スーパー変身マン・倉田洋次・第4話・④「ことの成り行き」最終回

女装も出てこないのに、だらだらと長くなりました。これまで、読んでくださった方、ありがとうございます。次回はもっと女装が出てくるものにしたいと思います。

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洋子は、教室を出て、校長と理事長、副校長に、ことの一切を話した。
理事長は2代目で若く29歳だった。温かな人格者であると同時に、大変な手腕の持ち主だった。

理事長は言った。
「辞めてもらおうよ。2クラスしかない3年生が、
 あの3人のために、1クラスがめちゃめちゃだ。
 Aクラスにいい生徒を集めてるんだからね。
 そっくりT大に行ってもらわないと困る。
 各教科の先生も大変な迷惑をしている。
 いままで、何人の優秀な先生を辞めさせたと思ってるんだ。
 その罪の大きさも、わからせた方がいい。
 下手をすれば、来年の受験に、T大合格者ゼロ人になる。
 そうなったら、桜台のランクはガタ落ちだからね。
 早い所手を打とう。
 なあに、親が大学教授だろうがなんだろうが、娘がそんなワルでは、
 いさせるわけにはいかないよ。
 いいチャンスだ。倉田先生はよくやってくれた。」
校長は、
「理事長がそうおっしゃるなら、異存はありません。
 ただ、両親と娘共に、謝罪をされたらどうしますか。」と言った。
理事長は、
「それは、そのときの親の態度、娘の態度によるね。
 本気で心の底から反省しているなら、許す場合もあるかもね。」と言った。

このような、話になった。

3人は、荷物をまとめて、校長室に来るように放送があった。

3人は、校長室に来た。
そこで、校長はまず3人に退学希望の用紙に記入させ、提出させた。
「君達の退学希望は、受理されました。明日からこの学校へこなくてもいいです。
 なお、今日の6時から保護者への説明をしますから、君達も来なさい。
 その場で、君達からはっきり退学の意向を述べなさい。」
校長はそう言った。
校長は、3人に、なんの弁明の余地も与えなかった。

3人は、どこかの段階で自分達は許されるのではないかと、願っていた。
しかし、退学が現実となり、真っ青な顔をしてうつむいた。
親にも弁明させないと、先生に言い切った。
退学は、決まった。
3人は、そのまま家に帰された。


帰宅への道で、夏子は考えていた。
もともと先生を辞めさせる目的でやったのだから、弁解の余地もない。
これまで3人で、5人もの先生を辞めさせた。
クラスの授業でも、先生の上げ足をとり、
授業を中断させたことは、数知れない。
クラスのみんなに、とりかえしのつかない悪いことをしてしまった。
みんなが、怒り、恨むのはあたりまえだ。
学校は義務教育ではない。退学はある。
私立校は、営利を考える。
自分のような行為をする生徒は、学校にとって、はなはだ迷惑だ。
夏子は、自業自得だと思い、同時に絶望した。
なんであんなことをして来たのだろうと、
それが、悔やまれてならなかった。


父啓介は在宅で、夏子は、家に帰って両親に事情をすべて話した。
父啓介は、
「じゃあ、しょうがないな。父さんは、お前の卒業式の姿を見たかったが、あきらめるか。」
そう言った。
母信子は言った。
「夏子は、罪を償わないといけないわね。
 退学したって、なんの償いにもならないのよ。
 学校をお辞めになった先生方は、仕事を失い、苦しい生活をされていると思うわ。
 それを、どう償いますか。
 クラスのみんなの大切な授業を妨害した罪も大きい。
 みんなが、志望の大学へ行けなくなり、みんなの夢をつぶすかも知れない。
 過ぎた6ヶ月の授業は、帰って来ないわ。
 自分のした罪を本気になって考えなさい。そして、償う方法をね。
 あなたの罪は一生消えませんからね。
 母さんは、あなたをもう大学に行かせません。大検など受けさせません。
 明日から、外に出て働いてもらいます。この家にだけは住まわせてあげます。
 働いたお金で、償いをしなさい。」

夏子はうなだれたまま、一言も返せなかった。



「ところで、その先生は、夏子の書き間違えた式を見て即座に、答えたのか。」
父啓介は、言った。
「うん、そう。」
「X5と夏子が間違えた問題をか。」
「そう。」
「その先生の解を見せてくれ。」
夏子がそれを見せると、父啓介は、深く考え込んでしまった。
「なんという。全くの驚きだ。」
「そんなにすごいの。先生10秒くらいで解いたよ。」
「まさか…。」
「そんなに?」
「ああ、普通なら、解法の式が、80を越えるだろう。
 この先生は、4式で終わっている。しかも、正しそうだ。これは数学者の勘だがね。」
「父さんなら解ける?」と夏子。
「馬鹿を言え。X4で20年かかったんだぞ。死ぬまでがんばっても解けないよ。」
「じゃあ、なんで先生が解けたの?」
「だから、驚嘆に値するんだ。父さんは是非その先生にお会いして、お話を伺いたい。」
「じゃあ、あたしが正しく写していたら、あの先生解いたかなあ。」
「お前が渡した間違いの問題の方が、1000倍むずかしい。それが、答えだ。」
「じゃあ、写し間違えなくても、私の負けだったんだ。」
「ラッセル博士の疑問もご存知だったんだろう。世の中には、我々の想像を絶するすごい天才が5万といるんだよ。ただ残念なことに、それらの人は学者とはかぎらないんだ。」
啓介はそう言った。
「中学生みたいな、可愛い先生よ。」
と夏子。
「見かけは関係なかろう。」
と父は言った。



大村夏子、木下朱実、加藤ユカの3人と、
その両親6名が校長室に集まった。

娘の退学希望の説明を聞いて、どの親も、娘の退学は当然だと言った。
そして、深々と陳謝した。
過去、5人の担任を追い出し、他の教科の先生の上げ肢をとり、クラスに迷惑をかけたこと。
また、そのやり方が、普通の教師なら絶対解けない問題を、質問と偽り、解かせた巧妙さに、悪意を見出し、娘の退学希望にあっさりと同意した。

3人は、親が反論をしてくれると思い、最後の望みをかけていただけに、親のあまりにも簡単な同意に、絶望の色を隠せなかった。

大村も木下も、加藤も、学園生活にまだまだ大きな未練があった。
運動会や、学園祭も楽しみにしていた。卒業記念会もやりたかった。
何よりも、卒業式に出たかった。
また、他校への転学もありえるが、一人成績のいい自分達は、
きっと浮き上がり、いじめられると思った。
今のような、同学力の生徒と共に、勉強することはもう叶わない。

話がまとまり、最後の最後のときだった。
夏子の胸に、こらえきれない学校への思慕が募り、
どうしても我慢ができず、涙が泉のようにあふれてきた。

夏子は、座っているソファーを後ろにやり、
床に正座し、手をついた。
そして、涙ながらに訴えた。
「お願いです。私をこの学校に置いてください。
 お願いします。心の底から後悔し、反省しました。
 自分のしたことが、どれだけの罪であったかもわかりました。
 辞めてしまわれた先生方を訪ねて謝ります。
 クラスのみんなにも謝ります。
 私は、少し成績がよいことで、うぬぼれて増長していました。
 でも、倉田先生のように、私なんかが遥かに及ばない
 天才的な人が、星の数ほどいることがわかりました。
 それに、くらべれば、自分がいかに小さなものかがわかりました。
 これからは、もっと謙虚に、素直に、先生方の言うことをきき、
 決してクラスに迷惑をかけないようにします。
 そして、クラスのために働きます。
 クラスのみんなに、役に立つことなら何でもします。
 学校のために、尽くします。どんな仕事でもします。
 トイレ掃除も、私が一人でずっとやります。
 だから、この学校に通わせてください。
 倉田先生に、謝ったりしないと約束しましたが、
 私は、この学校が好きです。みんなに迷惑をかけた分、
 やり直しがしたいです。
 このままでは、償いもできません。
 私にチャンスをください。どうか、お願いします。」
そう言って、夏子はわあーと泣き出し、床に伏した。

すると、木下、加藤の二人も来て、
夏子の隣に手をついて、泣きながら、
必死であやまった。

理事長は、校長や洋子と目で対談した。
そして、しばらく考え、やがて、うなずいた。

「もういいよ。3人ともソファにもどりなさい。」と理事長が優しく言った。

3人は、それでも、まだ床にいた。

理事長は言った。
「学校は教育の場でありますし、生徒を裁くところではありません。
 慢心することは、誰にも一度はあるでしょうし、私とて人のことは言えません。
 また、罪にしても、誰もが何らかの罪を背負っていることと思います。
 間違ったら、反省し正すことが大事かと思います。
 取り返しのつかないこともありますが、それは、未来に対し尽くせばよいと考えます。
 3人の反省の言葉を聞いて、真心と見ました。
 よってこの「退学願い」を学校は受理しません。」

理事長は、校長や、親達の顔を見て、
「じゃあ、こういうことにしませんか。」
と言って、3枚の退学願いを破り捨てた。
親達が、一同立ち上がって、理事長と校長と洋子に深く礼をし、感謝の言葉を述べた。
父親たちも母親たちも、みんな涙を浮かべていた。

床でうつむいている3人に、洋子は、
「退学は、取り消しよ。」と言った。
「え?ほんとですか。ありがとうございます。」
と3人は言った。
「先生、ごめんなさい。これからちゃんとやります。」
と3人は、洋子にしがみついて、再び泣き始めた。

「まずは、クラスのみんなに、どう尽くすかにかかっているわね。
 みんなが許してくれるまで、時間がかかると思うけど、
 3人でがんばれば、少しずつ、わかってくれるでしょう。」
洋子は言った。
「はい。トイレ掃除を毎日やります。
 教室に早く来て、教室をぴかぴかにします。
 みんなが、許してくれたら、勉強のヘルパーになります。
 自分の受験など、後回しにして、みんなのために尽くします。
 がんばります。なんでもします。」
と3人は言った。



皆は、笑顔で散り散りになっていった。

洋子のところへ、夏子と父の大村啓介と母が来た。
「倉田先生、もう、ほんとにこの度は。」と啓介。
「まあ、教授。お会いでき光栄ですわ。」と洋子。
4人は、靴箱に向かい歩きながら、
「ところで、倉田先生は、私の今回の解法をどうご覧になりますか。」と教授。
「それなんですが、オクスフォード大学のラッセル博士は、
 教授の、第8式の3項目のXは、ファジーじゃないか、
 だから、最終式は、ただ確率を表すに過ぎないと、疑問を提出されていますよね。」
「はい、それなんです。頭の痛い疑問です。」と教授。
洋子は言った。
「しかし、私は、もう一つ第7式の6項目のXにもファジーの可能性を感じるんです。
 そこで、ファジーな二つのXが互いに干渉し合うことによって、クリアとなり、
 教授の最終式は、『確率』ではなく、『確定』と断言できるのではないかと思うんです。」
教授の顔に、ぱっと花が咲いた。
「『干渉』ですか!おお、あああ、そうかあ、おおお、いけますな。おおおおお。」と教授は歓喜して、
娘を抱いて、くるくる回った。
「いやあ、これは、ありがたい。感謝感激です。
 もう、一体倉田先生は、どんな方なのか、まさに奇跡です。
 私、家に飛んで帰って、倉田先生の今のご意見をすぐに検証したいと思います。
 夏子、倉田先生は、父さんの救いの女神になるかもしれないよ。
 では、いずれ、ゆっくりと。私、すぐにやりたがりなもんですから。」
と、教授は急ぎ足になった。
「先生、ありがとうございました。」と夏子に笑顔が戻っていた。いい顔をしていた。
夏子の母が、「お世話になりました。私、数学はゼロですの。」と笑いながら歩を進めた。



洋子が、理事長や校長に絶賛されたのは、もちろんのこと。

洋次はふと首をかしげた。
これで、使命は終わり。
自分が、またトイレに入って洋次になったら、
いったい誰が、自分の代わりに、ここにいるのだろうと。


<おわり>

(次回は、未定です。)
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スーパー変身マン・倉田洋次・第4話③「決着」

「夏子さん、あたしの答えがあっているのかどうか、早く言ってください。
 HRの時間以内に、あたしを追い出すと、後ろで木下さんと加藤さんに話していたわ。
 あと、3分よ。」
洋子は優しく言った。

夏子は、口を開くことができなかった。
クラスのみんなは、息を潜めて、成り行きを見ていた。

3分の間、夏子はだまったままだった。
夏子にとっては、地獄のような時間であった。

「夏子さん、時間が来たわ。あ、でも、1時間目は、あたしの英語だから、伸びてもいいか。」
と洋子は言った。

とうとう、夏子は言った。
「問題を写し間違えました。」
「そんなことは、どうでもいいの。
 写し間違えだろが、なんだろうが、
 あなたが、私に解かせたのは、その紙の問題なの。
 あなたが、家庭学習で何をしようと、今は何の関係もありません。
 わかる?
 私は、あなたが私に渡した問題を一応解いたんです。
 私が解いたら、その答えが正しいか間違いか、答えるのが、
 あなたの義務です。これには、私の母の命がかかっているのよ。
 お遊びのつもりだったの?友達2人の退学もかかっているのよ。
 さあ、○なの×なの?言いなさい!」
洋子は、最後の言葉だけ、凄みを聞かせて言った。

木下朱実と加藤ユカは、生きた心地がしていなかった。
万事休すであることが目に見えていた。
今まで自分達がやって来たのは、答えだけを覚え、
難問を先生達に突きつけてきたからだ。
夏子も同じ。答しか知らないことを、2人はよくわかっていた。

夏子はじっとだまっていた。やがて、じんわりと涙ぐんだ。
やっとのことで、
「すいません、わかりません。」夏子は涙をためて、うつむいて言った。
「あなた、さっき自分で解いて、説明もできると言ったわ。みんな聞いていたわよね。」
「はーい、聞きました。」と残り全員が大きな声で言った。

「それは、コピーの方の数式です。」夏子は言った。
「『コピー』?今そう言いましたか?
 さっきあなたは、自分で考えてワープロで打ったと言いましたよ。
 ねえ、みんな。大村さんは、そう言いましたよね。」洋子は聞いた。
「はーい、そう言いました。」みんながにこにこと答えた。

夏子は、絶体絶命であった。
木村朱里と加藤ユカは、すでに、机の上で泣き顔になっていた。

「じゃあ、100歩譲りましょう。コーピーの数式でいいです。
 こっちなら、家庭学習して、自分で解を得たのですね。」洋子は言った。
「はい。」夏子は力なく言った。
「ほんとですね。もう言い直しは聞きませんよ!」
「はい。ほんとうです。」夏子は震える声で言った。

「では、聞きます。あなたは、オクスフォード大学のラッセル博士の『疑問』を、
 どう克服したのですか。」洋子は言った。
思わぬ質問に夏子は、はっとした顔をして、当惑した。
「意味がわかりません。」 
夏子には、他に言葉がなかった。

「お父様から、聞かなかったのですか。」
洋子は、そう言って、教卓から立ち、ゆっくり歩きながら言った。
「夏子さんが、昨夜家庭学習した問題は、
 これまで、何十年と解決不可能とされてきた数式です。
 それを、先月、T大の大村啓介教授が、
 ロンドンの学会で、問題を解き得たかも知れないと、発表されたものです。
 あなたのお父様は、世界の数学者に、その検証を願いました。

 そのとき、5人の博士から、疑問が提出され、
 教授は、そのうちの4つに答えましたが、
 ラッセル教授の疑問に対し、どうしても答えられず、
 今、そのことに日夜没頭されていることと思います。
 夏子さんのいう、X2-ABという解は、まだ、認められていないのです。
 だから、夏子さんに聞いているのです。あなたのお父様でさえ解き得ていないものを、
 どう克服して解き得たのか。その方法を一番聞きたいのは、
 あなたのお父様でしょうね。

 お父様が解き得ていないものを、あなたは、一夜にして、解いたと言う。
 これは、自分が、お父様より天才だということです。
 あなたは、お父様の顔に、泥を塗るつもりですが。娘の方が上だと。
 さらには、この私なら解けると、『期待して持ってきた』とはっきり言いましたね。
 それは、お父様を、一介の英語教師である私以下の数学者だと言うに等しい。
 お父様は、20年以上をかけて考えていらした。それを、この私が、この場で解けると
 期待して持ってきた。
 これが、お父様をどれだけ侮辱する行為であるか、あなたにはわかりますか!」
洋子は、ここだけは、すごい迫力で言い放った。
幼児語を使っていた洋子とは、まるで別人だった。

「何とか言いなさい!」洋子は怒鳴った。
「はい、わかります。」と夏子はとっさに言った。
「何がわかったの!」
「父を侮辱したことです。」夏子は言った。

夏子は、洋子の言葉に、縮み上がった。
そして、洋子の圧倒的な知識の前に、身がすくみ、体中が震えた。
こと数学に関して、生まれて初めて味わう敗北の念であった。
まるで、自分はアリのようなもので、
そのアリが、巨大なライオンに向かっているような思いでいた。
そして、心の底から後悔していた。
自分には、退学の覚悟など、露ほどもなかったのだ。
それが、今、思ってもみない現実になりつつあることを認識し、怯えおののいていた。

「さあ、ラッセル博士の疑問です。」洋子は畳み込んだ。
「説明できません。」夏子は言った。
「また、いい直しをするのですか!今さっき、自分でやったと言ったばかりでしょう!」
洋子は、教卓を叩いて、夏子に迫った。

夏子は、身を震わせ、血の気を失っていた。
「すみません。嘘をつきました。父の数式の展開をコーピーして、
 答えだけ覚えていました。
 内容は、まったく理解していません。」夏子は、わっと泣き出した。

「あなたは、こうやって、今まで5人もの先生を辞めさせてきたのですね。
 自分が解けもしない問題を、答えだけ覚えて、先生に解かせた。どうなの!」
「はい、そうです。」夏子は泣きながら言った。
「木下さん、加藤さん、立ちなさい。あなたがたも、同じですか。」
2人は立って、その通りだと言った。

「では、夏子さん。あなたの負けでいいのかしら。」
「はい。」
「では、席に戻りなさい。」洋子は言った。

「木村さん。加藤さん。座りなさい。異存はないですね。」
「は、はい。」
二人は、泣きながら、うなずいた。
二人とも、洋子の迫力に、恐れおののいていた。

「では、私は、これから、3人の退学の意向を理事長、校長に伝えてきます。
 3人は、帰りの支度をして、呼ばれるまで、教室で待っていなさい。
 やがて、3人は、校長室に呼ばれます。
 校長にはっきり退学の意志を伝え、そこで退学願いを書きます。
 夜、3人の保護者の立会いの元で、正式に退学が決まります。
 3人は、親には謝罪させないと、私と約束しました。
 その約束は、守ってもらいます。だから、3人の退学は、決定も同然です。
 私は、その手続きがありますから、これで失礼します。」
洋子は教室を後にした。

夏子は、机につっぷして、泣くばかりだった。
あとの2人も、約束上、夏子を攻めることもできず、ただ泣くばかりだった。

クラスのみんなは、3人に対して冷たかった。

一人が、たまりかねて、自分の靴を夏子に投げた。それは頭にあたった。
投げた生徒は泣きながら言った。
「なによ、なんなのよ。泣けばいいと思ってるの?
 4月からあたし達は、あんた達のおかげで、
 ろくに授業をうけられなかった。
 あたしたちが、どれだけ迷惑だと思っていたかわかってるの。
 私達の6ヶ月の授業をどうしてくれるのよ。
 どう取り返してくれるのよ。
 私の好きだった先生を2人も辞めさせて、
 どうも思っているのよ。ふざけんじゃないわよ。
 自分達が負けて、終わりなの。
 退学したって、私達の失った月日はもどってこないのよ。
 それをどうしてくれるのよ。
 もう、絶対学校へ来るな。あんた達の顔も見たくないのよ。」

また、別の一人が泣きながら言った。
「そうよ、あんた達は、学年のトップ3で、いいかもしれないけど、
 あたしなんかは、先生の授業を必死で聞いて、
 それで、家に帰ってまた復習をして、やっとなのよ。
 その授業が、あんたたちのおかげで、
 今までろくに聞けなかった。もうT大へ行けない。死ぬまで恨んでやる。
 この学校を、早く出て行け!」

3人目の生徒が言った。
「あんた達を止められなかった私達もいけなかったのかも知れない。
 でも、あんた達は、学年のトップ3。
 その3人が組まれたら、あたしなんか恐くて何も言えないのよ。
 みんなもそうだったと思う。
 あたしは、T大に入るのが夢で、小学校のときから、必死でやってきた。
 みんなが遊んでいるとき、遊びたい気持ちを我慢して、全部勉強して来た。
 夢があるから、我慢して来た。
 それが、あんた達の授業妨害で、ほとんど勉強ができなかった。
 もう遅いのよ。今からじゃ、T大に受かりっこない。
 あたしは、家が貧しいから、浪人なんてさせてくれない。
 あんた達は、私の夢を奪った。」
その生徒は、号泣した。

クラス中の生徒が、靴やカバンを手当たり次第、3人に投げた。
そして、クラスのみんなは、悔し涙に泣き始めた。

3人は、ただ、頭をかばって、机の上で泣くばかりだった。
3人は、まさか、自分達が、これほどまでみんなに憎まれているとは、
思っていなかったのだった。
先生降ろしという劇を、痛快なものとして、
みんなが一緒に楽しんでいるものと思って来た。
授業妨害も、退屈な授業を中断させることで、
みんなは喜んでいると思って来た。
そんな自分達は、みんなの英雄だと思い、得意満面でいたのである。
今、みんなの言葉を聞いて、自分達の大きな思い違に気づいた。
そして、自分達の罪の大きさをやっと認識し、
それが、身に沁みてわかったのだった。


次回は、(「ことの成り行き」最終回です。)

スーパー変身マン・倉田洋次・第4話②「夏子痛恨のミス」

大村が、問題を持ってきた。
それを、見せようとしたので、洋子は、

「ちょっと待って。あなたは、その問題の答えを完全に理解しているのね。」
洋子の言葉に、
「はい。」と大村夏子は言った。

「これは、私を辞めさせるためのものなの?
 それとも、私がその問題を解ける教師であることを期待してのものなの?」
「期待してのものです。」と大村は言った。
「じゃあ、私が解けるかも知れない問題なのね。」洋子は聞いた。
「私が解けました。それが答えです。」大村は言った。

「じゃあ、あなたの期待はずれだったら、私はこの学校を辞めるのね。
 大村夏子さん。そういうことなの?」
「そうです。でも、先生がお解きになれば、問題はありません。」
と大村夏子は言った。
『上手いこと言うなあ。』と洋子は、変に感心した。

「これは、場合によって、私にとって仕事を失うという大変なことなのです。
 私は、病気の母をかかえているのね。私の収入がないと、母は病院にも行けず死んじゃうの。
 わかってくれる?
 だから、私は、これからそれだけの覚悟で、大村さんの挑戦を受けようとしています。
 天下の桜台女子高校、成績ナンバー1の大村さんのね。
 いやだけどさ。できれば、逃げ出したいわよ。
 あたしって、お馬鹿だから、挑発に見事に乗ってるわけ。
 だから、大村さんも、それだけの覚悟をしてね。」
洋子は、言った。
「どういうことですか。」大村夏子は言った。

「大村さん。私があなたの問題を解いたら、この学校を辞めてください。
 退学願いを出してね。受理されなくても、学校に来なければいいの。
 あなたと私、勝った方が学校にいられます。
 イーブン・イーブンでないと、不公平でちゅ。」
洋子の言葉に、クラスは、一瞬ざわざわとなった。

大村夏子は、先生が解けないという絶対の自信があった。

夏子は、数学の天才児と小学校のときから言われてきた。
小学生のとき、高校の微分積分などの数学を終了し、
中学を経て高校生となり、T大学の数学科の内容をほぼ理解していた。
数学に関しては、絶対的な自信を持っていた。
その夏子が、先生に突きつける問題に関し、絶対を期した。

夏子の父は、T大の数学教授だった。
その問題は、父が最近やっと解きえた数式であるのだ。
世界ではじめて、夏子の父が解いたかもしれないと学会で発表した。
それを、英語教師がとけるはずもない。
ただ、式の説明をしろと言われると、まずい。
さすがの夏子でも、世界の数学のレベルには達していない。
父の数式は、夏子でさえ、チンプンカンプンである。

自分は、答えを知っているだけで、途中の展開など全くわからない。
だが、かまうもんか。
こんな中学生みたいな教師が答に到達できるはずがない。
必ず途中でギブ・アップだ。
多分、数式を見たとたんお手上げだろう。
だから、説明の必要はない。
朝から、早口で出席をとり、ふざけた幼児語を使う。
夏子はそれも気に入らないでいた。

「あたし、辞めます。先生が解けたら、きっぱり辞めます。」夏子は言った。
「あたしも、夏子の問題を先生が解いたら、一緒に辞めます。」木下朱実が言った。
「あたしもです。一緒にやめます。」加藤ユカが言った。

「ほんとに、いいの?
 あたしが、問題解いたらさ、後から、よくあるのよ。
 夏子さんのせいにしてね、
『夏子、先生じゃ絶対解けないって言ったじゃない。』
『どうしてくれんのよ。』なんてさ。」
洋子は言った。
「そんなことしません。」木下と加藤はきっぱり言い切った。
「ほんとね。人のせいには、しっこなしよ。」
「くどいです。」と木下と加藤は言った。

洋子はさらに言った。
「親がどれだけ謝って来ても、
 校長がどれだけ帳消しにしてくれても、
 私が解けたら、3人は自分の意志で必ず退学しますね。
 後で謝ったり親頼みで謝って来るなんてマネしませんね。
 私は、母の命をかけているんですからね。」

