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1つの消しゴム(純・子供編 後編)

1つの消しゴム(純・子供編 後編)


先生の声が聞こえた。
「島田さん、ごめんなさい。加納くんの言うとおりだったわ。
 授業が終わってから、あなた一人に言えばよかった。
 島田さん。ごめんなさい。そして、加納くん、ごめんなさい。
 先生が、いけなかった。二人ともごめんなさい。」

先生が少し泣いていた。

(当時、先生の権威は今よりずっとありました。その先生が子供に謝る姿など、クラスのみんなにとって、初めて見ることだったと思います。)

そのうち、授業終了のチャイムがなった。
すると、平さんが、飛ぶようにやってきた。

「島田さん。あたしの母さん、美容師だから、家にクリームいっぱいある。
 だから、今日一緒に遊ぼ。あたしの家に来ない?」そう言った。
島田さんも、私も、やっと泣き止んでいた。
「行く。ありがとう。」と島田さんは、平さんに言った。
「ぼくも行っていい。」と私は言った。
「わあ、純も来てくれるの?」と平さんはうれしそうに言った。



平さんの家に、島田さんと3人で言った。
平さんの家に着くと、お母さんがいた。
平さんのお母さんは、背が高くて、すごく若くて、美人だった。
「あ、お母さん、いたの?」と平さん。
「うん、ちょっと用があってね、もどって来たの。」とお母さん。

「ちょうどよかった。島田さんの手を見て上げて。」と平さんは言った。

島田さんは、平さんのお母さんに、掌を見せた。
「これは、汚れじゃないわ。皮膚にひびが入って、血がにじみ出ているの。
 それが固まって、こげ茶色に見えるだけ。
 お湯でやわらかくして、ベビーオイルを塗っとくといいわ。
 大人にだったら、もっといいのがあるんだけど、
まだ4年生だからベビーオイルの方が安全。
 手袋して寝るともっといいんだけど。ちょっとうっとうしいものね。」
そう言って、平さんのお母さんは、給湯器からお湯を出して、
島田さんの手を温め、ベビーオイルを塗った。

平さんのお母さんは、すごいなあと私は思って見ていた。

「お家にベビーオイルある?」と平さんのお母さんは聞いた。
「ないと思う。」と島田さんは、答えた。
「じゃあ、これあげるわ。あげたことがわかるように、
 お母さんに、お手紙を書いておきましょう。」とお母さんは言った。
「あたし、お母さんいません。」と島田さんは言った。
「お父さんは?」
「お父さんなら、います。」と島田さんは言った。
「そう。家は、お父さんがいないのよ。」と平さんのお母さんは言って、
島田さんのお父さん宛てに手紙を書いていた。



「お母さん。こちらの子、純くん。」と平さんは言った。
「あなたが、純くんなの?」とお母さんは、うれしそうな目をして言った。
「江津子から、毎日お話を聞いていたの。
 お会いできて、うれしいわ。
 ほんとだ。可愛いわ。」とお母さんは言った。



平さんのお母さんが出かけた後、
平さんが、島田さんに言った。
「島田さん。純ね、女の子の格好すると、すごく可愛くなるのよ。
 ね、純。今日も女の子になって?島田さんに見せちゃおう。」
「いいよ。」
と私は答えた。(内心すごくうれしかった。)
平さんは私に、可愛い黄色のワンピースを着せた。
そして、髪をとかして、私の耳を出した。
それに、カチューシャを私の髪につけた。

「はい、純子の出来上がり。」と平さんは、喜んだ。
島田さんも、笑いながら、
「ほんとだ。女の子にしか見えない。加納くん、可愛い。」と手をたたいて喜んだ。
「純子よ。女の子になったときは、純子って呼ぼう?」と平さんは島田さんに言った。
「うん。わかった。」と島田さんは、おかしそうに言う。

私たちは、3人の女の子になって、
外で石けりをしたり、ゴム段をしたり、
中で、トランプをしたり、おはじきをしたりした。
前に平さんと2人で遊んだときより、3人の方がずっと楽しかった。

島田さんは、生き生きとしていた。
たくさんしゃべり、たくさん笑った。



楽しい遊びの時間が過ぎて、帰る時間になった。
帰りは、島田さんと私の2人になった。

「加納くん。」と2人になると、島田さんは、私を苗字で呼んだ。
「加納くんは、私がクラスで嫌われていること、知っていたでしょう?」
と島田さんは、言った。
「みんな、私を、汚いって言って、離れて通ったり、机を離したり。」
「うん。知ってた。」
「私、席替えの度に嫌だった。音楽室でも席替えがあったときも、つらかった。」
「うん、わかる。」と私は言った。
「でも、私のとなりに加納くんが来た。
 また、離れて座られるのかなと思ってた。
 でも、加納くんは、そんなことしなかった。
 私のこと、汚いって思わなかった?」と島田さんは聞いた。
「よくわかんないけど、ぼくは、そういうこと、あんまり感じない。」と私は言った。
「あたし、加納くんが、普通に座ってくれて、
 あたしに普通に話しかけてくれて、すごくうれしかった。」
そう島田さんは言った。

「今日の音楽の時間は、ありがとう。」島田さんが言った。
「ぼくが、みんなに言ったこと?」
「あたし、ちゃんと石鹸で手を洗っているのに、
 先生から洗ってないみたいに言われて、悲しかった。
 そのとき、クラスの人みんなが笛を止めて聞いてて、
 恥ずかしかったし、聞かれたくなかった。
 みんなが、おもしろがって聞いてるような気がして、
 死ぬほど悲しかった。

 先生だって私のそんな気持ち分かってくれてなかった。
 この世に私の気持ちなんか分かってくれる人いないって思った。
 でも、加納君が分かってくれてた。
 そして、みんなに泣きながら言ってくれた。
 今まで、絶対怒らなかった加納君が言ってくれた。
 うれしかった。

 あたし、今までどんなにいじめられても泣かなかった。
 泣かないってがんばってきた。
 辛いのは、いくらだって我慢できた。
 でも、うれしい気持ちは、我慢できなかった。
 うれしくて、うれしくて、涙が出てきて、止まらなくなった…。
 加納君、ありがとう…。」
島田さんは、立ち止って、泣き出してしまった。

「今日は、ぼくも泣いちゃったし、二人で泣いちゃったね。」
私はそう言って、少し笑った。
「そうね。」と島田さんは私を見て、涙の目を拭いて笑顔を作った。
 



その日の夜、島田さんのお父さんが、島田さんを連れて、平さんの家へ挨拶に言ったそうだ。

(※以下は、平さんに聞いたお話を、想像を加えて書きます。)

「お手紙読みました。ありがとうございます。」とお父さんは言い、
「何しろ、男手で育てているものですから、娘のことに手が行き届かなくて…。」と言った。
「お困りなことは何でもおっしゃってください。
 家は、男親がいないものですから、ときに男の方の手が欲しくなることがあります。
 お互い様ということで。」と平さんのお母さん。

平さんのお母さんは、奥から、大きな風呂敷包みを持ってきて、
「あの、大変差し出がましいことなのですが、
 これ、去年まで、娘の江津子が着ていたものなのです。
 江津子は、4年生になって急に背が伸びて、全部着られなくなってしまいました。
 どうしようかと思っていたものなんです。
 古着屋に持って行っても二束三文ですし、かといって捨てるにはもったいないし、
島田さんのさち子さんは、小柄でいらっしゃるので、もしかしたら着られるかもしれないと思って、まとめました。着古したもので、大変失礼かと思いますが、もしよろしければ、お受け取り願いませんでしょうか。」
そう言った。
「それは、ありがたいことです。何しろ娘には、同じものばかり着させて、親として辛い思いをしていました。ありがたくちょうだいいたします。こんなにたくさん、申し訳ないことです。」
島田さんのお父さんは、そう言った。



次の日、島田さんは、違う洋服を着て学校に来た。
そばで、平さんがうれしそうにして、話しかけていた。

そのころ、島田さんを特にいじめていた5人グループが私のところへ来た。
その中の大将の田辺君が私に頭を下げて言う。
「純、俺達はこれから島田のところへいって謝るから、俺達を嫌わないでくれ。
 お前に嫌われたら、もうおしまいだ。」

「どういうこと?ぼくはボスでも大将でもないよ。」と私は言った。
「いや、お前みたいないい人間に嫌われる奴は、サイテーということだ。
 純は、俺が一人ぼっちのとき付き合ってくれたただ一人の奴だ。借りもある。
 だから、許してくれ。」田辺君はそう言って頭を下げる。
他のみんなも頭を下げている。
「ぼくは、いいよ。」私は笑って答えた。

