女子学園の王子様・寺島英理子⑤「英理子のカムアウト」最終回

とうとう順番が回ってきた。
幕は閉まっている。
開演のブザーがなったとき、英理子は気絶しそうなほど緊張した。
舞台は王室の中、王に会いに来る白雪。
幕が開く、王のセリフの次に舞台へ出る。
さあ、今だ!
白雪が、妖精のように身を軽くして出て来たとき、
会場が、「わあ~。」と沸いた。

「わあ、ステキ。あれが英理子?」
「思えない。でも、ステキ。」
とそんな声がした。
やがて、白雪がセリフを言うと、
会場のみんなは、その声に驚いた。
「英理子の声とちがう。」
「英理子、あんな声を出せるのね。」

しかし、舞台が進むうち、ささやき声はなくなり、
みんな、劇に引きこまれていった。

英理子の身振り手ぶりは完璧だった。
バレーにでてくるプリマドンナのように、
足の先から指の先までが美しい妖精のようなシルエットを描いていた。

毒りんごを食べて死んだ白雪に、王子が口付けをして、
白雪はよみがえる。

劇は終わった。

出演者一同、舞台に出て、お辞儀をする。
白雪は王子の腕を取り、美しく膝を折り、スカートを片手に、礼をする。
英理子はそれも、完璧に行った。

幕が下りたとき、観客は、はあ~とため息をついた。
「英理子ステキだったね。」
「うん、感動した。」
「はじめ英理子が白雪姫に立候補したとき、冗談かと思ったけど、
 ちがったね。」

幕が降りてまもなくして、
司会者がマイクを持って出てきた。
「えー、今日の出し物の中から、最優秀賞が個人に贈られます。
 その人は、白雪姫を演じました、3年F組の寺島英理子さんです。
 寺島さん、出てきてください。」

英理子は、白雪姫の姿のまま、舞台袖で休んでいるところだった。
名前を呼ばれた。

舞台にいかなくちゃ。

英理子が出てくると、すごい拍手と歓声が講堂中に響いた。

司会者に記念品をもらい、マイクも渡された。
「一言言ってください。」と言われ、司会の人は後ろに下がった。

英理子はマイクを持った。
今こそカムアウトのときだと思った。
会場は、しーんとなって、誰もが英理子に耳を傾けていた。

「あたしのことは、皆さんもご存知だと思います。
 学校で男みたいな振る舞いをして、かっこつけていました。
 でも、それは、本当のあたしではなくて、
 本当のあたしは、もっと女の子らしいのが好きで、
 心の中は、女の子女の子しているんです。
 あたしは、今まで男みたいな演技をして自分に嘘をついてきました。

 そこで、残り少ない高校生活は、自分に正直になろうと思いました。
 そんな思いで、白雪姫の役に立候補しました。
 今日この白雪を演じたことで、自分への区切りにしたいと思います。
 男みたいなあたしは、もうこの瞬間からいません。
 今から、あたしは、女らしい女の子としてやっていきます。
 この劇に出させてくれたみんな。この劇をつくってくれたみんなに感謝します。
 ありがとうございました。」
英理子は頭を下げた。

生徒たちは、それぞれの思いで、英理子の言葉を聞いた。
やがて、大きな拍手が英理子を包んだ。

怜奈は会場の後ろで立って見ていた。
「英理子、やったね。劇もカムアウトも」
心でそう言った。

英理子は、メイクを落としたけれど、かつらだけはかぶっていた。

英理子が、会場の席に戻ってくると、回りのみんなは言った。
「英理子、ごめんね。英理子を男の子みたいにしたの、私達だと思う。
 英理子はやさしいから、みんなの期待に応えたんだよね。」
「自分でなっちゃったっていうのもあるから、あやまらないで。」
と英理子は言った。



怜奈へのお礼にマンションに行った。
怜奈は、そのかつらをくれると言う。
「英理子に女の子が身に付くまでのお守り。
 高いかつらじゃないからいいよ。
 劇の英理子最高だったから、ご褒美。」
怜奈はそう言ってくれた。
「怜奈がいなかったら、あたしは女の子になれなかったと思う。」
「何よ。元から女の子じゃない。」
「あ、そうね。」
二人で笑った。



次の日。
英理子はかつらをかぶって登校した。
靴箱で地面の靴を取るときも、
英理子は、ちゃんと膝をはなさず、膝を曲げて取った。
さあ、今日から「女の子」だと思って教室に入ろうとした。
すると、隣の教室の廊下あたりにいた女子が、
「あ、お姉様!」
「みんな、お姉様よ!」
と何人かが叫んだ。
すると、30人くらいの女生徒が、わあっとやってきた。
みんな口々に、
「お姉様、サインしてください。お姉様。」
と言いながらノートの白いページを差し出す。
(ああ、今度は「お姉様」なの?)
と英理子は苦笑した。

クラスのみんなが、
おもしろそうに眺めながら笑っていた。


<おわり>
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女子学園の王子様・寺島英理子④「英理子、白雪姫になる」

怜奈はケーキとコーヒーを用意して、
英理子を見に行った。
「お姫様、お姫様、目覚めなさい。」
と英理子の肩を叩いた。
英理子は、ぼんやりと目を覚ました。
「あ、あたし、寝ていたの?」と英理子の声は元に戻っていた。
「そうよ。」
「どのくらい?」
「30分くらい。」
「ああ、怜奈。あたし20人くらいの女の子をイかせてあげたけど、
 その20倍感じて天国へいっちゃった。怜奈、ありがとう。
 こんなステキな思い、初めて。」
英理子は起き上がった。
そして、メイクを落とし、かつらをとって、ジーンズを履き、元の英理子にもどった。

二人でケーキを食べながら、英理子は言った。
「怜奈、あたし自分がわかった。今の自分は無理してる自分。
 あたしは、もっと女の子になる。
 髪も長いのが好き。ズボンもはかない。ずっとスカートにする。
 メイクして可愛くする。」
「そうよ。元から女の子の英理子がうらやましい。」
「そうだね。元からあるもの生かさなきゃ。」
と英理子は言った。

「問題は、クラスのみんなに、いつカムアウトするかなの。」
英理子は言った。
「カムアウトの今がチャンスだ!っていうときがきっと来るわよ。
 でも、そのときを見逃しちゃだめ。」
怜奈はそう言った。



怜奈の言葉を胸に、英理子は学校へ行った。
いつものような日々が続いていたが、チャンスがやってきた。

卒業の日が、あと2ヶ月にせまり、
「卒業を記念する会」というのがあった。
高校3年生6クラスが、例年のようにそれぞれに出し物をする。
保護者も観客としてくる。
かなり力の入った大きな行事だ。

英理子のF組みは、「白雪姫」の劇をすることになった。
台本担当が台本を仕上げ、配役の発表となり、黒板に役が書かれた。
1.白雪姫 2.王子 3.7人の小人・・・・・。

で、台本係の司会により、配役を決める段になった。
英理子は今が、怜奈の言っていたチャンスだと思った。

「だれか、希望の役ありますか。」と台本係が言った。
「はい!」
英理子は、真先に手を上げた。
英理子が立ったとき、わあ、英理子が王子様に立候補するわ、きゃあーステキ、絶対いい、とかいう声がそこら中でした。
英理子は、ここで120%の勇気を出した。

「あの、白雪姫に立候補します。」と言った。

ええ??とクラスがわいた。
「うそー。」とか、「まさか。」とか、そのうち、「けっこういいかも。」「英理美人だし。」「私達、見たいじゃない英理のお姫様。」「これ、絶対受けるよ。」という流れに変わってきた。
そして、クラスのほとんどが「賛成!」と声を上げた。

「とうとうやったあ…。」と英理子は、心でつぶやいた。

白雪姫が、長身の英理子になったので、王子は、バスケ部の172cmある白井という女子に決まった。

当日まで、3週間あった。
衣装係は、衣装を作り、大道具、小道具、それぞれ。
俳優は俳優で猛特訓を受けた。
英理子は英理子で、高校生の女子として、ちょうどいい声を研究していた。
そして、稽古のあった日は、必ず怜奈の家に行って、
仕草を見てもらった。
「物をつかむときは、親指と人差し指で、あとの3本はピンと開いて伸ばすの。」
こうして、怜奈に女らしい仕草、礼の仕方とか、踊り方とか、ほとんど全部見てもらった。
かなり、ハードだった。
「みんなにあの英理子が…って驚かせたいのなら、妥協はだめなのよ。」
怜奈はかなり厳しい言葉も言った。
そして、英理子の身振りはほぼ完成に近づいていった。

そして、声の方は、若い娘の美声が出せるようになった。



劇の当日が来た。
「卒業を記念する会」は、隣の系列の大学の講堂を借りて行われる。

会の1番の話題は、学園で1番人気の寺島英理子が、白雪姫役をやるということだった。
みんな、見たい、一目見たいと言い合っていた。

英理子のF組は、単純にAから6番目。最後の大とりだった。
英理子は家の人に来ていいと言っていた。
家の人は、「お前が、白雪姫やるのかい。ギャグじゃないだろうな。」と父が言った。
「これは、大真面目な白雪姫だって。」と英理子が言うと、
「それなら、会社休んでも行かなくちゃ。お前の白雪を是非見たい。」
と家族みんなが言っていた。

英理子は怜奈にも招待状を渡したので、来てくれるかもしれないと思った。

やがて、会は始まった。
3クラスが終わったとき、英理子たちは楽屋へ行った。
英理子は、怜奈から、例のカツラを借りて来ていた。
衣装は、純白のすばらしいものが仕上がっていた。
ウエディングドレスのミディ丈のような衣装だった。
メイクは、演劇部の人が2人がかりでやってくれた。
メイクが終わり、かつらをかぶり、衣装をつけた。
最後に髪に白いカチューシャを差し、それには白い花がついている。
これで完成。
回りにいた人は、声を上げた。
「わあ~。ステキ。みんなが見たら、絶対感動すると思う。」
「英理子だとは、思えない。でも、これが本当の英理子なのかも。」
そういう人もいた。

「みんな、ありがとう。あたし、みんなの努力に負けないよう、演技がんばるから。」
英理子は、そう言った。


つづく(次は、最終回「英理子のカムアウト」)

女子学園の王子様・寺島英理子②「女の子になった英理子」

英理子は、制服を脱いで、ハンガーに掛け、
ジーンズをはき、厚手の緑色のセーターを着た。
使い古したスニーカーを履き、出かけた。
ポケットに手を入れ、歩いている姿はまるで男の子だったが、
ちゃんとブラをつけ、履いているのは、女の子のショーツだった。

怜奈のマンションに行こうと思った。
怜奈は、小学校からの幼馴染で、女の子のように可愛い男の子だった。
怜奈が、いじめられたとき、背の高かった英理子はよく守った。
怜奈の本名は、レオという。
怜奈は、中学生になると、
言葉や仕草や動作がますます女の子のようになり、
からかわれ、いじめられたが、英理子だけは怜奈を守った。
それから、中学3年間、1番の親友だった。
怜奈は、中学を出て、高校には行かず、
女になるために、ニューハーフ・クラブに勤めた。
今では、胸もあり、もともと可愛い顔をした怜奈は、どこから見ても美貌の女性になった。

電話をしたら、いると言う。
英理子は、怜奈のマンションのインターフォンを鳴らした。
怜奈が顔を出した。
英理子は、怜奈が、また、美人になったなあと思った。
怜奈は水色のワンピースを着ていた。

怜奈は、コーヒーを出してくれた。
それを用意する怜奈の仕草は、100%女性だった。
「いいなあ、怜奈は女らしくて。」コーヒーを飲みながら、英理子は言った。
「英理子は本物の女なんだから、もっといいじゃない。」怜奈は声も女性だ。
「怜奈…。」そう言って英理子は、うつむいた。
「どうしたの?何でも言ってよ。」怜奈がそばに来た。
「あたしさ。女になりたい。男の演技するのもう疲れた。」
「そうか。学校で王子様やらされてるのね。」
「うん。自分のこと『俺』って言ってる。
 もう20人くらいの女の子、イかせた。」
「可哀相に。」怜奈はそう言って、英理子を抱いた。

怜奈はしばらく、英理子を抱いていた。
そのうち、
「わかった。英理子を、この部屋で女の子にしてあげる。」と言った。
「どういうこと。」
「女装させてあげる。女装願望の男の子みたいだけど。」
怜奈は、そういうと、英理子のセーターを引っ張り上げた。
「あらあら、スポーツブラなんか着けちゃって。
 もっとファンシーなの着けたいでしょう。」
「うん。憧れてる。」
「じゃ、これね。」
白地にピンクの縁飾りのある可愛いブラを受け取り、それを着けた。
それとセットのショーツ。
同じような、スリップ。
「あ、あたし、興奮してる。」と英理子がいうと、
「それ、女装少年の言う言葉よ。」と怜奈が笑う。

ピンク色のストッキングを履いた。
英理子は、ドキドキしていた。
怜奈は、英理子をドレッサーのストールに鏡を背にして座らせ、
英理子にメイクを施していった。
ベースクリームを塗って、パフを撫でて、
アイメイク。まつげをカールして、マスカラを丁寧に塗って、お人形のようにした。
アイライナーで、目をくっきりとさせ、
シャドウは紫系にして、ハイライトも入れる。
頬紅、ピンクの口紅を、少し厚めに塗ってセクシーにする。
「よし。」と怜奈は思った。もともと顔立ちのいい英理子は、驚くほどの美少女になった。
そして、最後。
怜奈の持っている中で、一番フェミニンな、ふわふわのロングのかつら。前髪があって可愛い。
それを、英理子にかぶせた。ブラシで整える。
『わあ、可愛い。』怜奈の胸は躍った。
英理子は、鏡を背にしている。
ピンクの膝上のワンピース。光沢がある。回りが白のレースで縁取られている。
英理子を立たせて、ワンピースに体を入れ、腕を入れ、肩を入れ、後ろファスナーを上げる。
もうワンポイント、髪にピンクで、蝶蝶のリボンがついたカチューシャを差す。
英理子は、お姫様のようになった。

英理子の長くて真っ直ぐな肢、すばらしいと怜奈は思った。
「いいわよ。鏡見てみて。」と怜奈は言った。
英理子は恐る恐る鏡を見た。
「わあ~。うそ、これがあたし。あたし、こんなに可愛かったの。感激。
 うれしい。怜奈、ありがとう。」
英理子は、怜奈に抱きついた。

「英理子、ずーと鏡を見ているといいわ。
 あたし、買い物に行ってくるから。今日、私の家で食べて帰るでしょう。」
「うん。」ありがとう。」



怜奈が出て行った後、
英理子はずーと鏡を見ていた。
これが本当のあたし。
こんなフェミニンな自分が好きなの。
フェミニンな服を着て、
フェミニンなものをもち、
フェミニンな部屋にいる。

英理子は、ちょっと可愛い声が出るか試してみた。
「お姉様、あたしのこと愛して。」
わあ~と思った。今、幼い女の子のような声を出せた。
鏡の自分を見て、そんな気持ちになったのだ。
英理子は続けた。
「みんな、ごめんね。これがあたしの本当の姿なの。
 女の子、女の子したのが好きなの。
 お姫様になりたいの。ねえ、みんな、わかって。」
英理子は自分の可愛いバージョンの声にうっとりした。
ああ、幸せ。こんな可愛い女の子になれた。
でも、この声、みんなには、可愛過ぎると思った。
ちょうどいい声を見つけなければならない。

でも、仕草はどうかな。
考えてみると、小学校では、クラスのマドンナだったから、
すごく女らしくしていた。
中学で、ボーイッシュだったけど、
ちゃんと女の子やってた。
高校でバンドやるようになって、男っぽい仕草を始めた。
だから、大丈夫だ。
女でいたキャリアの方が長い。
元に戻ればいいんだ
さっきの声みたいにフェミニンにはなれないが、
一応女としての仕草はできると思った。

学校のみんなにカムアウトしたいな。
高校生活もあと少しだし。
最後くらい、本当の自分でありたい。

考えて見ると、怜奈はえらいな。
男の子なのに、女の子になった。
どれだけの勇気がいったろう。
あたしは女で、違う女になるためだけで、これだけの勇気を必要としているのに。
英理子はそう思った。


つづく(次は、「怜奈とのセックス」です。)

女子学園の王子様・寺島英理子

聖パブロフ学園は、中、高一環の女子私立校だ。
女子だけの学校によくあるように、この聖パブロフ学園にも、
ステキな男子の代わりを勤める美形の女子がいた。
寺島英理子は、身長が168cm。大変な美形だった。
髪型は、ロックバンド風で、目の下にくるくらいの長い前髪をしていた。
そのために、前髪をしょっちゅうかき上げなくてはならなかったが、
他の女子にいわせると、その仕草がたまらなくかっこいいのだった。

さらに英理子は、学校の女子バンドのベースギターの担当で、
ギターの弾きっぷりがよく、バンドの発表の場では、
ボーカルの女子より人気を集めていた。

そんな英理子が、学園の女子からもてないはずはなかった。
思春期の少女は、同性愛的な傾向に走ることはよく言われている。
男子は、どこか、けがわらしく、がざつに思うようだ。

寺島英理子は、高校3年。
同学年から、中学部の1年生までの憧れの的だった。
そのファンたちは、英理子に、男性的なキャラクターを求めた。
男言葉を話し、動作も男性的、運動が出来て、そして、同性愛である。

英理子は、その条件をほぼ満たしていた。
自分のことを「俺」と呼び、
宝塚の男役のような所作をし、バンドのない日は、
バスケットクラブに属していた。そして、上手だった。
そこで、体育館には、英理子のファンが、いつも20人くらい詰め掛けていた。
彼女たちは、英理子のことを「英理様」と呼んだ。

英理子は、女の子に手を出すのが早かった。
ちょっと可愛い女の子がいると、体育館裏に呼んだ。
「可愛いね。」と英理子が言うと、その美少女は、それだけで体が震えた。
「来て、キスしたことある。」
「ううん。」と美少女は、ドキドキしながら、首を振る。
「簡単だよ。」と英理子は言って、女の子の唇を奪う。
女の子は、感激で震える。

「こうされると、気持ちいいよ。」そういって英理子は、少女の後ろに立ち、
彼女の乳・房を揉む。そのうち、セーラーのしたから、
乳・房の突起をつまみ、それをぐりぐりとする。
「あ……あ。」と美少女は、声を出す。
「ぬれてる?」と英理子は聞いて、美少女のスカートの中に手を入れ、
ショーツに手をもぐらせ、ある突起を触る。
「あ………あ。」と美少女は、声を出す。
英理子は容赦せず、突起を刺・激する。

女の子は、うつむいて必死に快・感に耐える。
英理子にだかれた、体が震え始める。
「ああ、英理様、英理様…。」
そうくり返しながら、少女は、体をぶるぶるさせ、
立っているのがやっととなり、快・感の波にもまれて、
「ああ…。」と背中をのけ反らせる。
少女は果てた。

英理子は、厚い口付けをもう一度する。
「ごめんね。」英理子がいう。
「ううん。ステキだった。」
「よかった。」
「もう2度は、だめなんでしょう。」
「うん。いろんな子を愛したいから。」
「うん。英理様のファンは大勢いるから。1度でもしてもらって、
 あたし幸せ。」
「ごめんね。」

英理子は、こんなことを、もう20人以上にしてきた。
ファンの少女たちには、英理様を独占してはいけないと、
いつのまにか約束が出来ていた。



その日、バスケの部活がなく、
英理子は、家に5時ごろ帰ってきた。
自分の部屋のベッドに横たわった。
部屋に貼ってあるのは、スポーツ系のポスター。
そして、棚にあるのは、モデルカー。
プラモデルの車や、人形。
カーテンの色、ベッドカバーの色。
どれも、黒やグレーのもの。

「英理子が小さいときは、
 女の子のものが大好きだったのに。」
母がよく言う言葉だ。
この部屋は、誰が見ても男の子の部屋だ。
英理子は、心で言った。

「あたしは昔から変わらない。
 今でも女の子の物が好きだ。
 こんな男の子の部屋にいたくない。
 今だって、女の子のドレスに憧れてる。
 ウエディングドレスに憧れてる。
 今のあたしは、みんなの期待に応えて演じているだけ。
 自分のことを「俺」なんて呼びたくない。
 あたしって呼びたい。
 今のあたしは、本当のあたしじゃない。


つづく(次回は、「女の子になる英理子」です。)

女装の好きな大川浩二③「里恵との絆」最終回

里恵は、エンジのワンピースの胸元に銀のネックレスをつけ、
耳に同じ少し垂れ下がった銀のピアスをつけた。それが、きらきらと光る。

「浩子、あたし、出来上がり。」と里恵が言った。
浩二は、里恵を呆然と見ていた。
体が熱くなり興奮していた。心臓がドキドキする。
「里恵さんが、こんなに綺麗な人だなんて、思いませんでした。」浩二は言った。
「浩子だって、可愛いわよ。」と里恵。

「浩子。いっしょに鏡見よ。」
そう言われて、浩二は里恵と鏡を見た。
「浩子、完全に女の子ね。」と里恵はいった。
「里恵さんは、美女です。お姫さまみたい。」と浩二は言った。

「ああ、浩子が可愛くてたまらない。」
と、里恵は、立って歩きながら言った。
「中2の子に、どこまでしていいのかしら。
 抱きあって、キスくらいいいかしら。
 ああ、わからないわ。」と里恵が独り言を言っている。
「でも、我慢できない。理性が負けちゃう。浩子が可愛い。」
里恵はそう言って、ティッシュを浩二に出した。
「せっかく塗ったルージュだけど。
 浩子、ティッシュをかんで、口紅を少し落として。」
里恵はそう言って、自分も同じことをした。
浩子を誘って、ベッドの上に並んで、寝た。
そして、里恵は浩二を抱きしめた。
『あ…あ、最高…。』浩二は思った。
里恵の化粧品の香りがして、それが、さらに自分を刺激する。
「浩子、可愛い。大好き。」
「お姉様。あたしもお姉様が好き。」
浩二は、いつの間にか女言葉をしゃべっていた。
「もっと強く、お姉様。」
「いいわ、こう。」
「そう。ステキ。ああん。」
里恵の柔らかな胸が浩二の胸元にあたった。
里恵のやわらかな体。
浩二は、自分の使う女言葉で、さらに興奮して行く。
「ああ、可愛い。」
里恵はたまらず、浩二にキスをした。
「ああ…。」浩二は夢見る思いだった。
美しい里恵にキスをされている。
里恵の唇のなんて柔らかなことだろう。
浩二は耐え難くなっていた。
自分のあそこが破裂しそうだ。
「お姉様。あたし、もうダメ。いきそう…。」浩二は言った。
「ほんと、それはいけないわ。」
里恵はそう言うと、浩二から手を離して、
浩二のスカートをめくり、ショーツを下ろして、
はちきれそうになっている浩二のものを、口に含んだ。
「ああ、お姉様にそんなことされたら、あたし、すぐにイっちゃう…。」
浩二のことばどおり、浩二は、里恵の口の中に、あっという間に、噴射してしまった。
里恵は、浩二のものを飲み込んだ。そして、浩二のものをゆっくりと舐め、
ショーツを上げて、スカートで隠した。