「後で謝ったりしません。親にも謝らせません。」と3人は胸を張った。

「ここをやめたら、あなた達を受け入れる学校なんてないわ。
 桜台で先生いびりをして退学した子を、どの高校が受け入れますか。
 もし、受け入れてくれる学校があっても、
 あなた達は、苦労するわよ。あなた達とは、ぜんぜんタイプの違う子達がいる。
 いじめられるかも知れない。
 あなた達は、中学卒業という学歴になって大学にはいけないわ。
 あ、でも、大検って方法があるか。司法試験という手もあるわ。
 あれは、学歴を問わないから。じゃあ、いいかもね。」
洋子は軽く言った。

「わかっています。覚悟の上です。」夏子は言った。
「木下さん、加藤さんは?」洋子は聞いた。
「何度も言わせないでください。」二人は言った。

「おーい、クラスのみんな聞いたあ?」と洋子はみんなに聞いた。
「はい、聞きました。」とみんなは、言った。
やはり、クラスのみんなは、本心ではこの3人を嫌っている、というより恨んでいる。
洋子はそうにらんだ。

クラスのみんなは、このおもしろい対決に、内職をするものは誰もいなかった。
洋子の余裕に、何かを期待していた。

「では、見せてちょうだい。」
洋子は言った。
夏子は、教卓の洋子のところへ来て、紙を渡した。
洋子は、問題を見て、露骨に、「げっ!」と言う顔をした。
夏子は、にやりとした。
クラスのみんなは、一瞬失望の色を見せた。

数式は、夏子の手書きのものだった。

洋子は、ふーと前髪を吹き上げた。
「なんとまあ。ここまで、やらせるの?」
などと言いながら、洋子は、鉛筆を走らせたのだった。
夏子は、「まさか。」と思った。一瞬、不安が胸をよぎった。

10秒も経たなかった。

「はい、できまちたよ。」
と洋子は、にっこり夏子に見せた。
夏子は、その答えを見て、にんまりとした。

「先生、答えが違っています。」と夏子。
「あってるわよ。」と洋子。
「違っています。」と夏子。
「あなたに、それがわかるの?わかったら大変でちゅ。」と洋子。
「昨日自分で考えてワープロで打ったものがあります。」夏子は言った。
「じゃあ、見ちぇて。」と洋次は、再び幼児語になった。
夏子は、用紙を持ってきた。
ワープロで打ったなんていうのは、とんでもないウソで、
ある雑誌の1ページをそっくりコピーしたものだった。

「わかったわ。で、あなたが私にくれた問題の答えを言ってください。」洋子はやさしく言った。
「X2-ABです。そこに書いてありませんか。」と夏子は誇らしげに言った。
「これには、そう書いてあるわ。
 私が言っているのは、あなたが、私にくれた問題の答えを聞いているのでちゅ。」
洋子は言った。
一瞬、夏子は、きょとんとした。

「問題の数式が違うのだから、同じ答えになるはずがないでちゅ。」洋子は言った。
夏子はまだわからなかった。
「2つの問題をよく比べてご覧なちゃい。」
洋子は言った。

夏子は、不安にかられ、問題を見比べた。
そして、自分の問題の写し間違いに気が付いた。
17番目の文字は、X4であるのに、自分は、X5としていた。
夏子は、真っ青になった。


つづく(次回は、「決着」です。)

スーパー変身マン・倉田洋次・第4話①「私立桜台女子高校」

またまた、スーパー洋次で、恐縮です。女装は、洋子以外出てきません。申し訳ないです。
4回に分けて投稿します。読んでくだあると、こんなにうれしいことは、ありません。

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「スーパー変身マン倉田洋次・第4話・私立桜台女子高校」

いつものように、上司近藤百合子にさんざん説教をされ、
洋次は、参っていた。
お腹の調子が悪い。
朝一番からこうだ。いやだなあと思いトイレに立った。
この頃、トイレに行くのも、楽じゃない。

さあがんばろうと、トイレのドアを開けると、ここは出版社ではない。
自分の格好を、鏡に映してみると、
紺のジャンパースカートに、紺のボレロ。
「うわ~、これ女子高生の卒業式の服みたいじゃない。」
 髪も乙女チックな頬までのストレート。前髪あり。
 これでは、益々、女子高生だ。背も低い。」
洋子になった洋次は、がっくりきて、
下唇を出して、ふーと前髪に息をかけ、前髪の一部を飛ばした。

ちゃんと、スーパー洋子になってくれてるのかな、
と洋次は心配になった。

トイレから出ると、女子高生達がいる。
ここは学校か。
そばにきた、女の子に聞いてみた。
「ねえ。ここ、なんていう学校?」
「はい、桜台高校です。」
まさかと、洋次は思った。
あの天下の女子高の名門、桜台高校か。
1学年80人しかいないのに、毎年T大に40人近く入るという恐ろしい学校だ。
中には、すごい子がいるだろうなあと思った。
天才的な子もいるかも知れない。

洋子(以下、洋子)がそんなことを考えていると、
「あ、倉田先生。校長との打ち合わせお願いします。」と事務の人に言われた。
えええ?自分は、先生なの??。
この名門校の?それは、いやよ、と洋子は思った。
だったら、もうちょっと大人びたスーツかなんか着ていたい。

校長室に入ると、頭の半分はげた校長にソファーを勧められた。
「えー、倉田先生に半年の契約で担任をお願いしたいのは、
 3年生のA組なのですが、B組より1ランク優秀な生徒のクラスです。
 しかし、大変問題のあるクラスでしてねえ。
 お恥ずかしい話、我が高校の正規の職員に担任の持ち手がなく、
 仕方なく、外部からの講師の先生に担任を受け持っていただいて来ました。
 ところが、この半年、みな1ヶ月ともたず、辞めていかれました。
 中には、即日お辞めになった先生もいます。」
校長は汗を拭き拭き話していた。

「しかし、桜台高校と言えば、天下の名門ではないでしょうか。
 何が問題なのでしょう。」
と、洋子は聞いた。
「それが、学年で成績トップ3の3人組がおりまして、
 その3人が、担任降ろしをするんですなあ。
 先生に難問をつき付け、困らせる。
 こんな問題が解けない先生は、教師の資格はない、
 などと先生を非難し、追い出してしまうんですよ。
 高慢ちきで、生意気極まりないヤツラでして。
 あ、申し訳ない。教師たるもの、言葉が過ぎました。

 それで、倉田先生には、それを覚悟の上で臨んでいただきたいのです。
 決して、生徒の挑発に乗ることなく、
 上手く身を守っていただきたい。
 そんな事情で、先生には、時間給6000円という、
 高額をお支払いしている次第です。」
「トップ3の3人ですか。この桜台で。
 それは、大変なことです。天才だと困りますけど…。
 わ、私みたいな小娘につとまるんですかあ?」
と洋子は、中学生みたいな口調で言った。

「面談で、引き受けてくださったのは、倉田先生お一人なんです。」
「あ、あたし、面談なんかしてたんですかあ?」と洋子。
「はい。引き受けてくださると。ただ、3人の生徒のことは、初耳かと…。」
「初耳ですとも!」
校長は小さくなった。
あらまあ~と洋子は思い、前髪をふーと吹き飛ばした。

しかし、洋子は悟った。自分が変身するのには、必ず使命がある。
その3人をどうにかせよというのが、その使命かと思った。
「はい、わかりました。若輩者ですが、やらせていただきます。」
洋子は言った。
「ああ、ありがたい。1日でも長くお続け願いたい。」校長は言った。
「1日でもですかあ?」とまた洋子は中学生のようないい方をした。
「いや、今のは、より長くという意味でして…。」
校長は、また汗を拭いた。
「はあ~?はい。」と洋子は言った。

洋子は職員室の先生に紹介され、挨拶をした。
先生達は、洋子の若さに驚いたようだった。
「だいじょうぶかな。」
「新米のほやほやにみえるし。」
「1日でも、もってくれたらいいな。」
そんなささやきが、洋子の耳に聞こえた。
(洋子は、耳もスーパーである。)

そして、3年A組の出席簿を持って、教室に行こうとした。
「倉田先生、気をつけてください。」
「無事を祈ります。」
「生徒のペースに乗ってはだめですよ。」
と何人かの男の先生に言われた。
「はい。」「はい。」「はあ。」
と洋子は答えた。

はあ~、これはめんどくさそうだなあ…と洋子は思った。

洋子は教室に入った。
教室は静かで、みんな、受験用の問題集など出して勉強している。
「なんだ、おとなしいじゃないの。」と思った。
しかし、後ろに三人だけ、立って話をしている。
その話が、洋子には聞こえた。
「うわあ、見てアイツ。まるで中学生じゃない。」
「あれじゃあ、あたし達にやられて、1日ね。」
「朝のホームルームだけで、終わりよ。」
三人は、にやにやして、洋子を見た。

洋子の姿を見て、かすかにざわざわとしたが、すぐに止んだ。
ほとんどの生徒が勉強に夢中だ。
担任が来たのに、勉強をやめようとしない。
3人は、席に戻ろうともしない。
「私は、倉田洋子です。本日よりこのクラスの担任です。どうぞよろしくね。」
と洋子は言った。
「出席をとります。名前を呼ばれたら、手を上げて、『はい!』と言ってね。
 手が挙がらない子は、欠席としますよー。いいでちゅかあ。」
洋子は、生徒がこちらを向かないので、幼稚園児に話しかけるように言った。

ほとんどの生徒が洋子の言葉を聞いていない。
洋子は、むかっと来たので、40人の名を、すごい速さで呼んだ。
(おー、やっぱ、スーパー洋子になってる。と安心した。)
たまたま洋子の言葉をしっかり聞いていた生徒、12人が何とか手を上げ、はい、と言った。
「今日の出席12名。欠席28名。あらあら。
 はい、朝のHR、これで終わりでちゅよ。時間がくるまで、自由にちてね。
 私は、28名の家庭に、確認の電話をしにいきまちゅからね。
 28人か。うんざりでちゅう。」
そう言って、教室を出ようとした。

すると、5人位が、手を上げた。そのうち、一人が言った。
「先生、あたし手を上げませんでした。だけど、います。出席にしてください。」
洋子は言った。
「だめでちゅ。あなたは、私が説明をしているとき、T大の入試問題の世界史の問題を解いていたじゃありませんか。
 朝は、出席をとるのでちょう。どうして、返事をしなかったのでちゅ?」
「すいません。自分の勉強をしていました。」とその生徒。
「だったら、学校なんか来ないで、家で勉強すればいいでちゅ。」
と洋子。さらに、
「私は、一生懸命私の目を見て聞いていて、なおかつ私の言う速さについて来れない子なら、
 ゆっくりとその子に対してだけお名前を言います。
 あなたは、そういう子でちゅか。」
「ちがいます。」その子は言葉なく座った。

別の生徒が立ち上がった。
「先生は、どうしてそんな赤ちゃんに話すような話し方するんですか。
 私達バカにされているみたいです。」
洋子は答えた。
「みなさんが、幼稚園児並みのマナーしか知らないからです。
 担任の先生が来て、何か話をするときは、最低先生に顔を向けて聞くべきです。
 小学校1年生でもできますよ。
 人の顔を見ないで話を聞く。失礼なのは、あなた方でちゅ。
 28人に電話をします。そのときに聞いてみますね。
 ご家庭で、そういうマナーを学んでいないのですかと。
 天下の桜台の生徒も、地に落ちたものでちゅね。」

そう言って、洋子が教室を出ようとすると、欠席扱いのほとんどが、洋次に詰め寄ってきた。
「先生。お願いします。家庭連絡だけはやめてください。これから、ちゃんとやります。」
と一人が言う。
「どうちて?」
と洋子はとぼけて言った。
「家で、叱られます。」
「だって、私の話を聞いてなかったんでしょう。家で叱られて当然でちゅよ?
 はい、私を通して。28件も電話があるのよ。私の身にもなってよ。」
洋子は言った。

「先生、あやまります。明日からちゃんと先生の顔を見て、お話を聞きます。
 だから、今日だけは許してください。」
生徒達がそこまで、言った。
「全員ですか。ふてくされている人は、手を上げなちゃい。」
すると、3人手を上げた。

「あらまあ。いるの。全員じゃなきゃ、だめでちゅ。」
洋子は全員を、座席に返した。
不思議なことに、その3人を非難する生徒がいない。
3人さえ、謝れば、自分達は助かるのに。

言わば、この3人は、クラスのボス的存在なのかと、洋次は見た。

大村夏子、木下朱実、加藤ユカ。
写真入の生徒カードを見ておいたので、洋子は全員の名を知っていた。
『ははあ、この3人か…。』洋子は思った。

「大村さん、なぜ、ふてくされてるの?」
洋子は優しく聞いた。
「先生の資格がない人に、先生ヅラされるのが、嫌だからです。」
と大村は、横を見ながら言った。
『早速来たか。』と洋子は思った。

『挑発してるつもりなのかもしれないけどね。』
と洋子は、心でにんまりとした。
「じゃあ、木下朱里さん、加藤ユカさんも、同じ考えなの。」
二人は、「はーい。」とふてくされたいい方をした。

洋子は、また幼稚園児にでも相手をするように、にこにこして言った。

「じゃあ、大村さん、どうすれば、私に教師の資格があるかどうかわかるのでちゅ?」
と洋子は聞いた。
「私の持ってきた問題を解いてください。」
と大村は言う。
「科目は?」
「数学の問題です。」
「いやーね、私の専門は英語よ。でも、まあ、なんでもいいか。」
と洋子は言った。

洋子は、まだまだにっこりして言った。

つづく(次は、「夏子VS洋子」です。)

スーパー変身マン・倉田洋次・第3話「バンド・エマヌエルを救う」1話完結

長い連載が終わり、ネタ切れです。そこで、書きなれた、「スーパー洋子」のお話を続けます。
洋次が洋子になる以外、女装が全然出て来ません。読んでくださるとうれしいです。

<初めての方へ>
未来社会から送られた、「スーパー・クローン倉田洋次」は、使命があると、トイレに入ることで、
スーパー洋子に変身します。洋子には、超人的なパワーと知能が搭載されています。

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「第3話」「ロック・バンド エマヌエル」

今日もお腹の調子が悪い。
洋次は、駅についたとき我慢できず駅ビルのトイレの個室に入った。
「ああ、ちょっと楽になった。」
ウォシュレットがあるのがありがたかった。
そして、トイレを出たとき、あれ?また、女子トイレだ。
洋次は、急いで個室にもどり、自分を見てみた。

体にぴっちりの肩見せの赤いミニのワンピースだが、
スカート部や腹部が、引き裂かれたようになって、体の一部が見えている。
脚に、黒のロング網ストッキング。かかとの高い銀のサンダル。
手提げのエナメルの黒いバッグ。

こういう物が、どこから出て来るんだろう。
逆に洋次の着ている服やスーツケースがない。
だか、考えて見ると先例がある。
それは、スーパーマン。
スーパーマンは、いちいち着替えていない。
クラーク・ケントのときのスーツケースのように、
そのときは、なくなるのだ。

洋次は、ドアをそーと開けて出た。
すると、5人はいた人が、いっせいに洋次を見た。
男とばれたのか!一瞬焦った。
いそいで鏡を見た。
人に見られるはずだ。
なんだ、このメイクは。
まるで、パンク・ロックの女の子だ。
目蓋の紫のラメのシャドウ。
毒々しい、紫がかった赤の口紅。
ライオンのように広がった真っ赤な髪、
額に巻かれた金属入りの皮のベルト。
すごい、これは目立つ。

これには、きっと訳がある。
変身したときは、誰かがきっと自分を求めているんだ。
洋次は、心の命ずるずるままに歩いた。
途中ウインドウで、わが身を見た。
抜群のプロポーションだ。ウエストのくびれ。
ピップの張り。
背は、168cmくらいか。
かっこいいなあと思った。
ちょっと浮き浮きしてくる。

洋次は、新宿に近い、あるライブハウスにやってきていた。
『なんだ。「エマヌエル」を聞きにきたんだ。』
それは、洋次が学生のときから好きだったロックバンドだ。
社会人になってから、スーツとネクタイで来ていたが、
今日は女の子になって、こんなそれらしい姿で来られるなんて、
最高だと思った。

入場券を買って中に入った。
狭いホールだったが、客はスタンディングで満杯だ。
しかし、開演を30分も過ぎている。
何かあったのか。

何かあったから、自分がここに来ているんだと思った。
そこで、一度外に出て、
外から、楽屋裏に入った。

楽屋に入ると、バンドの仲間みんなが集まっている。
その中心に女の子が、お腹を押えて苦しんでいる。
洋次が好きで好きでたまらなかった、ボーカルの絵美だ。
「俺の感じじゃ、絵理、盲腸だよ。」バンマスのハシュが言った。
「ぜってー無理だ。歌わせたら、殺すようなもんだ。」テルがいう。
「でも、代わりに男が歌ったんじゃ、花にならねえよ。」とトイが言う。
「とにかく、救急車だ。」タクヤが行った。
「もう、電話したよ。」とテル。

「あ、あのさ。」と洋次は話しかけ、
「つなぎにさ、あたし歌ったりしちゃだめかな…だめよね。」洋次は言った。
「あんた、だれ?」ハシュがいう。
「ファン。ただそれだけ。だけど、不思議な力であたしここに来たの。」
みんなが、まじまじと洋次を見た。
「楽器は?」
「ベース。だけど、ベースで、弾き語れるよ。
 歌下手かもしんないけど、あたし、そのために来た。」

「この際、彼女に神頼みしようよ。それっきゃない。名前教えて。」リーダーのハシュが言った。
「ヨーコ。」ヨーコは言った。

会場は、開演の遅さにブーイングが始まっていた。
そこへ、ヨーコが一人ベースギターを持って、舞台に乗り込んで行った。
ヨーコは、何も考えず、椅子に腰掛けて、ベースギターを膝に乗せた。
そして、歌い始めた。何も考えていない。
ただ、歌が、口をついて出てくる。
不思議だった。
これも、スーパー能力か。

心地よいアルト・ボイス。
ゆっくりとバラードを歌っている。

次第にホールは静かになった。
ヨーコの声が、子守唄のように、観客を包み始めた。

「なあ、かなり良くね?」テルが、ハシュに言った。
「いいなんてもんじゃないよ。全く新しいバラードだ。」とハシュ。

救急車が来て、絵里は連れて行かれた。
付き添いにタクヤが行った。
残り3人のメンバーは、それぞれ自分の楽器に登場した。
そして、ヨーコのバラードに音を合わせ始めた。
観客は、とっぷりと、ヨーコのバラードに酔った。

ヨーコは歌いながら立って、ベースを肩につるすと、ベースを低く構え、
みんなに、『これから、激しいのいくよ。』と目くばせをした。
みんなは、OK。
ヨーコのベースの音が変わった。
激しいバリバリする音になって、
ヨーコのボーカルが、爆発的にシャウトした。
会場に、キャーという声がこだました。
各楽器の音が、大音量に変わり、ドラムがズンズン会場を揺らす。

ヨーコの声が、響き渡った。
静かなバラードから、一気に熱狂の渦にみな巻かれた。
ハシュは思っていた。
これは、すごい、新しい、曲を覚えろ!
ヨーコの歌は完全に観客を熱狂させ、
つぎに、「エマヌエル」のレパートリーに移った。

ヨーコは、「エマヌエル」の曲を完全に知っていた。
大好きな絵里に負けない声だった。
楽器の連中も乗りに乗って演奏した。



2時間。アンコール4曲で、2時間30分。
観客は燃焼しきって帰った。
バンドも同じだった。

ヨーコは、絵里が気になってならなかった。
バンドの3人に言った。
「あたし、心配だから、絵里見に行く。」
そう言うが早いか、ヨーコは、ホールを出た。

「あ、ヨーコ、待てよ。」
とハッシュが言ったとき、ヨーコはもういなかった。
「帰ってくるかな。ヨーコの曲、忘れられない。」テルが言った。

ヨーコは、ものすごいスピードで、車道を走っていた。
車を軽々と追い越していく。
なぜか、走る目的地がわかっていた。

W外科病院に着いた。
絵里の病室に行くと、絵里は手術後の麻酔で眠っていた。
タクヤがそのそばに座っていた。
もう一つ椅子があったので、ヨーコはタクヤの隣に座った。
タクヤは細くて、顔立ちの優しい青年だ。
「あ、君は。」とタクヤが行った。
「うん。ヨーコ。絵里、やっぱ盲腸だったんだ。」
「やばかった。もう少し遅れてたら、腹膜炎だったって。」
「よかった。あたし、絵里のファンだから。
 もちろん、みんなのファンだよ。」ヨーコは言った。
「今日のライブ、ヨーコが歌ってくれたの?」
「下手くそだけど、なんとかなったよ。」
「そうなんだ。よかった。」タクヤは言った。
「タクヤのベース、借りたよ。」
「全然かまわないよ。」

ヨーコはナースステーションに行って、紙と鉛筆を借りた。
そこで、今日歌った2曲を譜面にした。

タクヤのところに来て、
「これさ、恥ずかしいんだけどさ、あたしが今日歌いながら作った歌。
 よかったら、受け取ってくれる?もう、どうにでも好きなようにして。」
ヨーコは、そう言って、タクヤに譜面を渡した。
「あ、ありがとう。」タクヤは言った。
「じゃあ、あたし、もう行くね。」
ヨーコはもう一度絵里の顔を見て、病室を後にした。

廊下に大きな鏡があった。ヨーコはもう一度自分を見た。
額のベルトをはずして、赤い髪をなでた。
「もったいないな…。」洋次の意識が、惜しむように言った。
洋次は、女子トイレに入った。
そして、スーツケースの洋次にもどり、病院を出た。

記憶は残っている。
女の子になって、ステージで歌う。
夢のまた夢だったことが実現した。
これ以上の満足はないな。
洋次はそう思った。



1年後。
ロック・バンド「エマヌエル」は、ヨーコの2曲を絵里が歌って、
爆発的人気を得て、押しも押されもせぬロックバンドになった。

洋次は、「エマヌエル」の武道館公演のチケットをやっと手に入れて、
最上段の一番隅で、公演を聞いた。

「やっぱり、絵美が歌った方がいいな。」洋次は思った。
ヨーコの2曲を歌い終わったとき、MCで絵里がマイクを持った。
そして、言った。
「みなさん、ご存知でしょうが、この2曲は、あたしたちのオリジナルではありません。
 謎のステキな女性が、あたし達に残してくれました。
 彼女の名前は、ヨーコ。
 ヨーコ、ありがとーう!」
絵美は叫んだ。
洋次は、そう叫ぶ絵里の瞳と手が、はっきり自分に向けられている気がした。
洋次は、どぎまぎとし、
かすかに手を絵里に振った。


<おわり>(次は、スーパー洋次・第4話「生意気な3人女子高生を退治」です。)

鏡の中の大川則夫⑧エピローグ2「完結」

いよいよこれで、完結です。長いものを今まで読んでくださって、ありがとうございました。

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《エピローグ2》

あのおばあちゃんの名前を聞いてから、
則子は、竹島に運命的なものを感じていた。
どんなことをしてでも、竹島をゲットしなければならない。
そう思っていた。

ところが、則子が女の子カムアウトしてから、竹島の様子が変だった。
教室移動のとき、則子はべったりくっついて、腕を組んだりすると、
竹島は、固くなってしまう。
何か話しかけても、返答がぎこちない。
そんな日が3日も続いた。

則子は、わかっていた。
竹島は純情なのだ。
女の子といると上がってしまうと言っていた。
江里たちは、則子が一番可愛いと言ってくれた。
そんな子が、そばにいたら、竹島は、それは固くなっても無理はない。

そこで、次の日、
則子は例のぶかのジャージのズボンを履いて、
ライオンへヤーのカツラをかぶり、
白いTシャツ。そのうえに、黄色のゆるゆるのタンクトップを着て大学へ行った。
もちろん、ノーメイク。
それで、朝の教室へ入って行った。
「おっす、おはよう、よ!元気か。しけた顔してんぞ!」
などと言って、かつての則夫の復活だった。
「え?可愛い則子は、3日でおわり?」などと残念がる男子が大勢いた。

則子は一番前に座って、やって来た竹島に、
「よ!おはよう。元気か?」と言った。
竹島は、驚いたような、安心したような顔をして席についた。
「ああ、元気だ。則夫か?」
「そう、則夫。おっぱい出てっけど。」
と言って、にやりと笑った。

竹島がいつもの竹島にもどった。
則子はうれしかった。作戦は成功しそうだ。
2時間目が終わって食堂にいくとき、
「お、竹島、俺を肩車しろ。」と則子は言った。
「いいよ。それっ。」と竹島は則子を持ち上げた。
「わあ、高い高い。俺、すっかりチビになっちゃったからな。」

食堂で、二人とも玉子丼を頼んで、
竹島の前で、則子は、ごはんをかっ込んだ。
「ああ、うめえ。安くてうまい玉子丼に限るな。」
そう言った。
そんな則子を竹島はうれしそうに見ていた。

「今日、俺んちで、スキヤキおごる。食いに来るよな。」と則子は言った。
「お、すげえ、もちろんいくよ。」竹島は言った。
「肉だよ、肉。肉がねえとな。」
「おお、そうだな。」と竹島はうれしそうだった。



4時ごろに、則子のマンションに、二人でやってきた。
「まだ、ぜんぜん女の子の部屋じゃねえな。」と竹島は言った。
「おいおいな。」
「この鏡、なんだ?」と竹島が姿身を返して見ている。
やべ!
しかし、則子が近づいて見ると、竹島は普通に映っている。
(そうか、鏡は女の子になりたい子にしか効かないのかも知れない。)
則子は思った。

竹島に紅茶を出して、二人で飲んだ。

その後で、則子は立って言った。
「竹島、前、俺を抱いて、キスしてくれたよな。」
「ああ、そうだな。」
「もう一回、俺を抱いて、キスしろ。」則子は言った。
「ああ、いいよ。」竹島が、則子の前に立った。
「どっちが先立ったっけ?」
「抱くのが先。」
「わかった。」
竹島は、則子を抱いた。
「もっと強かったぞ。」
「こうか?」
「ああ、いい感じだ。それで、俺にキスするんだ。」
「よし。」
竹島はキスをした。
則子は、竹島の首に腕を回して、さらに深いキスをした。
「竹島、よかったか?」
「ああ、すげえよかった。」
「じゃあ、竹島、服を脱げ。」
「お前の前でか?」
「俺と親友だろう。」
「わかった。」
竹島は、服を脱いでトランクス一つになった。
「じゃあ、俺は、ベッドに寝るから、俺の服を竹島が脱がすんだ。」
そう言って、則子はベッドに乗った。
竹島は、則子のタンクトップを脱がせ、Tシャツを脱がせた。
「ブラもか?お前の見えちゃうぞ。」
「じゃあ、待って。」
則子は、部屋のカーテンを閉めて、明かりを消し、
竹島と一緒に毛布をかぶった。

「これならいいだろう?早く、ブラを取ってくれ。」
「ああ、これならできる。」
竹島は、則子のブラを取った。
「ジャージのズボンも脱がすんだ。」
「おお。」
竹島は則子のジャージのズボンを脱がせた。
二人は、トランクスとショーツだけになっていた。
「竹島、俺の言うとおりにするんだぞ。」
「おお。」
則子は、竹島の手をとって、それを乳房に当てた。
竹島がびくんとしていた。
則子は手を竹島の手の上に重ね、
「こうやってさ、こんなふうに揉まれると気持ちいいんだ。
 やってくれ。」
竹島は、揉み始めた。
竹島の大きな手が、すっぽりと則夫の乳房を覆い、
則子は気持ちよくて、声が出そうだった。だが、声を出さないようにした。
「それでさ、先をさ、指で、くりくりっと揉まれると、もっと気持ちいいんだ。」
「わかった。」
竹島は、両手を使って、則子の先端を揉んだ。
気持ちがいい。
「うううううううう。」と則子は声が出てしまった。
「どうした?」と竹島が聞いた。
「気持ちよくて我慢できないだけだ。気にすんな。」
「うん。」
「竹島、もう一度俺を抱いて、キスして、オッパイ今みたいにして。
 体も抱いてみて。」
「わかった。」
竹島に言われる通りしてもらい、則子はたまらなく興奮して来た。
力強くて、江里とはまた違った喜びがする。
「うううう、むむむむむ、ああ、うううう。」と則子は女の声を出すまいと必死で我慢していた。

「た、竹島、俺のショーツをとって。」
「とった。」
「俺のあそこに手を当ててみろ。」
「あ、ぬれてる。」
「そうなんだ。女は、感じるとぬれるんだ。
 ここ触られると、飛び上がるほど感じちゃうんだ。」
則子は、竹島の指を、スポットに持っていった。
「あうっ。うう。」と則子は、背骨を反らせ声を出した。
「そしてさ、竹島に、このスポットを、指で擦られると、気が狂いそうになっちゃうんだ。
 やってみろ。」
竹島の指が動いた。
「ああ、ううう、ああ、うううううううう。」と則子はもだえた。
「俺のさ、そこ十分ぬれてるだろ。そうなったら、竹島の男の物、いつ入れたっていいんだ。
 竹島、トランクス脱いで。それで、これ、はめろ。俺、まだ妊娠したくないから。」
竹島は、トランクスを脱いで、則子から受け取ったものを、苦労しながらも装着した。
「竹島、俺、男でいる限界だ。もう一度キスからやって。
 そして、俺、女の声出していいか?」
「ああ、いいとも。俺分かったから、いくら声出してもいいよ。」

則子は、ライオンへヤーのカツラをとった。
そして、可愛い女の子のヘアスタイルになった。
竹島は、それを見て、激しく燃えて、則子を抱きしめに来た。
「ああ、竹島君、好き、大好き。」
「俺も大川が好きだ。死ぬほど好きだ。」
それから、キ・スをして、乳ぶさを揉まれて、
則子は女の子の声を上げ続けた。
それが竹島の心をさらに燃え上がらせ、
竹島は則子の体中をなで、究極のスポットに指が行った。
「ああ、ああん、竹島君、あたし、感じる。たまらない。」則子は激しく体を揺らした。
「竹島君、入って来て。」
「おう。」
則子にとって、初体験のことだった。
バージンであった則子は、痛みが走ったが、快感の方が勝った。
出血すると思って、バスタオルを敷いておいた。
竹島は、本能的に体を動かした。
ああ、いい、いい、すごい…則子は初体験のこの行為に感動した。
竹島と一つになった気がした。

「大川、俺、いきそうだ、いいか。」と竹沢が言う。
「あたしも、いく、もう限界…。」
「うっ。」「ああああ。」という二人の声が同時だった。

しばらく抱きあった。

「あたし、バージン、竹島君に捧げたんだよ。」則子は言った。
「ああ、俺は、幸せ者だ。」
「あたしのこと、もう平気になった?だって、お互い、みんな見せちゃったじゃない?」
「ああ。不思議だ。もう女の子の大川でも、ふつうにしゃべれる。」



リビングで、二人は、ビールを飲みながら、スキヤキをつついた。
Tシャツにスカートの則子。
「その肉まだ早いわよ。」
「そうかあ、待てねえなあ。」
などと言って。
竹島は、完全にリラックスしていた。

二人は、まるで夫婦のようだった。

竹島則子…あのおばあちゃんの名前。
「私は、夫に恵まれました。」
おばあちゃんの言葉。
則子は、そっと心で思った。
『多分、あたしも。』



  
(次回は、スーパー変身マンの第3話。1話完結を一つ綴ります。)

鏡の中の大川則夫・エピローグ1「おばあちゃんとの出会い」

長い話になってしまいました。明日の「エピローグ2」でやっと完結します。
明日も、読んでくださるとうれしいです。

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《エピローグ1》※ここから、則夫→則子になります。

女装の心理とは、おかしなものだ。
今や完全な女の子になれた則子は、
その翌々日、急に男のときが恋しくなった。

その日の夕方、
則子は、メイク無しのすっぴんで、
頭には、安売り店で買った、ライオンへヤーのようなカツラをかぶり、
ショーツは女物だが、その上にぶかぶかのナイロンのジャージのズボンを履いた。
見えてもいい、赤いカラーのブラをつけ、
そのうえから、タンクトップを重ね着する。中が黄色、上が緑。
スニーカーを履き、ウエストポーチを着ける。

そして、ズボンのポケットに手を突っ込み、
がに股で歩いて行く。
ああ、男は気持ちがいいなあと思って歩く。
すれ違う人が見て行く。
どこを見ているのか。
男だと思ったら、胸の膨らみで女だと思い、見ていくのか。

則子は、行きつけの安い定食屋へ入って、玉子丼をたのむ。
夕方はいつも混んでいて、相席だ。
肉体労働のようなおじさんに囲まれている。

玉子丼が来た。
則子は、昔のように、がつがつと一気にかっこむ。
もぐもぐと頬を膨らませて噛み、たくあんを1枚口に入れ、バリバリ噛んで飲み込む。
おじさん達が、にやにやしながら見ている。
そのうち、
「嬢ちゃん、いい食べっぷりだな。」と一人のおじさんがいう。
「やっぱ、飯は一気に食わないとね。」則子は言う。
「あはは。その通りだ。」
「はじめ、兄ちゃんかと思ったぜ。」となりの人が言う。
「いいケツとおっぱいが見えねえのかよ。」とはすのおじさん。
隣のおじさんが、
「いいケツしてんのに、女っ気ゼロか。」
「あはははは。」とみんなで笑った。
「嬢ちゃんもよ。もっと、スカートなんか履いてさ、
 化粧して、髪を何とかすれば、けっこういけるぜ。」と前のおじさん。
「やだね。スカートなんか、女が履くもんだ。気持ちわりー。」と則子はいう。
「そう言いながら、赤い乳隠しが見えてんぜ。」
「こればっかは、しょうがないよ。でも、赤だからさ、汚れたって目立たない。
 もう1ヶ月洗濯してないよ。」
あははは…と3人が笑った。
「洗濯は、きらいか。まあ、いろいろあらーな。」
「もうちょっと、ちゃんとすらーなー。顔はけっこう可愛いぜ。」
「もったいねえけど、人の好みの問題だ。回りのヤツには、どう仕様もねえって。」
「その通り!」と則子が言って、
あははははとまたみんなで笑った。

則子は、とても愉快だった。
おじさん達と、男の会話をするのも、たまにはいいなと思った。



外に出た。
前は、女の子の迷子がいたっけと思い出していた。
偶然なのか、また迷子。
今度は、杖をついたおばあちゃん。
小さな紙を見ながら、きょろきょろとしている。
『完全に道に迷っている人だ。』と思った。

「おばあちゃん、困ってるでしょう。」
と則子は、おばあちゃんの顔の高さに身をかがめて言った。
「はい、ここなんですけど。さっぱり見当たりません。」
「俺に、見せて。」
と則子は見ると、ここからはかなり遠い。
しかも、分かりにくい場所だ。
「おばあちゃん、ここから近くはないしさ、わかりにくいところだよ。
 俺、ここわかるから、いっしょにいこう。」則子は言った。
「いいんでしょうか。」とおばあちゃん。
「どうせ、暇だもん。」
と則子は、言った。

則子は、おばあちゃんの速度で歩き始めた。
「高校生さんですか。」とおばあちゃん。
「俺?一応大学。」
「ああ、そうですか。」
則子は、そのとき気が付いた。
「おばあちゃん。もしかして、足痛い?」
「いえ。普段ならなんともないんだけど、道に迷ってしまったから。」
「俺、おんぶしてあげる。これでも力あっから。」
「お嬢さんにそんな。ご迷惑です。」
「平気、平気。」
則子は、おばあちゃんの前に膝をたたみ、腰を下ろした。
「そうですか、すいませんね。」
おばあちゃんは、思ったよりずっと軽かった。

おばあちゃんといろいろなことを話しながら、7分ほど歩いた。
「ところで、あなたは、お嬢さんなのに、
 どうして、ご自分を『俺』って呼ぶの。」おばあちゃんが聞いた。
「俺、ちょっと前まで、男だったの。女の子になりたいって小さいときから思ってた。
 そんなとき、不思議な鏡を買ってさ、それから、体がどんどん女の子になって、
 とうとう完全な女の子になっちゃった。
 でも、変なんだよ。ときどき男だったころが恋しくなってさ、
 こんな格好して、自分のこと俺って呼んでんの。笑っちゃうよね。」

「そうだったの。それで訳がわかったわ。」
「俺のこんな話、信じてくれるの?」
「ええ、あなたがそうおっしゃるんだから、そうなんでしょうね。」
「わあ、びっくり。誰も信じてくれないと思ってた。」
「それで、女の子になってみて、どうだったの。」
「すごく、幸せ。メイクしたり、オシャレを楽しめる。家の中のこと好きだし。」
「それは、よかったわ。」

「おばあちゃんは、女としての人生どうだった?」
「幸せだったわ。私は夫に恵まれたの。あなたもきっといい人に巡り会うわ。」
「ほんと?だったらいいな。」
「あなたは、心根のやさしい方よ。私、あのアーケードで10分も迷っていたの。
 だれも、声を掛けてくれなかった。そんなのふつうですけどね。
 でも、あなたが来てくれました。
 あなたは、わたしの顔の高さにかがんで、声を掛けてくれました。
 ちょっとしたことだけど、なかなかできないことだわ。
 そして、私が足を痛がっていることにも、すぐ気が付いて、
 こうしておぶってくださっています。
 私は、今、あなたのことを、天使のように思っているわ。」
「お、俺があ?」
則子はそう言ったが、おばあちゃんの言葉がうれしかった。

「あ、おばあちゃん、あそこだよ。」
「ああ、娘の一家がいるんです。
 私から訪ねたりしないものだから、道がわからなかったの。」

おばあちゃんを下ろし、おばあちゃんは呼びりんを鳴らした。
娘一家がドアを開け、おばあちゃんの急な訪問にビックリしていた。
則子は、みんなから、お礼を言われた。
中に入ってお茶でもと言われたが、断った。

去り際、おばあちゃんに聞かれた。
「お名前を教えてください。」
「大川則子です。」
まあ、とおばあちゃんは驚いた顔をした。
「私も名前は則子です。」
おばあちゃんが、そう言った。
「ほんと?」則子は、驚いて言った
「苗字も、教えて?」則子は続けて聞いた。
「竹島です。」とおばあちゃんは言った。
則子は、うあっと驚く口をふさいだ。
「じゃあ、さよならー。」

則子は、走っておばあちゃんの訪ねた家を後にした。
『わあ、竹島だって。じゃあ、じゃあ、もしかして。』

則子は、なんかうきうきするものを感じて、
暮れかかった道を飛ぶように走った。


<おわり>(次回は、「エピローグ2」。やっと完結です。)

鏡の国の大川則夫⑥「則夫の女の子デビュー」最終回

江里が貸してくれたショーツをもう濡らしてしまっているかもしれない。
江里は、則夫の上になり、胸で則夫の胸をゆっくりこすってきた。
「則子、あたしのこと、お姉様って呼んで。」江里が言う。
「ええ、いいわ、お姉様。」

江里は、則夫のキャミソールを脱がせた。
ブラを上げ、乳ぶさにキ・スをしてきた。
たまに、先端をそっと噛む。
「あああ…。」則夫は声に出した。
「やっぱり、感じるんだ。たっぷり、いじめてあげるね。」
江里は言った。
江里に乳ぶさをたっぷり愛撫され、則夫は、なんども女の子の声をあげた。

江里は、来ていたワンピースを脱ぎ、スリップも取った。
そして、則夫のスカートを取り、則夫をブラとショ・ーツだけにした。
「ブラとってもいい?」と江里は聞いた。
「うん。」則夫はうなずいた。
江里もブラをとった。
二人は、ショ・ーツだけになった。

江里が体を絡めてくる。
『ああ、江里のはだか。いいのかなあ。ああ、たまらない。』則夫は思った。
「ショ・ーツもとっちゃおうか。」江里が言う。
「あたし、あそこ、まだ出来上がってないの。」則夫は言った。
「平気よ。」江里がいい、二人でショ・ーツをとり、真っぱだかになった。
「さすがにはずかしいね。」江里はそういって、毛布をかけた。

江里が、則夫を抱きしめる。
「ああ、お姉さまの体、やわらかい。」
「則子のは、もっとやわらかいよ。」
江里は、則夫の手を取り、自分の下半身に持っていった。
「もう、こんなになってるの。」
「すごくぬれ・てる。」
「則子はどんなふう?」江里が触ってきた。

則夫のそこは、もう長さがない。逆にくぼんできている。
「わかった。ここね。」
江里は、則子のくぼんだところに指を入れに来た。
「あああ、そこ、すごく感じる。」
則夫は、すごい快・感に襲われた。
江里はキ・スをしながら、則夫のポイントを何度もなでる。
則夫は、女の子の声をたくさん上げた。
そして、絶頂に届きそうになった。
「ああ、お姉さま、あたし、イっちゃう、もうだめ、あああああ。」
則夫は体を震わせ、達した。

その後、則夫が江里をせめた。
江里は、声を上げ、何度も則夫に抱きついてきた。
女の子のポイントがわかった。
そこを何度も擦ると、江里はやがて体を震わせて達した。
江里の達する表情が、すごくセクシーで、
則夫は、再び興奮してしまいそうだった。
憧れの江里をイかせることができて、
則夫は、夢じゃないかと思った。

「陽子と郁美、見てみようか。」
と江里が言い、
ショーツをつけて、襖を少し明けた。
男役だった陽子が、郁美に丘されていた。
陽子は、ああああん、と首を振り、達したようだった。



みんな、服を着て、テーブルに集まった。
「今度、あたし、則子を丘したい。」と陽子が言った。
「いいわよ。則子はみんなのもの。」江里が言った。
「一番可愛いものね。」と郁美が言った。
「え?あたし一番可愛いの?」と則夫は言った。
「うん。則子がいちばん可愛い。」と郁美が言った。
江里も陽子もうんうんとうなずいている。

「あのね。」と則夫は言って、
「あたし、男の子好きになってもいいの?」と聞いた。
「あはん、竹島君のこと?」と江里が言った。
「なんとなく、好きかなって。」則子は赤くなった。
「OKだよ。他のレズの子が好きになったら、
 あたしたち、ジェラシーだけど、男の子好きになるのは、フリー、OKだよ。」
陽子が言った。
「ほんと。そんなものなの?」則夫は聞いた。
「そんなものなの。レズの子どうして浮気されたら、悲しいけど、
 男の子とするのは、なぜか、全然平気なの。」江里が言った。
則夫には分かるような気がした。



江里の家から、夢心地で帰って来た。
それから、3日後。
則夫の体は、急速な女性化をとげ、
下半身も、内部共に完全な女性になった。
胸はCカップどまり。
身長は、160cmどまり。
バスト83、アンダーバスト70、ウエスト58、ヒップ87。
則夫は、女の子として完成した。

則夫は、真っ裸のままで、例の姿身を見た。
鏡の中のルミと、寸分たがわない自分がいた。
もはや、鏡は不思議な鏡ではなく、ただの姿見になった。

その日、則夫は、美容院へ行った。
髪を少しカットしてもらい、
前髪にゆるいカール。
全体にもゆるいパーマネント・カールをつけて、
髪が全体にふわりとなるようにしてもらった。
ついでに、眉も整えてもらった。

明日、大学のみんなに、女の子デビューをしようと思った。



次の日の朝、則夫は、白のふわふわのミニスカートに、
体にフィットしたピンクの、半そでのサマーセーターを着た。
細いウエストに、ミニスカートから出た脚が長くて最高だ。
胸に、細い金のネックレスをして、耳にリングをつけた。
(そのうち、ピアスにしよう。)
薄めにメイクをして、ピンクのルージュを薄く引いた。
白のサンダル。
茶のバッグを提げ、その時間の教科書とノートを胸に抱いた。

大学の1時間目の教室。
則夫は、ちょっと深呼吸をして、
「おはよう、おはよう、調子どう、みんな元気…。」
などと、いつもの言葉の女の子バージョンの挨拶をして、
教室の一番前に座った。
クラスに先に来ていたみんなは、目を大きく開けて、則夫を見ていた。

「大川か?」
「え?すげー可愛い。大川かな?」
そういいながら、みんな集まってきた。
「あの、君、大川?」と一人が聞いた。
「うん。大川則子。ほんとは、女の子だったの。今まで、だましててごめん。」
と則夫は言った。
「そーうだったのか。変だと思ってたんだよ。」
「女って、けっこうバレてたよな。」
「ばればれだよ。」などと、みんなは言った。
少し遠くで、江里たちが笑っていた。

竹島がやって来た。
いつもの則夫の隣に座って、則夫を見て、
「うわあ!」と声を上げた。
「竹島君、おはよう。あたし、やっぱり女の子でいくことにしたの。」と則夫は言った。
「う、うん。それがいいよ。か、可愛いよ。」と竹島は赤くなって言った。
別の一人が、
「大川は、やっぱり竹島といっしょに行動するの。」と聞いた。
「うん。竹島君は親友だから。」と則夫。
「竹島!コノヤロー!」
と男子達は、竹島をみんなで小突いた。


<おわり>(次は、「エピローグ1」です。読んでくださるとうれしいです。)

鏡の中の大川則夫⑤「3人の美女に女の子デビュー」

日曜日。
江里たちとの約束は、午後の3時だった。
則夫は、朝から苦戦していた。
一夜明けて、また胸が大きくなった。
ブラを試してみて、Cカップがぴったり合うことがわかった。
もう、ブラなしでは歩けない。
胸が揺れるし、乳ぶさが痛くなる。

ぶかぶかだった学生服のズボンまで、ぴっちりになってきた。
それは、とてもかっこ悪い。
まあ、いいか。上着が隠してくれる。
背が低くなった今、上着はぶかぶかになるばかりだった。

則夫は思案の末、スポーツブラを着け、
その上にTシャツをきて、その上に、学生服を着てみた。
かろうじて、膨らみが隠せる。
しかし、胸を張ったら、膨らみがいっぺんでバレる。
胸を張らないようにしようと思った。
念のため、下は、トランクスにした。

学生帽をかぶり、則夫は、ドレッサーの鏡でチェックした。
はあ~とため息をついた。
鏡に見たのは、運動会の応援団長に選ばれた女の子が、
男子の制服を借りて、帽子を被っているような図だ。
しかし、今の則夫にとって、それが、最大限男に見える格好だった。



約束の駅前で3時に待っていると、江里が来た。
「待った?」
「ううん。」と則夫は行った。

江里のアパートは、駅からすぐのところだった。
陽子と郁美はすでに来ていた。
江里の部屋は2DKで、一つはベッドルームだった。
居間にジュウタンが敷かれ、大きめのテーブルがあった。
陽子と郁美が、すでにテーブルに付いていた。
則夫はテーブルの一辺に座って胡坐をかいた。
江里がケーキと紅茶を出してくれ、
みんなで食べながら、とりとめのない話しをしていた。
そのうち、江里が本題に入る口火を切った。

「大川君。あたし達、偏見なんてもってないつもり。
 大川君の力になりたいの。
 あたし達三人は、秘密を持ってるの。
 だから、よかったら、大川君も話して。」江里は言った。
「ど、どういうこと?」則夫は、ドキドキしながら聞いた。
「じゃあ、ずばり言うわ。
 あたし達3人、その、はっきり言うとレズビアンなの。」
「ほ、ほんと?」則夫は、夢にも思わないことを聞いたと思った。
「陽子と郁美は同じ高校で、その頃からできてたの。
 2人にあたしが誘われて、あたしその世界へ入ってしまって、
 それで、3人なの。」
江里は言った。
則夫は、胸が高鳴っていた。
美人で可愛い3人が、セッ・クスをしている様子を想像して、興奮してしまった。
「大川君。あたし達、大川君は、女の子になりたいのじゃないかって思ってるの。
 ね、当たってる?」
江里に聞かれ、則夫は、首を縦に振った。
「ホルモンを打ったりしてる?」
「それと少し違うけど、似たようなことしてる。」則夫は言った。
「そうっか。だったらあたし達といるときは、女の子になって。
 学生服、暑いでしょう。あたしの服や下着でよかったら着て。」江里が言う。
江里の下着と服が着れる。則夫は、ますます興奮してしまった。
「じゃあ、お着替えしよう。ベッドルームに来て。」
江里のベッドルームにドレッサーがあった。
江里は、則夫の学生服を脱がせた。
「胸も、もうあるんだね。」
そういいながら、則夫のTシャツも、スポーツブラも脱がせた。
「わあ、もうCカップあるんだ。もっと可愛いブラにするね。」
江里はそう言って、ピンクのブラを則夫に着けた。
可愛い刺繍のあるブラだった。
「これが、セットのショーツ。トランクス脱いで、自分で履いて。」
江里が言った。
大好きな江里のショーツ。まさか、履かせてくれるなんて。
則夫は天まで昇る気持ちだった。
江里は、則夫に白いプリーツのスカートを履かせた。
「大川君。ヒップがあるし、ウエストもくびれているのね。奇跡だわ。」
そして、江里は、則夫に、可愛いレース飾りのたくさんついた、キャミソールを着せた。

江里は、則夫をストールに座らせ、
手早くメイクを施した。
最後にリップを引いた。
「わあ、可愛い。もう完全に女の子じゃない。」
江里はそう言って、則夫の髪を、左右でまとめ、
房の根元に、ピンクのシュシュをつけた。
「ああ、可愛いなあ。ぞくぞくしちゃう。
 おでこが少し見えるようにするね。」
そう言って、赤い飾りのついたヘアピンを、則夫の前髪につけ、
おでこを覗かせた。

江里は、則夫を見て感嘆した。
「すごい。背はあたしの方が高いのに、脚は大川君の方が長い。
 可愛いし、抜群のプロポーション。ステキ。」
「あ、ありがとう。」
則夫は、頬を赤く染めて言った。

江里は、陽子と郁美に則夫を見せに行った。
二人は口をぽかんと開けて則夫を見た。
「うそ!100%女の子。ええ?うそー!」と陽子が言った。
「すごいプロポーションいいんだ。ああ、感動。
 大川君、こんな姿を隠していたんだ。それに、最高に可愛い。」
と郁美は言った。
則夫は、今度は肢を斜めに流し、女の子座りをした。
みんなで、ジュースを飲んだ。
「大川君、女の子の名前あるでしょ。」と郁美が聞いた。
「単純に則子にしちゃった。
 あ、俺…じゃない、あたしのこと、則子って呼んでくれるとうれしい。」
「じゃあ、あたしのこと、郁美呼んで。」
「あたしは、陽子。」
「あたしは、江里って呼んで。」
みんなで、言いあった。

江里がジュースのグラスを片付けた。
そして、カーテンを閉めた。
「今日、則子は、あたしのもの。いいでしょ。」と江里は言った。
『何のこと?』と則夫は思った。
「いいよ。あたしたち、浮気しないから。」陽子が言った。
陽子は、背が高くて、セミショートの髪。少しボーイッシュ。
郁美は、背が155cmくらいで、可愛いタイプ。

則夫が見ていると、陽子が郁美にキ・スを始めた。
郁美の胸を撫でながら、だんだんディープなキスをしていく。
『ああ、興奮する。』則夫はたまらなかった。
美形の二人が、キ・スしてるなんて。
やっぱり、レズビアンって本当だったんだ。

「則子、あたしたちも。」
江里はそう言って、則夫の手をとって、ベッドルームに誘った。
『ああ、あたしが一番好きな江里と。ほんと?まさか。』
と則夫は、心で言った。

江里はベッドの毛布を半分畳んで、則夫を中央に寝かせ、
その隣に寝た。
「則子は、リードするのが好き、受身が好き?」
「経験ないから、受身がいい?」
「わかったわ。」
江里はそういうと、則夫の唇をさっと奪った。
『ああ、最高、憧れの江里がキ・スしてくれてる。』


つづく(次回は、ひとまず最終回ですが、長いエピローグがあと2つあります。)

鏡の中の大川則夫④「女装なしで女の子に見られる」

2限目が終わったとき、藤崎理江と江原陽子、寺田郁美の3人が来た。
「大川君。お昼あたし達と一緒に食べない?」と藤崎江里が言った。
「ええ?3人の美女と食べられるの!」と則夫は言った。
「美女じゃないわよ。でも、大川君、女子にもてもてよ。」と江里は笑った。

学生食堂で、定食を食べながら、理江が言った。
「今度の日曜日、大川君、あたしのマンションに来ない。
 陽子や郁美もいっしょ。
 4人でお話しよう。」
「ええ?。それすごい。美人3人に囲まれるのって。
 でも、何で俺?」
「あ、それは、大川君、何か抱えてるんじゃないかって。
 その、あたしたちも抱えてることがあるから、わかりあえたらいいなって。」
江里がそう言った。
「そう…。」と則夫は一瞬考え込んでしまった。
だが、明るいのが自分の取り柄だ。
「うん。ありがとう。行く。3人の美女だもん、絶対行く。」
そういって、則夫は笑った。



それから、3日たった土曜日の夜。
則夫は、女装をまだしてなかった。
たまには、女装を休みたい。
6月に入り、蒸し暑い夜だった。
女装すれば、夕食を作るのは苦ではない。
男では、夕食を作る気がしなくて、
則夫は外へ出ようと思った。

3本のジーンズはどれも入らなくなった。
そこで、下は、ぶかぶかの紺のナイロン地のトレーナーを履いた。
そして、上は茶のタンクトップ。
脇の下の毛は処理している。
男なら変だ。
でも、腕を上げることなんかあんまりないと思った。

着てみて困った。
乳ぶさの先がツンと突き出ていて、女の子みたいだ。
前も間違えられた。
そこで、則夫は、黄色いタンクトップを重ね着した。
まだ、つんと突き出ているが、まあいいかと思った。
そう思って、ウエストポーチをつけて、
アーケードの商店街へ出た。

歩いてみて、思ったより人に見られることに気が付いた。
やっぱり、つんとした胸の2つの出っ張りが目立つのかな。
ちょっと参ったなと思いながら、食堂へ歩いていた。

すると、赤いワンピースを着た5歳くらいの女の子が泣いている。
「どうしたの?」
と則夫は、そばに行ってしゃがんだ。
「ママがいない。」と言ってその子は泣く。
「だいじょうぶだよ。ここで待ってれば、来てくれるよ。」則夫は言った。
「名前、教えて?」と則夫は聞いた。
「カナ。」とその子は言って、
「お姉ちゃんは?」と聞く。
『ああ、また間違えられた。』と則夫は苦笑した。
「則子だよ。」
「うん。」そう言って女の子は泣き止んだ。
「ママが来るまで、しりとりでもしようか。できる。」
「できる。」
女の子は言って、それから、いろんな遊びをして、30分も過ごした。
則夫は、しゃがんでいるのが辛くなって、地面に胡坐をかいていた。

やっとお母さんらしき人が来て、娘を見つけて、泣きながら娘を抱いた。
「どうもありがとうございます。」と則夫に何度も頭を下げた。
「いえ、なんでもありません。」と則夫は立った。
「さ、お姉さんに、ありがとうをして。」とママは言う。
『ああ、また間違えられた。』
女の子は、
「お姉ちゃん、ありがとう。」と言った。
「バイバーイ。」と則夫は言った。
母と子は何度も頭を下げて、去って行った。

『そうか、お姉ちゃんなのか…。』
と則夫は、複雑な気持ちだった。
女装をしていたならうれしいんだけど…。

それからの則夫は、なんとなく、女歩きをしなければいけないような気になり、
食堂では、女の子食べをしなければならないと思い、
女の子の気持ちになって帰ってきた。
途中、店じまいした店のショーウインドウに自分を映してみた。

髪はぼさぼさだった。しかし、
いつのまに肩幅がこんなに狭くなったんだろう。
華奢な肩から伸びる細い腕。
タンクトップにこの肩や腕では、女の子に見えてあたり前だ。
いつの間に、首がこんなに細く長くなったんだろう。
いつの間に、ウエストラインがこんなに高くなったんだろう。
いつの間に、ヒップがこんなに大きくなったんだろう。
膨らんだ胸。
いつの間に、こんなに女の子っぽくなったんだろうと思った。

帰って来て、ドレッサーの前に座り、自分を見た。
タンクトップの隙間から、乳房を触ってみた。
ブラが、Bカップを越えたかもしれない。
先端を触ると、ぞくぞくと感じてしまう。
朝に髭を剃ることが、なくなった。
すねや足の毛もなくなった。
男の証が、今1cmくらいしかない。
これでは、もう女の子とセ・ックスができないかも知れない。

タマタマは、小さくなって、さわってもわからなくなった。
ショーツを普通に履いても、もう男だとはほとんどわからない。
今の自分の声は、10人中9人が、女の子の声だと思うだろう。
外で、どんなに男っぽく振舞っても、女の子に見えてしまうかも知れない。

則夫は、ベッドの上に寝た。
タンクトップの隙間から、手を入れ、乳ぶさをさわった。
そっと揉んでみると、快・感が生ずる。
もっともっともみたくなる。
「ああ、いい、感じる…。」
乳ぶさの先端に触る。
くりくりと揉んでみる。
「ああ、たまらない、感じる、ああ、いや…、いや…、ああああ。」
則夫はベッドの上でもだえた。
トレーナーに手を入れ、ショーツの中をさぐる。
ぬれている。どこから出るのだろう。
則夫は、1cmしかないPを平手でなでた。
ああ、すごい、ここがやっぱり、いちばん感じる。
ああ、どんどんぬれてくる。ここから出てるんだ。
ああ、いい、ああ、たまらない。
ああ、だれか、あたしを抱いて、抱いてキ・スして、
ああ、だれか、だれか、あたしを抱いてキ・スして、お願い。

則夫は、体を震わせ、女の子の言葉を口走りながら、絶頂に達して行った。


つづく(次回は、「3人の美女にカムアウト」です。)

鏡の中の大川則夫③「みんなのうわさ」

大学の授業が終わると、則夫は飛んで帰る。
一刻も早く、女の子になりたい。
『や~ん。待てない。』
部屋に飛び込んできて、簡易女装をする。
学生服を脱ぐと、スリップとショーツ。
ブラをつけて、詰め物で胸を膨らませる。
その上に、木綿の楽なワンピースを着る。
そして、メイクはリップだけ。薄く引く。
そうすると、気分が女になる。
鏡を見る。
やっぱり、ルミは、則夫と同じワンピースを着て、
素顔にリップだけのメイク。
それでも、ルミは十分に可愛い。
あんまり鏡を見ていると興奮して疲れる。
則夫は鏡を裏返した。
ルミとのセッ・クスは、夜だけと決めている。

部屋にいるときは、女言葉を小さく口に出す。
一人で会話してみる。
『女装で、外出してみたいな。』
『だめよ。もっとメイクが上手くなってから。』
『だって、歩き方は自信あるわよ。
 人が見てないところでは、ずっと女の子歩きや、女の子の小走りもしてたし。』
『厚いメイクはだめよ。』
『わかってるわよ。』
こんな風に、女の子タイムが楽しい。



2週間が過ぎた。
鏡の中のルミと毎夜、ある行為をしてきた。
則夫は、毎日ドレッサーの鏡を頻繁に見るので、
少しずつの変化に、気が付かなかった。

いつのまにか、則夫の背は、168cmだったものが、163cmになっていた。
学生服が、少しだぶだぶになってきていた。
髭の1本1本が産毛のようになっていた。
顔立ちが、かなりルミに似てきた。
おでこが丸くなってきていた。
ジーンズを履いたとき、おかしいなと思った。
お尻がぴちぴちで、かなり無理をしないファスナーを上げられない。
長く履かなかったジーンズの方が縮んだものと思った。
だが、ズボンはほとんどだぶだぶの学生服だったので、わからなかった。

胸が、少女のように、少しだけ膨らみ、ちくびが大きくなっていた。
(そんなことにも、毎日見ていると気がつかなかった。)
ウエストラインが、3cm上がった。
足が小さくなり、スニーカーが履きにくくなっていた。
親指くらいだったPが、小指くらいになっていた。
そして、2cmほど短くなっていた。
声は、10人の内6人が女の子だと思うものになっていた。

則夫はルミになるまでの、約半分の地点にいた。

ある夜、則夫はコンビニにお菓子を買いに行った。
ぴちぴちのジーンズのファスナーをやっと締め、
緑のサマーセーターを着て行った。
レジでお金を払い、おつりを受け取って店を出ようとすると、
後ろで声がした。
「お嬢さん、落としましたよ。」
と中年の男性に言われ、その男性は、5円玉を拾って、
差し出してくれている。
『お嬢さん?この格好で、女の子に見えるの?』
と則夫は思った。
「すいません。ありがとうございます。」
則夫は、そうお礼を言って、5円玉を受け取った。
『女装をしてないのに女の子に見られた…。』

則夫は部屋に帰って、ドレッサーの前に座った。
『昨日と変わらない。女の子に見えるのかなあ。』
と思った。
『髪が伸びたせいかも知れない。』
そう結論した。



次の日、則夫はいつものように、学生服と帽子をかぶり、大学の教室に入って行った。
「よ。おはよう。おっす。よ。調子どうだ。」
などと男子学生に声をかけ、一番前の席に座った。

その頃、教室の真ん中あたりで、
4、5人の男女の学生が小さな声で話していた。
その中に、則夫の好きな藤崎江里と仲良しの2人もいた。
「あのさ、大川なんだけど、前と変わってねえ?」
「昨日と別に変わってないと思うけど。」
「どんなふうに?」
「なんとなくだけど、女の子っぽくなってるような。」
「そう言えば、可愛くなってるかも。」
「そうだね。学生服じゃなきゃ、ぱっと見、女の子に見えるかも。」
「女性ホルモン打ってるのかな。」
「いや、背も低くなってる感じ。
 あいつ前は俺より高かった。
 でも、今は俺より低い気がする。
 ホルモンで、背が縮んだりしないだろう。」
「でも、その他の変化は、ホルモンしか考えられないよ。」
「声だって、可愛くなってない?」
「そう、可愛い声になってる。」
「ホルモンで声変わる?」
「わかんない。」
みんなで首をかしげた。



その時間の後、江里を含む女子3人は、ある相談をした。
「大川君、きっとみんなに打ち明けられないんだよ。」
「性同一性障害?」
「うん、だから、よけいあんな学生服着てる。」
「力になってあげようよ。」
「あたしたち、そういうの理解できる立場だもんね。」
「あたしたちが先に、レズビアンだって告白すれば、
 彼、きっとカムアウトできるよ。
「そうね。」
「大川君って、なんか母性本能くすぐるよね。」
「うん。言えてる。」
3人は、そう話しを決めた。



教室移動のため、則夫と親友の竹島は、校舎の裏の道を歩いていた。
道道に綺麗な自然の花が咲いている。
竹島は、何か無口だった。
「竹島、なんだよ。さっきから黙ってるぞ。」則夫は言った。
「うん。」と竹島はそれだけ言った。
「なんだよ。言えよ。俺にまずいことなのか。」則夫は言った。
「どうかな。じゃあ言うけどさ。
 ちょっと前からそうなんだけど、俺、お前に女の子感じる。
 そんな訳ねえのに、お前の隣座ると、ぱっと女の子のとなり座ってる気がして、
 上がっちゃう。俺、女の子と楽しくしゃべるの苦手だからさ。」
竹島はそう言った。

「そんなに、俺、女の子の雰囲気?」
「うん。俺、お前を可愛いと思う。だから、あがっちゃう。」
「竹島、俺のこと好き?」
「ああ。好きだ。だけど、意味がちがう。
 初めは、いい奴だと思って好きだった。でも、今は、可愛いくて好きなんだ。
 怒らないでくれな。」
「怒らないよ。俺、昨日コンビニで、知らない人に、『お嬢さん』って呼ばれた。
 俺、今、ぱっと見、女?」
「女の子の服着てたら、まず女の子に見えると思う。」
則夫は、ふと自分の心が知りたくなった。

「竹島。俺を抱いてみてくんない?」
「え?」
「頼む。俺、自分の心を知りたい。」
「いいのか。」
「お願い。抱いて。」則夫は、女の子の声と言葉で言った。
竹島は、その言葉に火がついたように、則夫を抱きしめた。
「もっと強く抱いて。」
竹島は、力を入れた。
則夫に、ある多幸感が訪れた。
女装をしていないのに、抱かれてうれしいと思った。

「キ・スしてみて。」則夫は言った。
「俺、したことない。」竹島は言った。
「俺も、したことない。だけど…。」
則夫の方から竹島の首に腕を回し、背伸びをした。
そして、竹島にキ・スをした。

唇を離した。抱かれている腕をほどいた。
「竹島、ありがとう。俺、自分の気持ち少しわかった。
 俺、竹島に抱かれて、キ・スして、胸ドキドキした。」
「そ、そうなのか?」
「うん。でも、もう少し時間をくれない?
 俺、女の子がずっと好きだったから、今の気持ちまだわかんない。」
「ああ、ゆっくり考えるといいよ。
 俺も自分のこと考える。
 則夫は、女の子に思えるだけで、男だもんな。
 俺にとっても大問題だから。」竹島が言った。

「そうだね。でも、竹島に抱かれたとき、すごい幸せだった。」
「俺は、うれしくて気絶しそうだったよ。」
二人は笑いながら、次の教室へ向かった。


つづく(次回は、「男の格好で女の子に見られる」です。)

鏡の中の大川則夫②「鏡の真の魔力」

則夫は、ふと、掃除機のスイッチを切った。
『この姿で、あの鏡を見たらどう映るだろう…。
 逆に、バンカラな学生服を着た則夫が映っているだろうか。
 しかし、あの子は、ぼくが男だと知っている。
 だから、やっぱり女の子でいるのかな。』

則夫は、掃除機を片付け、身を整えて、深呼吸をし、
例の鏡の表を自分に向けた。
そこに、則夫が見たものは、
則夫と同じ黄色いワンピースを着て、
則夫と同じ髪型をした女の子だった。
『そうなんだ…。』
と則夫は思った。

則夫は、手鏡を持ってきて、
自分の顔を映しながら、鏡の女の子の顔と比べた。
鏡の女の子の方が断然可愛い。
女の子オーラを放っていて、とてもではないが比べ物にならない。
立っていろいろ背中やウエストを比べると、
ルミの方が身長は低いが、女の子のウエストラインは高く、
細かいところが、どこもかも違っていた。
『女の子になるには、遥か遠いな。』
と則夫は思った。

則夫は、『ルミ』という女装名を、鏡の子に譲ることにした。
自分は、『則子』でいいと思った。
則夫は、鏡を前に、ジュータンに座って、ベッドにもたれた。
両膝をつけて、足は開いている。
スカートの下のももが、映っていて、ショーツも映っている。
則夫は、イケナイ気持ちになって、パンストを脱いだ。
膝を少し開けて、肢を『ハの字』に開いた。
そっとスカートを体に寄せ、自分のショーツへ手を降ろした。
『ルミ、ごめん。』
心でそう言って、ショーツの中で大きくなっているものに手を触れた。
そっとマッサージした。

ルミも同じことをしている。
それが、則夫をさらに刺激して、
則夫はショーツをもものところまで脱いだ。
ルミも同じことをする。
ルミの見てはいけないところが見える。
『ごめん、ルミ、許して。ああ、止められない。』
ルミももだえて、声はしないが、同じことを口にしているみたいだ。

則夫は、ジュータンを汚さないように、自分のあこそに、ゴムを付けた。
そして、ルミを見ながら、心を女の子にしていった。
「ああ、いや~ん、やめて、だめ、あああん…。」
ルミも、耐え難い表情をして、首を振っている。
「ああ、ルミ、いっしょ、いっしょよ、あたし、もうだめ、イくわ、イく、あ………あ、ダメ…。」
鏡のルミは、アゴを突き出し、体を震わせて、果てていった。
則夫の絶頂に合わせて。

あそこをティッシュで綺麗に拭いたあと、則夫は、急に自己嫌悪に襲われ、
鏡を裏返しにして、ベッドの上に寝た。
『ルミ、ごめん。』
そう、心で言って、
そのまま眠ってしまった。

則夫は、鏡のもう一つの魔力を知らなかった。
則夫がベッドに寝ている間に、
則夫の肩幅は、2mm狭くなり、168cmある身長が、3mm縮み、
乳房が、2mm前に出て、顔の頬がかすかに丸くなり、
ヒップは、4mm広くなり、声帯が0.1mm短くなったことを。

それは、ルミの体に、ほんのわずか近づいていることを意味していた。



則夫が、心で女言葉を使うのは、女装をしたときだけであったが、
ルミを見てから、少しエスカレートした。
女装をしていないときも、女言葉を使う。
朝、目覚ましに起こされる。
「あ~ん、もう7時?起きるのいや。」
則夫は、女物のパジャマ、ショーツを着ている。
あそこが、朝で大きくなっている。
「いや、恥ずかしいわ。小さくなって。お願い。朝はダメよ。」とか。
「今日、雨が降るかしら。」とか。
「やだ、バスに間に合わない。」とかとか。

大学には、今まで女物を身につけなかったが、
スリップとショーツを身につけ、
その上に学生服をきた。
「ああん、スリルだわ。」などと言ってみる。
女物のショーツを履いているので、立って用を足せない。
そこで、個室に入る。
みんなには、
「おお、腹痛てえ、クソ、クソ。」
などと声に出して聞こえるように言い、
心では、
「いや~ん、ここ男子トイレじゃない。あたし、女の子なのに。」
などと言ってみる。
そして、個室では、小用を足し、最後にちゃんと紙で拭く。
見られないところなので、女の子の仕草でする。

ときどき、心の女言葉に興奮してしまい、
どうしようもなくなるときがあった。



則夫の大学は、クラス制になっていて、
30人ぐらいが、ほとんどいっしょに教室を移動する。
5月末の段階で、お互いの名前をみんな知っている。
則夫はいつも、いちばん前に座ることにしている。
「よ、大川、おはよう。」
と、竹島がとなりに来た。
竹島とは、大学でいちばんの友達で、
行動を共にすることが、多い。
背が高く180cmある。
竹島は、どことなくぼーとしていることが多く、癒し系である。
「おう。おはよう。」と則夫は言った。
「俺、今日の予習してないんだ。お前やってある。」
「ああ、これ、早く写しちゃいなよ。」と則夫は言った。
英文の和訳だった。
「おお、サンキュー。」
と言って、竹島は則夫のやった和訳を懸命に写し始めた。

そのとき、則夫はいろいろ想像していた。
もし、自分が女装していて、竹島から、キ・スされたらどうかなあ。
多分、うれしいと思った。
女装してないときは、絶対NOだ。
女装していたら、ベッドで抱き合うのもOKだと思う。
でも、理想は、自分は女装で女の子と抱き合うこと。

藤崎江里。則夫が一番好きな女の子だ。
あと2人、好きな女の子がいる。
その2人と藤崎理江は、3人組の仲良しだ。
可愛い子が、3人そろって仲良しだなんて…。
則夫は、そんなことに、思いを巡らせていた。


つづく(次回は、「クラスでのうわさ」です。)

鏡の中の大川則夫①「則夫、不思議な鏡と出会う」

スーパー洋次の第3話の予定でしたが、変えました。
今日から、「不思議物」を投稿します。純女装ものです。読んでくださるとうれしいです。

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「鏡の中の大川則夫」

五月晴れの気持ちのよい日である。
大川則夫は、大学2年生。
今時の大学生には珍しく、学生服を着ている。
そして、長い髪の上に、学生帽を被っている。
これが、則夫のスタイルだった。

学生街のおもしろい店に入ってみるのが、則夫の楽しみの1つだった。
よく行くのは、古本屋だが、もう一つ古道具屋もよく覗いてみる。
古道具屋とは、最近増えたリサイクル・センターなるものとは少しちがい、
本当に見た目、古くてどうしようもないものが置いてある。
しかし、ときに掘り出し物があるのが、たまらない魅力だ。
そして、その日、則夫は大掘り出し物を見つけた。

則夫は姿身を部屋に置きたいと思い、
店の奥のガラスが置いてあるところ行った。
中には枠なしの鏡もあり、取り出して見るのが大変だ。
その枠なし鏡の一枚を少し取り出したとき、則夫はドキリとした。
大きさは、80cm×40cmくらい。
その鏡に映った掌が、少し違って映った。
女の子のような手に映っているのだ。
まさか…と思って、もう少し引き出して見ると、
自分の腕全部が見えた。
そこで、完全に則夫は、変だと思った。
黒い学生服を着ているのに、
光沢のあるピンクの長袖、縁に可愛いレース模様がある服と手が映っている。
それは、完全に女の子の腕と手だ。

『ひょっとして、この鏡は、映る人を女の子にして映す鏡。』
まさかと思いながら、則夫の胸は高鳴った。
なぜなら、則夫は女装の趣味があり、女の子になりたくてたまらないでいたからだ。
学生服を着てバンカラを気取っているのも、そんな趣味を隠すためのカモフラージュだった。
一気に全身を映してみるような、ことはしたくなかった。
少しずつ、自分を映して、やがて全身を見てみたかった。

「おじさん、これ。俺、手を切っちゃいそうだから、包んで。」
と則夫は、店のオヤジにいった。
「あいよ。」と店主は答えたものの、ジロっと則夫を見た。
「いいの?」とおじさんは言う。
「どうして?なんか悪いの?」則夫は聞いた。
「いや、ものの好き好きだからな。いいんだけど。」
「いくら?」と則夫は聞いた。
「1円だ。」とおじさんは言う。
「え?それ、厄介払いみたいじゃない。なんかやだなあ。」と則夫は言った。
「その通りさ。この鏡を気味悪がる人が多くてな。
 だが、それなりに、求める人もいるかと思って置いてるけど。
 どうも、気色悪くていけない。あんたがもっていってくれるなら、ありがたい。」

おじさんに、新聞紙でぐるぐる包装をしてもらい、
則夫は、1円を払い、家にもって帰った。

1ルーム・マンションの我が部屋に帰って、壁に鏡を立てかけて、しばらく眺めた。
自分は、どんな女の子に映るのだろう。
たまらない興奮に包まれた。

少しずつ包装を解いて、少しずつ自分を見たかったが、
途中から我慢ができなくなり、一気に包装を解いてしまった。
則夫は、鏡を見ずに、鏡の横に並ぶようにすわった。
脚だけ出して映してみた。
すると、リボンのついた白いソックスに、綺麗な脚、
そして、ピンクのスカートの一部が見えた。
『けっこう、オシャレをしているな。』と思った。

ああ、もう我慢できない。
則夫は、立って全身を映した。
そして、鏡に見とれた。
レースのたくさんついたピンクのワンピースを着ていて、
胸は四角に空いている。
そして、まさに則夫のタイプである、乙女っぽい女の子が映っている。
ストレートの髪が、頬を包むようにしている。
前髪の半分を飾りピンで留めている。
大きな目。少しキュートな唇。ツンとした鼻筋。
いっぺんでガールフレンドにしたい女の子だと思った。

鏡なので、当然則夫が手を上げれば、彼女も手をあげる。
則夫の頭にピーンと来た。
もし、自分が学生服を脱げば、彼女はどうするだろう。
だめだ、そんなハレンチなことをするな、と思ったが、
則夫の好奇心は我慢を許さず、則夫は、学生服を脱ぎ、ズボンを脱いだ。
それとシンクロして、彼女は、背中のファスナーを下げ、ワンピースを脱いだ。
そして、しろいスリップ姿になっている。

ドキンとした。
性的な欲望がむらむらと起こってきた。
則夫は、自分の平らな乳房を試しに、揉んでみた。
すると、鏡の子も、自分の乳房を揉んだ。
『ああ、だめだめ。これ以上、やっちゃだめだ。』
則夫には、鏡の子が、ちゃんと人格のある子に思えて仕方がなかった。
そんな彼女を自分の好きにしてはいけない。
その先に行くのだけは我慢して、則夫は、鏡を裏返しにした。

沸き起こった性欲を、則夫は、女装をすることで満たそうと思った。
女装のために、ドレッサーを買ってある。
則夫は、ストールに座り、鏡を見て、
「ああん、我慢できない。あたし、女の子になるわ。」
そう言った。自分を興奮させる言葉。
肩まである髪を、後ろでまとめアップにした。
前髪が可愛い。
後ろ髪から、ヘアータオルを巻いて、前髪の上で留めた。
裸になり、体にバスタオルを女の子のように巻いた。
「いや~ん、あたし、女の子。」
そう声に出してみると、さらに興奮して、あそこがバスタオルを押している。
「お願い。もうしばらくおとなしくしてて。」
則夫はあそこに向かって言った。

