祐介の前に頭を下げた。
「許してくれ。俺が悪かった。
 どうしても跳べん。」
「ぼくだって、先生と同じように、どうしても跳べないんですよ。
 どうしても跳べない生徒に、跳べるようになるまで帰さないという。
 おまけに連帯責任だとおっしゃる。
 これは、クラスでのいじめられ人間をつくることだとは、思われませんか。
 現に、ぼくは、クラスのみんなからいじめられています。
 僕にもいけない点があるのでしょう。
 でも、先生方のそういうやり方が、いじめられ人間を作っているんです。
 どう思われますか。」
「俺が、間違っていた。よおく、わかった。
 今後、生徒同士がたがい恨み合うようなやり方をやめる。
 必死で自分を変える。だから許してくれ。」
遠藤は、深く頭を下げた。

体育館のマット、跳び箱を3人で片付けた。

2人を帰した後、遠藤は、校長に正直に全てを話し、
これから、自分の否を全力で正す気持ちを涙ながらに伝えた。

校長は、やさしく、うなずいた。そして、
「今日が先生の自己改革の日ですね。」そう言った。


つづく(次は、後編「担任磯谷の反省」です。)

超スーパー洋子⑥「美紀・罪からの解放」家族編・最終回

「では、次に、妹の美紀さんに聞きます。
 あなたは、お兄さんが、あなたのショーツとスリップを着ていたのをみたとき、
 それを、ハサミで、ぎざぎざに切って捨てたそうですね。なぜですか。」
「女の子の下着を着た兄が、汚らわしいと思ったからです。」
「汚らわしいのは、下着ですか、お兄さんですか。」
「兄です。」
「では、下着の方は汚らわしくないのでは?」
「けがらわしい兄が着たので、下着もけがわらしいと思いました。」

「あなたは、お兄さんのトランクスを履いて、
 お兄さんの服を着て、性的・行為にふけりました。
 そのときのあなた自身を汚らわしいと思いますか。」
美紀は、全て知られていることに、愕然とした。

「思います。」と震える声で答えた。
「あなたが履いたお兄さんのトランクスも、
 あなたが履いたので、当然、汚らわしいと思いますか。」
「はい。」
「では、同じように、ハサミで切って捨てたのですか。」
「いいえ。」
「どうして、そうしなかったのです。」

「それは、自分のではないからです。洗ってアイロンをかけました。」
「それを、お兄さんに、ごめんなさい、
 自分も同じことをしてしまったと言って、返し、謝りましたか。」
「それは・・・。」
「答えられませんか。自分で汚してしまったお兄さんのトランクスは、
 今も、汚らわしいと思いますか。」
「思います。」

「トランクスをお兄さんに返していないのなら、あなたが、今も持っているのですね。」
「はい。」
「どこにあるのです。」
「あたしの部屋です。」
「今もって来てください。」
洋次がそう言ったとき、美紀は、大きなショックを受け、体を震わせた。
そして、どっと涙を吹き出した。
美紀は、保健所の人から、ここまで聞かれるとは思わず、
今も、祐介のトランクスを履いていたからだった。

「わかりました。あなたの部屋の奥の奥にあって、ちょっと出せないんですね。」
美紀は、洋次の目を見た。
そして、すべてがお見通しであることを察した。
保健所の人は、助け舟を出してくれたのだ。
「はい。その通りです。」と美紀はうつむいて言った。

「美紀さん。あなたは、お兄さんが1ヶ月間、
 食事を出してもらえず、悲しい顔をしているのを、
 毎回、にやにやと嬉しそうな顔で見ていたそうですね。」

「はい。見ていました。」美紀は、再び、涙をぼろぼろ流し始めた。
「そんな自分を今どう思いますか。」
「人間じゃありませんでした。鬼か悪魔でした。」涙ながらに言った。

「お兄さんのトランクスを履いたこと。1ヶ月間にやにやと笑い続けたこと。
 それがいけなかったと反省したのは何時ですか。」
「5日前、あたしも食事ができなくなったときです。
 お腹がすいて、兄の辛さがわかったときです。」

「今あなたは、お兄さんが、あなたの下着を身につけたことをどう思っていますか。」
「だれだって、そんなことをしたくなるときがあると思っています。」
「じゃあ、お兄さんの気持ちが今なら分かるのですね。」
「はい、よくわかります。」
 
「5日の間、自分はお兄さんに対して、
 悪魔のようにひどかったと思っていたのに、
 どうして、お兄さんに謝らなかったのですか。」

「心では、何度も謝っていました。でも、口に出して言えませんでした。
 それと、罰として、自分が食べないでいるので、
 謝る代わりになると思いました。」

「それは、あなたの間違いです。
 謝罪と罰は、別物です。両方しないといけないのです。
 心でいくら謝っても、相手に通じず、謝ったことにはなりません。」
「はい。」
「では、今すぐ謝りなさい。」

うつむいていた美紀は、どうにか立ち、祐介のところへいった。
祐介の前で、美紀は床に手をつくためにかがもうとした。
祐介は、美紀の腕を取って、それを止めさせた。

「ひざまづいてなんか謝らなくていいよ。
 一言『ごめんなさい』って言ってくれればいいよ。」
祐介のその言葉を聞いたとき、美紀の目からみるみる涙があふれた。
美紀は、祐介に抱きついた。
「お兄ちゃん、ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい・・・。」
と美紀は、何度もくり返した。
「わかった。もういいよ。」
祐介は、美紀を席につかせた。

「最後にお父様に申し上げます。」と洋次は言った。
「お父様は、お母様と、同罪です。共犯と申し上げてもいい。
 1ヶ月に及ぶ奥様の虐待を、毎日目の前にしながら、
 止められないとは何事ですか。
 