浩二の顔のそばで、里恵は言った。
「浩子、楽になった?」
「うん。楽になった。お姉様、ありがとう。」
「あたしも興奮したの。ね、女は興奮すると、ここがぬれるの知ってた?」
「知らない。どこが?」
「え、あー、いいのかな、浩子中2だし。」里恵はそう言った。
「教えて。何でも勉強だもの。」浩二は言った。
「そうね。勉強だものね。」
里恵はそう言って、浩二の手を、スカートの中のショーツの中へ導いた。
「ここよ。」
「あ、ほんとだ。すごくぬれてる。」
「それでね。ここを撫でられると、いちばん感じてしまうの。」
「これ?ここ?」
「あ…あ。」と里恵は叫んだ。
「これなのね。お姉様、ここをこうされると、気持ちいいのね。」
「そう、そうなの。でも、浩子中2だから、まだ早いって…。」
「あたしも気持ちよくしてくださったから、お姉様も気持ちよくしてあげる。」
浩二は、そこを撫でたり、転がしたりした。
「あ…あ、浩子、あたしを抱いて、お願い、抱いて。」
里恵の声に、浩二は、片手で里恵を抱いた。
「どう?お姉様。」
「いい、ああ、すごくいいわ。あ、あ……あ。」
里恵は、浩二に抱きつきながら、首を振ったり、体をくねらせたりして、
声を殺しながら、やがて、果てていった。

浩二は感動していた。女の子が行くときは、こんなに激しいのかと。
でも、いいものだなあ。何回でもやりたい。
江里もこんなふうになるのかな。
それを思うと、また興奮してしまいそうだった。
でも、今は、江里のお姉さんのことが好きになっていた。

浩二は、里恵の顔のそばで、
頬をなでながら、厚いキ・スをした。
里恵は満足そうに微笑んだ。

「お姉様。よかった?」
「うん。幸せだった。」と里恵は言った。
「ぼく、今度は、里恵さんの病気を治したい。
 いっしょに電車に乗れるように。
 いっしょにエレベーターに乗れるように。
 いっしょにビルの高いところまでいけるように。
 ぼく、お手伝いする。
 ぼく、里恵さんが好きになったみたい。」
「ありがとう。浩子がいるなら、勇気が出る。
 手伝ってくれる?」
「うん。毎日でも来る。まずは、電車に乗ってみよう。」
「うん。がんばる。」


<おわり>

《エピローグ》===================

翌日浩二は、学生服のまま、江里の家に来た。
インターフォンで里恵を呼び出した。
里恵は、短髪で眼鏡を掛けメイクは無しで、長い生成りのいつもの服できた。
「浩子、お願いします。」と里恵が言った。
「はい、行きましょう。」
里恵は、浩二の手を取った。少し震えていた。
やがて、電車の駅にやってきた。
「とりあえず、いっしょに1駅だけ行ってみましょう。」
「はい、がんばります。」
やがて、電車が来て、浩二が乗ろうとすると、
里恵はしり込みをした。
「やっぱり、怖い。」
「ぼくが付いているから大丈夫ですよ。」
里恵はうなずいて、電車の中に入った。
次の駅に付くまで、里恵の体は、少し震え、額に汗をかいていた。
浩二は、里恵の肩を抱いた。
やがて、次の駅についた。
降りた二人は、万歳をした。
「里恵さん、乗れたじゃないですか。」
「はい。乗れたわ。あたし、うれしい。浩二さんのおかげ。
もう一駅乗りましょう。
「今度は、ぼくがそばにいますが、里恵さんを支えません。」
「はい。がんばってみるわ。」
次の電車が来た。
里恵は震えながら、先に乗った。
そのあとで、浩二は乗った。
里恵は電車の手すりにつかまって、必死に耐えていた。
やがて、電車は次の駅についた。
ホームに降りた里恵は、涙ぐんでいた。
「浩二さん。あたし乗れたわ。」
「よかった。ぼくもうれしいです。」
浩二と里恵は抱きあった。

浩二は、毎日のように里恵の家に通って、
里恵の練習をした。
「パニック障害」の治し方という、本を二人で研究して、
少しずつ練習した。
浩二は、里恵がメイクをしていなくても、
ウィッグをかぶっていなくても、里恵を愛していた。
それは、里恵も同じだった。
毎日練習するたびに、二人の絆は深くなった。

それから、約半年のうち、里恵のパニック障害は完治した。
里恵はもうどこにでも行けるようになった。
パニックが起こるような気がしなくなった。

はじめて、駅前の高層ビルの最上階まで、エレベータでいけたとき、
里恵は、浩二に抱きついた。
「ありがとう、浩二さん。」と里恵は涙ぐんでいた。
「里恵さん。よくがんばりましたね。」
「浩二さんが男のときも、女の子のときも好き。」
「ぼくもです。素顔の里恵さんもメイクの里恵さんもすきです。」

里恵は、下から上がってくるガラス張りのエスカレーターを見た。
「きゃー、怖い。あたし治ってないのかしら。」
「あはは。それは、ぼくだって怖いですよ。」
二人で顔を見せ合い笑った。


<おわり>(次は未定です。)

女装の好きな大川浩二②「お姉さんに会う」

浩二は、パンツ一つの真っ裸になるように言われた。
そして、江里は、後ろを向いたまま、ブラジャーを差し出す。
「これ、あたしの。これを着けて。」と江里は言う。
浩二はぞくぞくした。
江里の下着まで着ける。
浩二はなんとかブラを着けた。
「それから、これは、買っといたの。これを着けて。」
後ろ向きのまま、江里はいう。
浩二は、女の子のショーツと、スリップを受け取った。
「わあ、下着まで女の子用…。」
それを履く浩二の手は震えた。
あそこが大きくなってしまっていたが、
下がスカートになっているスリップのおかげで、なんとか隠すことができた。

江里は、浩二を見た。
「やっぱり。」と言った。
「やっぱり浩二君は、女の子だわ。下着姿で十分可愛い。
 髪の毛も長いし、足の毛なんて全然ない。」

江里は、下着姿の江里を、ドレッサーの前に座らせた。
そして、アイロン式のカーラーで、浩二の髪を内巻きにした。
前髪も、少しカールをつけて、乙女っぽくした。
それから、浩二にルージュを引いた。
そえだけで、浩二の顔は一気に女顔になった。

そして、江里は、ピンクのワンピースを着させた。
「このワンピは、あたしのだからね。」
浩二は、ぞくぞくして止まなかった。
クラスで一番の美人で、勉強もできる、
男達がみんな好きだと言っている江里の服を着られるなんて。

ワンピースを着た浩二を、江里はしげしげと見た。
「わあ、やっぱり女の子。お姉ちゃん、喜ぶ。」
浩二も姿身で自分を見た。
ドキンと衝撃が胸に響いた。
「ああ、女の子が映っている。
 それは、自分なのだ。」
たまらなく興奮した。
江里が浩二を腕で引き寄せ、
二人で鏡を見た。
どう見ても二人の女の子が映っている。
美人の江里にさほど引けを取らない可愛い女の子。
それが、自分だなんて。



二人で並んでベッドに座っていた。
浩二は、大好きな江里と並んで、
胸がずっとドキドキのしっぱなしだった。
「浩二君は、女の子になりたいんだよね。」
「う、うん。」
「だったら、女の子はきらい?」
「そんなことない。小川さんが好き。」
「じゃあ、お姉ちゃんも好きになるよ。同じ『小川さん』だもの。」
「あ、そうだね。早く会いたい。」
浩二は、江里のお姉さんだから、きっと美人だと思っていた。



「じゃあ、お姉ちゃんの部屋へ行こう。お姉ちゃん、里香っていうの。」江里が言った。
どんな人なんだろうと、浩二はドキドキした。
ドアをノックし、江里は、浩二を部屋に入れた。
「お姉ちゃん、この子。浩子って呼んで。」
浩二は、お姉さんの里香を見た。
意外だった。
髪の長い江里に比べて、お姉さんは、ベリー・ショートにしていた。
華やかな顔立ちの江里と違って、地味な顔立ちの人だった。
眼鏡を掛けていたので、余計そう思ったのかも知れない。
そして、スカート丈の長い、生成りのワンピースを着ていた。
とても、上品で、聡明そうな人だった。

江里は、浩二をお姉さんのそばまで押していき、
「お姉ちゃん、あたしいない方がいいよね。」
そういって、江里は姿を消した。

「浩子ちゃんっていうの。可愛いわ。ほんとに男の子?」
里香は、大人っぽい声でそう聞いた。
「ええ。男です。」と浩二は答えた。
「日曜日も勉強するんですか。」と浩二は、江里の机の上を見て言った。
そこには、むずかしそうな、高校の教科書があった。
「うん。あたし『パニック障害』っていう精神の病気で、外に出られないの。
 でも、高校には行きたいから、通信制の高校で勉強してるの。
 一人でやるから、すごく大変。わからないことだらけ。」
「大変そうですね。」
「うん。あたしこんな病気だから、精神科のお医者さんになりたいって思ってるの。
 大学になるまでに、治したい。」
「里恵さんは、外には全然出られないんですか。」
「電車に乗れないの。それに、空気の通ってないところはダメ。
 だからエレベーターに乗れない。ビルは、2階から上がだめ。
 家の中でも、トイレと風呂場は怖い。
 だから、髪、こんなに短くしてるの。すぐに洗えるでしょう。
 この病気になるまでは、髪伸ばしてた。」
里香は、一言一言ゆっくり話す人だった。
「きっと治りますよ。」と浩二は言った。
お姉さんは、にっこりして、「ありがとう。」と言った。
浩二は、里香の笑顔がステキだと思った。

そのとき、ドアをノックする音がして、
浩二が開けると、江里が、ケーキと紅茶を持ってきて、
ドアの横の小テーブルに置いていった。

部屋の小テーブルで、二人で、食べながら。
「あのう、里恵さんは、ぼくみたいな、女装の男の子が好きなんですか。」
「ええ、そうよ。」
「何でですか。変わってると思います。何か訳があったんですか。」と浩二は言った。
「浩子だって、男の子なのに女の子になるのが好きでしょう。
 理由なんてないでしょう。」
「ええ、ああ、そうです。小さいころから、女の子の格好がしたかったです。」
「それと同じ。あたしも小さいときから、女装の男の子が好きだったの。」
「そんな、女の人いるんですね。」
「ここにいるわ。」
二人でちょっと笑った。

ケーキを食べ終わると、
「浩子、ちょっとここに来て。」とドレッサーのところで、里恵に呼ばれた。
「浩子すわって。ちょっとメイク濃くしてみるわ。」
里恵はそう言って、浩二の睫毛をカーラーで押さえて、
マスカラを、丁寧に着けていった。
浩二の目は、だんだんお人形のようになっていく。
そして、ブラウンのアイライナーで、目をくっきりとさせ、
全体にピンクのシャドウを効かせていった。
そして、チークを濃い目にして、
リップを、少し濃い目のピンクにした。
その上に、グロスを塗って、光らせる。
浩二の顔は、見違えるように、華やかになった。
「どう?見てみて。」
浩二は鏡を見て、わあっっと驚いた。
浩二は、可愛いお人形のようになっていた。
「じゃあ、あたしも浩子に合わせるわ。」
お姉さんはそう言うと、眼鏡を置いて、
立って、生成りのワンピースを脱いだ。
そして、着ていた白の下着を脱いだ。
「浩子は、女の子だから見ていてもいいわ。」
里恵はそう言った。
浩二は、そう言われても、やっぱり女性の裸だから、見るわけに行かず、後ろを向いていた。
里恵は、全部黒の下着に変えた。
そして、エンジ色の光沢のあるワンピースを着た。
「もういいわ。服を着たから。」
里恵に言われて、浩二は、里恵のいるドレッサーの方を見た。
里恵は手早くメイクをしていく。
目をくっきりとさせ、紫色のアイシャドウを塗り、
マスカラで、睫毛を長くし、
チーク、エンジ色の口紅、チークもエンジ。
ところどころハイライトを入れた。

そして、最後に箪笥の横にあった円筒を開け、かつらを取り出して、それをかぶった。
前髪がふんわりした、やさしいウエーブのあるロングの髪だった。
それをかぶるだけで、里恵は一気にお姫様のように変身した。
地味だと思っていた顔立ちが、メイクによって、華やかになり、
奮いつきたくなるような美女になった。


つづく(次回は、完結編です。)

女装の好きな大川浩二・中学2年①「そっと身に着けたセーラー服」

中学2年。大川浩二は、その日、体育を見学して、教室に残っていた。
教室には、みんなの制服がある。
きちんと畳んであるのは女子だ。
浩二は、その女子のセーラー服を見て、ごくんとつばを飲み込んだ。
そして、ある女生徒のセーラー服のある机のそばに立って、
そのセーラー服を見つめていた。
その服は、クラスでマドンナ的存在である、小川江里のものだった。
「着たい。着てみたい。」
浩二は、心の中でそうくり返していた。

まだ、授業は始まったばかり。
みんなが戻って来るまで、時間は十分ある。
さっと来て、さっと脱いで、畳んでおけばいい。
浩二は、江里の畳み方を頭に入れた。
そして、江里のセーラー服をさわった。
手が震えていた。
心臓がドキドキしている。
ああ、小川さん。ごめんなさい。
心でそう言いながら、浩二は自分の学生服とYシャツを脱ぎ、
ランニングシャツとパンツだけになって、
小川江里のセーラー服を手にとった。
スカートを履き、上着の横のファスナーを下げ、
セーラー服を着た。
そして、白いスカーフをセーラーの中に入れて、
前のスカーフ止めの布の筒にスカーフを差しこんだ。
これで完璧だった。

ああ、とうとう小川さんのセーラー服を着た。
美人の小川江里の服を見につけている。
それは、体が震えるほどの感動だった。

着たらすぐに脱ごうと思った。
そのとき、教室に向かって誰かが来る足音がした。
浩二は、ドキンとして、どこかに隠れようとしたが、
足音の方が早い。
絶体絶命となり、浩二はただ立っているしかなかった。
教室にやってきたのは、よりによって、小川江里だった。
浩二と江里は、それぞれの思いで、呆然とお互いを見合った。

浩二は、谷底に突き落とされた気持ちだった。
江里は、ショックだったが、同時にセーラー服を着ている浩二が可愛いと思った。
浩二は女の子のような顔立ちで、髪をアゴのあたりまで伸ばしていた。
背も自分と同じ、160cmくらい。
そんな浩二にセーラー服が似合っていると思った。
そして、不思議と不快感を覚えなかった。

「あたし、ハチマキとりに来たの。びっくりした。
 あたし、もう行くから、あたしの服ちゃんと畳んで元のようにしておいてね。」
江里は、浩二を咎めもせずに、自分の机の体操着袋から、ハチマキを抜いて、
急いで、体育館に向かった。

怒られなかった…と浩二は救われる思いでいた。
とにかく服を脱がなければ。
上着、スカートを脱いで、元あったように、きちんと畳み、
マフラーも元のように畳んで、自分の席にもどった。

動悸がまだ激しく打っていた。
小川さんは先生に言いつけるだろうか。
友達に言うだろうか。
親にも知れるだろう。
浩二は目の前が真っ暗になった。

みんなが体育が終わってくるまで、
生きた心地がしなかった。
小川さんがやってくる。
ああ、どうしよう…。

しかし、小川江里は何もなかったように、
浩二の横を素通りし、
浩二が着た服に着替えた。

クラスでは、男子が黒板をむいて着替え、
女子は後ろの黒板を向いて着替えることになっていた。
生徒数が多く、更衣室の余裕がなかった。

次の時間が終わったとき、
浩二は、小川江里から、小さな紙を受け取った。
そこには、「日曜日の2時、あたしの家に来て。」と書かれてあった。
今日は、金曜日だった。
日曜が来るまで、浩二は気が気ではなかった。



日曜日の2時が近づいていた。
小川江里の家に向かいながら、
浩二は、いろいろないい訳を考えた。
だか、自分は女の子の服が着たい。
それも一番大好きな小川さんのを着たかった。
そう正直に言うほか、口実が思い浮かばなかった。

小川江里の家は、大きなお金持ちそうな家だった。
インターフォンの呼び鈴を鳴らすと、
すぐ江里の声がした。
そして、ドアから江里が顔を見せ、
「あがって。」といった。
「今日家、お姉ちゃんと二人なんだ。」
そう言って江里は、浩二の手を引いて、自分の部屋に連れて行った。

江里の部屋は、8畳ほどある板の間で、
女の子らしいファンシーな部屋だった。
ピアノがあり、下は白のふかふかのジュータン。
江里の勉強机があった。

二人はベッドの上に座った。
「あのう、小川さん、ごめんなさい。
 ちゃんと謝る機会がなくて。」と浩二は言った。
「怒ってるわよ。すごく怒ってる。
 だから、今日は罰として、浩二君に女の子になってもらうわ。」
江里がそう言った。
「ぼく、女の子になるの好きだから、罰にならないよ。」
浩二は言った。
「いいわよ。それで許してあげる。でも、お姉ちゃんに会って。」
江里は言った。
「どうして?」と浩二は聞いた。
「お姉ちゃん、少し訳ありなの。」
「どんな訳?」
浩二は少し不安になった。
「お姉ちゃん、浩二君みたいな子好きなの。
 それで、今、心の病気。」
「どんな。」
「それは、会ってから聞いて。」
「うん。」と浩二は答えた。
「さあ、お姉ちゃんに会うために、浩二くんを女の子にするわ。」
江里は言った。
浩二は、なんだかぞくぞくしてしまった。


つづく(次は、「江里のお姉さん」)

大沢良夫の場合③「二人を結ぶ活路」最終回

良夫はディズニーランドへ、若い女の子の格好で行った。
遊びに行くので、メイクは桃色系で統一した。
美容師さんが言ったように、ポニーテールにした。
すると、父は、すごく可愛いと言ってほめてくれた。
良夫も我ながら、可愛いと思った。
だから、最高の気分だった。

父とのディズニーランドは、楽しかった。
歩くとき、良夫はずっと父の腕を取っていた。
怖い乗り物では、「きゃー。」と言って父にしがみついた。
女の子の声をたくさんあげた。
また、父の手を引っ張って、次の乗り物へとせがんだ。

良夫の心は完全に女の子になっていた。
忠雄から見て、良夫は、完全に娘だと感じた。
いや。親子ならあんなに娘がべたべたしていない。
言うならば、良子が恋人のように思えた。



ディズニーランドから帰ってきた夜、
良夫は、母の黒いスリップ1枚で、自分の部屋のベッドにいた。
眠れなかった。
今日の楽しかった一日を思い出していた。
そして、自分の心が、完全に女の子になっていたことが、
うれしい感覚として、残っていた。
女の子の心で父を思うと、
とてもステキな男性として思えた。
ハンサムで、まだ38歳と若く、
父というより、年上の彼という気がしていた。
お母さんが好きになったのも無理はないと思った。
父に抱きついたこと、父の腕をとったこと、
息子としてならば、まずしないことを、
女になった気分でした。
夜になり、ベンチで二人並んだとき、
良夫は、たまらなく、父に抱きしめてほしく思った。
それは、父としてではなく、一人の男性として。
そして、出来るならば、キスをしてほしく思った。
こう思う自分はもはや男子ではない。
自分は男にはなれない。
女としてしか生きられない。そう思った。

同じ頃、忠雄も考えていた。
この頃の生活を通じて、
息子良夫は、どこにもいなかった。
いるのは、妻良子か、娘良子だった。
だか、今日のディズニーランドで思ったのは、
もう一人、魅力的な若い女性良子だった。
良子と腕を組んでいると、まるで恋人といるようだった。
父と子であるということを忘れていた。
恋人としての良子を思う気持ちは、前からあり、日に日に強くなっていた。
率直に言えば、忠雄は、良子を抱きしめたかった。
口づけをしたかった。
そして、良子の体中を愛撫したかったのだ。
だが、それは許されないことだと思っていた。

しかし、ふと、こう考えてみたらどうかと思った。

例えば、良夫と自分とが親子の縁を切る。
そうすれば、血がつながっているわけでもなく、
二人の他人である。
それなら、互いに恋に落ちることができるではないか。
そして、結婚して、同居する。
実際には、男同士結婚はできない。
(良夫が性同一性障害なら別。)
さらに、良夫と縁を切っても、良夫に保護者が要る。
実際には無理なことだが、そのつもりになったらどうだろう。
籍を抜いたつもり。
結婚したつもりで、二人で今のまま暮らせばいいではないか。
書類上では親子でも、気持ちの上で結婚したと思えばいい。
そうすれば、良子と愛を交わすことが出来る気がした。



忠雄がそんなことを考えているとき、
忠雄の寝ている和室に、良夫が黒いスリップでいた。
そして、枕を抱いていた。

「お父さんの布団に入ってもいい?」良夫は言った。
「ああ、いいとも。」と忠雄は、布団を開けた。
良夫は中に滑り込んできた。
そのとき忠雄は、鼻をくすぐるかぐわしい香りをかいだ。
それは、懐かしい妻良子の香りだった。
「良子、どういうつもりなんだ。お母さんの香水なんかつけて。」
「うふん。お父さんを、悩殺しようと思って。
 絶対ダメだと思うけど、お父さんにキスしてほしくて。」
「できるよ。良子とお父さんは、縁を切って親子でなくなったことにしよう。
 そうすれば、他人同士だ。お父さんは、良子への恋に落ちる。」
「そうね。お父さん。」
「だから、お父さんではなく、忠雄さんだ。そう呼んでおくれ。」
「わあ。じゃあ、忠雄さんはあたしの恋人。」
「うん。」
「忠雄さん、キスして。」
「いいよ。」
二人は唇を重ね、抱きあった。
忠雄はパジャマを脱いで、
スリップ姿の良子の体を愛撫し、抱きあった。
「忠雄さん、もっと強く。」
「ああ、良子。」
忠雄は強く抱きあった。

忠雄にも、良子にも、男同士のセックスの方法がわからなかった。
ただ二人は、夢中で、ショーツを脱ぎ、
相手の熱く大きくなったものを撫であった。
そして、陶酔の中に沈んでいった。

忠雄にとって、良夫は、
妻が残してくれた、大切な遺産だった。


<おわり>

大沢良夫の場合②「女の子になる」

その日も、良夫は、母の服を身につけていた。
鏡に見とれて、父忠雄が、2時間早く帰ってきた玄関の音に気が付かなかった。

父が部屋に入って来たとき、良夫は、はっと我に帰って、
ドレッサーのストールから立った。

「良子…。」
忠雄は、そうつぶやき、もっていた鞄を下に落とした。
そして、良夫のそばに来て、「良子!」と叫んで、良夫を抱きしめた。
父は泣いているようだった。
良夫は、父であると同時に、男性に抱かれる悦びに身が震えた。
良夫は、しばらく、抱かれるままにしていた。

「お父さん。ぼく、良夫。」
良夫の声で、忠雄は、やっと我に帰った。
「あ、良夫か。ああ、ごめん。お母さんにあんまり似ていたから。」
「お母さんの服なんか着て、ごめんなさい。」良夫は言った。
「いや、びっくりしたよ。お母さんが帰って来たのかと思った。」
忠雄は笑った。
良夫は、母の服を脱ごうとした。
「いや、良夫。着替えなくていい。その姿でいてくれないか。
 なんだか、良子がいるようでうれしい。」
「うん、わかった。」と、良夫はうれしく思った。

良夫は、エプロンをし喜喜として、夕食の準備を始めた。
忠雄は、そんな良夫の後姿を、テーブルから眺めていた。
いつも女性的だと思っていた良夫の仕草だが、
女性の服を着ている良夫は、さらに女の子そのものだった。



食事をしながら、忠雄は聞いた。
「良夫は、お母さんになりたかったの、それとも女の子になりたかったの。」
「両方だと思う。」と良夫は答えた。
「女の子になりたいって気持ちもあるんだ。」
父の聞き方になんの偏見も咎める感じもなく、良夫は、正直に答えることができた。
「ぼく、子供のころから女の子になりたかった。
 でも、女の子の服が着たかっただけかも知れない。」
「まだ、はっきりわからないよな。16歳だし。
 良夫が望むなら、家にいるときは、ずっとお母さんの服を着ているといいよ。
 きっと、お母さんが良夫に残してくれた、遺産なんだと思う。」
「ほんと?ぼくうれしい。」
「美容院へ行って、もう少し女の子風にカットしてもらうと、もっといいよ。」
「え?そんなことまでしていいの?」
「良夫が、学校で困らない程度にね。男にも見えるカットがいいと思う。」
「お父さん、どうしてそんなにわかってくれるの。」
「いや。良夫が、お母さんに近づいてほしいって、ただの男の魂胆かも知れないよ。」
そう言って忠雄は、笑った。