則夫の脚は、毎日シェーブしていて、つるつるになっている。
則夫はそのまま、シャワールームへ行った。
女装をするときは、体を清めるため、必ずシャワーを浴びる。

出てきた則夫は、また女の子のようにバスタオルを体に巻き、
ドレッサーの前に座る。
女の子のような顔に整形したいなと思う。
則夫は、女性的な可愛い顔立ちだが、本物の女の子と並べば、まだまだ男顔である。

女物の下着をつけ、パンストを履く。
パンストを履いた自分の脚がなかなか綺麗だと思う。
ブラをつけて、スリップを被るときが、一番興奮する。
「今から、ルミになるわ。待っていて。」
と則夫は鏡に向かっていう。
『ルミ』というのは、女装した自分に付けた名だ。

顔にクリームを塗って、メイクを始める。
アイメイクを終えて、最後にリップを引くときが、また興奮する。
リップほど、男を女顔にしてくれるものはないと思っている。
「さあ、いいわ。」
そう言って、則夫はヘアタオルをとる。
髪を下ろして、ブラッシングをして、
髪を左右2本にまとめた。
前髪の一部を赤い飾りのついたピンで留め、額をのぞかせる。
「いいわ。どんなお洋服にしようかな。」
箪笥の中をいろいろ見て、黄色いワンピースを選んだ。
レースがたくさんついた、フェミニンなものだ。
背中の口から中に入り、袖を通して、背中のファスナーを上げて、出来上がり。
「こんなあたし見て、あの学生服の則夫だって、わかるかしら。」
そんなことを、鏡に聞いて、わくわくする。

それからの則夫は、精一杯の女の子の仕草をして、
コーヒーを淹れたり、お菓子を食べたり、ベッドの上を片付けたりする。
部屋の掃除も、ルミになってすれば、苦ではない。
女の子の仕草をしているだけで、うれしい。

則夫は、ふと、掃除機のスイッチを切った。
『この姿で、あの鏡を見たらどう映るだろう…。』


つづく(次は、「鏡の真の魔力」です。)

スーパー変身マン・倉田洋次・第二話⑤最終回

洋子は言った。
「これから、警察に行って、自首しなさい。
 ま、その前に校長に話して、親に言うことになるかな。
 さあ、校長室へ行きなさい。
 あたしは、もう警察に届けてあるから、
 ぼやぼやしてると、警察の方から先に来るよ。」
 
7人は、校長室に飛んで行った。
群集はざわざわと話しながら、拡散し始めた。

洋子は、しばらくたたずみ、袖で涙を拭いた。

群集の中から一人走って来る。
「五島君。」洋子は言った。
彼は涙で、顔をぐしゃぐしゃにしていた。
五島は、洋子の肩に両手をあて、
「よかった。よかった。よかった。」
とうつむきながらくり返した。

洋子は肩にある五島の手を降ろし、両手でにぎった。
「五島君。あたし、おととい失った記憶がもどったんだ。
 私が死のうと思ってた夜、五島君、あたしに電話くれた。
 電話の向こうで、五島君が泣いてるのがわかった。
 五島君は言った。『何にもできなくてごめん。でも、君の味方だ。』って。」

洋子の目から涙がいっぱいあふれて来た。
「あたしね、ビルの5階から飛び降りるつもりだった。
 でも、五島君の電話のおかげで、3階から飛び降りたの。
 五島君の声を聞いて、心のどこかで、生きたいと思ったんだと思う。
 それで、助かったの。だから、五島君は、あたしの命の恩人だよ。
 どうも、ありがとう。」
「お、俺はそんな。でも、俺のあんな電話でも、意味があったってこと?」
「大ありだよ。誰も、メールすらしてくれなかったんだもの。
 五島君の生の声は、胸に届いた。うれしかった。」
五島と洋子は、互いに少し微笑み、涙を拭いた。



教室にもどると、洋子に校長室への呼び出しがかかった。
洋子が呼ばれ立ち合った。
校長室には、副校長、教務主任、生活指導主任で担任の藤崎の4人がいた。
神崎と美優は、洋子がノートに書いていたことをほぼ正直に伝えた。
余程、洋子が恐かったのだろう。
洋子は、B5のノートの内容をすべて暗記していた。
それでなくても、失った記憶がすべて戻っていた。

校長は洋子に、この件は学校内で、内内に済ませたいがどうか、と言ってきた。
それを聞いた、生活指導の藤崎は怒り狂い、机を叩いて立ち上がった。
「校長!何をおっしゃてるんですか。
 この7人がやったのは、強姦ですよ。内容的には、殺人に近い重罪だ。
 恐喝もし、傷害もし、さらにその数倍も罪の思い強姦罪ですよ。
 おそらくですが、主犯の2人は少年院送り、または、自立支援施設行きです。
 あとの5人も共犯ですから、似たような処分だ。
 内内に済ませるレベルを遥かに越えているでしょう。」

「藤崎君、わかった。わかった。君の言う通りだ。内内にすますなんて、とんでもないことだった。」
校長は、あわてて発言を撤回した。

聞いていた神埼と美優は、少年院送りと聞いて震え上がった。
神崎は、度胸の座ったワルなんかではなかった。
たまたま運動と勉強ができ、親が金持ちだということで、
親分格にのし上がった気の小さい男だった。
美優は、それをそっくり小者にしたようなお嬢様であった。
それが、「少年院送り」と聞き、自分の行く末を思って、神崎は子供のように泣き始めた。
その横で、美優はうずくまるようにして泣いた。
子分の5人は号泣の果て、あまりのショックで、茫然自失となっていた。

洋子は、すぐに警察に行かないと、警察の方から、今にも学校に来る。
自首して少しでも刑を軽くしたいなら、急ぐべきだと言った。

藤崎も言った。
「校長、学校にパトカーが5台きたら、マスコミも来ますよ。
 7人がどれだけ悪くとも、パトカーで連行されるところを全校生徒に見せるつもりですか。
 教育委員会にお伺いを立ててる時間はないですからね。」

校長は、まさに、教育委員会へお伺いを立てようと思っていたのだった。

学校長は、あわてた。手分けをして、保護者を呼んだ。
警察に連行されるかもしれないと聞いて、保護者達は血相を変えて、学校に駆けつけた。
校長は、保護者に話をすべて聞かせた。

神崎の父親は、怒り狂い、持っていた鞄で泣きながら、息子を何度も叩いた。
美優の母親は、美優の頬を何度も叩き泣きわめいた。
子分5人の母親も泣き崩れていた。
そして、保護者達は、
洋子と母の美佐江に、床に手をついて何度も謝った。
しかし、母美佐江も洋子も到底許せるものではなかった。

その後、警察まで、関係の先生と7人は、歩いて行った。
自首をするのに、タクシーでえらそうに行くわけにはいかない。
洋子と母美佐子だけはタクシーを呼んでもらえた。



警察からの帰り道、洋子は、母と二人だけで、歩いて帰ることにした。
美佐子が言った。
「ほんとに警察に届けたの。」
「昨日ね。洋子のノートに証拠物件と上申書をつけて届けた。
 洋子はね、強姦されたとき、帰ってきて、そのショーツをビニールに入れて、
 大切にもっていたの。DNA鑑定で、神崎の有罪を立証できる。
 それにね、ATMで引き出したときの明細も、洋子は、
 全部ノートに貼ってあったの。日付と日記の内容が合うでしょう。
 そういう物的証拠があったから、警察もわかってくれた。
 洋子は、ただ弱い子であったんじゃない。
 洋子は、自分で考えて、戦う準備をちゃんとしてたの。
 賢くて、強い子だよ。」
洋子は言った。

「そうだったの。母さんの方が、ずっと弱虫だったね。
 洋子が、されたことの記憶を失っていて、耐え難いことを
 思い出さなければ、それでいいと思ってたの。」美佐子は言った。
「母さん。あたしは、被害にあったことを恥ずかしいなんて思ってない。
 罪であり、恥であるのは、加害のヤツラでしょう。
 あたしは、これからも、胸を張って生きていけるよ。」洋子は言った。
美佐子は涙を流した。
「洋子。今の洋子は、洋子だけじゃないね。」母は言った。
「うん、そう。でも、洋子は全部ここにいるよ。」
と洋子は、胸を叩いた。
「わかったわ。洋子に不思議な力が備わったんだね。」
「うん。でも、一応解決したから、その力はなくなっちゃうかもしれない。
 でも、洋子は、起こったことを全部見た。
 だから、学校に行けなかった洋子は、もういないよ。
 明るくて、元気な洋子になる。」
洋子は言った。
「そうなの。きっと父さんが味方してくれたんだね。」
「うん。きっとそうだよ。だから、もしピンチになったら、
 いつでも、スーパー洋子にしてくれる。」
洋子は笑顔を見せた。

「ほら、夕日が綺麗だよ。」美佐子は言った。
「ほんとだ。」
二人は立ち止まり、夕日を見て、また歩きだした。
「そうだ母さん。あたし、彼ができたかもよ。」
「え、もう?早いわね。」
「あたしの命の恩人。」
「ええ?どういうこと?」

二人の会話が、遠く空にこだましていた。


<おわり>(次回は、第3話「ロッカーになる洋次」1話完結です。)

スーパー変身マン・倉田洋次・第2話④「神崎、屈服」

「ハエが止まるようなボール蹴ってんじゃないわよ。
 真面目にやんなよ。真面目に。みんな見てんじゃないの。
 あたしは、あんたが言った1回を突破したからね。」
洋子はそう言った。

神崎は焦った。コイツがあの奴隷の洋子なのか。
偶然あのボールを捕るのはまだわかる。
しかし、キャッチした手で、そのままボールを指の上に回すとはなんだ。
しかも、片手で。

神崎は、2回目は、渾身のボールを蹴る覚悟でいた。
自分の渾身のボールは、全国レベルだ。
指を折るか、腕を折るか。女だろうがかまうことはない。
神崎はそう思った。

神崎は助走をつけた。
そして、脚を鞭のようにしならせ、ゴールの左上のコーナーに、
全力のボールを放った。そして、地面に手をつき、地面を見た。
やった!会心のシュートだと思った。
「オーーーというすごい歓声があがった。」
その歓声は、自分へのものだと神崎は思った。

神崎はシュートが入ったものと思い込み、ゴールを見た。
そして、我が目を疑った。
コーナーに狙ったはずのボールを、洋子がキャッチし、ゴールの中央で、
ボールを指に回しながら、自分を見ている。

「まさか…。」神崎はつぶやいた。

「神崎!あたしが女だと思って、手加減なんかすんじゃねーよ。
 本気出せ、本気。」洋子が言っている。

さっきのが会心のシュートだった。
あれ以上のシュートは打てない。
神崎の背筋に恐怖が走った。

残るは一つしかない。
ゴールにしようと思ってコーナーをねらった。
当然、ボールのスピードは落ちる。
直球だ。こうなったら、捕られてもよし、女の顔にめがけて直球を放つ。
例え受けても、後ろへ飛ばされる。
そして、女を崩す。

下手をすれば、女の顔はぐしゃぐしゃになる。
女に対し、顔面をねらうのは最低だ。
自分の人気や名声は地に落ちる。
しかし、これしかない。
神崎は腹をくくった。
1200人を前に俺が負ける訳にはいかない。

神崎は、助走を多くとり、猛烈に球に向かってダッシュした。
蹴った。
唸るようにボールが、洋子の顔面めがけてまっしぐらに飛んで行った。

おおおおおおおーーーーーと歓声が上がった。
洋子は、なんと片手を顔の前に出し、びくともせず、ボールをキャッチしていた。
神崎は愕然とした。人間業とは思えなかった。
耐え難い恐怖が体を突き抜けた。

神崎は、その後2シュート、全力でシュートしたが、
どれも軽々と洋子に捕られ、結局1ポイントも取れずに攻撃は終わった。

「次は、あたしのシュートだね。」
洋子はそう言った。
神崎は、その言葉を、恐怖の塊となって聞いた。



神崎はゴール前に立った。
恐怖で膝がぶるぶると震える。
あれだけのキープを見せた洋子だ。どれだけのシュートをするか、想像がつく。
1200人もの生徒に見られている。
しかし、神崎は、自分の恥を考える余裕などとっくに失せていた。
ただ、助かりたいという一心だった。

「行くよ、神崎。」
洋子は言った。
そして、洋子は、助走もなく、ほんの膝下で蹴った。
それなのに、目にも止まらないボールが飛んで行った。
気が付けば、神崎の右頬をかすめてボールはゴールを抜けた。
だれも、ボールが見えなかった。
ただ、ゴールネットが揺れ、ボールがゴール内にあることだけがわかった。
神崎は、その場に凍りついたように、1cmも動けなかった。

1200人の生徒は、もはやしゃべることも忘れて、二人を見ていた。
この時点で、何人かの先生が、何事かと見に来た。
そして、先生達は、サッカーでは学校ナンバー1の神崎に、
女子生徒がシュートを挑んでいると見た。
これなら、おもしろい。
全校生徒が集まるのも当然。
問題なし。むしろ微笑ましいと思い、職員室に戻ってしまった。
先生の誰一人も洋子のシュートを見ていなかったことが、神崎の不運であった。

二回目。
洋子は、助走をつけるために数歩下がった。
神崎は、さらなる恐怖に落とされた。
洋子は蹴った。
ボールは、大きくゴール右上の空高く飛んでいった。
「おお、助かった。」と神崎は思った。
しかし、ボールは急に大きくカーブして、
高い空から神崎の顔面に弾丸のような迫力で飛んできた。
恐い。
神崎は、思わず両手で頭を覆い、その場にしゃがんでしまった。
ボールは、ゴールポストにあたり、中に入った。

これは悪夢か。一刻も早くこの場から逃げ出したい。
神崎は体の震えを隠せなかった。

あと3シュートもあった。
絶望的な回数だ。
次に、洋子は、かなり後ろへ下がった。
洋子が助走をつける。
『止めてくれ。』
神崎は恐怖のどん底に突き落とされていた。

洋子は、「おおおおおお。」とすごい声を発しながらボールへ向かった。
神埼には、洋子の姿が、5倍にも10倍にも大きく見えた。
恐い。耐えられない。俺は殺される!
神崎は、まだボールが来もしないのに、
頭を腕で覆って、目をつぶり、地面に亀のようにつっぷしてしまった。
洋子は、ボールの前で止まり、軽いゴロを神崎のすぐ横に転がした。
ボールは、ラインを少し越えたところで止まった。
幼稚園児でも取れるボールだった。

校庭中が静まりかえっていた。

洋子は神崎のところへ歩いて行った。
「神崎。あと2シュートあるけど、やるかい?」洋子は言った。
神崎は正座をして、震えながら両手を土につけた。
すでに神崎は失禁していた。

「いい、もういい、許してくれ。お前にやったことは、全部謝る。許してくれ。」
そう言って、額を土にこすりつけた。
「おい、美優!子分!何してんだ!」洋子は一喝した。
美優と子分等は、必死に飛んできて、美優は、神崎に並んで正座し、額を土につけた。
子分5人は、その後ろに正座して、神埼と同じように土下座をした。
洋子は言った。
「美優、神崎。子分。許してやりたいけどさ。お前ら、あたしからいくら巻き挙げた?」
「大体20万円です。」美優は言った。
「分け前を言ってごらん。」と洋子。
「俺が10万。美優が8万。あとの2万は子分等にやりました。」神崎が言った。

「悪いけど、あんた達がしたことは、まず、恐喝なのね。そして、傷害罪。
 そして、もっと重いことをした。
 子分5人が、体育館倉庫に、私を連れて行った。そこで、あたしに目隠しをした。
 子分5人は私を押え、神崎は、あることを私にしたね。
 美優が、うれしがって笑ってた。あれは、美優の声だった。」
洋子は、一筋涙を流していた。

「おい、神崎。何とか言え!」洋子は怒鳴った。
「その通りです。子分に押えさせ、やりました。」神崎が泣きはじめた。
「子分の手引きをしたのは、美優だな。」
「はい、あたしが子分にやらせました。」美優は、ぼろぼろに泣いていた。
「あたしは、その次の日、自殺したんだよ。助けられて死ねなかったけどね。
 あれが、どのくらい重い罪か知ってるかい。

 女の子によっては、ショックで一生廃人になる。
 自殺する子もいる。私みたいにね。
 だから、人を殺すのと似たような重い罪なんだ。お前ら7人、共犯だよ。
 わかるかい。」
洋子は悲しげに言った。

「はい、今分かりました。すいませんでした。」7人は言った。
子分達は、そんな認識もなかったのか、罪の重さを知らされ、号泣を始めた。

「あたしには、もう謝らなくてもいいよ。
 警察に行って、刑に服しなさい。」
洋子は、言った。


つづく(次は、最終回「事態の収拾」です。)

スーパー変身マン・倉田洋次・第二話③「美優、落とされる」

次の日、洋子は、少し早めに学校に来て、校門のところで、金子美優を待った。

美優が陰の女ボスであることを、洋子は確信していた。
かなり待った。そのうち、とうとう美優がやって来た。
美優が校門まで来たとき、洋子は、さっと美優の肩に腕を掛け、
「おはよう。」と言った。
美優は、汚らわしいものを見るような、すごい嫌悪の顔を洋子に向けた。
洋子の腕を払おうとしたが、洋子の腕はびくともしない。
美優は、『ふざけんな!』と言おうとしたが、
はじめの『ふ』と言おうとしたとき、
洋子の手が、素早く、美優の口に当てられ、美優は何も言えなくなった。
「あたしに何か言ってはダメ。五島みたいにぼこぼこにされるよ。」
洋子はにっこりして言った。
洋子の手を、美優はどうしてもはずせなかった。
強力な力だった。

洋子は、美優の口から手をはずし、
いろんなことを、一方的に話した。
そして、美優が何か言おうとすると、即座に手でふさぎ言わせない。
奴隷であった洋子だが、美優は、そんな洋子に恐怖を感じ始めていた。

1時間目が終わった。
洋子は、誰よりも早く美優のところへ行き、
「ね、トイレにいっしょにいこう。」
と誘った。
朝のことがあるので、美優は恐くて逆らえず、
もじもじしていたが、やがて、自分から立った。
クラスの生徒には、信じられない光景だった。
全員が注目していた。
洋子は、美優と手をつないだまま、歩いていく。

そして、トイレに入ったとき、
洋子は、美優の両肩に手を掛けて、
ぐっと抱き寄せ、キ・スをした。

洋子の未来社会では、相手へのセッ・クスの快感を高めるため、
脳の中に、そのようなソフトが搭載されている。
洋子は、美優に対してそれを使った。
口・付けで感じる性・的・快・感を10倍にして与えた。
美優は、3秒洋子に口・付けをされただけで、
あそこをぬらし、体をふるわせて、絶頂に達した。
そして、美優は、その場に崩れようとした。
洋子は、美優を抱きかかえ、
「美優、ごめん。あたし、美優のこと好きだから、我慢できなかった。」
とみんなに聞こえるように言った。
トイレにいた女生徒は、まるで、奇跡でも見るように、二人を見つめた。
美優が、陰のボスであることは、誰でも知っている。
そのボスが、今まで奴隷だった洋子にキ・スをされて、トイレの床に崩れようとした。



それを見た女生徒によって、うわさが広がり、
学校中の生徒に広まるのに、1時間とかからなかった。
美優の子分たちは、言い合った。
「まさか、あの美優が、あの奴隷にキ・スされて、その場に崩れてしまうなんて。」
「ウソに決まってる。ありえない。」
「でも、ほんとらしいよ。大勢見てる。」
「あの奴隷にトイレに誘われて、美優抵抗しなかったよ。」
「正直言って、あたし、あの洋子が恐い。前とはちがう。」
「まあ、様子見てみようよ。美優に考えがあるのかも知れない。」

美優に考えなど何もなかった。
じっさい洋子にイかされたのだった。

20分休みになった。
洋子は、また真先に美優のところへ行き、
「一緒に遊ぼう。」と言った。
美優は、素直に席を立ち付いてきた。
美優を、体育館裏へ誘った。
洋子が口をふさがなくても、美優は何も言わなかった。
ただ、期待に体をふるわせていた。
また、あの快・感をもう一度と美優は、洋子にすがる思いだったのだ。

体育館裏には、雨に朽ちて、ぼろぼろになったベンチが1つある。
もちろん、大勢の生徒が二人の後をつけ、体育館の角で見ていた。

洋子は、美優と並んで、ベンチに座った。
「洋子、もう一回キ・スして。」美優がせがんできた。
洋子は、パワーを10倍にしてキ・スをした。
美優は、快・感に、座ったまま体を激しく振動させた。
美優は、ひとたまりもなかった。

体育館の角で見ていた生徒たちは、まざまざと見た。
到達したあと、美優は洋子に抱きついた。
「もう一回。もう一回して。」
と懇願する。
「あたしに話しかけるとやばいよ。」洋子は言った。
「あたしはいいの。特別なの。」
「どうして、美優だけ平気なの?それを言わないと、もうキ・スしないよ。」
「言う、言う、だからキ・スして。」
洋子は、1秒だけキスをした。
「もっと。中途半端は、がまんできない。」と美優は洋子にすがり胸に頬を寄せた。
「じゃあ、言って。どうして、あなただけあたしにしゃべれるの。」洋子は聞いた。
「実は、あたしがボスなの。だから平気なの。」
美優は、何を勘違いしてか、誇らしげに言った。

『賢いかと思ったが、なんという考えなしだ。白状している相手が誰なのかわかっているのか。』
洋子はあきれ返った。

洋子はまた、少しだけキ・スをして、途中でやめた。
「あ……ん、だめ、やめないで。」美優は洋子の首に腕を回して来た。
「バックに男がいるでしょう?教えて。」洋子は言った。
「3年D組の、神崎透、美形でスポーツ万能。
 サッカー部1番のストライカー。
 健全なふりしてるけど、この学校のボス。でも、ステキなんだ。」
美優は無邪気にぺらぺらと言った。

「美優。今白状したこと、誰に言ったのかわかってるの?」洋子は言った。
美優は、ようやく自分の愚かさに気づき、はっと口を手でふさいで、真っ青になった。
しゃべったことが知られたら、神崎に何をされるかわからない…。
そんな美優を残して、洋子はベンチを立った。



洋子と美優の大スクープが、学年だけではなく、全校中の生徒に伝わった。
当然、3年D組の神埼透にも伝わった。
取り巻き連中の中で、
「なにお?あの奴隷の洋子に美優が全部しゃべった?
 信じられねえ。じゃあ、俺が出なくちゃならんのかあ?」
神崎は、そう言った。
しかし、神埼が出る必要はなかった。

表向き健全な高校生を演じている神埼は、
昼休み、ゴール前で、友達とサッカーの遊びをしていた。
そこへ洋子がやってきた。
「へたくそ!」と洋子は、神崎に言った。
回りの3年生は、信じられない言葉を聞いたと、洋子を見た。
『神崎を誰だと思っているんだ…。やべえ、この子どうなるかわかんない。』
多分、皆そう思っていた。

「お前、倉田洋子か。」神崎は、にやにやしながら言った。
「そうよ。美優からさんざんいじめられたわよ。」
「へたくそと言ったな。おもしれえ。
 PK戦5対5をやろうぜ。3点先取はなしだ。5回全部やる。
 俺のシュートを1本でも止めたら誉めてやるぜ。」
神崎は言った。
「じゃあ、あたしが先にキーパーってこと?」
「ああ、止めてみな。」と神埼はにやにや笑いを止めない。

気配を察して、校庭で遊んでいた生徒がだんだん見物に来た。
校舎内の生徒も窓から眺めている。
マンマス校で、1200人はいた。
もちろんその中に、美優や子分達もいた。

洋子は、ゴールの中央に立って、自然体でいた。
神崎は、ボールを置いた。
『手始めに、軽く脅かしてやるか。そのうち、恐怖で声も出ないようにしてやる。』
そんなつもりで、ある程度速いボールを洋子の顔一つ分横を通るように放った。
それでも、すごいスピードのボールだった。
だか、洋子には、それが、スローモーション映像のように見えている。
ボールを片手でキャッチして、そのまま人差し指の上でコマのように回した。
校庭に、すごいどよめきが起こった。

「ハエが止まるようなボール蹴ってんじゃないわよ。
 真面目にやんなよ。真面目に。みんな見てんじゃないのよ。
 あたしは、あんたが言った1回を突破したからね。」
洋子はそう言った。


つづく(次は、「神崎透 屈服」です。)

スーパー変身マン・倉田洋子・第二話②「子分達をやつける」

母から、お弁当をもらい、それをかばんに入れて、
洋子は元気よく学校へ向かった。
体に闘志がみなぎっている。

しかし、不思議だ。
洋子の心に、嫌なことをされた記憶がない。
記憶があれば、洋次はわかるはずだ。
よほどのことをされたのだ。だから、その間の記憶を失った。
可哀相に洋子、一体誰に何をされたのだ。



一本松を曲がると、広い田園地帯に出る。
そこを通る一本のアスファルト道路を突ききれば、学校がある。
道は、500mくらいか。
洋子は無性に走りたくなって、カバンを小脇に抱えた。
そして、ええええええい・・・と気合を入れて走った。
速い。信じられないくらい速い。
景色がどんどん後ろに流れ、やがて景色が線状に見えた。
はあ~、と息をつくと学校の前に来ていた。
500mを一息だ。すごい。多分、10秒足らずで走ってきた。

「おはよう!」
「おはよう!」
と洋子は、会う生徒、男女関係なしに挨拶をした。
みんな、何かとまどっている。
挨拶を返す生徒が一人もいない。
「おう、近藤、おはよう!」
と同じクラスの近藤に、男の子のように肩をぽんと叩いて、挨拶した。
「おーい。松井、しけた面してんじゃねーよ。おはよう!」
洋子は言った。
だれも、返事すらしない。とくに女子は完全にしかとだ。
『女子にボスがいる。その裏に男のボスがいる。』
洋子はそうにらんだ。
『こりゃー楽しみだ。まず、男子からいびってみよう。』