 もし、私なら、妻をひっぱたいてでも、
 殴り飛ばしてでも止めさせます。
 もし、妻がそれでも虐待を続けるなら、
 私が自分で息子の食事を作ってやります。

 しかし、それも叶わないなら、
 息子にお金を持たせて、外で食べるように言います。

 お父様は、そのいずれもなさっていない。
 とても、奥様の虐待を止める意志があったとは、思われません。
 また、息子さんを救おうとされたとは思えません。
 いかがですか。」

父浩志は、うなだれた。
「あなたのおっしゃる通りです。私は、どうかしておりました。
 妻や、娘を責められる立場ではありません。
 申し訳ありませんでした。」

「では、最後にまとめをいたします。
 ご夫妻は、殺人ではありませんが、当然、祐介さんが、
 自殺をすることが予想されるであろうことを、してしまったのです。
「未必の故意」とも言うべきものです。

 祐介さんは、道路の陸橋から、
 恐くて飛び降りらず助かったのではないのですよ。
 祐介さんは、実際に飛び降りたのです。100%即死です。
 ところが、1億分の1ほどの運で、
 ある人物に命を救われたのです。
 ですから、ご夫妻は幸い刑法の罪には問われません。
 祐介さんが死んでいないからです。

 しかし、ご夫妻のこの1ヶ月のあり様は、あきらかに狂気の沙汰です。
 これは、美紀さんも同じです。
 一人だけ、必死でお母さんをとめた由紀さんだけが正常です。

 そこで、虐待が行われたケースとして、
 ご夫妻、美紀さんの3人で、児童相談所へ行っていただきます。
 そして、精神鑑定を受け、カウンセラーによる指導を受けていただきます。
 お父様は、会社を当分休んでください。
 精神的に病んでいる状態で、お仕事などしてはいけません。
 速やかに行わないと、またややこしい問題となります。

 虐待をしてしまったとき、
 その後の行動に手抜かりがあっては、会社に問い合わせがいき、
 虐待のことまで、会社に知られることとなります。
 お父様は、辞職のはめになることもあります。
 その事態は避けてください。
 よろしいですか。ここに児童相談所の名刺を置きます。」

洋次の言葉に、3人は深くうなずいた。

「祐介さんは、正常な精神をお持ちでした。
 だから、お母様と美紀さんが、これ以上食事なして過ごしているのを、
 見てはいられない。
 どうにかして欲しいと保健所に見えたのです。
 たった5日目です。
 自分は、1ヶ月の虐待を受けているに関わらずです。
 これが、正常な感覚というものです。

 それに比べれば、お3人が、どれほど精神を病んでいたか、
 お分かりかと思います。」

洋次は、祐介に言った。

「3人がここまで反省されているようだから、
 食事抜きなど、もうする必要はないね。」
「はい。ありません。」祐介は言った。
幸子と美紀が顔を両手で覆って泣いた。

祐介が母のそばにいくと、母は祐介を抱きしめ、
ごめんなさい、ごめんなさいと何度もくり返し、
父や美紀、由紀がかたまって、5人が1つになって、泣き始めた。

洋子は、そっと、母と美紀の男装願望を、祐介より少し低いレベル0.5に下げた。
レベル0には、しなかった。それは、祐介をいつまでも理解させるためである。

洋次は、かばんにパソコンをしまい、静かに去っていった。

『学校や、生徒からのいじめもあるのか。
 だがこれは、2日もあれば、片がつくな。』

洋次は、そう思いながら、
眩しい日差しの中を歩いて行った。


<おわり>

※「家族編」が、これでやっと終わりです。
 女装もあまり出ないまま、「学校教師編」へと続けたいと思います。
 もし、続けて読んでくださると、うれしいです。

超スーパー洋子⑤「母、罪からの解法」

女装の場面もです、ちょっと暗い話を長々と続けていて、すみません。
次回で、「家族編の最終回です。」
このシリーズで、「教師編」、「生徒編」を書いて終了したいと思います。
このシリーズは、いじめと虐待をテーマにしています。全部書き上げたいのです。

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洋次は、おもむろに言った。
「2週間ほど前ですが、こちらのご家庭で、
 お母様が、祐介君に朝昼晩の食事をさせていないという
 通報がありました。そこで、保健所としては、
 この2週間、こちらのご家庭を観察させていただきました。

 では、お母様にお聞きします。
 祐介君に1ヶ月に渡り、食事を作ってあげなかったというのは、事実ですか。」
「はい、事実です。」
 と幸子は、うなだれて言った。幸子は祐介が恐かった。
「それは、ネグレクトつまり無視ですね。
 ネグレクトとして重大な虐待であるという認識がありましたか。」

「はい、ありました。」
 幸子はうつむいて、洋次に一切目を合わせなかった。
「お父様はどうですか。毎日見ていらっしゃったのでしょう。」
「はい。ひどいことだと思っていました。
 だから、妻に止めろと何度も注意しました。」

「お母様に伺います。祐介さんは、空腹に絶望し、自殺をしました。
 それは、当然だと思いますか。」
「はい、死にたくなると思います。」
「虐待の動悸はなんですか。」
「祐介が私のブラジャーを身につけていたことです。」
「わかりました。」

洋次は、証言を、すごい速さでパソコンに入力していた。

「お母様が、祐介君さんになさったことは、
 祐介さんの罪に見合った罰だとお思いですか。」
「今は、やりすぎたと思っています。
 でも、しているときは、思いませんでした。」

「祐介さんが、お母様の下着を身につけることは、
 どうして罪なことだと思ったのですか。」
「変態的だと思い許せませんでした。」
「では、うかがいます。
 お母様は、6日前、ご主人のトランクスを身につけ、
 完全な男装をして、あげくに、自イをなさいましたね。
 そのことをどう思われますか。」
幸子は、とうとう夫に知られることになり、体を震わせた。