忠雄にとって、その日から、家に帰るときの楽しみが増えた。
良夫が今日はどんな服を着て、どんな女の子になっているか、
良子を思い出すとともに、美しい娘ができたようで嬉しかった。

家の中で、男装の良夫がいるより、女装の良夫がいる方が、
家の中が明るく感じた。亡き妻がいたときのように。
女装をしているときの良夫は、仕草や反応など、日に日に女性的になり、
そのうち、良夫は、自分を「あたし」と呼び、女言葉を自然に使うようになった。
ときどき、「いや~ん」とか「やだあ~」とか女性特有の言葉も発するようにもなった。
そして、「良夫」と呼ばれるのを嫌い、母の名で呼ばれることを望んだ。

良夫は、16歳の今でも忠雄に甘えることをした。
女装をするようになって、なお甘えるようになった。
いっしょにテレビを見ることが多く、
そのとき、良夫は、たいてい忠雄の隣にいた。
そして、忠雄の腕をとったり、あるいは、身を預けもたれて来たりした。
「良子、重いよ。もう16歳なんだから。」と忠雄は言う。
「やあ~ん、お父さんに、こうしていたいのオ。」
と良夫は甘ったれた声を出す。

忠雄は拒絶をしなかった。
実の父も母も亡くした良夫が甘えることができるのは、自分しかないと思ったからだ。
ただ、女装して良子と瓜二つになった良夫に対して、忠雄は、ふと恋愛的な感情を抱くことがあった。
忠雄は、自分のその感情を、厳しく否定し、自分を咎めた。



良夫は、忠雄の許しが出たので、母の服を着て、バッグを持って、すぐ美容院へ行った。
「あのう、すごく女の子らしくしてください。でも、男の子にも、なるような。」
良夫は言った。
ついたのは、若い美容師だった。
「むずかしい注文だわ。じゃあ、あなたは、男の子。」と彼女はいう。
「はい。女っぽいけど。」
「あなたのむずかしい注文聞くまでは、わからなかったわ。」
「ぼく、女の子で通る?」
「通るわよ。100人のうち99人が女の子だと思うと思うわ。」
「よかった。」と良夫は言った。

できあがった髪の毛を見て、良夫は完全に女の子のヘアスタイルだと思った。
これなら誰が見ても女の子だ。
前髪が、適度に梳かれて、横の髪が、グラジュアルに長くなっている。
美容師さんは、
「ステキな髪型です。こうやってポニーテールにすると、もっと可愛くなります。」
ポニーテールにすると、両耳の横の髪が房になって垂れ、それが、女らしさを高めている。
「また、髪の下の部分に、カールを掛けると、内巻きになったり、外まきになったりして、可愛いです。
 男の子になりたいときは、手を水で濡らして、髪をぴっちりさせ、前髪を左右に分けて、額を出します。どうですか。」
美容師さんにやってもらって、良夫は安心した。どうにか男に見える。
「どちらで、お帰りになりますか。」と言われ、
「女の子で帰りたいです。」良夫は言った。
美容師さんは、ドライヤーで、髪全体をふんわりさせた。
これなら、今の流行系の女の子に見える。
良夫はうれしかった。

流行系の女の子の洋服も一そろい買ってきてもいいと言われていた。
良夫は分からないので、10歳代のマネキンが来ていて、いいなと思うものを、全部買った。
靴からバッグまで。

家で身につけて見ると、ちゃんと10歳代の娘に見えた。
赤いミニのスカートに、黒いタイツ。白いVネックのセーター。
そして、茶の皮のベスト。黒いガラスのネックレス。

ああ、こんな女の子が町にたくさんいる。
自分がその一人になれた。
良夫はうれしかった。

良夫は台所仕事をしながら、父を待っていた。
父は帰ってきて、良夫を見て、たくさんほめてくれた。
「これで、もうお母さんではないな。お父さんの娘みたいだ。
 何てよぼうか?」
「良子でいい。」良夫はそう行った。

「良子。若い女の子の服が買えたから、
今度の日曜日、お父さんと、ディズニーランドへ行こうか。」
と忠雄は言った。
「うん、行く。うれしい。」と良夫は飛び上がった。
「ボーイフレンドじゃなくて、お父さんでもいいかい?」
「あたし、ボーイフレンドなんていないよ。
 永久にいないかもしれない。」
少しうつむいた良夫を見て、忠雄は悪いことを言ったと、後悔した。


つづく(つづきを書けないかも知れません。)

大沢良夫の場合①「母への想い」

えーと、書き出したのですが、どうまとめていいか分からず、見切り発車です。
第二話までしか、書けないかも知れません。一応投稿します。

=============================

大沢良夫は、16歳。
義理の父親と二人暮らしだった。
実の父親は、良夫が小学校のとき亡くなり、
その2年後に、母良子は、今の義父忠雄と再婚した。
そして、その母も、2年前、肝臓がんで、34歳という若さで突然亡くなってしまった。
義父の忠雄と、良夫は、二人残された。

美人で太陽のように明るかった母親がいなくなり、
家庭は、火が消えたように淋しくなった。
ただ、義父の忠雄は、この上もなくやさしく思いやりのある人物だった。
そこで、血のつながりはなくとも、
良夫と二人、とても仲よく暮らしていた。

忠雄は、38歳、公務員で、仕事もさほど多くなく、
いつも5時に退勤し、6時には、必ず家に帰ってきた。
良夫は、家事が少しも苦にならず、母良子の仕事をほとんど引き受け、
忠雄が帰ってくる6時には、必ず夕食が出来あがっていた。
「母さんの仕事をほとんどやってもらって、悪いなあ。」
と忠雄は毎日のように良夫に感謝の言葉を述べた。
「ううん。ぼく、こういうの好きだから。」
「良夫が女の子だったら、いい奥さんだろうな。」
と忠雄はよく言った。

その言葉に、良夫は心の中で、微妙に反応していた。
「ぼく、女の子に生まれたかった。」
良夫は冗談によくそう答えた。
「あはは。良夫は、女の子になれるよ。
 顔も可愛いし、背もお母さんくらいだし。
 女の子だったら、可愛い子だろうな。」
そう、よく口にする忠雄の言葉を、
良夫は、内心ぞくぞくするような気持ちで聞いていた。



良夫は、幼いときから、女の子になりたいと、密かに思っていた。
女の子の服をきて、女の子のように振舞いたかった。
女の子になった自分を思い浮かべると、性的な興奮を覚えた。
義父がいうように、自分が女装したら、きっと可愛くなれると思っていた。
学校でも、しょっちゅう女の子扱いをされた。
女の子のような容姿にくわえて、仕草動作、歩き方が女の子のようだった。
しかし、良夫は極めて性格がよかったので、いじめられることはなかった。
良夫は、いつか女装ができる日のために、髪を長く伸ばしていた。
もう肩まで髪が届いていた。

良夫の女の子っぽさは、義父忠雄も気が付いていた。
台所に立っている姿は、ふと女の子だと錯覚するときがよくあった。
食事をする動作一つを見ても、きちんと脇を締め、姿勢よく食べている。
テレビを見ながら、女の子座りをしていたり、
何から何まで、女の子のようだった。
しかし、忠雄は、それを一度も注意したことがなかった。
そんなことは、父と言えど、他人がとやかく言うものではないと考えたからだ。



母良子が、主に使っていた部屋は、そのままにしてあった。
片付けたり整理などはしたくないと、父も良夫も思ったいた。
そのままにしておけば、いつか良子が帰ってくるかもしれないと、
心の奥底で思っていたのかもしれない。

父がいないとき、良夫はよく、母の洋服ダンスを開けた。
吊るしてある洋服に、母の香水の香りが残っている。
良夫は、母の香りに触れて、涙が浮かぶときがあった。

女装の願望がありながら、良夫は、母の衣類を身につけることは、
この2年、ずっとしなかった。
そんなことをしてはいけないと、ただ真っ直ぐに思っていた。

しかし、ある日、どうしても母が恋しくなり、良夫は、
洋服ダンスを開け、吊るされている母の夏のワンピースをはずし、手に持った。
青い地に花柄のある木綿のワンピース。
顔につけて匂いをかいだ。母の懐かしい香りがした。
「お母さん、ごめん。着させて。」
良夫はそう心で言った。
それから、良夫は、横の和箪笥の引き出しをあけ、
下着の一そろいを出した。
ショーツ、ブラジャー、スリップ、ストッキング。

良夫は、胸を打つ鼓動に、息を弾ませていた。
良夫は丸裸になり、母の下着を身につけた。
心地よいスリップの肌触りに、身体中を撫で回した。
お母さんの下着。
身体が震える。
そして、ワンピースを着た。背中のファスナーを上げる。
鏡を見た。
前髪を下ろして、伸ばした髪を女性風にした。

そこに見たものは、母良子だった。
「お母さん。」良夫は、思わず叫んだ。
母良子となんと似ていることだろう。
母に会えたという感激と、
母と一体になっているという悦び。
そして、その後に性的な興奮が訪れてきた。

良夫は、ドレッサーの引き出しから、
口紅を取り、唇に薄く引いた。
そして、チークをつけ、目の上に、薄くシャドーを入れた。
鏡の中の姿は、母良子と瓜二つに見えた。

手が興奮で、ものすごく震えた。
早く脱がなければいけないのに、
鏡の前から離れられない。
そのとき、良夫の股間のものが、耐え難く大きくなっていた。
良夫は じ慰をまだ覚えたばかりで、
その行為に罪悪感をもっていた。
しかし、我慢ができなかった。
良夫は、スカートの裾を股間に引き上げ、
ショーツを下げ、
自分の大きくなったものをタオルではさみ、
ゆっくりとタオルを上下した。

母親の衣類を身につけ、こんなことをしている自分は、許されないと思いながら、
行為をやめることができなかった。
「お母さん、ごめんなさい。」
鏡を見ながら、何度もそう語りかけた。
しかし、快・感にゆがむ自分の顔に、更なる快感を覚えて、
幸夫は我を忘れた。
そのときの想念は、母に抱かれて母の胸に顔を埋めているものか、
それとも、父に抱かれ口づけをされている母を思ってか、
分からぬまま、良夫は、絶頂を向かえた。

陶酔の波が引くなかで、良夫は言った。
「お母さん。ごめんなさい。もうこんなことしないから。」

しかし、次の日も、良夫は、欲求に勝てず、母の服を着て、化粧をした。
そして、毎日、母の衣類を変え、それを身につけるようになった。


つづく(第二話は、「父への想い」です。)

催眠術師VS栗林真吾(後編・エピローグ)

《エピローグ・その後の真吾》

催眠治療を受けてから、真吾の一日の気分はすっかり変わった。
平日は、先生の言った通り、女装のことがほとんど思い浮かばない。
勉強も、不思議なくらい雑念が入らず、集中できた。
この分なら、日曜日全く勉強しなくても、
以前より、学習量が増えたくらいだ。

そして、日曜日になると、
まるで待っていたかのように、女装のことで頭がいっぱいになった。
先生のところへ行く時間が待てないくらいだった。
昼食を終えて、先生のところへ行く。
2度目に来て、気が付いたが、
受付にある認定証を見て、先生が精神科の医師でもあることを知った。

先生に目で挨拶をして、女装部屋に入った。
すると、新しいナース服が吊るされていた。
ああ、可愛いと思った。
色はほんのりとしたピンク。
きっちりウエストのくびれたナース服で、
ワンピースの上に、白のワンピース型のエプロンを着る。
そのエプロンのウエストの帯のボタンをはめると、ウエストラインが出た。
白いストッキングと白い靴を履く。ばっちり。
さすが、女装趣味の先生が選んだものだと思った。

薄い化粧を施して、ロングのかつらをかぶり、
後ろを1本にまとめた。
最後にナースの典型的なかぶりを髪にピン止めでつけた。
鏡で見た。可愛い。
もう、うっとりで、心の底から悦びを感じた。

真吾の仕事は、極めて単純だった。
受付に座って、治療の終わった人から、8000円もらうことと、
おつりを渡すこと。
次の人を、先生に言われて、呼ぶことだ。
そして、終わった患者に、「お大事に。」と笑顔で決まり文句を言う。

真吾は、座っていて、人に見られるだけで、うれしいので、
2、3時間と言わず、診療時間の終わる5時までいた。
後ろについ立があるが、先生のすることが全部わかり、勉強にもなった。



「ああ、ルミ(←真吾の女装名)ちゃん、ご苦労様。」と先生が言った。
先生といっしょに簡単な片付けと掃除をした。

そのとき、真吾は聞いてみた。
「先生は、精神科のお医者様でもあるのに、どうして催眠治療をしているんですか。」
「精神科の医者は、辛いんだよ。朝から晩まで、患者さんのつらい話を聞く。
 それで、お薬を処方して終わり。だいたい5分だね。
 で、患者さんはなかなか治らない。一生治らない人もいる。
 その点、催眠治療は、1回か2回でみんな治っていく。それは、喜びだからね。」と先生。
「多重人格障害なんて、看板にありましたよ。」と真吾。
「あれは、大変だ。1回に2時間は必要。何度も通ってもらって、こっちも根気がいる。」先生。


「さあ、もういいかな。ルミちゃんがいるから、これから私も女になろうかな。」
と先生が言った。
「わあ、それ、絶対に見たいです。」と真吾はうきうきとして言った。
(先生は、細身で女装がいかにも似合いそうだった。)

女装ルームで、女装をする先生を、真吾はじっと見ていた。
先生の女装は早い。
瞬く間にメイクが終わり、
前髪がストレートで、頬の髪が、ふわふわっとなった、キュートなかつらをがぶった。
真吾は、完全に興奮した。
先生は、文句なしの美女に変身した。
これほどまで、ステキな女性になるとは思わなかった。
「ルミと、いっしょのナース服にしようかな。」
先生は、そう言って、もう一着あったナース服を着た。
先生が女装すると、10歳くらい若く見えて、
25歳くらいに見えた。

「わあ、先生すごい。完全に女の人。そして、美人。」と真吾は本心から言った。
「ありがとう。ルミは、中学生に見えるわよ。
 だから、受付させていいか、迷ったくらいなんだから。」先生は言った。
「あたし、童顔だから。」
「そうね。」

「ああ、だめ。あたし、ルミが可愛くてしょうがない。
 今すぐセッ・▲スしたいけど、医者と看護婦の関係なのよね、あたしたち。」先生が言った。
「先生。今、ナースじゃないですか。あたし、今我慢できません。」
「そうね、ナース同士が、仕事のあとで、レズ・ビアンやってると思えばいいっか。」
「はい。そうですよ。」

先生は、真吾の手を引いて、ベッドルームに行った。
「キ・スしよ。」と先生はいい、真吾に熱烈なキ・スをした。
上手なキ・スで、真吾は、体がとろけそうだった。
「先生。」と真吾は先生に抱きついた。
「ルミ可愛いわ。もう、たまらない。」
2人でベッドに座り、先生は、真吾にキ・スをしながら、
真吾のスカートの中に手を入れた。
「あ…あ。」と真吾は声を出した。
ベッドの側面に大きな鏡があった。
そこに、若いナースを、先輩のナースが誘・惑している様子が映っている。
「あたしのこと、お姉様って呼んで。そして、友達言葉でね。」と先生が言った。
「ええ。お姉様。あたし、も・だめ。イ・きそう。」
「まだよ。ダ・メダメ。」
「や~ん。お姉様の意地悪。」
「じゃあ、いいわ。舐めてあげる。」
「ああ、うれしい。」
 ・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・
真吾は、たくさん女の子の叫び声をあげた。
「あ……………あ。」
「ルミ、可愛い…。」

こうやって先生と真吾は、何度もお着替えをして、
シチュエーションを変え、
日の暮れるまで、抱き合った。

『よく学び、よく遊べ。』
きっとこんなことだろうなと、
真吾は思った。




=====ひとこと==========================

私は、中学3年生のとき、自分の強迫性障害を治してもらおうと、親に内緒で、催眠治療を受けに2度いきました。このお話は、そのときのイメージで書きました。
とってもオープンなところで、私は、一人の女性と並んで、いっしょに催眠治療を受けたほどです。

私が学んだところですが、催眠術を使って、女性を裸にしたり、その趣味のない青年を女の子にすることは、できません。催眠中と言えど、かかっている人の理性は常に働いていて、自分や回りを観察しています。そして、自分に不利なことだと判断した暗示は、その暗示にかからないよう身を守ります。
よって、催眠治療は、安全で、怖いものではないと、私は認識しています。

催眠術士VS栗林真吾(中編=完結編)

これは、中編ですが、完結編でもあります。その次は、エピローグです。

================================================

真吾は、夢中でドレスを見た。
セーラー服があった。それが、まず真吾の夢であった。
箪笥の引き出しを引くと、女子の下着が詰まっている。
ブラを付ける。ショーツを履く。スリップをかぶる。
鏡を見る。ああ、心が躍る。
女の子になっていく。
そして、ついにセーラー服。何着かあった。
自分の通っていた中学のものに一番似ているものを選んだ。
セーラー服の女子を見て、どれだけうらやましく思ったことだろう。
着てみれば、びっくりするほど、自分にジャスト・サイズだった。
白のスカーフをセーラーに差し込んで、前でリボンに結び、
靴下を履いて、出来上がり。

かつらがあんなにある。
真吾は、いちばん乙女チックな、ロングのボブヘアーをかぶった。
前髪を少し分けておでこを見せた。

せっかくあるので、化粧品も使った。
チークと、そして、ピンクの口紅を薄く引いた。

鏡を見た。
ああ、女の子だ。中学3年生くらい。
可愛い。びっくりした。
真吾は喜びに震えた。
ずっと自分を見ていたかった。
うれしさと同時に、性・的・興・奮も訪れていた。

治療室を見た。
一人の女性が、治療を受けていた。
真吾はその間、ずっと鏡を見ていた。
ときどき立って、くるっと回ってみたりした。
スカートがパラシュートのように膨らみ、
広がって落ちる髪が、頬を撫でる。ああ、ステキ。
鏡に向かって、小さな声で、女の子のお話をした。
「ね、あなた、だれ?」
「あたしは、ルミよ。どう?あたし、可愛い?」
「うんと可愛いわ。とってもステキ。」
「うれしいわ。」
などとやっていた。

そのうち、女性が帰った。
真吾は先生のところへ行かねばならないと思った。
暗示にしたがうと、次は先生に抱かれることになっている。
抱かれることは、嫌ではない。自分が女装をしている限り、抱かれることは喜びだ。
真吾は、先生のところに行った。

「先生。あたし女の子だから、この服にしたの。これで、いい?」
「ああ、いいとも。とっても可愛い。お名前は。」
「ルミっていうの。」
「そう、いい名前だね。
 君があんまり可愛いので、抱きしめてもいいかい?」
「ええ。抱いて。」
先生は、立って、真吾を抱いた。
「もっと強く抱いて。」
先生は、強く抱いた。
『ああ、うれしい。心の中まで女の子になっていく…。』真吾は思った。

「先生。あたし、変なの。ここに男の子のものがある。
 それが、すごく大きくなってて、恥ずかしいの。」
「そう、じゃあ、先生がなんとかしようか?」
「ええ。お願い。」
「じゃあ、向こうへ行こう。」

真吾は、先生に抱きかかえられ、隣の部屋のベッドに寝かされた。
『先生の暗示通りにやっている。ぼくは、変・態・先生を利用している。』真吾は痛快だった。
先生は、真吾のスカートをめくり、ショーツを下げて、
真吾の大きくなったものを、口腔内に含み、
やさしく口を上・下させた。

真吾は、初めて味わうような陶・酔の中にいた。
自分で処理するときとは、全然ちがう。
人にされるのは、これほどまでに気持ちがいいものかと思った。
そのうち、痺れるような快・感に襲われ、
耐え難くなり、真吾は、女の子の声をたくさん発して果てていった。
天にも昇る気持ちだった。



真吾は、セーラー服を着たまま、先生の前に再び座った。
「もう一度催眠をかけるからね。」
と先生は言った。
『ははあ…。』と真吾は思った。
先生は、今のことをぼくの記憶から消去するつもりだ。
あるいは、ぼくが、またここに来て、女になりたがるよう、暗示にかけるのだろう。
『先生、残念ながら、ぼくは暗示にかからないのです。』
そう心で言い、真吾は、先生に対する優越感に浸った。

他に患者はいなかった。
先生は、銀製の万年筆をキラキラと真吾の目に反射させた。
「はい。君はもう催眠の中にいます。」
先生の声が聞こえた。
『全然、かかっていませんよ。』真吾は心の中で、にやりとした。

「手を上に上げてごらん。あがらないから。」
先生の声に、真吾は膝に乗せていた手を、試しに少し上げてみた。
あれ?あがらない。どうしてもあがらない。真吾はあわてた。
ここで、先生の催眠にかかったら、ぼくは何をされるかわからない。
今、催眠にかかっちゃいけない。
しかし、手は指1本もあがらなかった。

真吾はそれから、深い催眠に落ちて行った。
先生の声が、神のように聞こえた。

「君が女装したくなるのは、日曜日だけです。
 他の日は、女装のことを忘れます。
 大学受験が終わったら、また元にもどり、毎日女装のことを思います。
 それと、君は集中力があります。今催眠にかかっているのが、その証拠です。
 自分を信じましょう。君は、今から勉強にも集中できます。
 では、目覚めたら、とっても気分がさわやかです。
 さあ、目覚めます。はい。」

真吾は、ぱちっと目が覚めた。
さわやかな気分が胸に満ちていた。

「これで、終わりです。今日からの君は、違うと思いますよ。」と先生は言った。
「先生。ぼく、今セーラー服着てます。女の子になってる。なぜですか?」
真吾は、自分の願いが叶ったとはいえ、やはり先生を糾弾せずにはおれなかった。
「それは、君の意志でやったことです。君が理由をいちばんよく知っているでしょう。
 私に、たまたま女装の趣味があったので、私の物を君に貸しました。」
真吾はたじろいだ。その通りであったからだ。
「ぼくをイ・かせてくださったのは、先生ですか。」
「そうだよ。私は、女装した男の子が好きなので、つい、してしまった。ごめんね。」
「いえ。求めたのは、ぼくだし、うれしかったです。」と真吾は正直に言った。

「先生は、ぼくが女の子になりたいってこと、どうしてわかったんですか。」
「それは、催眠のとき、君が自分で言ったんです。」
「先生。ぼく、催眠にかからなかったんです。
 かかった振りをして、女装をしました。」
「君がかからなかったのは、5円玉を使った2度目の催眠です。
 私は、君に催眠をかけた振りをしたのです。
 だから、君にかかるわけがありません。

 1度目に私は自分の眼鏡を小道具に、君に催眠をかけました。
 そして、君の気が散る原因は何か、思うことを言ってもらいました。
 そのとき、君は女装への思いを語りました。
 その後、私は、その1度目の催眠を君の記憶から消したのです。
 だから、君は、かからなかった2度目の催眠を、初めての催眠だと思ったのです。」

