自叙伝「スーパースターのジョー」

私は、クラインフェルター症候群という性分化疾患があり、
体の多くの部分が、女性的に成長しました。
そのせいか、日本でも女の子に間違われることが多かったのですが、
アメリカでは、もっとでした。
決定的に私を女の子に思わせたのは、
私の女声でした。今考えてみても、女の子の声だったと思います。
そんな、アメリカでの出来事を一つ再投稿します。
ちょっと自慢話になっていたら、ごめんなさい。
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自叙伝「スーパースターのジョー」


私のアメリカの大学は、フットボール・チームはなかったが、
全米の学生バスケットボールではかなりいい線をいく「パイレーツ」というチームがあった。
そのパイレーツが、本大学の体育館で試合をするという。
めったにないことらしくて、学校中でTシャツが発売され、かなり盛り上がっていた。
テレビ局からの放映もあるという。

試合の日、私はウォン(当時の彼女)と見に行った。
二人共、「パイレーツ」のTシャツを着て。
ギャラリーは超満員で、ミスター・キャンパスと、ミス・キャンパスが、
ティアラを頭に乗せて座っていた。

チアガールの曲芸も見せてくれた。

黒人選手がほとんどだった。
試合は勝った。
その勝ち方がカッコよかった。
1点差で負けていて、パイレーツ・ボール。残り10秒。
パイレーツの2人がパスを互いに送りながら、時間稼ぎをしている。
あんなことしていて、いいのかなと思った。

時計の針が残り5秒となり、3秒となったとき、
2人は、猛然と敵ゾーンに突っ込んでいった。
残り時間、2秒、1秒というとき、シュートを放った。
わあーとすごい歓声があがった。
ボールが宙をアーチ状に飛び、見事バスケットゴールへ。
入ったときに、試合終了の笛がなった。
1ゴール2点だから、逆転勝利だ。
すごい歓声だった。
「カッコイイ!」とウォンと二人で、最高に興奮してしまった。
ゴールを決めた、その黒人選手の顔をしっかり覚えていた。
彼は、ニグロで、色が完全に黒い。
どうやら、大学のスーパースターらしい。



翌日、私は、「児童文学」の授業を受けていた。
ワンピース姿。
部屋に15,6人の学生。みんな女子だった。
キャシー先生は、40歳代の優しい女性。
私はこの授業が大好きだった。

その日、教室へ黒人の男子学生が、遅れて入ってきた。
筋肉の塊。
キャシー先生は、
「まあ、珍しい、ジョーじゃないの。ジュンの隣が空いているわ。」と言った。
彼の顔を見て、私は、思わず「うそー!」と思った。
昨日のバスケットボールのスーパースターだ。
先生はジョーと呼んだ。
ジョーは私の隣の机椅子に座った。
座るとき、私を見て、ちょっと会釈のようなものをした。
私もちょっと笑顔を返した。

先生が、
「ジョー、いくらあなたがスーパースターだからと言って、
 授業をサボっていいってことはないのよ。もっと出て来なさい。」
ジョーは、何も言わずに、手をちょっと挙げて、頭を下げた。

ジョーと児童文学。どう考えたって結びつかない。
きっと単位の取りやすい科目を選んで履修しているにちがいない。
もちろん、スポーツ学生として優遇されているのだろう。

ジョーは、無口で、早く授業が終わらないかと、
そればかり考えているようだった。
授業が終ったとき、驚いたことに、ジョーが私に手を出して、
「俺は、ジョー。よろしくな。」と言った。
私はジョーと握手をして、
「私は、ジュン。よろしく。」と言った。
「コーヒーでも飲みにいかねーか。」とジョーが言った。
「あ、いいわよ。」と言ったものの内心ものすごく驚いていた。
仮にも、大学のスーパースターだ。

廊下をいっしょに歩きながら、
「どうして、私を誘ってくれたの?」と聞いた。
「君は、スカート履いてる。俺はスカートの子が好きだ。」
「それだけ?スカートはいてれば、誰だっていいの?」
と私は意地悪く聞いてみた。
「まいったな。負けたよ。君が、」
「ジュンよ。」
「ごめん。ジュンが、可愛かったからだよ。」
「あはっ。無理に言わせちゃった。ごめんなさい。」
「ジュンは変わってるな。」
ジョーは、首を振りながら黒人特有のポーズをして、そう言った。



校舎のホールのコーヒー店で、コーヒーを飲みながら。

「ジュンは、俺が誰だかわかっているのか?」とジョーが言った。
「昨日、試合見たわ。」
「なんだ。だったら、俺といることに、もっと感激してくれよ。」
「感激してるわ。」(私は、男子だから、どんな男子でも平気。)
「そうは見えない。」
「してるわよ。今日は、スーパースターのジョーとコーヒーを飲んだって、
 友達中に電話して自慢するわ。」
「ほんとかよ。」
「ほんとよ。」
「あやしいなあ…。」とジョーは、上目遣いに、にやっと白い歯を見せた。

そのあと、20分ほどジョーと話した。
不思議なほど話がはずんだ。(その訳が今でも分からない。)