それから、5人は、島田さんのところへ行って、一生懸命頭を下げていた。
私は、よかったなあと思って見ていた。
島田さんは、不思議そうな顔をして5人を見ながら、最後にはうなずいていた。
平さんが島田さんを抱きしめていた。

島田さんへの嫌がらせは、その日からなくなった。



島田さんと平さんは大の仲良しになった。
二人とも、もうさみしくはなくなった。



何週間が過ぎて、音楽の時間、
先生が、来週席替えをしましょうと言った。
みんな、わあーいと言って喜んだ。
島田さんと並んでいられるのは、あと2回になった。



音楽の時間。島田さんと並んでいられる最後から2番目の日だった。
島田さんは、私の机の前に、綺麗な女の子用の新品の消しゴムを置いた。
「これ、加納くんにあげる。」
「ほんと?」と私は言った。

私は知っていた。
島田さんの筆箱の中には、短くなった鉛筆2本と、
小さくなって、使いづらくなった消しゴムしか入ってなかった。

「これ、島田さんの大切なものじゃないの?」と私は聞いた。
「うん。私のいちばん大切なもの。だから、加納くんにあげる。」
島田さんは、そう言った。
私は、島田さんの思いがわかり、胸の中からこみ上げてくるものを感じていた。

「ありがとう。もらうね。大事にする。
 もったいなくて、使えないかもしれない。」
そう言った。
島田さんは、にっこり笑った。



家に帰って、母に消しゴムを見せた。
そして、島田さんのことを話した。

「そう。じゃあ、純のいちばん大切なものをあげたら。」と母は言った。

その頃の私の一番大切な物は、「スーパーマン」のメンコだった。
4枚で一組になり、紫色の紙テープに巻かれ束になっている。
女の子の島田さんがメンコやるかなあと思ったけれど、私の一番の宝だった。

島田さんと並んで座れる最後の音楽の時間。
「これ、ぼくのいちばんの宝物。消しゴムのお礼。もらってくれる?」
と島田さんに言って、メンコを島田さんの前に置いた。
「いいの?」と島田さんは私を見て言った。
「うん。いい。」私は言った。
島田さんは、スーパーマンのメンコを受取って、
「ありがとう。」
そう言った。



それから、35年後、初めて小学校のクラス会が開かれた。
卒業から33年ぶりで、みんな、45歳になっていた。
島田さんは、出席していた。
とても、感じのいい優しそうな女性になっていた。
(平さんは、スナックをやっていて、夜の仕事で来れないとのことだった。)

私は島田さんと、話をした。
「音楽の時間に、島田さんがくれた消しゴム、覚えてる?」
「覚えてるわよ。」と島田さんは笑った。
「あれ、もったいなくて、とうとう使えなくて、ぼくの宝箱に今でもあるよ。」
と私は言った。
「ほんと?うれしいな。私も純がくれたスーパーマンのメンコ。
 封を切らずに宝箱にしまってある。見る度に、純を思い出す。」
「一生、持ってると思う。」と私。
「私も。」と島田さん。

二人とも、ビールのグラスを持っていた。
「じゃあ、消しゴムとメンコのために、乾杯!」
「乾杯!」

二人で微笑みながら、グラスを当てた。


後編 終わり

<長いものを読んでくださり、ありがとうございました。>



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『平えつ子さんの思い出』(自叙伝より)

『平えつ子さんの思い出』(自叙伝より)


小学3年生から4年生になるとき、
クラス替えがあった。
クラスで、席が決まって、私は1班。
一番廊下側の列の前から2番目だった。
みんなもそうだったが、私も班のメンバーの品定めをした。
私の前は、平(たいら)江津子という子で、
着ている物のセンスがよくて、
色が白くて、いちばん美人でステキだと私は思った。

ところが、昼休みになると、
平さんと同じクラスだった男子数名が、
「こいつ、前はみんなからいじめられてたんだぜ。」
「こいつの言うことみんなウソだからな。」
と平さんの悪口を言っていった。
平さんは、泣いてしまった。
でも、すぐ泣き止んで、明るくふるまっていた。

社会の時間、班での作業となった。
班机になり、みんな自己紹介のようなものを始めた。
A子さんは、お父さんが社長だという。
そして、ピアノを習っているという。
すると、平さんも同じことを言った。
お父さんが社長でピアノを習っている。

平さんはお金持ち。
そして、美人。

クラスのマドンナになる要素を2つも持っている平らさんが、どうしていじめられたりしたのか、私には分からなかった。

でも、やがてその原因の一つが分かった。
算数の時間、平さんは、すごく簡単な計算ができなかった。
国語の音読も、漢字がまるで読めなかった。

そうか。マドンナの要素、「勉強ができること」、
それを満たしていないんだなと思った。

そのうち、もう一つの原因が分かった。
平さんのお父さんが社長というのも、
ピアノを習っているというのも、
ウソだといううわさが流れた。
みんなに責められ、
平さんは、そのときも泣いた。
でも、すぐ泣き止んで、明るくふるまっていた。



私は、班の中で、となりの女の子と仲よくなり、
二人でしょっちゅう盛り上がっていた。
すると、平さんが後ろを向いて、
私たちの話に入ってくる。
授業中もしょっちゅう後ろを向いて、
話しかけてくる。

担任の先生によく注意されていた。
先生は女の先生だった。

あるとき、平さんの後ろへの振り向きがあまりにも多いので、先生が、厳しく注意をした。
そのときある男子が、
「先生、平は、純のことが好きなんだよ。だから、後ろ向くんだ。」と、言った。
すると、クラス中の男子が、「そうだ、そうだ…。」とはやし立てた。

先生はそれを制して、
「平さん。これ以上授業中に後ろを向くと、席を替えます よ。」と言った。
「いえ~い。平、せーきがえ!」などの声が起こり、
平さんは、また泣いてしまった。



そんな日の放課後。
平さんは、私のところへ来て、
「加納くん。(←私。)今日私の家に来て、一緒に遊んでくれない?」と言った。
「いいよ。」と私は応えた。
平さんは、「ほんと!」と驚いた顔をして、うれしそうだった。

ランドセルを家に置いて、平さんと約束したところへ行った。
平さんは、ランドセルをしょったまま待っていた。
平さんは、越境通学をしていて、家はすごく遠かった。
近くに誰もクラスの人がいないので、一人で遊ぶしかないとのことだった。

歩きながら、平さんは、
「どうして、『いいよ。』って言ってくれたの?」聞く。
「だって、さそってくれたじゃない。」私は言った。
「そうっか。さそったから、まっすぐに『いいよ。』って言ってくれたんだ…。」
平さんは、そんなことを言った。

やがて、平さんの家に着いた。中に案内された。
そこは、2DKのアパートだった。

「加納くん。ごめんね。お父さんが社長なんて、ウソ。
 私、お父さんいない。
 ピアノもウソ。家にピアノなんてない。
 お母さんは、美容師。ウソついてごめんなさい。」
平さんは、そう言った。

「そうだったんだ。」と私は言った。
「怒らないの?」と平さんが言う。
「だって、腹が立たないもん。怒らない。」と私。
平さんは、私を見つめていた。
「加納くんは、他の男の子たちと違うね。」と平さん。
「わかんない。」と私は言った。



平さんは、一人っ子で、6畳の洋間をもらっていた。
はじめ私たちはトランプなんかで遊んでいたが、
やがて、平さんが言う。
「加納くん。女の子の格好したら、ぜったい似合うと思うん だけど。」
私はドキッとしてしまった。それは、私の念願だったから。
「これ着てみて。」
と、平さんは、自分の箪笥から、可愛いピンクの半袖のワンピースを出してきた。
私は胸がドキドキしてしまった。

上半身、ランニングシャツ1つになって、ワンピースを着た。

「ズボンを脱ぐの恥かしい。」私がそう言うと、
「じゃあ、ズボン脱いで、パンツの上からこれ履いて。」
と、平さんは、体育のブルマーをくれた。
(ああ、それ、もっとドキドキする。)
と思いながら、私はズボンをぬいで、ブルマーを履いた。

「加納くん。髪の毛から耳を出してみて?」
(私は知っていた。耳を出すと私は女の子に見えてしまうことを。)
でも、いう通りにした。

「わあ~。」と平さんは、すごく喜んだ。
「可愛い。加納くん。女の子にしか見えない。」
私も鏡を見た。目を塞ぎたくなるように似合っている。

平さんは、ヘアピンで、私の耳の後ろを両側留めてくれた。

「わあ、可愛い。」そう言って、平さんは、私に抱きついて、何度も飛び上がった。

「加納くんのこと『純子』って呼んでいい?あたし、女の子 の友達ほしかったから。」
「うん。いい。」
「私のことは、えつ子って呼んで?」
「いいよ。」



それから私たちは、外で「ゴム段」をした。
電信柱にゴムの端を巻いて、一人が持つ。
ゴム段のとき、女子はスカートが邪魔なので、ショーツの中に裾を巻きこむ。
平さんがそうするので、私もそうした。
なんか、すごく女の子になった気分でうれしかった。

それから、私たちは、「純子」「えつ子」と呼び合いながら、
部屋の中で、チェーン・リングをしたり、折り紙をして遊んだ。

遊んでいるとき、心の中が、すっかり女の子になってしまい、うっかり女言葉が出そうになってしまった。
「やだぁ。」とか「や~ん、悲しい。」とか「あたし」とか。

夕方まであそび、服を着替えて、さよならをした。
「明日、また遊んでくれる?」と平さんは言う。
「いいよ。」と私は言って、
こうして、私たちは、毎日のように遊んでいた。



ある日の放課後、男子の数人が私のところへ来て、
「純。今日みんなで、駄菓子屋へ行こう。」と言った。
「ごめん。約束があるからダメ。」
「誰と?」
「平さんと昨日約束した。」
少し離れたところに、平さんがいた。
「平との約束なんて、どうでもいいだろう。」とB君は言う。
「よくない。先に約束した。」と私。
「けっ。信じらんねえ。女と遊んで楽しいのかよ。」
「そういうことじゃない。先に約束したから守るだけだ よ。」と私は言った。

男子たちは、何か捨て台詞を残して、去っていった。



その日、平さんの部屋で、女の子2人(一人は私)、壁にもたれて、
膝を抱えて座っていた。

「純。どうして私との約束を守ってくれたの?」
「だって、昨日からの約束じゃない。」
「男子から、嫌がらせされるかも知れないよ。」
「そのときは、えつ子を見習う。」
「どういうこと?」
「えつ子は、泣かされても、すぐ元気になって明るくして た。
 ぼくは、いつも、えつ子のそういうところ、えらいなって 思ってた。
 だから、えつ子を見習う。」
私の言葉を聞いた平さんは、目にいっぱい涙を溜めていた。
やがて、私の胸に顔をうずめて泣きはじめた。

「あたし…、そんなふうに言われたことなかった。
 えらい…なんて言われたことなかった。
 そんなふうに思ってくれた人は、純がはじめて。
 いじめられっ子の私が誘ったら、人気者の純は『いい よ。』ってすぐ言ってくれた。
 私のついたウソを、純は、全然おこらなかった。
 純は、いい人過ぎるよ。あたしのことなんてどうでもいい のに…。」平さんはそう言った。

「えつ子は、スタイルがよくて、美人だから、そのうち絶対 人気出るよ。」
私は、そう言って、そっとえつ子を抱いた。



その日、平さんは、明日の約束をしなかった。

次の日、私は男子の嫌がらせを覚悟していたけれど、
それは、なかった。
私が、「今日は、行く。」と言ったら、「おお、そうか。」と言ってみんなが「よし!」と言っていて、私は、拍子抜けしてしまった。



平さんは、その後、女の子2人と仲よしになり、3人でいつも楽しく過ごすようになった。



2年後、卒業式の日。
式が終わって、私が、学校の裏門を出ようとすると、平さんが駆けつけて来た。仲良し2人が、後ろにいた。
私は、中学の学生服、平さんは、セーラー服だった。

「純。ありがとう。私は、3年間、ずっと純が好きだっ た。」
「それ、告白?」と私は、照れながら聞いた。
「ずばり、告白。」と平さんはにっこりして、私の頬にキスをしてくれた。



それから、8年後。
平さんは、ファッション雑誌「anan」のファッションモデルになった。

昔の級友が、「anan」に出ているすばらしく綺麗になった平さんを見て、悔しがって言った。
「ちくしょー!こんなことなら、あいつのこと、いじめるんじゃなかった。」
その横で、私は、
「あはは。」と笑った。