「じゃあ、2度目のニセの催眠の意味はなんですか。
 そんなことしなくても、ただ『女装していいよ。』と言ってくだされば、ぼくは喜んでしました。」

「そうかな?私に恥ずかしがらずに、身も心も女の子になれたでしょうか。
 服を着て、カツラをかぶるくらいは、できるでしょう。
 しかし、初対面の私に女言葉を使い、女の子の振る舞いができたでしょうか。
 初めてのときは、照れくさくて、自分を『あたし』と呼ぶことさえむずかしい。
 2度目のニセ催眠で、君は、催眠にかかったふりができました。だから、
 私の前でも、恥ずかしくもなく、女の子として振舞えたのではないでしょうか。
 私は、2度目のニセ催眠で、君に身も心も女の子になる口実をプレゼントしたのです。
 聡明そうな君のことです。私のニセの暗示をきっと利用すると思いました。

 もし、私が、本当に催眠状態にある君を、暗示で女装させ、抱きしめ、
 性・的・行為を行ったのなら、これは、犯罪です。
 君は、私に抱かれることも、私に、ベッドでされたことも、
 すべて、自分の意志で受け入れたことだと思います?
 嫌なことなら、君の意志でいつでも拒否できたのですから。

 今回、君の一番の幸運は、私も女装マニアだったことです。」
先生は、微笑んだ。

『そうだったんだ…。』と真吾はすべての謎が解けた思いでいた。
そして、自分より何枚も上手であった先生に対し、感謝と敬意の念を抱いた。

先生は言った。
「そんなことより、君は、日曜日になると女装をしたくなると思います。
 そのときは、ここにいらっしゃい。あの部屋を使い放題使っていいですよ。只です。
 そして、可愛いナースの服を用意しておきますから、できるなら、
 君が受付のアルバイトを2、3時間やってくれるとうれしいです。
 もちろん、アルバイト料は払います。
 私は、治療代を自分の手でもらうのは、治療士として、ちょっとはずかしいのですよ。」
先生は少し照れた笑顔を見せた。
「はい。わかりました。受付のお仕事、させてください。」
と真吾は、うれしそうに言った。

学生服に戻って、治療院を出た真吾は、
ナース服を着た自分を思い浮かべて、うきうきとした。
「あ、女装のこと考えてるけどいいのかな。」とふと思った。
いいはず。今日は、女装の解禁日、日曜だった。


<おわり> (次回は、エピローグです。)

催眠術士VS栗林真吾(前編)

これは、フィクションですので、細かいところは、大目に見てくださるとうれしいです。

===============================

栗林真吾は、高校3年生。
受験勉強に苦しんでいた。
彼は、頭脳明晰で、推理小説を読んでは、その犯人を推理するのが趣味だった。
小説の途中まで読んで考え、犯人を当てたことが、数多くあった。
しかし、受験勉強において、真吾には、集中力に欠けるという大きな欠点があった。
15分も勉強をすると、他のことがしたくなる。
どうしても勉強に集中できない。
推理小説では、あれだけ集中できるのに、
勉強となるとまるでだめだった。
もし自分に集中力さえあれば、
どんな難しい大学にも合格できるものを…と思えもしていた。

彼の集中力のなさには、もう一つの原因があった。
彼は、女装をして女の子になることに、性的な欲求をもっていた。
女の子の服が着たい。女の子の髪型でいたい。
女の子の下着を着けたり、女の子のパジャマを着て寝たい。
女の子の言葉でしゃべり、女の子の仕草をして一日過ごしたい。
と、勉強のふとした合間に、そのことを思い、
いてもたってもいられなくなるのだった。

真吾は、鏡を見て思っていた。
自分が女装すれば、きっと可愛くなれる。
女の子のような目鼻立ち、唇。
女の子のような、体型。
女の子のような声。
自分は女の子になる資質に恵まれている。
だのに、その夢が果たせないのが無念だった。
せめては、空想の中で、真吾は美少女探偵になって、
数々の事件を解決することをよくした。



秋の公開模試の帰り。
真吾は電車の中から、「催眠治療」の看板を見た。
古びたビルの正面に、大きな字で、
「『催眠治療』対人恐怖、赤面恐怖、吃音・・・・。」
果ては、多重人格障害などのすごいものまで書いてあった。

そうだ、と真吾は、催眠治療で、自分の集中力のなさを治せるかもしれないと思った。
真吾は、その催眠治療院の電話番号をメモした。

しかし、真吾は、たくさん読んだ推理小説などで、催眠術を使ったいくつかの犯行を知っていた。
自分が催眠術にかかることに一抹の不安があった。

催眠治療院へ前もって電話をすると、1回の催眠治療代は、8000円だという。
そして、集中力を高める治療も可能だと言う。
保険がきかず、かなり高いと思ったが、これで、自分に集中力がつけば、安いものだと思った。
真吾は、予約をとって、その翌日の日曜日、学生服を着て、催眠治療院に行った。
親には、内緒にした。

真吾は、治療院に入って待合室で回りを見た。
診療室の中が丸見えだ。
こんなにオープンでいいのかと思った。
治療院には、受付に人がおらず、先生の助手らしい人もいなかった。
先生一人で、全部やっているようだ。
真吾はちょっと心配にもなった。
人の目は先生の他にない。何をされてもわからない。

治療室には、先に女性の患者がいて、椅子に座った彼女は、先生の催眠術にかかっていた。
先生は、白衣を着ていて、35歳くらいと若く、細身で色が白い。
なんとなくソフトで女性的な感じだった。
しかし、掛けている眼鏡も手伝ってか、いかにも知的な感じがした。
推理小説の謎解きでは、先生に負けるかも知れないと真吾は思った。
先生の声は、やわらかく、やさしく包まれる感じだった。

「君は今からバイオリンを弾く。いい気持ちで弾く。」
と先生が女性に言うと、その女性は、とても幸せそうにバイオリンを弾く動作をするのだった。

真吾の中で、催眠にかかる怖れより、集中力をつけたいとの願いの方が数段勝っていた。

「ああ、ぼくもあんなに深く催眠にかかりたい。
 そして、集中力をつけたい。8000円もお小遣いを使うのだから。」と真吾は思った。

その女性は、どうも「赤面恐怖」の治療に来ているようだった。
先生から、もう人が怖くない、というような、暗示をかけられていた。

その女性が終わり、真吾は、先生に呼ばれた。



先生から、何を治したいのかと聞かれた。やさしい、眼差しだった。
真吾は、集中力のなさを治したいと言った。
「何が原因か、自分でわかる?」と聞かれた。
「生まれつき、気が散りやすいんです。」とそれだけ答えた。
(女装のことは言わなかった。)
「わかりました。」と先生は言って、
糸で吊るした5円玉を、真吾の前に揺らしながら、
暗示を掛けていった。

真吾はそのとき、催眠にかかりたい一心だった。集中力をつけたい。
「君のまぶたは重くなる。どんどん重くなり、私の声しか聞こえなくなる。」

先生の声を聞きながら、実は、真吾は焦っていた。
まぶたが重くならないのだ。ここは、重くならなければいけないのに。
そうしないと先に進めない。
真吾は、重くならないまぶたを、自分の意志で閉じた。
どうか、次の暗示にはかかりますように…そう懸命に願った。

「君の手は軽くなる。どんどん軽くなって上に上がっていく。」
先生の声は響いた。
真吾は、再び焦った。手が軽くならないのだ。
軽くなれ、軽くなれと願えば願うほど、自分が冷静になっていく。
8000円もするのに、催眠にかからなくては、無駄になる。
真吾は、ここも、自分の意志で、手を上に挙げた。

先生の暗示は、どんどん進んで、バイオリンを弾いたり、
オーケストラの指揮をしたりとあった。
真吾は、どれも、暗示の通り身振りをしたが、
すべて、それは自分の意志によってであった。
真吾は、催眠にかからなかった。

「今、君は深い催眠の中にいる。私の声がすべてである。」
真吾はそのように、首をたれ、じっとしていた。
しかし、心にあるのは、焦燥と失望だった。

そのうち、真吾は、信じられない先生の声を聞いた。
「君は、今から女の子になる。可愛い可愛い15歳の女の子だ。
 君は今、男の子の服を着ているが、それは間違っている。
 急いで女の子の服に着替えなくてはいけない。
 目を覚まして、私が鈴を鳴らすと、君はその行動をとる。
 そして、私に抱かれたいと思う。
 性的欲求が耐えられなくなり、私にその解決を求める。」

『なんだ、この先生は。』と真吾は驚いた。
とんでもない変態先生じゃないか。
こうやって、小説のように、女性を裸にしたり、言うなりにさせているのか。
だが、待てよ。これは、自分の女装の夢が叶うチャンスかもしれない。
催眠にかかっている振りをして、女の子にさせてもらってしまおう。
真吾は、心理戦で、その変態先生に勝ったと歓喜した。

先生から、「はい。」と言われて、真吾は催眠から覚めた振りをした。
そのうち、先生が、鈴を鳴らした。
『ああ、鳴った。』と真吾は気を引きしめた。
ここは、自分の演技力の見せ所だ。ああ、興奮する。

真吾は、はっとした素振りを見せ、
それから、はっきりした意識の行動に移った。

「あら、あたし、なぜこんな服着てるの。
 ね、先生、あたし、男の子の服着てる?なぜ?すぐ着替えなくちゃ。」
真吾は声のキーを上げ女声で言った。

「そうだね。君の服は、あっちの部屋にあるから、好きなのを着なさい。」
先生は言った。
真吾は「あっちの部屋」の引き戸を開けて、中に入った。
そして、思わず「あ。」と叫んだ。
そこは真吾が夢にまで見た、女装のための部屋のようだった。
2つの洋服箪笥に女の子の服がたくさん吊るされてあった。
そして、大きなドレッサー、明るい照明。化粧品もあり、かつらも、ずらり並んでいた。

『なんのために、こんな部屋があるんだ。』真吾は考えた。
おそらく、先生は、男色の趣味があり、自分のような女っぽい青年が来たら、
催眠によって、女の子にし、女装をさせ、セックスを楽しんでいるのだ。

が、しかし、自分はそれを利用させてもらおう。
女の子にされた自分を存分に楽しむのだ。
またもや、先生に勝利だ。真吾はぞくぞくとした。


つづく(次は、中篇です。)

フィクション・女声の啓二③「あと2つの電話」


部屋に帰ると、すぐ次の電話がかかってきた。
ちょっと、待ってよと思った。
今度は感情移入しないように。
そう自分に言い聞かせた。

「もしもし。」
「はい。」
「あの、これダイヤルQ2?」
「はい、あたしもそう思ってかけてます。」
「ぼ、ぼくはじめてなんです。」
「あ、あたしもです。」
「わあ、そうなんだ。うれしいなあ。」
「あたしもうれしいです。」
「ぼく学生です。あなたは?」
「あたしも学生です。」
「あの、大学名聞いてもいいですか?」
「○○女子大です。」
「わあ、すごいなあ。ぼく○○大です。」
「わあ、あたしのアパートの近くです。」
「そうなの、うれしいなあ。」
「あの、お名前聞いてもいいですか。」
「秀樹です。」
「あたしは、里奈です。」
「かわいい名前ですね。」
「ありがとうございます。」
「えーと、あのー、好き色は何?」
「ピンクです。」
「じゃあ、好きな食べ物は?」
「あの、秀樹さん。この電話は、男性の方は電話代が高いと思うんです。
 だから、なんていうか、もっと、エッ・チなことお話になってください。」
「あ、そうですよね。でも、里奈さんみたいな声のきれいな方だとあがっちゃいます。」
「とくにきれいじゃないです。」
「里奈さんの声を聞くと、すごく可愛い人だなって思います。」
「そんなことないです。普通です。」
「あの、エッチなことが思い浮かびません。どうしよう。」
「女の子に聞けないことを聞いてください。あたし答えます。」
「た、たとえば、どんなことですか。」
「あたしが、聞かれて恥ずかしいことは、
 例えば、オ、オナなんとかを、するかとか。」
「そ、そうですね。里奈さんはオナなんとかをしますか。」
「恥ずかしいですけど、します。」
「あ、興奮しちゃうな。」
「恥ずかしいです。自分から言うなんて。」
「えーと、つぎは・・・・・。」
「じゃあ、どんなふうにするかを言います。」
「あ、お願いします。」
「夜、お風呂に入ります。
 お風呂で、あそこをきれいに洗います。
 それで、ベッドに仰向けに寝ます。
 スリップだけ身に付けています。
 始め、ちぶさを両手でもみます。
 ずっともみます。
 恥ずかしいですけど、ち・くびを、
 指で、くり・くりします。
 それをずっとしていると、感じてきて、
 あそこがぬれてきます。
 そうなったら、手を、あそこに伸ばして、
 いちばん感じるところを、指でなで・ます。
 ずっとずっとなで・ます。
 そうしていると、もっともっと感じてきて、
 エ・ッチなことがたくさん思い浮かんできます。」
「エ・ッチなことって、どんなこと?」
「例えば、好きな人に、あそこをな・められていることとか、
 あたしが、好きな人のあそこをくわえているとか。
 ああ、やっぱり、恥ずかしいです。」
「ああ、たまんないなあ。里奈さんでも、そんなこと考えるの?」
「女の子は、みんな考えると思います。」
「そうなんだ。ああ、ぼく、たまらなくなってきちゃった。」
「実は、あたしぬれてしまってます。秀樹さん。」
「は、はい。」
「あたし、今、スカートのショ・ーツの中に手を入れています。
 秀樹さんも、あたしと同じようなこと、してくださいますか。」
「は、はい。実は、もうしてました。
 里奈さんのオナのこと聞いてたら、我慢できなくなっちゃって。」
「じゃあ、あたしも今からします。一緒にしましょう。」
「はい。うれしいです。」
「じゃあ、秀樹さん。あたしが秀樹さんのもの、
 口に含んでいること想像してください。
 あたしも、同じこと想像します。
 で、手は、自分の気持ちいいところを、撫でています。
 どんどん気持ちよくなってくると、声が出ます。
 あああ、秀樹さん。すごくぬ・れてきました。」
「ぼく、もうたまらなくなっています。」
「もう少し待って。すぐあたしも…。」
「ああ、里奈さん。ぼくあなたが好きになってしまった。
 ああ、あなたに会いたいです。ああ、たまんない。」
「秀樹さん。あたし、もうび・ちょび・ちょです。
 あ…あ、なんだか、なんだか、あ………あ。」
「里奈さん、大好き、あ…………あ。」
「あたしも秀樹さんが好き。キ・スして、あたしを丘して。」
「ああ、うううう。うっ。」
「あ………あ。」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・
「里奈さん。ぼく、イ・っちゃった。」
「あたしもです。秀樹さんと一緒にできて、すごく幸せでした。」
「ぼくも。途中から電話代がいくらかかってもいいと思っちゃった。
 里奈さん。ありがとう。わすれません。」
「あたしもわすれません。」
「じゃあ、電話切ります。ありがとう。」
「ありがとう。さよなら。」

電話は切れた。
啓二は、今もまた感情移入してしまった。
自分が可愛い女子大生に完全になってしまっていた。
ああ、こんなに感情入れては、とてももたない。
ハードな仕事だなあと、啓二は、しみじみと思った。

3番目にかかった電話は、少しびっくりだった。
女の子からだった。
相手「もしもし。」
啓二「あれ?なんで女の子なの?」
相手「うん。ダイアルQ2ってどんなのかと思って。」
啓二「高校生?」
相手「うん。」
啓二「あたしも。」
相手「そうなんだ。」
啓二「今、家?」
相手「うん。」
啓二「男性用で掛けてるんでしょ。」
相手「うん。」
啓二「電話代、すごくかかるよ。」
相手「家の電話だから平気。」
啓二「電話の明細に出ちゃうよ。やばいじゃん。」
相手「あ、そうか。でも誰がかけたかばれないよ。」
啓二「お父さんが、真先に疑われるよ。」
相手「でも、いいよ。」
啓二「名前教えて。あたしアミ。」
相手「あたしはユカ。」
啓二「ユカは、女の子と話したいの。」
相手「うん。そう。」
啓二「ユカ、レズビアン?」
相手「そんなんじゃないけど。」
啓二「だったら、もったいないよ。」
相手「ほんとはレズ。」
啓二「そうなんだ。恋人は。」
相手「いない。」
啓二「経験は?」
相手「ないから、電話かけてんじゃん。」
啓二「そうか。じゃあ、電話でレズする。」
相手「アミも、レズなの。」
啓二「女の子も好き。」
相手「ほんと?」
啓二「うん。ほんと。」
相手「アミ。美人?」
啓二「美人だよ。」
相手「あたし、ブスだよ。」
啓二「自分からそんなこと言ったらだめだよ。」
相手「そうだね。ほんとは、けっこうキュート。」
啓二「髪長い?」
相手「肩まで。」
啓二「あたしがお姉様かな。」
ユカ「うん。妹がいい。」
啓二「妹だったら、可愛い話方して。」
ユカ「お姉様、わかったわ。」

啓二「ユカ。おっ・ぱいもん・でみて。あたしもする。」
ユカ「うん。もん・でる。」
アミ「両方もむ・んだよ。」
ユカ「お姉様、いい気持ち。」
アミ「あたしも。」

(中略)

ユカ「お姉様、あたしイ・きそう。」
アミ「あたしもよ。もうぐ・ちょ・ぐちょ。」
ユカ「お姉様、あたしダ・メ、イ・きそう、もう許して。」
アミ「少し待って、あたし、もうすぐだから。」
ユカ「や~ん。許して、あたし、い・く、あ…あ、お姉様、あたし、ダ・メ…。」
アミ「あたしも、来ちゃった、いき・そう、ああ、い・く。」
ユカ「あ………あ、お姉様…。」
アミ「あたしも、あ…………あ。」
ユカ「いっちゃった。」
アミ「あたしも。ああ、もう、ぐったり。」
ユカ「うん。うれしかった。お姉様、ありがとう。」
アミ「あたしこそ。ありがとう。」
ユカ「じゃあ、さよなら。」
アミ「さよなら。」

電話は切れた。
今のは長話した。30分は話したと思う。
Q2の電話代すごいだろうなと思った。
ユカの家庭平気かなと思った。

3時間くらい個室にいて、限界だった。
事務所に行って、聞いた。
「えーと、2時間25分。けっこうきついでしょう。」と所長。
「もう、くたくたです。」と啓二。
「はは、最初はまじめにやっちゃうからね。」
「でも、相手の人のこと考えると、手を抜けませんでした。」
「そういう人がいてくれると、うちはありがたい。
 これは、相手の男性を幸せにする仕事だからね。お疲れ様。」
「また、来ます。お疲れ様。」

啓二は、事務所を後にした。
毎日はやれないなと思った。

Q2のバイトをしながら、2か月がたった。
いろんな男性、たまに女性から電話が掛かってきて、
相手の年齢を、話し方や声から推測して、自分の年齢を決める。
そんなことも、けっこうわけなくできるようになった。
毎回、感情移入もある程度で抑えられるようにもなって、
一日、3時間くらいできるようになった。
また、自分の演技力の勉強になった。


つづく(次回は、つづきまたは未定です。)

フィクション・女声の啓二②「ダイアルQ2」

啓二はその後、いろんな年齢の女声を出せるようになった。
小学4年生くらいの女の子。(とくにアニメからの研究。)
中学生。高校生。大学生。若い主婦。
このくらいは、マスターした。
そして、その声を使い分けて、いろんなところへ電話した。
キャバクラみたいなところへ、大学生の声で質問の電話。
女性の下着メーカーに、若い主婦の声で。
そして、これらの声を自分の秘密の宝物とするために、
男の声もきちんと出せるように練習をした。



声が女だという場合、本人全体が女性的であることが多い。
啓二がその典型だった。
啓二は女顔。しかも、可愛い。背は159cm。体重46kg。
ひげやすね毛が、ほとんどない。

女声が出せるようになった啓二は、大学生になりアパート生活が始まると、女装に目ざめ、それに専念するようになった。髪を伸ばし、メイクの研究をし、女の子の仕草をさらに追求した。
夢中になったら、とことんやる性格の啓二は、半年後には、立派に可愛い女子大生の姿で、町を歩けるようになった。歩き方は、もともと女歩きだったので苦労はなかった。

髪は、美容院へいき、前髪のある可愛いスタイルにカットしてもらった。
高校のとき必死で練習した女仕草も、ここで発揮された。
万が一、疑われる場面があったとしても、啓二が一度声を出せば、だれもが女の子だと思った。

女装外出ができるようになって、啓二は思った。
この方が、自分はよっぽど自然に生活できる。男の格好で、外で何か買ったりするとき、女の声を出すと相手は必ず啓二に奇異な目を向ける。今までずうっとそれが嫌で悩みだった。無理して出す男の声は、長続きがしなかった。とても続かない。
啓二は、自分は女で行こうと、自分の女装に、さらに磨きを掛けようと思った。



そんな啓二は、天職と思えるアルバイトを見つけた。
「ダイアルQ2」と言う、電話で男子の相手をし、相手を性的に満足させる仕事である。



啓二は女装し、公衆電話に宣伝のカードがあった事務所に行ってみた。
まだ、30歳くらいの若い男が、事務所長で、対応した。
「あれ?君、男なの?」と所長は履歴書を見て驚いて言った。
「はい、すいません。」と啓二は言った。
「いや、君のその声なら、ぜんぜんOK。やってもらいます。」と彼は言った。
時間給は、1500円というすごい高給だった。(当時喫茶店のウエイトレスで400円くらい。)
事務所を見ると、ずらりと電話を掛ける狭い個室が並んでいる。

事務所長は言う。
「えーとね。1つの電話をできるだけ長引かせること。
 次に、できるだけ素人の印象を与えること。
 掛けてくる男性は、こんな事務所なんてないと思っているから。
 たまたま掛けてくる素人の女の子とつながったと思ってるのね。

 で、本当に気分出ちゃって、自分でオナなんかやると、疲れるから。
 それだけ、気を付けて。
 相手がオナやって気が済むと、たいていそこで終わり。

 こっちにあなたが電話で何分話したかがわかるので、その合計でお支払いするから。
(ということは、休憩は自由だった。)
 じゃあ、早速やって。12番が空いてるから。」
「はい。」と言って、啓二は個室に入った。

個室は、電話に対してリクライニングのソファーがあった。
すぐ電話がかかってきた。
「もしもし?」
啓二は、50歳くらいの男性とみた。人妻で行こう。
「は、はい。」
「なんだ、声震えてるよ。はじめて?」
「え、あ、はい、はじめてです。」
「名前聞いてもいい?」
「恵子です。」
「本名じゃなくていいんだよ。」
「あ、そうか。本名で言っちゃった。」
「あはは。ほんとに初めてなんだなあ。」
「もう、何言っていいかわからなくて。」
「いいのいいの。じゃ、俺が、リードしてやるから。」
「あ、はい。お願いします。」
「恵子さんは、独身?」
「いえ、結婚してます。」
「今、どこにいるの?」
「家にいます。」
「家に一人なんだ。」
「はい。」
「こんなQ2なんかやるようじゃ、けっこう不満たまってるね。」
「あの、欲求不満のことですか。」
「そうよ。」
「あ、はい。」
「じゃあ、さ。胸をもんでみて。」
「え?胸をですか?あ、はい。」
「感じる?」
「まだ、ちょっと。」
「乳首、ぐりぐりやってみて。」
「あ、少し感じます。」
「ちょっと濡れてきた?」
「それは、まだみたい…。」
「じゃあ、スカート、脱いじゃおうか。」
「はい。待ってください。・・・・・はい、脱ぎました。」
「パンツ何色。」
「ピンクです。」
「じゃあ、その中に手、入れちゃおうか。」
「はい。入れました。」
「今、触ってる?」
「はい。さわってます。」
「何にさわってるの?」
「それは・・・。」
「そのものの名前言ってみて?」
「…はずかしいです。」
「じゃあ、最初の字は?」
「えーと、『お』です。」
「そうそう、いいじゃない。次は?」
「『ま』…かな…。」
「そうよ。次は?」
「『ん』です。」
「そのとおり、いいねえ。で、次は?」
「・・・・・・・えーと。」
「どうしたの?最後は?」
「『こ』です。」
「そう、その通り。続けて言ってみて?」
(すぐ言っちゃだめ。)
「あの、恥ずかしいです。」
「ひょっとして、もう濡れてない?」
「え?どうしてわかるんですか?」
「そりゃーね。濡れてきたら、もう言えるでしょう。」
「えーと。お・ま・ん・何とかです。」
「あはは。あんまりいじめるのやめとくか。」
「はい。いじめないでください。」
「あなた、そんなに恥ずかしがりながら、
 もう、指、動いてるんじゃない?」
「あ、え?あ、はい。」
「なんだ、その気になってるんじゃない。」
「ごめんなさい。」
「あやまらなくてもいいんだよ。どんどん動かしなさい。」
「はい。動かしてます。」
「どんな気分?」
「ええっと、エッチな気分です。」
「そうよ。どんどんエッチな気分になりなさい。」
「はい。・・・あ、ああ。」
「俺も、今エッチな気分だから。」
「そうですか。」
「しゃぶるの好き?」
「え、そんなには・・・・。」
「あはは、旦那のしゃぶってるんじゃない?」
「あんまりしません。・・・・あああ。」
「あなた、エッチだね。」
「あああ、すごく気持ちよくなってきました。」
「ううう、俺もだ、あああ、いいねえ。」
「あの、いきそうです。」
「ちょっと待ってくれ、まだだぞ、まだ。」
「あああああ、もう、いきそう。」
「ううううう、よし、ああ、うううう・・・」
「あああああああ。」