このとき、浩志は驚いて叫んだ。
「幸子!そんなことをしたのか。」
「はい。」幸子はうつむいて答えた。
洋次は続けた。
「お母様は、さらに、同日真夜中の1時に家を抜け出し、
 昼間用意していたご主人の衣類一式をもって、
 カラオケ店にて、男装をし、
 レズビアン・クラブに行きました。

 そこで、ホステスをしていた、
 ご長男の祐介さんを若い女性と思い、性・的・行・為を迫りました。
 間違いありませんか。」
「はい。」幸子は、涙を流しながら答えた。

「お前、何でそんなことをしたんだ…。」夫は唖然とした声で言った。

「先にいきます。
 お母様は、祐介君にすぐに店を出るように言われ、外に出ました。
 そこで、真先に、『おとうさんにだけは言わないで。』と、
 道路に手をついて懇願しました。
 その通りですか。」
「はい。その通りです。」

「どうして、真っ先に祐介君に、虐待をしたことを謝らなかったのですか。」

幸子は、また沈黙した。やがて、
「自分の身を守ることに精一杯でした。
 祐介に謝ることを忘れていました。」と言った。
「先ほど、祐介君がお母様のブラジャーをつけたことを、
 変態的で許せなかったとおっしゃいました。

 では、ご自分がご主人のトランクスを履いて自慰にふけったり、
 男装をして、実の息子さんに性的・行為に及んだことは、
 自分だから許せるという訳ですか。」

「いいえ。自分でもいけないことだと思っています。
 でも、我慢できなかったのです。」
幸子は、両手で顔を覆い泣き始めた。
「祐介さんのブラジャーを変態とお思いなら、
 あなたのは、どのくらい変態的なことですか。」
「10倍も、20倍も私の方が変態的です。」
「祐介さんを許さず、1ヶ月の虐待を行っておきながら、
 よくそこまでのことができましたね。」

幸子は、だまりこんでしまった。
それを、ずっと聞いていた美紀は、
母と同じことをしていた自分に対し、恐怖で慄いていた。

「なぜ、そこまでのことができたのですか。
 私にはわかりませんので、説明してください。」
洋子は静かに言った。

「祐介にしたことがどれだけひどいことか、わかっていました。
 でも、そのときは、男になって、
 可愛い女の子を丘したくてたまらず、
 その気持ちをどうしても押えることができませんでした。」

「もう一度、お聞ききします。
 今、お母様は、祐介さんがあなたのブラジャーを、
 身につけていたことをどう思いますか。」

「そのくらい、ささいなことでした。
 祐介の気持ちを聞き、女装がしたいなら、
 願いを叶えてあげるべきでした。」

「祐介さんに、写真を近所に公開すると言われ、
 それが恐くて、そう言っているだけではないのですか。」

「ちがいます。本心です。
 私が主人の下着を身につけてしまったとき、
 祐介の気持ちがわかったのです。」

「つまり、お母様は、祐介君が女装したいという気持ちが、
 今ならよくわかるということですか。」

「はい、あたしが間違っていました。ごめんなさい、祐介。
 ごめんなさい。お母さんは悪魔のような人間でした。
 ごめんなさい。ごめんなさい・・・・。」
幸子は、何度もごめんなさいをくり返し、
椅子から下りて、床に両手を着き、頭を伏せて、号泣した。
「お母様には、以上にしましょう。」洋次は言った。


つづく(次は、「保健所員、美紀への質問」家族編の最終回です。)

超スーパー洋子④「幸子、美紀それぞれの反省」

幸子はぶるぶる震えていた。
「祐介。お願い。お父さんには、言わないで。」
「お母さん、ぼくに1ヶ月もシカトしておいて、
 こういうときは、ぼくにしゃべるんだ。都合がいいんだね。」
幸子は、道路に両手をついた。
「お願い、祐介、お父さんにだけは、だまっていて。いままでのこと、ごめんなさい。」
「いままでのことって何?」
「あなたに食事をとらさなかったこと。」
「どうして、そんなひどいことしたの。」
「あなたが、あたしのブラジャーを着けていたから。」
「お母さんは、お父さんのパンツ履いてる?」

「…は、はいてるわ。」
「今着てるの、全部お父さんのでしょう。
 おとうさんのトランクスはいて、昼間オ△ニーしてたでしょう。
 そして、ぬれてしまったトランクスをかくしたでしょう。
 ぼくが、おかあさんのブラジャー身に着けたこととどっちが悪い。」
「あたしの方が悪いわ。」幸子は、わなわなと震えていた。

「お母さんのしたこと、全部ムービーカメラで撮影したから。
 お母さんがいつも気にしてるご近所の手前って人達に公開するからね。」
「やめて、それだけは、許して。」
「許せるわけないじゃない。お母さんは、ぼくにどれだけ食事をくれなかった。」
「1ヶ月。」
「ぼく、お腹がすいて、自殺したんだよ。わかってるのお母さん。」
「…わかってるわ。」幸子は、もうぼろぼろに泣いていた。

「じゃあ、お母さんも、1ヶ月食事をしないで。
 僕がどれだけ辛い思いをしたか、体験してみて。
 1日にクリームパン1個だけ食べていい。でも、20個まで。
 もし、こっそりお菓子なんか食べたら、すぐ、ご近所に写真にしてくばるから。
 ぼく、こっそり見張っているから。何か食べたら絶対分かるからね。
 ご近所には、黙ってて上げるけど、お父さんには言うよ。家族だもん。」
 
幸子は、去っていく祐介を見て、道路に泣き伏した。



次の日の朝。
祐介のテーブルに、きちんと朝食が置かれていた。
しかし、幸子の前には、なかった。
「いただきます。」と言って、父と由希と祐介は食べたが、
美紀は、トーストとベーコン・エッグを前にして、食べようとしなかった。
「美紀、どうして食べないの。」幸子は聞いた。
「お母さん。お兄ちゃんにしたように、
 1ヶ月、あたしに食事を作らなくていいから。」
美紀は、涙を浮かべて言い、学校へ行く用意をして、家を出た。

「かあさん、美紀はどうしたんだ。」と父浩志が聞いた。
「わかりません。」と母はうつむいて答えた。
「かあさんは、何で自分のを作らないんだ。」父は聞いた。
「欲しくないんです。」と幸子は涙ながらに答えた。

学校の2時間目の終わりに、美紀は、早、空腹に耐え難くなっていた。
昨日の夕食と今朝の食事をしていないだけで、
強烈な空腹感に見舞われていた。
お兄ちゃん、ごめんなさい…、と美紀は何度も心で言った。

母幸子は、部屋で絶望していた。
たった夕食と朝食を抜いただけで、これほどの空腹感を覚えるのかと思った。
それを、祐介に1ヶ月も食事をさせなかった。
そんな自分は、悪魔だと思った。
「祐介、ごめんなさい。」とくり返しながら、キッチンのテーブルで泣いた。

性欲とは、悲しいもので、食欲よりも強い。幸子は、
そのときも、男になりたいと言う耐え難い欲求が湧いてくるのだった。
祐介は、女の子の格好がしたかった。
たった、ブラジャーを身につけただけで、自分は、一ヶ月も食事をさせなかった。
比べて、自分は今何をしようと考えているのだ。

幸子は、欲求に負けて、再び、夫のトランクスを履いた。
そして、泣きながら、自分を慰める行為を始めた。
これは、美紀も同じだったのだ。
空腹とは別に、男になりたいという性的欲求に負けていた。

果てた後、幸子は、耐え難い自己嫌悪に襲われた。
自分は一体どうしたのだろう。
レズクラブで、祐介に性的行為をし、それを見つかり、
死ぬほど後悔し反省したのではなかったのか。
それが、またもや行為にふけるとは。
幸子は、畳みの部屋で転がりながら、身を伏せて泣いた。

美紀も、由紀にばれた後も、兄から盗んだトランクスを履いて、
毎日のように自いにふけってしまっていた。
果てた後の自己嫌悪は、耐え難いものであった。
兄をあれだけ非難しておいて、自分は、美紀にばれた後も、
毎日自イを続けている。
この自分は何なのだと、自己否定の思いに打ちのめされるのだった。



5日間が過ぎた。
美紀は給食だけ。
土日は、クリームパンを1個。
幸子も、クリームパン1日1個だけで過ごした。
祐介が死にたくなった気持ちがわかってきた。
二人ともげっそりとして、何もする気になれなかった。
まだ、たった5日間だ。
祐介は、1ヶ月だった。

幸子は、朦朧とする中で、自分の罪の大きさを知った。
あんなことができた自分は、もはや人間ではないと思った。
そして、幸子を最も苦しめていた感情は、
もし、レズビアン・クラブで祐介に見つかることがなければ、
自分は、祐介が餓死するまで、食事を取らさなかっただろうと思われることだった。
1ヶ月というのは、ただ偶然に過ぎなかったのだ。
「自分は、息子を餓死させていた。」
その恐ろしさに、幸子は、幾度も絶望の底に突き落とされていた。

美紀も同様に思っていた。
由紀にばれなければ、祐介への母の仕打ちを、ずっと楽しみ続けたに違いない。
なんであんな冷酷で残忍なことができたのか、美紀は、自己嫌悪に気が狂いそうだった。

洋子のマンションで祐介は言った。
「ぼく、もう可哀相で見ていられない。
 もう、食べさせてあげたい。」
「麻美は、やさしいね。自分は1ヶ月も食べさせてもらえなかったのに?
 まだ、5日間だよ。」
「もう、いい。もう見ていられない。」
「わかった。明日決着をつけよう。」
洋子は、そう言った。



洋子は、祐介の家に電話をした。
30歳くらいの男の声で、保健所のものと名乗り、
明日うかがうと言った。
重大なことなので父親も会社を休んで、自宅にいること。
美紀も由紀も同じ。
訪問の約束は、午前10時。

また、保健所にも、(座敷童子の術を使い)事情を話し、
麻美家に家庭訪問することを伝えた。

祐介を連れて、洋子は洋次となり、30歳代の大人に変身し、
スーツを着て麻美家に上がった。
祐介が席に着いて5人。
洋次は、特別な椅子を出してもらい、祐介の隣に座った。
スーツケースから、パソコンを出した。


つづく(次回は、「罪からの解放」です。)

超スーパー洋子③「母の奇行・祐介に見つかる」

えー、女装もほとんど出ず、暗い話を書いています。すみません。
虐待といじめをテーマにしたこのシリーズは、私として、どうしても書いてしまいたいもので、
みなさまのことを考えず、自分の欲求に従い書いています。お付き合いくださると、この上ない幸せです。

================================

午後1時になったとき、祐介の母幸子に、異変が起きた。
男の服を着たくてたまらない。男になりたい。そして、若い女の子とせっ・くすがしたい。
そんな願望が強烈に、幸子の胸の中に湧き起こった。

それは、到底我慢できるものではなかった。
幸子は、夢中で夫浩志の箪笥をあけた。
そして、靴下とトランクスを取り出した。
裸になってそれを身に着けた。手が震えた。
そして、夫のランニングシャツを着て、ワイシャツを着て、
ネクタイを締めて、背広のズボンと上着をきた。