洋子は、前を歩いている秀才で眼鏡の五島に後ろから、ニードロップをかけた。
「五島、おはよう。何とか言え!」
洋子は言った。
「だれだ?まさか倉田か?」ニードロップをかけられたまま五島は言った。
「そうよ。返事返したのは、あんただけだ。他の連中はどうしったってのよ。」
「君と話すとボコボコにされる。だが、倉田。学校来れるようになったのか。」
「そうだよ。」
「そうか、よかったなあ。」
五島の言葉に心がこもっていて、洋子は感じ入り、ニードロップの手を緩めた。
「ごめん。これ以上話すとやられる。」
五島は、洋子の腕を振りほどき、走っていった。

昇降口に入り、靴箱を見ると、すでに自分の靴がない。
洋子は、靴を脱ぎ、それを手に持って、ソックスのまま校舎に入って行った。
そして、2年B組に入った。
自分の席がわからない。

仕方なく、洋子は担任が来るまで、後ろの黒板にもたれ、待った。

担任の藤崎は、体育会系。洋子を見るとうれしそうな顔をして、
「倉田。来たか。よし。」と言った。
「先生、あたしの机がありません。」
と洋子は言った。
「そこの開いている席だ。」
洋子は、教室に入ったときに、一目で、すべての机椅子をチェックしていた。
「先生。その机にひどい落書きがあります。彫刻刀で「死ね」と彫った字もあります。
 椅子も同じです。先生は、あたしがどうせ来ないと思って放って置いたんですか。」
担任の藤崎は、あわてて机と椅子を調べに来た。

「倉田、すまん。これは俺の怠慢だ。許してくれ。点検を怠った。
 倉田がいつ来てもいいようにするべきだったのにな。
 勇気出して学校来て、こんな机が待ってるようじゃ、たまらんよな。」

藤崎はひどく反省し、急いで2、3人の生徒を連れて、新しい机と椅子を持ってきた。
洋子は藤崎に悪い感情を抱かなかった。



その日の2時間目の20分休みの後、五島がぼこぼこに殴られて、教室に来た。
洋子は飛んで行った。
「五島。あたしとしゃべったからか。そうだな。そうなんだな。許せん。」
洋子は、クラスにいた女子を一人ずつにらんだ。
目をそむける人間があやしい。
5人、ぶーたれて、横を向いていた。コイツらが子分か。

同時に、さも自然に何事もなかったようにしているのが一人。
多分、コイツが女ボスだと思った。
金子美優。美貌で頭もいいヤツだ。
しかし、洋子は、いじめられた記憶を喪失している。

アタックしようか、蜘蛛のように網を張って待っていようかと思った。

すると、昼食の時間、母が作ってくれた弁当を食べていると、子分達が自らやって来た。
(わかりやすいヤツラだ。自分達からのこのこと。)洋子は思った。
「洋子、よかったね、学校来れて。」とA。
「あたしたちが、また楽しい学校生活にしてあげるね。」B。
「それが、ずっとつづくといいね。」C。
その間、DとEが、洋子の後ろに回り、洋子の椅子を引こうとしている。
机ごと、弁当をひっくり返す気だ。

洋子は、母からの大事なご飯だったが、10粒だけ無駄にさせてもらった。
洋子は、目にも止まらない速さで、ご飯を一粒ずつ、5人の鼻の奥深くまで、
爪ではじき飛ばした。
5人は、はっとしたが、何があったかわからず、クシャミを始めた。
何度でもクシャミが出てくる。もう、止まらない。
保健室に逃げ出して行った。

(まあ、このくらいで、いいか。)
そう思って、洋子は、それ以上は何もせず、その日は家に帰った。



夕食が、何事もなく、明るい話題に包まれて終わった。
洋子は、今日も食器を洗い、自分の部屋に行った。
洋子は探した。
何か日記のようなものがあるはずである。
案の定あった。
サイドの引き出しの一番下に、B5サイズの日記があった。
そこには、いじめられた内容が、面々と綴られていた。
日付、時間、した奴の名前が、正確に記入されていた。

洋子は、いじめの果てに、強姦されていた。
そして、その夜にマンションの3階から飛び降りて自殺を図った。
未遂に終わったが、そのときにいじめられた記憶を失った。
ノートの最後には、死のうとする前の、家族への言葉が一人ずつに
綴られていた。

洋子はさめざめと泣いた。
同時に、失った記憶が戻ってきた。
心は怒りに狂った。
金子美優の名前はなかった。
アイツは、陰に隠れて絶対出てこない。
さあ、どうやって、白状させるか。
洋子は、怒りに燃える胸を沈めながら、思案に暮れて眠りに堕ちた。



次の日、子分の5人は嫌がらせには来なかった。
おまけに、洋子と目を合わさないように、こそこそとしていた。
その日、洋子は学校では、何もせず、帰宅して、警察への「上申書」を仕上げた。
それがないと、警察はなかなか動かない。
洋子は、その上申書と、洋子のノートと、もう一つ見つけた洋子の強力な証拠物件をもって、警察に行った。その証拠物件とは、洋子が犯された後にも履いたショーツだった。
それは、ビニールに入れて、机の奥に隠されていた。

刑事に会い、洋子に起こった事の全てを、話した。
刑事は、そのショーツがあれば、DNA鑑定で、犯人を特定でき、早い段階で逮捕状を出せるだろうと言った。
刑事は、もう一つ、
「どうして、もっと早く警察にこなかったの。」と聞いた。
「自殺をしたときに、恐かった期間の記憶を失っていました。」と洋子は言った。
刑事は納得した。



次の日、洋子は、少し早めに学校に来て、校門のところで、金子美優を待った。




つづく(次回は、「洋子、美優を落とす」です。)

スーパー変身マン・倉田洋次 第2話①「アタシをいじめるのは誰だ!」

今回は、5回に分けて投稿します。女装があまり出てこないです。読んでくださるとうれしいです。

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「第二話」「アタシをいじめるのは誰だ!」

洋次は、温かい家族のいる家に帰って来た。
洋次の父は5年前に他界した。
上に弘子、下に美佐、玲の2人の妹がいた。

「ただいま!」と声をかけて入った。
「どうしたの?ちょっと元気ないわ。」
と母の美佐江が言う。
「うん、ちょっといろいろあってね。」
「いやなこと?」
「いや、いいこと。いいこともけっこう疲れるんだよ。」
食卓は、もう出来かかっていた。
「食事の前に、風呂入っていいかな。」と洋次は言った。
「早くね。」と母。

洋次は、風呂の前に、トイレに入った。
お腹の調子が少し変だった。
トイレから出て、風呂場の着替え場に来て、ドキンとした。
「あ、また、女になってる。」
こんな家庭のトイレでも変身してしまうのか。
しかし、この変身は何か意味がある。そう思った。

自分を見ると、すでにパジャマに着替えている。
ピンクに赤いハートがたくさん描かれたパジャマ。
純女物。
そして、手に着替えの下着を持っていた。
待てよ、これから裸になるのか?
いいのかな?洋子の女の体見ちゃって。
いけない気がする。
できるだけ見ないで入ろう。

洋次は、上を見ながら、パジャマを脱ぎ、
ブラをはずし、
ショー・ツを脱いで、中に入った。
体を見ないようにして、体を洗い、湯船に入った。
ちょっと肢が見えた。長い綺麗な脚だ。
そうだ、顔くらい見ておかなくちゃ。
湯船から体を伸ばして鏡を見た。
高校生くらいになっている。
可愛い。スタイルもよさそうだ。             
けっこういい女だ。うれしいな。
ああ、肩までの髪をぬらしてしまってる。
あがったら、肩にタオルを置かなくちゃ。

体にバスタオルを巻いて外に出た。
胸の膨らみでバスタオルが下に落ちない。
(男でそっとやってみたときは、落ちた。)
ああ、感激。
超ミニのように見えるバスタオル・ワンピースから、
色っぽい長い脚が出ている。
洋次は、思わず興・奮してしまった。
あ、そうか。女の子が興・奮すると、
あそこが、大きくなるわけではない。
代わりに、じゅわんとある液体が分泌されるのだ。
ああ、これ、身が持つかなあ…と洋次は思った。
会社で洋子になったときは、
こんなエッ・チなこと思いもしなかったのに。

洋次はその「じゅわん」をタオルで拭き、
下着とパジャマを着て、食卓に付いた。
みんな、そろっていた。

洋子は、会社で大手柄を立てたので、
「今日はどうだった?」
と誰かに聞いて欲しかった。
しかし、誰も聞いてくれない。
『なんか変だぞ。』と洋次は思った。

しかし、なんとなく明るい会話が続いて、食べ終わり、
食器を片付けた。
母の美佐子が、食器洗いをしようとしたので、
「母さん、あたしがやる。」
と洋次から、自然と洋子の声が出た。
母は一瞬とまどったようだ。
いつもの洋子はそんなことやらないのだろうか。
『しかし、この洋子はやるんだ。』洋次はそう思って食器を洗った。

洗いものが終わって自分の部屋に入った。
「うわあ~。」と洋次は思った。
典型的な女の子部屋。
流行りの女の子のグループ歌手のポスターはいいけれど、
あのアジアの青年のポスターを見て、あれあれと思った。
全然興味なし。
はずすと、洋子が怒るだろうな、と思った。
まあいいか。

時刻は9時。
明日の勉強をしなければ。
そう思い、だんだん洋次は気が付いてきた。
自分は、会社員ではない。
高校生だ。
机に教科書やノートが並んでいる。
かばんを見るとからっぽ。
机に携帯がある。
可愛いストラップがたくさん付いている。
やっぱり女の子なんだなあと思った。

ああ、疲れた。今日はもう寝るかと、ベッドに横になった。
布団を被って、明かりを消した。

はたと思った。
体は女の子なのに、意識は洋次で男だ。
会社では、意識も女の洋子になっていた。
これは、神様のくれた意識の時間的ズレだろうか。
洋子の意識が、まだ完全にやって来ていない。
『今、洋子を触るのは自由だ。』
そう気が付くと、洋次は眠れなくなった。

洋次は、とうとう布団を脇に置いた。
ちょっとだけ、洋子ごめん。
そう心で言って、洋次は胸に手を当てた。
柔らかいお饅頭のようなち・ぶさ。
ああ、いいなあ…そっともんでみた。
『ああ…。』という可愛い声を洋次は心の中に聞いた。
洋子の声だ。
洋子、いいんだね。洋子も気持ちいいんだね。
洋次はそう心に言って、胸を大胆にもみ始めた。
『あ…、い・や・~ん、あ・ア、いや・ア・ア。』
洋子が気持ちがいいと言っている。
洋次は胸のトップをもんでみた。
『あ………。』と声。
洋次の下・半身が、じゅわ、じゅわっとぬれてきたみたいだ。
洋次は、先・端をくり・くりともみ、ときどき爪を立てた。
『あ…、あ…、いい、あ……ん。』と洋子の声が激しくなっていく。

洋次はとうとうたまらなくなり、下半・身に手を伸ばした。
そこは、驚くほどうる・んでいた。
中指を、そっとあて、次第にこす・るようにしていった。
「あ、ア、あ、ア、あ。」と洋子があえぐ。
たまらない快・感が洋次にも襲ってくる。
ああ、すごい、女の子ってすごい。
洋次は、我を忘れた。
激しく指をうごかし、体をふる・わせ、
もっと激しくうごかした。
信じられないくらいのかい・感に包まれ、
「あ………あ。」と心の声をあげながら、
洋次と洋子は一体となって、陶・酔の高みまで上昇した。



すがすがしい11月の朝だ。
洋子ぱっと起きて、朝の体操をした。
髪を、左右ゴムでまとめた。
セーラー服を着た。
(高校でもセーラーなのかと思った。)
携帯で曜日を確かめ、時間割をそろえる。
朝食に下に下りて行く。

「おはよう!」と元気よくみんなに挨拶をした。
すると、みんなが、驚いたように自分を見る。
「洋子、お前…。」と母が用意の手を止めた。
「みんな、どうしたの。」洋子は聞いた。
「だって、おねえちゃん、学校行くの?」と末の玲が行った。
「行くと変なの?」洋子は言った。
「いいよ、いいよ、なんでもない。ね、みんな、なんでもないよね。」
姉の弘子がそう言うと、みんなは、うんうん、なんでもないと作り笑顔で言った。

母が、小さな声で姉の弘子に言った。
「弘子、どうしよう。お弁当足りない。」
「あたし、どうにでもなるから、回して。」弘子は言った。

『そうか…。そんだったんだ…。』
洋次は悟った。
『洋子は、不登校の子だ。だから、自分は今洋子になっている。なるほど。』
理由がなければ、変身はしない。
何があるのかは知らない。
洋次は、洋子のために立ち上がろうと決意した。
昨日までの自分とはちがう。
きっと敵がいる。そいつらをやっつける。
洋次に闘志がむらむらと沸きあがった。


つづく(次回は、「洋子学校へ行く」です。)

スーパー変身マン・倉田洋次 第1話後編「洋子、推理のミスを突く」

洋子は、仕事を始めた。
みんなにバレないように「洋次」のスピードでやっていた。
しかし、遅くて遅くて、じれったくてたまらない。
とうとう、じれったさに負けて、1時間で仕事を終えてしまった。
後の時間何をすればいいのだ。
デスクを立つと、百合子にどやされるだろう。
ああ、仕事もなしに、デスクにただいるなんて、何たる苦痛だろう。
洋子は、そう思った。

そして、洋子は、とうとうその苦痛に耐えかねて、百合子に原稿を渡した。
「うそ!」と百合子は目を丸くした。
そして、一見しただけで、赤が方々に入っている校正に、百合子は激怒した。
「あなた!私が1つでいいと言った腹いせに、やぶれかぶれに赤を入れたわね!」
「質問してくだされば、赤を入れた理由を説明をします。」
洋子は首をすくめて言った。
百合子は、かっかとして、洋子の校正原稿をもって自分のデスクに行った。

校正は、3人の校正者で3回見ることになっている。
洋子のした校正を見るのは、次に百合子だ。
百合子は、校正に関しては、プロ中のプロである。
普通では、信じられない速さで文字を読む百合子であった。

百合子は、ぷりぷりしながら、斜めに腰掛け、
洋子の原稿を、手に持って眺めていた。
そのうち、百合子は姿勢を変えた。
原稿を机に置き、姿勢を正し、
前のめりになって、原稿を見始めた。
百合子は、洋子の校正した原稿のたった1ページにもたもたしていた。
百合子は、洋子の記した赤の半分も理解できなかったのである。
ふざけたものでないことは、一目でわかった。
百合子の威勢はだんだんとどこかに消え、
デスクの前で真顔になって、洋子の校正に取り組んでいった。

百合子は、ふと洋子を見た。
洋子は、乙女チックな前髪を、下唇を出して、ときどきふーっと息で吹き飛ばしながら、
童女のように、ストラップをいじっていた。



百合子は、ある段階に来て、自分の力の限界を感じた。
まさか、第一校正として、ここまで水準の高いものに出会うとは思わなかった。
1時間ほどが過ぎて、百合子は、謙虚な気持ちで、ギブアップした。

百合子は恐る恐る洋子のところに来た。
洋子は、あわててストラップを隠した。
百合子は聞いた。
「た、例えばよ。ここだけど、どうして赤なの?『蘇る』は、この字であっているでしょう?」
百合子は、そう言った。声に勢いがなかった。

「あ、それはですね、100ページの中で、『よみがえる』は7回使われていて、『甦る』が使われているのが6回、最後から2番目に1回だけ『蘇る』になっています。山崎先生のことですから、二つの漢字の使い分けに意図があるのかと読みましたが、とくにそれは感じられませんでしたので、すべて、「甦る」に統一しました。
また、長編なら別ですが、100ページ相当の短編で、「甦る」のような印象度の高い漢字を7回も使うのは、どうかと思い、末に一筆書いておきました。」
洋子は、言った。

百合子は、打ちのめされた。
これほどまでの校正を自分はしたことがない。いや、できない。

百合子はもう一つだけ聞いた。
「この推理小説に数学者が出てくるわよね。
 その数学者の書いた数式の『n』にあなたの赤がある。これは?
 いやしくも、著者は、T大の数学の教授よ。その数式に私達が赤を入れていいものかしら。」
「あ、その数式は展開されてますよね。正しく書かれているなら、
その4番目の式の、『n』は『n2』になるはずです。
 書いた方の単純な筆記ミスだと思います。電話で確認してください。」
洋子は空でするすると言った。

「あなた、この数式がわかったの?大学の博士レベルの数式よ。」と百合子はさらに聞いた。
「一応やってみただけです。ちがっているかも知れません。
 それから、この推理小説は、推理にミスがあって、可能性が最後に2つ出てきてしまいます。
 これでは、犯人を一人に絞れません。著者の方に、再考をお願いした方がいいと思います。」
洋子は言った。
百合子は、口をぽかんと開けたまま、洋子を見つめた。
相手は、今をときめく知的推理小説家である。
明晰な論理を貫き、読者に知的興奮を誘って止まない超知性派の作家である。

「洋子さん、ほんと?だったら、この方に電話して、社に来ていただくわ。
 この方、大学の数学の教授なの。
 あたしじゃ太刀打ちできない。
 洋子さんが、直接話して。」



百合子は、小説の作者・山崎三郎に電話した。
山崎三郎は、48歳の今を盛りとする数学者であり、推理小説作家だ。
山崎は在宅で、百合子は、「n」は「n2」ではないかと指摘した。
山崎は、仰天した。そして、全くその通りだと言った。

さらに、百合子は、推理が完成していないと、第一校正の者が言っていると言うと、
山崎は、すぐにでも、その校正者と話したいと言った。

洋子は、電話に呼ばれた。
「倉田洋子と申します。
 それでは、申しあげます。
 この作品の85ページ目に、犯人を特定する鍵となる数式が出てきます。
 数式を展開する中で、5行目の展開に『複素数』の存在を考えますと、
 やがて、それは2乗され-1となります。
 第3式で、すでに「無意味」として除外された『-1』を残しておけば、
 やがて、乗法の関係にあるそれと結びついて『+1』となり、
 最終の答えが、1とならず2になると思います。
 最後に、1とならなければ、犯人を1人に特定できないと思いました。」
洋子は言った。

電話の向こうで、山崎が驚嘆している声が聞こえた。
「いやあ、ありがたい。ここまでの校正をやってくださるとは、
 夢にも思いませんでした。あなたのおっしゃる通りです。
 数学者でありながら、複素数の存在を忘れるとは、赤面の至りです。
 これをそのまま世に出していたら、私は、世間に大恥をさらすところでした。
 助かりました。ありがとうございます。原稿は、全面的に書き変えます。」
山崎は興奮を隠さない声で、そう言った。

電話は、百合子に戻り、山崎は、百合子に洋子を絶賛し、会社への厚い感謝の言葉を述べた。

課の全員が、洋子の説明を聞いていた。
みんな、夢でも見ているような面持ちで、洋子を見つめていた。

電話を切った百合子は、満面の笑顔で洋子を抱きしめた。
「あなたって人は、もう、なんて人なの。ありがとう。
 これで、山崎さんの作品は今後全部うちに来るわ。大手柄なんてものじゃないわ。」
洋次は、ほのかに好きだった百合子に抱きしめれて、天にも昇る気持ちだった。

「洋子さん。もうこれからは、あなたに敬意をもって接するわ。
 どうして急にスーパー社員になってしまったの。
 部長にも社長にも、あなたの話を自慢して歩くわ。」

「あのう、今日は、少しお腹が痛くて、これで帰っていいでしょうか。」と洋子は言った。
「いいわよ。エネルギー使ったでしょ。もちろん、課長も聞いていて、わかっているわ。
 ね。課長。いいですよね。」
課長は、にこにこして、うんうんと首を振った。

洋子は、後悔をしていた。
ああ、パワー全開しちゃった。これから、どうしよう。

洋子は、女子トイレに入り、男子トイレから、洋次となって、
カバンを下げて、とぼとぼと社を後にした。


<第1話 終わり>

(次回は、第2話「オレをいじめるのは誰だ!」です。洋次は女子高生になります。)

スーパー変身マン・倉田洋次 前編「倉田洋子誕生」

「スーパー変身マン・倉田洋次」第1話《前編》

えー、私もだんだん焼きが回ってきまして、SFの後は、「超人物」であります。
もう、これは破れかぶれですね。でも、一生懸命書きました。
読んでくださるとうれしいです。

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倉田洋次が、自分が未来世界から間違って派遣された
「スーパー機能クローン」だと知ったのは、23歳のときだった。
クローンであるから、人間と同じであって、
お腹もすくし、排泄の要もある。
しかし、洋次には、恐るべきパワーと、知能が搭載されていた。

洋次は、大学を出て、ある出版社に勤めた。
今は、10月、入社してから6ヶ月になったが、
仕事が極めて遅かった。

「もう、倉田くん、いい加減にしてよね。
 その校正、3週間前からの依頼なのよ。
 100ページもあるのに、どれだけ進んだの?」
直属の上司である、25歳の近藤百合子にせっつかれた。
百合子は美人で、洋次の好きなタイプなのに、
キツイのが玉にキズだなあと洋次は思っている。

「すいません。今、やっと25ページ…。」
洋次は首を引っ込めるように言った。
百合子の手に持ったノートが丸められ洋次を襲ってくるからだ。

「あのね、あなたは知ってるかどうか知らないけど、
 この作品は、あの「すべてはKより拡散する」をお書きになった、
 数学者、山崎先生のものなの。
 極めて論理的な方で、めったにミスをなさらない。
 校正なんか要らないくらいな方なの。
 だから、勉強にと思って、倉田君に第一校正をさせてあげてるの。
 一つでも、ミスを見つけたら、誉めてあげるわ。」
「ええ?そんな偉い方の、ぼくやってんすか。
 どうりで、いくら見ても、ミスが見つからないと思った。
 ミスがないと、つまんないすよ。」洋次は言った。



洋次は、「はあ~あ。」とため息をついた。
出版社なんて、自分に向いてなかったのか。
作家の書いた小説の校正をするのが、洋次の主な仕事だ。
本が好きだからと思って入ったが、
現実は、本が好きか嫌いかなど関係ない。

洋次は気分転換にトイレに立った。
トイレに来て、小用だから立ってできるが、
しばらく個室で休みたかった。
『ほっとできるのは、トイレの個室だけとは。』
トホホと洋次は、またため息をついた。

休憩にも限度があると思って、個室のドアを開けたとき、
「うそ!」と洋次は思わず、個室にもどり鍵をしめた。
トイレに女子社員がいた。
しかも、個室の正面も個室だった気がする。
男子が立ってするための便器もなかった気がした。
ここは、女子便所なのだ。

これは、自分が間違って、ぼんやりと女子便に入ってしまったのか。
洋次は焦った。
だが、ふと見ると自分は、スカートを履いて、ショーツ、パンスト、そして、女子の靴を履いている。
股間に男の証がない。
胸を見て、どきりとした。
会社の女子社員の制服を着ている。
白いブラウスに、紺のベスト。
胸を触った。膨らみがある。
髪が長い。
洋次は、段々と自分を把握して来た。

体が、女になってしまっている。
洋次は、個室のドアに耳をつけ、
人の音がしなくなるのを待った。
そして、人の声が消えたとき、
「それ!」とばかりに、個室を出た。
そのまま外に逃げようと思ったが、立ち止まり、
トイレの鏡に映っている自分を見た。

女だ。女になってしまっている。
しかも、可愛い。
肩にかかる髪。
少女のような前髪。少し分けた隙間に、丸い賢そうなおでこを見せている。
洋次は、感動した。19歳くらいに見える。

洋次は、小さいときから、女装の趣味があった。
姉に内緒で女物の下着をこっそり着たりした。
女の子になりたいと、どれだけ願ったことか。
それが、鏡の中に本物の女である自分がいる。
ああ、うれしい、と洋次は奇跡だと、歓喜し、
トイレの中で、手を広げて、くるくる回っていた。

その内、一人の女子社員が入ってきた。
「あら、洋子さん。百合子さんが、
 かんかんに怒っていたわよ。
 一体どこで油を売ってるんだって。」
「え、そうなの?やだ、ああ恐い。」と洋次は言った。
そして、ドキッとした。声も女だ。
女の言葉をすらっと話した。

その女子社員は、自分を見ても、なんの驚きもせず、
自分を「洋子」と呼んだ。
どうやら、洋次が洋子になり、座敷ワラシのように、
洋子を前からいた社員のように、見ている。

洋次は、試しに、自分のデスクに戻って見た。
そこに、百合子が鬼のように立っていた。
「仕事も終わってないのに、何サボってるのよ!」
百合子にこっぴどく叱られた。

どうやら、洋子になって洋次のデスクに座っても、
なんの支障もないらしい。

「ひ、一つ見つければ、いいんすよね。ひとつ。」
と洋子(以後、洋子)は、ごまかすように百合子に言った。
「そうよ!」と百合子の恐い声。

洋子は、ワープロで打たれた、懸案のA4・100枚の原稿を見た。
25ページはやった。
そのとき、洋子は、原稿を見て驚いた。
そのページの文章のミスが、一目見た瞬間にわかった。
百合子は、1つでいいと言ったが、
第1ページですでに、4箇所ミスがあるではないか。
そして、自分が済ませた残り24ページも、
見逃した校正が75あることもパラパラと見ただけでわかった。

洋子は、そのときある仮説を立てた。
スーパーマンのように、自分は今、人力を越えた能力をもっている。
女・洋子になるには、男子トイレに入ればいい。
出たときは、洋子になって女子トイレから出てくる。
逆に女子トイレに入れば、自分の意志によって、洋次に戻れる。

同時に思った。
この能力は、あまり知人の前で見せてはいけない。
昔から、超能力者は、人から疎まれ、たいてい悲劇が待っている。
100ページの校正原稿。
たぶん、20分で終わりそうだ。
しかし、20分で終わらせてはいけない。

それにしても、なんという能力だろう。
1ページを瞬時に読んでしまえる。
洋子は、3ページ目に出てくる人物の名が「啓治」となっていて、
その後一度も登場せず、
97ページで、やっともう一度出てくる同じ人物の名が「啓次」となっている間違いを、
一読しただけで気が付いた。

試しに、校正のレベルを上げてみる。
例えば、ある同じ状態下の猫の目を形容するのに、
同じ表現が3回も使われているとき、これは、まずい。
接続語も近い文中での重複は、避けたい。
また、あえて漢字をひらがなで書いたのなら、
最後まで、その漢字はひらがなで書くべきである。
読者の60%が読めない漢字はルビを振るか、
ひらがなにすべきである。
『しかし』と使うなら『しかしながら』などと後で使うべきではない。
言語レベルは、全体に統一していなければならない。
さらに文の長短、リズムも考慮にいれる。
このように、校正のレベルを上げれば、
例え、完璧な文を書くと言われる山崎の原稿でも、
いくらでも校正の箇所は見つかるのだ。

相手は、超論理派の数学教授か。
よし、校正レベルを最高値に上げて、
全力で校正するぞと、洋子は闘志を燃やした。


後編につづく(次回は、「洋子、推理のミスを突く」です。)

SF「4次元女装サロン」④最終回

クミと食事をして、少しお酒を飲んだ。
「ねえ、クミは、普段はどうしているの。」幸夫は聞いてみた。
「あたし、あたしも、クミと同じ。
 違う年代からやってきて、アルバイトをしてるの。」とクミは言う。
「じゃあ、今の姿は、クミのほんとうの姿じゃないの。」
「うーん。聞いて欲しくなかったけど、そうなの。
 あたしも、ユキのほんとうの姿、知りたくないわ。」クミが言う。
幸夫は、自分は、45歳の男ですとは、言えないと思った。
きっと、クミをがっかりさせる。
「クミは、レズビアンのお姉様専門なの。」と幸夫は聞いた。
「ユキは、どうなの。可愛い女の子専門?」
「今日は、とりあえず。」
「次は?」
「ええっと、クミみたいなのも、いいなあって。」
「丘すより、丘される方がいいわよ。」
「あ、そうね。今日うれしかった。」幸夫は行った。
「ユキ、丘すの上手だったわ。」
「それ言われると、恥ずかしい。」
「あ、ちょっと男が出た!」
「そうお?」
などと、とりとめのないことを話した。



変身サロンに戻った。
「お楽しみいただけましたか。」とミス・カノウが言った。
「ええ、もう最高でした。」幸夫は言った。
会計を済ませ、クミと抱きあって別れを惜しんだ。

カプセルに入り、45歳の幸夫にもどり、
エレベーターで、現代に来た。

女の子の体体験をした幸夫が、まず始めに思ったことは、
家にかえって、妻である典子を、思いきり抱いてやりたいということだった。
クローンのユキは、絶頂に行ったが、幸夫自身は、何もされていない。
あの興奮の記憶が、今、幸夫の体を熱くしていた。

家に着いたのは、午後の5時だった。
「あら、早かったわね。」と典子に言われた。
「子供達は?」
「今日は、二人ともオールで帰ってこないわよ。」
「じゃあ、典子。」
そう言って幸夫は、典子を抱きしめた。
「あなた、どうしたの?」
「いいから。」
幸夫は、典子を抱き上げて、ベッドルームへ連れて行った。
そして、自分が女の子として、気持ちよかったことを次々とした。

「あなた、あなた、ステキ、ああ、気が狂いそう…。」
典子は、クミよりも激しい反応をした。
そう言えば、あのクミは、美人の妻である典子にどこか似ていた。
まあ、それもよし。
『ああ、年中女である典子はいいなあ。』
そんなことを思いながら、幸夫は、3回目の絶頂へ、
典子をいざなって行った。


<おわり>

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《エピローグ》

45歳の幸夫が、エレベーターで行ってしまったあと、
クミは、
「それじゃあ、わしもそろそろ帰るとするか。」
とミス・カノウに言った。
クミの綺麗な声とは似つかない言葉だ。
「今日はいかがでしたか。」とミス・カノウ。
「いやー、それが、最高じゃったな。
 可愛い子でのう。テクニックも見事じゃった。
 わしゃ、3回もいかされたがな。」とクミは笑った。

「いくらクローンの体でも、精神に影響しますからね。
 ご無理はなさいませんように。」とミス・カノウは言った。
「今度はわしも、あのくらいの娘になってみようかの。
 セブン・ティーンはええのう。」
「ベテランでいらっしゃるお客様は、
 ぜひ、お姉様をやってくださいませ。」ミス・カノウは言った。

 やがて、カプセルが来て、クミは中に入り、記憶の移動が行われた。
 もう一つのカプセルから、腰の曲がったおじいちゃんが出てきた。

 ミス・カノウは思った。
 『ユキは、これを見なくてよかった。』




※次回はネタがなくて、もう破れかぶれ、「スーパー女装マン誕生」です。
 もう、私、めちゃくちゃになってます。トホホ。読んでくださるとうれしいです。

SF「4次元女装サロン」③「深く女の子になる」

クミの指が、胸の突起をくりくりとつまんだとき、
幸夫は声を出さずには入られなかった。
「ああ、お姉様、やめて。」
自分でも驚くほど、女の子的ないい方ができた。
「やめないわ。あなたが、完全に女の子になるまで。」
クミはそう言うと、ユキのセーターの下から手を入れ、
ユキのセーターもブラも上にあげ、直接ユキの胸にタッチしてきた。
「ああ、あたしは女の子。もう、女の子になってるわ。」幸夫はそう言った。
「まだ、女の子の声をあげてないわ。」とクミが言う。
「あげてるわ。ああ、お姉様、やめて、あたし、感じる。」
「あそこは、どうなってるの?」
「そ、それは、はずかしい。」

鏡を見ると、背の高い美人のお姉様が、可愛い妹をいたぶっている。
ああ、興奮する。もっとして、もっとして。
幸夫は、心で叫んだ。
「びしょぬれになるといけないわ。」
そういうと、クミは、幸夫のショーツを下に降ろした。
「あ、いや。」と幸夫から、言葉が出た。
反射的な言葉だった。ああ、心が女の子になっていく。
靴を脱がせ、ショーツをとり、クミは、幸夫の手を引いて、ベッドに座らせ並んだ。
クミが、幸夫を引き寄せ、あっという間に、幸夫の唇を奪った。
「あああ…。」
ぞくぞくするような快感が、幸夫の背に走った。
初めて体験するような甘味なキスだった。
丘されている少女の自分が鏡に映っている。

唇を離したクミは、幸夫のスカートの中に手を入れてきた。
すでに、ショーツはない。
「ああ、ダメ、お姉様、ダメ。」言葉が反射的に出る。幸夫は自分自身に驚いていた。
「なにが、ダメよ。もう、びちょびちょよ。」とクミが言う。
「そんないい方しないで。恥ずかしい。恥ずかしいわ。」
心が女の子になって行くことの陶酔感。
なんという味わいだろう。45歳の幸夫は、歓喜に震えた。

ユキのぬれた部分の回りを何回もあいぶされ、
やがて、もっとも敏感な部分にタッチされた。
「ああ。」と幸夫は背を反らせた。
なんという快・感だろう。これが、女の子の快感なのか。
男の感じるものの、数倍、いやもっとだ。
だが、それだけではなかった。
クミの指が速まっていき、快感がさらに押し寄せてきた。
幸夫は、激しい声を出さずにはいられなくなった。
「ああ、ああ、いや、いや、ああ、お姉様、いや…。」
幸夫の声が、1オクターブ高くなり、
早いあえぎ声になっていく。
すごい快感だった。
もう耐えられない、もうだめと思い、
「いく、お姉様、いく、あたし、いく、ユキいっちゃう。」
そう声をあげ、ももをきゅっと閉じて、ユキは、背骨を何回もしならせ、
震えながら達していった。
自分がいってしまうときの顔も見えた。
これが、女というものか。
幸夫は、感動した。



クミは、絶頂のあと、ぼんやりしているユキを、
ベッドの真ん中に寝かせた。
そして、クミは、自分の服を脱ぎ、裸になった。
そして、ユキの服を脱がせ始めた。
「お姉様、あたし、もう、満足したわ。」
幸夫は、そう女の子らしく言った。
絶頂の声をあげたあとは、女言葉はなんでもなかった。
「まだよ、まだユキは、女の子を全部体験していない。」
クミはそういうと、下半身に、男の子のものがあるバンドを装着した。
ユキのあそこは、まだ十分に潤っている。
クミは、そのものを、ユキに挿入した。
「ああ、これは…。」と幸夫は理解した。

やがて、本格的なクミの攻撃がはじまった。
前後運動をしながら、同時に、ユキの最大のスポットを指でなでている。
幸夫はさらなる感激をした。
呼吸を激しくしながら、女の子の言葉を吐き散らした。
自分の発する声で、さらに燃えてくる。
クミのからだのうごきが、最大になったとき、
ユキの体は、いつの間にか、激しく動かし、クミに合わせていた。
信じられない快・感が訪れた。
これが、女の子の快・感なのか。
ああ、女の子になってよかった。
幸夫は、心の底から思った。

激しい言葉が口をついて出たとき、
クミに唇を奪われた。
「うううう…。」と、幸夫の声は、クミの口の中に入っていった。
体が壊れるほどに、ベッドの上であばれ、
幸夫は、雲の上に上って行った。



二人で裸同士で抱き合い、
幸夫は、クミにも同じことをした。
クミは、幸夫より激しく反応し、
3回到達した。
行ってしまうときのクミのセクシーな表情が、
脳裏に刻まれた。
ああ、最高だと思った。


つづく(次回は、最終回です。)

SF「4次元女装サロン」②「美少女になる幸夫」

幸夫はうれしくなってしまった。
女装か男装か、お姉様か妹か、それとも同年の友達か。性格まで入れると、すごいパターンがあった。

幸夫は、ボーイフレンドではなく、美しいベテランのお姉様にした。
それが、子供の頃からの憧れだった。

「ここでの打ち合わせは、以上です。
 あと、あちらの世界で、お客様の記憶が悪用されないよう、絶対忘れない暗証番号をご用意ください。
 また、2101年の社会は、レトロ・タウンがいろいろ用意されています。
 1960年代、2010年代、2050年代など。
 どの街も、東京都と同じ広さがあり、全く未来を感じないで生活ができます。
 クレジットカード、紙幣、すべてその時代のものが使えます。
 お客様は、2010年タウンをお勧めいたしますが、よろしいでしょうか。」
とミス・イトーは言った。
「それは、すごいですね。未来へ行くのが、実は恐い気もしていたのです。
「あ、あとクローンが交通事故や怪我を負う場合なども考えられます。しかし、私達は、お客様の記憶をコピーしたものを使います。ですから、お客様の記憶が、傷つくことは一切ありません。
 4時間コースで、3万円ほどになると思います。お帰りの際にお支払いください。」



幸夫は、狭いエレベーターに乗った。
「では、行ってらっしゃいませ。」
と、ミス・イトーは、頭を下げた。
エレベーターが閉まった。
1秒も経たないうちに、扉が開いた。
え?もう?と幸夫は思った。
だか、ワープした証拠に、
新しい店員が、幸夫を向かえていた。
そこは、さっきの店より少し広いところだった。

「ミス・カノウです。お世話させていただきます。」と言う。
もうカプセルが2つ用意されていた。
幸夫は、一つを除いてみた。
すると、幸夫が、選んだ女の子がすでに目を閉じてカプセルの中に横たわっていた。
可愛い。この子になれるのかと、ドキドキした。

もう少し辺りを見ると、少し向こうにもカプセルが2つ並んでいた。
係りの女性がそちらにもいる。
一つのカプセルに毛むくじゃらの、大男が入った。
そして、2秒もしないうちに、隣のカプセルが開いて、
15歳くらいの可憐な少女が登場した。
もう常連なのか、少女は、「じゃあ、行ってきまーす。」と言って、
一人で外に出て行った。
あの少女の正体は、あの毛むくじゃらの大男なのかと思うと、
道でナンパなんかするもんじゃないなと、幸夫は思った。
しかし、自分のしていることも、あれと大差はないと思った。

「暗証番号をもうお決めくださいましたか。」とミス・カノウがいう。
「はい。大丈夫です。」
「では、貴重品を、このバッグにお移しください。」
それは、クローンの女の子が持つバッグだった。
「財布も、女性用のものに移し替えください。」とミス・カノウが言う。
ははあ、さすが商売、行き届いているなあと幸夫は思った。

すべての準備が終わり、幸夫は、カプセルに入った。
いよいよトランスだ。胸がドキドキする。
「暗証番号を心で唱えてください。」という声がした。
幸夫は唱えた。
すると、カプセルが開いた。
「はい。以上で終わりです。4時間をお楽しみください。」ミス・カノウがいう。
幸夫は、恐る恐る起き上がった。
真先に目に入ったのは、白いプリーツスカートから伸びている、長くて綺麗な脚だった。
腕を見た。ピンクのサマーセーターを着ている。
白い細い腕。セミロングの髪。見るだけでわかる胸の膨らみ。

「待合室がございます。鏡がありますので、ご指定のフレンドが来ますまで、
 ご自分の姿に馴染んでくださいますように。」
そう言われ、幸夫は部屋に案内された。

鏡の自分を見た。
見るからに可愛い子が映っている。
ああ、夢だろうかと思った。
背は、162cmくらい。
すばらしいプロポーション。
「あたしは、だれ?」と言ってみた。
可愛い女の子の声がした。
「ああ、女の子の声だ。うれしい。」
と幸夫は、胸に両手を当てて見た。
柔らかい。
ああ、女の子だ。
感激だ。興奮する。
そう思ったとき、下半身にじわっと潤いを感じた。
ああ、いけない。すでに、感じている。
4時間もある。我慢だと思った。

幸夫はうれしくて、部屋の中で、バッグを持って、くるくる回った。

ミニのスカートが、花のように広がった。
その後、念のため股間にそっと手を当てた。
当然、ない。ああ、女の子。
幸夫は感激した。

コンコンとドアを叩く音がした。
小窓に女性の顔が見える。
幸夫はドアを開けた。
「はじめまして、あたし、クミよ。」と美しい女性がにっこりとして立っていた。
セミ・ショートの髪の、驚くほどの美人だ。
綺麗なパープルのワンピースを着ている。
膝下のスカート丈。
幸夫は、いっぺんで心を奪われてしまった。
「あ、あたし、ユキです。」
なるべく女の子っぽく言った。
「4時間だけだけど、楽しみましょう。」
「ええ、よろしくお願いします。」
幸夫はそう言って、待合室を出た。
45歳の自分が、17歳の可愛い女の子を演じている。

「行ってらっしゃいませ。」
と、ミス・カノウに言われ、クミと一緒に外に出た。
ほんとだ。2101年だというのに、ここは、まるで見慣れた新宿。
なんの違和感もない。

クミは、さっそく幸夫の手をにぎってきた。
やっぱりレズビアンのお姉様だと、幸夫は思った。
クミの背は、ヒールを入れて、170cmくらいだ。

二人で、話しをしながら、通りを歩いた。
いわゆるガールズ・トーク。
だが、あまりうまく話せない。どこかに照れくささがある。

「ユキは、まだまだ女の子に成り切ってないわ。」クミが言う。
「え?男出てますか。」と幸夫。
「ほら、そういう言い方。」
「かなり?」と幸夫は聞いた。
「かなりね。自分の可愛らしさを見てないからいけないの。
 いいところへ行きましょう。」クミは言った。

連れて行かれたのは、カラオケのようなところだった。
部屋に入ると、天井、壁の4面がみんな鏡だ。
そして、ベッドがある。
幸夫は、いっぺんで興奮した。
可愛い女の子としての自分がたくさん映っている。
幸夫はルームの真ん中に立ち、見回した。

「自分の姿を常にフィードバックしていれば、
 自然に女の子になれるわ。」とクミは言う。
「その通りですね。」と幸夫。
「あたしには、友達言葉。そして、女の子っぽく。」クミが言う。
「あ、いけない。その通りだわ。」
ああ、この言い方だと、鏡の自分に合うと思った。
そして、興奮する。

「照れくささを乗り越えるには、一度、思い切り女の声をあげるといいの。」
立っている幸夫の後ろに来て、クミがそう言った。
「どうやって?」
と幸夫が聞こうとしたとき、クミの手が、幸夫の胸に伸びた。
「あ。」と思った。
クミの手は、幸夫のサマーセータの上から、ゆっくりと幸夫の胸をなではじめた。
信じられないくらい巧みだった。
(ああ、女の子の胸は、こんな風に感じるのか。)と幸夫は思った。


つづく(次は、「お姉様との時間」です。)

SF「4次元女装サロン」①「怪しい女装サロン」

一度は書いてみたかった、SF物です。なれてないので、どうなるか全く自信がありません。
読んでくださるとうれしいです。

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「4次元女装サロン」

安田幸夫は、45歳。
女装趣味があった。
今まで、いろいろな女装サロンへ行ったが、
なかなか満足が得られなかった。
それでも、いつかいいサロンが見つかるだろうと、
探索をやめなかった。

ある日曜日、幸夫は午後から自由であった。
そして、午前中から、パソコンに向かい、
新しい女装サロンを探していた。
その中に、「未来都市での女装・全国唯一」なるところを見つけた。
幸い、電車で行けるところだ。
幸夫は、興味をそそられ、行ってみた。

駅に近い繁華な通りにあった。
そこは、驚くほど小さな建物で、
2階建て、エレベーター一つ。
小さなショップに見える受付が1つ。
テーブルと椅子がワン・セット。
それだけのところだった。
何だここは…と思ったが試しに入っていた。

カウンターの女性はかなりの美人だった。
ミス・イトーと名乗り、
幸夫を、応接用のテーブルに案内した。

「ここは、2101年の未来都市へ行き、
 変身を楽しむところです。
 そこのエレベータは、未来都市とつながっています。
 このスクリーンにありますいろいろなクローンの中から、
 お客様に一つ選んでいただき、
 お客様の記憶と意識をそのクローンに移します。
 すると、お客様は、そのクローンになって
 数時間お楽しみいただくといった仕組みです。
 可愛い女の子のクローンもたくさんございますので、
 お好みのものが必ずや、見つかると思います。」

幸夫は、まゆつばだなあと思った。
しかし、幸夫は、多少怪しくても、乗るタイプだった。

「おもしろそうです。じゃあ、どうすればいいですか。」幸夫は聞いた。
「こちらのスクリーンのカタログを見ていただきながら、
 細かい設定をいたします。すべて決まった段階で、
 未来都市に行っていただきます。
 ここでの設定はすべて、未来都市の店に通じていますので、
 お待たせすることはありません。

 それでは、お好みのクローンを決めていただきます。
 女の子になることをご希望ですね。」
「はい。17歳位の。」
「わかりました。ノーマルの子でいいですか。それとも、特殊な?」ミス・イトーは幸夫を見た。
「といいますと?」
「あー、例えば、下半身に男子のものがあるような…。」
「そんなのも、あるのですか。いえ、私は初回だからノーマルがいいです。」
「もちろん、美少女ですね。」とミス・イトー。
「美少女を好まない人もいるんですか?」幸夫は聞いた。
「はい。たまに。持てない子がいいと言う方も。」

「そうですか。」
「では、このスクリーンの女の子の中から、お選びください。
 着ている服や髪型は、交換できますが、料金はかさみます。」
ミス・イトーは、スクリーンを幸夫の方へ向けた。

スクリーンの女の子達は、みんなモデルやタレントレベルの可愛い子ばかりだった。
こんな子に本当に成れるのだろうかと、幸夫はドキドキとした。

一人、特別に幸夫好みの子がいた。
髪はストレートで肩に届くくらい。前髪が額が見えるほどにスダレになっている。
髪を片方だけ頭頂から一本結び、結び目に飾りをつけている。
服は、上はピンクのサマーセーター、スカートは白いミニのプリーツ。
首にネックレス。肩から白いバッグを提げている。白い靴。

「あのう、バッグや靴やアクセサリーはオプションですか。」幸夫は聞いた。
「いえ。カタログ通りでしたら、すべて込み込みです。」ミス・イトーは言う。
「じゃあ、この子にします。着ているものはすべて、このままでいいです。」

「わかりました。カタログどおりですと、2割引になります。
 では、次ですが、お客様が、そのままのこの子に成られましても、
 歩き方、仕草、感情の反応、情緒などが女の子になっていませんと、
 周囲から、浮いてしまう可能性があります。
 そこで、脳の感情系と仕草などの運動系を女の子仕様にすることができます。
 これは、クローンの方の設定を替えるだけですので、
 お客様の脳の方には一切影響いたしません。
 お客様が移すのは、記憶と意識だけです。

 そこで、レベルを決めて頂きたいのです。
 レベル0は、設定をしません。
  すべて、お客様の演技で、女の子をなさいます。
 レベル1は、ボーイッシュ。感情もさばけています。
 レベル2は、スタンダードです。
 レベル3は、女の子女の子系です。こわがり、すぐ泣く、弱虫。
 いや~ん、キャーなどの言葉を多発します。

「レベル0のいいところは、何ですか。」幸夫は聞いた。
「レベル1~3を選びますと、お客様の意識は傍観者的になり、
 自分が操られているような気が多少します。それでは、つまらないというお客様もいます。
 レベル0ですと、女の子の演技はすべてお客様ですので、終わったとき、達成感があります。

幸夫は、少し迷った。
学生時代に女装をして、歩き方など、ある程度やれる。
「レベル0でお願いします。」幸夫はチャレンジした。
「では、次に、オプションです。ボーイフレンドをご希望になりますか?
 ボーイフレンドにも、型があります。みんなハンサムで、性格の良さは保証付です。
 A…恥ずかしがりや。
 B…スタンダード。
 C…プレイボーイ。
 D…女装のお姉様、あるいは、妹。」
「あの、レズビアンの女の子もありますか。」幸夫は、試しに聞いてみた。
「もちろんございます。」ミス・イトーは言った。


つづく(次は、「未来都市での女装」です。)

キャバレーのボーイ・史夫⑤「二人のその後」最終回

史夫が、ホテルの喫茶店で働き始めてから、3ヶ月たった。
カオリは、始めは一ヶ月のつもりで、
その後、美人喫茶を史夫に、紹介するつもりだった。
しかし、史夫は、喫茶店のバイトが気に入り、辞めたいと言わなかった。

史夫は、カオリのマンションに週に1回は遊びに来た。
主に、カオリの休みの月曜日の午後だった。

カオリは、毎週毎週、女らしくなっていく史夫に目を見張っていた。
声、動作、仕草、話し方、そして、全体から来る雰囲気。
自分のことは、とっくに「あたし」と呼んでいたし、
話し方のイントネーションも女の子だった。

「史子、史子はどうしてそんなに早く女の子になれたの?」とカオリは聞いた。
「あたし?」と史夫は両手を胸に当てた。(ああ、女の子の仕草。男は、鼻を差す。)
「カオリに内緒にしていたんだけど、あたし、昼間大学に今いってないの。
 それで、アルバイトしてる。」
「いいの?学校行かなくて。」
「うん、進路変えようと思ってるの。」

「何になりたいの。」
「あたしの昼間のバイトってね。幼稚園の補助員なんだ。」
「幼稚園?」
「うん。子供が好きだから。
 喫茶店で、女である自信がついてきたでしょ。
 そしたら、昔から憧れてた、幼稚園の先生になりたくなってきちゃって。」
「そ、そう…。」カオリはあっけにとらわれていた。

「小さい子供が、お姉さんって呼んでくれるたび、あたし女だなあってうれしくて、
 つい、がんばっちゃうの。」
「確かに、小さい子の目って正直だもんね。」
「うん。だから、もっともっとやさしいお姉さんになりたくて、
 女も磨いてるの。」

「ホルモンとか打つの。」とカオリ。
「カオリに内緒にしていてごめん。あたし、もう打ってるの。二ヶ月。」
「そうなんだ…。今の大学で転部できるの?」
「できるの。でも、4月までまたないとダメ。」
「今度は、女の子で通うんだよね。」とカオリ。
「うん、書類上は男だけど、あたし女で通う。
 あたしもう男には戻れない。体も、心も。」
「セックスはどっち?」
「カオリと同じ。だから、カオリにはずっとセックス友でいて欲しい。
 ほんとうは、カオリと夫婦になりたい。
 夫婦じゃないわ、婦婦かな。」史夫は言った。

「うん、いいよ。ずっといっしょにいよう。」カオリはそう言って、急に涙を流した。
「どうしたのカオリ。」と史夫は歩み寄った。
「なんだか、うれしい。史子を女の道に誘いこんだことを後悔したこともあったの。
 でも、史子がそんなステキな夢をい抱いているって知って、なんだか、うれしくて。」
カオリはそう言った。

「ありがとう。みんなカオリのおかげだよ。」
史夫は、カオリを抱きしめ泣いた。
「一生夫婦みたいな友達って言ってくれたこともうれしかった。
 あたし、自分が孤独だと思っていたから。」
「孤独なのはいっしょだよ。でも、カオリがいてくれたら、淋しくない。」史夫は言った。
「あたしも。」カオリは、史夫を抱きしめ泣いた。