「いったの?俺もだ。
 ああ、あなた、いいねえ。ありがとう。もういいから。」
「こちらこそ、ありがとうございました。」
「ああ。じゃあね。」

電話が切れた。
啓二は、はあ~と息をついた。
感情移入して、興奮してしまった。
これは楽な仕事ではないなあと思った。
時給1500円というのは、十分うなずける。
啓二は、個室を出て、自動販売機で、コーラを呑んだ。


つづく (次回は、「ダイアルQ2・もう2人)

フィクション・女声の啓二①「啓二の女声」

1990年。
この頃は、ケータイもなければ、パソコンもありませんでした。
そこで、主流をしめていたのは、電話でした。
電話での出会い系や、電話でのチャットのようなものがありました。
この頃、「ダイアルQ2」というのが流行り、男側の電話番号と女側の電話番号がありました。
男側から電話を掛けると、電話料金がどんどんかさみ、その料金は事務所に流れます。女性は優遇されていて、女側から番号に掛けると、普通の電話料金しかとられません。女側から素人女性の電話はほとんど掛からないので、事務所は、「さくら」としての女性をアルバイトとして雇っていました。もちろん電話の内容は、性的なものでした。

(これは、フィクションですが、一応実在したモデルがいます。)

=================================

高森啓二は、大学1年生。6畳のアパートに住んでいた。
啓二は、中学のときから、自分の声にずっと悩んできた。
女声なのだ。
中学2年くらいまでならまだしも、みんなの変声期が過ぎる中学3年くらいになると、啓二は、その声でからかわれることが多くなった。
「お前、変声期いつ来るんだよ。」とか、
啓二が友達に後ろから声を掛けると、
「ああ、びっくりした。女かと思った。」などなど。

啓二の変声期は、とうとう高校の3年間、ほとんど来なかった。
啓二の声は、ボーイソプラノというのではなく、「女声」なのだった。
これには、悩んだ。
家で、男の声を出す練習をよくした。
テープレコーダーに声を録音して、再生して聞く。
やっと男かなという作り声が出せるようになったのは、
高校2年のときだった。

しかし、学校で、つい夢中になって、「はい!ぼくがやります!」などと授業中発言したとき、
地の声が出てしまって、クラス中が一瞬固まってしまうことがあった。
「え?今、女の声だったけど、だれ?」
「啓二?」
などと、非常な違和感を周囲に与えてしまうのだ。

啓二は、自分の地声はどんな声か、テープレコーダーに録音してみた。
国語の教科書を読んで見た。
聞いて見ると、中学3年生くらいの可愛い女の子の声に聞こえる。
少し大人びた声で読んで、聞いて見た。
やっと、高校生くらいか。しかし、誰が聞いても女の子の声である。
これでは、クラスのみんなが、固まるはずである。

しゃべる声はどうだろう。
啓二は、好きで買ってあった劇の台本の女性の声を感じを出して読んでみた。
「ケン、行かないで。あなたがいないと、あたしやっていけない。
 いや、絶対いや。あたしを一人にしないで。お願い。あたし、あたし・・・・」
この部分をやってみた。
聞いてみると、恥ずかしいくらいの女声である。自分の年より若く聞こえる。
何度もやってみた。感情を込めれば込めるほど、可愛い女の子の声になる。

もう絶望しそうになったとき、啓二は、ふとあることを思ってやってみた。
啓二にも、性の芽生えが当然ある。そこで、エロチックなセリフを録音してみた。
誰もいない公園のトイレにラジカセを持っていき、やってみた。
「ああん、いや、啓二ったらやめて。女の子の秘密をのぞかないで。
 だめよ。あたしの恥ずかしいところ見ないで。あん、手を入れたりなんてだめ。
 ああ、啓二、いやよ。ああ、感じちゃうわ。あああ、いい、いいわ。ああ、ぬれてくる・・・。」

その声を再生してみて、啓二は一気に勃・起してしまった。
中学2年生くらいの女の子の声だ。自分の名前を呼んでいる。
そして、とうとうあそこをぬらしている。
こんなセリフ、成人映画にも行けない啓二は、聞いたこともない。
はじめて聞く、女の子のもだえる声だった。
トイレの個室にいた啓二は、その場で、思わず自・慰をしてしまった。



それからの啓二は、男声を練習する傍ら、女の子の自然な話し方の練習を始めた。
声がいくら女の子の声であっても、話し方が男であることに気が付いたからだ。
そこで、啓二は、テレビの女の子が多く出る番組を録音し、それを再生しながら、
女の子のセリフを聞いたら一時停止をして、その通りに言ってみる。
また次を再生する。停止して、言ってみる。そんな練習にふけった。
女の子のしゃべり方は、『え?』とか、『ええ?』とか、『あ。』とかの驚き音が多い。
そんなこともわかってきた。
かなり自信がついてからは、実際、女声で電話をしてみることを思いついた。
例えば、「体の悩み相談」などというところに、女の子として電話する。
啓二「あのお聞きしたいんですけど。」
相手「どうぞ。」
啓二「生理になったとき、どうしたらいいんでしょうか。」
相手「お母さんやお姉さん、いらっしゃる?」
啓二「あの、あたし、母もいなくて、姉もいません。」
・・・・・・・・・
・・・・・・

こんなふうに電話を掛けてみる。相手は全然疑わない。
その間、啓二のあそこは大きくなり、性的に興奮してしまうのだった。

そして、さらに上達した頃、話し言葉の練習として、中学のとき好きだった女の子の家に電話を掛けてみた。その子の仲良しだった子になりすまして。

啓二「もしもし、絵里?あたし。」
絵里「だれ?早苗?」
啓二「そう。わかる?」
絵里「わかるよ。なつかしいね。どうして電話くれたの?」
啓二「ちょっと、絵里の声ききたかったから。学校楽しい?」
絵里「うん。まあまあね。早苗は?」
啓二「うん。ちょっと凹んでる。」
絵里「彼氏のこと?」
啓二「どうしてわかるの?あたしの彼氏、浮気してるみたいなの。」
絵里「おうおう。それは、困ったな。」
啓二「うん。かなりグサッと来てる。」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
こんな調子で30分くらい話してしまうことがあった。
中学から3年も経っていれば、相手はたいてい疑わない。
相手は、好きだった女の子。
話しながら、啓二は興奮してきて、
そっと自分の部分を触って、愛・撫してしまうこともあった。

話をしながら、啓二は、自然に女の子の仕草をしている自分に気が付いた。
手を鼻の下に持って行くとか、指を唇に持っていくとか。
それからは、テレビを見ながら、女の子の特徴的な仕草を研究した。
ちょっとした指のクセなども観察した。
女の子の仕草の特徴がたくさんわかってきた。

女の子は手や腕の仕草が多い。
啓二は、見たものはすぐ、自分の部屋で鏡を見ながらやってみる。
啓二は、やるとなると徹底的にする性格だった。
そして、女の子の仕草をしながら電話をすると、
いっそう女の子らしい声になり、ナチュラルな会話ができるのだった。
さらに、啓二は「きゃー!」とか「いやん。」などといった反射的な言葉も、仕草を伴って自然に出せるようになった。
啓二の女言葉、女仕草は、高い完成度に達していた。


つづく(つぎは、「ダイヤルQ2」です。)

隆志の教育実習③「由香のいきさつ」最終話

前回の続きは、禁止用語の連発で、とても綴れませんので、あらすじだけを書いて、最後のエピローグを掲載します。

================================

<つづきのあらすじ>

女高生のようにさせられた隆志は、男三人に、バックを好きなように丘されます。小林は、坊主頭の由香を丘します。こうして、乱交状態となり、連発してしまった男3人は、精力を抜き取られ、ふらふらになり、攻撃不可能な状態で、グロッキーになってしまいます。
由香と隆志はされただけなので、まだまだ元気で、後ろから入れられたものを排泄し、二人で友情の約束をします。「また、会おうね。」と隆志は由香に住所を教えます。
隆志は、最後にへたばっている3人を見て、「勝利したのは、由香と自分だ。」と心の中で勝利宣言をします。
以上が、この物語の概略です。

では、「エピローグ」がありますので、それは原文のまま(一部表現を変えてあります。)掲載します。多くは、由香の独白です。読んでくださるとうれしいです。


《エピローグ 由香のいきさつ》=====================

土曜日の午後。
隆志は、女装を終えて、由香を待っていた。
花柄のミニのワンピースを着て、髪は、前髪のある頬の髪がふっさりとしたセミロング。
鏡を見て、我ながら女だとつくづく思う。

チャイムが鳴った。
ドアをあけると由香の姿。
超ミニの赤いワンピースに、ブーツ。
皮のベスト。
髪は、前髪のストレートロング。
隆志は、そのかつらの中は、坊主頭だと思うと、変態的な気持ちがして、かえって興奮する。

由香とすぐキスをする。

「由香は、こんな昼間からどこで女の子になるの。」隆志は、聞いた。
「家から。」と由香。
「家族公認なの。」
「あたし、お父ちゃんと二人暮らし。」
「お父さん、知ってるの?」
「知ってるどころか、あたしに女装させたのお父ちゃん。」
「うそー。いつから。」
「あたしが、中2のとき、お母ちゃんが他界した。
 それから、お父ちゃんは、あたしにお母ちゃんの代わりをさせた。
 ある日、女の子の下着や洋服を買ってきて、
 あたしに着せて、カツラ被せて、あたしを丘したの。」

「丘すって、どんな風に。」
「あたしのお尻にクリームつけて、そこに入れた。
 はじめいやだったけど、だんだん気持ちよくなって、
 それから、丘されるの好きになった。
 毎日丘されたんでは、お尻の穴ゆるくなるから、
 土曜日だけ。後の日は口でお父ちゃんをイかせてあげる。
 だから、土曜日は、浣腸器つかって、お尻にたっぷり石鹸水入れて、
 2回浣腸する。するとお尻の中すっかりきれいになる。
 そこへたっぷりクリームを塗っておく。」

「親子なのに、平気なの?」
「平気。あたし、女になりたかったし。
 で、高校から、ホルモン始めた。
 おっぱいだけに注射すると、胸だけ大きくなって、
 男の機能は、そのまま残る。
 あたしもイきたいから、男の機能は欲しい。」
 あたしのおっぱい、今Cカップ。」

「学校で平気なの。」
「おっぱいは、ナベシャツで隠す。
 それでも、声や仕草で、女扱いされて、いじめられるから、
 坊主にした。
 坊主の方が、カツラかぶりやすいし。」

「そうね。」
「あたし、家帰ったら、女の格好してお父ちゃんの帰りを待ってる。
 帰って来たら、おとうちゃん待てなくて、玄関でパンツぬがされて、
 丘されるときもある。
 だから、お尻には普段の日もクリームぬってある。
 あたし、夕飯作ったり、洗濯、掃除とお母ちゃんの仕事みんなやってる。
 全部、女の格好で。

 台所で夕飯作ってると、お父ちゃんが来て、あたしの胸もんだり、
 あたしのパンツぬがせて、あたしの弱いところ攻撃したりする。
 あたし、たまらなくなって、お父ちゃんのあそこをくわえてしまう。
 お父ちゃんは、日に2発いけるの。
 あたしも、日に2回イけるときある。

 あたしは、夜は、いつもすけすけのネグリジェ来て、
 お父ちゃんの布団の隣に寝る。
 お父ちゃん、寝る前にあたしのCカップをたっぷりいじって、
 そのてっぺんを揉んだり、噛んだりする。
 すごく気持ちいいの。
 あたし坊主なのに、そんなあたしにもだえるの。
 おとうちゃん、好きみたい。変態なの。
 あたし、坊主で恥かしいけど、あそこ堅くなってしまう。
 あたしも変態。
 おとうちゃん、ときどきフェ・ラであたしをイかせてくれる。

 布団に入る前に、あたし、女の子の慰めの真似して、
 おとうちゃんに見せる。おとうちゃんは、堅くになって、
 あたしに襲ってくる。
 あたしそのときが、すごく好き。
 めちゃめちゃに丘されたいと思って、
 女の声、あげまくる。
 お尻は大事だから、たいていお父ちゃんは、あたしの口を丘す。
 お父ちゃんは、自分がイった後は、
 あたしを膝に抱いて、手で、いかせてくれる。

 ときどき、お父ちゃんのお尻に入れさせてもらえるときがある。
 お父ちゃん、そのとき、男なのに、
 お母ちゃんの声真似して、叫びまくる。
 お父ちゃん、完璧な女の声出せる。
 お母ちゃんが、生きて帰って来た気がする。
 「いやん、由香は女の子よ。だのにあたしを丘すの。
  やめなさい、やめて、やめて、・・・・・・・・・・」って、
 とっても上手に真似する。 
 目をつぶって声だけ聞くと、
 あたし、お母ちゃんを丘してる気持ちになって、
 お母ちゃん、お母ちゃん。由香、お母ちゃんが欲しいって、叫ぶ。
 涙流しながら、丘す。お母ちゃんの中にあたし噴射できたとき、
 お母ちゃんと結ばれた気がして、涙出てくる。」

聞きながら、隆志は、涙を流していた。
余りにも胸が痛む話だった。

「先生。あたしの話聞いて泣いてくれてるの。」由香がいった。
「うん。あまりにも切ないもの。由香がいじらしい。」
隆志は、由香を抱きしめた。

「由香、あたし、今日は由香の願いなんでもかなえてあげる。
 由香があたしにしたいこと、されたいこと、何でも言って。」
隆志は言った。

由香は言った。
「あたしお姉さんがほしかった。やさしいやさしいお姉さん。
 あたしにやさしくキスして、あたしの乳・房やさしくもんで、
 あたしを下着すがたにして、あたしの前のものやさしく撫でて、
 最後は、お姉さんの口の中にイカセテ。」

「うん、わかったわ。あたし、由香のいうこと全部してあげる。」
「うれしい。」と由香は抱き付いてきた。
隆志は、由香を抱きしめた。
由香への愛おしさと切なさが、隆志の胸にあふれていた。


<完>

※ 次回は「女声の啓二」の予定です。

フィクション「隆志の教育実習」②由香という女の子

この記事は、長持ちしないかもしれません。ずいぶん、原文を変えたのですが。
それに、こんなの書いちゃって恥ずかしいです。でも、読んでくださるとうれしいです。

=============================

「おい、みんな、これ女のパンツじゃねーか?」と高村が言った。
「なんだよ、先生、もう答え出ちゃってるじゃね。」と横井がニヤニヤとして言った。
「先生は、やっぱ女だぜ。」と皆でゲラゲラと笑った。
隆志は、そこで完全に観念した。
もう教育実習は終わった。
これに耐えれば、すべて終わりだ。

一人、女生徒がいた。
流行のグループ歌手のように、長い髪で、可愛い顔をしている。

「先生、男かもシレねーから、これを見なよ。」と高村は、
「おう、由香、はじめろよ。」と言った。
由香は、セーラー服を脱いで、スリップ姿になった。

「待て。」と高村が言った。
「先生の脇の下調べろ。綺麗になってるかもしれねえ。」
あとの二人が、隆志の手のヒモを解いて、
隆志を裸にした。
「あ、先生の脇の下きれいだぜ。やっぱり女だ。」と横井が言った。
小林が、隆志の脇の下を触り、
「もう、つるつるだぜ。」と言った。

「じゃあ、由香の制服を着せろ。」

隆志は、由香の制服を着せられた。
隆志は、心の中で、繰返していた。
「いいわ。何をしても。あたしをいじ・めるだけいじ・めて。」

小林と横井が、隆志を押さえ、小林が、隆志のショーツの中に手を入れて、
隆志の男の証を触った。
「今のところ、ぐんんにゃりだ。」と小林が言った。

「先生、あたし、これから自分を慰めるから見て。」と下着姿の由香は言った。
そして、隆志のいる跳び箱の正面の壁にもたれるように座った。
そして、肢をM開きにして、スリップの裾を上げた。
由香は、ショーツの中に手を入れて、始めた。
由香はずっと隆志を見ていて、隆志が目を反らすと、
「先生、目を反らせちゃいや。」と言う。
由香は、だんだん恍・惚とした表情を見せて行く。
手の動きを、次第に早くしていく。
「いや、先生、見て。今、ちょうどぬれてきたところ。」
由香が、ときどき、ぴくんと痙攣する。
小林が、「先生反応してるぜ。膨らんできた。」と言う。

由香は続ける。
由香は、感じてきたことを言葉にする。
もっと感じてきたことを言葉にする。
由香の声が高ぶってくる。
小林が、「先生、でかくなってきたぜ。由香、いいぞ、もっともだ・えろ。」
「いや、先生やめて、あたしを丘さないで、先生ひどい…。」
由香は、片方の手で、ち・ぶさを揉みながら、どんどん興・奮して行く。
首を、激しくふり始めた。

隆志は、もう目が離せなくなっていた。
女子生徒の行為を目の前で見るのは初めてだ。

由香は、もう体ごと身を揺らしていた。
もうすぐ絶頂に達する。
とうとう由香は、体を硬直させ、開いていた肢を閉じて、大きく痙攣した。
隆志のあそこは、もう最高に固くなっていた。
小林が、「先生、びんびんだぜ。先生男かもしれねえ。」と言った。

高村が、「由香、次いくか。」と言った。
小林と横井が、隆志の口の手ぬぐいを取った。
由香が立った。
そして、隆志の正面に進んだ。
そして、言う。
「先生。さっきのは嘘。だってあたし、これだもん。」
そう言って、由香は、ショーツを降ろした。
そのとき、隆志は目の前に信じられないものを見た。
由香の股間に、隆々とした男の証が生えているではないか。
「うおっ。先生、また膨張した。先生こういうの好きだ。」と小林が言った。
隆志は、その通り、ショックを受けて、心臓が踊りあがりそうになっていた。
隆志は、由香の可愛い顔と目の前のものを何度も見比べた。

「先生。これからが、本番。」
そう言って由香は、隆々としたものを、隆志の口の中に入れてきた。
由香は、陶・酔の声を上げた。
由香は、前・後運動を始めた。
隆志は思っていた。
こんな可愛い子が、男。信じられない…。
ぼくの見た、過去最高だ。

由香は、ショーツを脱いでしまった。
そして、前・後運動に専念していく。
「あ、あ、先生、ひどい。女の子ものをくわえるなんて。
 先生、ああ、あたし、本気でかん・じる。」
「お、先生、またでかくなっていく。先生、これ好きだぜ。」と小林。
「ああ、いいわ、先生上手だわ。女の子のものくわえるの。
 さっきで感じちゃったから、すぐイきそう。」

由香は、前・後運動を速める。
由香は、隆志の頭に手を当てて、隆志の頭を動かす。
隆志は、そのとき、マゾヒスッテクな喜びの世界へ入っていっていた。
(このシチュエーションが、たまらなく嬉しい。)
由香は、動きを速める。
ああ、こんな可愛い子に、あれがある。
それを自分はくわえている。
由香は、スピードを上げる。
「ああ、先生の意地悪、あたし・・・・・・・。」
そう言って由香は、痙攣して、隆志の口の中に、大量の液体を噴射した。
ぴくん、ぴくんと由香は、まだ反応している。
やがて、由香は、大きくなったものを、隆志の口から、抜いた。
隆志は、由香の可愛らしさを見ながら、由香のものならと噴射されたものを飲み込んだ。
「お、先生。飲んじゃったぜ。これは、そうとうやってるな。」と横井が言った。

高井が、「今度は先生を女にしようぜ。」と言った。
由香は、着ている下着をショーツ以外全部脱いだ。
(なんと、由香には、乳房があった!)
そして、自分は、女子のブルマーと体操着を着た。
隆志は、一回裸にされ、由香の着ていた下着をつけ、
セーラー服を着せられた。

次に見たことで、隆志は、奇妙な興奮を覚えた。
それは、由香が、カツラをとったとき、由香は、丸坊主だったのだ。
化粧の可愛い顔。女子の体操着。しかし、頭は坊主。
このアンバランスに隆志は頭がおかしくなりそうだった。

隆志は、由香のカツラをかぶらされた。
前髪のある長い髪。
由香が、ブラシをもって、隆志の頭に形よくセットした。
由香はそれから、化粧バッグを開けて、隆志を綺麗に化粧した。
童顔の隆志は、まるで、女生徒のようになってしまった。

女生徒にされた隆志は、女の子のようにマットの上で女の子座りをしていた。
「おお、可愛いじゃねえか。これは、たまらねーな。」と高井は言った。
坊主頭の由香が、真っ先に来て、隆志にキ・スをした。
舌を絡ませ、濃厚なキ・スだった。
「この子は、変人だ。」と隆志は思った。


つづく(続けられないかもです。)

フィクション「隆の教育実習」①

体験記を、もう全部書いてしまいました。ネタがありませんので、フィクションを綴ります。
読んでくださるとうれしいです。

===============================

長い髪、赤い唇。
女装して、女と見まごう姿のまま、
隆志は鏡を見つめて、ため息をついた。
「ああ、いやだなあ。」
隆志は、明日から高校で2週間の教育実習にいかなければならない。
隆志は、大学の4年生。
女装の趣味があり、またその素質にも恵まれていて、
学生の4年間、女装に明け暮れして楽しんできた。

それが、明日からの教育実習のため、
せっかくの長い髪を、リクルートヘアーにした。
髪は短くしたが、細く女のようにした眉が気になる。
前髪でうまく隠れるようにしたが、
声も、トーンが高く、女声だった。

実習にいくのは、あまりよい高校ではない。
俗に「底辺校」といわれるところだ。
自分のような実習生がいったら、どれだけからかわれるかわからない。

もう一度深いため息をついて、
隆志は、カツラをはずし、化粧をとり、
女物のパジャマに着替えた。
そして、観念して、床に就いた。



翌朝、早く起きて、スーツの背広姿になった。
鏡を見ると、どこか女っぽい。
それは、隆志の華奢な体形にもよった。
朝食は食べる気がしなかった。

高校に着いたとたん、胃が痛くなってきた。
思った通りの底辺校だ。重く荒れたムード。
男女共学。
黒い制服を着た男子生徒が廊下にたむろしていて
女子とふざけ合っている。
それが、なんとも怖かった。