たまらない性・的・快・感を覚えた。
そして、ある行為をするのを我慢できなかった。
可愛い女の子をおかす夢想をして、幸子は、自分を慰め到達した。

その様子は、洋子のメガネカメラでしっかりと撮られていた。

少し落ち着いた幸子は、自分が着ている一揃いの衣類を風呂式に包んだ。
新しいトランクスを、風呂敷きに突っ込んだ。
ぬれたトランクスは、自分の下着の引き出しに入れた。

それから、2時間ほどで、美紀がかえって来た。
幸子は、乳房を押えるものが欲しかった。
それを探しに、美紀に留守を頼み、買い物に出かけた。

美紀もそのとき、母と同じ願望が湧き起こっていた。
男の格好がしたいという強い性的・欲求。
到底我慢できるものではなかった。
由紀は、学童で5時まで帰って来ない。
絶好のチャンスだった。
美紀は、兄祐介の部屋に入った。

そして、箪笥の引き出しをあけ、兄のトランクスを引き出した。
それから、ランニングシャツを出し、
男物のジーンズをだし、Tシャツを着て、ジーンズの上着を来た。
たまらない性・的・こう・ふんが訪れた。
すでにトランクスをぬらしてしまっていた。
美紀は我慢できなかった。
ジーンズのファスナーをあけ、上からトランクスの中に手を入れた。
もう、そこはびっしょりとしていた。
指で、ある部分をあいぶしながら、
荒い息を吐き、美紀は、陶酔の中で震えた。

洋子は、自分を由紀に変身させた。
そして、祐介の部屋に入って行った。
「お姉ちゃん、何してるの。」と洋子は言った。
いないはずの妹がいることで、
美紀は、仰天し、ひーと顔を引きつらせた。

「由紀、いつからそこにいたの?」美紀は行った。
「さっきからずーと見てたよ。
 お姉ちゃん、お兄ちゃんのパンツはいて、お兄ちゃんの服着て、
 何やってんの。それ、オ△ニーでしょう。」
「由紀、お願い。お兄ちゃんに言わないで。」
「お兄ちゃんのこと、『お兄ちゃん』っていうの?『変態』ってなぜ今呼ばないの?」
由紀は言った。
美紀はがっくりとうなだれた。
由紀が言った。
「お兄ちゃんは、お姉ちゃんのパンツ、履いただけだよ。
 お姉ちゃんは、お兄ちゃんのパンツ履いて、オ△ニーしてるんだよ。
 お兄ちゃんが、変態なら、お姉ちゃんのことなんて呼べばいいの?」
「そ、それは・・・。」

「あたし、お兄ちゃんに絶対言うよ。
 お姉ちゃんは、お兄ちゃんが、1ヶ月もお母さんが食事を作らないの、
 いつも、にやにや嬉しそうに見てたじゃない。
 今日から、お姉ちゃんは、食事を作ってもらう資格はないからね。
 お兄ちゃん、自殺したんだよ。
 そこまで、苦しめておいて、お姉ちゃんは、お兄ちゃんのパンツ履いて、オ△ニーしてる。
 ひどすぎるよ。
 お姉ちゃんは、今日から、食事を食べる資格ないよ。
 給食だけは、いいわよ。休みの日はいらないよね。給食はパンより多いから。
 それを、1ヶ月やるなら、お兄ちゃんに内緒にしておいてあげる。
 ちょっとでも食べたら、お兄ちゃんに言う。」

由紀は、出て行った。
美紀はうなだれて、祐介の服を脱いだ。
びしょびしょに濡らしてしまったトランクスを洗いに、洗面所へ行った。
洗濯をして、アイロンをかけた。
しかし、どうしてもそのトランクスが欲しくて、兄の部屋に返せなかった。
自分の部屋にもっていき、見つからないところへ隠した。

その日の夕食のとき、やはり、祐介の食事は用意されてなかった。
「今日も、だめなの。」祐介は言った。
母は、無言であった。
その様子も、洋子は、しっかりと撮影した。

美紀は、おいしそうな夕食を前に、うなだれて、
一口も食べなかった。
「どうしたの美紀、食べないの。」母は聞いた。
「うん。食べたくないの。」
美紀はそう言って、自分の部屋に入った。
美紀はお腹がすいていた。
美紀の大好きなハンバーグだった。
ベッドにうつ伏せになって泣いた。
兄の祐介は、こんなひどいことを1ヶ月もされたのだ。
それを、横で笑っていた自分は、悪魔と同じだと思った。
『お兄ちゃん、ごめんなさい。ごめんなさい。』
美紀は、泣きながら、なんども兄に謝った。



その日の夜中。
夫の浩志は、完全に深い眠りについていた。
幸子は、胸の中に燃え上がる欲求をどうしても我慢できなかった。
そっと起きて、昼間セットにしておいた風呂敷を取り出した。
そして、普段着を着て、外へ出た。

24時間やっているカラオケ店に行って、男の服に着替えた。
昼に買っておいた健康ベルトを、胸に撒いた。
乳房がそれで、隠れた。

昼間ケータイで調べておいたレズビアンバーまで、タクシーを飛ばした。
自分は男として、若い女の子をイかせたい。
その願望で、幸子は、気も狂わんばかりだった。

やがて、「エル」というレズビアン・クラブについた。
洋子は、祐介を連れて、タクシーをつけ、
先回りして、そこのボーイの格好に扮していた。
麻美は、可愛い女の子になって待っていた。
二人とも「座敷童子」になって、クラブに侵入していた。

幸子がやってきた。
「いらっしゃいませ。」と洋子は言った。
席に案内し、
「えーと、お相手のお好みは?」と言った。
「可愛い女の子をお願いします。」と幸子は言った。
「かしこまりました。」
洋子は、赤い服を来た麻美を呼んで連れてきた。
「いらっしゃいませ。」と麻美は言った。
「わあ、可愛いね。名前は。」
「麻美です。どうぞよろしく。」
「私は、幸夫。よろしくね。」
幸子は、そう言って、女の子を見て、興奮してしまった。
まさに好みのタイプだった。
水割りが来た。
麻美は、オレンジジュースだった。
「未成年なの。」
「はい、お酒はまだ。」
洋子は、少し離れたところで、しっかり眼鏡で撮影していた。
幸子は、興奮に耐えられなくなっていた。
幸子は、麻美の肩に手を掛け、ぐっと引き寄せた。
「キ・ス、いい?」幸子は言った。
「まだ、そんな、いらしたばかりで。」
「いいじゃない。ちょっとだけ。」
幸子は、あふれる欲求を押えられず、強引に麻美にキ・スしようとした。
「お客様、イヤです。」
「いいじゃないか。もう、待てないんだよ。」
幸子の手は、麻美のスカートに入っていた。
そして、片腕で寄せ、強引に口・づけを迫った。
見ていた洋子は、ここだと思って、麻美の顔を、元の祐介の顔にもどした。
「いいだろう?ねえ。はじめてじゃないくせに。」
「だめ。お母さん。ぼくだよ。祐介だよ。」
幸子はその声と、女の子の顔を見て、ぎょっとした。
顔から血の気が全て引いてしまった。
「祐介、なんでここに…。」
「お母さんこそ、ぼくに何するの。
 お母さんがくるようなとこじゃないよ。外に出よう。」
会計をして、夜中の道路に出た。洋子も普段の格好で出てきた。
眼鏡をかけて、撮影を続けていた。


つづく(次は、「祐介を非難できなくなった母と美紀」です。)

超スーパー洋子②「母と美紀への呪文」

洋子は、麻美を自分のマンションに連れていった。
洋子のマンションは、4LDKの広いところだった。
「わあ、こんなところに一人で住んでるの?」麻美は言った。
「うん。淋しいけどね。」と洋子は言った。
洋子は、カモミールのハーブティを淹れ、麻美をさらに落ち着かせた。
その後、洋子は、麻美をドレッサーの前に連れていき、
自分の姿をよく見るようにいった。

麻美は、脚が長く、スタイル抜群の自分を見ていた。
顔も可愛い。白い肌、大きな目、透き通るような美少女だった。
ハンバーガーで、元気が出たのか、
麻美は興・ふんしていた。

今すぐ性の行為にふけりたかった。
後ろに前田敦美にそっくりな洋子が来た。
「麻美は、うんと辛い思いをしてきたから、これから慰めてあげる。」
麻美は、目を丸くして洋子を見て、うなずいた。

洋子は、麻美の手を取って、ベッドルームに連れて行った。
洋子は、麻美の赤い服を脱がせ、スリップだけにした。
花柄の可愛いスリップだった。
洋子もスリップだけになった。
あの前田敦美のスリップ姿だ。
麻美は、いっぺんで興・ふんしてしまった。
二人並んで、毛布を被った。

「麻美は、女の子だから、相手は男の子がいいのかと思った。」
洋子は言った。

「あたし、GIDではないみたいなの。女装子だと思う。
 だから、女の子か、同じ女装子が好き。」
麻美は言った。
「洋子は、今、あそこも女の子だよ。」
「それがいい。女の子に憧れてるから。」
「あたしに、男の物がついていた方がいい。」洋子は言った。
「もし、ついてたら、あたし感激で気絶する。」
「うん、今、ついてる体にした。さわってみる。」
「う、うん。」麻美は、喉をごくんとさせた。
洋子に手を導かれて、麻美は、洋子のあそこを触った。
「ああ、敦っちゃんが、男の子…。ああ、あたし、イっちゃう。こうふんして。」
「まず、一回イっちゃって。女の子は何回もイけるから。」
洋子は、そう言って、麻美に厚い口・づけをしてきた。
麻美の体は、震えた。あそこをぐっしょりぬらしていた。
麻美は、洋子の口・づけだけで、1回目の到達をした。
初体験だ。しかも、女の子の体で。

2回目。
洋子に、ちぶさをあいぶされ、体中に口・づけをされた。
下半身に、洋子の手が伸びてきたとき、
麻美は、絶叫した。
「ああ、すごい。気絶しそう…。」

洋子のあいぶで、麻美は、たちまち絶・頂の声をあげ、
体を震わせて、2度目の到達に至った。
そして、そのまま、眠りについた。

当然だと、洋子は思った。
さっきまで、死のうと飛び降りた子だ。
どれほど緊張し、どれほど悲しい思いをしたか。
この世のすべてと別れを告げ、未来をあきらめた。
洋子は、すやすやと眠っている麻美を見て、
涙を流した。



朝になった。
少し早く、6時に起きた。
二人とも、スリップ姿だった。
洋子はもう一度、祐介(麻美)の話を聞いた。
最もひどいのが母の幸子で、祐介の食事を作らず、学校での弁当すら与えない。
そして何をいっても、シカトである。
次にひどいのが、妹の美紀で、父や妹の由紀が祐介に何か言おうとすると、
それを、さえぎる。
父・浩志は、ときに母の幸子に、祐介に食事を作ってやれというが、
母の幸子は、全くのシカトである。それに対して、父はそれ以上は言わない。

