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メルヘン『不思議なおばあちゃん』(1話完結)

書きながら、どっかで聞いた話に思えました。すると、
「クリスマスの人」とすごく似ていました。すいません。
短いお話しです。読んでくださるとうれしいです。
===============================    

不思議なおばあちゃん


小杉宏美(男子)は、高校3年の受験生だった。
試験の勉強をしながら、宏美をいつも悩ませているのは、
女装への願望だった。
自分の部屋には、鍵もなくプライバシーがない。
そこで、宏美は、女装をするために、いつもカラオケを使っていた。

その日。土曜日の午後。
宏美は、ベッドの下に隠している女装の一式をバッグに詰めた。
「行ってきまーす。」と言って、家を出るとき、いつも冷や冷やする。
「そんなバッグ持ってどこ行くの?」と母に聞かれるのが一番困る。

宏美は、母の声を逃れて、外に出た。
団地の紅葉が、今一番綺麗な時である。

駅まで15分歩き、電車を1駅のる。
すると、賑やかな駅前に出る。
駅前にあるカラオケが、女装には一番いい。
それは、壁に大きな鏡が貼ってあるからだ。

さあ、これから女の子になる・・というとき、宏美はうれしくて体が震える。
上を裸になり、ブラをする。
このとき、手を後ろに回して、ホックを止める姿が好きだ。
ブラに詰め物をする。
いかにも女になった気になる。
スリップを被り、ワンピースを着る。
それから、ズボンを脱いで、男のパンツを脱いで女の子のショーツを履く。
Pを股の下に回す。
かかと4cmくらいの靴を履く。
(かかとの高い靴は、バッグの中で場所を取るからダメ。)
今日は、外出したいので、メイクは控えめにする。
桃色のリップを引く。
セミショートのウィッグを被る。髪を梳かす。

宏美は、髭や脚や、体毛のない体質をつくづくありがたいと思っている。
高校で、女扱いされている宏美は、この女装のときだけ、
ラッキーだと思う。
「完パス」は、とても無理だが、ぱっと見、女の子に見えれば、それでいい。
声は、女声だ。

宏美は、男ものをバッグに詰めた。
このために、体積の小さいサンダルを履いて来た。

清算をするときもドキドキする。
来た人と別の人ですかと、聞かれるのが心配だ。
その日は、何も聞かれなかった。

通りに出た。
このときの気分は何とも言えない。
自分は、学校で「女」とからかわれるくらいだから、そうひどい女装じゃないと思う。
普段の歩き方も女みたいらしい。それが、今は助かる。
まず、アイスクリームでも食べようかなと思い、
そのビルに向かって歩いているときだった。
目の前で、おばあさんが、倒れたのだった。
「おばあさん、大丈夫ですか?」
と、宏美は、自分が女装していることも忘れて、おばあさんのところへ行った。
見ると、85歳は、超えて見えるおばあさんだった。
「ありがとう。杖が引っかかったみたいなの。」
「他にどこか、あたりませんでしたか。」
「掌を少し。それだけよ。ありがとう。」
おばあさんが立とうとするとき、おばあさんはよろけた。
「ダメです。ぼくが・・いえ、あたしが、負ぶいます。
 どちらまで、いらっしゃるのですか?」
「ここです。」とおばあちゃんは、紙を見せた。
そこには、住所しかなかった。
電話番号があれば、かけるのに。
そうか、住所がわかれば、カーナビでわかる。
家に帰って、お母さんに運転を頼もう。

宏美は、そう思い付き、目の前に来たタクシーを拾って、
自分の住所を告げた。
(タクシーにも、カーナビはあったのだが、気が付かなかった。)
車に揺られながら、おばあちゃんは言った。
「ご親切な、お嬢さんね。」
宏美は、「お嬢さん」と言われて、うれしかった。
しかし、お年寄りになら、女の子に見えるのかも知れない。
そう思った。

タクシーは、宏美の家の前についた。
タクシーを出て、「お母さん」と言おうと思い、言葉を呑み込んだ。
今、女装をしているのだった。
女装の姿を、母に見られる。
しかし、この際しょうがない。理由は、どうとでもなる。
宏美は、おばあちゃんを玄関に座らせ、
母・里美のいる、キッチンにいった。