やがて指導教官と共に、クラスに行った。
そして、自己紹介をした。
「な、女みてえじゃね。」と声がして、
ひそひそ笑う声がした。
それ以後、廊下で生徒とすれ違うたび、
こそこそ笑う声がした。

指導教官がそばにいてくれない授業はひどかった。
露骨に隆志の女っぽさをからかってくる。
ときどき、消しゴムも飛んでくる。
ああ、この地獄から早く抜け出したい。



ボロボロに傷ついて、疲れ果て、
隆志は、マンションの部屋に帰って来た。
隆志は、高校生たちへの仕返しとばかり、
女装をして、濃いメイクをほどこし、かつらをかぶり、
手をスカートの中にしのばせた。
そして、ゆっくりかの部分をマッサージし始めた。
こうつぶやき始めた。
「だって、無理よ。あたし、女だもの。
 あんな怖い高校生教えられないわ。」
そして、怖い高校生の男子達を思い浮かべて、
「ああ、あたしをいじ・めて、もっといじ・めて。
 あたしを丘して、もっと丘して…。」
そうつぶやくと、マゾヒズムのある隆志のあそこは、
膨張してくる。
「い・やん、いじ・めて、もっといじ・めて…。」
そうくり返すと、隆に快・感が生じ、ある意味怖い高校生に勝った気がしてくるのだ。
隆志は最高潮に興奮してくる。
隆志は、急いでティッシュをとり、あそこを包んだ。
そして、女の悲鳴を上げながら、果てていった。



その日の夜、隆志は名案を思いついた。
次の朝、隆志は、花柄の女物のショーツを履いた。
男子の証を、股間に回して、女の子に見えるようにする。
それで、高校へ行く。
曲がりなりにも、神聖な学校という場で、
女物のショーツを履いている。
それは、学校への冒涜であり、背徳である。
生徒たちを含め、学校を秘かに裏切ることにより、
精神的に、勝つのだ。

高校に行った。
すると、高校生たちが、にやにや笑っている。
隆志は、こう心の中でつぶやく。
「いいわよ。どうせあたしは女よ。
 もっといじ・めて。もっともっといじ・めて。」
すると、快感すら覚える。
勝った…と隆志は思った。
学校は、自分のマ・ゾヒズムを満たしてくれる、理想の場になった。

それから、授業中何をされても、
「君達やめなさい。」と言葉で言いながら、
隆志は、もっといじ・めて、めちゃくちゃにいじ・めて、と心で唱え、
マ・ゾヒズムの喜びに浸っていった。



こうして、耐え難いような屈辱にも、
隆志は、無事耐えていけた。

2週間の教育実習を、見事終えた。
職員室で最後のお礼を述べ、
隆志は、開放感いっぱいで、学校の門をくぐろうとしていた。

そのとき、高村という背の高い3年生の生徒がいて、
「先生、俺達先生への感謝の印に、場を作ったんです。
 体育館へ来てくれませんか。」と言う。

高村に言われるまま、隆志はついていった。
とても、嫌な予感がする。

「先生、体育館の倉庫です。」と高村は言い、
隆志の手をとり、倉庫に連れて言った。

そのとたん、4人の生徒がいて、
隆志の腕を取って、後ろ手にしばった。
「君達、何をするんだ。」隆志がいうと、
「へへ、先生が女じゃないか調べるんですよ。」と横に大きな横井が言った。
「バカな真似はよせ。」と隆志が言うと、小柄な小林が、隆の口を手ぬぐいで縛った。
隆志は、半ば観念して、飛び箱を背に、座らされた。

体育館倉庫は、あらかじめマットが敷き詰められていた。

「先生、ズボン脱がせますよ。」と高村が言った。
それは、まずい、絶対まずい、と隆志思った。花柄のショーツを履いている。
高村が、隆のベルトを取り、無理矢理ズボンを脱がせた。
当然、隆志の花柄のショーツが露になった。


つづく

アメリカ編第四部⑩「さよならアメリカ」最終話

とうとうお別れの日が来た。
時は必ず進む。迎えたくない日は必ずやって来る。
前の日、ベティさんやみんなで、
お別れ会として、レストランに連れて行ってもらった。

私は、大きなアルミボストンバッグ1つになり、
中は、タイプライターだけが重かった。

私の車は、一般の新聞広告に出して、ベティさんが売ってあげると言ってくれた。

私は、黒ずくめのアンサンブルとボレロを来て汽車の時間を待っていた。
正午の汽車の時間まで、私は、新聞社でうろうろと、落ち着かなかった。

やがて、汽車の30分前になり、
私たちは、そばの汽車の駅に移った。
ベティさん、ジャックさん、ジュディ、そして、ロナルドも来てくれていた。

やがて汽車が来た。
私は、一人一人と、両頬にキスをする挨拶をした。
ロナルドも、それを嫌がらなかった。

汽車が来て、改札をくぐるとき、
私は不意に涙が、後から後から流れてきた。
ベティさんとジュディが泣いていた。
汽車に乗り込み、最後の時間とばかり、
私は乗りこみ口に立っていた。
涙の目を拭いていた。
やがて、ゴトンと汽車の音がして、
汽車がすーと動いた。
私は大きく手を振ったが、
見送りの人たちが、すぐに遠くに見えなくなった。

私はしばらく、タオルを目に当てて泣いた。

気を収めて、座席についた。



飛行機のチケットの都合上、
ニューヨークで1泊する必要があった。
そこで、前もって調べておいた。
日本人が経営の民宿に1泊お世話になった。
日本食は、おいしたった。

その日には、あと二人泊まり客がいた。
そのうちの一人の山本さんという人は、
日本航空の、司令塔で働く、すごい人だった。
山本さんは、私が大学を卒業してきたというと、
すごく、ほめてきた。
「それは、えらい。たいていみんなドロップアウトしちゃうんだ。
 特に、西海岸は、日本人がいっぱいいるから、つるんじゃって、
 勉強をしなくなる。英語もぜんぜん覚えない。
 君は、女で一人、だれも日本人のいないニューオリンズで暮らして、
 よくおかしくならなかったね。」
と山本さんは、言った。
「結構東洋人がいたので、友達になれました。」
「でも、日本語が通じないんだよね。いや、君のような人を見て、
 僕はうれしくなってくるよ。」
と、山本さんは、必要以上にほめてくれている気がして、私は照れてしまった。

あくる日、その山本さんが、ケネディ空港まで、車で連れて行ってくれた。

山本さんに手を振り、私は、チェックインして、機内に乗り込んだ。

やがて、飛行機は、滑走をはじめ、空港が見る見る下に、遠くに行ってしまった。

「さよなら、アメリカ。
 私の2年間はいい2年間だった。
 何も後悔していない。」

私は心で、そう言った。

機内で、私が好きで、アメリカで2回も見た映画を上映していた。

「Heaven Can Wait(天国は待ってくれる。)」

私は、ジュディのことを思った。
みんなを天国へ行かせられるだろうか…。
ジュディは、がんばっているにちがいない。

「うふん、天国は待ってくれるよ。」
そうジュディに、心で話しかけた。


アメリカ編第四部 完 

(ご愛読ありがとうございました。明日のことは、また明日に。)


※「Heaven Can Wait」の邦題は、「天国から来たチャンピオン」です。

アメリカ編第四部⑨「カレン・アンダーソンからの手紙」

今日は、字が多くて、女装も出ず、失礼しています。でも、もうすぐアメリカを去るときのことなので、読んでくださるとうれしいです。

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「体全体が性感体」に関する詳しい記事を載せた新聞が発売になった。
このところ、ジュディは、毎日のように社に来ていた。
この記事に関する責任者はジュディなので、
彼女も気が気ではないらしかった。
それは、私も同じだった。
新聞が出て、どんな反響が来るか、心臓がどきどきする毎日だった。

いつものように、新聞の発行から、10日くらい過ぎに、
どさっとダンボールに入った郵便物がきた。
私たちは、まず、ジュディ宛に来た手紙をより出した。
数は、50通くらいで少なかった。
しかし、その50通は、重いものだった。

初めの1通を明けて読み、ジュディは、やったあ!とガッツポーズをした。
「結果が出たって。感謝の言葉が書いてある。」
ジュディは、ベティさんやジャックさんに見せた。
「1つでも、こんな手紙があれば、まずOKよね。」とジュディは言った。
そして、読むうち、読むうち、ジュディの「やったー!」の声が続いた。

そのうち、ジュディは、ある封筒を見て、
「わあおう!!」と声を上げた。
「カレン・アンダーソンからの手紙よ!」と言った。
「え!ほんと?」とみんなが寄ってきた。

私には、その人が誰だかわかっていた。
TVタイムスは、全米ネットだが、
主力は、東側に密な販売網を持っている言わば「東の雄」だ。
一方、カレン・アンダーソンは、「西側の雄」で、
サンフランシスコに出版社をもち、
多くの女装に関する写真入りのバンフレットを定期的に出し、
小説もたくさん出している。

性転換を希望する人へのガイダンスも出している。
それぞれの出版物の後ろに必ずご自分の写真をのせ、
どんな質問でも、手紙をだせば、必ず答えてくれる人だ。
35歳くらいで、大変な美人。
私は、ロサンゼルスにいるとき、
カレンの小説を読んで胸をときめかせたものだった。

カレン・アンダーソンは、今回のTVタイムスの記事を
価値あるものとして高く評価しているとのこと。
カレンも、新聞のアリスの実践にしたがって行い、
18人の内10人の人が天国へ行くことに成功したこと。
また、グループ研究で行ったところ、
5人が5人とも天国行きの切符を手に入れ、
高い成功率が得られたこと。
今後、グループ研究が、大きな可能性をもつものと思えたこと。
また、TVタイムス社には、追跡調査をし、
読者の結果を新聞で、是非発表してほしいこと。
また、「TVタイムス」の名を明記し、カレンの出版物で、
TVタイムスの記事を紹介させてほしいこと。
この方法が、今後大勢によって工夫改良され、
さらに確実なものとして広まれば、
それは私たちの大きな福音であると信じる
…とそんな趣旨の手紙だった。

「やったあ。カレンを巻き込むことが出来たなんて、これは、大きいわよね。」
とジュディは言った。
「そうねえ。めったに手紙を自分から書いてくる人じゃないから。
 カレンの報告は、こちらこそ新聞に載せたいくらいよ。」
とベティさんは言った。
ジャックさんが、
「載せちゃえばいいのに。これで、東西の雄が手を結ぶ。いいんじゃないの。」
「それいい。あたし本気。ベティは?」とジュディが言った。
「そうね。東じゃカレンを知らない人もいるから、
 カレンの紹介文を載せましょう。
 そして、カレンの出版物もいくつか広告の中に入れましょう。
 それなら、カレンも喜ぶと思うわ。ギブ&テイクが成立する。」
とベティさんは言った。
「これもそれも、アリスが出発点だわ。アリス、ありがとう。」
そうジュディに抱きしめられた。私はうれしかった。



私は自分に来た手紙を、1つ1つ見ていた。
そうしたら、私にも、カレン・アンダーソンから私信が来ていた。
私は胸が躍って、中を明けた。
すると、カレンのカラー写真が2枚入っていて、
私をたくさん誉めてくれていた。
美しい筆記体の文字だった。
私が会った中国の人が、カレンと親しくて、
カレンのところへ、私の写真をもって行ったそうだ。
大きな憧れの人だったカレンから手紙をもらうなんて、
夢のようだった。

私には、帰国の日が迫っていた。
私は、カレンと
ダラスのヒルトンホテルで会ってくれた、トムさんにだけ、
日本の住所を伝えた。
(その後、日本に帰って、カレンとトムさんとは、
 1年間文通をします。)

次号の新聞に、私は、コラムをもらって、
帰国が近いので、もう手紙はもらえないとの
挨拶文を、写真入りで出してもらった。

カレンとTVタイムスの話しは、
とんとん拍子でうまくいって、
お互いの交流が生まれ、
西の雄と東の雄が手を結んだ。

帰国の日は近づいていた。
私は日に日に感傷的になって、
夜になると、いろいろなアメリカのことを思い出していた。
ニューオーリンズを去るときは、
まだ、TVタイムスがあると思ったけれど、
ここを去るときは、もうアメリカとさよならだ。

ある夜に、私は大きなデスクで、
手紙を書きながら、もの思いにふけり、
書く手が止まっていた。
すると、いつの間にかジュディが後ろに来て、
私の首に腕をまわした。
「アリスみたいな子は、もう2度と現れない。
 でも、アリスが残していったものは、消えない。
 アリスを知って、希望を持った子がどんどん出てくる。
 女装の世界が明るくなる。アリスは光。」
ジュディはそう言った。
(レレイも同じようなことを言っていた。)
「そのうち、キャロルって子が出てくると思う。
 びっくりするほど可愛いよ。
 キャロルは、『ペイフォーワード』すると思う。」
と私は言った。
「ペイフォーワード。未来の人にお返しをする。
 いい言葉だね。
 アリスにペイフォーワードしてくれたのは、誰?」
「両親をのぞけば、新宿のスナックのママさん。
 私がアメリカに行けるようにしてくれた恩人。」
「そう。じゃあ私もペイフォーワードできるようにがんばるね。」
ジュディはそう言って、私の頬にキスをした。

私が日本に帰ったら、することがたくさんあるように思えてきた。
心が温まってきた。
私はもう大丈夫だ。


つづく(次回は、「さよならアメリカ」)

アメリカ編第四部⑧「おかしな店ニッカーボッカー」後編

私の偽者がいるなんて。とにかくびっくりだった。
私は、ちょっとお茶目をする気になった。
「ぼく、あのアリスは、偽者だと思ってる。ほんとは、女の子だって。」
「そんなことないわ。あたしは男よ。いいわ。証拠見せる。」
アリスは、そういうと、私の手をとり、スカートに手を入れショーツを触らせた。
「あ、ほんとだ。」と私。
「ね。男の子でしょう。」とアリスは言った。
しかし、その直後、私はふざけてお茶目をしてしまった自分をひどく後悔した。
真剣に証明したアリスに対して、自分は、不真面目だった。
私は、自己嫌悪に陥って、うなだれていた。

「どうしたのジュン。」とアリスは心配して言った。
「ぼく、不真面目だった。アリスは男の子だって知ってたのに。ごめん。」と言ってなかなか顔をあげることができなかった。
アリスはしばらくだまっていた。そのうち、
「謝るのは、あたしの方。あたし、アリスじゃない。偽者なの。」とアリスは言った。
「うん。」と私は一言いった。
「ジュンの方が、ずっとアリスに似てる。東洋人だし。」
アリスはそう言った後、
「ジュン、あたしにジュンのお顔をよく見せて。」
アリスは真剣に言った。

私は顔を上げた。
アリスは私の前髪を横になでて、じっと私の顔を見つめていた。
「アリス…、もしかして、あなたがアリス、似てる、きっとアリスだわ。ね、そうじゃない?」
と言った。
「う、うん。」と私はうつむいた。
「そうなのね。わあ、あたし、感激。」とアリスは私に抱きついてきた。
「あなたのファンなの。新聞であなたを見てから、憧れてた。
 だから、あなたになりたくて、アリスなんて名乗って、あなたの真似をしたの。
 ごめんなさい。許して。もうしないから。」
「ぼくの真似してくれるなんて、ぼくこそ光栄だよ。あやまったりしないで。」
私は言った。

「アリスは、やさしいし、真っ直ぐだね。思っていたとおりの人だ。」とアリスは言った。
そして、
「ジュン、あたしはあなたに会えた記念がほしい。」と言った。
「どんな?」と私は聞いた。
「キスして。」とアリス。
「うん、いいよ。」
私は、アリスの肩を引き寄せて、キスをした。
アリスは脱力していた。
唇を離したとき、
「ジュンは、キスが上手ね。体中がしびれた。」とアリスは言った。
「アリスの胸を感じた。胸、本物?」と私は言った。
「そうよ。ホルモンだけでCカップ。」
「ちょっと触っていい?」
「うん。」アリスはそう言って、ワンピースの前ボタンをはずした。

私は、アリスの胸に手を入れてみた。
「わあ、すごい。」
「たくさん、触ってもいいわよ。そして、もう一度キスして。」とアリスは、言った。
私は肩から下げたバッグから、ゴムを取り出し、封を切った。
私は、アリスにキスをした。長いキス。
そして、胸に手を入れ、ゆっくりと揉んだ。
そして、アリスの胸の一番先を指で挟んで、くりくりっとした。
アリスの体が震え始めた。
私はクリクリをくり返し、もう片方も、揉んでクリクリをした。
私はキスをしたまま、ゴムを取り出した。
そして、アリスのスカートに手を入れ、ショーツを下げて、
アリスの熱くなったものにゴムを被せた。
アリスが、「あ。」と反応した。

私は、ゆっくりゴムのところを上下にあいぶした。
アリスの体の振動が激しくなった。
アリスが力を入れて、私を抱きに来た。私も力をいれた。
アリスの振動が益々激しくなって、キスの唇を離して、「あああああ。」と小さく叫んだ。
そして、一度大きくのけ反ると、体を硬直させ、足を伸ばして震えた。
アリスのゴムの中が充満した。

アリスは、顔に手を当て、気持ちを抑えていた。
私はそっとミニタオルを当てて、ゴムを抜いた。
ミニタオルで、アリスの部分を拭いた。
ゴムをビニール袋に入れて、バッグにしまった。
アリスのショーツを上げた。

「ジュンが、やってくれるなんて思わなかった。
 お店の中で。最高に興奮した。ありがとう。」アリスは言った。
「アリスが可愛かったから、我慢できなかった。」と私。
「そんな言い方して、記念をくれたんでしょう?
 自慢していい?男の子のアリスが、あたしをイかせてくれたって。」
「いくらでもして。男のアリスは、やりたがりだって。」
「あはは。その通り言っちゃおうかしら。」とアリスは笑った。

お店の中央では、丸い舞台の上で、2人のハード・ゲイの人が
絡みながら、ゆっくりとした踊りを踊っていた。
その周りを、厚い靴とかつらの高さで2メートル近くの背になっているドラッグ・クイーンが、
何人か、優雅に歩いていた。

マンハッタンで、一番楽しいところへ来た気がした。

アリスと二人で、まだまだ店の中を散歩しようといい合った。

L…トンボ眼鏡のお姉さん。
G…目の前で踊ってる
B…まだ会ってない。
T…アリスとぼく。

「Bさんに会ってないね。」
「そうね。」
と二人で言った。

夜は、まだ始まったばかりだった。


つづく (次回は、「全身性感帯の反響」です。)

アメリカ編第四部⑦「おかしな店ニッカーボッカー」前編

TVタイムスは、日曜日がお休みだったので、
私は、50マイル車を走らせ、必ず、マッハッタンに遊びに行った。
マンハッタンだけは、怖いので、男の格好で行った。

今まで、ブロードウエイでミュージカルもいくつか見たし、
チャイナタウン、ピカソのゲルニカのあるミュージアム、
ハーレムと隣り合わせの、コロンビア大学と、見たいところはいくつかみた。

そのときは、ブロードウェイの回りのアダルト地帯をぶらぶらしていた。
そのうち、アダルト専門の古本屋があったので、入った。
TS、TV関係の本がたくさんあって、うきうきとした。
全部立ち読みができる。
そのうち、すごい1冊を見つけた。
私は、TVでどんなきれいな人でも、たいてい一目でTVとわかった。
なんとなく勘でわかる。
でも、その雑誌で乳房を出している女性は、絶対女性だと思った。
普通の家庭のソファーに座っている。
乳房の形は、完璧に女性。全体から感じられるものが女性だった。
極めて、ナチュラル。
で、ふと次のページを見たとき、ガーンと衝撃を受けた。
スカートをたくし上げたその女性に男の証があったのだ。
「わあ~。すごい!」と心で叫び、私は一気に興奮してしまった。
「あり得ない!」と思った。
すごいお宝本だと思って、その本と、あと数冊を買った。

店を出るとき、ふと見ると、新聞のスタンドがあって、そこにTVタイムスを見つけた。
見れば、アリス特集号で、私は、なんだか恥かしくて、足早にそこを出た。

少し歩いていると、後ろから呼び止める人がいる。
50歳くらいのやさしそうな人だ。
「あの、女装関係の本をお買いになりましたね。」
とその人はいう。
「はい。」
「実は、私も、女装の人が好きなんです。
 でも、今までそれを話せる人がいなくて、孤独でした。
 あの店で、あなたが女装の本をお買いになったので、
 つい嬉しくて、声をかけてしまいました。」
「私は、こんな本買ったんですよ。」
と、とくに衝撃を受けた人の雑誌を見せた。
すると、その人は驚きもせずに、
「ああ、この人は、IS、つまり半陰陽の人です。
 今度手術をして、男性になると言っていますよ。」
それで、納得と私は思った。

「そうですか。この辺で、女装のお店とか、たまり場なんかあるのでしょうか。」
私は、この際と思って聞いた。
「『ニッカー・ボッカー』なんかおもしろいですよ。」とその人はいう。
そこは、LGBT、つまり性的マイノリティーの人たちが集まる場所だと言う。

私はその人から、ストリート名を聞いた。
ブロードウエイ界隈だった。

その人と別れて、私は「ニッカーボッカー」を探して歩いた。
そして、店を見つけた。
時刻は、4時を過ぎていた。
夜までには時間があるしと、私はアダルト・ブックの店を巡った。
いい本があれば、日本の女装サロンや、典子ママに送りたかった。

アダルトの新本の本屋はたくさんあった。
でも、1つびっくりしたのは、どの店にも店頭にもアダルト新聞のスタンドがあり、
そこにTVタイムスがあったことだ。
「アリス特集」という文字をたくさん目にした。
TVタイムスの販売網が、これほどまでとは思わなかった。
すごい!そう思いながら歩いた。

夕方になったがまだ早い。
私は、ニッカーボッカーの店の
ちょうど向かいに寿司屋さんがあったので、そこに入った。
そして、寿司を食べながら、窓から、お店を観察した。
すると、6時を過ぎてから、店の回りに人がうろうろし始めた。
みんな黒の皮の服を来て、それも、肩やお腹が見える服。
金属を散りばめ、鎖をジャラジャラつけている。
あれは、ハード・ゲイだと思った。
ああいう人は趣味じゃないし、ちょっと怖いなあと思っていた。

そのうち、ドラッグ・クイーンの人が来た。
すごい衣装。背が高い。
そんな人が何人か店に入っていった。
私は、粘りに粘って寿司屋にいた。
6時半を過ぎると、やっと普通の女性が何人か来た。
トンボのサングラスを掛けた背の高い女性も来た。
多分、レスビアンのタチの人だろうと思った。

私は何度も店に入ろうかどうしようかと迷った。
でも、自分だって、立派なLGBTの一人だ。
仲間じゃないかと思った。
7時になって、私はやっと意を決して、店に入った。

中は薄暗い。人がけっこういる。
悩ましげなサックスの音楽がかかっていた。
私はカウンターに座り、コーラを頼んだ。
それを、一人でちびちび飲んでいた。
すると、トンボのサングラスを掛けた背の高い女性が隣にきた。
黒のタンクトップに光沢のある黒のパンツ(=ズボン)。
彼女は気安く私の肩に腕をかけてきた。
「新顔ね。」
「うん、ペンシルバニアから。」
「あたし、ヘレン。」
「ぼく、ジュン。」
「可愛い顔してるね。」
「ありがとう。ね、聞いてもいい?」
「何?」
「あのハードゲイの人で、顔中黒マスクで覆っている人なあに?」
「ああ、あれ。入れるのよ。」
「どこへ。」
「決まってるでしょう。ア■ル。」
「うそ、入りっこないじゃない。」
「あたしも、信じらんないけど、入る人もいるみたいよ。」
「フィスト(拳)ならわかるけど。」
「あの奥でがんがんやってるわよ。見に行く?」
「うん。」
私はへレンといっしょに、席を立って、店の奥へいった。」
すると、黒い皮の服の連中が、10人くらい集まって、
バック攻撃を何人かにやっていた。
される方はテーブルに上半身をうつ伏せに乗せ、お尻を出している。
それを、攻撃している。
中にはフィストをやっている人もいた。