「じゃあ、お母さんと、美紀が悪者だね。
 由紀だけが悪くない。お父さんは、ましだけど、
 子供に1ヶ月も食事をやらない妻に、何もできずにいる。だらしなさすぎ。」
洋子はそう結論した。
そういいながら、洋子は、メガネをかけた。
「洋子は眼鏡をかけてるの。」麻美が聞いた。
「これ、高性能デジタル・ムービーカメラ。
 見たまま、映像を映すことができるの。」
「わあ、すごいね。」
「うん、これで、あたしも、麻美の家に入って、家庭の様子を動画に撮るから。」
「入って来られるの。」
「言ったじゃない。あたしは、『座敷童子』になれるって。
 麻美の家に入っても、みんな何も疑わないよ。」



その後二人で作戦を立てた。
麻美は、もとの祐介の姿に戻った。
洋子は、自分の制服であるセーラー服を着た。おかっぱの髪。上の方の一房髪を束ねて、
ゴムでしばっている。
たまに、前髪をふーと吹き飛ばすのは、おじいさん譲りのクセだ。
「さあ、行こう。」洋子は言った。

麻美の家に着いたのは、いつもの朝食である、7時だった。
祐介は洋子といっしょに、家に入って行った。
洋子は、テーブルからはなれたところに立って、眼鏡のスイッチを入れた。

「お母さん。ぼくの朝食は?」
母はシカトである。
「おい、幸子、作ってやれよ。」
そう父が言ったが、母は、シカトのまま。
「お兄ちゃん、どうしたの、昨日帰ってこなかった。」と下の由紀が言った。
「自殺しようと思ったんだよ。陸橋から飛び降りた。
 でも、助かっちゃった。昨日は、助けてくれた人の家に泊まった。」
父が反応した。
「おい、祐介。自殺って、ただ事じゃないぞ。」
「毎日クリームパン1個で過ごして、1週間前にお金が尽きた。
 1週間水だけ。誰だって、死にたくなるんじゃない。」
祐介は言った。

「おい、かあさん、何も言ってやらんのか。」父が言った。
それでも、母と美紀は何も言わなかった。
父は、それ以上を言わなかった。

「食事食べさせてくれないなら、ぼく、学校行くね。」
祐介はそう言って、自分の部屋に入り、時間割をそろえて、家を出た。
洋子もいっしょに。



「どう、ひどいでしょ。ぼくが自殺したっていっても、母は、何も言わない。」と祐介。
「うん。ひどすぎる、っていうより変だよ。精神科にいくべきだよ。」と洋子は言った。
「学校行きたくないな。」と祐介。
「いかないでいいよ。学校もいじめの世界なんでしょ。あたしがいないと無理。」
「じゃあ、どうするの?」
「ふたりで、女の子して、遊ぼう。」

道すがら、洋子は言った。
「ぼくは、おかあさんと、美紀に呪文をかけたからね。」
「どんな。」
「麻美は、女の子になりたいじゃない。
 その気持ちをわかってもらうために、お母さんと美紀に『男になりたい。』という性的な願望を植えつけた。
 麻美が女の子になりたいって気持ちを1とすると、その3倍強い願望をかけたから、普通の人間じゃ我慢できないよ。」
「そうなんだ。でも、ちょっと可哀相かな。」
「麻美は、やさし過ぎ。1ヶ月も何も食べさせてくれなかった人だよ。」
「うん。分かった。」
二人は洋子のマンションに行って、ファッション誌など見ながら時をすごした。
そして、1時少し前に家に行って、座敷童子になって家に入った。
洋子と手をつないでいる限り、麻美も座敷童子になれる。

そろそろ、洋子への呪文が、効き始めるころであった。


つづく(次は、呪文発動」です。)

超スーパー洋子①「女装子・麻美祐介を助ける」

えーと、暗いので没にしようとした話ですが、せっかく書いてもったいないので、投稿します。
悪い人間も出てきますが、必ず成敗されますので、ご安心ください。

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「超スーパー洋子①『女装子・麻美祐介を助ける』

午後9時、国道8号線の陸橋の真ん中に赤い服の女の子の姿があった。
陸橋に向かって車を運転していた男は、叫んだ。
「あ、あの子、飛び降りた!」
男の車に落ちてくるかと思って仰天した。
そこへ、何者かが、宙を飛んで来て、
女の子をキャッチすると、そのまま、飛んで行った。
「なんだ?スーパーマンか?まさか!」
男は、車の流れにそれを確認することもできず、陸橋を通り抜けた。

赤い服の子を抱いた、高校1年生くらいの男の子は、
歩道に降り、店が並ぶ隙間の暗いところへ、女の子と並んで座った。
女の子は、気絶をしていた。
「もしもし。」とそのスーパー・洋次は、
女の子の頬をやさしく突いた。
女の子は、はっと気がついた。
「ぼく、生きてるの?」
と、ぼーとしながら言った。
「ぼくが助けたんだよ。」
「君、だれ?」
「未来の世界から、君を助けにきたスーパー洋次・3代目さ。」
と彼は言った。

「スーパー洋次って?」
女の子は聞いた。
「1代目は、100年の彼方からきたけど、
 ぼくは、200年の彼方から来たから、さらにパワーアップだよ。
 君は、春日高校1年男子。麻美祐介(あさみゆうすけ)でしょ。」
「うん。どうして知ってるの。」
「ぼくは、君を助けに来たっていったでしょう。」
「君は、スーパー・・?」
「倉田洋次。高校1年。君の学校の君のクラスの君の隣にいるんだよ。」
「違うよ、ぼくのとなりは、高坂って女の子だよ。」
「ぼくは、座敷童子みたいにいるの。
 一人ぼくが増えても、みんなぼくの顔に見覚えがあって、不思議がらない。」
「ほんとだったら、うれしい。でも、ぼく、もう死んだも同じ。
 未来がないのと同じ。」赤い服の子は、目をそらしうつむいた。

