自叙伝「私の王子様」(1話完結)

自叙伝「私の王子様」(1話完結)


一度、再投稿したものですが、
昨日のような小品を投稿します。
自叙伝です。1話完結。
読んでくださるとうれしいです。

学生の頃、私は駅構内で、自作の詩や童話を売っていました。
髪を伸ばし、黒いセーターを着て、
保母さんのような胸当てのある花柄のエプロンをしていましたので、
多くの人が、女の子だと思ってくれたようです。
その頃の実話です。
===========================

自叙伝「私の王子様」


季節は2月に入っていた。

日曜日。
私は、新宿駅で風の当たらない場所に移って、詩を売っていた。
その頃、私は、童話も2作作り、詩の横に置いていた。
薄い、手刷りの12ページくらいの冊子。
1部100円。

その日はとても寒かった。
私はオーバーのフードをかぶり、寒さに耐えていた。

午後の3時ごろだった。
詩や童話の一番売れない時間帯。

一人の高校生くらいの女の子が、立ったまま、
少し離れたところで、じっと私を見ていた。
すらりとした、ステキな女の子だった。
トレンチコートを着ている。

私の詩や童話を買ってくれる人の中には、
初め少し離れたところから、
『買おうかな、どうしようかな?』
と私を眺めていることが多い。

私は、そういうとき、気軽に、
「どうぞ、見てやってください。」と声を掛ける。
すると、たいていはそばに来て、詩や童話を手に取り、
中を少し見て、買ってくれる。

そのとき立っていた女の子は、ちょっと違っていた。
少し、離れたところで、私を見ていて、
少し目を潤ませている気がした。

私はその子を見た。目と目が合った。
私は、少し微笑んで、会釈をした。
すると、その女の子も会釈を返した。

あまりにも、その子が立ったままなので、
私の方が立って、その子のところへ行った。

私が声を掛ける前に、その子が言った。
「『純』さんですね。この童話をお書きになった。」
そう言って、その子は、肩から下げた大きめのバッグから、
私の2つの童話を取り出した。

私は、フードのかぶりを取って、
「あ、はい。私です。」と言った。
すると、彼女は一瞬私を見て、
「ああ、あたしったら…、『純』さんは、男性だとばかり想像していて、
 ちょっと今、戸惑っています。」と言った。

(ああ、また女の子に見られてしまった、いえ、見てくれた。)

「あ、あたしは、春香(はるか)と言います。高校2年です。」
と彼女は言った。

春香さんは、私より少し背が高かった。

私は、学生だったが、年をごまかし、
「私も、高2です。」と言った。

「あのう、私をわざわざ訪ねてくださったんでしょう?
 なんだったら、喫茶店にでも行かない?」私はていねい語を止めた。

「いいの?詩を売ってらっしゃるのに。」と春香さん。

「気にしないで。今全然売れない時間だし。」
と私はそう言ってお店をたたんだ。



喫茶店で、春香さんは、事情を話してくれた。

「あのね。あたし1月ごろ、すごく落ち込んでいたときがあったの。
 ちょっと、失恋もあったし、他の事もうまくいかなかった。
 そんなある日、机の中を見たら、この2つの童話が入っていたの。
 あたしの友達の誰かが、あたしのために入れてくれたんだと思った。
 あたし、落ち込んでること、誰にも知られないようにしていたのに…。

 あたし、童話を読んだ。そしたら、すごく心が温まるお話で、
 感激した。そして、2つの童話を書いた『純』っていう人にすごく会ってみたくなったの。
 そのうち、『純』って人が、いつのまにか、私の心の『王子様』になってた。
 あたし、東京へ出たとき、駅で童話や詩を売っている人見たことあったから、
 きっとそんな人だと思って、いろんな駅に行ってみたの。」

「春香のお家はどこ?」私は聞いた。(「さん」付けは止めた。)

「埼玉県の○○市。」
「ええ?遠いじゃない。片道3時間はかかるんじゃない?」
「うん。でも、どうしても会いたかったから、探した。
 渋谷、池袋、そして今日新宿で、やっと純に会えたの。」
「そんな遠くから、わざわざ来てくれたんだ…。」
「うん。」春香さんは、少しうつむいた。

私もうつむいてしまった。
純は、男だよ…とたまらなく言いたかった。
でも、私は、春香さんが心に描いた王子様のイメージから
かけ離れていると思って言えなかった。

「ごめんね。純が男じゃなくて…。」私は言った。
「そんなことない。純が女の子でも、こうしてお話ししていると、
 あの童話の温かさが伝わってくる。とっても不思議。」と春香さんは言った。