「ぼく、もういい。」とヘレンに言って、
店の壁に並んでいるベンチ椅子に移った。
ヘレンがまた私の肩を抱いて、
「こっち向いて。」と言う。
私がヘレンに向くと、
あっという間に唇を奪われた。
体中が痺れるくらいの上手なキスだった。
おまけにヘレンの乳・房が、私の胸に当たって、
私は興奮してしまった。

私は言った。
「ヘレン、多分勘違いしてると思う。ぼく、男。」
「え?」とヘレンは言った。そして、私の胸に手を当てた。
ヘレンははっとしたように、
「あんまり可愛いから、女の子かと思った。じゃ、何?」と言った。
「ぼくは、女装。今はしてないけど。」
「ジュンなら、可愛くなるわね。スッピンで女の子に見えた。
 待ってて、ジュンにぴったりな子呼んであげる。」
そういって、ヘレンは行った。

しばらくすると、白いワンピースを着た、黒髪の女の子が来た。
ストレートの前髪、後ろはゆるいカールのロングヘアー。
かなり可愛い。私は興奮した。
「あたし、アリスよ。ジュンね。」と言ってその子は私の隣にすわった。
「ジュンのコーラ、ちょっと飲んでいい?」
私が返事をしないのに、アリスはコーラを飲んだ。
「ああ、おいしい。」とアリスは言った。

「ジュン、あたしのこと知らない?
 アマチュアのTVなら、ほとんど知ってるよ。」とアリスはいう。
私はまさかと思いながら、
「じゃあ、あのアリス?」と遠まわしに言ってみた。
「そう。今TVタイムスでお手伝いしてる。」とアリスは言った。


つづく(次回は、後編です。)

アメリカ編第四部⑥「エミリーは天国へ行けるか」

2日経って、エミリーがTVタイムスにジュディといっしょに来た。
エミリーをみたとき、私は胸が躍った。
背は、私くらいで、ブロンドの長い髪、前髪、年齢は20歳くらいに見えた。
そして、すける様に色が白くて、妖精のように可愛かった。
今まで見たクリスと同じくらいに可愛い。

私たちは、ジュディといっしょに、
社のダブルベッドのある部屋に行った。
コーヒーを飲みながら、少し話した。

「今日は、あなたの体全体が性感体になれるかを試すのが目的なの。」私は言った。
「ええ、ジュディから聞いたわ。
 あたし、もうすぐ完全な手術をするつもりなの。そのとき、体が感じることができたらうれしい。
 男の子と寝て、精神的な悦びはあると思うの。でも、もし体も感じることができたら、
 夢見たいなことだと思う。」とエミリーは言った。

ジュディは、
「アリス、ここにいていいかしら。アリスのすること記録したいの。時間とかも。」と言った。
「エミリーがよければ。」と私。
「ジュディ、かまわないわ。」とエミリーは言った。

「エミリー、ショーツだけの真っ裸になって、毛布をかぶって。
 あたしもそうするから。」私は言った。

エミリーの準備はできた。
私は妖精のようなエミリーを前にして、心臓がドキドキした。
「エミリー。イメージのお付き合いとして、10人の天使がいい、5人のいやらしい男の手がいい?」と私。
「えーと、5人のステキな男の子の手がいい。」とエミリーが言った。
「それから、感じないときに無理に声を出さないで。感じたときだけ声を出して。」と私。
「わかったわ。」
「では、はじめましょう。」

私はまず、エミリーの両手をとって、上にあげた。
そして、厚いキスをした。
唇を離したとき、エミリーが、「はあ~。」と喜びの息を吐いた。
「今から、5人のハンサムな男の子が、あなたのいろんなところを愛撫するわ。
 まず、指先から。」
私はそうささやいて、指の1本、1本を舐めたりしゃぶったりした。
たっぷり、たっぷり。
腕をキスしながら降りて、脇の下にきた。
「5人の子が、脇の下をなめるわ。あなたのきれいな脇の下。
 みんな、気に入ってしまってなかなかやめないわ。」
私は、いつまでもなめ続けた。
「ああ…。」とエミリーが声を上げた。
エミリーは、感受性がいい。それとも想像力が豊か。

「これから、あなたの顔のすべてを、男の子たちが、愛撫するわ。」
そう言って、私はエミリーの耳たぶ。目蓋。顔のあらゆるところを愛撫した。
たっぷり。多分、ジュディの2倍時間を裂いたかもしれない。
「どうお?男の子やさしいでしょう。これから、あなたの首筋にいって、たくさんキスをするわ。」
首筋のとき、エミリーは、「ああああ。」と声を上げた。

私はそんな調子で、肩、胸の上の方、乳房は抜かして、お腹、手を回して、背中。
エミリーは、その段階でたくさんの声を出していた。
皮膚感覚がとても優れている。

足の指に移って、1本1本舐めていった。指と指の間に、エミリーは反応して声を上げた。
足のすね、ふくらはぎ、そして、太ももに移ったとき、
「ああああああ。」と大きな反応を見せた。
太ももをたっぷり愛撫した。
エミリーは、すでに体を細かく振動させていた。
もう一度脇の下から体全体をなでた。
「ああああ。」とエミリーがのけぞった。
素晴らしい感度だ。
「これから男の子たちが、胸をさわるわ。男と子たちの10の手で。」
胸を触った。
それだけで、エミリーは声を出した。

乳房がおわり、いよいよ、その先端を愛撫したとき、
エミリーは、首でイヤイヤをし、体をねじり、あばれるように体を動かした。
「あああああああ・・・。」と声を出し、額に汗をかき始めた。
でも、愛撫を続けた。
エミリーは、どんどんとベッドの上を跳ねるように反応した。
私は、エミリーのショーツの中に手を入れた。
小指のようだったエミリーの男の子の証は、親指くらいになっていた。
私はショーツを脱がせ、その部分の周りをなぜた。
エミリーは激しく体を動かし、首を左右に振った。
それを何回も続け、エミリーにショーツをはかせた。
エミリーの呼吸は早くなり、体がぶるぶると震えてきた。
最後に、私はエミリーの上にのり、エミリーを抱き閉め、
くち付けをした。
エミリーは足をばたばたさせた。
そして、唇を離すと、
一声、ああああああああああああ・・と叫んで、静かになった。

私は、エミリーに毛布をかぶせた。
私はワンピースを着た。
ベティさんとジャックさんに、エミリーの様子を見せた。



みんなで、ソファーで話し合った。

ベティさんが、
「ね。これだけはいえると思うの。丁寧に愛撫をしていけば、皮膚を敏感にして、体の多くの部分を性的に感じやすいものにすることができる。その愛撫を、丁寧にやっていけるアリスの場合、ジュディやエミリーのように、高い効果を示すことができた。どう、いい過ぎかしら。」
ジュディ。
「想像力も大切なの。想像力を高めるために、10人の天使とか、好きな男子の10この手とか、媒体を使うのが、有効であること。また、これは、自己催眠に近いものと思われるので、日々、想像力と集中力を高める訓練も大切であること。」

ベティ。
「いいわね。それに、ジュディが実際に記録をとった、アリスの手順とか、1つの愛撫に掛けた時間。
そして、アリスがささやいたこと。これは、事実なんだから、それを載せても、いいと思うわ。」
私。
「ほんとは、一人を大勢でやった方が、早いんです。ささやく人1人。そして、愛撫する手は多いほどいいので、もし、グループ研究なんかでやれると、いいと思います。」



そのころ、エミリーが、目ボケ眼でやってきた。
ソファーに座って。
「アリス、ありがとう。もう、すごかったの。あたし夢の中で、好きな男の子に何度も抱かれたの。
 幸せだった。男の子も満足して、二人で抱きあって天国へいったの。そして、天国でずっとキスしてた。あんなこと今までではじめて。」エミリーは満足げにそう言った。
「じゃあ、今日来てよかった?」とジュディがいった。
「ええ、よかった。あたし、アリスに体触られて、ぞくぞくのしっぱなしだった。
 あたし、性感体を失ったと思っていたけど、体全体だったのね。ジュディが言っていた通り。」

「そうだ!」とジュディが手を打った。
「ねえ。エミリー。午後もいるでしょう。今度は、あたしが、エミリーにやってみる。
 あたしが一番の体験者だから。あたしができたら、ますます記事に自信がもてる。」
ジュディがそう言った。
「わあ、もう一度、天国にいけるの?うれしい。」とエミリーが跳び上がった。

(ジュディは、成功します。めでたし、めでたし。)


つづく(次回は、「おかしなお店、ニッカーボッカー」です。)

アメリカ編第四部⑤「箱いっぱいの手紙」

「アリス特集号」のゲラが出来たとき、
私は見て、にまにましてしまった。
私の写真だらけ。全部、チャイナドレスを着ていて、
なんだか、日本や中国の人には恥かしい気がした。

そして、いよいよ新聞は、アメリカ全土に渡り、発送された。
ベティさんは、いつもの部数の5割り増しにした。
それから、10日余り経ったとき、
ダンボールいっぱいの郵便物が、社に届いた。

みんなで、「わあ~。」と言った。
「初日としては、いつもの3倍だわ。」とベティさんはいった。

手紙の仕分けをした。
新聞の記事に対しての、感想文をベティさんが受け持つ。
私の個人広告に来た手紙は、私が受け持つ。
それから、ジュディに来た手紙がすごかった。
きっとジュディの「体全部が性感体」に対する、問い合わせ、質問なんだと思った。

私は200通の手紙。
ベティさんは、150の手紙。
ジュディは、250近くの手紙をもらった。

ジャックさんが、
「これは、たいへんだ。他の仕事は、抜きだな。
 明日も、この半分は来るよ。」と言った。

連絡を受けて、ジュディがやって来た。
手紙の山をみて、「うひゃー。」と声を上げた。
「アリス、これだけの人が知りたがってる。
 私一回の経験じゃ、自信もって書けない。
 あたしと、あと2回。試してみてくれない。」
とジュディが言った。
「はい。あたしにも責任があることだし。」と私は答えた。

ベティさんは、手紙を片っ端から開いて、読んでいた。
「わあ、あと、70通もあるわ。
 でも、社としては、うれしい悲鳴よね。」と言った。
ジャックさんが、
「そうそう、ジュディが編集長になったとき以来だ。
 あのときもすごかったなあ。」と言った。



ベティさんが、
「ほとんどは、アリスをこんなにたくさん見ることができてうれしいってこと。
 1枚や2枚の写真ではわからないけれど、これだけの写真を見ればわかる。
 アリスは、正真正銘可愛い、という内容ね。つまりアリスへのファンレター。」
そう言った。
「問題は、この読者の声をどうするかよね。」
「そうだなあ。」とジャックさんが言った。
ジュディも手紙を見終わって、
「やっぱり、体中が性感体に関するもの。
 全国でこれだけ関心があるってことよね。
 わあ、あたし、プレッシャーで、押しつぶされそう。」と言った。

ベティさんは、
「あたし達は、あたし達の仕事をしてるから、
 まず、『全身性感帯』がほんとかどうか、それが大事よ。社運がかかってる。
 とにかく、10時になったら、アリスとジュディはいいから、セックスして来て。
 あと2回、成功したら、ある程度の自信をもって、記事にできるから。
 ほんとは、ジュディ以外の別の人がいいんだけどな。」と言った。

そこで、ジュディと私は、ジュディのマンションに飛んで行った。



ジュディのマンションで、
「プレッシャーはいけないわよね。
と言って、ジュディが紅茶を出してくれた。
「あたし朝シャワー浴びたけど、アリス浴びる。」
「あ、あたしも朝浴びて来た。」

「ジュディ、今日は、性転換手術をしていないけれど、女性ホルモンで、皮膚が敏感になっている人を想定してやってみるわ。」と私は言った。
「そうね、それが大事よね。」
「だから、ショーツは履いていて、私も履いてる。」
「うん。」

ベティは、ベッドに寝た。
「手を上にあげて。」と私。(前回は手と腕を忘れた。)
私は、まず、厚いキスをジュディにした。
「ああ、アリスどうしてそんなにキスがじょうずなの。体がしびれるわ。」
私は、ジュディの指の1本1本から愛撫をして、腕にキスして、
脇の下をたっぷり、舐めたり、キスしたり。
これを、何回もやった。
「天使のこと、この前のように想像して。荒々しい10本の男の手でもいいわ。」
と私は言った。

それから、前にジュディにやったように、丁寧に愛撫をしていった。

=それから、15分後=

ジュディの唇が痙攣を始め、「ああ…。」と小さな声を上げて、ジュディは沈んだ。

2回目成功かな…と私は思った。



「ああ、アリス。今日も天国へ行ったわ。
 今日はね、5人のいやらしい男の10本の手でやってみたの。
 最後、あたしが震え出してのけぞったとき、10本の腕が、縄で縛るように、体を押さえるの、それがサディスチックで、一気に燃えちゃった。で、天国。」

「今日ね。性転換前の人に設定したでしょう。ほんとは、男の証があると思うのね。それを触る事が出来たら、もっと効果的だったかもしれない。」と私。

「そうねえ。あそこを大きくできる可能性もあるもの。」とジュディ。
「あたし、あと1回は、他の人に試してみたい。その方が、確実でしょう。」と私。
「そうねえ。だれか、いないかなあ。」とジュディ。

「あ、いる!」とジュディが叫んだ。
「エミリーがいたわ。クリニックで友達になった子。
 完全手術は受けてないけど。
 まだボーイフレンドがいなくて、困ってる子。
 遠くないわ。連絡してみる。
 彼女、可愛いのよ。」とジュディが言った。

「わあ!」と私はうきうきとしてしまった。


つづく (次回は、「エミリーは天国へ行くか」です。)

アメリカ編第四部④「ネガティブな男ロナルド」

オフィスの私の仕事は、
午前中は、私に来た手紙の返事書き。
午後は、転送手紙の宛名がき。
いつもはジャックさんの仕事だが、私がやっている。
ジャックさんはその分、私モデルの写真本の制作をしている。

その日の10時ごろ、ベティさんに言われた。
「アリス、勉強になると思うから、
 今日ロナルドという人と、アダルト写真本の問屋へ行って。
 そこで、いいのを選んできてくれない。
 マンハッタンまで。遠いけどね。」
それを聞いていたジャックさんは、
「ロナルドと行かすのか?大丈夫かな?」と言った。

ベティさんが私に、
「そのロナルドは、希に見るネガティブな男なの。
 あんな嫌なヤツめったにいないって男。
 だから、アイツが何か言ってきたら、余計なこと行っちゃダメ。
 イエス、ノーくらいですませる。
 そして、アリスから話しかけちゃダメ。
 どんな好意的な言葉でも、皮肉としか受取らないヤツなの
 あれだけ屈折した男はめずらしいってヤツだから。」
ジャックさんが、
「そうそう、話しなんか聞くな。もっとも、アイツから話しかけてくることは、まずないけどな。」

ははあ…と私は、興味津々、恐怖半ば。

そのロナルドの家に、ジャックさんが私を運んでくれた。
ロナルドは、小さな古い一軒家に住んでいた。
回りは、緑に囲まれていて、全く手入れがされていない。
緑の中に、やっと玄関ドアだけ見える。
その玄関の前に、古いジープが1台あった。

ロナルドが出て来た。背は低い。余分な脂肪が全くないほど痩せている。
わし鼻、細い吊りあがった目。色の悪い唇。
一目みただけで、ベティさんの忠告がいらないほどだった。

私は、ロナルドに「ハイ!」と手を上げたが、ロナルドの反応はなかった。
私はロナルドの助手席に乗った。

目指すは、片道50マイルの、マンハッタン南の本の問屋街。
ロナルドは黙って発車した。

スピードの出せるバイパスに入ったとき、
「アリスです。よろしく。」と言った。ロナルドは返事の代わりに、
「ジャップか。」と聞いてきた。
「ええ。バカにされた呼び方だけど。」
「おれは、ユダヤだ。」ロナルドは言った。
「そう。ユダヤ人は、ビジネスが上手って、日本人は思ってる。」
「へん、そんな。一部のヤツが上手いだけだ。
 それが全部だと思われちゃ迷惑だ。」
(なんだ、ロナルドはしゃべる人だ、と私は思った。)
「ロナルドは、ビジネス上手じゃないの?」
「下手だから、こんな仕事してんだ。」
「こんな仕事を、私も今からするのね。」
「こんな仕事だろうよ。女装のアダルト本を仕入れに行くんだぜ。立派かよ。」
「あたしにとっては、大事な仕事だけど。」
「あんた、オンナだろう。」
「アリス。」
「アリスはオンナだろう。」
「男よ。」
「げえ。オンナとなら悪くねえと、ちったあ思ったがよ。男か。」
「がっかりした?」
「そりゃそうだろうよ。」
「女男も悪くないわよ。」
「男女の方がましだ。」
「違いがあるの?」
「はは。男と女の違いがあるだろ。」
「どっちがどっち?」
「あはは。俺もわかんねーよ。」言った後、ロナルドはニヤニヤと笑っていた。

こうして、しゃべらないと言われていたロナルドは、けっこうおしゃべりで、
私から話しても無視せずに、あんがい楽しく私達はマンハッタンに来たのだった。

あるビル街の角に、ロナルドは車を止めた。
「ちょっと車で待ってろ。」
そう言って、ロナルドは、車から降りて何処かへ行った。
10分くらいで帰ってきて、ロナルドは、私にハンバーガーとコーラを渡した。
「あ、払います。」というと、いらない、いらないと手でジェスチャーをした。
「ありがとう。」と私は言った。

車の中で、2人でマクドナルドを食べた。
「ご馳走さま。」と言った。
ロナルドは、私を見ずに、(なんでもねーよ。)というジェスチャーをした。

やがて、私たちは、古いが巨大なビルについた。
「ここだ。降りろ。」と言われて、私はロナルドに付いていった。

中に入ってびっくり。
大きな図書館のように、スチールの本棚が、ずっと向こうまで並んでいて、それぞれの棚に、同種の本が積まれている。その階と上の階全部が、全部アダルトの写真本。
「俺は、上の階。アリスは、この階だ。それぞれよさそうなのを5種類、8冊持ってくる。けっこう重いぜ。」とロナルドはいった。時間は、20分間。

私は、うわあ~と思いながら、本を見て行った。すごい数だ。とても見切れない。
私は、急ぎ足で女装の本を探した。1冊見つけたら、後は楽だった。その周辺に女装の本が集められていた。それでも、すごい数。私はうれしくなってしまった。
いい本が、5冊どころがいっぱいあった。

20分で無事選べた。
ロナルドと私は、本を積み、ジープに乗って帰路についた。
帰りも行きと同じように、ロナルドとけっこう楽しく話しながら帰った。
私は、3回、ロナルドを笑わせることに成功した。
ロナルドは、子供のように、「はははは」と笑った。

帰り、ジープは「TVタイムス社」まで行って、本を降ろし、私も降ろした。

ロナルドが行ってしまってから、ベティさんとジャックさんが心配してすぐ来てくれた。
「アリス、大丈夫だった?傷つかなかった。嫌な思いしなかった?」
とベティさんに聞かれた。
ジャックさんも、
「何も口利かないようにしたか?」聞いた。
「全く平気でしたよ。行きも帰りも、たくさんお話しながら帰ってきました。」と私。
「ウソでしょう!」とお二人は、びっくりした。
「それから、お昼に、ハンバーガーとコーヒーをご馳走してくれました。」私。
「えええ!!それは、あり得ない!」とお二人。
「あたし、帰り道では、ロナルドさんを3回笑わせました。行きは2回。」私。
「なんですって!ロナルドが笑った!!何をどう言って笑わせたの??」
とベティさんは、言って、
「いいわ、今夜の夕食、あたしが作るから、みんなで飲みながら、ゆっくり聞かせて。」
と言った。
「はい。」と私は得意そうに返事をした。

その日の夕食はもちろん笑い声で盛り上がった。



つづく (次回の内容は未定)

アメリカ編第四部③「TVタイムスの一日」

今日は、説明的な文章が多くて、読みにくいと思います。すいません。
テンポよく書けませんでした。読んでくださるとうれしいです。

==============================

次の日の朝、朝食を終えて、
朝一番の編集会議を、3人やっていた。
ベティさんは、「アリスが我が社にやって来た」というテーマで、
第一面を全部それで行こうと言った。
場合によっては、1ページ増刷でいくかもしれないと言った。
「よし、写真をとりまくって、アリスだらけにしよう。」とジャックさんが言った。
「アリス、なんか日本的な衣装ない?キモノとかユカタとか。」とベティさん。
「あいにくありません。それに、キモノなんか着て、出版の仕事なんかしませんけど。」と私は言った。
ジャックさんが、
「いいんだ。読者はそんなこと知らない。東洋的なものなら喜ぶんだ。」
「じゃあ、中国のチャイナ・ドレスならあります。
 でも、これは、観光客用のものですから、やっぱりオフィスの中では、浮くと思いますが。」
と私。
「かなわない。それで行こう。」とジャックさんが言った。

そこへ、ジュディが、慌てるようにして、やって来た。
「みんな、聞いて。昨日あたしは、アリスに『女の悦び』を教えてもたったの。
 GIDの人は、精神的な女の悦びはあっても、肉体的な喜びが得られず、それをあきらめている人が多いと思うの。でも、違うの。昨日、あたし体全身が性感体になれたの。そして、天国にいけたの。これはすごいことでしょ。だから、そのことを、記事に書かせて欲しいの。縦コラム2つは欲しい。第一面でなければ、『ジュディのコラム』でいい。あたし自身が記事として書く。どう?」
とジュディは、一気にまくし立てた。

「そんなことあるの?」とベティさんが言った。
「実際にあたしが体験したんだから。その方法を詳しく書けないけど、大体をかいて、体全体が性感体になれる可能性があることだけは、伝えたいの。」ジュディ。

「わかったわ。ジュディは編集長なんだから、書いてみて。それ見て、決めましょう。」とベティさんは言った。
「じゃあ、写真からいこう。アリス、チャイナドレスに着替えてきて。化粧は厚めでな。」とジャックさんに言われ、活動を開始した。



私は、部屋にいって、赤いチャイナドレスをボストンバッグから出した。
光沢があり、模様が散りばめられ、膝下まであるドレスだ。
足元の脇がももまでスレッドになっている。
私は、一番長い前髪のあるストレートのウィッグをかぶった。

私がしっかりメイクして出て行くと、「おお、これはいい。」とみなさんが言ってくれた。
中国の人が見たら、パーティードレスと見るだろうと、私は心で苦笑した。

私はその格好で、編集長のデスクでタイプをしているところ。
転送の手紙を、仕分けしているところ。
ベティさんとジュディとの3人で、編集会議をしているところ。
いろいろ撮った。カメラマンは、ジャックさん。

その間、ジュディは、すごい勢いでタイプを弾いていた。
ジュディは看板編集長だが、ジャーナリズム専攻の大学院生で、文はベティさんに直されることがないそうだ。

ベティさんは、第一面の文章を書き始めていた。

ベティさんのタイプを見にいって驚いた。
今のワープロのように、スクリーン上で、校正、編集、配置が出来て、いくらでも直せる、そんな機械があった。
それを、内部に記憶できる。(今から40年前にこんなプロセッサーがあったなんて。)
機械は、冷蔵庫くらいに大きくて、この機械がないと、新聞の編集は、切り張りになってしまう。

ジャックさんは、私がモデルになった、アダルトの写真本も作りたいということで、
二人で、いろんな写真をとった。アダルトと言っても下着まで。
チャイナドレスで、私がベッドにいたり、着替えていたり、ちょっとエロチックぐらい。