黒人の男子とゆっくり話をしたのは、初めてだった。
しかも相手は、スーパースターのジョー。
ウソみたい。
友達みんなに電話する…は嘘。
ウォンにだけは自慢したい。
いえ、ウォンにも黙っていようかな。
どうしようかなと考えながら、
私はうきうきとして、校舎を出た。



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プロポーズされたことがあります②(最終回)

プロポーズされたことがあります②(最終回)


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塾の宴会。一番奥にいるのが私です。

Yさんとは、仕事帰り、喫茶店に週に2回くらい行きました。
いっしょに歩くと、人の目があるので、
時間をずらしていきました。
話す内容は、相変わらず、心配な子の話です。
その時間がほとんどでした。
Yさんも、私も熱心な教師だなあと、ときどき思いました。

あるとき、Yさんは話題を変えて、
ご自分の300万円の慰謝料のことを私に話しました。
ずいぶん払ったので、あと150万円くらいだとのことでした。

私は、待てよ、まずいかもと思いました。
プライベートなことは、何一つ話さないYさんなのに。

「ぼくは、ずっと国語を教えたかったんだけど、
 ぼくと、ペアを組んでくれる算数の人がいませんでした。
 一度、ある人と組んで、散々怒らせてしまいました。
 それ以来、算数をぼくと組んでくれる人がいなくて、ぼくは、研究室にいました。
 それを、理事長が、ジュンちゃんに打診してくれて、
あっさりOKだったと言われました。
ぼくのこと何も知らない人だからOKをもらえたけど、
ぼくのことが分かって来ると、嫌われると思っていました。」

「ずっと、ウマがあってますよね。」と私。
なんだか、危機が迫っていると感じました。
「そう、ウマがあってますよね。
 そこでなんですが、ぼくの慰謝料の返済が終わったら、
 ぼくと、お付き合いしてくれませんか。」Yさんは言いました。

(これは、プロポーズと同じ。どうしようと思いました。)

「ジュンちゃんと組めるようになったとき、理事長は言うんです。
 Yさんは、惚れっぽいから言うんだけど、ジュンちゃんだけは、惚れちゃダメ。
 絶対にだめって。理由を聞いても、理事長は、絶対言いませんでした。」

私が、「好きな人がいるから。」と言えば、いっぺんで断ることができるでしょう。
しかし、私は、事実ではないことを言うのは、よしとしませんでした。

「理事長のいうとおり、私には事情があって、お付き合いはできないんです。」
私は、言いました。
「そうですか。理事長が言って、目の前でジュンちゃんが言うなら、
 そうなんでしょうね。わかりました。あきらめます。」
Yさんは、少しがっかりした風。逆にすっきりした風に言いました。

それから、2か月ほど経って、Yさんは、故郷にお見合いに行きました。
そして、にこにこして帰ってきました。
「Yさん、どうでした?」と私が聞くと、
「可愛い人なんですよ。この写真の人です。
 話、決めて来ました。」とYさんは、言いました。
写真に写っていたのは、小柄で細身の清楚な人でした。

Yさんを嫌っている人達も、このときばかりは、
写真を覗きに来ました。
「わあ、可愛いじゃない。」
「Yさん、やったね。」
とみんなが言いました。
「ええ、そうなんです。可愛い人なんですよ。」
とYさんは、にこにこ顔で言いました。

Yさんのフィアンセが東京に来て、
二人は、アパートの生活を始めました。
Yさんと私は、1年のコンビが終わって、
お別れになるころでした。
Yさんに言われました。
「家内が、ジュンちゃんに是非会いたいというんです。
 そして、よかったら、明日家に来てくれませんか。
 チラシ寿司を作るそうです。」
そう言われました。

翌日、仕事が終わって、私は、Yさんといっしょに、
Yさんのお宅にいきました。
奥様のT子さんは、写真通り、小柄で可愛い人でした。

丸いお膳を囲って、いただきました。
T子さんは、
「Yさんは、お見合いのデートのとき、全部話してくれました。
 慰謝料のことから、職場で嫌われていることまで。
 その中で、ジュンちゃんという女の先生だけは、ぼくを嫌わない。
 心からいい人なんだ、と何度もいうんです。
 これ、デートの最中にあんまり繰り返して言うことじゃないですよね。」
「そうですよね。」と私は、笑いました。
「それで、ジュンちゃん先生に一度お会いしたくて、今日来ていただいたんです。
 つまり、ジェラシーを解消するのが目的です。」

「そうですか。」と笑いながら、「ジェラシーは、解消されましたか?」と私。
「はい。解消されました。」とT子さん。
「ジュンちゃん先生には、特別なやさしさを感じます。
 そう人には、ジェラシーを感じません。」
「ああ、よかった。あたしも、Yさんのいいところを言いますね。」
「なんですか。」
「職場の中で、Yさんの陰口を言う人がいましたが、
 Yさんは、1年間、一度も人の陰口を言いませんでした。
 そして、仕事の愚痴も言いませんでした。
 私は、立派だなといつも思っていました。」
「わあ、そんな風に言われると、悪いことできないなあ。」とYさん。
「あたし、不器用でも、正直な人が好きです。」とTさん。
「わあ、お二人とも、大当たりですね。」と私が言って、みんなで笑いました。