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<最終話>「女装出張サービス『不発』体験記」

<最終話>「女装出張サービス『不発』体験記」
再投稿で失礼いたします。
全部、実話です。
いつもの2倍の長さですが、一気に投稿いたします。
読んでくださると、うれしいです。
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<最終話>「女装出張サービス『不発』体験記」


今度の舞台は、ホテルではありません。
マンションで、こちらが出掛けていきます。
電話をすると、可愛い女の子の声がして、
「お名前をうかがえますか。」と言います。
「佐藤です。」と私は、すぐに答えました。
すると、女の子は、くすりと笑って、
「本名じゃなくてもいいんですよ。」と言います。
私は、偽名で言ったのですが、相手に合わせ、
「なんだ。じゃあ、小川。」
「はい、かしこまりました。」
そして、女の子は、マンションの場所を教えてくれました。

歩きながら、
女の子が受付やってるなんて、
なんか明るい感じだなあと思っていました。

マンションのドアをくぐると、やたら、カーテンの仕切りの多いところです。
全体が見通せません。
60歳くらいのマスターが、
「性転換の女の子がいますが、どうですか。」と言います。
「そういう人初めてだから、お願いしようかな。」と言いました。

お金(3万円、高いところです。)を払い、奥へ、通されました。
6畳くらいの和室に、布団が敷かれています。
やがて、彼女がきました。
170cmくらいの髪の長い子。28歳くらい。美貌です。
すらりとして、女性そのもの。
彼女は、下着姿でしたので、
「私は、服を着ている子を脱がすのが好きだから、何か服着て。」
と言いました。
彼女は、「はい。」といって、水色の膝丈のワンピースを着てきました。

彼女は、布団に寝ます。
私は、まず、彼女のスカートをめくって、ショーツを脱がせました。
「いや~ん。」と言って、彼女は、すぐにスカートを手で隠しました。
そのとき、私は思いました。
これだけの美貌の子なら、アソコにPがある方が燃えるかな。
せっかく彼女は、大手術をしたというのに、
それを、十分に喜んであげられないのは、申し訳ないなあとも思いました。

彼女は、ワンピースを着たまま、私は裸にされ、下になりました。
彼女は、キスをしたり、私のPを、上手にマッサージしてくれました。
彼女のやり方は、私に合いました。
私は、どんどん気持ちがよくなって、
ついに、心を許してしてしまいました。
私は、受け身の女の子の気持ちになって、
「いや~ん、あたし感じる・・。」
と女の子の声で、女の子の言葉を発してしまったのです。

彼女は、「え?」と驚いて、私のPの手を止め、
周りを見ました。
「誰?今の声?」と言います。
「私。気持ちよくなって、私が言ったの。」私は半身起き上がりました。
「うそー?」と彼女は、にやにやっとした顔をしました。
そして、くすくすと笑い、「信じらんない。」と笑いを止めません。

「まいったなあ。」と私は、天井を見ました。
でも、今回ばかりはお人好しに引き下がれないなあと思いました。

私が、服を着始めたとき、彼女は、わずかに動揺しました。
私は、服を着て、話があるからと言って、
彼女を布団の上に正座させ、私も正座して、対面しました。
「ここ来る客は、みんな女装マニアでしょう。
 女装できない日に、こういうところに来る。
 そして、プレイの中で、気持ちよくなっていき、
 気分が女になって来て、女の声を上げてしまう。
 さっきの私のようにね。

 これ、『どんでん』って言うのね。
 昔からからあるプレイの1つの約束事。
 つまり、男役と女役が、どんでん返りする。
 私は、今、客として、あなたに「どんでん」をして女になった。
 それは、『あなたには、恐れ入りました。私は、女になります。』
 っていう、あなたへの賞賛です。
 どんでんされた、あなたにとっては、名誉なことなの。
 で、あなたは、そこから男役をする。

 改まった場所では、「どんでん」をするとき客は正座をし、
 「あなたの色香に負けました。どうか、どんでんをお願いします。」
 と言って、お辞儀をする。
 どんでんは、名誉なことだから、された方は、
 畳に三つ指をついて、
 『どんでんのお申し出、ありがたくお受けいたします。
これより、男役を勤めさせていただきます。』
 そう言って、プレイを再開する。
 これが、正式。
 女装やSMの世界で行われる。

 これを、客が知らないのは、かまわないさ。
 でも、女装の道で客を取ってお金を稼ぐプロならば、
 知らないじゃすまない。

 何も、昔のように正式にやらなくてもいい。
 客の心が女に変わったら、「どんでん」だと理解して、
 その客を女の気分のままにイかせてあげればいい。
 遊び慣れた客には、
 最後に『どんでん、ありがとうございました。』と、ちょっと言えば十分。

 1つだけ絶対やっちゃいけないこと。それは、『笑うこと』。
 ぐさり客を傷つけるからね。
 大人しい客なら、傷ついて果てぬまま黙って帰るでしょう。
 恐い客だったらどうなると思う?嘲笑ったのだからね。
 考えたら、身の毛もよだつでしょう?

 このマンションがある高田馬場の「栄通り」が、
どんなに怖いところか知っているでしょう。
新宿歌舞伎町にも負けない。
 古風な遊びを心得た怖い人が、カタギを装っていつやってくるかわからない。
 そんな客に、どんでんを知らずに、笑ったりしたら、
 どんなことになるか、わかりますね。
 あなたが、どんでんを知らなかったようなので、言いました。」



彼女は、青くなりました。
「知りませんでした。お聞きしてよかったです。」
「じゃあ、うれしい。」
「あたし、笑ってしまいました。」
「うん。そうだね。20才そこそこの子ならともかく、
あなたくらいのキャリアの人なら、
 プロとして、当然知っていると思ったんだよ。」
「お客様、傷つきましたか?」
「どう思う?」
「あたし、深く傷つけてしまったと思います。」
「今なんとか、平気な顔してるけどね。」
「すみませんでした。
 もう、あたしじゃダメですよね。」彼女はうつむいて言いました。
「もう、だまって帰るからいいよ。マスターには言わないから。」
「いえ、そんなわけには。マスターに話してきます。」
彼女は、そう言って出て行きました。

マスターと彼女の声が、2枚のカーテン越しに丸聞こえでした。
「マスター、『どんでん』って知ってますか。」
「あたりめーだ。この商売やってて『どんでん』知らねーでどうする。」
「あたし、お客様のどんでんを笑ってしまいました。」
「何だと!笑ったのか!」
「すいません。どんでん何て、知らなかったから。」
「知らなくたって、笑っちゃいけねーことくらいわかるだろう。」
「はい、そうですよね。すみません。
お客様が、正式などんでんの作法を、教えてくださいました。」
「何!正式などんでんの作法を知ってる人なのか!ううう、恐えー。」
「いや~ん。怖くなってきちゃった。」

「10万積んで、帰ってもらえるかな。20万かな。
 2代目で、ああいう優しいカタギの人が、
ここいらに遊びに来ると聞いている。女みたいな人で女装マニアだ。
 いいか、よく考えてみろ。
一般人で、どんでんの正式な作法なんかを知る人いると思うか。
ああ、どうするかなあ。
 念には念を入れねーと、この店なんかいちころだよ。
 まずは、金より女だ。ミルクを付けて、それに賭けてみるか。」

(私は、二人の会話を聞いて、内心大笑いをしていました。)

やがて、彼女とマスターが来て、正座をして、言いました。
「すみません。コイツが、『どんでん』を知らなかったそうで。
 とんだ不調法をいたしました。」
「すみませんでした。」と彼女は、頭を下げ、ガチガチになっていました。
「ああ。でも今日は、もういいよ。彼女のスカート覗いたし、
彼女に知っていてもらいたいこと言ったから。」
「いえいえ。内は、3万円もいただいています。そう言う訳には。」

マスターは、彼女に、
「ミルクはまだか。」と言いました。
「今シャワーを浴びています。」
マスターが私に、
「ミルクというNo.1を来させます。お気に召せばいいのですが。
 今、シャワーを浴びて、バスタオル姿だと思いますが、かまいませんか。
「もう、いいんだけどな。」と私は言いました。
「いえいえ、どうか、ミルクを試してみてください。」とマスター。

こうして、マスターは、若い小柄な可愛い子を代わりによこしてくれました。
身長155cmほどです。
ミルクさんは、体に、タオルを巻いた姿でした。
(マスターから、相当言われてきたようでした。)

ミルクさんは、布団のそばで、正座をして、
「ミルクと申します。タオル姿で、失礼いたします。」そう言いました。
声もルックスも、満点の女の子です。
とても、男子とは思えません。