みなさん、仕事が早くて、それぞれの仕事を、11時までに終えていた。
ベティさんは、第一面の記事をほとんど書き終えていた。
道理で、月1で、二人だけで新聞を発行できるはずだ。

やっていて、1つ驚いたのは、新聞に並行して、「TVガイド」として、本当の「TV(テレビ)・ガイド」も発行していたことだ。これが、表の仕事で、「TVガイド」は裏の仕事だった。そして、たまにアダルトな写真雑誌を発行する。それを、全部2人でやっている。
すごいなあと思った。



仕事が終わって、昼になっていた。
そこで、私が来たことを記念して、4人で昼食に行こうということになった。
私は、チャイナドレスで行くようにと、みんなのおすすめだった。

ちょっと高級なレストランに行った。
みんなと一緒に入っていくと、私はいっぺんで、他のお客さんに注目された。
「アリス、可愛くて、そのチャイナドレス、目立つもの。」
とジュディが言った。
私はなんとなくうれしく、なんとなく落ち着かなかった。

ジャックさんは、昼食だというのに、強いカクテルをどんどん飲んでいた。
マティニーとかマンハッタンとか。運転手なのに。
頬と目の回りが赤くなっていた。
今まで高級レストランに入ったことのない私には、
どの料理もびっくりするほどおいしくて、いっぱい食べた。
ジュディはすごい美人なのに、今日は、私が注目を浴びた。
ちょっと有名人になったみたいで、うれしかった。

「アリス。昨日私が天国に行けた秘密を教えて。」とジュディが言った。
ベティさんも是非聞きたいといった。
私は言った。
「日本のアダルト小説を読んでいると、クリ■■ス・レベルの性感体を体の数箇所に作るというのがありました。皮膚感覚の敏感な女性だけの特権です。その状態になったことを『忘我の境地』というそうです。
方法は、女性を愛撫しながら、女性の集中力と想像力を高めます。そのために、女性の耳元で、エロティックな妄想を掻き立てるように誰かがささやきます。その女性への愛撫は、指や足など外側から、丁寧にはじめ、だんだん中央にいきます。そして、乳・房、あそこと最後に。
私は、これは、一種の催眠効果だと思っています。ですから、練習すれば、自分一人で、自分の想像力だけで、自分に触らず、絶頂に達することができるとも書いてありました。」

ジュディが言った。
「わかったわ。アリスは、10人の天使ときれいに言ってくれたけど、ほんとはもっとサディスティックなものを想像するともっといいわね。
あたし、これから自分一人で挑戦してみる。うまくいったら、また新聞で発表する。私も自分で文献にあたってみるわ。」

「それが、実現したら、多くの人を救うわね。性転換していなくても、女性ホルモンで男性機能が落ちている人にも適応できるわ。その人の皮膚は、女性ホルモンで敏感になっているはずだから。」とベティさんが言った。

気がつくとジャックさんが、もうべろんべろんに寄っていた。

「あらあら、これじゃ帰りの運転は無理ね。
 午後も仕事があるというのに。」
ベティさんがいった。

TVタイムスの人たちは、みんな優秀だけれど、
一言でいうと「ゆるい職場」だった。
私はそれが、うれしかった。


つづく (次は、「ネガティブな男・ジョー」です。)

アメリカ編第四部②「ジュディ・女の悦び」

ジュディのベッドに行った。
「ジュディ、今日は、あたし男の子になる。
 ジュディが男の子とセッ・クスができるように。
 だから、最後には、ジュディの中に私のものを入れてしまうかもしれない。」
そう私は言った。
「いいわ。今日は、ゼリーもたっぷり塗ってあるから。」とジュディ。



毛布に、二人でもぐって、二人とも、全ての下着をとった。
ジュディの体温と胸の膨らみを感じた。

ジュディの顔を見つめた。
私は感激していた。
つい最近まで、遠い人だったジュディと、今こうしてベッドを共にしている。

私は、まずジュディに熱いキ・スをした。
「ジュン、上手ね。体がしびれたわ。」とジュディが行った。
「唇は、優秀な性・感・体だから。」と私は言った。

「ジュディ。自分から進んで声を出さないで。どうしても感じてしまったときだけ声を出して。
 そうしないと、あたしわからいから。」私はそう言った。
ジュディがうなずいた。

私は、典子ママにしたように、ジュディの髪を梳き、額から、耳、頬、鼻の頭、アゴ、耳の下へと、
厚く厚くくち付けをしていった。
ジュディの首、肩や胸の周り脇の下を手で撫でながら、ジュディの耳元でささやいた。

「ジュディは、お姫さま。今、愛の天使が10人来たわ。みんな、ジュディの愛が目覚めるように、ジュディの体をやさしくキ・スをしたり、頬ずりしたり…。」
私は言葉をなんども繰り返しながら、ジュディの胸を残して、お腹や、背中、腰のまわりを何度もなでた。
「天使たちが、これから、ジュディの足に移るわ。」
私はそう言って、ジュディの太ももに手を入れた。
「アア…。」とジュディが初めて声を上げた。
「天使がここをさすっているわ。みんな集まってきて、ここをさすっている。」
私は、ジュディの足の指の間を撫でた。
「アア…。」とジュディはまた声をあげた。
私は、ふくらはぎから、膝、そして太ももへともう一度もどった。
「アアア。」ジュディの声が大きくなった。

私はジュディの口・びるを撫でた。
そして、ジュディのち・ぶさに移った。
全体を何度も揉むようにして、それから、一番の先に口づけをした。
そして、舌で、舐めて、少し吸った。指でやさしくもみ、少し力を入れた。
「アアアア…。」ジュディが叫んだ。
私は、両方を同時に指で刺激した。
「アアアア…。」ジュディの声がする。
私は、ジュディにキ・スをした。強いキ・スをした。
ジュディは苦痛に似た表情を見せ、首を振りながら、イヤイヤをした。
「アリス、アリス。」とジュディは私の名を呼んだ。
私は首筋から、キ・スを降ろして、もう一度、ジュディの胸の膨らみに先に強くキ・スをした。
そして、少し噛んだ。
「アリス、アリス、アリス、アアアア…。」
ジュディの息が荒くなって来た。
私は、ジュディの股かんに手を伸ばし、
ジュディの大切なところの回りに指を這わせた。
ジュディの声がさらに荒くなって来た。
私は、ジュディの大切なところの、
ある部分に指の先を当てた。そして、マッサージした。
「アア、アアア、アアアア…。」
とジュディは、呼吸を荒くした。
首を振ってイヤイヤをする。
体をくねらせ、背をねじらせる。
私は、その部分への愛・撫を強くする。
もっと、もっと、もっと強くした。
「アア、アア、アアアアア…。」とジュディは叫んだ。
「アリス来て、私の中に入ってきて。」ジュディが息を荒くして言った
「いいわ、ジュディ。入るわよ。」
「お願い。」とジュディは言った。
私は男の子のように、ジュディの中に入って、ジュディと一体になった。
そして、ジュディを体ごと抱きしめて、体温を分かち合った。
ジュディの腕が、私を抱き、力を入れてきた。
私は男の子のように、体を動かした。
ジュディは、首を左右にぶるぶると振ったあと、
体の振動を激しくさせた。
そして、背をのけぞらせ、「アア…。」とわずかに叫んだあと、静かになった。
私は、ジュディに同調して、ジュディの中に果ててしまった。
ジュディは、目を閉じて、かすかな寝息をたてていた。

「ジュディが、夢の国へ行った。」私はそっと心で言った。
私は、ジュディから、私のものを抜き、タオルで拭いて、
ジュディといっしょに、毛布をかぶった。



30分ほどして、ジュディはぼんやりと目を覚ました。
「アリス、あたし、天国へ行ってた。
 10人の天使が来て、あたしの体を愛・撫してくれたの。
 気持ちがよくて、気持ちがよくて、
 そのうち、体全体が、感じ初めて、そのうち、気が狂いそうになるくらい感じたの。
 もうダメと思ったら、すーと天国に行ってしまった。
 10人の天使は、アリスだったのね。」

ジュディは、しばらく思いに浸っていた。
そして、
「アリス。あたしは性・感・体を失ったのじゃない。
 体全部が性・感・体なのね。
 アリスが教えてくれた。」ジュディがそう言った。
私は言った。
「今日あたし男の子でいたの。ジュディの中で果てちゃった。
 ジュディの振動が伝わってきて、すぐに果てちゃった。
 男の子に今日のようにしてもらえば、
 ジュディは、天国にいける。
 男の子に、こうしてほしいって詳しく頼めばいいの。
 ジュディを愛している男の子なら、きっと聞いてくれる。
 そう思わない?」
ジュディは、言った。
「そうね。そうすればいいのね。あたし、女の悦びを知った。
 アリス、ありがとう。あたし、うれしい。涙が出てくる。」
ジュディは、私を抱きしめて泣いた。


つづく (次は、「TVタイムスにアリスが来た」です。)

アメリカ編 第四部①「TVタイムス社」

アメリカ編の第四部です。あまりエピソードがないのですが、見切り発射で書いて行きます。
読んでくださると、うれしいです。

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多くの人との別れ、レレイとの別れ、
その悲しさを胸に抱いて、
私は、「TVタイム社」のあるペンシルバニア州、フィラデルフィアに車を飛ばしていた。
北へ向かうのは初めてだった。
景色が違う。
緑が多いように思った。

私は、「TVタイムス社」を、ビルのある階の、デスクが島になったところと想像していた。
そこに、ベッドルームが1つあるというベティさんの言葉の様子が想像できなかった。

車は、ヴァージニア州に入り、国道1号線に入った。
アメリカで初めにできた国道だ。
さすがに緑のうっそうとした、最古の州だという気がした。
1泊を安いチェーンホテルでとり、
二日目、やっとフィラデルフィアについた。
そこのネプチューン町を探して、
いよいよ「TVタイムス」社に近づいた。
みたところ、回りは住宅街だ。
ビルを見かけない。
私が番地を見ながら付いたところは、ビルではなく大きな平屋の一軒家だった。

そこにパークをすると、二人の人が、玄関から、迎えに来てくれた。
背の高い、40歳くらいのブロンドの短髪の女性が、まず、私と握手をしてくれた。
「アリスね。ベティです。首を長くしてお待ちしていたわ。」
とベティさんが、満面の笑顔で迎えてくれた。
その横に50歳くらいの、マンガのポパイのような男性がいて、
「ジャックだよ。アリスに会えるのを楽しみにしてたよ。」
と握手を求めてくれた。
握手をして、私は荷物を持って、ハウスの中に入った。

一部屋あるという意味がやっと分かった。
「TVタイムス社」は、その一軒家だった。
そして、あれだけの販売エリアを持つ「TVタイムス」を出版しているのは、
このたったお二人でやっていると分かった。
(すごい、2人でやれるのか、と思った。)
でも、もう一人、編集長ジュディがいるはずだ。
「ジュディさんは、いらっしゃらないのですか。」と
私は聞いた。
ベティさんが、
「ジュディは、言わば、私たちの「看板編集長」なの。
 彼女は、「ジュディのコラム」で、私が選んだ記事に、
 簡単なコメントを付けるのだけが仕事。週に1回、それも、1時間くらいしか来ないわ。
 でも、今日は、アリスがくるから、もうじき来ると思う。
 アリスは、ジュディのお気に入りだから。」

私には、いろんなカラクリが分かってきた。
実際の編集長は、ベッティさんなのだ。
だから、全ての私への連絡は、ベティさんからだった。

私は、そのとき、旅行用に男服を着ていた。
「私は、ここで、女装してお手伝いしていいですか。」とベティさんに聞いた。
「あなたは、女性としか見えないわ。女性として、お手伝いしてください。」と言われた。

3ヶ月使っていいという部屋に、私は荷物を運び、
ワンピースに着替え、軽くメイクをした。

「ほんとだ。写真以上だわ。綺麗で可愛いわ。」とベティさんが言った。
「うん、これほどまでとは思わなかった。」と人の好さそうなジャックさんが言った。

おもしろいことに、ベティさんとジャックさんは夫婦ではなかった。
あくまで、仕事の相棒だった。

やがて、ついに、編集長ジュディがやって来た。
私は、ジュディを見て、胸がときめいた。
ブロンドの髪を背中まで伸ばし、
前髪はをパラリと垂らしている。
色が白くて、可愛いというより、美女だった。
背は、170cmくらい。素晴らしいプロポーション。
年齢は、私より、2歳くらい上に見えた。
ジュディは、フレアーたっぷりの水色の膝下のワンピースを着ていた。

「あなたが、アリスね。まあ、可愛いわ。
 どれだけ、会いたかったか知れないのよ。」とジュディは私の両頬にキスをするあいさつをした。
「私も、やっと憧れのジュディさんにお会いできて感激ですと言った。」
本当になんだか、夢をみているようだった。
「ジュディと呼んで。あたし、看板編集長だから、ちっともえらくないの。」
とジュディは言った。
でも、私からみたジュディは、知的で、すばらしい美人だった。

「ベッティ、今日あと半日、あたしにアリスを貸していただけない。
 この辺の案内したり、遊園地でいっしょに遊びたいから。」
とジュディが言った。
「そうね、年も近いし、それがいいわ。」とベティは言った。



ジュディといっしょに、パフェを食べて、遊園地へ行って、子供のように遊んだ。
憧れのジュディ。私は夢心地だった。
遊園地で遊び終えたジュディは、聞いて欲しい話があるという。
少し深刻な話しだと言う。
「初対面のあたしでいいの?」と聞いた。
「アリスとは初対面じゃない。新聞でいつもアリスを見てた。
 アリスなら、聞いてくれるって思ってたの。」

私たちは、ジュディの部屋に行った。
ジュディの部屋は、すばらしくステキな部屋だった。
紅茶を飲みながら、ジュディとソファーに並んだ。
ジュディはおもむろに言った。
「あたしが性転換をしていること知ってるでしょう。」ジュディが言う。
「うん。新聞にも、自己紹介されてあったし。」私。
「あたしね、性転換したこと後悔してるの。」ジュディはそう言った。

「どうして?」と私は聞いた。
「性転換してから気が付いたの。あたしはTS(=GID)じゃなっくって、TVだったって。
 今好きなのは、女の子と、ジュンのような女装の女の子。
 あたしは、強い女装願望があったから、自分の体も女になってしまいたかった。
 だから、自分がTSだと思ってた。でも、ちがったの。

 あたし、男の子とセックスして、満足できなかったの。
 ジュンなら知ってるでしょう。性転換すると、精神的な満足は得られても、
 肉体的な満足はあまりえられない。
 あたし、何人かの男の子と寝た。でも、たまたまかもしれないけど、
 あたしの中に入れて、それでおしまいみたいなセックスしかしてくれなかった。
 あたし、レズビアンのように、女の子を相手にセックスして、
 たっぷり、丁寧に愛撫をしてあげて、その子が喜びの声を上げるのを聞くのが好き。
 それなら、精神的に満足できるの。」

ジュディの言葉を聞いて、私は、新宿での典子ママのことを思い出していた。
典子ママを、私は夢の国へ行けせてあげられたことがある。
私は言った。
「ジュディは、女性ホルモンを打っているでしょう。
 すると、皮膚がどんどん敏感になって来ているはず。
 だから、ジュディは体全体で、感じることができる。
 ジュディ、あたしに試させてくれない。」

「ほんと。あたしの体全部が性感体なの?」
「まだわからない。だから、あたしに試させて。」
「あたしも女の悦びが得られるかもしれないのね。」


つづく (次回は、「ジュディの開眼」です。)

アメリカ編第三部 最終回 「2度目のバーボン通り」

この記事をもって、アメリカ編第三部の最終回にしたいと思います。
明日からは、「第四部」として、「TVタイムス」社での3ヶ月のことを、少し書きたいと思います。
引き続き読んでくださると、うれしいです。

=============================

5月になった。
私の卒業は決まった。
私が大学にいるのは、あと1ヶ月になった。

私は、TVタイムスとの交流を通して、出版に興味をもち始めていた。
そこで、TVタイムスで、帰国の9月までの3ヶ月お手伝いさせてくれないかと、手紙を出した。
すると、ベッティさんから、部屋が1つ開いているので、いつでもどうぞといううれしい返事が来た。
これで、ニューオーリンズにいるときが、あと1ヶ月とはっきり決まった。

レレイといるとき、レレイは、ともすると泣いてばかりいた。
「ジュンが日本に帰ったら、もう会えないんだね。ジュンが帰ってくることはないんだね。」
そう言って、レレイは泣いた。

レレイは、もう走ることも、跳ぶことも、何でもできるようになっていた。
そして、お父さんから車の運転をならい、お母さんの車で、大学へ通っていた。

「車椅子だった私を、歩けるようにしてくれたのもジュン。
 車椅子で、落ちそうになっていた私を助けてくれたのもジュン。
 あたしにセックスを教えてくれたのもジュン。
 たくさんの友達を作ってくれたのもジュン。
 ジュンのおかげで、私の世界は変わった。
 そのジュンがいなくなっちゃうんだね。」
そう言って、レレイはまた泣いた。

「レレイ。レレイとリハビリを始めたとき、ぼく達の夢だったことを叶えようよ。」
と私は言った。
「うん。覚えてる。二人で、車椅子なしでバーボン通りへ行って、踊ろうってこと。」
レレイは泣きながらいった。
「悲しむのは、その後にしようよ。ぼくだって、泣きたいくらい悲しいんだから。」
「うん。」と言ってレレイは泣き止んだ。



日曜日、私の車で、バーボン通りへ行った。
私は男の子に見えるようにジーンズを吐いて、セーターを着て行った。
レレイは、ワンピースだった。

からっと晴れた気持ちのいい日だった。
私たちはジェファソン広場を歩いて、いっしょに「るすばん君」を売った、ところへ行ってみた。
その日は、黒人の青年が、ドラム缶で作った楽器で演奏していた。
バッハの「プレシャス・ジョイ」という曲だった。

「思い出す。楽しかった。あの楽しさもジュンが教えてくれた。」
レレイがまた、泣きそうになった。
「今日は、泣くのなしでいこう?」と私はいった。
「うん。できるだけ泣かない。」とレレイは言った。

私たちは、あの日のように、「プリザベイション・ホール」へ言った。
今度は、車椅子ではないので、だれも前をゆずってはくれなかった。
ホールの中は、ゆったりとしたデキシーランド・ジャズが演奏されていた。
「レレイ。今日は、ぼく達が『セインツ』をリクエストしようよ。」
「賛成。待ってるよりいいもの。」
私は一曲終わったときに、5ドルを用意して、前の人に、「セインツをリクエストしてください。」とたのんだ。5ドルは、バトンタッチされ、最前列の人が、大きな声で、「セインツ!」と叫んだ。
ホールの人が、わあーと涌く。

やがて、あの日に聞いた、賑やかな、「聖者の行進」が始まった。
ホールの人は、掛け声をかけて拍手をし、レレイと私のいる辺りの人は、みんな踊り出した。
「レレイ、踊ろう。」
「うん。」
二人で踊った。レレイは、くるくると回ったり、踊りがすごく上手だった。
そのうち、隣の老夫妻の男性がレレイとの交代を申し出て、私は婦人と踊った。
楽しいひとときが過ぎた。
「レレイ、どうしてあんなに踊りが上手なの。」と私は、聞いた。
「中学のとき、踊ってばかりいたから。」とレレイは少し息を切らしながら言った。
「知らなかった。」と私は言った。

プリザベイション・ホールを出た。

私は話した。
「『聖者の行進』をテーマ曲にした『五つの銅貨』っていう映画を子供の頃見たの。
 ダニー・ケイが主役で、ルイ・アームストロングと掛け合いで、この歌を歌うのね。
 そして、その映画にも車椅子の女の子が出てくる。ダニー・ケイの娘。
 お父さんは、娘に嫌われてるって思っていて、ずっと悩んできた。
 でも、最後の場面で、娘がお父さんに向かって、車椅子から立って歩くの。
 感動的で、ぼくぼろぼろに泣いちゃった。」
レレイは言った。
「きっと私がニューオーリンズに来たのは、偶然じゃなかったと思う。
 そこで、ジュンと出会って、このバーボン通りに来て、「聖者の行進」を聞いた。
 『五つの銅貨』ってどういう意味?」
私。
「お父さんのいたジャズバンドの名前。お父さんが、娘に歌って聞かせた子守唄の名前でもあるの。」
「ステキねえ。」とレレイは言った。



バーボン通りの中央に、大きなジャズホールがある。
その店の前の通りで、いつも踊っている黒人の男の子がいる。
踊りがすごく上手い。
私たちが行ったときもやっぱりいた。
お店の音楽に合わせて、巧みなステップを踏み、
肩を揺らして、素晴らしくかっこいい。

レレイと私は、しばらく男の子を惚れ惚れ見ていた。
そのうちレレイが、男の子のそばにいき、
「ね、ステップ、教えて。」と言った。
「いいよ。」と男の子は、ゆっくりやってくれた。
レレイは、それをいっぺんで覚えて、
「こう?」と男の子に聞いた。
「お姉ちゃん、勘がいいね。」と男の子はいい、
レレイは、たちまち、男の子と向かい合わせになって踊り出した。
肩をせり出したり、引いたり、ツイストしたり、ターンも入れて、
もう完全に二人の呼吸が合っている。
私は、全然付いていけなくて、二人の踊りをただ感心して見ていた。

いつの間にか見物人ができていた。
5人、10人、15人。
曲が終わったとき、みなさんが、盛大な拍手をしてくれた。
踊りに夢中だったレレイは、やっと観客に気が付き、
しきりと挨拶をしていた。
「お姉ちゃん、ナイスだぜ。」と男の子は、ステキなウインクをしてくれた。

見物の人がいなくなったと思ったとき、
レレイをじっと見つめている人がいた。
ご主人が車椅子の老夫婦だった。
レレイも私も不思議とそのご夫婦を覚えていた。
前にちょうどここで、車椅子同士すれ違い、
「ここは、楽しいねえ。」とレレイにおっしゃった人だ。
そして、私を「ボーイフレンドかい。」と言った方だ。

ご主人は、レレイを見て、涙を流していた。
「あ、あのときの…。」とレレイは駆け寄ってしゃがんだ。
ご主人は、
「覚えてくれていたのですか。すれ違っただけなのに。
 歩けるようになったのですね。あんなにステキに踊れるようになんたんですね。
 なんと、うれしいことだろう…。」
ご主人は、そう言って、涙の目をレレイに向けた。

レレイも、涙をたくさん流して、両手で、ご主人の手を握った。
「はい。歩けるようになりました。踊れるようにもなりました。」とレレイは言った。
ご婦人も私も、もらい泣きしていた。
「ボーイフレンドが、励ましてくれたの?」
「はい。彼がいつも励ましてくれました。」とレレイは言った。
「では、私もあきらめては、いけませんね。」
「でも、ゆっくりと、無理をなさいませんように。」とレレイ。
「そうですね。この年ですから。」
ご主人は、そう言って、挨拶をして行かれた。
ご婦人と私も、目でにっこりと挨拶をした。

遠ざかる老夫妻を見送りながら、レレイは言った。
「ジュンとのお別れはつらいけど、あたしやっていける。
 ジュンが、たくさんのものを、あたしに残してくれた。
 ジュンがいなくても、そのものは、残る。
 ジュンがいなくても、あたしは歩ける。
 ジュンがいなくても、あたしは、踊れる。」
そう言ってレレイは、私に向き直り、私に抱き付いてきた。
「ジュン、あたしは大丈夫。ジュン、ありがとう。」
レレイは泣いていた。私も涙があふれていた。
私はレレイを、強く抱きしめた。


アメリカ編第三部 完
プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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