「お母さん、転んで歩けないおばあちゃんをお連れしたの。
 行先の住所ならわかるの。
 お母さん、カーナビで、連れて行って。ぼくもいくから。」
「わかったわ。」
里美は、言って、車を出し、おばあちゃんと、宏美を後ろに乗せて、
目的地へと向かった。
その間、母里美は、宏美の女装のことをなにも言わなかった。

おばあちゃんは、無事、娘の家に着いた。
一家総出で、お礼を言われた。

帰りの車。
「お母さん。ぼく、女装してるのに、何にも言わないの。」
「なんのこと?あなた、女の子じゃない。
 どうして、『ぼく』って言ってるの。」
「お母さん、ぼくのこと、女の子に見えるの?」
「見えるも見えないも、生まれたときから女の子じゃない。」
母は、そういう。
宏美は、せっかく女の子に見てくれてる母を、そっとしておくのが賢明だと思った。

家に着いた。
「ああ、いいことした後は、気持ちがいいわね。」と里美はいった。
「そうだね。」
宏美はそういいながら、自分の部屋に入った。
そして、男の服に着替え、リップを拭き取った。
そして、下に行った。
「お母さん、ぼく、生まれたとき、男?女?」と聞いた。
「なに言ってるの?男の子よ。」
「そう、ならいいんだ。」
「変な子?」と、里美は、笑った。

宏美は、急いで自分の部屋にもどった。
そして、推理をした。
宏美は、不思議なことを、受け入れるタイプだった。
これは、お祖母ちゃんのプレゼントだ。
女装、したときは、女の子に見てくれる。
男に戻ったときは、男の子に見てくれる。
家族以外、友達にも、試してみよう。
わあ~、バンザーイ!

宏美は、ベッドに大の字になった。

<おわり>


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クリスマスの人

クリスマス用に書きましたが、間に合いませんでした。
以前書きましたのと、同じプロットを使ってしまいました。
小品です。読んでくださるとうれしいです。
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クリスマスの人


その少女・美沙は、大きな風呂敷包みを抱えて、
夜の電車に乗って来た。
長い髪を茶に染め、
赤と青がストライプになっている超ミニの派手なA型のワンピースを着ていた。
メイクが濃い。
電車が走りだし、美沙が車内を見ると、どっと視線が集まった気がした。
多くの視線は、超ミニから伸びた美沙のむっちりした脚に集まっている。

電車は、混んではいないが、座席は、ほとんど埋まっていた。  
美沙は、1つだけ空いている席を見つけ座り、
風呂敷包みを膝の上に大事そうに乗せていた。
隣の学生風の青年が、その隣の友達に小声で言った。
「見ろ、ケバイ女だ。脚をむき出しだぜ。」
「お前、声が聞こえるぜ。」ともう一人が言った。
「かまわねーよ。」
美沙には、丸聞こえだったが、知らんふりをしていた。

2つ目の駅で、腰が曲がって杖を突いている、90歳くらいの女性が乗って来た。
美沙から見て、向いの遠くの扉だった。
席は1つも開いていなかった。
美沙は、自分の席を譲ろうと思い、席が取られないように、
大事に持っている風呂敷包みを自分の席において、女性の方へ行った。

「なんだ、あの女。席が取られないように、荷物置いていったぜ。」
と、美沙の隣にいた学生は、友人に言った。
「反則だよな。席を立ったら、人に取られても文句言えない。
 荷物で、場所取りなんてないぜ。」ともう一人が言った。
学生は、腹を立て、美沙の風呂敷包みを取って、出入り口に近い床の真ん中に置いた。
帰って来て、荷物がないと慌てる女の顔を見るのが楽しみだった。
乗り込んで来た男が、すぐに空いている席に座った。
学生二人は、内心「さまーみろ」と言っていた。

そこに、男が一人歩いて来て、
美沙の風呂敷包みをすっと持って、電車を降りた。
電車の扉は、その後すぐにしまった。
学生二人は、自分たちの愚かさを悟って、慌てた。
『そんなつもりじゃない!』
『荷物を誰かに持って行かせるつもりなんかない。
 何も考えず、ただ置いただけだ。』
『しかし、あれじゃあ、持って行ってくださいと言わんばかりだ。』
『あの荷物を、あの人は、大切に抱えていた。』
『大切なものを失うほど、あの人は悪くねえ。』

そこへ、朱美が、お祖母ちゃんを連れて、戻って来たのだ。
席はすでに人が座っていて、美沙は、きょとんとした。

学生2人は、そのとき初めて、超ミニの女が、何のために席を立ち、
なんのために、自分の席に荷物を置いていったのか、理解したのだった。
学生2人、村上と吉岡は、自分達の察しの悪さ、ネガティブ思考、意地悪に、
一気に自己嫌悪に陥った。

美沙の隣にいた村上は、さっと立った。
「すいませんでした。あなたのことを誤解して、意地悪をしました。
 おばあちゃんは、まず、俺の席に座ってください。」
吉岡も立って、美沙に席を譲った。
そして、2人の学生は、改めて、美沙に、誤解したことを話そうとした。
「待ってください。お祖母ちゃんにお話が聞こえます。
 車両の隅へ行きませんか。」
村上と吉岡は、今度は、察した。
席のことで、あーだこーだと言ったら、老人が気兼ねをする。

車両の隅に移動しようとしたとき、村上の前で吊革につかまっていた
背の高いスーツの男が付いて来た。
「そばにいました。私にも責任があるかもしれません。」
男はそう言った。

村上と吉岡は、美沙にどう誤解したのかを話し、頭を下げた。
「そうですか。それは、私も配慮が足りませんでした。
 おばあちゃんを座らせたいのだと、あなたに、一言言えばよかったのです。
 ところで、あたしの風呂敷包みはどこにあるのでしょうか。」

「始めに言うべきでした。俺たちが床に置いたので、さっき男の人が持って行ってしまいました。
 すいませんでした。」
「そんなことまで、考え付きませんでした。すいいませんでした。」
村上と岡村は、うなだれてそう言った。
「そ、そんなあ。」といって、美沙は、みるみる泣き出し、しゃがんでしまった。
「大事なものだったの?」と背の高い吊革の男が言った。
「母の形見の品々です。」と美沙はいった。

学生二人は、真っ青になった。
お金で買えるものなら弁償ができる。
しかし、形見のような大切なものは、取り返しがつかない。
なんということをしてしまったのだ。
女性が大切に持っていたのを、知っていたのに。
なんという考えなしのことをしたのだ。

そのとき村上は、女性の左の頬に大きな傷があることに気が付いた。
村上は、今度ばかりは悟った。
『この人の厚化粧の理由は、これだ。
 超ミニでいるのは、人々の視線を脚に集め、顔を見られないようにするためだ。』

少し前、岡村とこう言った。
「厚化粧の女に限って、すっぴんは見られた顔じゃなかったりする。」
そう言って、岡村と笑った。
この女性には、聞こえた。
俺は、ハンデがある人の心を、ひどく傷つけてしまった。
村上は、自己嫌悪に、胸が張り裂けそうになった。
「今更、わざわざ彼女に謝ったりするな。思い出して、余計に傷つくだけだ。」
吊革の男は、村上の心がわかるかのようにそう言って、去って行った。

村上が譲った席で、お祖母ちゃんが、美沙に手を振って、
美沙の風呂敷包みを見せた。
美沙は、飛んで行った。
美沙の席は、空いたままだった。
「どうして、ここにあたしの荷物が?」
「さっき、背の高い男の人が来て、わたしの膝に置いて行ったのよ。」
「わあ、考えられえないけど、これは、奇跡ですね。」
「あなたのお顔をしっかり見ておきたいから、こっちを向いて。
美沙はそうした。
お祖母ちゃんは、美沙の頬に手を当て、美沙を見た。

吊革の男の姿は、どこにもなかった。

村上は岡村に女性の厚化粧と超ミニの訳を話した。そして、2人はひどく反省して、電車を降りた。
「俺、これから、人の悪口は、やめる。」村上は言った。
「ああ、やめよう。」岡村は言った。

街には、クリスマス・ソングが流れ、賑やかだったが、
一人住まいの美沙のマンションは、ひっそりとしていた。
メイクを落とした。
そして、気が付いた。
頬の傷が治っている。
母の遺品を持って来たことの奇跡か。
あのお祖母ちゃんのプレゼントか。
いえ、多分、母が、あのお祖母ちゃんになって、
奇跡を起こしてくれた。
それに、あの背の高い吊革の人は、
昔亡くなったおとうさんに似ている。
お祖母ちゃんの膝の上に、風呂敷包みを置いてくれたのは、お父さんだ。
私は、あの電車の中で、お父さんとお母さんと同じ空間で同じ時間を共に過ごした。
しかも、すぐそばで。

美沙の胸に喜びが込み上げて来た。

『お父さん、お母さん。ありがとう。プレゼント、受け取ったよ。』
美沙は、父母の写真を見て、目を潤ませて、そう言った。

<おわり>


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<第2話>目の見えないルル②「男の皮をかぶった女の子」

少し、だらだらと長くなったかなと、気にしながら投稿します。
読んでくださるとうれしいです。
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<第2話>目の見えないルル②「男の皮をかぶった女の子」


「ぼく、大野圭太。」
「あたしは、ルル。」
「ただのルル?」
「うん。ただのルル。」
「魔法使いにぴったりの名前だね。」
「私が、魔法使いだって、簡単に信じちゃうの。」
「うん。さっき、ぼくを強くしてくれた。
 魔法以外、考えられない。」
「あれは、あなたが本気であたしのために怒ってくれたから、
 できた魔法なの。だから、ほとんどあなたの力。
 今のあたしは、誰かに力を貸すことだけ。
 自分一人では、何もできない。」
「そうなんだ。」と圭太はルルを見つめた。

「あのう・・。」と圭太は口ごもり、
「ぼく、あのでかい男に言うとき、女言葉使ってたの聞いた?」
「うん。もちろん。」
「うわあ。ぼくね、興奮すると、女言葉出ちゃうの。
 恥ずかしいから、怒ったり、興奮したりしないようにしてるんだけどね。」

「あなたは、男の皮をかぶった女の子なのよ。
 だから、女言葉が出て来ても、当然。」
「そうなの?」と圭太は身を乗り出した。
「うん。あたしは、女の皮を被った男の子。
 乱暴でいたずらで、人の気持ちなんか考えない子だった。
 で、魔法を乱用した罪で、女の皮を被せられ、
 目を見えなくされ、街の中に落とされた。」

「じゃあ、ルルの中身は、男の子なの?」
「そう。」
「いいことをしたら、元に戻れるの?」
「おとぎ話なら、たいていそうよね。」
「じゃあ、おとぎ話みたいにはいかないの?」
「うふっ。」とルルは、笑った。
「おとぎ話のとおり、いいことをしたら、戻れるの。」
「じゃあ、いいことができればいいね。」

「あなたの男の皮をとってあげること。
 あたしは、そう決めて、圭太に会いに来たの。」
「そうだったんだあ。じゃあ、ここで会ったの偶然じゃないんだね。」
「うん、そう。でも、どうすればあなたの男の皮をとることができるか、
 それが、わからないの。」
「いっしょに考えよう。」
「うん。」ルルは、そう言って、うふっとまた笑った。
(「うふっ」は、ルルの癖かも知れないなと圭太は思った。)

「ルルは、この大学の学生なの。」圭太は聞いた。
「うん、この大学は、盲学部があるから。」
「じゃあ、今までは、盲学校に行ってたの。」
「そう。そこで、高校までの勉強をしたの。」
「いつから、目が見えなくなったの。」
「6年前に。」
「苦労したね。」
「おかげで、人の親切のありがたさがわかるようになった。」
「そうなんだ。」

「いいもの見せるね。色がわかる小道具。」
「魔法で?」
「ちがう。」
ルルは、そう言って、マッチ箱くらいのプラスチックの箱を取りだした。
そして、それを、圭太のセーターに向けた。
ルルが、ボタンを押した。
「緑です。」と箱がしゃべった。
「わあ、すごい。当たりだよ。」
「この機械は、色を教えてくれるの。音楽が流れない信号に使える。」
「ふ~ん、そんな道具や機械があるんだね。」
「工夫すれば、ほとんど不自由なく暮らせるよ。」
「そうなんだ。」
「圭太の顔だってわかるよ。」
ルルは、そう言って立つと、圭太の顔に両手を伸ばして来た。
圭太が、顔を近づけた。

ルルは、圭太の顔を10本の指でそっと触った。
「圭太は、男の皮を被っていても、女の子のように可愛いね。」とルルは言った。
「だから、女みたいだって、からかわれる。」
「怒ったとき以外、いつ女の子の言葉が出ちゃうの?」
「うれしいとき。『キャー!やった!あたし、うれしい!』みたいに。」
「悲しいときは?」
「すぐ泣いちゃうから、言葉は出ない。」
「うれしいときも、出るんだね。」
ルルは、そう言って、しばしうつむいて、考えていた。

「あたし、そろそろ行かなくちゃ。」とルル。
「どこへ?」
「盲学校でアルバイトしてるの。
 あたしの生活費。」
「そう、駅に行く?」
「うん。」
「じゃあ、駅まで一緒に行こう。」

大学を出ると、そこは学生街で、通りは、若い人であふれている。
ルルは、白い杖を4つに折りたたんで、圭太の腕につかまっている。
「圭太は、視覚障碍者のヘルパーになったことあるの?」
「ないよ。どうして?」
「みんなわかってるから。圭太は、あたしを腕につかまらせた。」
「ぼくが、ルルをもったら、ルルは連れて行かれる気がして恐いでしょう。」
「来る人と、ぶつからない。あたしがいること、計算に入れてる。」
「ルルの分、離れてすれ違うようにしてる。」

「狭いところは、あたしを圭太の真後ろに立たせる。」
「うん、そうしないと、ルルが通れない。」
「歩きながら、あたしに景色を話してくれる。」
「どんな道を歩いているか、知りたいでしょう。」
「圭太は、不思議な子。人を助ける方法をみんな知ってる。
 あのドーナツもうれしかった。」
「ドーナツは、思いついただけだよ。」
「うふっ。」とルルは言い、圭太の腕に抱き付いて来た。

「ねえ、ルルが一番困るときって、どんなとき?」圭太は唐突に聞いた。
「知らないところへ一人で行くときかな?
 あと、ものを失くしたとき。」
「なるほど、そうだよね。」

電車を2駅乗ったところで、ルルは、降りて行った。
圭太は、ものすごく淋しい気持ちになった。
自分は、女子なのに。
なんだ、女の子同士の友情と考えれば普通のことだ。
あ、ルルの中身は男の子だと言ってた。
じゃあ、男女の気持ちなのかな。
「うふっ。」と、圭太は、ルルの真似をしてみた。
あ、心がすっきりする、と圭太は発見した。

圭太の家の夕食。家族は4人。
父・洋介(細身)の正面に圭太が座る。
右に、母・淑子が座る。美人。
左に妹の朱里(あかり)が座る。美少女。
朱里は、高校2年。圭太の1番の理解者である。

いただきますをして、少し経って圭太は言った。
「今日、魔法使いの女の子に大学で会った。」
「ほんと、お兄ちゃん。」と朱里が目を輝かせた。
「でね、ぼくは、男の皮を被った女の子だって言われた。
 いつか、ぼくの男の皮を、はいでくれるって。
 だから、ぼく、もうホルモン打ってなんて言わない。」と圭太。

「まあ、単純だこと。男の皮って、それは、『比喩』でしょう。
 皮は、体。中身は、心っていうね。」と母の淑子が言った。
「うまい言い方するもんだなあ。
 これで、圭太が、ホルモンって言うの止めてくれたら、
 父さんたち悩まずに済む。上出来の比喩だ。」と父の洋介が言った。

「あたしは、信じるよ。」と朱里が言った。
「お兄ちゃんが、男の皮を被った女の子って、
 すごくイメージ湧くもの。」

「その子、目が見えないの。
 でね、その子にわざとぶつかった柔道部のでかいワルがいて、
 ぼく、ものすごく腹が立って、そのワルを懲らしめて、
 最後に、女の子に謝らせたの。
 ぼくが、そんなに強いはずないじゃない。
 その子が、魔法でぼくを、そのときだけ、強くしてくれたの。」と圭太。
「わあ、最高!お兄ちゃんやったね!」
「うん、やったんだ。」

二人で、盛り上がる兄と妹を見て、
父母は、首を傾げながら、顔を見合わせた。

夜、自分の部屋で、圭太は考えていた。
『目が見えなくても、知らないところへ行ける道具・・。
 道案内と言えば、ナビゲーター。
 目の見えない人なら、液晶画面がいらない。
 その代わり、行き先を音声入力できること。
 方向音声案内は、カーナビがすでにその機能を持っている。
 障害物探知機があればさらにいい。
 柔らかいもの(人)、固いもの(電柱)を判別できれば、さらによい。
 障害物探知機があれば、物探しにも応用できるかも知れない。』

この思いつきに、圭太の胸に喜びがあふれて来た。
「キャー!やったー!あたし、うれしい!」
と、圭太は、バンザイをした。
圭太は工学部だ。

(つづく)


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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