「まず、これを飲んでごらん。」
そう言って洋次が差し出したのは、健康ドリンクだった。
「未来のドリンクだから、効くよ。」洋次はいった。
祐介は、空腹の極にあった。
ドリンクに飛びついた。
1本飲むと、死にたいほどだった空腹感が和らいで行った。

「君の苗字、可愛いから、麻美(まみ)って呼ぶね。
 麻美は、女の子に見えるから、あたしって自分のこと呼んだ方がいいよ。」
麻美は、髪を肩まで伸ばしていた。
「うん。あたしを理解してくれる人がどこにもいない。
 家族は最悪。学校の先生みんなにいじめられてる。
 クラスのみんなにいじめられてる。」
「麻美、それは悲惨だね。
 でも、ぼくが麻美をもう少し生きていたくしてあげようか?」
「どうやって?」
「麻美を今、本物の女の子にして上げる。立って。」
麻美は恐る恐る立った。

洋次は、箸のような棒をもって、麻美に呪文をかけた。
すると、麻美は、胸にふくらみを感じた。
そして、ピップが大きくなったように思った。
ウエストラインが上がり、細くなっている。
髪が、10cmくらい長くなった。
脚が長くなった。
第一に、男の証がなく、そこが女の子のものになっている。
『スタイルが変わっている。』麻美はそう感じた。
「麻美、ショーウィンドウで、自分を見てごらん。」
洋次に言われて、麻美は、隣のもう店じまいをしている店のウインドウに、
自分を映して見た。
顔を見て、驚いた。
自分の顔に似ているが、完全に女顔になっていて、
しかも、胸がキューンとなるくらい可愛い。
肩にかかるストレートの髪の下の方が、綺麗にカールされ、ふっさりとしている。

「これ、ぼく?」
「『あたし』でしょ。」
「これ、あたし?」
「そう。麻美は可愛いから、メイクすれば、そのくらいになれるの。
 体の方は、おまけ。」
「うん。うれしい。」
「麻美は、ぼくが、男でいた方がいい?女友達がいい?」
「女友達。」
「タレントの誰に似ていて欲しい?」
「前田敦美。」
「OK。」
洋次は、魔法の杖を自分にかけた。
すると、洋次は、瞬く間に、
前田敦美そっくりの女の子になった。

「わあ、すごい。」麻美は言った。
「さあ、何か食べにいこう。1週間ろくに食べていないでしょう?」
「どうして知ってるの。」
「麻美のお腹の中に何も入っていない。」
「どうして、わかるの?」
「あたし、スーパー洋子だっていったでしょう。」
「洋次が洋子?」
「そう。」
洋子(以下洋子)は、麻美の腕をとって、
ハンバーガーショップに向かい歩き始めた。

1代目倉田洋子は、幻覚を与える能力が備わっていたが、
3代目倉田洋子は、さらに、透視能力と、自分も相手も変身させる能力などが搭載されていた。



ここは、遅くまでやっているハンバーガーショップ。
入ったとたん、可愛い二人を、遠くの学生達が、じろじろと見た。

「さあ、まず、家族から聞くね。どうしてみんなに冷たくされてるの?」と洋子。
「あたし、女装趣味があるのわかるでしょう。
 それで、あるとき我慢できなくて、家族が留守のとき、
 洗濯物の中から、美紀って妹のショーツとスリップ、
 母のブラジャーを着けてうっとりしてたの。

 そこへ、映画に行ったはずの家族が帰って来たの。
 美紀は、猛烈に怒って泣きながら、あたしの履いていた美紀のスリップとショーツを、
 汚らわしいって言って、ハサミで切り裂いて捨てた。
 下の妹の由紀は、驚いて見てた。

 母は、ぼくに往復びんたした。
 そして、『ご近所に会わす顔がないわよ!女みたいにして!』って怒鳴った。
 父は、困った顔をしていた。
 それ以来、家族はあたしに一切口利いてくれない。
 いえ、下の妹の由紀だけが、普通に話してくれる。

 母は、ぼくに食事を作ってくれなくなった。お弁当も。
 妹の美紀は、あたしのこと『変態』としか呼ばない。
 でも、下の由紀は、そんなこと言わない。」
「それ何時のこと。」
「一ヶ月前。」
「今までどうやってきたの?」洋子は驚いた。
「貯めたお小遣いで、パン買ったりして食べてきた。
 2000円しかなかったから、1日クリームパン1個。
 でも、1週間前にとうとうお金がなくなった。
 それから、水しか飲んでないの。」
麻美は、次第に目に涙を潤ませ、声を詰まらせた。

「空腹に耐えられなくなって、絶望して、死のうと思った。
 女の子の姿で死にたかったから、
 前に1着だけ買った赤いワンピース着て、飛び降りたの。」
言いながら、麻美は、顔中涙で一杯にして、しゃくり始めた。

「家には帰ってないの?」
「自殺を考えたおとといから、帰ってない。」
麻美は、そう言ってテーブルに泣き崩れた。
洋子は、麻美の横に座り、麻美を抱きしめた。
「世の中に、ひどい話があるもんだ。
 麻美、あたしが必ず懲らしめて上げるからね。」
洋子はそう言った。

つづく(次は、「麻美、悪者に念をかける」です。)

日記です

つぎのお話を書いていたら、
どんどんネガティブな、悪い奴しか出てこないような、
復讐劇になってしまい、これは、出せないなと思い没にしました。
ワードで15ページも書いたんですけど。

私としましては、やっぱり、いい人がたくさん出てくるお話を書きたいです。
だから、仕切り直し。
心が健康なときがんばって書きます。

今の心が不健康という訳ではないんですが、
なんか、自分で恨みがましくなってる感じです。

明るいエロチックなお話を書きたいです。

ではでは、独り事です。

では、また。
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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