彼女を寝かせ、私は、再び裸になり、
彼女の横で、バスタオルの裾をめくってみました。
すると、男の子の証が、ちゃんとありました。
胸は、Bカップくらい。ホルモン+シリコンだと思いました。

私は、ミルクさんの声に悩殺されていました。女の子の声そのものです。
私は、うれしくなり、さっきの気分を忘れ、燃えてきました。
私達は、絡み合いました。
ミルクさんは、可愛い声をたくさん上げました。

ところが、ミルクさんのアレが大きくなり、私も大きくなり、
その一番いい時に、ミルクさんは、自分で自己処理をはじめたのです。
そして、「抱いて!」と叫びました。私が強く抱くと、
ミルクさんは、瞬く間に、1人でイってしまいました。
その直後、彼女は、「はっ。」と表情をこわばらせました。
そして、急いでバスタオルを巻いて、畳の上に正座をして頭を下げます。

「すいませんでした。とんでもないことをしてしまいました。
 自分で自分を愛撫して、お客様より、先に、勝手にイってしまうなんて。
 どうか、お許しください。」
と平謝りをします。

「正座なんかいいから、ぼくの隣にお出でよ。」と私は言いました。
ミルクさんは、私の隣にきました。
体が、震えていました。

私は、彼女が自分で先にイってしまった訳を聞きました。
「あたしは、ホルやっているので、ときどきしかイくことができません。
 でも、今日は、アソコが大きくなり、イけそうになって、
うれしくてたまらなくて、
 自分のお勤めを忘れてしまいました。」

(これ、いつかどこかで聞いた言葉だなあ・・と思いました。)

「あのね。私が、ホルやってるあなたをイきそうにさせることができたのなら、
 それは、私にとって、うれしいことなの。
 でも、イきそうなら、私に言ってほしかった。
私があなたをフィニッシュさせてあげたかった。口を使ってでもね。
 なんで、一人で、イっちゃったの?」

「お客様は、あたしのタイプなんです。
 それで、あたし、始めからうれしくて、
 今日は、イけるかもしれないって思っていました。
 ちょうど、お客様がキスしてくださっているときに、
 突然に絶頂がやって来ました。
 お客様より先にイってはいけないって思えば思うほど、
 我慢ができなくなり、自分でイってしまいました。」
彼女は、涙ぐんでいました。

「そうかあ。それは、私にも経験があるからわかる。
 女装友達数人に押さえつけられて、あそこを愛撫された。
 こんなん遊びだから、イっちゃうなんて絶対恥ずかしいって、
 思えば思うほど、一気に絶頂が来て、イってしまった。
 でも、イっちゃうと、やる気が失せてしまうでしょう。
 やる気が失せた人にやってもらうのは、気が引けるよ。」

「あたし、お客様となら、何度でも燃えます!
あたしに最後までご奉仕させてください。
 お姉さんが大失敗をして、
 その上、あたしまで、こんなことしてしまって、
 そのために、お客様を満足させられなかったら、
 お姉さんもあたしも、ものすごく叱られます。
 お願いします。あたし、がんばります。」
彼女は、涙目で、そう言いました。

そのとき、気が付きました。
電話のとき、受付に出たあの女の子は、このミルクさんだと。
女の子では、なかったのかあ。
「私の電話を受けたの、ミルクさん?本名じゃなくてもいいって言った。」
「ハイ、あたしです。」
「てっきり、女の子かと思った。」
そう思うと、私は、再び燃えて来ました。
「ミルクさん。それを聞いて、燃えて来た。
 今なら、イけるかも知れない。続けてくれる?」
そう言いました。
ミルクさんは、「はい。」といって、
それから、大サービスをしてくれました。
私は、とうとう、昇天させてもらいました。

最後の最後は、不発ではありませんでした。
めでたし、めでたしです。


<おわり>

※「どんでん」とその作法は、私が20才のころ、
 SMクラブを経営している方から、聞きました。


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プロフィール

ラック

Author:ラック
上は若いときの写真です。ISなので、体は、かなり女子に近く発育しました。でも、胸はぺったんこです。戸籍は男子。性自認も男子、そして女装子です。アメリカの大学で2年女として過ごしました。私の最も幸せな2年でした。そのときの自叙伝を書いています。また、創作女装小説を書いています。毎日ネタが浮かばず、四苦八苦しています。ほぼ、毎日更新しています。
どうぞ、お出でください。

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