翌年度、私は、塾の分室に行って、中年の方と2人で組みました。
Yさんは、元の研究室に戻りました。 
お互い、左遷ではありません。

<おわり>

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スーパースターのジョー(書き直し)

一度過去に投稿したものを、書き直しました。
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自叙伝「スーパースターのジョー」(書き直し)


私のアメリカの大学は、フットボール・チームはなかったが、
全米の学生バスケットボールではかなりいい線をいく「パイレーツ」というチームがあった。
そのパイレーツが、本大学の体育館で試合をするという。
めったにないことらしくて、学校中でかなり盛り上がっていた。
テレビ局からの放映もあるという。

試合の日、私はウォンと見に行った。
ギャラリーは超満員で、ミスター・キャンパスと、ミス・キャンパスが、
ティアラを頭に乗せて座っていた。

黒人選手がほとんどだった。
試合は勝った。その勝ち方がカッコよかった。
1点差で負けていて、パイレーツ・ボール。残り10秒。
パイレーツの2人がパスを互いに送りながら、時間稼ぎをしている。
あんなことしていて、いいのかなと思った。
時計の針が残り5秒となり、3秒となったとき、
2人は、猛然と敵ゾーンに突っ込んでいった。
残り時間、2秒、1秒というとき、シュートを放った。
わあーとすごい歓声があがった。ボールが宙をアーチ状に飛び、見事バスケットゴールへ。
入ったときに、試合終了の笛がなった。(このプレーは、名前があるらしい。)
逆転勝利だ。
すごい歓声だった。
「カッコイイ!」とウォンと二人で、最高に興奮してしまった。
ゴールを決めた、その黒人選手の顔をしっかり覚えていた。
彼は、ニグロで、色が完全に黒い。
どうやら、大学のスーパースターらしい。



私は、「児童文学」の授業を受けていた。
部屋に15,6人の学生。みんな女子だった。
キャシー先生は、40歳代の優しい女性。
私はこの授業が大好きだった。

その日、教室へ黒人の男子学生が、遅れて入ってきた。
キャシー先生は、
「まあ、珍しい、ジョーじゃないの。ジュンの隣が空いているわ。」と言った。
彼の顔を見て、私は、思わず「うそー!」と思った。
昨日のバスケットボールのスーパースターだ。
先生はジョーと呼んだ。
ジョーは私の隣の机椅子に座った。
座るとき、私を見て、ちょっと会釈のようなものをした。
私もちょっと笑顔を返した。

先生が、
「ジョー、いくらあなたがスーパースターだからと言って、
 授業をサボっていいってことはないのよ。もっと出て来なさい。」
ジョーは、何も言わずに、手をちょっと挙げて、頭を下げた。

ジョーと児童文学。どう考えたって結びつかない。
きっと単位の取りやすい科目を選んで履修しているにちがいない。
もちろん、スポーツ学生として優遇されているのだろう。

ジョーは、無口で、早く授業が終わらないかと、そればかり考えているようだった。
授業が終ったとき、驚いたことに、ジョーが私に手を出して、
「俺は、ジョー。よろしくな。」と言った。
私はジョーと握手をして、
「私は、ジュン。よろしく。」と言った。
「コーヒーでも飲みにいかねーか。」とジョーが言った。
「あ、いいわよ。」と言ったものの内心ものすごく驚いていた。
仮にも、大学のスーパースターだ。

廊下をいっしょに歩きながら、
「どうして、私を誘ってくれたの?」と聞いた。
「君は、スカート履いてる。俺はスカートの子が好きだ。」
「それだけ?スカートはいてれば、誰だっていいの?」
と私は意地悪く聞いてみた。
「まいったな。負けたよ。君が、」
「ジュンよ。」
「ごめん。ジュンが、可愛かったからだよ。」
「あはっ。無理に言わせちゃった。ごめんなさい。」
「ジュンは変わってるな。」ジョーが首を振りながらそう言った。



校舎のホールのコーヒー店で、コーヒーを飲みながら。

「ジュンは、俺が誰だかわかっているのか?」とジョーが言った。
「昨日、試合見たわ。」
「なんだ。だったら、俺といることにもっと感激してくれよ。」
「感激してるわ。」(私は、男子だから、どんな男子でも平気。)
「そうは見えない。」
「してるわよ。今日は、スーパースターのジョーとコーヒーを飲んだって、
 友達中に言いふらすわ。」
「ほんとかよ。」
「ほんとよ。」
「あやしいなあ…。」とジョーは、にやっと白い歯を見せた。

そのあと、20分ほどジョーと話した。
不思議なほど話がはずんだ。(その訳が今でも分からない。)

黒人の男子とゆっくり話をしたのは、初めてだった。
しかも相手は、スーパースターのジョー。
ウソみたい。
友達みんなに言いふらす…は嘘。
ウォンにだけは自慢したい。
いえ、ウォンにも黙っていようかな。
どうしようかなと考えながら、
私はうきうきとして、校舎を出た。


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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