私はしばらくうつむいていたが、やがて、顔を上げて言った。
「春香は、純が女なのに、男の子だと思ってた。
 春香は、春香の机の中に、私の童話を入れたのは、
 さっき、お友達の誰かって言ったよね?」

「ええ。」春香さん。

「あのね。よく聞いてね。」と私は言って、
「その子は、新宿で私の童話を買ってくれた。
 そして、読んで、いい童話だと思ってくれた。
 その頃、春香が落ち込んでいるみたいだった。
 その子、自分が一度読んで手垢のついた童話を、
 春香の机の中に入れたと思う?」と聞いた。

春香さんは、はっとしたような表情をした。

私は続けた。

「私の童話も詩もね、ほとんど女の子が買ってくれるの。
 でも、私の童話を2冊とも二度も来て買ってくれた男の子がいた。
 1月だった。
 一度目は、新宿に来た折りに、何気なく買ってくれたんだと思う。
 でも、二度目はちがう。
 その男の子は、片道3時間もかけて、好きな女の子のために、
 私の童話を買いに来てくれた。
 いつも春香のことを見守っていたから、
 春香が、落ち込んでいることに気がついてた…。」

春香さんは、私の目を見て、何度もうなずいた。

「王子様の心当たりある?」と私は聞いた。

春香さんは、涙ぐんでいた。そして、大きくうなずいた。

「純に会いにここまで来てよかった…。」春香さんは言った。


そのうち、
「そうだわ。」と春香さんは、目を輝かせて、
「純の詩を2部買って帰る。そして、1部に『ありがとう。』って書いて、
 彼の机の中に入れておく。」そう言った。

「それ、賛成!また、私の詩が売れる!」

二人で笑い合った。

青い鳥が一羽、
辺りを飛んでいるような気がした。


<おわり>


※もし、ポチをくださる方。
アメブロの方で押してくださると、幸いです。

スポンサーサイト

プロポーズされたことがあります①

少し疲れ気味で、1回で書けませんでした。次回で完結に致します。
==============================

プロポーズされたことがあります①


私は、2年のアメリカ留学から帰国し、
日本で、塾に勤めました。
そこは、変わっていて、私より2年年上の理事長は、
私を、女性として雇ってくれました。
職員は、皆男性で、女は私だけでした。

1年が経ちました。
塾の新学期は、2月です。
新学期に向けて、理事長は私にいいました。
「新学期だけど、ジュンちゃん算数、国語、Yさんと組んでやってみない?」
「はい。わかりました。」
Yさんは、教材づくりや、テストづくりの研究室の人です。
一方私は、教えるのが専門の職員室です。

私が、Yさんと組むことになって、職員室で言うと、
みなさん、「ダメダメダメ。早く断って来た方がいいよ。」
といいます。
みなさん、決して意地悪な人ではありません。

その頃、仕事が終わった夜、つまみとビールを買ってきて、
職員室で飲むのが、楽しみになっていました。
そのとき、Yさんのことを聞きました。
Yさんは、クラスの可愛い女の子を残して、勉強を教える。
自分のクラスの可愛い女の子しか残さない。
自分で残すのはまだいいけれど、相棒の先生を手伝わせる。

Yさんは、塾の事務の女性を好きになり、
プロポーズしたあと気が代わり、裁判をして、
慰謝料300万円を払っている身である。

いよいよ2月になりました。
Yさんの机が、私の隣に来ました。
どんな人だろうと思っていましたが、
それが、腰の低い、いい感じの人です。
なんだ・・と私は安心しました。

Yさんの子供残しは、3日後から始まりました。
Yさんの担任の教室は、職員室から丸見えでした。
「ほら、可愛い子しか残してないだろう。」
と、仲のいい先生が、私にいいます。
「確かに。」と私。

その内、私が呼ばれました。
「ジュンちゃん。算数ですが、どう教えていいかわからないんです。」
皆さんが、「いくな。」と目で語っています。
私は、立ちました。
「自分なりに、教えたいですから。」
小声でそう言って、Yさんの教室に入って行きました。
すると、確かに、可愛い女の子が3人いましたが、男の子も2人いるのです。
『来てよかった』と私は思いました。

Yさんほど、不愉快な人はいない。
そういう人の一方で、私は、Yさんと気が合いました。

仕事帰りに喫茶店も何度か行きました。
男女であるので、少し歩き、塾から遠いところに入りました。
そして、話すのは、子供のこと。
気になる子を、どうしたらいいかという相談です。
それから、映画、漫画、本の話。
私は、気が付きました。
Yさんは、職員室で、あれだけ悪く言われていながら、
Yさんが、同僚を悪く言うことは、一度もないのでした。

(つづく)