その後で、史夫はカオリのマンションに越してきた。
いっしょに「婦婦」の生活が始まった。
史夫は、次の大学の勉強に備えて、喫茶店をやめた。
すると、史夫に触発されてか、カオリも大学へ行きたいと言い出し、
キャバレーをすっぱり辞めてしまった。

「生活平気?」と史夫はカオリに聞いた。
「うん、平気。キャバレーで稼いだから。」
「今まで、一度も聞いたことなかったけど、カオリ何歳?」と史夫は聞いた。
「26歳。若く見えるでしょ?」とカオリはうふんと笑った。
「勉強はできたんだよ。天下の△△高校。つねにトップ10番以内。」カオリはそうとも言った。
「はあー。」と史夫はカオリを見直した。
カオリは、将来において、史夫と生活時間を合わせたかった。

そして、翌年、史夫は転部が叶い、カオリは、史夫の大学へ見事合格した。

二人で一緒に大学生になれるなんて、夢見たいだねと、毎日のように言い合った。
カオリは法学部、目指すは、司法試験。

それから、5年目の春。
史夫は、正規の教員として、幼稚園に勤めた。
女子として学んで来た経過を幼稚園側は理解し、
史子という名の女先生として勤めることになった。
史夫の体は、限りなく女性に近づいた。

史夫の実家の方も、理解が早かった。
史夫が子供のときから女の子になりたりと言っていたことや、
女の子の服が着たいと言っていたことなどから、
女先生として勤められるなら、これ以上はないと言った。

翌年、カオリは、司法試験のセミナーに行き、
見事2回目にして司法試験に合格した。

合格がわかった日、二人して、抱きあって喜んだ。
「カオリの只の夢だと思ってた。
 それを、ほんとに受かっちゃうんだもん。
 もう、尊敬、びっくり、最高!」と史夫は言った。
「史夫が、主婦やってくれたからよ。」とカオリは言った。

その後も、史夫がなんとなく主婦をやった。
ベッドの中では、婦婦。
二人とも受身が好き。
どっちが先に受身をやるか。
毎晩ジャンケンで決めた。
もちろん、勝った方が、後から受身。
二人は声をそろえて、
「ジャン・ケン・ポン!」


<おわり>

※次は、SFを書きたいのですが、どうなりますか。

キャバレーのボーイ・史夫④「キャバレーを辞める」

ボーイをやり初めて、1ヶ月が過ぎ、初給料をもらった。
ボーイ仲間での帰り路のこと。
6時から12時まで、あんなに働いたと思ったのに、
袋に入っていたのは、3万円足らずだった。
その少なさに、ボーイ仲間、みんなが驚いた。
「6時から出勤だけど、実労は、7時からだから、
 その計算になってるんだよ。」
とボーイ長が言った。
「それは、ないよ。6時に行って、
 あんな詰まんねーマネージャーの訓話聞いてんだぜ、
 給料の内じゃなきゃ、誰も聞きたくねーって。」
「早く、黒服(マネージャー)になれってことだよ。」
とボーイ長が言った。
「大体黒服って、あの人達なにやってんの。」誰かが聞いた。
「女の子を抱えてるのさ。一人10人とか、20人とか。
 で、俺らのとこみたいに新規開店のとき、ホステス集めるの大変じゃん。
 そこで、10人抱えてる、マネージャ5人集めれば、
 一気に50人集まっちゃうわけよ。
 で、多く女の子抱えてる黒服ほど、えらいってわけ。
 客がきたら、黒服が客を案内して、好みの女の子聞くじゃん。
 指名がなければ、順番待ちか、自分のお抱えの子を呼ぶわけ。
 黒服の仕事はそれだけ。
 あとさ、ホステスの揉め事は、黒服が解決する。
 これ、けっこうしんどそうだよ。」
 ボーイ長は言った。
「そうか、黒服も、ただ楽なだけじゃありませんってとこか。」



その日、史夫は、カオリのところへ行って、
少ない給料袋を見せた。
「思った通り、これじゃあ、2回飲みに行って終わりよね。」
カオリは同情してくれた。
「史夫。辞めちゃいな。それで、女修行に、喫茶店でバイトするの。
 トレイは、もうお手のものじゃない。
 そこで、歩き方とか、カップの出し入れや、言葉遣いなんか、勉強になるよ。
 人目があれば、一気に女の子が身につくのよ。
 そこで、1ヶ月もやれば十分だから。
 お給料は、キャバレーととんとん。
 次に美人喫茶に行くの。」
「美人喫茶ってなあに。」
「新宿なら、『百花』って喫茶知らない?
 可愛い女の子が、ガラスの扉に立って、ドアガールやっているとこ。」
「ああ、知ってる。ぼく、いつもあの可愛い子に吊られて、入りたくなる。」
「そこなら、時給1000円ってとこ。今、時給250円ってとこでしょ。」
「うんそう。時給1000円ってすごいね。」
「美人で脚の綺麗な子じゃないとダメなんだけど、
 史夫は、可愛いし、脚が綺麗で長いから、きっとOKだよ。
 でも、1つね。」カオリは、言葉を止めた。
「一つね。どうも、あそこは、売春やってるらしいの。
 客が気に入った子を、店主に言うと、その子は呼ばれて、
 客とどこかへ消えるってうわさ。それを、見た人もいる。
 それ、目的で来てる子もいると思う。
 客に春をうれば、2万~3万になるからね。」
「ぼく、そんなのやだし、女じゃないから無理。」
「そうだよね。でも、初めから、あたしはそういうのダメです、って言えると思うけどな。」
「うんそうだね。」
「でも、今のキャバレーでは、十分勉強になったから、次、喫茶店ガールはどう?
 制服があるところが、楽でいいよ。」
「うん。がんばる。」
「ハイヒールの練習のために、それを履いてやるといいよ。」
「うん。」



史夫は、可愛い制服のあるホテルの喫茶店を見つけた。
そこは、募集要項に「容姿端麗」となっていたが、
史夫は、女装をして、面接にいき、見事OKをもらった。
「容姿端麗」と唱ってある上に、夜の時間帯であったので、
時間給が、400円とよかった。

史夫の髪は、ストレートで肩のあたりまでになっていた。
史夫は、横の髪を少し束ね、そこを結び、
小さなシュシュをつけてワンポイントにしていた。
それが、とても可愛かった。
そして、この際、眉も女の子のように細くした。
男のときは前髪で眉を隠した。

ホテル喫茶の仕事は、全く史夫の性に合っていた。
史夫はやっていて、少しも辛くはなかった。

あっという間に1ヶ月が過ぎた。
ある日、カオリが、史夫の女の子振りを見に来るという。

カオリがくると、史夫はさすがに緊張した。
しかし、いつも通りやっていた。
史夫はそつなく、コーヒーやケーキを運び、
トレイを脇に挟んでいたときだった。
外で、ガシャーンと大きな音がした。
そのとき、史夫は、「キャー」と言って、
両手で耳をふさいだ。
そのときの史夫の動作、言葉、指先を伸ばして耳に当てた仕草を見て、
カオリは、史夫が、身も心も完全に女の子になっていると見た。

カオルは帰るとき、史夫に近づいて、
「史夫、もう完全に女の子ね。
 男に戻るのあきらめなさい。」
とにっこり笑って言った。


つづく(次回は、「その後の二人」最終回

キャバレーのボーイ・史夫③「結ばれる二人」

「続きが、あるの。ぼく、フルーツかぶったとき、着替えにロッカー室にいったら、
 隣の女子のロッカー室に、うわさを流した犯人がいたの。聞いちゃった。
 その女装のホステスさんは、ヘルパーさんが8人いるから、自分達に勝ち目はないって言ってた。」
「その2人の顔見た?」
「うん。名前も知ってる。だけど、告げ口みたいで言いたくない。」
「いいわ。聞かない。でも、ヘルパーさんを8人も抱えているなんて、
 あの店で、4人しかいないわ。
 No.1の佐和子さんは、オーナーの愛人で当然。
 No.2は、藤子さんで、銀座のホステスだった人で愛人がいる。
 No.3は、めちゃ美人の加奈子さん、マネージャー長の愛人。
 No.4は、あたし。フリー、だれの愛人でもない。

「愛人でいるって、女性と考えていいんですよね。」
「男同士の愛じゃなければね。でも、その可能性は少ない。」
「でも、それじゃあ、カオリさんしか残ってないよ。」
「そう、あたしってことになるね。」
「なるねって、認めちゃうの?」
「もし、あたしだったら、史夫どうする?」
「めちゃめちゃ感激して、抱きつく。」
「確かめてみる?」
「え?」
と史夫は言った。
カオリは、スカートに手を入れ、パンストを取った。
そして、史夫の隣に肩を寄せるように並んだ。
「史夫、手を貸して。」
カオリはそういうと、史夫の手を、スカートの中のショーツの前に当てた。
「女の人じゃない。」
と史夫は言った。
「もう少し中まで。」
カオリはそういうと、史夫の手を、ショーツ中に入れ、もっと奥まで、
股の間まで入れた。
「あ。」
史夫は、思わずさけんだ。
史夫が最後にさわったのは、カオリが「その人」であるという証だった。
「うそー!」と史夫は言った。
「めちゃ感激して抱いてくれるって言ったよ。」とカオリが行った。
「うわあ~、感激。カオリさん。ぼく、感動。」
そう言って、史夫は、カオリの胸の下辺りに抱き付いた。
「今夜は、史夫も女の子になるんだよ。
 で、女の子同士で、寝るの。」カオリが言った。
「じゃあ。ぼくの夢。叶えてくれるの。」
「うん。よろこんで。」カオリは言った。



史夫は、裸になって、白い下着を着せられた。
ショーツは、男の印を股の下に回して履いた。
ブラには、ストッキングで爪物をして、
スリップを被る。
そして、しろいワンピースを着せられた。
「もう、これだけで女の子に見えるわ。」とカオリは言った。
史夫は、ドレッサーに座らされ、軽いアイメイクを施し、
ピンクのルージュを引かれた。
「史夫は太い眉だけが男の子に見せているのね。
 眉、細くしちゃう?」とカオリが聞いた。
「そうしたら、男の顔に戻れなくなっちゃう。」と史夫は言った。
「じゃあ、前髪で、眉を隠してしましょう。」
カオリはそう言って、ロングのボブヘアーのカツラを持ってきた。
史夫の髪をネットで丸めて、カツラをかぶせた。
カツラの前髪を、史夫の眉ぎりぎりのところにした。
うっとおしくないよう、前髪に飾りピンを挟み、隙間を開けた。
できあがり。

カオリと史夫で鏡を覗いた。
恥ずかしいくらいに、史夫は女の子になった。
「お店に出ても、ばれないよ。」とカオリは言った。
「それほど?」と史夫は聞いた。
「うん。これほど女の子になるとは思わなかった。」とカオリは言った。
史夫は、なんだか夢心地で、雲の上を歩いているようだった。
カオリは史夫の肢を見て、
「女の子のようむっちりしていて、長い脚。ほんと奇跡だわ。」と言った。



「ベッドに並ぼう。」カオリが行った。
「うん。」史夫は、なにが始まるのか予想が付いた。
二人、ベッドにならんだ。
「二人とも、ショーツをとっちゃおう。」とカオリが言う。
「ぼく、ショーツとったら、あそこが上向いちゃう。」
「あたしだって同じ、史夫見て興奮しちゃった。」
「じゃあ、いっせいに。」
そう言って、二人でショーツを取った。
カオリの白いプリーツ・スカートの一部が盛り上がっていた。
史夫のワンピースのスカートは、ふかふかなので、さほど目立たない。
「史夫、あたしのスカートの中に手を入れて、あそこを犯して。」
「うん。」
史夫は緊張で手が震えた。
あの大好きなカオリである。
史夫は、片手をカオリの背に回し、
もう一方の手を、スカートの中にいれた。
カオリのものが、大きくなっていた。
「ああ、感激。ぼく、何もされなくても、いっちゃう。」
「うん。」
カオリは、すでに快感に浸っていた。
史夫は、そっとカオリのものを、上下に撫でた。
「ああ、気持ちがいい。」
カオリは目を閉じて言った。

それから、二人は、ベッドに倒れた。
「史夫、あたしを脱がせて。」とカオリが言う。
史夫はドキリとした。カオリの裸を見ることになる。
史夫は、カオリのセーターを脱がした。
白いブラが見えた。
ブラの中にあるのは、本物の乳房だった。
スリップは着けていない。
ウエストラインが女の子のようだ。

「スカートも、いいの?」と史夫は聞いた。
「うん。」とカオリは言う。
スカートを取ると、女の子のような、ボリュームのあるヒップがあった。
これでは、誰が見ても、触っても、女の子だ。
その中心に、女子としてあってはならないもの。
「あたしを抱いて。」とカオリが言う。

「ああ、史夫可愛い。信じられないくらい可愛い。」
「ぼくも、カオリを抱いてるなんて、信じられない。
カオリは、史夫のワンピースのファスナーを下ろし、
史夫を下着だけにした。
史夫は女の体をしていないので、下着は残した。
毛布を被って、二人で抱き合い、
あそこを二人で擦り合わせた。
何度もキスをして、
お互いにあそこをマッサージし合って、
女の子の黄色い声をあげて、
やがて、二人は果てていった。


つづく(次は、「史夫の次のバイト」です。)

キャバレーのボーイ・史夫②「カオリとの密会」

「うそだろう。そんなことできるのかよ。
 俺だって、女になれたら、ホステスの方やりたいよ。」
「俺も、聞いた。名前は、教えてくれなかったけど。」
とB雄が言った。
どこから、そういう情報が漏れるのか。

そして、どうもそれは本当らしいということになった。
ボーイ達の関心は、「好きなホステスさん」から、
「男のホステスを探せ」に変わった。

女装趣味のある史夫にとって、
それが、ほんとうなら、すごく興奮するだろうと思った。
みんなで決めたホステスナンバー5の人の中にいたりしたら、どれだけ感動するだろうと思ったが、
それは、ありえないと思った。



やがて、ボーイ達が見つけてきたのは、
肩幅が広いとか、声が低いとか、手が大きいとかの人。
まあ、言われたホステスさんには、失礼なことばかりだった。



その日、史夫は災難にあった。
キャバレーで、一番値段が高いフルーツ盛り合わせをトレーに乗せて運んでいた。
自分の一番好きなカオリさんの横を後ろから行って通るなあと思っていた。
そして、カオルさんに近づいたとき、
彼女は、さっと立って、振り向き、史夫の方へ歩を進めた。
そこで、正面衝突、トレーの上のフルーツ盛り合わせを、史夫は頭から被った。
車道に飛び出す子供のように、飛び出した方の不注意だった。
「ごめんなさい。あたし、後ろを見てなかったの。ごめんなさい。」
と彼女は言いながら、床にこぼれたフルーツを拾った。
「避けられなかった、ぼくのせいです。ぼくがうまかったら避けられたのに。」
史夫はそう言って、フルーツを拾った。
そして、近くにあった、おしぼりで、床を拭いた。
カオリは、自分のテーブルのお絞りで、史夫のワイシャツを拭いてくれた。

厨房で、
「フルーツこぼしました。
 破損伝票で、フルーツの追加お願いします。」
とボーイ長に言った。
史夫はフルーツをボーイ長に頼んで、ワイシャツの替えがあったので、それに替えに、ロッカーに行った。
そのとき、となりは、ホステスの更衣室であるらしく、2人のホステスの話す声が聞こえた。
「まったくさあ、キャバレーは女の職場よ。
 それを、男にホステスされちゃあ、たまらないわよ。
 男なら、ゲイ・バーに行けばいいじゃないねえ。」
「あたし、何人かのボーイに、それ流してやったわよ。
 それからのボーイ達見た?だれが男のホステスか、
 じろじろ見て回ってるわよ。」
「あら、おもしろいことしたわね。今度、名前まで言ってやろうかしら。」
「それ、だめよ。あいつヘルパー8人抱えてるからさ。あたい達みたいなのは、負けるわよ。」



史夫は、それを聞いて、不快に思った。
女で通るなら、別にキャバレーで働いてもいいじゃないかと思った。
それを、こっそり陰で意地悪をしている2人が許せない。
史夫は、二人の顔を見てやろうと、ロッカーを出る時間を合わせて出た。
「沙織」とうホステスと、「里香」というホステスだった。
二人とも、あまり売れず、ヘルパーがいなかった。

その日、空きのトレイを脇にはさみ、
カオリの横を通るときだった。
カオリは史夫を見て、立ち上がり、
「ワイシャツも濡れちゃったでしょう。大丈夫だった?」と聞く。
そして、史夫のワイシャツを触りながら、そのとき、カオリは、史夫の胸のポケットに何かを入れた。
「あ、替えがありましたから、だいじょうぶです。」
史夫はそう言って笑った。

史夫は、その後、胸に入ったものが見たくて、トイレに駆け込んだ。
急いで見た。それは、紙製の薄いマッチ。そして、小さな紙切れに、
『今日、ここで待ってて。』
と書かれてあった。
史夫は、急いでズボンの方にマッチと紙切れを移した。

ホステスさんと付き会うのは、厳禁だ。
バレたら、ホステスは厳しいお叱り、悪くは首。ボーイは確実に首になる。
だが、カオリは、その覚悟で、メッセージをくれたはずだ。
史夫は、首になってもいい、カオリと話したいと思った。



仕事が終わる深夜の12時が、待ち遠しかった。
新宿に詳しい、史夫は、マッチの店「ハイトップ」を知っていた。
キャバレーのある歌舞伎町とは、駅を挟んだ西口のところで、
ここなら、ばれることはなさそうに思えた。

九月を過ぎた頃で、まだ暖かく、史夫は黒いTシャツを着ていた。
20分待った。
やがて、カオリが一人できた。
下は、プリーツスカートで、上は、首が広く開いた、紫色のサマーセーターを着ていた。
カオリは席に着かず、さあ、行こうと史夫を連れ出し、史夫のコーヒー代を払った。
カオリは、すぐにタクシーを拾った。
そして、行く先を告げ、タクシーは発車した。

「ここまで来れば大丈夫。」とカオリは言った。
「ほんとは、こういうのいけないんでしょう。」と史夫は言った。
「うん。すごくヤバイことなの。でも、あたしあなたとお話したかったから。
 あなたとぶつかっちゃったのは、偶然だけど、あたし、チャンスって思ったわ。」
「なんで、ぼくなんですか。かっこよくないし、背低いし。顔は女みたいだし。」
「それに、女声だし。」とカオリはお茶目に言った。
「ああ、それ言われると…。」史夫はうつむいた。
「あなたが、可愛いからよ。あなたホステスさんの1番人気なのよ。知ってた。」
「ほんとですか。カオリさんは、ボーイ達の1番人気ですよ。」
「あら、うれしい。ボーイさんも、同じことやってるのね。」
とカオリはくすっと笑った。

タクシーが付いたのは、ある豪華なマンションだった。
「ここよ。あたしのマンション。」カオリはそう言った。
カオリの部屋は、3LDK。
明るくて、ファンシーな部屋だった。

カオリがコーヒーを淹れてくれ、
ソファーの前の小テーブルで飲んだ。
今こうして、カオリの部屋で、二人きりでいることが夢のようだった。

「あたし、疲れるから、メイク落としてくるね。」
カオリは素顔になって、史夫の横に戻ってきた。
「わあ、かおりさん、素顔だと若くみえる。17歳くらい。」
「ありがとう。あなたのお名前聞いてなかった。」
「史夫。」
「史夫も17歳くらいにしか見えない。よくキャバレーが雇ったと思う。
 高校時代は、みんな素顔なのよね。でも、あたしは好きな子がいた。」カオリが言った。
「そういえば、そうだなあ。」と史夫は言った。

史夫はなんとなく言ってみたくなって言った。
「あのね、ボーイ達が今夢中になってること言っていい。」
「知ってるよ。ホステスの中に女装のホステスがいる、でしょ。」
「なんだ、知ってたんだ。」

「史夫は、どう思う。」カオリは聞いた。
「女装して、女性の中でやって行くなんて、すごいと思った。」
「お客をだましてるって思わなかった。」
「だって、ホステスは女じゃなくちゃいけないなんて、どこにも書いてない。」
「なるほど。」カオリはうれしそうに言った。

「カオリさんだから言えるんだけど、ぼく、子供のときから女装したいって思ってたの。
 女装して、あんなところで働きたいって。
 だから、ぼくのそういう夢を、先に叶えている人がいると思うとうれしくなる。」
「ほんと、そうなの!あなた、女の子になりたいのね。」とカオリは手を叩いた。


つづく(次は、「史夫女の子になる」です。)

キャバレーのボーイ・史夫①「カオリというホステス」

この物語は、40年ほど前の新宿を舞台にしています。
当時のキャバレーというところは、わいわい盛り上がりますが、
主に会話を中心としていて、おさわりやエッチな行為は、
あまりないのが普通でした。(例外もありました。)
また、「ヘルパーさん」とは、人気のあるホステスさんについて、
いっしょにテーブルに付かせてもらう人のことを言います。

============================

新宿歌舞伎町の一角に巨大なビルがある。
1階に映画館が2つもあるビルだ。
その二階に、新しくキャバレーができると言う。

大野史夫は、そのキャバレーのボーイの募集広告を見て、
これは、いいぞと思った。
史夫は、大学の2年生。
好奇心が旺盛で、とくに夜の世界のことが知りたくてたまらなかった。
そこで、歌舞伎町でのボーイという仕事は、理想的だった。
しかも、できたばかりのキャバレーならば、
先輩がいないという気楽さがある。

史夫は、履歴書を書いてすぐに持っていった。
事務所に入ると、黒服をきたマネージャーのような人がいて、
史夫の履歴書を見た。
「君は、大学生ってなってるけど、
 若く見える。ごまかしてないね。」
と言われた。
史夫は、むっとしたが、学生証を見せて、
それ以上は、言わなかった。
「じゃあ、来週から来てね。
 上は白のワイシャツ、下は黒いズボン。」
と言われ、採用になった。



いよいよ初日がきた。
史夫は、白いワイシャツと黒ズボンで行った。
ロッカーがあり、着替えると、首につける蝶ネクタイをもらった。
そして、6時までに、ホールに1列に並び、
点呼を受け、マネージャー長のような人に、訓話を聞く。
何か、硬派な感じだ。
ボーイだけで20人はいた。

ホステスが来るのは、7時からだ。
しかし、6時の段階で、ホールの奥の1段高くなったフロアーに早くもホステスがいる。
その人達は何かというと、指名をめったにもらえないホステスさんだ。
早く来た順に指名のないお客かに付かせてもらえるシステムらしい。

7時近くになると、ホステスさんが、1段高くなったフロアーにそろう。
完全に肩見せのカクテルドレス風の人、超ミニのワンピースの人、
もう色とりどり、たっぷり見せている長い脚、細い腕、
そんなホステスさんが、50人近くいる。
それは、壮観などというものを越えていた。

史夫は、トイレに氷を入れるために、
ホステスさんの間を通っていったが、さんざんにからかわれる。
「ね、このボーイさん、可愛いわ。」
「ほんとだ。女の子みたい。」
「明日からホステスやりなさいよ。」
そして、あははは、という笑い声が聞こえる。

史夫は、かなり参っていた。
史夫は、女装の趣味があった。
女の子の服を見ただけで興奮する。
それが、普段あんまり見ることのないようなホステスの派手な衣装を、
50人と見て、体がたまらまく熱くなっていた。

ああ、身が持つかなあ…と史夫は思っていた。

店は体育館のように広い。
正面の舞台には、バンドが入り、常に生の音楽を流している。

銀のトレーで、上手く運べるかなあと心配だったが、
ほとんどの仲間が同じ状態であり、安心した。
だか、それも、3日の内に、ほぼできるようになった。

運び終わったら、ホールの回りの壁に立つ。
そして、客席を見て、ホステスさんが、マッチをすって火を上に挙げたら、
「はい。」と大声で言って飛んでいく。
そして、片膝をついて、注文を聞く。

持っていくときも、同じ。
テーブルに片膝を付いて、ものをテーブルに置いていく。
ビールのときは、トレーを脇に挟んで、
栓抜きに手を上にかぶせて、王冠が落ちないように、一気に抜く。
「スポーン」といい音で抜くことができると、お客が誉めてくれる。

どのボーイも、そうであったが、
休憩時間のとき、ホステス達の品定めをしていた。
「おれ、一番いいのは、カオリさんだな。つぎ、百合絵さん。」
「おれは、ユカさん。つぎは、お前と同じ、カオリさんだ。」

毎日言い合ううち、
どうも、ボーイ達の人気投票は、
「カオリ」「ユカ」「サエ」「レイナ」「ミユ」という5人になった。
史夫の一番好きだったのは、みんなと同じ、「カオリ」だった。

「カオリ」は、ボーイにたのむとき、とても丁寧にたのむ。
持って行ったとき、ありがとうと、心のこもった言葉を返す。
そして、可愛い。
パラリと隙間のある前髪、ストレートな黒髪が、
とても、柔らかそう。
2日に1度は、チャイナ・ドレスを着ていて、それが、素晴らしくよく似合う。
店全体でも、4番人気だった。

史夫は、それとなく、カオリのテーブルを見ていて、
マッチが挙がると、誰よりも先に飛んで言った。

膝まづくと、ときどき、横がスレッドになったカオリのももが見えることもあり、
胸をドキドキさせられた。



ボーイ連中に、あるとき、びっくりさせられるうわさが流れた。
「おい、俺、聞いちゃったんだけどさ。
 ここのホステスさんの中に、男の人がいるんだって。」
とA男が行った。
「つまり、女装のホステスってこと?」
「そう、女に化けて、ホステスやってる。」


つづく(次回は、「女装ホステスは誰だ」です。)
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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