※もし、ポチをくださる方。
アメブロの方で押してくださると、幸いです。




実話「性別違和のTさん」

実話 「性別違和のTさん」


これは、20年ほど前のことです。
私にとっては大きなことなのに、やっと思い出しました。

私は、ニューハーフさんや、スナックにいる女装子さんには、そのお店で、
大勢会ったことがあります。
また、ストリートで、多くのニューハーフさんとすれ違ったことがあります。
しかし、デパートなどで、普通に働いているMtF さんとは、
たった一人しか会ったことがありません。
その方のことを書きます。

その方を、Tさんと呼びます。
我が町にたった1つだけあるデパートの4階の紳士服売り場で、
Tさんは、接客をしていました。23歳くらい。
背は、165cmくらい。
きちんと黒のスーツにネクタイをしていました。
首に届くくらいのストレートの髪を額の真ん中から左右に分けていました。

私は、少し離れたところで、Tさんを見て、
この人は、MtF さんかもしれないと、感じました。
声は、普通の男子の声です。
目は、二重の綺麗な目です。
見た目、男性ですが、女性としてもやって行けそうな人でした。
Tさんのどんなところに、MtF さんだと感じたのか。
それは、Tさんの髪の整え方だったのかも知れません。
両の中指で髪を左右に分けて、それを耳までもっていき、
耳にそって、指を抜きます。
女の子の仕草です。
それに、Tさんは、客がいないとき、鏡でよくご自分を見ていました。
髪の状態を気にしていました。

私は、たったそんなことだけでしたが、
なぜか、Tさんは、MtF さんだと思っていました。
その後、私は、Tさんが気になってならず、
週に1度は、デパートの紳士服売り場に行って、
Tさんから少し離れたところにある木のベンチに座り、
何気なく、Tさんを見ていました。
これ、1つ間違えるとストーカーのようですので、
毎回ほんの5分ほどで帰りました。

あるとき、Tさんは、控室から、涙を拭きながら出て来ました。
少しあとから、長身の上司と思われる人が、
Tさんの肩をポンポンとたたき、励ましていました。
「男として働くことが、辛くて限界なのかなあ。」とか、
「あの上司の人が好きなのかなあ。」などと、
私は、勝手に考えていました。

水商売に行けば、もっと近道なのに。いや、水商売も大変だし。
就職難の折でした。正社員を逃すことは、誰もが反対するでしょう。
私は、いろいろに考えました。
私はふと、自分は「Tさんを応援しているんだ。」と気が付きました。

何回Tさんを見に行ったでしょうか。
7回くらいでしょうか。
そして、私は、その日デパートへ行ってショックを受けました。
デパートがないのです。
取り壊されて、更地になっていました。

これで、Tさんにもう会えない。
今頃どうしているだろうと思いました。

それから、2年ほど経ちました。
私は、Tさんのことを忘れていました。

そのうち、壊されたデパートが、隣の駅のそばに、同じ名前で建ちました。
行ってみると、前の4倍ほどの立派なデパートになっていました。
「Tさんは、まだいるかな?」
私は、Tさんを思い出しました。
で、4階の紳士売り場に行ってみました。

男子の店員さんがいました。その横に、女子の店員さんがいました。
女子の店員さんが、こっちを向いたとき、私は、気が付きました。
Tさんです。Tさんが女性として働いています。

私は、感激し、そばでTさんを見たいと思い、
ネクタイでも買おうと近づきました。
「あの、ネクタイを。」というと、彼女は、「はい。」と言って、
案内してくれました。女の子の声に聞こえました。

案内されながら、「よかった。」と、私は、不覚の涙を流してしまいました。
彼女は私を見て、
「あたし、女子社員になれました。」と言いました。
「そうですか。よかったですね。」私は、やっとの思いで言いました。
「お客様は、前のデパートのとき、私を見守るように、
 ときどき、私を見ていてくださいました。」
「はい。そうです。」
「あたしを理解してくださる方がいてくださると思って、
 勇気をいただきました。」
「そうですか。おめでとう。よかったですねえ。」
「はい。」彼女も目を潤ませていました。

それから、何か気恥ずかしくて、デパートに行きませんでした。
Tさんは、きっと幸せに暮らしていると思ってます。

バナーをこちらではまだ貼れずにいます。
アメブロの方で押してくださると、幸いです。





プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

リンク
最新記事
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧

御中根 蕗菜 です

女装子動画 Japanese crossdresser porn

瞳のセルフヌード

蕗の葉陰にフキノトウ

毎日が日曜日

女装子&ニューハーフのペニクリ&アナルマンコ

MadameM【秘密の手帳】

川*´v`*川し

復讐の芽 ***藤林長門守***

橙の電車
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム